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2020年11月

2020年11月30日 (月)

王毅は日本に媚びたわけじゃありません

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先日の王毅外相の外交訪問は日本に改めて中国への警戒感をもたらすだけて終わったのですが、長谷川幸洋氏はこんなことを書いています。
(11月27日『習近平は焦っている…行き詰まった中国が、とうとう日本に「媚び」始めた…!』)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/77738

長谷川氏は王毅訪日の意図についてこのように述べています。

「王毅外相の訪日は中国側が希望し、日本が受け入れる形で実現した。つまり、中国側に日本と接触したい意図があった。中国は、ドナルド・トランプ政権の米国と最悪の関係にある。そこで日中関係を円滑にして、日米の絆に楔を打ち込みたいのだ」(長谷川前掲)

ここまでは私の認識と一緒です。
私もこの米国の深刻な権力の空白期を狙って、日米同盟に楔を打ち込むために来たと考えています。
問題はその手段ですが、常識的に考えれば、宥和的姿勢を示すしかありません。
王毅の発言全文はこのようなものです。

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来日の中国・王毅外相「スマイル外交」に転じた理由 - ライブドアニュース

「先ほど、茂木大臣が釣魚島(注・尖閣諸島)について言及されましたが、我々も最近の情勢と事態を注視しています。一つの事実を紹介したい。真相が分かっていない、日本の漁船が釣魚島の周辺の敏感な水域に入っている事態が発生しています。これに対して、我々はやむを得ず、必要な対応をしなければなりません。これが一つの基本的な状況です。
中国側の立場は明確です。我々はもちろん、引き続き自国の主権を守っていきます。それと同時に、3点の希望を持っています。まず、1点目は双方が原則的共通的認識を堅持することです。2点目は敏感的水域における事態を複雑化させる行動を避けることです。問題が発生した場合は、意思疎通と対話を通じて適切に対処することです。
我々は引き続き、双方の共同の努力を通じて東海(注・日本海)を「平和の海」「友好の海」「協力の海」にしていきたいと思います。これが両国の共通の利益に達する、と思います(NHKの記者会見動画より。通訳は中国側)」(長谷川前掲)

こうして全文を読むと、発言要旨では伝わらないニュアンスがあることは確かです。
長谷川氏はこの王発言を「むしろこの発言は中国にしては弱腰だったように思う」と評しています。
こういう見立てです。

「それは「周辺の敏感な水域」とか「やむを得ず、必要な対応をする」という点ににじんでいる。中国は「尖閣は自分たちのもの」と考えている。相次ぐ公船の派遣は「施政権を行使しているのは、日本ではなく自分たち」という実績作りのためだ。
そうであれば、日本漁船が侵入した「領海」について「敏感な水域」などと婉曲な言い方をする必要はない。まして「やむを得ず」対応する話でもない。
それは、立場を入れ替えて、日本が取り締まる側になれば、分かるだろう。中国漁船が領海に侵入したとき、日本の外相が「敏感な水域」なので「やむを得ず」取り締まる、などと言うわけがない。粛々と法執行すればいいだけだ」(長谷川前掲)

さすが練達のジャーナリストと膝を打ちたいところですが、違うと思います。
中国が「神聖な領土」と呼ばず「敏感水域」と呼び、「毅然とした領海取り締まり」と呼ばず「やむをえない必要な対応」と呼んだからと言って、だからなんなのでしょうか。
ただの外交的ジェスチャーで、尖閣水域への侵入を止める気などさらさらない以上、ただの外交的言い回しを変えただけにすぎません。

私からみればそれは「習の弱腰」やましてや「媚び」などではなく、バイデンに備えた「共存」モードに切り換えようとしている兆候です。
バイデン外交の基調にあるのは、ステイタス・クォー、つまり現状を維持をすること、それもトランプ以前の「現状」に戻すことです。
だから自由主義陣営に向けては「同盟重視」であり、敵対する中国陣営に対しては「共存」です。

むしろバイデン政権に入閣したほうがよかったと思えるマティス元国防長官は、FOXでこんなことを言ったそうです。

「米国は現在、米国の国益にとって明らかに有利な国際秩序の基盤を弱体化させてしまった。
それは、強固な同盟関係と国際的な制度の両方が、戦略的に重要だという基本的な認識への無知のためだ。
『アメリカファースト』は『米国単独』を意味してしまった。
このことは、問題が米国の領土に到達する前にさまざまな外交問題に対処する能力を損ない、その結果、脅威は突然現れるという危険性が増大した。
安全と繁栄を確保するための最善の戦略は、強化された文民的手段と、強固な同盟関係の回復されたネットワークによって、米国の軍事力を強化することである」
Mattis says he hopes Joe Biden takes 'America First' out of national security strategy
https://www.foxnews.com/politics/mattis-says-he-hopes-joe-biden-takes-america-first-out-of-national-security-strategy

他ならぬ哲人軍人であるマティスが言うと非常に説得力があるのですが、この認識は米国が強大だった冷戦期には有効でしたが、現在のように中国が勃興し、一帯一路によって米国の同盟関係が寸断され始めた現在に適合するとは思えません。
中国はマティスがいう「強固な同盟関係」を内側からとろけさせ、「外交的手段」を発揮せさることをいっそう難しくさせているのです。

中国が欲しいのは「時間」です。彼らが圧倒的に先端技術で優位に立ち、世界の大多数の国家を意のままに操り、その食指がマティスが期待する「強固な同盟関係」の裏側を削り取ってしまうための「時間」、あるいは「猶予」です。
現時点で米国と全面対決するには早すぎるが、2030年代には獲得可能と、彼らは考えています。

中国はそのためにはあらゆるジェスチャーをしてみせます。
吠えているように見えるのは習ひとりで、それは国内の他派閥向けアピールにすぎません。
中国官僚たちはむしろ「戦狼」と思われることを隠そうとしています。
今回の王毅のこの微妙にトーンを下げた言い回しも同様です。だまされてはいけません。

たとえば福島香織氏は、ニューヨークタイムスに乗った傅瑩(ふ・えい )の『中米の協力-競争関係フレームワークの構築は可能だ』という論文に注目しています。
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ) NO.219 2020年11月27日)
傅瑩中国外交部アジア司長は 、全人代で初めての女性報道官で、英語は当然ペラペラ、常に笑顔で穏やかに語りかける白髪のレディです。
英国ケント大学を卒業、修士学位取得、駐オーストラリア大使、駐英国大使の経験。

こういう人のほうがキャンキャン吠える外交部の共産党員の若造よりよほどコワイ。
このような欧米を熟知した優秀な中国の外交官は、「欧米の考え方」でしゃべることができるからです。

脱線するようですが、慰安婦問題を考えてみましょう。
なぜこれほどまで欧米で慰安婦問題が拡散し、韓国側の主張が固まったのかといえば、あの国の女性部長官が、欧米のポリティカル・コレクトネスに乗じて、その言葉を盛んに用いて宣伝し始め、メディアが定説化したからです。
パンフやアニメ、まんがなどさまざまな手段で「戦時性暴力」「性の商品化」などといった欧米リベラルの耳に心地よい表現が拡散されていきます。
日本の外務省は旧態依然として、「謝罪している」というプレスリリースを流すだけの対応ですからお話になりません。

従来は中国のプロパガンダの多くは共産党にしか理解できない用語をってガナるだけでしたが、傅瑩のように欧米メディアのボリコレをくすぐれば理解は早いのです。

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傅瑩 中国網

傅瑩は、米国民は中国がが世界のいたるところで一国的な利害を押し通しているだろうといのは、それは深い誤解だとして、こう述べています。


「たとえば中国は「一帯一路」をグローバルな公共産品と考えて提唱し、その趣旨はより多くの経済成長と相互のコミュニケーションの増大であるのに、米国はこれを一種の地縁政治主導の中国の戦略であるとみている。
近年、両国の関係が緊迫する中、ワシントンは中国のテクノロジー企業を圧迫し、中国人留学生に迷惑をかけ始めている。 私は、かつてアメリカに留学した多くの中国の若い中国人の起業家に出会った。
彼らは、長年両国で実りあるパートナーシップ関係を経験した後、今になって米国の安全保障上の脅威とみなされることに困惑している。人文交流を政治化するようでは、双方にかつて利益をもたらしていいた絆の復活がかのうかどうか、多くの人々が懸念している」(福島前掲)


傅は、一帯一路は世界覇権は「グローバルな公共品だ」としています。
一頃の日本の民主党が好んで使った「新たな公共」というイメージをうまく利用して、一帯一路は世界の公共インフラなんだというわけです。うまいね。
そして政界制覇のの野望ではなく、「より多くの経済成長と相互コミュニケーションの増大」という利益があるではないかというのです。
これなど日米リベラルが泣いて喜ぶ「相互対話」なんて言葉が散りばめられています。朝日やハトさんなどゴロリといきそうでしょう。
そして、米国で学んだり起業した中国人青年は皆そのことを理解して米国と協調したいと望んでいるのに、偏狭な差別的意識を振り回してねいるのはトランプではありませんか、というわけです。
そうそうトランプは黒人差別を助長し、社会を分断しようとしたのだ、中国とのかんけいにも分断を持ち込んだのさ、なんてニューヨークタイムスやCNNは思うでしょう。

また傅は、トランプが言っている先端技術の盗用などについては、中国は真摯に改善しているのに見向きもしないのはトランプのほうだとしています。

「経済・技術分野では、ルールや法律が守られる必要はある。中国政府は知的財産権、サイバーセキュリティ、プライバシーの保護の改善など、中国の米国企業から定期された合理的な懸念に耳を傾け、対処することが重要である。中国は法律を絶えず改善し、厳格に法を施行するために、これらの分野してきた。全人代常務委員会が可決したばかりの改正著作権法では、著作権侵害に対する罰則を大幅に強化した。
ワシントンはむしろ、米国で活動する中国企業にフェアな環境を与えるべきだろう。 米国のファーウェイがハイテク分野の優位に立つという恐れを、政府の企業いじめに利用するべきではない」(福島前掲)

そして、「米国企業とファーウェイの協力と競争、つまり競合の展開を奨励する」べきで、正当な企業間競争を阻害しているのは、米国のほうだそうです。
ですから、「人気のSNSであるTikTokを禁止しようとする試みも不公平だ」としています。
ここで彼女はファーウェイという国有企業がいかに不当な国家助成金を得て安価で輸出し、しかも不正な手段でシェアを獲得していったのかを無視しています。
もちろんファーウェイが5Gを使って、欧米日の情報インフラを征服してしまおうという野望も隠しています。

中国企業を弾圧するのは「中国人から見ると、すべてフェイク」で、「中国は過去40年あまりの改革開放の中で、いろいろな西側の技術を導入し、米国企業を中国に歓迎した。それらは、決して中国の国家安全を妨害してこなかった」とします。
欧米日の企業を大歓迎し、その技術を強制的に提供させ、軍事部門もそれを流用したんでしたっけね。

つまり中国は寛容に米国企業を受け入れて共存してきて共に発展したのに、米国はいまになってなぜその基盤を破壊しようとするのか、まったく理解できないそうです。
米国や西側先進国企業が被った膨大な技術盗用や資本移動の制限など知らなければそう思うでしょう。

そして傅は、政治・外交分野では、米国は中国が世界支配しようとしていると幻想をしているようだが、外国への内政干渉を続けているのは他ならぬ米国ではないか、と言います。

「政治分野では、米国はそろそろ他国に対する内政干渉の収監を放棄すべきである。長年来、米国の世界的な干渉行為はたびたび壁にぶつかっている。アフガン、イラク、リビア、などでの経験からワシントンは教訓をくみ取るべきである。米国は、外国が大統領選に介入するのではないかと心配するのであれば、なぜ外国が米国から干渉を受けるのではないかと敏感になることも理解すべきではないだろうか?」(福島前掲)

南シナ海で国境の力による変更をしたのはどこの国なのかと思いますが、なにかというと米国外交を目の仇にしてきたリベラル左翼は膝を打ってそのとおりといいそうです。
ですから中国から、お互い誤解に基づいた争いをするのではなく、互いにお互いの価値観を認めて、平和に共存しようではありませんか、なんて呼びかけられると、オーと手を差し伸べて肩を組みそうです。


「中米はお互いに尊重し、お互いの政治制度が同じでないことを認め、それぞれがよいとして、そこから一種のより平和的なムードを作り出すべきだろう。
安全保障領域において、双方はともにアジア太平洋地域が長年享受してきた平和、安寧局面の維持、保護に対して共に責任がある」
(福島前掲)

平和共存な以上、具体的には台湾や南シナ海、そして当然尖閣についても米国は干渉することを止めねばなりません。

「米国は中国人の国家統一の信念を尊重すべきであって、台湾問題において、中国側に挑戦、あるいは南シナ領土問題に加入するべきではない。
気候変動は緊急に協力が必要とされるもう一つの関心分野であり、世界が中米の指導的影響力を期待し、両国が多くのことを一緒できる。
経済の安定、デジタルセキュリティ、人工知能ガバナンスなど、他の地球規模の課題も団結協力して応対する必要がある。中米はこれらの課題に対応するために他国とも手を取り合い、多極主義を継続することで、人類の進歩に希望を与え続けることができよう」(福島前掲)

気象変動とはバイデンがいちばんやりたいことに手を伸ばしてきました。
こここそ中国が対中包囲網を突破する切り口にしたい場所です。
かぶんバイデンは、当初は中国との強硬とも思える政策を継続しながら、一方で地球温暖化で中国と協調しようとするでしょう。
そして温暖化対策で多くの妥協を引き出すために、徐々に中国と宥和的に変貌していき、4年後にはすっかり共存体制に入っているかもしれません。

さていかがでしょうか。日米のリベラル左翼が手をうって喜びそうな言い回しに溢れていますね。
特に決め言葉は「価値観の共存」です。
多様な価値観を持つのは、先進文明国の誇りではありませんか、欧米的価値観だけが正しいわけではなく、中国の価値観も認めて仲良く共存すれば戦争はなくなります。朝日やハト氏といった地球市民が聞けば歓喜しそうな言葉です。

このロジックにコロリとする人は日本にも大量にいそうですが、ちょっと待って、中国において「多用な価値観」が許容されていましたっけね。
中国共産党に対して異見を表明すれば、社会スコアで減点され、教育施設に収容されるんじゃありませんでしたっけ。
宗教を持つことも、宗教的祭祀をすることすら禁じられていませんでしたっけね。
ウィグルに百万単位の強制収容所を作ったのはどこの国でしたっけ。

中国は異なる考えが生まれないように、社会の隅々まで統制された全体主義国家です。
このような全体主義価値観と自由主義価値観は共存できません。
そもそも「共存」とは互いの国同士が政府が選挙で選ばれる民主主義体制を持ち、法律が支配し、自由な議論が活発にできる社会でなければ不可能なのです。

米国は長年の間、経済が発展すれば中間層が生まれ、彼らは必ず民主主義をもとめるという宗教的とすらいってよい確信をもって、中国と関わってきました。
しかし超近代的オフィスビルに住み、ダイヤモンドのスマホを持って外車を乗り回すキンピカの富裕層は、民主主義など見向きもせずに、世界市場の制覇に乗り出しただけだったのです。
それを見て従来の関与政策を捨てて、直接対決へとトランプは舵を切ったのです。

中国はそれを元の関与政策、言い換えれば「共存」政策に戻さないかと誘っています。
だから、日本に対しても長谷川氏がいうように一見穏やかな口ぶりで、慎重に言葉を選んだつもりで「敏感水域で違法操業する日本漁船仕方なしに取り締まっている」という言い方に切り換えたのです。

しかしこれは長谷川氏の見立てのように「習の弱腰」ではなく、ましてや「媚び」などではまるでなく、バイデン政権との「共存」シフトに切り換えようとする現れにすぎないのです。

 

 

2020年11月29日 (日)

ショロンの市場にて

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牧志市場の裏通りを汚くしたかんじ。移転しちゃったんだって。残念。

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ベトナム名物の電線のテンコ盛りです。よく道に落下しています。

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おかず屋です。ベトナム人は奥さんも働いているので、外でおかずを買う家が多いみたい。

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野菜の種類の多さと品質のよさに驚きます。

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なにかの唐揚げ。たぶんチキンのようです。

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女房族は簡単に買わない。品比べをする、値切る、友だちと交換する。

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ココナッツ、パパイヤ。青いパパイヤに鰹節をかけて食べたい。

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タロイモ。米に負けないくらい食べています。

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タロイモや米の粉のお店。いろいろな使い方をするようです。生春巻きの皮はコメ粉です。

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さとうきび。皮むいて、チュバチュバしたい。

 

 

2020年11月28日 (土)

パウエルが弁護団を解任された理由がわかります

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クラーケン女史ことシドニー・パウエル弁護士はジョジア州の知事と州務長官を訴えるという奇策に乗り出したようですが、どうなりますことやら。
トランプの弁護団から離れたことは、このクラーケン女史の方針と、トランプ陣営の方針が決定的に違ったからです。
私がこう言いきるのはトランプのこのような態度を見たからです。

トランプは、12月14日の選挙人による選挙で、バイデン氏が選ばれればホワイハウスを去ると明言しました。

[トランプ氏、選挙人団がバイデン氏選べば「ホワイトハウスを去る」
ワシントン 26日 ロイター] - トランプ米大統領は26日、記者団に対し、米大統領選の選挙人団の投票で民主党バイデン氏の勝利が確定した場合、ホワイトハウスを去ると表明した。ただ、選挙で不正が横行していたと改めて主張した。
これまで敗北を認めていなかったトランプ氏の発言で最も敗北宣言に近い。
各州で選出された選挙人は12月14日、正式な投票を行う。バイデン氏の勝利が確定すれば、合衆国憲法が定める期日の1月20日の正午に宣誓して大統領に就任する。
トランプ氏は現在の状況下で敗北を認めるのは難しいと述べ、バイデン氏の就任式に出席するかどうかについては明言を避けた。「選挙は不正だった」と強調したが、明確な証拠は示さなかった。
選挙人団がバイデン氏を選べばホワイトハウスを去るか問われると「無論そうする。みなさんもそれを知っているはずだ」と言明。「ただ、現在から1月20日までの間に多くのことが起きるだろう」とし、「大規模な不正が判明した。第三世界の国のようだ」と続けた」(ロイター11月27日)
https://jp.reuters.com/article/trump-biden-idJPKBN2862HW?il=0

トランプが勝負に拘泥するあまり、年を越して下院選挙にまでもつれこむことをよしとしないことが分かりました。
賢明な判断です。
バイデンとの票差は600万票あまりです。州裁判所が再集計を認めたとしても、その差を埋めることは不可能です。

仮に下院まで争った場合、「権力の空白」はすでに始まっていますから、2カ月以上に渡ることなってしまいます。
彼は個人的な勝ち負けより、合衆国と国際社会に対する責任を重視したわけです。
これにより、選挙結果をめぐり長期にわたる混乱は終息の方向に向かうだろうと思われます。

しかし選挙不正疑惑やハンター・バイデン疑惑は厳として存在し続けるのですから、長期戦の陣形に移行したと見るべきでしょう。
つまり一部の熱狂的トランプ支持者を除いて、米国は平常の国家運営に急速に戻ったのです。

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左がジュリアーニ、右がパウエル  エポックタイムズ

このように見ると、なぜパウエルが弁護団を去ったのか分かります。
おそらく法廷戦術の決定的くい違いです。
ジュリアーニは敏腕な弁護士である以上に政治家です。

パウエルはおそらく弁護団内部ですら証拠の開示を拒んだのでしょう。
あるいは提出したとしても、ジュリアーニからみれば到底勝てそうにないものばかりだった。
一方、パウエルは山のような状況証拠を出して物量で圧倒し、国民を味方につけてその圧力で勝とうとしたようです。
いわば韓国名物のろーそくデモの米国版を期待したのでしょう。

トランプはニューヨークでの巨大な支援デモを見て感涙したそうですが、これで選挙結果を覆したりする気はありませんでした。
そのような方法をとるなら、アンティファに対して連邦軍を出すとした自らの対応と矛盾するからです。

ジュリアーニとトランプは、ここでパウエルのような充分ではない態勢で戦った場合100%敗北し、その結果バイデン側のネガティブキャンペーンの絶好の餌になると判断したのだと思います。
私でもそう思うくらいですから、熟練した政治判断ができるジュリアーニなら、必ずそういう判断をします。

パウエルがジョージア州を訴えた文書は膨大で、私もデイリーメイルの要約に眼を通したていどですが、ここでも証拠は提示されていません。
The Kraken released: Sidney Powell releases pair of lawsuits
https://mol.im/a/8989093
もうイヤになるほど言ってきていますが、600万票もの差を覆すには、決定的な選挙不正を働いた当事者、ないしは当事者の証言と資料が絶対に必要です。
ドミニオンがいかに怪しい会社だと言ってもダメ。上部会社が民主党人脈だと言っても無駄。
幹部職員がバイデンやアンティファの熱狂的支持者であっても、証拠になりません。
全部そのようなものは状況証拠にすぎないのです。
必要なのは、ドミニオンが選挙ソフトを操作し、不正に手を染めたたという決定的物的証拠です。
米国史上空前の選挙不正があったという壮大な規模の主張をする以上、法廷だけではなく米国民にそれを開示すべきなのです。

私もまちがいなくドミニオンは加算アルゴリズムなどを駆使して選挙操作をしたと考えています。
そしてその背後には中国、イランの姿さえ見えると考えています。
しかし、それはsnsという外野席にいるから言えることです。
よく言ってジャーナリスティックな興味、悪くいえばしょせん野次馬です。
法廷闘争とはまったく違うのです。

マウンドで法廷というバッターに投げる球としては、あまりに非力です。
今要るのは、決定的証拠。グーの音も出ない物証と証人です。
傍証や状況証拠ではないし、ましてやお前の会社が不正をしていない証拠を出せ、なんていう悪魔の証明なんかじゃありません。

このように見ると、なぜパウエルが弁護団を解任されたのか分かります。
パウエルは「ウィザピープル」という新たな政治グループをたちあげたかった。
彼女は野心満々の人物ですから、この人寄せに今回の一件を利用したのかもしれません。

しかしトランプもジュリアーニは、こんなパウエルのお神輿に担がれる気などなかった。
だから解任されたのです。



 

 

2020年11月27日 (金)

「肉屋に飼われた豚」はどちらでしょうか

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クリスマスまであと一月となりましたが、こんな表現が米国にはあるそうです。
"like turkeys voting for Christmas"、直訳すれば「クリスマスに投票する七面鳥」で、むしろ日本では「肉屋に投票する豚」と意訳されています。

あるサイトの説明によれば、「反知性主義・無知礼賛」な右翼の「豚」たちが、やがて政府が自分らを絞め殺すのを知らず、わけもわからずに支持している、としています。
日米共に、2009年頃からいわゆる「ネトウヨ」に対しての侮蔑的なレッテリングとして使われています。
私にははいはいご勝手に、という感想しか浮かびません。

私からみれば、個別具体のテーマで是々非々を論じない限り、そのようなレッテルは無意味です。
たとえば沖縄に限っても、知性豊かなリベラル諸氏がよく口にするオスプレイ反対、移転反対、米軍基地撤去などの主張が知性的だとはとても思えないだけのことです。

そもそも、現代はにおいて知識の独占は崩れ去ろうとしています。
かつてのように大学人だけが、資料にアクセスでき、学界に報告することで足りた時代はとうに去ったのです
米軍や国防総省の1次データーまでネットから入手できる時代あっては、専門と非専門の敷居は極めて低くなっています。
そのことに気がつかないのは、いまでも学者と名がつけばエライと思っている「赤い巨塔」の住民くらいなものです。

それはともかくとして、この表現は反知性主義という言葉を安易に振り回すことからも想像がつくように自らを知的選民と疑わない人らが、知的、あるいは経済的な弱者だと決め込んだ人たちを見下した表現です。
リベラル左翼に往々にありがちな鼻持ちならないエリート主義で、川勝知事や学術会議の諸センセイ方にも通じる特有の体臭です。
難しいことは学者センセに任せておけ、素人は煎餅でも齧りながらテレビのワイドショーでも見てろやということで、衆愚主義にたやすく転落していきます。

さてこの2回の大統領選では、この「肉屋を支持する豚」という表現がよく使われたようです。
「豚」と言われたのはトランプ支持の白人労働者で、言ったのは米国民主党の面々です。
民主党からすれば、社会保障制度やオバマケアを逆行させようとするトランプを支持するなんて自分で自分の生活を苦しくさせるようなもの、なんたる愚か者たちだ、ということのようです。
この見方は、リベラル左翼共通の富の再分配政策という立場からすれば、トランプなんて労働者の血を搾り取る悪魔だということなのでしょう。

今回もそう思ったのか、民主党では共和党上院が認めそうな民主党保守派から国務長官・国防長官を出したことに強い反発がでています。

「クライバーンは11月24日、出演したCNNの番組で次のように語った。
「(サンダース議員を)政権に迎えてほしいと願っている」「バーニーは特定の物事について、人々に理解させるすべを身に付けている」
クライバーンは「次期大統領」に対して大きな影響力を持つ人物。今回の大統領選に向けた民主党の予備選では、同議員の支持表明がバイデンの候補指名の獲得につながったと指摘されている。
一方、サンダース自身もCNNに対して次のように述べ、要請があれば労働長官として、バイデン政権の一員に加わりたい考えを表明している
「勤労者世帯のために立ち上がり、闘うことを許される立場を与えられるのであれば、そうするかと?」「ええ、そうしますよ」」(フォーブス11月26日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8ee93c684e1703730005b75f3629318ba21fddd2

 Sensanderssocialsecurity

CNN.co.jp : バーニー・サンダース上院議員、大統領選への出馬を表明

私は個人的にはバーニー・サンダースというジィさんが好きです。
こういう折り目正しい古典的米国左翼をみていると、リベラルの仮面と保守穏健の仮面を交互に被ってみせるバイデンなんぞよりよほど筋目が通っているとおもってしまいます。

ただし、サンダースに代表される民主党リベラルがしがみつくのは旧態依然たる富の再分配にすぎません。
いかんともしがたいほど古いんだな、これが。
この立場では米国においてなぜ白人労働者に代表されるような中間層がトランプを支持したのか、まったくわからなくなります。

トランプの登場は、宮家邦彦氏に言わせれば「徐々に理想主義に向かってきた米国政治への反発から生まれた暗黒面の登場」だそうです。
まるでダースベーダーみたいね。
ではこの「暗黒面」の実体とはなんなのでしょうか?
「暗黒面」とは、米国が分厚い中間層によって支えられてきた社会から、貧富の差の激しい社会へと変貌しつつあることではないでしょうか。

たとえば激戦区だったミシガン州はラストベルト(錆びた地帯)と言われたほど長い凋落が続いて、製造業の空洞化による賃金低下、雇用率の減少などに悩まされてきました。
結果、そこで働く労働者は中間階級から転落していきましたが、全米自動車労組に代表されるような民主党系労組は、労働分配率にのみこだわるだけで、安易にレイオフを受け入れていってしまい、有効な救済策を持ちませんでした。

その結果、中間層から転落する国民が大量に発生する反面、イーロン・マスクの個人資産が13兆円を超えたというような、典型的貧富の格差現象が起きているのが米国なのです。
下図は一国の上位1%層の占める割合ですが、米国は実に10%ちかくを占めています。
ちなみに日本は3.1%で、中間層がおおくを占めているのがわかります。

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グラフの声を聞く:米国の債務比率と所得格差は表裏一体=市岡繁男 .

また所得格差による平均寿命の低下現象も存在します。
人口1人あたりのGDPが低い経済が振るわない地域の平均寿命は76歳以下です。
下図をみるとレッドステート(共和党多数州)が経済に活気がなく、したがって平均寿命も短いのは、いかにトランプに寄せる期待が大きかったかを表しています。

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図録▽米国における寿命・所得の大きな地域格差(日本との比較)

このような所得格差の頂点に位置する新興IT大富豪や、ソロスのような金融投資家、そして大財閥、ハリウッドスター、大メディアの知的エリートなどといったひと握りの人々は、こぞって民主党候補バイデンを応援しました。
民主党の実態は、サンダースが思い描くような「勤労者のための党」ではなく、富裕層の党なのです。

こういう文脈で考えると、民主党の主張する富の再分配政策は、いくら富あるものは富を、貧しいもには救済を、と美的な修辞を施してもその本質は肉屋が飼っている豚に与える餌でしかないのです。

また民主党が進めたアファーマティブ・アクション(人種積極的是正政策)によって、黒人のハーバートなどの大学進学は増えたようですが、一般の黒人階層は、白人労働者と同じく賃下げと失業に悩まされて続けてきました。
結局この積極的是正政策によって黒人エリートだけが富裕層になっていき、人種内にも貧富が生まれたのです。

白人にせよ、黒人にせよ、国民が望んでいるのはまともに働ける環境、働く機会の均等、所得格差の少ない社会であって、なにかを社会から恵んでもらって生き延びることではないのです。
働かないで暮らせる社会、これがほんとうに望ましい社会なのかと思うのです。
たぶんトランプと民主党の違いは、ここに深淵を発しているのではないでしょうか。

一方トランプが掲げた政策は、この貧富の格差は産業の空洞化によって生まれており、それはグローバル企業が中国に製造拠点を移してしまったことだと断じました。
そして米国民から職を取り戻すために取ったのが、完全雇用と一連の中って平均寿命も国に還流しました。

これに対してリベラル左翼は、「大企業ばかりを優遇する」と批判しましたが、その減税効果は企業の活性化を生み、更にそこで働く中間層までもが潤いました。
彼らか底堅く消費を支えた結果、空前の消費プームが起きて、米国は更に内需が活発化するという循環に入りました。

また、トランプはさまざまな規制を緩和しようとしました。
たとえばエネルギー政策に強い規制をかけていた地球温暖化対策から離脱は、原子力と化石燃料の再認識をもたらしました。
これはやくたいもないグリーンニューディール政策を掲げて、非効率的な再エネ促進に走り、中国ばかりを儲けさせてしまった民主党時代とは大きく異なります。

よくトランプの人種差別政策と呼ばれる移民抑止政策も、このように考えれば治安問題だけ強調されますが、実は安価な使い捨て労働者である移民を抑制することで国内労働需要を堅調にするためだと分かります。

安全保障政策においては、オバマ政権期時代の米軍予算削減から再び世界最大規模を維持しています。
トランプは、20年近くたとうとしていまだ離脱できないでいるイラク・アフガンからの整理撤退も視野にいれて、その軍事力を合衆国始まって以来最大の敵である中国に集中運用しようとしています。

このように見てくると、いったいどちらが「肉屋に飼われた豚」なのか、おのずと見えてこないでしょうか。

 

 

 

2020年11月26日 (木)

なにした来たのか、王毅外相

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24日から、中国の王毅(おう・き)外交部長(外相)が来日しています。何をしにこんな時期にきたのでしょうか。
とりあえず主目的は、日中の相互訪問を再開するということを詰めに来たということになっています。

外務省HPのプレスリリースです。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page6_000480.html

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    • 経済・実務協力
      (1)双方は、新型コロナに関し、自由・透明・迅速な形での情報・教訓・知見の共有をはじめ、両国が外交当局間を含む様々なルートで引き続き連携していくことを確認した。
    • (2)茂木大臣から、来年3月に東日本大震災から10年目の節目を迎えることも踏まえ、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を改めて強く求めた。その上で、双方は、この解決に向けた協議を加速すべく、「日中農水産物貿易協力メカニズム」を立ち上げることで一致しました。また、日本産牛肉の輸出再開及び日本産精米の輸出拡大の早期実現を改めて要請しました。
    • (3)双方は、今般、外相会談で、日中間の人の往来の仕組み、ビジネス・トラック、また、レジデンス・トラックを11月中に開始することで合意に至ったことを歓迎した。この関連で、茂木大臣から、今回の合意が日中経済の再活性化に資するとともに、相互理解の促進にもつながることを期待する旨述べた。
    • (4)茂木大臣からは、日中経済の更なる発展のためには、真に公平、公正かつ安定的なビジネス環境の構築が不可欠である旨述べつつ、日本企業のビジネス活動を守り、また、公平な競争条件を確保することを改めて要請した。
    • (5)双方は、農産品貿易、人的往来・観光、環境・省エネ等、双方の関心や方向性が一致している分野において協力を更に進めていくことで一致した。また、気候変動問題に関し、日中間で話し合いの枠組み作りも含め、意思疎通を強化していくことで一致した。

上の写真は会談前のフォトセッションのもののようですが、なにか肘付き合わしてファイティングポーズをとっているみたい。
もちろん菅さんもオートラリア首相と似たポーズをしていますから違うんですが、そう勘繰りたくなる一枚に仕上がっていて笑えます。

この時期に王毅の訪日を受け入れたのは、財界が日中のビジネスマンの行き来の回復や、政府間の人的交流についてわいのわいのとうるさいからです。
財界としては、早く日中のビジネス往来を再開してもらわないことには、帰国したままの駐在員が職場に戻れんじゃないか、商売に穴があいたら国がメンドーみてくれんのか、ということのようです。
11月中をめどにといっていますから、第2波の真っ最中に再開させることになってしまいます。

「会談で合意した往来再開は短期出張者と長期の駐在員らが対象で、14日間待機の緩和などで両国経済の回復につなげる狙いがある。」(産経11月24日)

そもそもビジネス再開は、感染か終息しているというのが前提のはずですが、中国の発生者数は信じるに値しません。
日本と中国はその基礎となるべき陽性判定基準が違っています。
本来、この国際基準を作るべきWHOが中国に乗っ取られていますから、話になりません。
日本は世界でも最も厳しい数値をとっていますが、中国がどのような基準を使っているのかわからないうえに、3月のある時期かからパタっと感染者がゼロになるという奇々怪々な発生動向の推移をしています。

下は外務省の各国発生数動向グラフです。

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外務省 海外安全ホームページ|各国・地域における新型コロナウイルス ...

中国は最も下のオレンジ色の線ですが、各国が第2波を受け始めた夏の終りにもまったく増加していません。
これを見る限り、中国だけ世界で唯一もっとも早い春の時点で感染を完全に封じ込めたうえに、世界でただ一国第2波とも無縁だったということになります。
重症者は無視して、死亡者、それも隠しきれなかった病院での死亡者だけをカウントしたという情報もあります。
おそらく真の死亡者数は三桁、4桁多いはずですが、あの国は政府がいう数字だけが「真実」なのです。
そのような国とビジネス往来の再開をして大丈夫なのでしょうか。
キチンとした基礎データーがわからない国に対しては安易に規制を緩めるべきではありません。
正確な数字を出させるのが、往来緩和の大前提のはずです。

ところでこの日中外相会談は中国側から求めて来たといわれていますが、それは中国は日本が米国と共同してサプライチェーンからの中国デカップリング(分離)に加わることを恐れているからです。
安倍前首相が、1次補正に中国から日本国内へのサプライチェーン回帰を予算化したことは、国内よりも国際社会に大きな反響を呼びました。
チャイナ・デップリングの勧進元であった米国のほうが、「日本はそれを予算化したのか、スゲェ」という感嘆の声すら上がったそうです。

「日本企業は出ていくのか?」 危機感強める中国当局
本当に日系企業は中国から出ていくのか?」 上海の日系企業関係者は今春以降、こうした質問を地元当局者から何度も受けた。
きっかけは、4月に日本政府が成立させた令和2年度第1次補正予算に、サプライチェーン(供給網)の国内回帰や多元化を促進する支援制度が盛り込まれたことだ。
中国では人件費高騰などの影響で海外への生産移管の動きが出ていたが、コロナ後にこれが加速することを懸念する。トランプ政権は、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)など中国企業の排除を推進。サプライチェーンでも脱中国化を狙っているからだ。
 ただ、中国は巨大な国内市場を盾に外資系企業の引き留めを図る構えだ。鍾山(しょうさん)商務相は5月に「中国には14億人の市場がある。賢い企業家は巨大な中国市場を捨てることはないだろう」と牽制した」(産経8月2日)

ここで中国商務相が豪語するように、中国の最大の武器は人民解放軍ではなく、この4億とも言われる中間層が作る消費市場の存在です。
この貪欲な消費欲は世界経済を吸引し続けています。
トヨタでもわかるように、消費地の国で生産するのがもっとも効率的だというのが巨大企業の考え方です。
仮にサプライチェーンから足抜きしても、ヨーロッパ全域を上回る巨大市場にはよだれが止まりません。
だから片方の生産部面だけの足抜きは難しい、これが財界の考え方でしょう。

王毅はその日本財界の足元を見ています。
ここで日本にチャイナ・デカップリングに走らないためにも、ビジネス往来を呼び水にしたいということです。

そしてもうひとつの王毅が来た理由は、米国が大統領選でドタバタを繰り返している間に日本を取り込み、日米同盟を分断してしまうことです。

  • 海洋・安全保障
    (1)茂木大臣からは、尖閣諸島周辺海域等の東シナ海における最近の情勢を踏まえ、個別の事象にも言及しつつ、我が国の懸念を伝達し、海洋・安全保障分野について、中国側の前向きな行動を強く求めた。また、大和堆周辺水域における中国漁船の違法操業について、再発防止や漁業者への指導の徹底を改めて強く要請した。
    (2)双方は、これまでハイレベルにおいて確認してきた、東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするとの方向性を改めて確認し、海洋・安全保障分野での取組を推進していくことで一致した。日中防衛当局間の海空連絡メカニズムに基づくホットラインについて、開設に向けた調整が進展していることを歓迎した。

この外務省プレスリリースでは触れていませんが、会談ではこのようなやりとりがあったようです。

「一方、王氏は記者発表で尖閣諸島について「われわれは自国の主権を守っていく」と述べ、中国の領有権を改めて主張した。同時に、偶発的な衝突を回避する「海空連絡メカニズム」をめぐり、緊急時のホットラインを年内に開設する方向で合意したとも述べた。
 会談では、茂木氏が香港情勢に懸念を表明。東京電力福島第1原発事故後に中国が導入した日本産食品の輸入規制を話し合う協議体の設置などで合意した」(産経前掲)

残念ですが、成功したのはビジネス往来だけで、安全保障面では頑なに尖閣の領有権を主張するという下策に走ったようです。
私は、知日派の王毅はもうちょっと柔軟になにか仕掛けて来るかと思いましたが、毎度ながらの中国共産党節の一本調子。
せめてなにかしらの融和策の一本も持って来るかと思いましたが、手土産のひとつもないゼロ回答ですから逆に驚きました。
たとえば、仮に中国側のほうから日中の摩擦は不毛だから一定期間領有権を棚上げにして、識者まで入れた尖閣円卓会談をもとうじゃないか、なんて言い出されるとこちらも断りにくくなります。
それを「尖閣でうちの国は警備活動をしているのだ」というようなことを言ってしまうんですから、ホントこの人、外務大臣なんでしょうか。
共同記者会見で王毅は、こんなことを述べています。

「王毅外交部長「魚釣島の状況を注視している。事実として日本漁船が魚釣島の水域に入った。これに対してやむを得ず必要な対応を取らなければならない。我々の立場は明確だ。我々は自国の主権を守って行く」
一方、王氏は会談後、記者団の取材に応じ、尖閣周辺海域での日本漁船の活動に触れ、日本側が「既存の共通認識を破壊した」と主張。こうした現状を改めることで「問題を沈静化させることができる」と語った」(時事11月25日) 

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あーあ、王毅言っちゃいましたね。「日本側が共通認識を破壊した」ですか。
これでいくら友好的雰囲気を取り繕うと、この一言で一切が無駄に終わりました。

やれやれ、ここまで言われては、茂木さんも苦笑するしかありませんね。
河野氏なら「それはわが国の認識と異なる」と釘を押すのですが、ここでこんな顔で対応するのも茂木氏のキャラだということにしましょう。
というか彼からすれば、こういう顔するしかないんでしょう。
ややもの足りませんが、それはそれでしかたがないと私は思います。

それ以上に、価値観外交を主張できたことはたいへんにいいことです。
茂木氏は、日中間に横たわる問題が、領有権だけにあるのではなく本質的価値観がまったく違うのだ、ということを王毅に直に伝えたました。

  • (1)香港情勢に関しては、茂木大臣から、立法会議員の資格喪失の件を含む一連の動向への懸念を伝達し、「一国二制度」の下、自由で開かれた香港が繁栄していくことが重要であり、中国側の適切な対応を強く求めた。
  • (2)茂木大臣から、地域・国際社会に共に貢献していく上で、自由、人権の尊重や法の支配といった普遍的価値を重視していると述べた上で、国際社会からの関心が高まっている新疆ウイグル自治区の人権状況について中国政府が透明性を持った説明をすることを働きかけた。

ここで茂木氏が、香港、ウィグルまで言及したことは高く評価できます。
いまさら始まったわけでもない領有権もさることながら、香港・ウィグルの人権問題を言われることのほうが中国にとって痛いことのはずですから。

とまれ、この日中外相会談における収穫は、事実上日中は尖閣問題では決裂しているという再確認ができたこと、価値観を共有しない相手といくら「対話」しても無駄だということがよくわかったことです。
あ、そうそう「日中海空連絡メカニズム」なんてものも本決まりになったのはめでたいことですが、偶発的戦闘が地域戦争に発展しないためには意味がありますが、では本気で尖閣や離島を取りにきたらどうするんでしょうかね。
あの国は侵略するときは、そんな連絡ホットラインなんか切断してしまうでしょうからね。

 

2020年11月25日 (水)

バイデン政権陣容と共和党移行容認派の誕生

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バイデンが新政権構想を公表しました。
まだトランプは敗北宣言を出していませんから形式的には終了していませんが、24日が事実上のタイムリミットであって、ここまでに法廷で結果がでなければ敗北宣言を出すも出さないもないのです。
残るのは、ドミニオンなどで米国がひっくり返るような事実が、当事者が衝撃的資料を引っさげて登場することくらいです。
そうなった場合、州の集計結果とは別次元で、バイデンは当選の辞退に追い込まれることもありえます。
残念ですが、現時点ではそのような兆候はみられていません。
なおトランプは政権移行だけは認めたようです。

それは米国にとってだけではなく、国際社会にとっても大きなマイナスです。
そりゃそうでしょう。
中国の立場になってみたら分かります。
求心力を失ったトランプ政権では、いくらポンペオが声を枯らしても誰もふりむきません。
ヨーロッパ諸国はポンペオが訪欧しても冷やかな対応でしたし、わが国に来られても菅さんとしてはちょっと困るのではないでしょうか。
大歓迎なのは、今のうちに既成事実を積み重ねてしまいたいイスラエルくらいなものです。

習がなにかエグイことをやるなら今だと考えてもいささかも不思議ではありません。
香港では、民主派議員をパージし、民主派のリーダーたちを逮捕してことごとく懲役5年にするという強権政治を開始しました。

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香港、民主活動家の周庭氏に有罪判決 昨年の反政府デモ:時事ドットコム

これについては別記事で詳細を伝えようと思いますが、完全に米国の開いた脇を狙った動きです。
台湾はとっくに最高度の警戒に入っています。

このような情勢を受けて、共和党内部からもバイデン勝利を事実として肯定する流れが生まれてきています。
といっても、民主党にすり寄って猟官運動を目指そうというわけではかならずしもないようです。
このグループは、ユタ州選出ミット・ロムニー、アラスカ州選出リサ・マルコウスキー議員、メイン州選出のスーザン・コリンズ議員、ネブラスカ州選出のベン・サッセ議員などです。
ミット・ロムニーは反トランプグループの中心人物で、トランプ弾劾投票でイエスに入れたような人物ですが、 このグループになんとマルコ・ルビオまでが加わっているという情報も出てきていますから複雑です。
ご承知のようにマルコ・ルビオは共和党最保守派に属し、対中制裁法案は彼が作ったといってもいいほどの人物です。
ちなみに日本の有力な支援者です。

米政治専門紙のポリティコは、共和党内部に政権移行を容認する勢力が登場したことについて、このように伝えています。

「ドナルド・トランプ大統領が2020年の選挙の結果に異議を唱え続ける中、少数ではあるが影響力のある上院共和党員が、次に進む時期を示唆し始めています。
曜日にロブポートマン上院議員(R-オハイオ)とシェリームーアカピト(R-W.Va。)は両方とも、移行プロセスを開始するよう呼びかけました。
どちらもジョー・バイデンがまだ大統領選挙であるとは言っていないが、両方の上院議員は彼が国家安全保障とコロナウイルスのパンデミックについての説明を受ける時が来たと述べた」(ポリティコ11月24日)
https://www.politico.com/news/2020/11/23/republican-rob-portman-transition-process-439718

おそらくこの共和党の政権移行容認グループは、民主党政権にすり寄るというより、バイデン政権を対中強硬路線から逸脱させないために作られたような気がします。
バイデンは、民主党候補選びのプロセスでリベラル左派に大きな借りを作ってしまいました。
元々とっくに旬が終わったさえないオジィさんで、40年間政治家やってきて特に功績もなく、毒にも薬にもならない無能の人だからこそオバマに副大統領に据えられた人物です。
その彼は候補者レースでずっと5位あたりをうろうろしていたのですが、一気に最有力候補にのし上がったのは、敗退した党内左派がバイデンに一本化したからだと言われています。
党内極左グループはBLMやアンティファとかぶっており、バイデンはこれに論功報奨をやりつつ、一方で牽制せねばならなくなりました。
その時に言い訳となるのが、上院で共和党に負けているねじれ現象です。
共和党はこう言っているから、あるていどの妥協はしかたがないだろう、という言い訳です。

また対中政策についても、バイデンは対中政策はゆるやかに軟化させようという腹づもりはもっているでしょうが、今それをやると、「ハンターがカネを中国から貰ったからだ」と言われるに決まっているじゃないですか。
だから当面は、内政はリベラル好みでデコレーションし、外交分野は従来どおりでともかくやってみる、というところです。

というわけで、さまざまな人種からのエリートが入閣するようです。
たとえば、国土安全保障省の次期長官にキューバ系のアレハンドロ・マヨルカス、国連大使にはアフリカ系のリンダ・トーマス・グリーンフィールドなどです。
バイデンが彼自身の表現では「多様性のある人材」ということで、女性と黒人を中心とする非白人系を選んでいるのがわかります。
予想にたがわず、内政はリベラル左派に配慮したポリコレ内閣というわけです。

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また、国家安全保障会議(NSC)に新規で気候変動対策担当大統領特使なる肩書を出して、オバマの国務長官だったジョン・ケリーを当てています。
バイデンがトランプとは正反対に気候変動にいかに力を注いでいるか、はっきりと分かります。
予想するもしないもないのですが、これでパリ協定の復帰の路線は敷かれたわけで、EU諸国とソロスはいたくお喜びのことと思われます。

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米国務長官にブリンケン氏 バイデン氏が発表: 日本経済新聞

 さて、もっとも注目されたのは、なんといっても国務長官と国防長官です。

「政権移行チームはこの日、バイデン氏の外交政策顧問を長年務めているアントニー・ブリンケン元国務副長官を国務長官に、別の側近のジェイク・サリバン氏を国家安保問題担当の大統領補佐官にそれぞれ充てる方針も明らかにした。
バイデン氏は自身の政権に多様性のある人材を登用することの重要性を強調してきた。国連大使にはアフリカ系のベテラン外交官リンダ・トーマス・グリーンフィールド氏を起用する。
バイデン氏は「これらの人々は経験豊富で試練によって実力を証明済みなのと同様に、革新的で創意に富んでいる」とし、「その外交成果は比類ないが、同時に、この新時代に旧態依然とした思考と変わりばえのない習慣、つまり多様性のある経歴・視点なしには、難局に対応できないという考えを反映している」と述べた」(ウォールストリートジャーナル11月24日)
https://jp.wsj.com/articles/SB11393064289250644013204587117361218995658

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バイデン氏、国務長官にブリンケン氏起用か 米報道: 日本経済新聞

ブリンケンと聞いて、ああいつかと言える人はそうとうな米国政治通です。
この人物は調べてみると、バイデンの政策立案チームのひとりで、オバマ政権の国務長官候補でした。

「ブリンケン氏は1990年代初めのクリントン政権1期に外交安保部門のスピーチライターとしてホワイトハウスに入省し、オバマ政府と議会を行き来し縦横無尽に活躍した「民主党ブレイン」だ。
バイデン次期大統領とは2002年の上院外交委員会で初めて手を組んだ。以後2008年の大統領選でバイデン氏が民主党大統領候補の選挙に出た際に外交安保諮問役を務めるなど、18年間バイデン氏と共にしてきた」(News1 wowkorea11月23日)

このブリンケンと国防長官候補とされるフロノイはウェスト・エグゼクティブ・アドバイザーという国際情勢についてのコンサル会社をやっていた仲です
フロノイは、「72時間以内に中国海軍を全滅させる能力を持った上での抑止政策を持つ」と言った人物で、これも共和党保守派に配慮した人事だと思われます。

一方、取り沙汰されていたスーザンライスは入りませんでした(ざまぁみそ漬け)。
この女性を入閣させると、外交面まで左派に握られてしまい、党内バランスが崩壊するからでしょうか。
とまれあの顔を見ないですんだことに、日本政府は胸をなで下ろしていることでしょう。

とまれこのように外交分野で共和党に配慮を示したのは、トランプがCNNの予想を大きく覆して接戦を演じたからなのを忘れてはいけません。

 

※今日から紅葉に模様替えをしました。



2020年11月24日 (火)

産経ワシントン特派員の「角度のついた」報道とドミニオン問題の巨大さ

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バイデンが新国務長官にフリンケンを指名したようです。スーザン・ライスではなくて、正直ほっとしました。
これで一定期間は対中政策は継続されることでしょう。

さて昨日のコメントを読んでいると、この選挙疑惑をいとも簡単に「陰謀論」として切り捨てるコメントが複数ありました。
う~ん、そうなんでしょうか。
トランプ陣営の反論は一切合切まとめて陰謀論だ、なんの根拠もない妄想だ、という記事はCNNから大量に発信され、それを受けて日本のメディアは産経までふくめてインボーだ、インボーだぁ、と書きまくっています。
CNNや朝日がいうならまだしも、産経までもが口調を揃えるとなるとややげんなりします。

古森御大がコロナでワシントンに帰任できないことを幸いに、黒瀬・平田両特派員はいつのまにかCNNを丸写しにすることが米国特派員の仕事と思い始めたようです。
小見出しからしてスゴイですよ。『「ウソの弾幕」 完全否定されるトランプ氏の「不正」主張』とは穏やかではありません。
まるでトランプがウソをつきまくっているような印象です。
なんせ「完全否定された」というんですから、逆にその根拠をお聞きしたいくらいです。

よく朝日は小見出しだけが煽情的で、中を読むとそのへんにころがっている一皿いくらの情報ということがよくありますが、とうとう産経も朝日に似てきたようです。くわばら、くわばら。
読者の半分は小見出しだけをザッと見て、興味を惹かれたものだけをピックアップしますから、小見出しで「ウソの弾幕、完全否定」と印象誘導されるとそれに従った読み方になってしまいます。
これを書いた産経ワシントン特派員はこの古典的印象操作の手法を使ったようです。

ところが中身を読むと、「ウソの弾幕」とまで書く平田特派員記事が書いたのはリードの部分だけで、本体はCNNとNBCの丸写しにすぎません。
私がデスクだったら、バカヤロー、自分で取材して書け、地方支局からやり直し、と一発怒鳴るところです。

「16日には米CNNテレビ(電子版)が、トランプ氏が先にツイートした9項目にわたる不正の訴えを「ウソの弾幕」と断じた」(産経11月20日)
https://special.sankei.com/a/international/article/20201120/0002.html

そして平田特派員は、米国メディィアがこう書いた、こう放送した、ドミニオンがこう反論したと書いているだけで、この特派員は事務所で米国メディアにどっぷり浸ることが特派員の仕事だと勘違いしているようです。
そんなことなら、わざわざワシントンにまで行かなくても、東京でもできます。
いや、東京どころか片田舎に住む私のようなブロッガーでもできちゃいますぜ。

平田特派員は、CNNがこう書いた、NBCがこう言ったから「ウソの弾幕だ」なんて書くくらいなら、少しは直接にドミニオンやペンシルベニア州務長官を取材すればよさそうなものを。
ペンシルベニア州は州知事も共和党、したがって彼が指名する州務長官も共和党です。

「共和党員で、トランプ氏を「誇り高く支持している」という同州のブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官は20日、記者団に対して、「自分の政党が負けたのは残念」だが、「数字はうそをつかない」と述べた」(BBC11月21日)
https://www.bbc.com/japanese/55025954

この情報に価値があるとすれば、トランプ陣営の集計偽造だという訴えを、他ならぬ「トランプを支持する」と言っている共和党系州知事や州務長官が否定したことです。
共和党系州知事や議員に圧力をかけようとするトランプの作戦も、見事に空振りに終わったことも重ね合わせてよいでしょう。
これを見て、CNNに加担して反トランプの弾幕を張ることか記者として正しいのか、あるいは共和党内部になにか起きているのかもしれないとアンテナを立てて取材をすることのどちらが特派員の仕事なのか、少しは考えてみることです。
こういう記者の足を使った取材をせずに、はじめから結論がありきの「角度のついた記事」ばかり書いたあげく自爆してしまった築地の新聞社のようになりますよ。

ちなみに産経は他社を出し抜いて「パウエル解任」とスクープしていますが、各所から眉唾だとする声が集まっています。
真相は、パウエルがツイッターアカウントを1週間停止されてしまったためによくわかりません。
いずれにしても産経のワシントン記事は、古森氏が帰任するまで、CNNと同じで3掛けで読みましょう。

ところで、私がこのドミニオン疑惑を重く見ているのは、トランプがらみだけではありません。
今回これほど大きな混乱になったのは、米国の選挙システムがデジタル化したためです。
これが古くからある手作業によって選挙管理者の監視の下で一枚一枚確認しながら集計していくならば、このような大きな規模での不正選挙の訴えはなかったはずです。

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衆院選開票風景

私はかねてから選挙はアナログが一番、デジタル化は10年早いと思ってきました。
この方法は一見遅いようにおもわれますが、手慣れた集計作業者がやれば機械集計と変わらないばかりか、なんといっても選挙結果を操ることは不可能です。
上の写真のように選管が選んだ作業者によって、少人数が一組になって行う日本式開票方式だと、集計操作はおろか集計ミスすらミニマムなのです。

一方、米国の集計の基本は機械集計であって、作業者が公務員が多い日本と違ってボランティアですから、操作方法のミスが多かったという報道もあります。
また投票所によって党派色があるようで、共和党系の監視人が入場を阻止されたり、窓に紙を張られた投票所もあったようです。
集計装置も実によく故障し、そのつど直し直ししてやるわけですから、結果に反映する可能性もないとはいえません。
いずれにしても、トランプ陣営の再集計の訴えに従って「手作業でやった」と州政府が言っても、それはこのような集計マシーンでしているわけです。

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その上に、今回はこの機械集計を更に超えるドミニオン集計システムが全米半分の州で加わりました。

「選挙で使われる投票機の大部分を供給するドミニオンのような民間企業は少ない。ドミニオンの広報担当者によると、同社は2018年、ニューヨークのステープル・ストリート・キャピタルに買収された。手掛ける製品には投票機のほか、スキャナーや選挙管理ソフトウエアなどがある。
ドミニオンの投票機は今年6月、ジョージア州の予備選で導入されたが、波乱のデビューとなった。ジョージア州務長官室によると、多くの集計作業員が新たな機械の操作方法を知らなかったうえ、新型コロナウイルスを恐れて欠席した作業員もいた」(WSJ前掲)

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ドミニオンは全米28州で採用されましたが、これほどハッキングに膳弱なシステムはないでしょう。
もちろんブロックしていると言うでしょうが、そもそも入れるソフト自体を恣意的に操作すればいいだけのことです。
アナログの手作業集計と違って、極めて簡単に証拠も残さずに選挙犯罪を遂行するかことが可能となります。

このドミニオンの資本関係は複雑です。
ドミニオン社自身は否定していますが、同社の株の保有者は3人のベネズエラ人が設立したスマートマティック社です。
大規模に不正選挙が行われたことで名高いチャベスの大統領選挙において、ドミニオン集計システムが使われました。
ドミニオン集計システムが完成したのが2003年、その翌年04年にはベネズエラのチャベスの大統領選がありました。
チャベスは毛沢東主義者と自称し、中国との繋がりを隠そうともしなかった反米主義者でした。

そのチャベスはありとあらゆる不正をやって勝利をしたのですが、スマートマティックはベネズエラ国家選挙委員会からVVPATと称される新たな選挙システムを受注しています。
このVVPATがドミニオンの原型です。
つまりドミニオンは、ベネズエラが最初の導入国だっただけではなく、むしろベネズエラ大統領選のためにあつらえた集票マシーンだったことを示唆しています。

そして2012年10月の大統領選挙の投票率は、実に80.94%。もはや失笑するような投票率です。
このようなバカげた投票率は、強制されて投票をする社会主義国か独裁国家でなければありえません。
接戦を報じられていた対立候補のラドンスキーとは大差をつけ、55%の得票がチャベスに流れたそうです。
いや流れたと「表示された」のです。
スターリンが言ったとされる「選挙は誰に投票するのではなく、誰が集計するのかで決まる」という言葉どおりです。

ちなみにこのドミニオン・システムを米国に導入したのは民主党元大統領だったジミーカーターでした。
2005年には、カーターの財団であるカーター・センターが安全性に保障を与え、12年には、カーター自身がベネズエラの選挙制度が世界で最も優れていると絶賛しています。カーターさん、冗談はほどほどに。
そして同年には早くもオバマが選ばれた大統領選には導入を果たしています。
スマートマティックやドミニオンに民主党の有力人士がひしめいているのは、果たしてただの偶然でしょうか。
まぁこのようにドミニオン・システムは米国民主党によって米国に導入され、率先して州レベルに拡大されたということだけは頭に置いておきましょう。

今回、この集計システムと選挙結果の因果関係は解明されていませんが、このような選挙集計のデジタル化にきわめて危険な落とし穴があることは間違いありません。
IT好きの菅さん、選挙制度のIT化だけはやめてくださいね。

 

 

 

 

2020年11月23日 (月)

悪法でも法は法。毒酒を仰がねばならないこともある

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メディアのニュースでは、「なんの証拠もないのに騒ぎ立て大統領選の敗北をみとめないトランプと、それを尻目に進む権力移譲」という構図ばかりが眼につきます。フェークとまではいいませんが、バイアスがかかっています。
一方ネットではドミニオンとパウエル一色。もう勝てると言った空気です。
こちらはもう戦争直後にブラジルで日本の勝利を信じた「勝ち組」みたいです。

頭を冷やして下さい。
米国が更に分断を深めようとしていることは間違いありません。
従来の白人と黒人の人種間対立に重ねて、新たにトランプと反トランプの対立軸が生まれました。
しかし太平洋を隔てて私たちまでが不必要に熱くなってどうするのです。
当事国ではない私たちができることは、情勢分析における醒めた眼と巨悪を許さない気持ちを持ち続けることです。

結論からいえば、トランプが勝つみこみは1%以下にすぎません。
なぜならもう時間ないからです。各州で選ばれた選挙人による選挙の期限は11月24日です。
かつてゴアも選挙結果偽造を訴えましたが、その彼すら11月24日までに敗北を認めています。

この日限を超えてするとなると、後は下院に持ち越しになり、例の1州1票で決定ということになってしまいます。
それって直接選挙で選ばれるより、下院投票で選ばれた候補のほうが上位だということになってしまいませんか。
これでは米国大統領選挙制度自体を否定することになりかねません。

いいでしょうか。選挙に郵便投票という偽造投票が可能な仕組みが含まれていようと、仮にすり替えという不正があったとしても、結果は絶対です。
制度というものは、絶対的な証拠と逃げも隠れもできない証人が、当事者以外知り得ない真実を暴露しない限り動きません。
今回ならドミニオン関係者の疑問の余地ない決定的自白と1次資料です。

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WSJ

ジュリアーニは証拠は法廷に出しているといっていますが、それはおそらく傍証、あるいは状況証拠のようなもので、「私は〇〇をするのを見た」あるいは「誰それが〇〇をするのを私は知っている」といった伝聞情報であろうと推察出来ます。
たとえばベネズエラ軍の元将校の「私はチャベス陣営がドミニオンで選挙結果を偽装したのを見た」、といったような間接情報です。
これでは法廷では勝てません。

このよう証言が意味を持つのは、ベネズエラでドミニオンが使われていて、それをクリントン財団が供与した決定的証拠、さらにはドミニオンとクリントン財団とのうごかない繋がりの証拠が明白に存在したという二重三重の証明が必要です。
法廷ではこれが認められないと証人として認められません。SNSでの情報の流布と法廷闘争はまったく次元が違うのです。

ですからこの巨悪を掘り起こし始めると、かつてのベネズエラ大統領選にまで遡らねばなりませんが、いまそんな時間はありません。
そもそもトランプ陣営は、そこまでの証人と資料の双方ともまだ掴んでいないのです。
そんなものがあれば、ジュリアーニはとうにそれを記者会見で暴露し、一気にトライへと独走するでしょうから。

いま、トランプが主張しているのは、数え間違い、すり替え等といったよくあるミス、あるいは小悪党のカネ目当ての犯罪ではなく、選挙結果そのものを数十万、数百万票規模で偽造するといった前代未聞の民主主義への挑戦です。
これを可能とするのは、米国のエスタブリッシュメント勢力、言い換えれば既得権益者たちです。
この犯罪には、単なる集計ソフト会社だけではなく、クリントン財団のよう民主党人脈 それを応援しいまやバイデン陣営の一角になってしまったCNN、NYTのようなオールドメディア、ソロスのような巨大投資家、さらには環境ビジネス、州政府なども間接、直接に関わっています。
だからこそ、その全貌が見えてくるまでかなりの時間を要するでしょう。

しかもこの事件は、かつてのサブプライムローンやウォーターゲート事件のようにメディアの力をあてにできません。
だって、米国メディアはとうに客観報道を捨てて、見苦しいまでに当事者の一角になってしまいましたからね。
ですから心して下さい。大統領選疑惑が巨悪に至り着いた以上、この不正疑惑解明には恐ろしく時間がかかります。

それまでの時間的余裕がなければ、悪法でも法は法。欠陥だらけの制度でも制度なのです。
毒酒を仰がねばならないこともあるのです。
というのはタイムリミットが明日だからです。24日にまで選挙人は投票せねばならないということを忘れてはいませんか。
これを突破するには、決定的証拠を開示し、しかもそれを裁判所が認めねばなりません。
それなくして24日の壁を突破し、下院採決にまで持ち込むことは不可能です。

いまトランプがやっているのは不正選挙だと主張し、それを支持する大衆的圧力で、各州の共和党議員がトランプを推薦するという非常手段です。
うまくいくはずがありません。
結果は無惨です。議員にも拒否され、トランプもそれを認めています。

「ドナルド・トランプ米大統領からホワイトハウスに呼ばれたミシガン州議会の共和党幹部2人は20日、大統領との会談後、大統領選の同州結果を変更する理由は見当たらないとの見解を示した。トランプ氏は民主党のジョー・バイデン前副大統領の勝利が確定するのを阻止しようと狙っているが、再び障害にぶつかった。(略)
ミシガン州も23日に正式に選挙結果を認定する予定で、トランプ氏はこれを阻止したい考えだ。ただ、州当局者は予定通り、認定を行うと話している。トランプ氏の弁護団は来月の選挙人団による投票について、共和党が過半数を握る州議会の一部が、バイデン氏がその州を制していたとしても、トランプ氏を支持する選挙人を任命することを望むとの立場を示している」(ウォールストリートジャーナル11月21日) 

また各州の不正選挙だとして提訴されたトランプ陣営の訴訟に対しても、法廷は却下しています。
とくに天王山だったペンシルベニアでの州裁判所の決定は痛手でした。

「米東部ペンシルベニア州の連邦地裁は21日、米大統領選で敗北が確実となった共和党のトランプ大統領陣営が同州での約700万票の郵便投票を無効にするよう求めた訴えを退ける判決を下した。トランプ陣営は「大規模な不正投票があった」として複数の激戦州で選挙結果の逆転に向け訴訟を起こしているが、請求は次々と棄却された。陣営は各州の選管による選挙結果の確定を遅らせる戦術に軸足を移したが、形勢逆転の機会は閉ざされつつある」(産経11月21日)

今までトランプ陣営がみずからの訴訟をとり下げたのは30件、認められた再集計はわずか2件だけです。
しかも認められたペンシルベニアの再集計も結果は変わりませんでした。

「ペンシルベニア州の連邦地裁はまた、同州選管が選挙結果を確定させることに問題はないとの意見を表明した。同州では民主党のバイデン前副大統領が勝利し、州選管による選挙結果の確定期限は23日。トランプ陣営は同州での訴訟を法廷闘争の「主戦場」と位置付けてきただけに、大きな打撃となるのは確実だ」(産経前掲) 

率直にいえば、万策尽きたというべきでしょう。
この法廷闘争で決定的勝利をもぎ取れれば、11月24日のタイムリミットをト突破して下院での裁決も理論的にはないわけではありませんでしたが、その針の穴はほぼ完全に塞がりました。
そもそも下院投票で選ばれた大統領などには正統性はありません。
なぜなら正統な選出方法で選ばれたわけではないので一種の合法クーデター であって、国内の反対派のみならず諸外国政府からも同様にフェークガバメントと見られるからです。
このような勝利をトランプが望んでいるとは到底おもえないのです。

今やトランプの眼は大統領選の先に移っているはずです。
今回はこのドミニオン疑惑があまりにも巨大すぎるためにタイムアウトになりましたが、じっくりとバイデンがホワイトハウスの主でいるうちに調査すればよいのです。
その結果を逐次国民と共有することで、バイデン政権を根底から揺るがし続け、次の中間選挙では目にものを見せることも不可能ではないはずです。

 

 

 

2020年11月22日 (日)

日曜写真館 朱色の奔流

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青春 朱夏 白秋 玄冬といいますが、晩秋は紅色です。

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朱色の滝のようです。

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桜も紅葉するのを知っていましたか。

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手の中の紅葉の色を当てにけり 野口光枝

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しづくして雨の明るき紅葉谷 鷹羽狩行

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2020年11月21日 (土)

トランプに後4年を与えよ

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ふゆみさんと山路さん、そしてウエヨナバルさんのご意見を拝見しました。
私もできるだけこの延長戦に醒めた目で見たいとおもっています。
選挙偽造を証明づける物的証拠と宣誓証人が必要不可欠です。
今の狂ったようなトランプバッシックを見ればわかるように、水に落ちた犬を叩け、二度と大統領になどなろうと思わせるなという勢力があります。
それが米国社会のメーンストリームそのものですから、ことはやっかいです。
金融投資家や銀行家、官僚組織、そしてメディアといったエスタブリッシュメントが全体重を乗せて選挙偽造にまで走った以上、これを暴くのは容易なことではないでしょう。
その意味で米国の民主主義そのものが問われているわけですが、それだけに勝ち負けについてはわからないとしかいいようがありません。

さてトランプ個人に対しては思うことが多々あります。
前回の大統領選では、私はなんとヒラリー推しでした。理由は簡単。
当時のトランプは「貿易赤字の日本に安保なんかいらねぇ」というトンデモな発言を繰り返していて、彼の日本に対する関心はもっぱら貿易赤字だからです。
貿易赤字は必ずしも当該国の衰退を意味しません。
いかに米国が世界貿易の中心に位置し、貪欲に消費することで世界経済を活性化させているかの証明でしかないからです。

それをトランプはこともあろうに、日米同盟といった安全保障とゴッチャにして「日本を米国の若い者で守ってやる必要はねぇ」なんて馬鹿を言っていたんですから、手に負えない奴だと思いました。
しかし彼は変わった。
ディールを好み、スタンドプレーが好きなことは相変わらずですが、世界の安全保障において日米同盟が、というより米国が国際社会の中で果たさねばならない役割が落ちたようです。

これは安倍氏の手柄でしょう。最初期から彼を盟友として認め、やがて良き「安倍学校」の生徒となっていきました。
彼はほとんど外交には関心がなかったはずで、はっきり言って、そこらの中西部のオジさんレベルでした。
しかし、安倍氏を軍師と認めたトランプは、覚醒するのも早かった。

たとえばトランプの北朝鮮政策は、従来のなまぬるい実効性の乏しい国際協調圧力という路線から大きく抜け出しました。
北朝鮮という国において、唯一の絶対権力者は正恩しかおらず、ただの話あいは無意味な以上、軍事力を背景にしてこの男に非核化したほうが得なのだということを判らせるには、直接話すことしかなかったのです。
従来の米民主党政権は、こんな単純なことひとつわからず、国連頼み。
結局中国の影響力頼みとなり、中国の国際的力を大きくする結果となりました。

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しかし残念なことに、最後の最後で正恩はトランプにさえ折れなかったわけです。
むしろトランプのほうが、当時の安全保障補佐官だったボルトンの制止がなければあいまいな決着をしかねませんでした。
辛うじて、米朝直接会談は第3回という含みを持ちつつ膠着状態にあります。
とはいっても、現時点で第3回の望みが消えてはいない以上、核実験やICBM実験は手控えるていどの抑制効果があったのは確かです。
なんだそのくらいといわないこと。非核化のとっかかりさえできなかったのですからね。
拉致問題も会談に乗せられ、非核化と一体のものであるというメッセージを正恩に伝えたはずです。

今後仮に第2期があるとしても、これを再起動させることはそうとうに困難なのは確かで、切り口を変えてみるしかないようにも思えます。
もっともこれもバイデンにやらすと六国協議路線に逆戻りになりかねませんが。
バイデンはトランプの北朝鮮政策を批判して、国際協調路線に戻るのだと言っています。
この人物の欠点のひとつは、健忘症です。
彼が副大統領をしていたオバマ時代こそ、「戦略的忍耐」だなどと意味不明なことを言って、アジアにおける中国の海洋進出や北朝鮮の核武装化を事実上容認したのは、ほかならぬオバマとバイデン、そしてケリーとスーザン・ライスでした。
米国民主党も日本の旧民主党諸雑派と一緒で、失敗をまともに総括せずになにを言っているのでしょうか。

国際協調圧力というと平和そうで聞えがいいですが、直接会談直前には瀬取りの取り締まりから、さらに一歩進めて海上封鎖まで検討されていました。
これは準軍事行動です。
非核化が一歩も進まないとなると、後はほんとうの戦争しかなくなる、そこまで来ていたのです。

その意味で、私はトランプ政権をもっとも評価する点のひとつに、平和愛好者であるということを上げます。
おそらく反トランプからは何をトチ狂ったといわれそうですが、彼は一貫して軍事力を誇示することをためらいませんでしたが(だから戦争屋呼ばわりされるのですが)、実際にその行使にはきわめて慎重でした。

トランプはムダな戦争が大嫌いです。戦争は巨大な浪費だからで、ビジネスマンの彼にはわりに合わないことに見えたからです。
彼が韓国に、グアムからB52を朝鮮半島に飛ばすといくらかかるかわかってんのか、と言ったことがありましたが、そういう計算を素早くする人なのです。

彼は世界に散らばっている米軍を圧縮して、戦線を縮小させようとしました。
彼はかねてからの中東・アフガンからの撤退論者でしたが、それが国防総省や現役制服組の反対にあって、いっかな進みませんでした。
北との直接会談、イラク・アフガンからの撤退はトランプ流の平和路線で、あれだけブッシュのイラク戦争を非難していたリベラル左翼がここをまったく見ずに、トランプを極右の戦争屋と呼ぶのはフェアではありません。

世評とは違って、トランプほど平和を愛好し、米軍に戦争をさせなかっだ大統領はいないのです。
そのように見ると、北朝鮮と同じ手法が中東でも取られています。
トランプは中東でのイスラエルとの国交回復を急ぎ、成果を出しました。
UAE、バーレンなどがイスラエルと国交を結んだことで、中東におけるイスラエルの絶対的孤立状況は緊張緩和に向かっています。
中東屋さんたちは、パレスティナが可哀相じゃないかと叫んでいますが、今のパレスティナの主権者はイラン系武装組織のハマスですか、それとも腐敗仕切ったPLOのどちらですか。
ガザ地区にイスラエルが入植地作ったことは国連決議違反ですが、いまでも連日そこからロケット弾攻撃をしかけてくるような状況が変わらない限り、イスラエルはそこから去ることはないでしょう。

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ポンペオ氏、イスラエル占領地訪問 米国務長官では初:東京新聞 TOKYO Web

今回ポンペオが入植地を訪問したというのはいささかやりすぎに見えますが、これには二つの意味があります。
ひとつは、主敵がイランであることを明確にしたのです。
トランプはできる限り早くイランを孤立化に追い込み、中東を安定化できれば、そこに張り付けている米軍の主力を本来の主敵・中国方面へシフトできると考えていました。

ですから、トランプがあと残された2カ月間にやりそうなことは、大統領権限を持っている残り2カ月間でやれることをしてしまおうとすることです。
その最大の誘惑は、イランの実力制裁です。
とくに西側各国が協調して作ったイラン核合意から脱退した以上、独力で電撃的に核施設を攻撃し、壊滅に追い込むことです。
実際、トランプが周囲にイラン攻撃の可能性を打診したという話もあります。

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寄稿】正恩氏に見せたイラン核合意離脱 - WSJ

ただし、仮にイラン攻撃に踏み切った場合、簡単には終わりません。
イラク以上の泥沼化を想定しないかぎり、安易な攻撃は慎むべきです。 

もうひとつトランプがやりそうなことは、イラク、アフガニスタンからの完全撤退です。
現在、現地米軍は現地政府軍と共同で作戦任務についていますから、ここから米軍だけが抜けると、たぶんかつての南ベトナム崩壊の再現になるという批判が強いと思われます。
現地協力者や米軍が装備を与え、教育した現地軍はたちまち崩壊し、彼らは祖国から追い出されるでしょう。

それが目に見えているだけにマティスなどのような制服組は首をかけて反対したのですが、こういう撤退はいつかどこかでせねばならず、駐留し続ける限り終りが見えないのです。
仮にベトナムから撤退して現地化をしなければ、いまでも米軍は南ベトナムに貼りついていなければならず、米国の衰退はより早まったと思われます。
ですから、一回サンクコスト(回収不能な損失)は、どこかで損切りせねばならないのです。
それができそうな大統領は、トランプを除いていません。
バイデンに替わったら、旧態依然といまのままズルズルと駐留し続け、ボディブローのように米国を衰弱させていきます。

このように考えると、むしろトランプに2期目を与えて、北朝鮮対策の結末をつけさせ、中東各地のテロ組織を支援するイランを中東穏健派の国々と連合して追い詰め、アフガンから段階的撤退を急ぎ、北朝鮮に次の一手を打つ時間が欲しいのです。

トランプ外交は未完です。
トランプにあと4年を与えよ。

 

 

2020年11月20日 (金)

パウエル女史登場 クラーケンの逆襲なるか

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このままディール局面に入るかと思われていた大統領選の風向きが変わりました。
風向きを変えたは、11月13日に元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニで、大統領法律顧問から自ら弁護団の指揮に入ったからです。

法曹資格を持つジュリアーニからみれば、民主党系裁判官の「不正があったのかなかったのか」と問われて、唯々諾々とノーと答えてしまうようなヘタレ弁護団では、最高裁もなにもその前哨戦で撤退を余儀なくされてしまうと思ったようです。
おそらくトランプ陣営の戦略では、民主党系裁判官がいる訴訟は負けを覚悟でも、その先に最高裁まで持ち込むというのが絵図面だったはずですが、こうもあっさりと完敗して、弁護団が櫛の歯がぬけるように雲散霧消してしまうようなら、反撃もここまでとなってしまいます。
ニューヨークタイムスとCNNの祝杯の声が聞えるようです。

私も郵便局の消印がどうのとか、油性ペンがどうしたというレベルの小ネタではあれだけ大量の偽造は困難です。
この大統領選にはもっと大規模な、史上空前の選挙犯罪のシステムが背後になければなりません。
カナダ国境からの中国で印刷した偽造投票用紙などという噂もありましたが、どれもこれも噂に尾ひれで、信用するに値しません。

祝杯に二日酔い気味だった米国リベラル陣営は、よもやジュリアーニが連れて来た「新弁護団3人組」がこれほどまでにパンチ力があるとはおもいもかけなかったことでしょう。
とくにすさまじい破壊力を持ったのは、シドニー・パウエル弁護士(元連邦検事)でした。

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彼女のFOXでのインタビューです。

「パウエル弁護士はまず、バイデンチームのメンバーであるピーター氏に言及した。ピーター・ネフェンジャー氏は、スマートマティック社の取締役会会長であり、スマートマティック社はドミニオンの持株会社である」(エポックタイムス)

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冒頭のこの部分だけで、きわめて衝撃的です。
おどろくべきことに、選挙集計システムのドミニオン社を持っていていて、実質的オーナーはスマートマティック社のボス・ピーター・ネフェンジャーといい、彼はバイデン選対チームのひとりなのです。

そしてこのドミニオン集計ソフトには「実績」があります。ITジャーナリストの深田萌絵氏はこのように述べています。
(米大統領選、不正は実際に行われたのか…脆弱なセキュリティとトランプ排除を狙う人物 11月18日)

「そのソフトウェアはドミニオン関連会社のスマートマティック社が開発したもので、フィリピンの選挙でソフトウェアの不具合のために不正行為があった可能性により訴訟を起こされ、ソースコードは信頼性に疑問があると指摘された。
 2019年、ドミニオンの集計システムを利用したケンタッキーの州知事選で、共和党候補知事の票が560票減り、民主党候補にそのまま560票が付け替えられる様子などもリアルタイムに報道され、共和党の牙城で民主党候補が勝利したことで有権者の間では不信が広がっている」(深田前掲)

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ドミニオン集計機

パウエル弁護士は、FOXのニュース番組で独裁者チャベスがドミニオンを使って勝利を簒奪したと言っています。

「シドニー・パウエル弁護士私は、ドミニオン社について、私たちが集めた全ての証拠を出すのが待ち遠しいです。まず、不正集計ソフトウェアは、ウゴ・チャベスのためにベネズエラの投票結果を改ざんする目的で創り出されたという事実があります。その後、選挙の票を操作するために海外にも輸出されました。それには、ベネズエラやキューバや支那が資金援助の役割を果たしています」https://www.youtube.com/watch?v=LoI-27B8bBg

パウエルはこれについて選挙に立ち会った元ベネズエラ軍将校の宣誓供述書を持っていると言っています。
下の宣誓供述書のセクション15です。

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どうやらドミニオンはただの選挙集計機械ではなく、ある特定候補者の票を別の候補にすり替えてしまう特殊な装置のようです。
これをベネズエラやフィリピンにドミニオンを輸出させるのに成功したのは、クリントン財団の力があったからです。
ドミニオンはクリントン財団に献金し、この利権を手にしました。
このことについてはドミニオンの経営責任者自らも認めています。
このドミニオンの鼻薬が効いたためか、ドミニオンはクリントン財団の手によって「途上国の選挙管理を支援する」という名目で多く輸出されました。

「フィリピンやベネズエラでドミニオンの投票システムが導入されるようになった背景に、ドミニオンがクリントン財団へ寄付を行い、その後、クリントン財団が途上国に向けて「投票システム技術を提供する」と言って、ドミニオン製のシステムを提供したことにあるようだ」(深田前掲)

またこのドミニオンの影には、今回バイデンの支援者だったジョージ・ソロスの影も見え隠れします。

「ドミニオンの政治力は米国内にとどまらず、関連会社スマートマティックの会長を通じて投資家のジョージ・ソロスともつながっている。
 ソロス自身はこの会社への投資は否定しているが、彼の投資手法を見ると、反体制派に資金を提供して政府転覆を狙うことが多い。彼は価格が低く抑えられた社会主義国の企業や資源に投資し、民主活動家に資金を提供して、安い投資が市場価格に修正されることで利益を上げてきた。最近では、中国が推進するグローバル・スーパーグリッド関連投資で利益を上げるために、民主主義国を全体主義国化させようとしている」(深田前掲)

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ソロス businessinsider.jp

おお、やっぱり出ましたか、怪物め。
ソロスはこの間、地球温暖化利権をしゃぶってきました。
これはCO2規制をネタにして、EV(電気自動車)の普及を促進させようとするものです。
中国とソロスは懇意であり、中国の電気自動車以外の販売を禁じる戦略にも乗っており、さらに中国をセンターとして世界中の送電網を繋いでいくというスーパーーグリッド構想も実現化に向けていました。

また同じく巨大投資家のウォーレン・パフェットは、リチニウムイオン電池に用いられるレアメタルやEVのバッテリー技術に投資しています。
このように米国金融界は地球温暖化対策こそが、今世紀の束された土地だと信じていたのです。

この思惑に真っ向から楯突いたのがトランプです。
地球温暖化懐疑論者のトランプはさっさとパリ協定から離脱し、再エネを嫌い化石燃料の見直しを主張しました。
また、中国への経済制裁で、重要なインフラから中国製品を排除する政策も進めてきました。
まさに米国金融界を代表するソロスなどにとって、トランプこそ憎き天敵だったわけです。

それに対して、バイデンは金融界の覚えめでたくグリーンニューディールを掲げて、ソロスのスーパーグリッド構想にも前向きな姿勢を示していましたから、どちら潰してどちらち勝たせるか、明々白々です。
今回の選挙戦において、トランプ陣営の3倍といわれるバイデン陣営の資金の出所は、メディアが報じるような決して市民の小口の寄付ではなく、こういったハゲタカたちの下心あるカンパなのです。

また、パウエルはこのドミニオンを州政府に持ち込むにあたって、多くのワイロが支払われており、その汚職にハンターバイデンもからんでいるとしています。仮に、このドミニオン導入疑惑ににハンターが関わっていたことが立証されれば、三等親以内の親族の選挙犯罪に相当し、バイデンの辞退だけでは済まない事態にまで進展するかもしれません。

 

 

2020年11月19日 (木)

誰に投票したかではなく、誰が集計したかだ・ドミニオン疑惑の登場

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米大統領選で新たに選挙結果を操作できるドミニオンという集計ソフトの存在が取り沙汰されています。
トランプに入った票が何百万票とバイデンに流れるように細工してあったとか、なかったとか。
トランプ御大はこの数日間一貫してドミニオンに不正があったとツイッターで叫び続けています。
実際バイデン対トランプは7800万票vs7100万票で、選挙人数では差が開いて見えますが、実際にはわずか700万票にすぎませんから、不正ソフトがバイデンに票を書き換える操作をしていたら・・・、とトランプ支持者が考えるのは無理なからぬところです。

ウォールストリートジャーナルは突き放してこう報じています。

「全米の選挙と投票機メーカーを管理する連邦政府機関と州当局者らは先週、「投票システムで票が削除・紛失したり、あるいは何らかの不正が行われたりした証拠は無い」と表明した。発表文はトランプ氏に言及していない」(WSJ 11月18日)

これが米国の公式な見解です。米国政府のセキュリティ機関も不正はなかったとしています。
それを頭に置いた上で、今回のドミニオン疑惑について見ていきます。
ドミニオンか疑惑の対象となっているのは、ドミニオン・ボーティングシステムが選挙集計ソフトとタッチパネルなどの機器の独占的な会社だからです。

「選挙で使われる投票機の大部分を供給するドミニオンのような民間企業は少ない。ドミニオンの広報担当者によると、同社は2018年、ニューヨークのステープル・ストリート・キャピタルに買収された。手掛ける製品には投票機のほか、スキャナーや選挙管理ソフトウエアなどがある。
ドミニオンの投票機は今年6月、ジョージア州の予備選で導入されたが、波乱のデビューとなった。ジョージア州務長官室によると、多くの集計作業員が新たな機械の操作方法を知らなかったうえ、新型コロナウイルスを恐れて欠席した作業員もいた」(WSJ前掲)

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ドミニオンのタンチパネル集計システム WSJ

ドミニオンのCEOは、不偏不党であると主張していますが、それが疑わしいとされるのは、この会社の幹部や最大株主がいずれも民主党つながりだからです。
民主党下院のボスのナンシーペロシの顧問が、ドミニオンの上級幹部で、民主党のダイアン・ファインシュタイン上院議員の夫がこの会社の最大株主だそうです。
しかしいずれも現時点では状況証拠であって、決定的な物的証拠ではありませんが、民主党はオバマ時代から選挙集計に関心をもっていたのは事実なようです。

オバマ時代にスコアカードという、CIAが作ったソフトが登場します。
このソフトは、本来は米国が外国の選挙に不正がないかを監査する目的で作ったのですが、秘密戦争好きなオバマはこれを2012年の大統領選のフロリダと、2016年の民主党候補者選びで実際に使ったと言われています。

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トーマス・マキナニー

これを証言したのは、トーマス・マキナニーという元空軍中将で、彼はハンマーというシギント(電磁諜報)ソフトが、オバマ時代に使われており、これに集計操作を付加したものがスコアカードだと告発しています。
作った制作者はデニス・モンゴメリーという男で、彼は完全に選挙集計を書き換えることを可能にしたといいます。

このマキナニー元中将の証言は11月2日に、バノン(元国家戦略主席補佐官でクビになったあのバノンです)の番組で出たものですが、彼は「選挙は誰に投票するかではなく、誰が集計するかが問題だ」というフターリンの言葉を引用しています。
まことに言い得て妙です。マキナニーはこれで民主党が勝利すれば、全体主義が勝利することとなり、米国で最後の民主主義選挙となるかもしれないと言っています。

また11月13日、ルイ・マゴート上院議員は、ドイツで米軍情報機関がドミニオンのサーバーを押収したと発言しました。
このサーバーには、大統領選の投票集計が全部入っているのだとか。
それが真実ならば非常に興味あるところですが、それを否定するAPの報道もあるようで、信憑性に欠けるためまだなんともいえません。
https://www.newshonyaku.com/21666/

このドミニオン疑惑は、いままでの油性ペンを渡しただとか、郵便の消印疑惑とは次元が違います。
これらはヒートアップしていた大統領選の余熱のようなもので、しょせん素人芸にすぎないため仮にそれが事実であったとしても大きく得票数に影響がでなかったと思います。
しかしドミニオン疑惑が事実だとするなら、おそらく数百万票の票の不正が行われたことになります。

くりかえしますが、現時点では玉石混交状態で決定的なことはわかりません。
ただしトランプはドミニオン疑惑を最も重要視しており、この疑惑が解明されるまで敗北宣言はださないことでしょう。

 

 

 

2020年11月18日 (水)

ささやかな外交的勝利

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落ち葉の舞い散る季節となりました。
あてどなく漂う枯れ葉のようにふわふわとさまよう国があります。
韓国です。

韓国は私にとってどーでもいいテーマのひとつとなって久しく、これは今の日本にとっても同じじゃないでしょうか。
わが国にとって直接あちらから火の粉を振りまいてこなければ、気が済むまで勝手にやってなさい、という国にすぎません。
ほら、あれほどかしましかった反日運動も、しつこいくせに持続力に乏しいお国柄ですから、もうとっくに過去のこととなってしまい、いまや韓国ユニクロは満員だそうです(笑)。

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「13日午前10時30分ごろ、ソウル・蚕室にある「ユニクロ」ロッテワールドモール店の前。この日、2時間前から開店を待つ長蛇の列は数百メートルにも及んだ」(朝鮮日報11月14日)

ちょっと前までは下の写真でもりあがっていたのがウソのよう。

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ボイコットジャパン」、韓国の日本製品不買運動は過熱するブームの様相 ...

まぁ実際に排日をやってみたら、製造部門だけではなく、日常生活の隅々まで日本製品に頼りきっていたというのがわかっただけのことで、日本が相手にしなかったことが良かったのです。
いままで4回ほど日本製品不買運動をしてきましたが、ことごとく自然消滅しました。
なかには韓国民がお好きなはずのマイルドセブンや、ビールなんてのもあったようで、全部いつのまにか尻つぼみして消滅。
その反動で、終わった後はマイルドセブンのシェアが3.5%から一気に5.7%に飛躍したとか(苦笑)。
そりゃ市場を人為的にハングリーにすれば、リバウンドするよ、なぜこんな簡単なことがわかんないんだろう、この人たち。

さてその反日の流れで、長年彼らが愛好していたのが、旭日旗と東海呼称でした。
これもたいそうしつこく、無関係な国まで巻き込んでわいのわいのとうるさいことでした。
IKEAコリアが、地図の表記に「日本海」と表記したものを掲載しただけで、抗議の嵐。

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IKEA日本海表記問題 IKEA Koreaの公式SNSキャプチャー

すごいですね。「東海」(トンヘ)という表記をしなかっただけで、世界のイケアに平謝りさせてしまうんですか、スゴといえばスゴイ。
だいいち無関係のスウエーデンの会社の地図で日本海を探し出すというのが、もはやビョーキ。

「17日、イケアコリアは報道資料を通じて「今回の事案でご心配をおかけした点を謝罪する」として「海外の一部売り場で販売中の装飾用壁掛け製品の東海(トンへ、日本海)の表記方法についてすでに認知していた」と明らかにした。さらに「これについての内容をイケアの製品開発担当のIOS(IKEA OF SWEDEN)に以前から要請していた状況」とした。
また「今回の事案の深刻性を十分に知った上で正確な内容を知らせるために返事が遅れた。今回の事案をイケアグローバルレベルで深刻に認識し、議論した」と明らかにした」(2014年11月18日)

IKEAさん、なにが「グローバルレベルで深刻に認識した」ですか。
こんなことは日常茶飯事。常日頃からの韓国民の平常飛行で、外国企業や政府に頭を下げさせることで、日本にマウントできると思っているというだけのことです。
韓国がしたいのは、ただの反日愛好癖を世界的なポリコレにすることです。
一回、世界のリベラル左翼業界でポリコレ認定されれば、しめたもの。
日本が国土地理院の地図に「日本海」と表記しようもんなら、靖国神社と同列の問題になってしまいます。
まずニューヨークタイムスあたりが取り上げて批判、ついでそれを拾った朝日や毎日・東京あたりが、「日本政府、日本海表記を押しつけ。右傾化の象徴としてバンデン政権憂慮。駐日大使失望した」などと書き立て、学術会議は「あれは日本軍国主義の産物であるから東海が学問的にも正しい」なんて提言するのでしょうね(ありそう)。

そもそも「日本海」は日本がつけた名称ではありません。
日本では古代は「北海」と読んでおり、17世紀になって西欧人が進出するに及んで「日本海」(Sea of JapanまたはJapan Sea ) となりました。

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1602年マテオリッチの坤輿万国全図

ですから、「日本軍国主義が東海と呼んでいたのを奪った」というのはデタラメです。

「日本海」が初めて見えるのは、イタリア出身の宣教師マテオ・リッチが北京で作った「坤輿万国全図」で、1602年に刊行された。日本では1802年(享和2年)に蘭学者山村才助が『訂正増訳采覧異言』で初めて用いた
そしてロシア海軍のクルーゼンシュテルン提督(1770-1846)の著書『世界周航記』が続く英語ではSea of JapanまたはJapan Seaラテン語ではMare Iaponicum(マレ・ヤポーニクム)。フランス語ではmer du Ja、なにも日本が日本海は
「日本海」表記一本で維持されました。

だいいち日本人は昔から「朝鮮海」と呼ばれていたとしたら、あ、そうでお終いです。
だってなんと呼ぼうと領土・領海の権益とは無関係ですから。
だからどの国も海洋の呼称を覆えそうとはしません。
たとえば「インド洋」とあっても、犬猿の仲のパキスタンや中国ですら国際機関に異議申し立てをしたなんて聞いたことがありません。
「メキシコ湾」に米国が文句をいったことがありましたか。
そんな常識の範疇のことなんです、これは。

せめて「東海」も併記してほしいという韓国の切なる声もボツ。
そこで、韓国はHO事務局長がこう言ったことに救いを求めているようです。

「形式による総会は16~18日の日程で開催され、IHOの事務局長案として日本海単独表記の指針継続とデジタル版海図の作成が提案された」(読売11月17日)

おお、これなら韓国は日本海だなんて呼ばれるよりもいっそ「S- 23」jと呼ぼう、ってことでしょうか。
それにしてもいじましいなぁ。

「日本海」の単独呼称継続 韓国「東海」併記主張も国際機関が暫定承認
日本海の呼称をめぐり韓国が「東海(トンヘ)」への改称や併記を主張している問題で、国際水路機関(IHO)の総会は17日、従来通り「日本海」との単独呼称を維持するとした事務局長案を暫定承認した。茂木敏充外相は記者会見で「きちんとわが国の主張が通っている」と歓迎した。月内に最終確定される見通しで、加藤勝信官房長官は記者会見で「正式に採択されることを期待している」と語った。 IHOは各国が公式の海図を作製する際、海洋の境界を示すガイドラインとなる「大洋と海の境界」を作製する唯一の機関。総会では、各海域を特定の名称の代わりに固有の数字で表記するデジタル海図の作製についても各国のコンセンサス(総意)を得た。今月末にも採択される。
 デジタル海図には「日本海」の呼称は使われないが、茂木氏は「基本的には日本海だけでなく、そういう表記(数字)になる」と語った。
IHOが作った海図の指針「大洋と海の境界」は1928年の初版から「日本海」を単独表記してきた。指針について16日から始まった総会でIHOは「引き続き公に利用可能なものとする」との決議案を提案し、各国の総意を得た。(産経11月17日)

原則は譲らない、愚直に譲らない。日韓議連が好きそうな「大人の解決」をしない、そしてそれを国際社会に訴えていく。
それが韓国対応の最良の処方箋だということが再確認できました。
とまれ日本のささやかではありますが、外交的勝利です。


 

2020年11月17日 (火)

RCEPで騒ぐな

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RCEPで、日本がまたも中国にしてやられるのではないか、という人たちがいます。
ちょっと違うんじゃない、って私は思いますがね。
ヒステリックに騒ぐ人って、かつてTPPで日本が潰れるといわんばかりだった人たちです。
カミングアウトすれば、過去ログを読んで頂ければわかるように、恥ずかしながらこの私も中野剛志氏のTPP亡国論の影響をたぶんに受けたひとりだったわけですが、TPPについて大きな勘違いをしていました。

ひとつには、TPPを関税に狭く切り縮めてしまった結果、これが「共通の貿易ルール作り」だということを見逃した点です。
そしてさらに安全保障の枠組みと一体だという点も理解していませんでした。
TPPはいまになるとその全貌が見えてきていますが、今作られようとしているクアッドの経済版のような性格をもっていました。

当時、中国は一帯一路を使って猛烈な勢いで世界市場を浸食していました。
米国が作ったグローバリズムの果実はこの中国が全部いただく、これが習の戦略だったわけです。
中国は一対一の二国間協定で多方面にFTAを結び、無関税に等しい輸出品を雪崩のように相手国に輸出しました。

FTAとは、「特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定」を指します。
※外務省『我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組』、経産省『TPP、EPA、FTA・・・何が違う?

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RCEP、中国の影響増大 大国インド不参加、復帰見えず:時事ドットコム

FTAは二国間で決めるものですから、その力関係がモロに響きます。
だいたいが力の強い中華帝国様のいいなりで決まってしまうのが現実でした。

中国は安い農産品や鉱物資源を大量に安く買い込み、それで恩を売っておいて、代わりに安価な工業製品をドドっと送り込む、気がつけば右も左も中国製品ばかりとなります。
そしていったん経済的従属関係が出来上がると、次に一帯一路と銘打って更に巨額の返済不可能な借金をカードローン宜しく安易に貸し付けてきます。
これにうかうか乗るともういけません、後は借財で首が回らずに、気がつけば港や空港、海に面した工業団地などをカタとして取り上げられてしまいます。
まるでヤクザですね。

こういうことをやられっぱなしだと、たちまち世界は中国に支配されてしまうので、個別FTAからより多くの国々をメンバーにした多国間貿易協定にしようとして出来たのがTPPでした。
TPPは当初日米が主軸になるはずでしたが、なんとトランプが降りてしまい(馬鹿か)、残された安倍氏の必死の努力で残されたメンバーだけでTPP11を牽引し、発効にまでこぎ着けています。
この中で域内の貿易ルールが決められていきました。

TPPには、知的財産権の保護、紛争解決の手続き、貿易の救済、投資の原則、原産地表示、検疫手続き、国有企業の制限などが盛り込まれています。
仮に中国がTPPに色気を出しても、知的財産権保護と投資、国有企業などに引っ掛かって入りたくても入れません(ざまぁ味噌漬け)。
そりゃそうです。TPPは中国に勝手をさせないための貿易ルール作りが隠れた主題だったんですから。

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日本貿易の課題 | JFTCキッズニュース

このぶっ壊れかかったTPPで、最後まで頑張った諸国の中から、更にその信頼関係を基礎にしてFOIP(Free and Open Indo-Pacific Strategy=自由で開かれたインド太平洋構想)が誕生します。
通称クアッド、この名を聞いただけで勇気が湧いて来ますね、ふんふん(鼻息)。
このTPPからクアッドへの流れを見ると、中野氏、三橋氏、藤井氏などが主張しつづけていた、安全保障とTPPは無関係だという主張はまったく間違いだったと分かります。

さて、RCEPです。
※外務省『地域的な包括的経済連携(RCEP)協定への署名
これはTPPを水で薄めた劣化バージョーンだと思えばいいんじゃないでしょうか。
RCEPではとりあえず原産地規則や「関手続・貿易円滑化、衛生植物検疫手続、貿易上の救済、投資、自然人の一時的な移動など15項目のルールが盛り込まれていますが、なんといってもキモは関税です。
中国が嫌がりそうな国有企業の制限などは含まれていませんが、紛争になった場合の解決ルールはしっかりと盛り込んであります。

これは、「当該EPAの解釈・適用に関する締約国間の紛争を解決する際の協議、パネル手続等について規定したもの」です。
よくRCEPは中華共栄圏作りのもので、こんなものに加入するなんて、この売国奴めという人が保守系に多くいますが、この項目だけで大いにこちらは使えるツールなんです。

たとえば、日本はいままで韓国と貿易協議のテーブルを持っていませんでしたね。
ですから全部二カ国間 のやり取りで終始していました。
なにもなけりゃこれでいいのですが、先だっての輸出管理強化でのトラブルなどがあると、ただの輸出管理問題に歴史的怨念が加わってわけのわからない化け物小屋みたいになってしまいました。
こちらはただ韓国の輸出入管理が杜撰だからホワイト国適用をはずしたまでのことなのに、ワーワーうるさいこと。
韓国がトンデモなく危ない国に、大量破壊兵器の素材となる製品を転売なんかしなけりゃいいんですし、そんなことが起きないように監督官庁がまじめに輸出入管理をしておけばいいだけのことなのです。
それをホワイト国からはずされると逆ギレして日帝の経済侵略だぁ、なんてわけのわからないことを言い出して民族芸能のような排日活動に走りました。
あげく、WTOに提訴したりしましたが、WTOなんてまったく空虚な存在で、だから個別FTAやEPAが全盛になったっていうのにね。

しかしこういうことが次に起きた場合に、RCEPは使えます。
日本は輸出管理規制がデタラメなので、なんども韓国に見直しと協議を持ちかけてもガン無視された経験がありますが、今後はこんなこともRCEPの多国間紛争解決パネル(小委員会)で解決することができます。
WTOなんてとっくにハリボテ同然ですから、よほど役にたつはずです。

同じことは中国との間にもいえることで、いままであの国とはこのような貿易の協議テーブル自体が存在しませんでした。
当初の取り決めたルールは朝令暮改。抗議すれば、権柄づくの企業と地方政府が相手ではかなう道理がなく、泣き寝入りでした。
このように二国間ではいくら被害を主張しても、まったくどうにもならなかったのですから、テーブルができただけでも前進です。

そして焦点となるのは、ASEAN諸国です。
ここを中国の草刈り場にさせないことが、日本がRCEPの公式には口に出来ない目的のひとつです。
もし日本がRCEPに加わらなかったら、中国はアジアで日本以外怖いものなしの圧倒的経済力・軍事力を背景にやりたい放題をするでしょう。
その時その標的となるのは、今や世界の成長センターとなっている東南アジアです。

よくRCEPに日本が参加することを、まるで中華共栄圏作りに強力するのかと言う人がいますが、では逆にお聞きしたいもんです。
日本が入らなかったら、RCEPはどこの国のやりたい放題になってしまうのでしょうか。
なんのためにインドを入れたり、オーストラリア、NZと組んでやっているのでしょうか。

日本がRCEPで目指したのは、わが国の個別利害というよりASEAN諸国を中国の影響下から自由にさせ、その中からベトナムのようなTPP参加国をさらに募ることです。
TPPは知的財産権保護など大変に高度な貿易ルールを持ちますが、RCEPは関税中心で未熟な多国間貿易協定です。
ただし、ACEAN諸国のように、TPPに入りきれなかった国々をすくい取ることは可能です。
この中で、いわばRCEPをお試し期間として、更に高度なTPP参加へと進化していくこともできます。

クアッドの準同盟国であるインドががんばってくれれば、RCEPで戦いやすかったのですが、仕方がない。
同じ準同盟国のオーストラリアもいることですし、中国のいいようにはさせません。


2020年11月16日 (月)

大統領選挙はディールフェーズに入ったようです

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先週土曜日に、プーチンがとんでもない暴露をするかもしれないという「期待」を書きましたが、あくまでもそれは可能性です。
プーチンがバイデン政権ひとつを吹き飛ばすに足りる地雷をもっていることはたしかでしょうが、それをどの時期に、どうやって使うかはプーチン次第だからです。
小川和久氏が述べているように、プーチンがもっているウクライナカードの選択肢はふたつあって、かならずしもトランプの肩をもって今それを使う必要はないのです。

「一つは、バイデン氏を大統領就任辞退に追い込み、トランプ氏を勝利者にするというもの、いまひとつは、水面下で「ロシアを最大の脅威」とするバイデン政権に証拠を突きつけ、米国との懸案事項(新戦略兵器削減条約の延長など)で主導権を握り続けるというものです」
(小川和久『NEWSを疑え!』第910号(2020年11月12日)

要は、トランプ次第です。トランプが撤退戦を始めたら、プーチンとしてはもう応援する意味は消滅します。
むしろ菅さんのように、「どうバイデン政権とつきあうのか」という現実的対応に切り換えるべきでしょう。

日本ならハッキリしています。
「自由で開かれたインド・太平洋地域と法の支配」(クアッド)を来年早々に開かれる日米首脳会談で言質をもぎとれるかどうかにかかっています。
バイデンは現時点では、尖閣についてもグニャグニャ、クアッドについてはなんの言及もありません。
ここを念押ししておかないと、今後4年間の日本の安全保障の基盤そのものが崩壊してしまいます。

バイデンにとって主敵はあくまでもロシアであって、中国ではありません。
バイデンは党内左派が人権、人権と騒ぎ立ててくれないほうが好都合で、中国経済が伸びれば米国経済も伸びるウィン-ウィンの関係だと捉えています。
トランプがこだわった技術剽窃や人材流出を規制するために、輸出規制管理をすれば米国経済が自分で自分の首を締めると考えています。
この考え方はバイデン特有のものではなく、米国財界・金融界などの米国メーンストリームのオーソドックスな考え方だと考えたほうが良いと思います。
ですからトランプと民主党左派は、立場は正反対ですが、米国傍流の考え方だということを認識しましょう。

一方中国にとっても、ボンペオ演説で明らかになったような全体主義対民主主義という切り口や、民主党左派のような人権擁護で攻め込まれれば、中国は一切の妥協を拒否することしかできません。
これは輸出管理規制強化や関税とは違って、中国にとって共産党独裁は交渉する余地がない次元のことだからです。

トランプは対中政策で人権に踏み込むのはためらった節があります。
ウィグルや香港については、むしろ議会民主党や共和党保守が強く批判しましたが、トランプ御大は最後まで腰が引けていました。
彼にとって、米国の利害に直結する先端技術のコピーには神経を尖らせましたが、人権のような理念的なことをやりたくはなかったのかもしれません。
しかし政権内のポンペオやペンスはそれを許さずに、どんどんと人権方向に舵を切っていったようです。

中国にとっては意外にも、トランプが経済分野での締めつけに終始してくれれば、関税などいくらでも妥協の余地があります
しかし、ポンペオや民主党左派のように中国の政治体制そのものの批判が始まったらどうにもなりません。
ですからある意味で、むしろトランプのほうが交渉可能なだけ与しやすいと考えても不思議ではないのです。

一方バイデン政権はリベラル左派が大きな力をもつはずです。
バイデンは民主党候補者選びのプロセスでは、いっこうに冴えない年寄りのロバのような存在でした。
オバマのようにスピーチは冴えない、見てくれは老人、カマラ・ハリスにはコテンパンに論破されてヘロヘロになるわと、とうに旬を過ぎた政治家と見られていたために、中盤まで5位をつけるのがやっとでした。

それが一気に候補者選びレースでウィナーとなりえたのは、ひとえにBLMデモの追い風があったからです。

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バイデンはこの空気を巧みに取り入れただけではなく、おそらくBLMと何らかの秘密協定を結んだのではないかと見られています。
その現れが、ハリスという黒人女性の党内左派を副大統領にすることでした。
もちろんこれはただの始まりにすきません。今後、BLMはジョージアの上院議会選挙でBLMが口走ってしまったように、「これだけ力貸したんだから分け前寄こせ」という論功報奨を求めて来ます。
バイデンは左寄りの中間派ですから、国内政治では党内左派を立てつつ、対中政策では人権色彩を抑えるのかもしれません。
中国がバイデンを読みかねていたのは、このようなバイデン政権のあいまいさがあり、それが祝辞の遅れにも現れたようです。

さて、トランプは後退戦に移行しています。
後退戦の意味とは、名誉ある幕引きと、次につなげる保証をなんらかの形で取り付けることです。
私は何らかの形でバイデンとのディールにかかっていると見ます。
つまり勝った負けたの次元から、どうかっこよく負けるかという引き際、そしてトランプ政権の成果の継続の保証が得られないと、トランプが側近に漏らしているという「2024年の再出馬」は夢物語となってしまうからです。
おいバイデン、交渉に応じろ、さもないとホワイトハウスに籠城すっぞ、とトランプだと言いかねません。

こういった情勢で、プーチンはウクライナ「地雷」を使うでしょうか。
たしかに、今、ジュリアーニが出しているようなスキャンダルは氷山の一角にすぎません。
中露に握られているのは、バイデンの馬鹿息子が仕出かした近親ハレンチ事件や中国との不明朗な癒着による不正蓄財などにとどまりません。
政府機関や民主党要人のスキャンダルを大量に中露に押さえられています。
問題はどのように暴露するのか、あるいはしないことで貸しを作っておくか、という判断です。

プーチンが回避したいのは、中国の代わりにロシアを主敵とするかつての冷戦構造に戻る事態です。
さらにウクライナ侵攻による経済制裁を緩めさせ、さらには新戦略兵器削減条約の延長などで主導権をにぎるつもりです。
この目的に近づくために、ウクライナ「地雷」をどこで使うか思案のしどころでしょう。
トランプのために使う義理はありませんし、そもそもトランプが負けを認めてしまってからでは遅すぎます。

ところで大統領選の結果ですが、残念ですが全体状況としては、トランプの敗北はもはや決定的です。

「米大統領選、全50州で勝者決まる 米報道
複数の米メディアは13日、大統領選で勝敗が明らかになっていなかった南部ジョージア州で民主党のバイデン前副大統領が、同ノースカロライナ州でトランプ大統領がそれぞれ勝利を確実にしたと報じた。これにより、全50州と首都ワシントンの勝者が判明した。全米538人の選挙人の過半数270人以上を争う大統領選で、バイデン氏が獲得したのは306人、トランプ氏は232人となる。7日時点で、選挙人の270人超を確保したバイデン氏の当選がすでに確実になっていた」(日経11月14日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66235710U0A111C2I00000/

まだ再集計しているジョージアが残っていますが、306対232と74人の差が開きました。これだけ開いてはいかんともしがたい。
再集計したとしても、「数千から数万票ていどの票がトランプに乗せられるだけだ」という観測もありますから、逆転はそうとうに難しいと見るべきです。

「選挙法の専門家の間では、トランプ氏の法的な訴えは、選挙結果を覆すための意図的な操作や不正というよりも、有権者や行政側による意図せぬ間違いや一般的な過ちに言及しているにすぎないとの見解が大勢だ。
不正行為は時に起こるが、通常は比較的少ない票にしか影響を及ぼさないという。 集計や誤りを巡る係争は、問題の票を無効とするか(通常は結果を覆すほどの数はない)、開票手続きを変更することで解決されることが多い。裁判所が選挙のやり直しといった異例の措置に踏み込むのは極めてまれだ」
(ウォールストリートジャーナル11月14日)

集計に不正があったとしても、結果を変えるほどにはなりえないということです。
つまりトランプはもはや正面戦では勝てないということです。
私としても不本意ですが、これが事実です。

残る可能性は、私も先週なんどか書きましたが、不正選挙を叫んで戦うことです。
これが立証されれば逆転もありえますが、法廷で判事や、弁護人の反証に耐えるだけの物的証拠と証人が必要です。
これが弱い。

不正選挙について、米政府のサイバーセンュリテー機関が否定してしまいました。

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ロイター   

「米国土安全保障省傘下のサイバーセキュリティー専門機関(CISA)がウェブサイトで声明を公表した。そのなかで「根拠のない主張や誤った主張がたくさん出ている」と指摘。「票が取り除かれたり、紛失されたり、改ざんされたり、不正アクセスを受けたりした証拠は一切ない」と結論づけた。
得票数が僅差だった州では「紙の記録が残っており、数え直すことも可能だ」と説明する一方で、11月3日の選挙は「米国の歴史上最も厳重に行われた」とも強調した。
米メディアによると、トランプ氏の主張に反する声明を出したため、CISAでは高官が相次ぎ辞任を迫られる可能性がある。12日には副長官が辞任しており、長官も近く解任される恐れがあるという」(日経11月14日 )
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66235650U0A111C2I00000/?n_cid=DSREA001
OTECT2020 RUMOR VS. REALITY
https://www.cisa.gov/rumorcontrol

SNSで大量に出た不正の証拠は、ことごとくルーマー(噂)として具体的に否定されています。

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9日、会見するトランプ陣営の法務顧問、マット・モーガン WSJ 

止めは、トランプ弁護団の一部が撤退したことです。
これがCNNやニューヨークタイムスあたりだと針小棒大かもしれませんが、保守系と言われるウォールストリートジャーナルの報道です。

「トランプ氏主張の「選挙不正」、弁護団も及び腰
ドナルド・トランプ米大統領は、今回の大統領選で不正が横行したと訴えている。だが、弁護団の一部は、トランプ氏の主張が正しいとは考えていないことを法廷の場で示している。 トランプ陣営と共和党の支持者らは、複数の激戦州で選挙結果に異議を唱えて訴訟を提起した。選挙結果の認定阻止、一部の票を無効にすることなどを求めている。だが、担当判事からの質問に対し、少なくともトランプ氏の弁護士2人は「選挙が盗まれた、もしくは不正があった」とする訴えを撤回した。
また、トランプ氏側の弁護団で、不正を示す証拠はなかったと証言した事例もあった。弁護団はまた、不正の証拠だと唱えるものをなかなか訴訟に盛り込めずにいる。判事が「認められない、もしくは信頼できない」として退けているからだ。州務長官や連邦機関、選管幹部らを代表する組織連合は12日、選挙期間中に投票システムに欠陥があったことを示す証拠はないと表明した」(WSJ 前掲)
https://jp.wsj.com/articles/SB10758813306589814436304587097014138748818

う~ん厳しい。ホワイトハウスの報道官のモデルのようなねぇちゃんが、うず高く宣誓証言を盛り上げましたが、これを判事が「認められない。信頼できない」として退けているそうです。
たとえばこういう法廷でのやりとりがあったようです。

「ペンシルベニア州モンゴメリー郡の数百票を巡って提起されている訴訟では、トランプ氏の弁護士であるジョナサン・ゴールドスタイン氏が、判事から不正が行われたと主張しているのかと追及される場面があった。
 ゴールドスタイン氏は当初、明確な回答を避けたものの、判事は「具体的な質問をしており、具体的な回答を求めている。これら592票に関して、あなたは何らかの不正があったと主張しているのか?」と詰め寄った。これに対し、同氏は「私が現在知る限り、答えはノーです」と応じた。 こうしたやり取りは、選挙で不正があったと強調するトランプ氏のPR戦略と、弁護士が実際に法廷の場で主張できることに大きな相違があることを浮き彫りにする。法廷では、弁護士が職業上の責任の範囲内で発言できる内容や、どのような証拠が認められるかについて、厳格な規定が適用される」(WSJ前掲)

やはりそうか。恐れていたとおりです。私はいまだ選挙犯罪が行われたことを疑っていますが、法廷技術的にそれを証明することは極めて至難であるというのが現実です。

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ロイター

一方トランプの天敵のニューヨークタイムスはトランプ撤退か、と書いています。

「トランプ米大統領は、バイデン前副大統領が正式に大統領選の勝者に認定された場合、2024年の次期大統領選に立候補する計画を発表すると周囲に伝えていることが明らかになった。米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。トランプ氏が一部の顧問に方針を伝えた。トランプ氏は大統領選の敗北を認めておらず、法廷闘争を継続する構えだ。複数の顧問は、法廷闘争を通じて選挙結果が変わる可能性は非常に低いとトランプ氏に伝えているという」
(日経11月14日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66235910U0A111C2000000/

書いているのがほかならぬ米国の朝日であるNYTですから願望も含まれているとしても、ウォールストリートジャーナルの報道と重ねるとさもありなんかもしれません。
私がトランプの法律アドバイザーならば、法廷では勝てない、連邦最高裁にいっても変わらないし、第一そこまでたどり着けないと進言し、なんらかの名誉ある撤退と、むしろ次への手がかりを作ったらどうか、と提案するでしょうね。

このような状況では、プーチンは「地雷」を炸裂させることはできませんから、むしろバイデン政権ができてからのゆすり、おっと失礼、秘密交渉材料に使うでしょう。

 

※まちがって最初、資料にするつもりで福島さんの記事をアップしてしまいました。すいません。

 

2020年11月15日 (日)

日曜写真館 木の橋を渡れば

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メコン河には網の目のような支流があります。

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たくさんの木の橋がかかっています。

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ベトナムはかかぁ天下だそうです。

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メコンデルタはサイゴン近郊にありながら、さいごまで落とせなかった場所です。

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たくましい女性船頭さんの背中。

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沖縄のサバニにもこんな眼ン玉があります。

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これは水上バスです。

2020年11月14日 (土)

トランプの緊急事態法宣言とプーチン

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トランプ大統領が国際緊急経済権限法等に基づき、国家緊急事態を宣言を出しました。

「トランプ米大統領は12日、中国人民解放軍を支援していると米政府が認定した中国企業31社について、2021年1月11日から米企業や個人が新規投資することを禁止する大統領令に署名した。さらに21年11月までに保有株式を売却するよう命じた。
 トランプ氏は「中国企業に軍事力強化やスパイ活動への支援を強制する中国政府の『軍民融合』政策は、米国の安全保障上の脅威だ」として、国際緊急経済権限法に基づく国家緊急事態を宣言。米国防総省が中国軍と密接に関係していると判断した中国企業への直接・間接の株式投資を禁止した。
 米メディアによると、対象の31社は、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や通信大手の中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)など。米株式市場で取引される株式も含まれ、大統領令による米投資家への影響も懸念される。米大統領選で勝利を確実にし、21年1月20日に大統領に就任予定のバイデン前副大統領の対応が注目される」(毎日11月13日)

国家緊急事態法とは、このような法律です。

安全保障外交政策経済に対する異例かつ重大な脅威に対し、非常事態宣言後、金融制裁にて、その脅威に対処する。具体的には、攻撃を企む外国の組織もしくは外国人の資産没収(米国の司法権の対象となる資産)、外国為替取引・通貨及び有価証券の輸出入の規制・禁止などである。(略)
2019年米中貿易戦争に関し、ドナルド・トランプアメリカ大統領中国の対米報復関税に対し、国際緊急経済権限法に基づき、強制的に米企業の中国撤退を求める権限があると言及したが、実際にそれを行使するかどうかは未決定」(ウィキ)

ウィキは実際に「中国に行使するかどうかは未定」と書いていますが、実施したわけです。

なぜこの「政権末期」に、というのが大方の疑問でしょう。通常は政権移行が決まると、大きな外交政策は封じます。
それは後の政権の手足を縛るのはフェアではない、という考えがあるからです。

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トランプ大統領「引き継ぎ」認めず バイデン氏 法的手段も - YouTube

しかしトランプはあえてかどうかわかりませんが、堂々とその慣例を破ったわけで、これは表面的には、ポンペオがいう「我々は第2期の政権移行を着々と進めている」ことに対応したものにみえます。
つまり、トランプは辞めるきなどさらさらない、万が一そうなっても対中政策を逆回転させない歯止めをガッチと打っておく、という意思表示です。
実際、これではイデンが仮に大統領となっても、緊急事態法解除から始めねばなりませんし、これが実施されると、米国が人民解放軍系だと名指しした中国企業31社の株式保有が禁じられ、投資が一切不可能になります。

中国制裁はバイデンとなったとしても効き続けるわけで、解除するには議会の承認を得ねばならず、1月初めには上院の趨勢が決定するでしょうから、それ次第では解除は厳しくなります。
強烈な最後屁です。もっとも最後となるかどうかはわかりませんけど。

これはトランプ外交のエッセンスとでも言うべきもので、よくその考え方が現れています。
バイデンの民主党的外交は、オバマに典型だったように「国際同盟重視」です。
これがよく働けば、日米同盟や中東の同盟諸国に対しての信義ある対応が得られますが、反面これは米国がまだ世界の盟主として安穏としていられた時期の発想なのです。

この考え方は基本的にはオーソドックスな米国外交の基本なために、米国の制服組にも支持されてきました。
たとえばマティスはこの同盟重視に基づいてトランプの中東からの離脱を批判し、トランプと決別しました。
トランプがUAEとイスラエルの国交を正常化することを急いだのは、中東に縛られている米軍を対中シフトに変換させるためでした。
このように積極的に米国が自らのイニシャチブで国際関係を再構築していこうとするのがトランプの流儀でした。

同じ発想は北朝鮮との直接会談や、更に中国への制裁にも濃厚に見られます。
これをトランプの個人プレー、あるいはただの外交の素人芸と、宮家邦彦氏ら外交専門家たちは冷笑ぎみにに見ていたわけですが、私はそうは思いませんでした。

外交専門家から「外交上手」と評されるバイデンは、中国の脅威を過小評価しています。
彼の念頭には、彼が仕えたオバマがそうであったように、ヨーロッパしかありません。
いい意味でも悪い意味でもアジアなんてどうでもいい、それがバイデンです。

オバマが就任早々ぶち上げた非核政策はただの夢想でしたが、ヨーロッパに向けられたもので、もっと絞って言えばロシアと第3次核戦力削減をしようということでした。
ところが、今、世界で最も核戦力を増強し、米露が保有しない中距離核ミサイルを唯一持っているのが、中国と北朝鮮であるという現実を見ていません。

ただし、ヨーロッパ諸国には大受けで、なにもしないうちからノーベル平和賞をゲットしてしまいました。
なにもしないでノーベル賞を貰ったのはこの人物くらいです。
私たちアジアに住む人間からは、世界はヨーロッパだけではないよ、と言うだけのことなんですがね。

とまれオバマは、南シナ海の中国侵略を放置し続け、一期めは中国ベッタリのG2路線、2期めは口先だけのアジア・ピボット(アジア回帰)を唱えましたが、あのスーザンライスというバンダハガーに妨害されてなにもしないままでした。
当時バイデンは習と5時間も「対話」する機会があったのですが、なにひとつ口にしなかったんですからそうとうなもんです。

またオバマは2014年3月から実に1週間も、夫人と子供たちを中国に旅行させています。
下の写真で習の隣で出迎えているのが夫人の彭麗媛で、有名な歌手ですが、下にも置かないおもてなしで、中国は二大国(G2)路線が定着したことを内外にアピールしました。

当時オバマはロシアとの交渉に行き詰まっていて、中国の協力が必要だったために女房子供を中国に差し出したのですが、こういうのを「人質外交」と中国では呼ぶそうです。
こんなまねを1回やったら、後は全部なめられます。
結局、このオバマの宥和政策のために、南シナ海は中国の内海と化していました。
関連記事『ウクライナ紛争その9 オバマの屈辱的人質外交』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-6fdb.html

なんのことはない、オバマはアジなんかどうでもよかったのです。
オバマは口では平和を唱えて、現実には戦争と侵略の脅威を増大させたのです。

一方、トランプは、現在の世界を中国が支配権を握ろうとする危機的状況と見ました。
中国が一帯一路や、発展途上国の要人への賄賂攻勢で陥落させてアフリカ50票を得ている現状に、強い危機感を抱きました。
このようなやり方で中国は国際機関の多くを、WHOのように掌中に収めていて、国際枠組みの中での主導権を握っているじゃないか、これがトランプの怒りです。
アフリカの崩壊国家も、南太平洋の小島も米国と同じ1票をもっているような国際機関から離脱して、米国が中心となって自前の国際的枠組みを作り直そう、というのがトランプの主張でした。

一方バイデンはまたぞろオバマ時代に逆戻りしようとするでしょう。
かつてのオバマが挫折した「核なき世界」ファンタジーから、ゴアが宣教師をしている地球温暖化ドリームへと演目を替えをしただけのことです。
もし本気で地球温暖化を阻止したいのなら、世界の3分の1の炭酸ガスを放出している中国の首根っこを押えねばならないでしょうし、それは口先だけでどうにかなるものではないはずです。

ところが、バイデンは環境利権に深く捕らわれていますから、「対話」と排出権交渉でそれをしようとするでしょう。
結果、肥え太るのは環境利権集団と中国だけで、現状はなにひとつ変わりません。
中国は排出ガスの権利を売るだけでパリ協定の枠内に収まり続けられますから、ただのペーパー上だけのことで、現実の炭酸ガスはいささかも減らないのです。

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さて、中露がバイデンに祝辞を送ったのが遅いということが話題になっていましたが、中国はともかくロシアの沈黙は興味深いものがあります。
というのは今回、トランプ陣営の見えない応援団にロシアがいたのではないか、という噂が絶えないからです。

次々に出てくるウクライナ疑惑の出所は、ロシアだとするものです。
というのは、バイデンが副大統領時代にウクライナに深入りしたのは、当時のウクライナがロシア支配圏から離脱し、親欧米路線に切り換えたからです。

「2015年、オバマ政権の副大統領だったバイデン氏は検察の腐敗などが問題になっていたウクライナについて、ポロシェンコ大統領にショーキン検事総長の解任を求め、実現させます。親欧米路線のポロシェンコ政権を支援していた米国として、腐敗を一掃する必要があるというのが名目でした。
一方、ハンター氏は当時、ウクライナのガス会社の役員を務めており、この会社が検察の捜査の対象となっていたのに対して、バイデン氏は息子を守るために検事総長を解任させたのではないかというのが、ウクライナ疑惑です」
(小川和久『NEWSを疑え!』第910号(2020年11月12日号)

当時の米国は、ウクライナをロシアから引き剥がすための裏工作をしまくっており、その尖兵が息子まで関わったバイデン副大統領でした。
クリミア半島を掌中に取り戻し、今もなおウクライナ東部を支配し続けるロシアは、ウクライナ全土に情報網を張りめぐらしています。
バイデンの動きは筒抜けであって、プーチンはバイデン親子の動きを極めて不愉快に思っていたはずです。

このバイデンがなんと大統領になってしまうにあたって、プーチンは二つの手をうったのではないか、というのが小川氏の見方です。

「ウクライナ東部を事実上の併合状態に置き、ウクライナ全体に情報網を張り巡らせているロシアです。ハンター氏の疑惑についても、何か掴んでいる可能性はあると見たほうがよいでしょう。
動かぬ証拠を握った場合、ロシアの選択肢は二つあります。
一つは、バイデン氏を大統領就任辞退に追い込み、トランプ氏を勝利者にするというもの、いまひとつは、水面下で「ロシアを最大の脅威」とするバイデン政権に証拠を突きつけ、米国との懸案事項(新戦略兵器削減条約の延長など)で主導権を握り続けるというものです」(小川前掲)

私はありえると思っています。
トランプはプーチンと懇意です。タイプが似ているために相性がいいだけではなく、中国のこれ以上の膨張を止めるという一点で、ロシアと米国は裏で連合が組めるとすら思っています。
ですから、表面的にはロシアを脅威として扱いながら、実は陰に日向に手を結んできました。
典型的なのはINF条約からの米国の離脱です。
表面的には、プーチン怒って見せましたが、実際は条約の枠外であることをいいことにひとり中距離弾道ミサイルを増強し続ける中国をなんとかせねばならないと思っているのは同じだったのです。

これがオーソドックスな国際同盟重視派の勘に触りました。ロシアは敵であり続けなければならないのにこの裏切り者め、という感情がトランプのロシアンゲート事件の底流にはあります。

プーチンが密かに大量のウライナ疑惑の証拠資料をトランプ陣営に手渡したことはありえる想像です。
それがないとしても、自ら暴露することは可能です。
プーチンはそのバイデン疑惑の爆弾の破裂させるやり方と機会をにらんでいるからこそ、表だってバイデンに祝辞なんぞ送らなかったのです。

 

 

2020年11月13日 (金)

確かにまだ終わっていない

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真偽は分かりかねますが、日本のどこぞのテレビ局では、「バイデンさんの疑惑なんか見ると、ちょっとねぇ」と言った女性キャスターが降板させられたのだとか。
局は否定していますが、こういう暗黙の「バイデンが勝ったんだ。勝ったことに文句つけんじゃねぇ。そんな奴は追放してやる」みたいな空気が支配しています。

今、バイデンがしていることは、ひたすら既成事実を積み重ねることで、「バイデン大統領」を内外に印象づけることです。
そもそもバイデンは開票途中から勝利に向かっているといった勝利宣言もどきを行っており、対抗上トランプもやらざるを得なかっただけなんですが(グラバンは余計でした)、先にやったバイデンの時にはなにも言わずに、トランプが同じことを遅れてやるともう非難ゴーゴーです。
そのうえにバイデンははしたなくも、各国首脳との電話会談に忙しいふりをしているらしいですが、ちょっとあんた、まだ次期大統領だと決まっていないんですがね。

こういう既成事実を積み重ねていくやり方は、南シナ海での中国のサラミサライシングを思わせて、いやーな気分にさせられます。
バイデンは気がつけばまるで就任前から無冠の大統領然としてふるまっており、現職大統領のほうがマンガのように見えてしまいます。

なんども書いていますが、米国大統領選挙は相手が参りました、と言わない限り終わりません。
1カ月粘った民主党のゴアですら、最後には敗北を認めて終了しましたが、メディアはむしろゴア頑張れと言った調子で、今回、トランプが同様に敗北を認めないとなると、まるで狂人扱いです。
初めから偏りぱなして、最後まで偏ったまま終わりたいようです。

順当なら12月8日に選挙人が決まり、14日に投票、1月6日に開票の運びです。
ゴアがギブップしたのはこの選挙人投票日の12月8日となってしまったからですが、現状でトランプは4ツの訴訟を準備し、ひとつは実際に提訴されています。
裁判となった場合、再集計ていどの申し立てなら簡単に結審するでしょうが、ミシガンの大量偽造票などで証人が出るようですから、まず12月14日の投票日は無理です。
出来なくなると大統領選出日程が崩れます。その場合、合衆国憲法修正12条の規定に基づいて、来年1月3日招集の議会で、議会が正副大統領を決めることになります。

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大紀元

私は大統領の行方以上にこの上院と下院の議会選挙のほうを注目しています。
大統領選挙がらみでいえば、投票はひとつの州に1票です。これは選挙人数とは無関係ですので、間違わないでください。
今回、選挙人でバイデンが多く見えるのは、カリフォルニアとニューヨークで勝ったからで、これと同じことが議会選挙にも当てはまります。
11日時点で州ごとの多数党と、全体の議席数が食い違います。

・下院全435議席中の勢力分布・・・民主党218、共和党201
・下院の州ごとの分布                   共和党26州・民主党20州・同数4州

このように州ごとにみれば、一見劣勢な下院ですら6州も共和が民主を押えています。
これは大票田の都市部カリフォルニア州が37人、ニューヨーク州が13人も共和党を上回っているという票の偏在にあります。
したがって、合衆国憲法修正12条のとおり1州につき1票を与えれば、6票差でトランプが勝つことになります。

ちなみに副大統領を決める上院での勢力分布は

・上院の勢力分布・・・共和党20人・非改選29人 計49議席
・                            民主党13人・非改選35人 計48議席

このように競り合っているためこの勝敗の行方が共和が勝つか民主が勝つかで、大統領指名だけではなく、バイデン政権がどのようになるのかも8割方占えてしまいます。
上院を共和党が押えれば、バイデンは身動きがとれなくなります。
いくらトランプがやったことをバイデンが覆そうにもことごとく議会で反対され、できるのは地球温暖化対策やWHO、ユネスコなどの復帰などといったような毒にも薬にもならないことだけになりかねません。

たぶん真っ先にやるのは、パリ協定復帰と地球温暖化対策でしょう。

その裏側を知らなければ、「地球にやさしい民主党」そのものの政策で、いっけん見栄えがいい政策ですから、カリフォルニアやニューヨークの支持層からは拍手喝采を浴びることでしょう。
なんせ選挙前から2兆ドル(200兆円、ひぇー)出すと言っていますからね。

「11月の米大統領選の民主党候補指名が事実上確定したバイデン前副大統領は14日、地球温暖化対策とインフラ投資に4年間で2兆ドル(約214兆円)を投じる政策を発表した。2035年までに電力部門からの温室効果ガス排出量をゼロに抑えるほか、交通網などのインフラ刷新や電気自動車の普及促進を掲げた。環境保護を重視する民主党リベラル派の主張を取り入れ、党内の支持基盤を固める狙い」(毎日7月15日)
https://mainichi.jp/articles/20200715/k00/00m/030/079000c

バイデン応援団には、この2兆ドルをせしめようと有象無象の環境利権企業がたむろしています。
いったいどれだけのカネが、バイデンに渡ったのやら。
環境問題というと、日本人はクリーンなイメージを持ちがちですが、なんのあそこは利権の巣窟です。
まえにも書きましたが、COPで小泉ジュニアの横にいた女性はクリスティーナ・フィグレスという環境運動家です。
※関連記事『小泉ジュニア、低炭素火力の輸出を規制』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-6d822b.html

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このフィグレスは有力な環境マフィアで、国連気候変動枠組み条約前事務局長という立場で、国連支援ビジネスに対して1%を再エネやグリーン投資に回すように勧告しています。
この金額だけで実に79兆円。
しかもフィゲレスは、自分自身「ミッション2020イニシャチブ」という民間営利団体もやっていて、排出権ビジネスにも関わっています。
実はその団体がやっていることのひとつは炭素排出権売買です。
排出権ビジネスとは、炭素の排出が少ない企業が、多く排出している企業に余った排出権枠を売り、その仲介コミッションを取る商売のことで、巨額なカネが動いており、売り買いする市場もあるほどです。

彼ら環境マフィアの一角には投資家もついており、巨大な利権構造を作っていました。
こういった環境マフィアにとって、パリ協定から離脱したトランプは不倶戴天の敵、なんとしてでも民主党に勝ってもらわねばならなかったのです。

一方、トランプとしてはなにがなんでも裁判に勝って、なんとしでも議会決着に持ち込まねばなりません
この議会選挙でも謎の民主投票激増事案が報告されています。
出たのは、またもやミシガン州です。ここの州は不正な集計ソフトを使っていたのではないかという疑惑がもたれています。
日本では完全にスルーされているのでご紹介しておきます。

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fox 右がジョン・ジェームス氏

同州連邦上院議員選挙で敗れた共和党のジョン・ジェームズ上院候補Senate candidate John James:氏 右 は、選挙管理関係者が「不正行為を働き、有権者を抑圧し、選挙に干渉した」と告発し、敗北を認めていない。ミシガン州の選挙監視員は、「民主党が選挙結果を盗もうとしている」と指摘した。
現地、ジェームズ陣営のコンサルタントを務めたスチュアート・サンドラー氏は、フォックス・ニュースに対し、「今回の選挙では多くの不正があったことを懸念している。ジェームス氏が決定的な勝利を収めようとしていた時に、突然真夜中に大量の怪しい票が入ってきた」と明らかにした。
サンドラー氏はさらに、「夜中の3時半に突然3万5000もの疑わしい票が集計された“There were all kinds of chicanery, including ballots that came in reportedly in the middle of the night at 3:30 a.m. – 35,000 ballots that were deceptively brought in.という報告も含め、今回の選挙ではあらゆる種類の不正行為が行われていたと同時に、多くの規則違反や誠実さに欠ける行為もあった。彼らは、開票の公平性を疑問視するフタッフの立ち入りを禁じ、食べ物や水を与えず、食べ物や水を買いに外出した者の再入場を許さなかった。また、開票作業は、様々な理由で中断された」と指摘した」(FOX11月5日)
https://www.fox2detroit.com/news/john-james-refuses-to-concede-defeat-against-senator-gary-peters

さて、この議会による決定まで持っていくことが可能かどうかですが、フィフティフィフティだと私は見ます。
というのは、高橋洋一氏が例によって冷やかに言っているのですが、米国の裁判は巨額のカネがかかります。
4つ起こした裁判の費用は、公費で賄うわけにはいきませんから、当然トランプの自腹です。
バイデン側が腕効きの弁護団をだしてくるのはわかりきっていますから、対抗上トランプ側も同じことをせねばならなくなり、巨額な資金が必要です。

選挙戦も、よく想像されるようなトランプ派手、バイデン質素というイメージとは違って、バイデンは選挙費用をトランプの数倍惜しげもなくバラまいていました。
バイデンにはさきほど述べたように、米国財界や金融界、またジョージ・ソロスのような投資家、環境マフィアなどが資金を提供しているといわれています。
一方トランプは富豪という触れ込みでしたが、今回のコロナ禍で家業のホテルやゴルフ場が大打撃を受けており、お手許不如意ですから、この複数の訴訟費用が捻出できるかどうかが不透明です。
なんのことはない、既得権者総掛かりの応援をもらって金満なバイデン、裸一貫のトランプというわけです。

というわけで、私はこの選挙犯罪を暴くためにもトランプが最後まで粘りに粘ることを期待していますが、どうなるかはトランプの財布次第です。

 

 

2020年11月12日 (木)

米国民8割をめぐる正反対な二つの世論調査

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私はこの米国大統領選の問題は、いまやトランプが再集計したら勝ったの勝たないの、という次元の問題から別な次元にシフトしつつあるようなきがします。
それは民主主義の根幹である選挙が、公正に実施されなかったという疑惑です。
トランプだ、いやバイデンだという次元を離れて、どちらのサイドにとっても大事なはずです。
米国大統領選が世界一厳しい耐久レースだといわれるのは、民主党なら20数人の候補者から全国を巡りながらやる公開討論を勝ち抜いて、さらに現職大統領と直接対決するというストーリーがあるからです。

このプロセスはまさに「選別」で、極端な両極端の候補者は振るい落とされることになっています。
ですからトランプのようなアクが強い既得権益破壊者が登場するのは、極めて稀です。
民主党なら社会主義者を自認するバーニー・サンダースは消え、バイデンをコテンパンに論破してしまったカマラ・ハリスは嫌われつつも、副大統領候補で生き残りました。
バイデンは歳からいっても次の再選はないから、カマラよ、次はお前だという含みです。
そうなった場合、この米国版辻本は民主党を更に左旋回させることになるかもしれません。

それもこれもバイデンが「ただ勝てばいい」ではなく、「正しく勝つ」ことが大事なのです。
さもないと、どこまでもこの選挙疑惑はついてまわります。
なにをやっても、なにをしゃべろうと、どこの外国要人と会談をしようと、常にお前は偽造された得票によって勝ったくせに、という汚名がつきまといます。
大統領という地位がひときわ輝いて見えるのは、その人格故ではなくそのホジションが故です。
大統領とは、米国民が民主的手続きに則って選んだ現代の「皇帝」ですから、玉座の床がベットリと汚れていたら、だれがこの人物に皇帝として敬意を表するでしょうか。

残念ですが、米国大統領選に大規模な不正があったことは、いまや疑う余地はありません。
それもよくある地方選挙のような飲食を伴う接待、うちわを配った、はした金の買収、なんて可愛いものではなく、きわめて大規模、かつ巧妙に仕組まれたバイデン票の偽造です。
そしてその背後に見え隠れするのは、他ならぬ中国です。

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大紀元

さて昨日、大統領選挙に噛みついてきた大紀元は、こんな記事を配信していました。ユーチューブでも報じていたサイトがありましたね。

「3日投開票の米大統領選は当選が決まらない異例の展開となった。最新の世論調査によれば、大多数の米国人は、早期に結果を発表することよりも、すべての合法な投票が正確に集計されることのほうが重要だと考えている。
この調査は米政治専門誌「ザ・ヒル」と調査会社ハリスX(Hill-HarrisX)が共同で実施した。調査時期は11月2~4日、対象者は全米の有権者2897人。誤差率はプラスマイナス1.82ポイント。
それによると、登録有権者の85%が、すべての合法な投票が正確に集計されるべきだと答えた。​それに比べて、選挙結果ができるだけ早く確定すべきだと考えている人は15%にとどまった。
党派別でみると、共和党支持者の78%、民主党支持者の90%、無党派の86%が、合法な票を正確に集計することに賛同している。つまり、米国民が党派を超えて、圧倒的多数のコンセンサスを得たことが判明した。
一方、78%の有権者は、すべての集計が終わる前に勝利を宣言するのは不適切だとしている」(大紀元11月11日)

調査したのはハリスXという会社ですが、リアルクリアポリティックスが懺悔の代わりにやってみればよかったのに思いますが、残念。
それはともかく調査人数は2800人ですから、テレビのそこらを歩く人に聞きましたなんてものとは違って本格的な調査です。
すると85%が「すべての合法的投票は正確に集計されるべきで」78%は「正しい集計が終わるまで勝利宣言するのは不適切だ」と答えています。

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このような選挙民の声を背景にして゛連邦選挙管理委員会委員長もこのように述べたそうです。

「トレイ・トレイナー(Trey Trainor)委員長は6日、Newsmax TVの番組で、「選挙の不正行為は、集計作業が終わっていない州で不正が発生していると確信している」と述べ、「法律が守られていなければ、今回の選挙は違法だ」「トランプ陣営が起こした訴訟は非常に有効な主張(very valid allegations)である」と強調した。
トランプ大統領の個人弁護士で、元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏は7日、記者会見で大統領選挙の不正投票をめぐって、「少なくとも60万票に問題がある。トランプ大統領は諦めない」とし、トランプ陣営が法的措置を取る意向を表明した」(大紀元前掲)

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「連邦選挙管理委員会の委員長を務めるトレイ・トレイナーは、ペンシルバニア州で見てきたこと、そして彼が国の他の場所から得ているレポートから、この選挙は違法であると個人的に確信しています。
彼はリベラル系のニュースメディアに爆弾を投下しました。彼はNewsmaxに出演した際に、「これらの場所では有権者の不正が行われていると信じている」と発表しました。 
選挙から丸6日経っても、いくつかの州ではまだ投票用紙の集計が行われていますが、それは正常なことではありません。土壇場での不正投票がどこから来たのか 疑問の声が上がっています。
オブザーバーが投票所への立ち入りを 拒否される正当な理由は全くありません 事実上の違法性があると判断されます 」
(
Thegoptimes.com/ 20/11/9 マーク・メガハンwww.DeepL.com/Translator)

 一方反トランプ色が強いニューズウィークはこのような記事を乗せています。

「ロイター/イプソスの世論調査によると、米大統領選を巡り米国民の8割近くがバイデン氏が当選したと認識していることが分かった。調査対象となった共和党員の約6割、民主党員のほぼ全員がバイデン氏の勝利を認めている。
7日午後から10日までに実施した調査によると、米国の成人の79%がバイデン氏が当選したと認識しているとし、13%はまだ勝敗は決定していないと回答。トランプ氏が勝利したと答えたのは3%、分からないは5%だった。
7日に各メディアがバイデン氏の当確を報じる前の回答も含めた6─10日実施の調査によると、米国人の7割は地元の選挙当局が誠実に職務を行っており信頼していると答えた。また、全体の72%は、敗者は敗北を認めるべきだと回答したほか、来年1月に政権移行が平和的に行われるとの回答の割合は6割だった」(ニューズウィーク11月11日上写真も)

これによれば、米国民の8割がバイデン勝利と認識し、勝敗は決していないが13%、選挙は公正だったというのが70%だったそうです。
おいおい、大紀元とまったく違う調査結果じゃないですか。
その原因は世論調査の聞き方の違いにあります。

まずハリスXは、たぶん「得票はすべて合法的に集計されるべきか?」という聞き方をしています。
こういう聞き方をされれば、とうぜん「合法的に集計されるべきだ」と答えるでしょう。
「いやオレは正しかろうとインチキをやっていようといまいと、勝てば官軍だ」なんて答えるバカはいません。

それ対してロイターは、たぶん「バイデンが勝利したと思うか?」という聞き方をしたのでしょう。
こう聞かれれば、多くの米国民はイエスと答えるでしょう。
私ですらこう聞かれれば、「バイデンが勝ったかもしれませんが、勝ち方が問題です。メディアの偏った応援を受けたうえに、大規模な不正が指摘されているようでは真の勝者とはいえません。それがわかるまで勝利宣言を出すべきではありません」と答えるでしょうから。

つまり問題となるのはどちらが勝った負けたではなく、その「勝ち方」なのです。
ニューウィークかいうようにバイデンがただ勝っただけでは、不正がなかったことの証明にはまったくならないということです。
さらに「州選挙管理委員会が誠実に仕事をしていたと思うか」と問われれば、そりゃ不正を働いていたに違いないとは答えませんよ。

すると同時期の米国世論調査にもかかわらず、トランプ支持媒体が報じると8割が「合法的な得票で集計すべきだ」、だから再集計すべきだという持論に持ち込みます。
逆に反トランプ媒体が報じると、「8割がバイデン勝利を信じている」、そして「7割が州選挙管理当局は誠実に仕事をしているから」再集計の必要はない、という真逆な結論になります。

今後いろいろな世論調査がでてくるでしょうか、見たいものを見ないようにしましょう。

いずれにせよ、もう隠しきれないまで疑惑は蓄積してきています。
トランプが勝った負けたというレベルからいったん離れて、経過を注目しましょう。

また米国政治の焦点は上院をどちらが征するかに注がれています。
共和党が上院で共和党が2議席目を確保し、民主党が落とした場合、バイデンは早くもレームダック化します。
現時点はジョージア州での決選投票となっていますが、上院を民主が征せなかった場合 内閣人事から始まって、対中融和策をしたくてもことごとく議会に拒否されることでしょう。

また下院は民主党が征したものの僅差であって、左派のナンシー・ペロシが今の地位にいるのは困難との見方もでています。
今回の大統領選で、民主は20人以上の候補が乱立したように、左右の対立が激化しているそうです。

今の民主党は、少数のリベラル左派とその他の穏健保守、そして一部のネオコンが混在している状態です。
仮に上院で敗北が決まった場合、バイデンははじめから公約がなにひとつ果たせないために、この下院の左右対立はいっそう激化するでしょう。
かつての日本の民主党政権をみればわかるように、権力から遠い野党でいるうちは政治理念の差がみえにくいのですが、いったん権力をとるとその実現に向けて各派が一斉に走り出しますから、断絶と対立は深まるものなのです。

このように見ると、結局、バイデンが政権を握っても当たり障りのない劣化したオバマの再現となりそうなきがします。
ですから、できるとしても地球温暖化やNATO、WHOとの手打ちていどのことです。
むしろ「その次」を民主党左派に渡さないためにも、今、上院を共和で押さえておく必要があるのです。

 

 

2020年11月11日 (水)

バイデンとトランプの国際協調の本質的違いとは

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バイデンは、「外交上手」で、国際協調主義だそうです。
だからクアッドを推進することを誓っているはずの菅氏とも相性がいいし、対中融和姿勢のEU諸国ともうまくいくということだそうです。
わきゃないだろうって。

たしかにトランプ政権の始まりは鮮烈に「アリメカ・ファースト」を打ち出し、日米同盟すら銭勘定の秤にかけると言っていましたから、同盟国はたまげました。
無知なのか、蛮勇なのか、はたまたただの素人なのかってね。
しかし結局、トランプは徐々に「大人になって」、日米同盟にイチャモンをつけたい場合でも駐留経費増額ていどのことに納まりつつありました。
まぁ世情、安倍さんという猛獣使いに飼い馴らされたからだそうです。

それ以上にトランプはいわば野生の勘みたいなものがあって、中国の危険性をいち早く理解し、脅威のプライオリティ(優先順位)をレッドアラートに入れました。
最後まで中国を脅威と認識していなかったオバマとはえらい違いです。

そして誰よりも、安倍氏が提唱した「開かれた自由な太平洋・インド洋」構想を理解しました。
理解すれはトランプは早い。
たちまち日米同盟を基盤としたオーストラリア・インドまでウィングを拡げた4カ国の同盟関係が作られて行きました。
トランプはその意味で、国際協調主義者でした。

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バイデン氏勝利:米大統領選を振り返る - WSJ

いや違うという意見もあります。国際政治学者の六辻彰二氏はこのように述べています。
中国に対抗できるのはトランプだけ」の勘違い――バイデンの戦略とは ...

六辻氏は、「トランプ外交には派手さと剛腕ぶりがあったが、そうであるがゆえに穴も大きかった」としたうえで、米国が突出して中国と対決したことによって、「結果的に中国の行動範囲を広げることになった」としています。
ですから、むしろバイデンは「こうした穴を埋める形で、国際的な中国包囲網を形成していくとみられる」そうです。

「トランプ外交の最大の特徴は、第二次世界大戦後のアメリカの基本方針「超大国であること」を放棄したことにある。自由貿易をはじめアメリカ自身が生み出したルールや秩序をトランプが拒絶したことは、「超大国としての立場も降りる」と宣言したに等しい
しかし、相手を選ばず、一方的な要求を繰り返したことは、結果的に(中国ではなく)アメリカを孤立しがちにした。
これと逆に中国は、むしろ活動範囲を広げてきた。トランプがコロナ対策への不満から世界保健機関(WHO)脱退を宣言し、アメリカの利益が反映されていないと世界貿易機関(WTO)からの脱退をも示唆したことは、これらにおける中国の影響力を増す効果しかなかったといえる」
(六辻前掲 太字原文)

六辻氏が言う、トランプが性急に国際機関から脱退をしたことについての批判はそのとおりです。
まったくトランプのイラチにはがっかりさせられました。
腹が煮えくり返ろうとあそこは我慢すべきで、それをやめてしまえば中国に不戦勝を与えるだけのことなのに、どうしてこんな簡単なことに気がつかないのか、かえってそのほうが不思議なくらいです。
第2WHOにしても現時点では空論で、それをするだけの力は今の米国にはありません。それをさっさと捨て台詞を残してやめてしまう。
子供ですか、あんたは、と当時私も思ったもんです。

結局、アジア・アフリカの大部分を一帯一路で押えてしまった中国が、塵も積もれば山となるよろしく大多数を集めて、事務局長の座を握ることになりました。
中国は今や国連の多くの枢要な機関を独占し、支配を拡げています。
※関連記事
『国連が世界の市民監視機関となる日』http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-1d70dc.html
『国連を支配し尽くした中国』http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-6b4cfd.html

あげく
香港国安法という人権圧殺法に対しての中国非難決議は、あろうことか国連人権理事会において中国称賛案として可決されてしまいました。

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非難決議賛成国が青、反対国が赤です。赤の国々がいかに多いいか、トランプは噛みしめるべきでした。
これが世界の現実である以上、脱退を安易に繰り返すトランプの手法は、かえって中国にとって有利に働いたというのも一面の事実です。

では一方、バイデンが六辻氏が言うように、「トランプの穴を埋めて、いっそう強力な対中包囲網を作る」かといえば、そうはならないでしょう。
なぜならバイデンの国際協調主義はトランプのそれとは真逆だからです。
トランプの国際協調主義は、何と戦うのか鮮明にしたうえで行動を行います。
自由主義と民主主義の敵、法と秩序に対しての敵、これらに対して国際協調体制を作ろうとしました。
トランプが「アメリカファースト」という意味は、米国の自由と民主主義を守ることを通して、自由主義陣営共通の価値を守ろうという意味で、単純な自国さえよければいいという意味ではないのです。
初期の選挙戦ではその色彩が濃厚でしたが、徐々にもっと広い視野を持つようになってきています。

六辻氏は、中国との自由主義貿易に規制をかけたことで世界の盟主を辞めたことだと批判しますが、私はそうは思いません。
中国がいかに自由主義貿易を隠れ蓑にして、先進国各国からの技術を盗んだかを六辻氏はあえて視野からはずしています。
ですから中国の技術の盗用を止めさせるためには、厳しい法的規制が必要なことを見逃しています。

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バイデンの疑惑」を米国の大手メディアが追求しない理由 | Forbes ...

方やバイデンがいう国際協調は、目的そのものが欠落しています。
肝心要のなんのために米国が国際的なつながりを作っていくのか、という点が不明なのです。
別の言い方をすれば、宥和主義です。

当時中国特派員だった中国ウォッチャーの矢板氏はこのような光景を眼前で目撃したそうです。

「2013年12月、バイデン米副大統領(当時)が中国を訪問したとき、北京特派員として取材したことをいまでも鮮明に覚えている。同年春に国家主席に就任したばかりの習近平氏と約5時間も話し合った後、笑顔で臨んだ記者会見では「協力」「対話」といった言葉を繰り返し、具体的な中身がなかったことが印象的だった。
当時、日本メディアの大きな関心事は2つあった。1つはその約2週間前、中国が突然発表した東シナ海への防空識別圏(ADIZ)設定に対する米国の対応だ。ADIZは尖閣諸島(沖縄県石垣市)の上空を含んでおり、日本への挑発行為であることは明らかだった。当時の安倍晋三政権はすぐに中国に抗議し、ADIZの撤回を求めた。
バイデン氏は中国訪問に先立ち、東京で安倍氏と会談し、ADIZについて中国に対する共闘を求められた。しかし、習氏との会談でバイデン氏は懸念の表明にとどめ、撤回までは求めなかった。その後の記者会見ではADIZについて言及すらしなかった 」(産経2020年11月10日)

この段階なら、まだ中国の南シナ海侵略は止められたのです。
それを領土化した今では、実力行使しかやりようがないではありませんか。
オバマやバイデンが好んで口にする「対話」とは、ただ侵略国に既成事実化の時間を与えることにすぎないのです。

また、当時不当に拘束されていた米国人についても、5時間もしゃべってひとことの言及もなかったそうです。
自国民保護についてもこのザマです。
ましてや友邦の拉致被害者や香港市民のためにひと肌脱ごうなんて気持ちは、この男にはさらさらないはずです。
これが上院外交委員会の委員長をつとめ、自ら「外交通」を自認する人物の考える「外交」です。

ある国が、国際海洋条約を守らずに南シナ海を支配しようと、東シナ海にも五星紅旗をたてようと目論んでいようと、インド領を浸食しようとしようと、中国大陸唯一の自由の灯火だった香港を暴力でねじ伏せようと、はたまたウィグル民族を強制収容所に送り込もう、いいじゃないか人類皆兄弟、しっかり協調し「対話」していきましょうね、というのが宥和主義です。

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AFP

そりゃいちおう自由主義陣営の指導者としては、口ではぶつぶつ言いますが、優柔不断、薄志弱行。
言うだけでなにもしない。だってバイデンにすれば、中国だって国際社会の重要なパートナーですからね。
もめないことが一番だと思っていますから、実効性のある関税や輸出規制管理のような「刃物」は持ち出しません。
あくまでも紳士的に、国連学級委員会で非難するていどで済ませようとします。

現実には、トランプによって輸出規制緩和されたハインテク部品はまた元通り中国へと流入し、5Gで排除されかかったファーウェイも息を吹き返します。
正直言って、対中制裁によって困っていた米国財界や日本の経団連のお歴々は、バイデンが勝利したと聞いて祝杯を上げたことでしょう。

彼ら巨大企業の多くは、とっくに米国に本籍があるだけの多国籍企業となっていますから、トランプに価値観外交をやられれば中国市場から撤退せざるをえなくなって、大損をこくからです。
今回、バイデンを勝たせた勢力は、米国左翼リベラルだけではなく、むしろこの米国財界・金融界といった既得権益者たちだったのです。

だから、ハンターバイデンのテンコ盛りの疑惑の山も、彼らは見えないふりをしました。
その結果、バイデンは巨大な地雷を懐に呑んだまま政権運営をせねばならなくなりました。
だって、バイデンほど、中国に弱みを握られた政権はありませんからね。

福島香織氏はこう書いています。

「共産党政権サイドは、バイデン陣営の少なくとも1500人の政治家、官僚、支持者らの個人情報(档案)を握っているといわれています。その中にはグウィネス・パルトロウやコールドクラブのクリス・マーティンのような芸能人や元FBI長官のルイス・フリーのような人物も含まれているとか。
そして、その個人情報には、社会保障番号がやクレジットカード、銀行口座のアカウント、人間関係や嗜好、志向(不倫だとか、薬物だとか、売春記録だとか、同性愛者かどうか、とかも?)などが档案として整理されている、らしい?
バイデン自身のスキャンダルに関しては、すでに失脚、逮捕ずみの企業家、葉簡明(華信能源の創始者)との利益供与、癒着がすでに報じられていると思いますが、これはかつてリベラル大手紙NYTなども報じていますし、葉簡明自身が汚職(?)で捕まり、華信能源は破産させられてますから、概要としては事実であろうとおもわれます」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.201  2020年11月3日)

その他、福島氏によれば裏がとれないバイデンファミリーと中国との癒着の数々があるようですが、今日はひとまずここまでとします。



 

2020年11月10日 (火)

フェーク選挙で大統領を決めていいのですか

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さてさて、日本のメディアにはバイデンに当確が出たときに飛び上がって喜んだ者がいたとか。
毎度のことながら、どうしようもない連中です。
バイデンは「当確」かもしれないが(それすらそうとうに怪しいもんですが)、「当選」したわけではありません。

いいでしょうか、米国は勝者が当確を打たれてもダメ。負けた方が負けを認めて初めて「当選」となるのです。
2000年、ブシュジュニアとゴアが争った大統領選では、フロリダの得票についてゴアが執拗に異議申し立てを言い募りました。
結果、決着まで実に1カ月を要していおり、1月20日寸前までもつれ込みました。

あのCNNさえ、こう伝えています。

「最初の開票結果は、1784票という僅差でブッシュ氏の勝利でしたが、投票総数の0.5%以下だったため、州の規定により、機械による再集計が行われました。
しかし、それでもブッシュ氏の優勢が変わらなかったため、ゴア陣営は手作業による集計を要求しました。
これに対し、ブッシュ陣営は差し止めを請求しましたが、棄却されました。最終的には537票差でブッシュ氏が勝利しましたが、それでもゴア陣営は矛をおさめませんでした。
ゴア陣営は、票の数え直しなどを求める緊急申し立てを、日本の地裁にあたる州の裁判所に行いました。
一方、ブッシュ陣営は、ゴア陣営の申し立ての棄却を訴えるなど、泥沼の訴訟合戦に突入。最後は、国の最高裁が判決を州の最高裁に差し戻し、開票の権限は州にあるとの原則を保った形となりました」(CNN11月5日)

今回、トランプはかつての民主党と一緒のことをしているのに、証拠ひとつないのに狂騒する異常者呼ばわりです。
ただ注意せねばならないことは、今回はブッシュとゴアのケースとは違って僅差が問題ではないことです。
問題の質が異なっています。
僅差であるから再集計しろではなく、おおっぴらに「選挙犯罪」が全国規模で行われたことこそが問題なのです。

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ですからトランプとしては、十数万票のオーダーで偽造された投票用紙にすり替えられた、という点を立証せねばなりません。
日本のメディア風にいうなら、モリカケよろしく疑惑をかけられたバイデンのほうが潔白証明をせねばならないのですが、国際常識ではトランプのほうに立証責任があります。日本メディア流なら楽勝だったね、トランプさん。

現時点では、法廷に提出するような証拠・証人は開示しないのでなにが出てくるかわかりませんが、ジュリアーニはペンシルベニアでの不正の証拠を握っているといっていますから、どうなりますか。
法廷での訴訟に耐える一つの固い証拠、辣腕のバイデン側弁護人に抗するだけのしっかりした証人が欲しいところです。
できるなら「中国の長い手」を裏付ける証拠があれば・・・。

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さて今回の最大の敗者はメディアです。
いままでこれ以上汚い罵り言葉を浴びせられた大統領はいなかったような気がするほどディスられ続け、まるで人種差別主義者、時代遅れのマッチョ主義者、果ては黒人を警官に殺させた張本人扱いでした。
この報道の下地があるところに、選挙戦が始まると露骨なまでにバイデンを支持に加担し、ハンターバイデンをめぐる多くの疑惑について一切「報道しない自由」を貫いただけてはなく、その拡散をSNSにおいてすら封じようとしました。
もしまともにハンターバイデンの疑惑をメディアが報じていたなら、まったく選挙の様相は異なっていたことでしょう。

そして選挙前から世論調査会社のバイデン圧勝予測を毎日飽きることなく刷り込みました。
これについてウォールストリートジャナルが疑義を呈しています。

「【社説】米大統領選、最大の敗者は世論調査米大統領選挙でドナルド・トランプ氏の支持票が予想外に多いことに対し、世論調査専門家は、またしても戸惑っている。この予想外の票が、2016年と同様に選挙人の数でトランプ氏に勝利をもたらすのに十分かどうかは、この記事が出る4日朝の段階では、まだ明らかではない。しかし、2020年大統領選を、恐らく「延長戦」の可能性もあるほど、接戦に持ち込むことで、トランプ氏は2度目の政治的大サプライズをもたらした。少なくとも何人かの世論調査専門家は、職場替えを考えているかもしれない。(略)本紙の締め切りの時点で、どちらの候補にも勝利への道筋は残されている。しかし既に、早期の時点で最大の敗者が世論調査会社であることは明らかだ。主要メディアの世論調査は全て、バイデン氏が得票率で1桁台後半の差をつけ、楽勝するとしていた」(WSJ11月5日)

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結果はご承知のように最後に「疑惑の大逆転」があるまで僅差で競り合っており、バイデン陣営とメディアはあまりのトランプの健闘ぶりに青ざめたはずです。

そして「当確」が出るやいなや、米国の慣例を破ってバイデンをまるで「当選」として既定路線のような報じ方をしました。
そして不正選挙を訴えるトランプに対しては、「見苦しい醜態」と嘲笑し、いまやトランプは共和党幹部や自分の家族から敗北を認めるよう説得されている、と報じています。
元々グラついていたエスパー国防長官が辞意を漏らそうもんなら、内閣総崩れ、沈む泥船から逃げるネズミたち、といったあんばいです。
どこまでトランプが憎いのか、底無しのメディアの憎悪を感じます。

では、メディアの勧めに従ってトランプが敗北宣言をすれば、「米国の分裂」は避けられるのか、といえばノーです。
これほどまでに大規模、かつさまざまな手段で実行された「選挙犯罪」は史上類例を見ません。
今回の問題点は、かつてのブッシュ-ゴアの時と違って得票さそのものではありません。
「選挙犯罪」が行われたのか否か、誰がどうやって、いかなる手段を使って選挙を歪めたのか、ということです。

しかも今回この大規模な「選挙犯罪」には中国の影すら指摘されており、このまま看視してしまえば、バイデンは中国に大きな「借り」を作ってしまったことにてります。
フェーク選挙で大統領を決めていいのですか、これは米国の民主主義に対する犯罪ではありませんか、これが今回の延長線の争点です。

 

 

2020年11月 9日 (月)

バイデン政権になっても、日本がしっかりしていればいいだけのことです

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菅首相がバイデンに祝電を送ったそうです。

「首相は個人事務所が管理するツイッターに日本語と英語で投稿。「日米同盟をさらに強固なものとするために、また、インド太平洋地域と世界の平和、自由、繁栄を確保するために、共に取り組んでいくことを楽しみにしている」と記した。
 トランプ大統領は法廷闘争を続ける考えで、当選確定にはなお時間がかかりそうだ。首相としてはバイデン氏に速やかに祝意を届けることで首脳間の信頼関係構築につなげる狙いがある」(時事11月8日)

これについて、SNSでは「まだ決まっていねぇぞ」といった反発があるとか。
おいおい、国家間外交と自分の感情を一緒にすんなよ。
篠原常一郎氏がいくら「カナダからの中国製偽造投票用紙が搬入された」なんて言っても、なにひとつ証拠がないのです。
仮にトランプが法廷で勝利して、議会下院での採決に持ち込みたくても、裁判に耐えるだけの証人や物的証拠がなければダメ。
今のところ確かなのがミシガンの郵便局員ていどだと、まず勝てません。

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菅さんが内心トランプであって欲しいと思っていたのはありえますが、それは政策の一貫性を確保できるからであって、前任者と違って盟友意識は菅さんにはないでしょう。
むしろ安倍さんが首相だと、どうしてもトランプとの絆が強烈でしたから、ちょっと苦しい立場になったかもしれません。
その意味で、安倍さん、意識的にじゃないでしょうが、いい時に辞めました。
今なら、彼はシャラっと「バイデンさんは紳士だよ」なんて言っていますが、それで済むのです。

ここで菅さんが短い祝賀に「太平洋地域と世界の平和、自由、繁栄を確保するために、共に取り組んでいく」ことを求めていることにご注意下さい。
日本政府はストレートにバイデン新政権に対して、クアッドの枠組みを守れ、と言っているのです。
この意味は大きいと思います。というか、ここがこの短い祝電のキモなのです。

というのは、そうそう簡単にバイデンは大きく政策変更をすることができません。
それはバイデンが政権の正統性を主張するなら、なおさらのこと前政権で決まったこと、外国との約束ごとをチャブ台返しすることはできないのです。
ただし、前政権が壊してしまった関係の修復は充分に可能で、それは政策変更とは呼ばれません。

トランプは就任当初からNAFTAやTPPを離脱してみせたり、パリ協定からの離脱などといった非常識なことをしまくりましたが、それは彼が既得権益の破壊者だったからで、その擁護者のバイデンにはできないはずです。
キャラが違いすぎるというのもあるでしょうが、バイデンのスタンスが既得権益への復帰である以上、修復はあっても破壊は考えられません。

さてバイデン政権はどうなるのかを巡って、保守系ネット言論は悲観論一色です。
私も先週までそうでしたが、頭を切り換えました。
冷静にはわが国や台湾にとって厳しい局面が来ることはありえても、当面はないでしょう。
というのはバイデンがまずやるのは、伝統的な「同盟」の重視政策と、既に締結した各種条約への回帰だからです。

TPPはすぐにとはいえないまでも、今回お世話になったオバマのレガシーでしたから、潮時を見つけて復帰します。
安倍氏はそのために米国の席をとっておいたのですから。
おそらく来年早々の菅首相訪米時の議題となることでしょう。

クアッドについては、トランプ色が強いという不安はありますが、TPPとクアッドはひとつの楯の両面。
ワンセットですから切り売りはできませんよ、と言っておくことです。
これについてはトランプのほうがおかしかったのです。

北朝鮮政策については、どうせトランプの直接ディール政策は行き詰まっていたのですから、国際社会の圧力路線に変更するなら、それはそれでいいことです。
韓国については、トランプ以上にバイデンはこの国を嫌っていますから、いきなりムンと抱擁することはありえません。

そして私たち日本人が一番気になるのはなんといっても対中政策ですが、一部のSNSが心配しているようなバイデンとなっていきなりの対中融和は不可能です。
スーザン・ライスのような最悪のパンダハガーが国務長官になろうと、米国議会がそれを許すほど世の中甘いもんじゃないからです。
というのは、これが香港国安法以前ならば、中国とあいまいな手打ちもやってやれないことはなかったはずですが香港国安法がすべてを変えました。
ポンペオならずとも、あれは民主主義と全体主義の鮮明な分岐点であって、いかなる意味でも米国があのような圧政を容認することは不可能だからです。

むしろ香港国安法にもっとも怒り心頭だったのは議会民主党と共和党保守議員たちで、トランプはわりと醒めた顔をして腰が重かったことをお忘れなく。
そんな議会が安易な融和転換を許すはずもありません。

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抗議デモ拡大が直撃 香港への旅行客4割減 (1/2ページ) - SankeiBiz ...

バイデンが弱みを握られている中国といい加減な手打ちをしようとすれば、共和党は言うに及ばず、自分の党からも猛反発を食うはずです。
米国はよくも悪しくも「民意」の国。議会と世論、ついでに今まで自分の応援団だったメディアからも総スカンを食うことになるでしょう。

やるとしても米国経済界と金融界が喜びそうな対中経済制裁の一部緩和ていどまでで、本格的な宥和政策は先です。
台湾に対しても、トランプが2期めに考えていたような米台国交正常化までは無理でしょうが、なんらかの支援策は頭をひねると思います。
尖閣も一緒で、トランプのようにスッキリと東シナ海で日米共同演習をするほど前のめりではないものの、日米安保条約5条は堅持するはずです。
ですからいきなり、中国に抱きついて、日台を足蹴にすることはありえません。

忘れてはならないのは、バイデンが国際協調主義だということです。
国際主義者らしく、外交案件はすべて国際社会や国連の枠組みの中で解決しようとするでしょう。
気候変動についてバイデンはメーンの政策に上げていましたから、EUが喜びそうなパリ協定への復帰は真っ先にやるでしょうし、そのことで険悪となっているNATO諸国との関係改善が可能となります。

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その流れで、クアッドを現時点で積極的に破壊する理由はないし、それをしたならオバマ政権時の対中宥和政策が今の中国の膨張政策を後押しした旧悪がバレてしまいます。
本心はどう思っているか分かりませんが、口先ではクアッドとその基盤を提供している日米同盟を大いに評価するくらいのリップサービスはしてくれそうです。
そしてついでにTPP復帰もね。

ただし、内心は対中融和がしたくてたまらないバイデンですから、どこかで徐々に対中制裁を骨抜きにしていきます。
対中貿易制裁は、まず国内の業者に言わせて、それをメディアが増幅し、議会が拾い上げて、政府につきつけるというまわりくどいことをやって緩和していきます。
どこかでも書きましたが、気候変動がよい言い訳になります。
温暖化対策のために中国と妥協していく、という大義名分は可能です。

台湾に対しても、まぁまぁなぁなぁ、そう尖らずになんて、まるで台湾が攻撃的で困る、みたいな構図を作るかもしれません。
そのためには習近平に「戦狼」路線を一時休止してもらわねばなりませんが、案外バイデンは習と秘密のパイプを持っていそうです。
中国が今の全周囲戦闘態勢に入っているかぎり、いくらバイデンが国際社会に復帰させようとしてもむりですが、その呼吸が中国に伝われば、第2次米中蜜月も夢ではありません。

要は、日本が大統領が変わるごとにおたついていてはダメなのですよ。
クアッドにしても、かつて安倍氏がTPPを離脱されても、米国に代わって独力で11カ国を牽引したような力業が必要なのです。
そして日米同盟をこちらから強化するような手だてを打つことで、米国の離反を許さないことです。

上院議員選挙が、勝ったとおもいきや接戦にもちこまれたとか。
上院まで民主に明け渡すと政府-上院-下院の三冠となってしまい、今日私が書いた前提がそうとうにガタついてきます。
上院は閣僚に対する拒否権があるので重要なんです。
そういう極端なことにならなりませんように。つるかめ、つるかめ。

2020年11月 8日 (日)

日曜写真館 花の滝

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花の華は滝です。

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流れに身を任せてみてはいかがでしょうか。

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ところどころに混ざる薄桃色の花弁が流れを引き締めます。

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まるで桜みたいでしょう。

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しゃくなげの親戚のカルミアです。

2020年11月 7日 (土)

大統領選、遺恨試合になることが決定しました

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まだ決まりません。
これを書いている11月7日午前4時の時点で、バージニアは再集計ですが、ペンシルバニアはバイデンが逆転したそうです。
それにしてもため息が出ますが、選挙一つまともに運営できないというのは、ハッキリ言って米国、民度が低すぎ。
米国の後進性をここまでさらけ出してしまうと、後から世界に説教垂れられませんよ。

こんなことがあって知ったのですが、あの国は州ごとにバラバラな選挙管理法があるのです。
州知事や州議会を選ぶならともかく、米国人にとっての「皇帝」を選ぶのに、いいのかこれで、といったかんじ。

トランプさんは不正があったと言っていますが、それは当然で、メチャクチャな結果操作が可能な地盤があるのです。
たとえば、日本ではあたりまえに投票用紙にはナンバリングがありますが、米国には打ってありません。

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米国の選択:2020年大統領選 接戦州を歩く・ノースカロライナ 郵便 ...

ですから、今回のウィスコンシンのように、突如午前5時頃になって10万の桁の投票用紙が「見つかる」ということが生じても遡及することが不可能です。
ミシガンのように「見つかった」投票用紙13万票が丸ごとバイデンで、トランプが一枚もないという統計学会報告もののケースがあったとしても、当事者の証言がないかぎり証拠がないということになります。

そもそも米国は州によって、自分で作った投票用紙や隣の奴の投票用紙をコピーしましたという事例すら認められています。
日本で、これオレんちのカレンダーの裏に書いたもんなんだけど投票箱に入れていいかや、なんて言ったら大受けするだろうな。

これを日本のメディアは、そっくり米国の同業者の口ぶりをまねて「証拠ないのに騒ぐトランプ」と書いていますが、あのね米国の郵便投票は選挙犯罪の温床なの、コロナ禍に乗じて民主党がゴリ推ししたのは選挙犯罪をするのにこれほど絶好のシステムがないからなの。それを説明しないでナニ言ってんだか。

ナンバリングがないために、ミシガン州デトロイトのようにとっくに閉鎖されたはずの投票所に、朝も早よから大量の票が制服もIDもつけない連中によって持ち込まれる、といったことも可能なわけです。
もしナンバリングが打ってあったのなら、ウィスコンシンの「10万票丸ごとバイデン」票が連番で大量に見つかったりしたことでしょう。
日本ならその異常事態に気がついて、その時点で開票を停止して調べるでしょうが、米国ではお手上げです。
だから投票者が登録選挙者を上回ってしまったり(笑)、80%以上という異常な高投票率がゾロゾロ出るという珍事が生じたのです。

そのうえに、州によっては郵政当局が心のこもった神対応をしたようです。
ミシガン州の郵便局では、締め切り後に届いた郵送投票も、郵便局で消印をズラしてくれたというんですからスゴイ。
なんでも上司の命令だったとか。
ネバダ州なんぞ11月10日まで投票を受け付けてくれるといいますから、いまや全米注目のネバダ、来週火曜日まで決まらんのか、わ、はは。
もうなにが起きても驚かなくなった哀しい私ですが、大量のトランプ票が投棄されているのも見つかったそうです。

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これなんか、日本の年賀状を捨てた奴もいるので一概には決めつけられませんが、郵送を認めれば必ずこういうことが起きるのです。
トランプがあれだけ反対していた時に、「コロナ対策を重視する民主党・感染拡大に無頓着なトランプ」なんて報じ方をしていたのは、どこの国のメディアだったかな(遠い眼)。
私はUFOが投票所に10万票落としていった聞いても、もう驚かないぞ。
これほど大規模な選挙犯罪(もうこう呼んでしまいましょう)、規模が巨大なだけに必ず馬脚をあらわすと思いますが、その時はすでにバイデンが大統領閣下だったりすると、どうなるんでしょうかね。し~らないっと。

さて、現時点でトランプが劣勢であることは事実ですが、メディアが伝えたようなバイデン圧勝といった予想がまるっきりはずれたことも事実です。
今回日本でもすっかり有名になったリアルクリアポリティックス(韻をふんでますね)の世論調査はこのようなものでした。

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米国世論調査会社は軒並み、8ポイトから10ポイントのリードで、バイデン圧勝と占っていました。
完全にハズれました。
メディアは総コケでのはずで、それをいささかも反省しないで、「トランプ見苦しい」なんて、どの口が言っているのか。

おとといのコメントに「フロリダでとった以外はサプライズなし」なんて書き込みがありましたが、はてそうかしら。
この人はバイデンが逆転した後に書き込んでいるわけで、そういうのを後出しジャンケンっていうんですよ。
ここまでトランプが大接戦を演じると報じたメディアは皆無でした。
ここまでもつれ込み、いったんは勝利すら掴みかかったこと自体がサプライズなのです。

下の獲得選挙人数を見れば、全米は州単位で完全に二分されており、バイデンが押えたのは沿岸部の人口密集地域だけなのです。

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どちらが選ばれようと、この二つに分割された米国が実際の米国です。
これはよくいわれる黒人-白人の人種間対立だけではなく、もうひとつ別の沿岸部-内陸部の分断が存在するということであり、この亀裂は埋まることがないでしょう。
この沿岸部と内陸の対立は歴史的なもので、人口が多く製造業やIT関連が多い沿岸部は伝統的に民主党リベラルの地盤です。
前回大統領選では、ミシガンのラストベルト労働者がトランプを支持したのが勝因の一つとなりましたが、本来あそこは全米自動車労組の地盤。つまり鉄板の民主党びいきで、今回は元のさやに戻ってしまったようです。

一方、人口が少なく、農畜産業を主体とする内陸部は共和党保守の地盤とされてきました。
州知事も、内陸部は共和、沿岸部は民主と色分けされており、過半数の知事は共和党です。
ですから、最後の最後に下院で決することになるとすれば、州に1票ですから共和党が有利だといわれているわけです。

また同時に行われた上院議院選挙において、共和党が「ブルーウェーブ」(民主党の津波)を押しとどめており、下院でも共和党が票を伸ばすだろうと言われています。
バイデンは当選したとしても、彼が出す環境税などの増税案はことごく議会で否決され、閣僚人事すら議会によって難航すると予想されます。
トランプが閣僚人事や大使任命で、どれだけ議会の反対に苦労したことか、今度は民主の番です。
それでなくてもコロナ第2波の真っ最中であり、ここを攻撃してトランプに勝っただけにバイデンがどのように経済を再生させながら感染拡大を止めるのかお手並み拝見です。
批判だけなら猿でもできる、自分でやってみぃ、バイデン。

こんな時期に炭素税なんかやったらどんなことになるのか分かり切っていますが、リベラル左翼にはわかんだな、これが。

 

2020年11月 6日 (金)

バイデン疑惑の大逆転

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バイデンが勝利宣言を出しました。
あるていど予想はしていたのですが、ここまでひどいとはおもいませんでした。
最低最悪の大統領選挙戦で、私の率直な感想をいえば、かつて敗北したわが国にこれぞ人類普遍の理、それが米国流民主主義であるぞ、ありがたく拝受しろ、と押しつけていったものの正体とは、たかだかこんなもんだったのかというところです。

今さら中学校の公民を蒸し返すまでもなく、民主主義の根っこは選挙にあります。
選挙が偽造なら、そこで選ばれた者が作る政府には正統性がなく、したがってその政府はフェークガバメントであり、その出す政策はことごとく偽りということになります。

さて11月3日が投票日となったアメリカ大統領選挙は、勝敗を決することができない昏迷状態で推移するでしょう。
ひとり手を打って喜んでいるのは中国です。
習近平は、さっそくバイデンの対中関税緩和策に呼応するかのように、今後10年間で22兆ドル(約2300兆円)に輸入を拡大させる方針を示しました。
いやー、露骨すぎるほど露骨なバイデンエールですな。
バイデンは選挙前からトランプの中国政策を変えることを明言しており、その一つに現政権が懲罰的にかけている関税や、さまざまな規制管理強化策をあげています。

中国は、第2次冷戦を宣言した米国に対してなすすべもなく、関税を上げれば大豆・豚肉のようにセルフ制裁となってしまうという悲喜劇的状態にあえいでいました。
バイデンはこれを緩和し、中国との貿易関係をトランプ以前に戻そうとするでしょうから、今規制がかかっている半導体を含めた様々なハイテク製品の中国向け輸出が再開されると考えられます。
このことで追い詰められていた中国は息を吹き返し、中国は軍事・経済の両面において米国を遠からず凌駕します。

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バイデン氏「勝利宣言をするわけではないが、集計が終わった時に私の ...

さて今後ですが、バイデンがいくら勝利宣言しようとしまいと、トランプが負けを認めない限り新大統領は決まりません。
それは、あまりに選挙戦の天王山で不自然極まる票の動きがあったためです。
このありえない票の動きをきちんと説明できないかぎり、バイデンの勝利宣言は「勝ったと言っただけ」のことなのです。

トランプはまず州裁判所に提訴し、それでもラチがあかないあかない場合、連邦最高裁判所の判決に持ち込みます。

「トランプ陣営は4日、ペンシルベニア州の開票所で不正行為を監視する共和党系の選挙立会人が集計担当者から25フィート(約8メートル)以上離れるよう当局に命じられたと主張。この結果、郵便投票の消印や有権者の署名が確認できなかったなどとして同州政府を提訴した。
中西部ミシガン州では立会人が開票作業の監視を拒否されるなど、開票所への十分なアクセスが認められていないとして訴訟を起こした。南部ジョージア州では期限後に郵送で届いた53票が有効とみなされた現場を立会人が目撃したと主張。締め切り後に到着した票を分離するよう求めた。
3州で陣営の訴えを認めるかどうかは州裁判所が判断する。一方、トランプ陣営が中西部ウィスコンシン州で「いくつかの郡で不正行為の報告がある」と票の再集計を求めた件では、得票差が1ポイント以下であれば再集計を求めることができるとの規定が州法にある」(日経11月5日)

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日経

これはある意味、既定の路線です。トランプはこのバイデン勝利宣言前からこう言っていました。

「われわれが大きくリードしているが、彼らが(勝利を)かすめ取ろうとしている。そんなことは許さない」(共同)

このトランプの預言は見事にあたってしまい、まさにトランプが接戦州を制し、チェクメイトを宣言する鼻先で勝利を「かすめとられ」ました。
ただしトランプは既に手を打ってあり、保守系判事が過半数を占めるために、かなりの確率でトランプの言い分は認められるでしょう。
それでもなお決着つかなければ、下院で決めることになりますが、その場合、議員1票ではなく、州ごとに1票が割りふられるそうです。
26票集めれば勝利できるわけで、あるいはこの線を狙っているのかもしれません。

「大統領選は候補者本人を直接選ぶのではなく、投票結果に従って大統領候補に投票する「選挙人」を指名する。連邦法によると、各州は12月8日までに選挙結果を確定させて選挙人を指名する。同14日に選挙人が大統領候補に投票する。だが訴訟で選挙結果を確定できない州は選挙人の指名が難しい。
過半数の選挙人を得る候補が出なければ、2021年1月3日に招集される新たな議会で下院が新大統領を選ぶ。全米50州に1票ずつ割り当て、26票を得た候補が当選する仕組みだ」(日経前掲)

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日経

今回仮にトランプの言うように「票をかすめとられた」ことが真実ならば、これはひとりバイデンのみならず、民主党にとって決定的打撃です。
バイデンはとんだラッキー爺さんで、この間暴露されたウクライナ疑惑、中国疑惑、そしてハンターの幼児性愛などが現職副大統領時代に発覚していれば、辞任だけでは済まなかったはずです。
ましてこれにバイデンは現職副大統領として関わっており、外国政府からの利権の提供を受けていたことが事実ならば、辞任だけでは済まずに弾劾裁判に付されるような案件でした。
刑事訴追は退職後の今も可能なので(たぶんそれはそれでトランプ陣営はするのでしょうが)、現職時代ならばオバマ政権自体が瓦解していたかもしれません。

このバイデン疑惑が浮上した時点で、民主党はバイデンを候補にしたことを死ぬほど後悔したはずですが、もう引き下がれませんでした。
オバマ時代に遡るスキャンダルでバイデンを降ろしたとあっては、民主党はもはや公党として立ち行かなくなるのは目に見えています。
そこで民主党とその利権の共有者たちは、いかなる手段を使ってでもトランプを引きずり降ろすことを決意したはずです。
ここに民主党、オールドメディア、金融界といった既得権者たちの意志は完全に一致しました。

彼らが作り出したのは、いかにトランプが人種差別主義者であり、女性蔑視をひけらかす人物であり、それに対して平和的に抗議しようものなら軍や警察で弾圧するというファシストなのか、というネガティブ・キャンペーンでした。
そして最も有効な打撃だったのは、コロナ対策の失敗の一切を全部トランプだけに押しつけたことです。
むしろ防疫当局であるCDCや、実際にPCRをしたりロックダウンする権限を持つのは州政府であって、連邦政府ができる幅は少なかったにもかかわらず、です。

いやむしろ仮にバイデンが政権にあったとしたら、中国との渡航制限は遅れ、全国民が受けるような大規模PCRをして医療機関を崩壊させ、BLMやアンティファの暴動を放置したでしょうから、効果的に感染拡大を抑えられたのかどうかははなはだ疑問です。
そして第1波が終わった後の経済再開には及び腰で、経済の立ち直りはトランプ政権より遥かに遅れ、失業者の山を築いたはずです。

「新型コロナウイルス感染のゼロリスクを追求する民主党の首長が厳格な都市封鎖(ロックダウン)を実施したことで経済は後退し、それによって多くの人が失業や収入減に見舞われた。また、住宅ローンや家賃が支払えなくなることによる強制立ち退き、民主党の教職員による対面授業の拒否で出勤や復職できないことに伴う困窮、これらが相まって起こる経済格差の拡大などに直面している。(略)
また、コロナ禍による死者の過半数は民主党員が首長を務める州で発生しており、特に貧困層や有色人種の死亡率が白人に比べ高いのが特徴だ。民主党は、死者を減らす効果の薄いロックダウンに固執し、経済を崩壊させ、人々の生活も脅かしている。それでも、僅差ながら同党の大統領候補が当選した。そして、経済の再開を一貫して主張したトランプ大統領が落選確実視される。これは、まさに「肉屋を支持する豚」の投票行動ではないか」(大田太郎 11月6日)

といってもペンシルバニアがとられればそれでお終い。
トランプの勝機が、ラクダが針の穴を通るほどなのは変わりません。

 

このトランプが「かすめ取られたられた」という選挙終盤の状況はこうでした。

ネバダ       ・・・バイデン
ウィスコンシン・・・バイデン
ミシガン      ・・・トランプ
ペンシルバニア・トランプ
ノースカロライナ・トランプ
ジョージア    ・・・トランプ

なんと、圧倒的にトランプが優勢で、ウィスコンシンすらトランプが握ろうとしていました。
トランプ支持者でなくても、トランプが勝つのは当然の成り行きに見えたはずです。私もそう思いました。

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ここでありえべからざる大逆転が起きます。
そのいくつかを紹介します。

ありえないことが起きたのは、ウィスコンシンとミシガンでした。
米政治紙「フェデラリスト」はこのようなグラフを掲載しています。

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ウィスコンシン州の得票数のグラフですが、これを見ると午前5時くらいのタイミングでいきなり青の線(バイデン)の得票が垂直上昇して、いままでコンスタントに票を伸ばしていた赤線(トランプ)を一気に追いつき逆転しています。
このように直角で票が伸びることはありえません。
しかもトランプ票はまったく伸びていないのです。

この間わずかに開票率1%、時間にしてたった1分の間に、大量のバイデン票が「見つかり」、あろうことかそれが1票残らずバイデン票だったというのですから、もっとうまいトリックを使えよと思うほどです。
州政府はあわてて「これは郵便投票によるもの」という説明をしましたが、苦しい言い訳です。
というのは郵便票だとしても、それが全て片方のバイデンのみだったとすれば、投票者数にして10万人以上もの票が全員バイデンだったわけで、ありえねぇしょ、そんなもん。
そんなことがあるのは、全人代くらいなもんです。

百歩譲って、郵便投票のためだとしても、開封するのは時間がかかりますから、当然得票数は時間を追って順次上乗せされスムーズな上昇曲線を描きます。
いきなり10万人分開けた、そうしたら全部バイデンだった、というのですからご冗談を、です。

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トランプ氏が恐れる郵便投票の開票…激戦州でバイデン氏逆転も

次にミシガンです。
ここも午前4時頃にバイデンのみが大量得票を獲得し、トランプはゼロです。
ミシガンもウィスコンシンと同じで一気に13万票がバイデンに転がり込んでいるために、得票曲線が直角となってしまいました。

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当局者は更新時間のせいだと言っていますが、それを立証するのは法廷となるでしょう。

ほかにもアリゾナで、自動読取機が読み取れない油性ペンを共和党員に渡していたという疑惑も取り沙汰されていますが、これについてはなんともいえません。
アリゾナの票差は、9万3千票ですから、このような小手先でどうにかなるような差ではないからです。

民主党が押し進め、共和党が強く反対した郵便投票の欠陥は、その気になれば捏造することが可能だという点です。
郵便投票用紙を保管するのは州政府であり、保管されている間に予め用意された偽造された用紙の束にすり替えるなどは簡単なことです。
しかし普通はしません。発覚した場合のダメージが大きすぎるからです。

今回、私は現時点では「疑惑」とだけ言っているのは、そこまでのリスクを民主党が犯すかという点がわからないからです。
ただし、今回はバイデン疑惑があまりに巨大であり、その証拠物件が次々に明るみに出ている状況では引くに引けなかったのでしょうか。
とまれ、疑惑に包まれ濃霧の中でバイデンが「勝利」した、これだけは確かなことです。

 

 

2020年11月 5日 (木)

米大統領選のジェットコースター

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皆様も同じだろうとおもいますが、いやくたびれたぁ。自分の国の選挙以上だな、こりゃ。
私、昨日は2時くらいから起きて、開いてもいない投票に気がいき、仕事をしつつも寸暇を惜しんで開票結果をみるといったあんばい。
しかも、昨日の午後から開き出した速報では、バイデンが圧倒的。
あの上念さんすら、ユーチューブで、こりゃリアルクリアポリティックスの予想があたってしまうのかぁ、と悲鳴のような声を漏らしていたほどです。

BSNHKでは、ずっとバイデンが差をつけたまま画面が固定。
しかたなくFOXなど見ながら、われながらもうよその国のこととは思えない白熱ぶり。
https://www.foxnews.com/elections/2020/general-results

とまれ、米国のオールドメディアがのご託宣だった、バイデン圧勝にはほど遠い結果となったのは慶賀の至りです。

「【ワシントン=中村亮】3日の米大統領選をめぐり、主要な世論調査では全米の平均支持率で民主党候補のバイデン前副大統領が共和党候補のトランプ大統領を大きく上回っていた。激戦州でもバイデン氏が優位を保ったまま投開票日を迎えたが、実際には異例の大接戦となっている。
主要な世論調査を集計する米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクス(RCP)によると、バイデン氏の全米支持率は3日時点で51.2%とトランプ氏を7.2ポイント上回った。東部ペンシルベニアや南部フロリダなど激戦6州の平均支持率でもバイデン氏は2.3ポイントの差でリードしていた」(日経11月4日)

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さすがトランプ親ビン、奇跡の復活。
とうとう夕方にはスイング・ステートのフロリダを制して、ペンシルベニアでも優勢を伝えられ、こりゃいけるかとおもいきや、よもやのアリゾナで落とし、ウィスコンシンでも逆転を許し、ネバダでも危ないとという、まさに映画「フォードvsフェラーリ」を地で行く展開となってしまいました。
トランプ親ビンペンシルバニアで勝ったくらいで勝利宣言、早すぎ(苦笑)。
 ウィスコンシンはバイデン勝利とでていますが、早くも不正があったとして再集計を求めていますし、ミシガンも提訴するとのこと。

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たぶん、民主党のやつらハンパない不正やったような気配です。
ウィスコンシンでバイデンが急に票が延びたら、なんと投票率200%だったとか(爆笑)。
そのほかにも続々と出るわ、出るわ、バイデン陣営の怪しい票の増えっぷり。
ネットで出回っていた一例としては

・フロリダ・・・・30万枚の投票用紙が行方不明。
・アリゾナ・・・集計機が読み取れない油性ペンをわざわざ共和党員に配布する人物が発覚。
・ミシガン・・・ウィスコンシンと同じく不自然にバイデン票が急増。

ただし全部、こういう鉄火場ではありがちな未確認情報で決定的ではありません。
やはり問題は郵便投票の1億票でしょうね。
トランプ親ビンが前々から言っていたように、まさに疑惑の活火山です。

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仮に親ビンが負けることがあれば、まちがいなく訴訟という第2段階に速やかに移行するでしょう。

私としては一発で270超えしてほしいところですが、これを書いている午前3時時点では僅差でバイデンが勝つ可能性があります。
元気が残っていれば、今日もう一回上げるかもしれませんが期待しないでね。

なお、同時に行われた議会選挙は、上院は手堅く共和、下院は民主の棲み分けになったようです。

「3日の米大統領選と同時に行われた上院選は、メーン州で共和党現職のスーザン・コリンズ(Susan Collins)議員が民主党サラ・ギディオン(Sara Gideon)候補を制して勝利を収めた。これにより、民主党が上院で過半数の議席を確保する道はほぼ閉ざされた」
(AFP11月5日)

仮にバイデンが当選してグリーン政策に財政投入しようとしても、ことごとく上院では反対されるということになります。
昔どこかの国でもよく見たネジレ国会ですが、そうとうバテ気味のバイデン翁、それに耐えられるかな。

しかしそれにしてもあのオバマの劣化バージョンのようなバイデンね。
孫娘の名前さえ間違えるモーロクぶりですから、民主、共和に関係なくいいのかよ、ふ~。

2020年11月 4日 (水)

大統領選で問われたことは

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昨日の記事に「脅威」の対象に北朝鮮をいれるのを忘れていました。金正恩さん、大変に失礼しました。
この国は、中国ほどではありませんが、リッパに成長なさった脅威です。
この国は、拉致問題のように、日本に対しての悪意を発動する「意志」をもっているのは明らかですが、日本に侵攻する力はありません。
といっても、殿、ご落城でございます、お腹を、と家臣たちに言われた場合、ヤケのヤンパチで中距離弾道ミサイルを日本に打ち込む可能性はありますので、中国に次いで常時備えておかねばならない国です。
といっても中国とはその「脅威」の総量が違いすぎますが。

さて今日は追々、米大統領選の結果が出てくる一日となりますが、今これを書いている時点ではまったくわかりません。
最新の世論調査データでは、フロリダ、ペンシルバニア、ノースカロライナでトランプが追い上げ、サスケハナ大学やトラファルガーのデータではトランプ優勢になっています。
しかし、世論調査データがめちゃくちゃにバラついており、なにを信じるべきなのか迷います。

選挙戦はまるで正反対で、トランプは次々と大規模集会を驀進しているにたいして、バイデン側はコロナ対策徒渉して十数人を前にしょぼしょぼとするといった具合です。
またバイデンはハリウッドレフトを動員して、レディガガに歌わせたりしていますが、トランプはしていません。
正直、芸能人に頼るようだと大丈夫なのかよ、と思いますが、たぶん労組などの組織票があるのでしょうかね。

大統領選はどちらかの勝利宣言では決まらず、敗北宣言をしてやっと落ち着きますから、圧勝しないかぎり決着はもつれ込むことになります。期日前投票が9000万票を超えているとはいえ、終盤におけるバイデンの度し難い小児性愛や中国利権スキャンダルの暴露によって、書き換える者が大量に出たという話もあって、結局は投票所での一票が趨勢を決することとなると思われます。

今回の選挙ほど、中国の影が濃く覆った選挙はなかったはずです。
かつての冷戦期あっては、共和・民主双方ともに共産主義vs自由主義という価値観を大前提とした上での戦いでした。
旧ソ連は、今の中国の足元にも及ばない経済力しかなく、消費市場の魅力はゼロに等しかったために経済利権が発生しようがなかったのです。

ですから、冷戦の頂点であったキューバ危機においても、民主党大統領のケネディすら毅然としてキューバへの弾道ミサイルの配備をはねのけることができました。
むしろ後に出てくる緊張緩和(デタント)による平和共存路線は共和党が進めたもので、中国を国際社会に復帰させ、更に常任理事国という特権まで与えた張本人は共和党のキッシンジャーとニクソンでした。

ところが一世代たって見ると、ソ連は崩壊して地上から消滅し、それに変わる存在として実は合衆国建国以来最大の敵としての中国が太平洋の向こうから登場したのです。
中国が旧敵ソ連と決定的に異なるのは、半身が資本主義、半身が共産主義というキメラの怪獣だったことです。
鄧小平氏による改革開放路線以降、自由主義諸国の製造業を低賃金を餌に迎い入れ、貪欲に先進工業国から資本、製造拠点、先端技術などを招き入れました。

そして先進国製造業から技術と資本を吸い尽くすだけ吸い上げた頃になると、中国には富裕な4億の中間層が誕生していました。
実にヨーロッパ丸々ひとつぶんの消費市場の誕生です。
この過程で、中国は先進自由主義国すべてと強力な利権関係を構築しました。
米国にあっても、中国共産党と米民主党との間に分かちがたい利権の繋がりが形成されていました。

日本も同様です。わが国最大の親中グループは財界です。
これは鳩山氏が駐中国大使に任命したウルトラ媚中派の丹羽宇一郎氏が、中国利権に最も食い込んでいた伊藤忠元社長だったことからも透けて見えます。
またハト氏の東アジア共同体なるファンタジーは、中国経済圏に入りその朝貢国になりたいという奴隷の願望の表明でした。

それさておき、中国の触手は米国政界内部にも及び、今回全世界を驚愕させたバイデン親子の醜聞など、まさに副大統領職にある者が巨額の中国利権が目当てに、一族の者を使って利権を作り上げたものでした。
中国が習近平の「戦狼」路線に走りさえしなければ、このような自らの私益のために国を売るが如きバイデンの行為なども表面化することがないまま埋もれたままになったことでしょう。
大統領選でトランプが勝利すれば、及び腰の司法当局も本格的捜査に乗り出すでしょうが、その中で更に複数の民主党幹部が中国利権を隠し持っていることが明らかになるはずです。

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ところで裏のとりようがありませんが、ジュリアーニ元ニュヨーク市長はこんなことを言っています。
(BonaFidl 2020年11月1日)

「それから中国だ。中国!
ジョーは、ハンターを一緒に飛行機(エアフォース2)に乗せてチャイナを訪問した。
彼がコカイン中毒だった期間中だ。ハンター・バイデンのハード・ドライブから見つかった写真を見れば明らかだ。
なのにジョーバイデンは彼を中国に同行させた。
ジョーが訪中中に達成するべきだったことは、日本と領土紛争を引き起こしている島(尖閣諸島)に中国が軍事的圧力をかけていることから手を引かせることと、対米関税を引き下げさせることだった。
ジョーは、ハンターとともに中国に8日間も過ごした。ハンターがそこで何をしていたのか我々は知らない。
しかし、ジョーについては明らかだ。
ジョーは、中国との交渉に負け続けていた。
ジョーが米国に戻ると、中国はこの島への軍事的圧力を拡大し、チャイナは対米関税をさらに上げた。
アメリカにとって災厄の日だ、ジョー。
いつもと同じように、ジョー、おまえはアメリカを裏切り失望させた。
あなたも、私たちに明かさなかったし、オバマも私たちに明かさなかったのは、あなたが米国に戻って来てから8日後、あなたの息子が(中国銀行から彼の未公開株式投資ファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)に10億ドルを払ってパートナーとして参画するという書簡を受け取っていたということだ。
この事実は、アメリカ国民に対して秘密にされた」

ジュリアーニが証拠のハンターのハードディスクなどを公開しないので、信憑性に疑問がつきますが、バイデンが当時麻薬中毒患者だった次男のハンターを連れて訪中をしたことは事実です。
またその時期、米国は一貫して尖閣に対して無関心を装っていたことも事実です。

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このようなチャイナマネーによる「見えない侵略」(サイレントインベージョン)によってコントロールされたのは政界だけではなく、中国に進出したグローバル企業群や金融界にとっても同様でした。
IT企業やマスメディア、そして映画産業に至るまで、まさに米国という巨人の全身を覆い尽くさんばかりに利権と癒着のガンは進行していたのです。

このような中国との強固な利権は、米国にとって中国が繁栄すればするほど、米国にとって利益になるかのような錯覚を生み出しました。
オバマ政権は、口で非核を空疎に叫ぶ一方、世界最大の核軍拡国である中国にはとことん腰が引けていました。
オバマは政権前半においてはスーザン・ライスのような2大国(G2)共存論者を側近に置き、中国の海洋進出に歯止めのひとつもかけようとしなかったのです。

彼ら民主党が見た夢は、中国が経済成長すれば必ず中間層を生み、彼らは民主主義を渇望した結果、普通の民主主義大国に変貌するだろう、という幻想でした。
そうはなりませんでした。中国人はカネとメシが潤沢にあるうちは民主主義などというお菓子はいらなかったのです。
唯一中国域内で民主主義を守る意志を持った者は、民主主義の伝統を持つ香港のみであり、彼らはそれが根こそぎ奪われることに身体を張って抵抗しました。

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BBC

しかし中国中間層は、この香港の叫びに耳を傾けようともしませんでした。
かくして中国は南シナ海の完全支配は目前であり、国際仲裁裁判所の判決に対してすら紙切れだとぬけぬけと言うほど傲慢を決め込むまでになりました。
いまや周辺国すべてと軍事的緊張関係を持つに至っています。
このような構造を作ったのは、米国、いや米国民主党です。
米国民主党政権、とくにオバマが中国の侵略と軍拡容認政策を助けたのです。

このような中国汚染がはびこったワシントン政界とまったく無縁なビジネスマンであるトランプは、奇跡的に中国の影響下から自由な異端児でした。
彼が一見粗野に見える言動によって、国民に覚醒させようとしたのは、国境の重要性であり、関税がいかに国内産業を守ってきたのかであり、安易な同盟は一回締め直すべきだという危機感でした。
このひりつくようなトランプの危機感は、中国一点に指向されていたといってもいいほどです。

この大統領選の影の主役は、合衆国始まって以来の強大な敵・中国であり、問われたことは、トランプと共に戦い続けるのか、それともここで元の利権の温床に戻るのかという選択だったようなきがします。

 

 

2020年11月 3日 (火)

大統領選の行方で尖閣・台湾情勢が変化する

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さて、あっというまに、とうとう米大統領選はきょうが投票日です。
太平洋を隔てて、なんともいえない緊張感が伝わってきます。
明日の午後には、スイングステート(激戦州)のいくつかのがわかるでしょうから、ある程度の予測がつくかもしれません。

今のところトランプが激しく追い上げているものの、バイデンが有利です。

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米主要激戦6州、混戦のまま決戦 トランプ氏追い上げ: 日本経済新聞

あすあさってに決めるためには、どちらかが270以上の選挙人を確保せねばなりませんが、私にはなんともいえません。
おそらくメディアがいうほど大差でバイデンがリードしているとはおもわないので、予断を許しません。
決まらなければ、もうグチャグチャでもつれ込みます。

さて、大統領選の動向に神経を尖らせているのは日本と台湾です。
本来韓国もピリピリしていなければならないはずですが、ま、いいか、あそこは現実を生きていませんからね。
それはこの大統領選しだいでは、米国の対中政策に大きな変化が生まれる可能性があるからです。

それは中国が日台にとって「脅威」にほかならないからです。
一般的に、世界では「脅威」の定義に、[相手の意志と能力]という要素で判定します。
私はそれに「距離」という要素も入れていいかと思っています。
こちらがどう思っていようと、先方の国に「敵意」か存在し、かつそれを現実化するだけの「能力」があり、しかも近隣ならばなおのこと、これを「脅威」と呼びます。

近ければ、「能力」は簡単に発揮できますから、「意志」をおおぴらにできます。
なぜヨーロッパ諸国がコロナ禍まで中国にノホホンと出来たのかといえば、地球の反対側だったからです。
逆に、オーストラリアやインドといったクアッド諸国や、ベトナムが中国と緊張関係を持ってしまうのは、隣国だからです。

日本に置き換えれば、「脅威」となりえる国は中露韓、そして米国です。
しかし米国を「脅威」とは呼びません。
米国は世界で唯一日本に侵攻しうる戦力投射能力を持っていますが、米国とは世界で最も強力と呼ばれる同盟関係で結ばれているからです。
したがって、米国から攻撃される理由が見つからない以上、米国を「脅威」とは呼びません。

次にロシアですが、潜在的に「能力」は充分にありますが、核を除いて限定的であり、日本に着上陸して侵攻できるだけの能力は持ちません。
そしてなにより冷戦期はともかく、今のロシアには「意志」が見つかりませんから、潜在的「脅威」として備えておかねばならないとしても、直接的なものではありません。

韓国はその「意志」だけは、まさにムンムンとあります。
世界広しといえどわが国と戦争をしたくてたまらない国のトップでしょう(笑)。
ただし残念なことに、「能力」に大きく欠けます。日本を凌ぐ軍事予算を投入して対日戦の準備をしているようですので(軽空母や戦略原潜なんて日本以外に使い道がありませんからね)、それなりに「脅威」として遇さねば失礼かもしれませんが、論外です。
そしてその「意志」も、いわばふわふわした民族的気分のようなもので、米韓同盟を組んでいる以上韓国軍に自立した対日攻撃が許されるはずがありません。

最後に中国です。
中国は「意志」も「能力」も、そして「距離」もすべて備えている隣国です。
そして火種になる係争地域をもっています。
そしてここを巡って、執拗な日本に対する敵意をのぞかせ続けてきました。
領海侵犯、領空審判はもはや日常茶飯事で、しかもそれを日中の政治的緊張と同調させています。

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中国にとって気に食わないことがあれば、すぐに侵犯を盛んにするなどといったことを平気で行います。
ここまで露骨に国家意思を実力行動に反映させる国は世界でも稀です。
しかもご承知のように、世界最大の軍事力増強を行い、軍事超大国となってしまいました。
ですから、中国は「脅威」ではなく、「既にそこにある脅威そのもの」の存在となっています。

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尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処|海上保安庁

この「脅威そのもの」となってしまった中国に対して、日本は日米同盟という防壁で守っています。
今回の米大統領選において、バイデンが勝利するようなことがあれば、非常に困ったことになります。
というのは、トランプ政権は明確に尖閣を日米安保条約5条の範囲内とし、共に守る意志を表明しましたが、バイデンは選挙期間中こそ対中で厳しいことを口にしていましたが、民主党の対中基本政策は融和、ないしは協調路線です。

米国はオバマ前政権以降、尖閣諸島への侵攻は、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象となると言ってはいましたが、この人物が掲げたアジア・ピボット(アジア回帰)はまったく口先だけのもので、実際には中国になんの手だても打って来ませんでした。
結果、かくも広大な南シナ海は中国の内海と化して、更にそれを東シナ海にまで伸ばそうとしている始末です。

このアジア・ピボットを空約束にさせた張本人が当時の安全保障補佐官で、バイデンが一時は副大統領候補に考え、今は国務長官候補だといわれるスーザン・ライスです。

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バイデン自身が、ズブズブの中国コネクションをもっていたことが、この間ハンター疑惑で明らかになってしまいました。
これに、アリリカンレフトのハリス副大統領が加わると、仮に台湾や尖閣への中国の侵攻があったとしても、米軍への直接攻撃がないことを理由に参戦しない可能性もあります。
というわけで、バイデン政権になったなら、中国は随喜の涙を流すことでしょう。

米戦略予算評価センター(CSBA)のトシ・ヨシハラ主任研究員による日中海軍力に関する報告書(日本語版『中国海軍VS海上自衛隊』)は、中国軍事誌に掲載された尖閣諸島侵攻のシナリオを紹介している。
10月31日付け読売新聞はこう書いています。

「シナリオでは、海上保安庁巡視船が中国公船に発砲したことを機に、中国軍部隊が尖閣を占拠する。中国海軍は、海自の護衛艦より長射程の対艦ミサイルで、海自艦を沈没させる」
(『開戦から4日も経たないうちに、尖閣諸島は中国軍の手に落ちる』読売)

そして自衛隊を支援しないどころか、むしろ日本に対して実力による反撃は手控えることを要求し、国連に仲介を求めるようにスーザン・ライスなら言ってくるかもしれません。
すると国連安全保障理事会は中国の拒否権でなにひとつ実効性のある措置はとれないまま、中国の尖閣における実効支配を認めることとなります。
いったん武力で支配した土地を中国が手放したことはありません。

このようなことは日米同盟がただの紙切れだったということの証明ですから、とうぜん日本国民の憤激を呼ぶでしょう。
日米同盟解消までは一気に進まないものの、中国にしてみれば思惑どおり充分に日米同盟に楔を打ち込んだことになります。

自衛隊は既にこのような不透明な状況に対して着々と準備に入っています。

「南西諸島 14万人演習…陸自「台湾有事」波及を警戒
還暦を迎えた日米同盟は今、中国の軍事的な挑戦を受け、真価を試されている。同盟のこれからの課題を考える。
陸上自衛隊は来年、日本の本格的な有事に備える約35年ぶりの大規模演習を行うことを検討している。ほぼ全隊員にあたる約14万人が参加し、実際に車両なども移動・展開し、課題を探る予定だ。
同規模の演習は、過去に1度しかない。前回は冷戦まっただ中の1985年、旧ソ連による侵攻を想定して北海道などで行われた。今回は南西諸島での危機を想定したもので、中国による侵攻が念頭にあることは間違いない」(10月30日読売)

この陸自始まって以来の大規模演習は、中国に対する離島防衛と、そしてもうひとつが台湾有事です。

「(演習の目的は)尖閣諸島で領海侵入などの挑発行為を繰り返していることが理由の一つだが、政府が今、警戒しているのはむしろ、台湾有事だ」(読売前掲)

中国と台湾は、あまり報じられていませんが、まさに一触即発の準有事状況です。
トランプ政権は台湾を防衛することを約束し、最新鋭の戦闘機や対艦ミサイルなど多くの緊急軍事物資を送っています。
これもバイデンになれば、どうなるかまったくわかりません。
バイデン政権は台湾を見捨てかねません。

そしてもう一つの見逃してならない要素が、中国だけが保有している中距離弾道ミサイルです。

「『中国は30年以上にわたり、地上発射型の中距離ミサイルを自由に開発、配備し、今では13種類、2000発近くも保有している。米国は同様のミサイルを持っていない』
国務省のビリングスリー軍縮担当大統領特使は日本を訪問した直後の今月1日、オンラインでの記者会見で中国への警戒感をこうあらわにした。
米国は、昨年8月に失効するまで米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約により、地上発射型中距離ミサイルの保有を禁止されてきた。これに対し中国は、『空母キラー』と呼ばれる対艦弾道ミサイル『東風(DF)21D』に代表されるように、米軍などの介入を阻む『接近阻止・領域拒否(A2AD)』を目的とした兵器を大量に保有している。
中国は、現在のミサイル防衛では迎撃できない極超音速滑空兵器(HGV)も開発している」(読売前掲)

中国は米露がINF条約で、中距離弾道ミサイルを廃止したことをよいことに、ひとり中距離核ミサイルを増強し続けました。
空母キラーが使い物になるかどうかは疑問ですが、日本を完全に射程内に収め、グアムまで届く中距離弾道ミサイルはまさに「脅威」そのものです。

このように米大統領選挙の結果次第で、日本と台湾が受ける中国の「脅威」の強さはまったく違ってくるのです。

 

 

  

2020年11月 2日 (月)

宜野湾くれない丸様寄稿 一生一代の大芝居を成し遂げた首里城を改めて考える

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 宜野湾くれない丸様より寄稿を頂戴しました。ありがとうございます。
このサイトは、自由で開かれたインド洋・太平洋じゃなかった、ブログです。寄稿は随時受け付けております。
発信者のお名前等は厳重に秘匿し、私にも公開する必要はありません。
私と主張を同じくする必要もありません。
いつも重厚なコメントを頂戴している「宜野湾より」さん、そろそろいかがでしょうか。
プロフィール欄に私の連絡先があります。
明日から通常更新に戻ります。

さてそれにつけても維新は残念をしました。
追い込み時期に、毎日の典型的な捏造報道にやられました。
ギリギリであっただけに、維新の主張を根本から覆す「財務局幹部の証言」は威力を発揮したようです。

いよいよ明日に迫った米大統領選はまったく世論調査が信用できないという未曾有な状況のまま幕切れを迎えようとしています。
ハンター・バイデンの醜聞を隠し通そうとしたオールドメディアは、最後になってとうとうネット言論によってそれを暴かれ、報道せざるをえなくなってしまいました。
民主党はそれを予想していたから、郵便投票や期日前投票を進めたのです。

また終盤に差しかかるにつれ、オールドメディアが強く支持するノイジーマイノリティは力を失い、沈黙を強いられたサイレントマジョリティが復権しようとしています。
そう考えると、この大統領選は対中姿勢だけではなく、さまざまな意味で、今後の世界を占う重要なもののような気がいたします。
今週はこれ一色になっちうゃうかもね。

                                                ~~~

                         一生一代の大芝居を成し遂げた首里城を改めて考える
                                                                                宜野湾くれない丸

つかの間の休日、関西では「大阪都構想住民投票」、お隣の愛知では 「お辞め下さい大村秀章愛知県知事・リコール運動」 、はたまた関東方面からは「GO
TOキャンペーン」だの「ハロウィンの渋谷」だの「学術会議問題」だの、、、、そして、海のむこうの彼の地では大詰めの「大統領選挙」。どこもかしこも「俺が正しい、奴らに騙されるな」的な喧々諤々騒動だ。そのうちサイレントマジョリティー主催の「令和のええじゃないか♪騒動」でも起こりそうな雰囲気もなきにしもあらず(国会前でちょこちょこやってるあんなのではなくね)。

そんな喧騒を流しながら見聞きしていたら、我が沖縄県では「首里城再建へ向けて・・云々」の報道が溢れている。毎朝のルーティーンである当ブログを開くと、山路さんの簡潔明快な「下地幹郎分析と沖縄・日本普通関係論」。宜野湾さんがコメントで述べられていたのと同様に私も「すっかり下地さんのことは忘れてました」です。
「あー、そう言えばそうね、餌投げの100万円貰ってたかっこ悪い下地さんね」 と思い出す。

比べるには飛躍しすぎるが、仮に、もし、下地幹郎がトランプ的な素養を持ち得ていたら、どんな風に振る舞っているかな~と(金額・桁の違いはあるが)、ボケーーーとしながら妄想を膨らませた。
たぶん大袈裟でドタバタ田舎芝居的な演出をするだろうな。自身の不甲斐無さ(未熟さ)を真摯に反省し、「反省&お詫び行脚」タスキを身にまとい選挙区は勿論のこと、県内隅々まで訪問し、お江戸へのぼり所属政党へ更なるお詫びをし、そして議員辞職をキッチリとおこなう。コテコテノの大芝居・茶番劇(失礼)を打つだろうな~。

トランプだったら「ピンチをチャンスに変えちゃうパワーがあるもんな」と。そんな事を想像するのも、あの「首里城炎上」の絵図らが脳裏にあるからなんです。不謹慎かもしれないが、あの映像を見て、私は「一生一代の大芝居だ・・・」と感じてしまったのです。見事なまでの崩れゆくさまを見ながら「皆に何かを伝えたい、訴えたい」んだと「あれはハリボテで覆い尽くされた首里城の叫びだ」って思ってしまいました。

「大芝居」をまたまたボケーーーと考えていたら、
「貧乏人は麦を食え」が浮かんできた。ご存じ、第58、59、60代の内閣総理大臣・池田勇人である。

浅はかな知識で妄想を膨らますのは「恥かしいかぎり」ではあるが、「はっきりした物言い(失言が多い)」をする池田だったが、口から出た言葉(公約)はキッチリと成し遂げる。「失言は多い(口汚い)」が「成し遂げる」というトランプも同様だ。池田は大蔵大臣、通産大臣の経歴を持つ、一方、トランプはディーラーを生業としていた。「経済畑」という点では同じ土俵である。そして共にその国の「頂点を極めた」二人である。

池田は「政治の季節」を「経済の夢」へ変換させた。「所得倍増計画」をぶち上げ、その計画実行の過程で「貧乏人は麦を食え」と言い放った、、と報道拡散されまくったみたいだが、その発言内容を読む限りでは「身の丈になった暮らしをしましょう」という文脈だ。
『人物像はおおらか、酒豪で失言も多かった。この頃の有名な発言に「貧乏人は麦を食え」があるが、実際は、国民に「麦ではなく米」を食わせるために悪戦苦闘していたのである』(武冨薫週刊ポスト2020年8月14日・21日号)とあるように、決して「見下した」発言ではなかった。

発言から70年経った現在池田の事を「差別主義者だ」とか「横柄な奴だった」とかそんな事を言う人を私は知らない。今も昔もメデァイなるものは「食いつきの良い言葉に置き換える(売れ筋のいい文脈に角度をつける)」のは海の向こうもこっち側も同じである。もう90才を目の前にした親父へこの当時のことを少し聞いたが、池田の「貧乏人は・・」の件は皆目何も思ってない様子であった。
当時の奄美群島は日本復帰を成し遂げてだいたい10年くらいの時間が経っていた頃だ。「麦を食え」などのマスメディア先行煽りより、「所得倍増計画」の方が島民にとっては「魅力的」だし「やる気」を起こさせたに違いない。

沖縄は本土へ対して苦言を言えば、それは色々とあるであろう。これもまた不謹慎な表現かもしれないが「ネタは多い」のである。
重箱の隅をつつき、小さいことを大きくカモフラージュ仕立てれば、それこそ「ネタの宝庫」ではある。がしかし沖縄の将来という視点をもっと深く考えれば、それもこれも飲み込み、清濁併せ呑むとでも言うのか、「もはや戦後ではない」と言い切れること(言い切ること)ではないのだろうか?

日本政府は、戦後11年目の昭和31年(1956)に経済白書で「もはや戦後ではない」と「宣言」した。サンフランシスコ平和条約締結から5年後のことである。まぁ、その実質的な内容はともかく日本はサンフランシスコ平和条約で「独立」をし、戦後復興期を経ての5年後には「もはや戦後ではない」と言い切ったのだ。そこいらじゅうに戦災の痛みがまだまだ残っていたその時期にである。
鳩山一郎、石橋湛山、岸信介と政権を経て池田勇人内閣(在任1960年~1964年)で「所得倍増計画」をぶち上げ、そしてそれを見事なまでに達成させた。人それぞれの見方、考え方、捉え方はあるとは思うが、それまでの「政治の季節」から「経済の夢」へ国民を向けさせたのだ。もっとも「戦後」は、ボディブローを受けた如く、ゆっくりと重く覆いかぶさりながら、今現在でも引きずっていることは、先の安倍政権が「戦後レジームからの脱却」を掲げたことでもあきらかではある。

「日本と沖縄の関係性をリセットする」
山路さんのこの言葉は、これはとても重要な視点だと思います。
リセットするためには、先ずは、その両者ともが「清濁併せ吞み」お互いを思いやる努力をし、信頼関係を再構築させることが基本中の基本です。
この両者にはお互いに欠けるものがあり、それはお互いを「補えるもの」であり、この「補う」という事が、双方にとっても明るい未来・可能性のある未来へ繋がるものだと、私は確信しているからです。この事に一刻も早く気付くべきなのです。

日本政府は「もはや戦後ではない」と64年前に「宣言」した。
池田勇人は「所得倍増計画」をぶち上げ、そして「成し遂げ」た。
資源もない小さな島国日本を「やれば出来る」んだ、という「自信を持たせた」ことは紛れもなく池田の功績であり、今一度その功績と軌跡を学び、考えてみることは決して無駄なことではないはずだ。

沖縄地元メデァが「県民の拠りどころ、アイデンティティーだと叫ぶ首里城」は、一世一代の大芝居を成し遂げ「朽ち果て」た。
今沖縄に必要なことは何なのか・・・・と、
またまたボケーーーっとしながら考えたりしてます。


                                                                                                大阪都構想住民投票の日に

 

2020年11月 1日 (日)

日曜写真館 空は朝焼トマトの紅

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朝焼の汚れた雲を洗濯する 富澤赤黄男

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朝焼のうつくしさおわかれする 種田山頭火

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子も秋へ朝焼雲は母が見て 細見綾子

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朝焼ほのか藪ひたす水のあふれ落つ 種田山頭火

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