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2020年11月16日 (月)

大統領選挙はディールフェーズに入ったようです

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先週土曜日に、プーチンがとんでもない暴露をするかもしれないという「期待」を書きましたが、あくまでもそれは可能性です。
プーチンがバイデン政権ひとつを吹き飛ばすに足りる地雷をもっていることはたしかでしょうが、それをどの時期に、どうやって使うかはプーチン次第だからです。
小川和久氏が述べているように、プーチンがもっているウクライナカードの選択肢はふたつあって、かならずしもトランプの肩をもって今それを使う必要はないのです。

「一つは、バイデン氏を大統領就任辞退に追い込み、トランプ氏を勝利者にするというもの、いまひとつは、水面下で「ロシアを最大の脅威」とするバイデン政権に証拠を突きつけ、米国との懸案事項(新戦略兵器削減条約の延長など)で主導権を握り続けるというものです」
(小川和久『NEWSを疑え!』第910号(2020年11月12日)

要は、トランプ次第です。トランプが撤退戦を始めたら、プーチンとしてはもう応援する意味は消滅します。
むしろ菅さんのように、「どうバイデン政権とつきあうのか」という現実的対応に切り換えるべきでしょう。

日本ならハッキリしています。
「自由で開かれたインド・太平洋地域と法の支配」(クアッド)を来年早々に開かれる日米首脳会談で言質をもぎとれるかどうかにかかっています。
バイデンは現時点では、尖閣についてもグニャグニャ、クアッドについてはなんの言及もありません。
ここを念押ししておかないと、今後4年間の日本の安全保障の基盤そのものが崩壊してしまいます。

バイデンにとって主敵はあくまでもロシアであって、中国ではありません。
バイデンは党内左派が人権、人権と騒ぎ立ててくれないほうが好都合で、中国経済が伸びれば米国経済も伸びるウィン-ウィンの関係だと捉えています。
トランプがこだわった技術剽窃や人材流出を規制するために、輸出規制管理をすれば米国経済が自分で自分の首を締めると考えています。
この考え方はバイデン特有のものではなく、米国財界・金融界などの米国メーンストリームのオーソドックスな考え方だと考えたほうが良いと思います。
ですからトランプと民主党左派は、立場は正反対ですが、米国傍流の考え方だということを認識しましょう。

一方中国にとっても、ボンペオ演説で明らかになったような全体主義対民主主義という切り口や、民主党左派のような人権擁護で攻め込まれれば、中国は一切の妥協を拒否することしかできません。
これは輸出管理規制強化や関税とは違って、中国にとって共産党独裁は交渉する余地がない次元のことだからです。

トランプは対中政策で人権に踏み込むのはためらった節があります。
ウィグルや香港については、むしろ議会民主党や共和党保守が強く批判しましたが、トランプ御大は最後まで腰が引けていました。
彼にとって、米国の利害に直結する先端技術のコピーには神経を尖らせましたが、人権のような理念的なことをやりたくはなかったのかもしれません。
しかし政権内のポンペオやペンスはそれを許さずに、どんどんと人権方向に舵を切っていったようです。

中国にとっては意外にも、トランプが経済分野での締めつけに終始してくれれば、関税などいくらでも妥協の余地があります
しかし、ポンペオや民主党左派のように中国の政治体制そのものの批判が始まったらどうにもなりません。
ですからある意味で、むしろトランプのほうが交渉可能なだけ与しやすいと考えても不思議ではないのです。

一方バイデン政権はリベラル左派が大きな力をもつはずです。
バイデンは民主党候補者選びのプロセスでは、いっこうに冴えない年寄りのロバのような存在でした。
オバマのようにスピーチは冴えない、見てくれは老人、カマラ・ハリスにはコテンパンに論破されてヘロヘロになるわと、とうに旬を過ぎた政治家と見られていたために、中盤まで5位をつけるのがやっとでした。

それが一気に候補者選びレースでウィナーとなりえたのは、ひとえにBLMデモの追い風があったからです。

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バイデンはこの空気を巧みに取り入れただけではなく、おそらくBLMと何らかの秘密協定を結んだのではないかと見られています。
その現れが、ハリスという黒人女性の党内左派を副大統領にすることでした。
もちろんこれはただの始まりにすきません。今後、BLMはジョージアの上院議会選挙でBLMが口走ってしまったように、「これだけ力貸したんだから分け前寄こせ」という論功報奨を求めて来ます。
バイデンは左寄りの中間派ですから、国内政治では党内左派を立てつつ、対中政策では人権色彩を抑えるのかもしれません。
中国がバイデンを読みかねていたのは、このようなバイデン政権のあいまいさがあり、それが祝辞の遅れにも現れたようです。

さて、トランプは後退戦に移行しています。
後退戦の意味とは、名誉ある幕引きと、次につなげる保証をなんらかの形で取り付けることです。
私は何らかの形でバイデンとのディールにかかっていると見ます。
つまり勝った負けたの次元から、どうかっこよく負けるかという引き際、そしてトランプ政権の成果の継続の保証が得られないと、トランプが側近に漏らしているという「2024年の再出馬」は夢物語となってしまうからです。
おいバイデン、交渉に応じろ、さもないとホワイトハウスに籠城すっぞ、とトランプだと言いかねません。

こういった情勢で、プーチンはウクライナ「地雷」を使うでしょうか。
たしかに、今、ジュリアーニが出しているようなスキャンダルは氷山の一角にすぎません。
中露に握られているのは、バイデンの馬鹿息子が仕出かした近親ハレンチ事件や中国との不明朗な癒着による不正蓄財などにとどまりません。
政府機関や民主党要人のスキャンダルを大量に中露に押さえられています。
問題はどのように暴露するのか、あるいはしないことで貸しを作っておくか、という判断です。

プーチンが回避したいのは、中国の代わりにロシアを主敵とするかつての冷戦構造に戻る事態です。
さらにウクライナ侵攻による経済制裁を緩めさせ、さらには新戦略兵器削減条約の延長などで主導権をにぎるつもりです。
この目的に近づくために、ウクライナ「地雷」をどこで使うか思案のしどころでしょう。
トランプのために使う義理はありませんし、そもそもトランプが負けを認めてしまってからでは遅すぎます。

ところで大統領選の結果ですが、残念ですが全体状況としては、トランプの敗北はもはや決定的です。

「米大統領選、全50州で勝者決まる 米報道
複数の米メディアは13日、大統領選で勝敗が明らかになっていなかった南部ジョージア州で民主党のバイデン前副大統領が、同ノースカロライナ州でトランプ大統領がそれぞれ勝利を確実にしたと報じた。これにより、全50州と首都ワシントンの勝者が判明した。全米538人の選挙人の過半数270人以上を争う大統領選で、バイデン氏が獲得したのは306人、トランプ氏は232人となる。7日時点で、選挙人の270人超を確保したバイデン氏の当選がすでに確実になっていた」(日経11月14日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66235710U0A111C2I00000/

まだ再集計しているジョージアが残っていますが、306対232と74人の差が開きました。これだけ開いてはいかんともしがたい。
再集計したとしても、「数千から数万票ていどの票がトランプに乗せられるだけだ」という観測もありますから、逆転はそうとうに難しいと見るべきです。

「選挙法の専門家の間では、トランプ氏の法的な訴えは、選挙結果を覆すための意図的な操作や不正というよりも、有権者や行政側による意図せぬ間違いや一般的な過ちに言及しているにすぎないとの見解が大勢だ。
不正行為は時に起こるが、通常は比較的少ない票にしか影響を及ぼさないという。 集計や誤りを巡る係争は、問題の票を無効とするか(通常は結果を覆すほどの数はない)、開票手続きを変更することで解決されることが多い。裁判所が選挙のやり直しといった異例の措置に踏み込むのは極めてまれだ」
(ウォールストリートジャーナル11月14日)

集計に不正があったとしても、結果を変えるほどにはなりえないということです。
つまりトランプはもはや正面戦では勝てないということです。
私としても不本意ですが、これが事実です。

残る可能性は、私も先週なんどか書きましたが、不正選挙を叫んで戦うことです。
これが立証されれば逆転もありえますが、法廷で判事や、弁護人の反証に耐えるだけの物的証拠と証人が必要です。
これが弱い。

不正選挙について、米政府のサイバーセンュリテー機関が否定してしまいました。

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ロイター   

「米国土安全保障省傘下のサイバーセキュリティー専門機関(CISA)がウェブサイトで声明を公表した。そのなかで「根拠のない主張や誤った主張がたくさん出ている」と指摘。「票が取り除かれたり、紛失されたり、改ざんされたり、不正アクセスを受けたりした証拠は一切ない」と結論づけた。
得票数が僅差だった州では「紙の記録が残っており、数え直すことも可能だ」と説明する一方で、11月3日の選挙は「米国の歴史上最も厳重に行われた」とも強調した。
米メディアによると、トランプ氏の主張に反する声明を出したため、CISAでは高官が相次ぎ辞任を迫られる可能性がある。12日には副長官が辞任しており、長官も近く解任される恐れがあるという」(日経11月14日 )
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66235650U0A111C2I00000/?n_cid=DSREA001
OTECT2020 RUMOR VS. REALITY
https://www.cisa.gov/rumorcontrol

SNSで大量に出た不正の証拠は、ことごとくルーマー(噂)として具体的に否定されています。

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9日、会見するトランプ陣営の法務顧問、マット・モーガン WSJ 

止めは、トランプ弁護団の一部が撤退したことです。
これがCNNやニューヨークタイムスあたりだと針小棒大かもしれませんが、保守系と言われるウォールストリートジャーナルの報道です。

「トランプ氏主張の「選挙不正」、弁護団も及び腰
ドナルド・トランプ米大統領は、今回の大統領選で不正が横行したと訴えている。だが、弁護団の一部は、トランプ氏の主張が正しいとは考えていないことを法廷の場で示している。 トランプ陣営と共和党の支持者らは、複数の激戦州で選挙結果に異議を唱えて訴訟を提起した。選挙結果の認定阻止、一部の票を無効にすることなどを求めている。だが、担当判事からの質問に対し、少なくともトランプ氏の弁護士2人は「選挙が盗まれた、もしくは不正があった」とする訴えを撤回した。
また、トランプ氏側の弁護団で、不正を示す証拠はなかったと証言した事例もあった。弁護団はまた、不正の証拠だと唱えるものをなかなか訴訟に盛り込めずにいる。判事が「認められない、もしくは信頼できない」として退けているからだ。州務長官や連邦機関、選管幹部らを代表する組織連合は12日、選挙期間中に投票システムに欠陥があったことを示す証拠はないと表明した」(WSJ 前掲)
https://jp.wsj.com/articles/SB10758813306589814436304587097014138748818

う~ん厳しい。ホワイトハウスの報道官のモデルのようなねぇちゃんが、うず高く宣誓証言を盛り上げましたが、これを判事が「認められない。信頼できない」として退けているそうです。
たとえばこういう法廷でのやりとりがあったようです。

「ペンシルベニア州モンゴメリー郡の数百票を巡って提起されている訴訟では、トランプ氏の弁護士であるジョナサン・ゴールドスタイン氏が、判事から不正が行われたと主張しているのかと追及される場面があった。
 ゴールドスタイン氏は当初、明確な回答を避けたものの、判事は「具体的な質問をしており、具体的な回答を求めている。これら592票に関して、あなたは何らかの不正があったと主張しているのか?」と詰め寄った。これに対し、同氏は「私が現在知る限り、答えはノーです」と応じた。 こうしたやり取りは、選挙で不正があったと強調するトランプ氏のPR戦略と、弁護士が実際に法廷の場で主張できることに大きな相違があることを浮き彫りにする。法廷では、弁護士が職業上の責任の範囲内で発言できる内容や、どのような証拠が認められるかについて、厳格な規定が適用される」(WSJ前掲)

やはりそうか。恐れていたとおりです。私はいまだ選挙犯罪が行われたことを疑っていますが、法廷技術的にそれを証明することは極めて至難であるというのが現実です。

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ロイター

一方トランプの天敵のニューヨークタイムスはトランプ撤退か、と書いています。

「トランプ米大統領は、バイデン前副大統領が正式に大統領選の勝者に認定された場合、2024年の次期大統領選に立候補する計画を発表すると周囲に伝えていることが明らかになった。米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。トランプ氏が一部の顧問に方針を伝えた。トランプ氏は大統領選の敗北を認めておらず、法廷闘争を継続する構えだ。複数の顧問は、法廷闘争を通じて選挙結果が変わる可能性は非常に低いとトランプ氏に伝えているという」
(日経11月14日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66235910U0A111C2000000/

書いているのがほかならぬ米国の朝日であるNYTですから願望も含まれているとしても、ウォールストリートジャーナルの報道と重ねるとさもありなんかもしれません。
私がトランプの法律アドバイザーならば、法廷では勝てない、連邦最高裁にいっても変わらないし、第一そこまでたどり着けないと進言し、なんらかの名誉ある撤退と、むしろ次への手がかりを作ったらどうか、と提案するでしょうね。

このような状況では、プーチンは「地雷」を炸裂させることはできませんから、むしろバイデン政権ができてからのゆすり、おっと失礼、秘密交渉材料に使うでしょう。

 

※まちがって最初、資料にするつもりで福島さんの記事をアップしてしまいました。すいません。

 

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コメント

いや、たまたまタイミングで連続記事読んじゃいましたけど···どんだけ記事書くのに労力割いているのやら?とブログ主が心配なレベルです!

うーん、完全にトランプは四面楚歌になりつつありますけど、まだ敗北宣言しないというしぶとさは見習いたいほどですね。
そういう制度なんだから、見苦しい抵抗に見えてもやれる事は最後までやり切る!というね。。
これをダメだというのは米国大統領選挙制度そのものに欠陥があると認めているようなわけですから。。


 ANTIFAやBLMなど過激に見返りを求める連中、環境問題とかフラッキング禁止問題もあり、米経済界が期待する中庸性をバイデンはどう発揮するのでしょう。
何やら就任前から満身創痍に見えるし、本来のバイデンの立ち位置を回復するには上院共和党多数になる方が自由が利きそうですね。

トランプ派の勢力は消えないでくすぶり続けて沈潜化するし、「ディ―ル局面」と言っても共和党主流派だけが対象だと思います。
ただ、バイデンはイスラエル大使館はそのまま、とも言ってますね。
カギはトランプのレガシーを正しく認める事ですが、極左が支援者では無理でしょう。

どのみち米国民はバイデンに投票したのではなく、アンチトランプに投票したもので、最初から求心力がない歴代最弱クラスの大統領になるでしょう。
ただ、バイデンファミリーが得た中国マネーは習と対立する江沢民派からだったし、クリントン以前は対中強硬派だった事でも思い出して希望をつなぎましょうか。

そんなにいろいろな団体から金を貰っていれば、結局何も出来ない政権になりますね。膨張する中国にとっては御の字でしょうけれど。

山路さんの仰る通り、勝利によって中国の結束が崩れることに期待したいですね。
日本も2009年に民主党が政権を奪取した瞬間からそうだったし、独裁国家ならなおのこと苛烈な争いになるでしょうから。

トランプの目的は裁判に勝つ事よりも、バイデン陣営への疑惑を煽って少しでも多くの泥を塗る事にシフトしていると思っています。
4年前に自分にやられた事をやり返すわけです。
これまで「上手くいかないのは全部トランプが悪い」という御旗で纏まってきただけに、その諸問題を早急に解決出来なければ有権者は簡単に手のひらを返しますし、内部では責任の押し付けあいが始まります。
そしてトランプに投げつけられた泥がその破滅を加速させていきます。

個人的に感じていたトランプの強さは「あえて清廉潔白でないことを自他共に認めている事」だと思っています。
多少の失敗や失言は「まあトランプだし」で大目に見てくれる雰囲気を作ってしまった事です。
(それに振り回される諸外国の首脳はたまったもんじゃないでしょうが)
んでもってバイデンはその逆をいく「経験豊富で理性的、平等で判断と決断力がある人物」として祭り上げられてしまった以上、このクソ高いハードルを越える事が当たり前と評価されます。
まあ無理でしょう、第一そんな体力すらないですもの。
まず国内のコロナ対策からしてファイザーのワクチンがスケジュール通りに製品化され、発表通りの効果を発揮しなければ政権の出だしから大炎上する可能性すらあります。

一方日本政府ですが、民主党がアジアに興味が薄いのならそれを利用し率先してイニシアティヴをとって行く必要があるので、それが先の前のめり過ぎではないかという電話会談に現れていると思います。
しかしそこはかつて韓国が美味しい汁を吸っていた土壌だけに彼らも簡単には譲らないでしょう。
とにかく事なかれ主義で一方的に韓国にマウントを取られ続けたオバマ時代の失敗だけは繰り返してはいけません。
今度の失敗は台湾、尖閣といった取り返しがつかない代償を払わされる可能性が高いからです。

絶対に負けられない戦いが始まろうとしています。

私も開票開始2~3日は、バイデン政権に足枷を嵌めるための後退戦術が現実的と思ってました。
しかし、ジュリアーニ辺りの早すぎる動き(真偽はまだ分かりませんが)等を見るにつけ、これは単なる後退戦術ではなく、ハンニバルの後退包囲陣形や島津家の釣り野伏せのような気がしないでもないのです。
どのみち、トランプ大統領には、集計のし直しでは光明は見えず、不正選挙を立証してバイデン陣営の正義や正統性を根本から打ち砕かなければ勝利は遠いでしょう。
今回ほど、正しい情報を得ることの難しさを感じたことはありませんでした。
この狂騒の幕がどう引かれるのか、注視したいと思います。

 トランプさんが勝つという方に賭けます。民主党やバイデン支持者たちの行動はアメリカを破壊しそうで恐ろしい。アメリカが根本から変わって欲しいのです。

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