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2020年12月

2020年12月31日 (木)

米軍の世界的戦略転換とは

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今年最後の更新となってしまいました。
今年もこの拙いブログにおつきあいいただいて、ありがとうございました。

さてトランプは、大きな戦略シフトの転換を図っています。
今月に入って、また重要な戦略転換が行われました。

ひとつは中東の不良債権からの足抜きで、トランプはアフガン、イラクからの段階的撤退を命じました。
12月28日、トランプ大統領は「果てしない戦争は終わらせる」として、アフガン駐留米軍を4500人から2500人、イラク駐留米軍を3000人から2500人に縮小し、ソマリア駐留米軍700人の大半を現地から撤退させる方針です。

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Pars Today

現状では、アフガニスタンのアルカイダは数百人規模にまで減少し、シリア・イラクのISも小規模なテロ集団となっています。
もちろん、イエメンのアラビア半島のアルカイダや、北アフリカのアルカイダ、ソマリアのアルシャバブなど群小のテロ組織は残存し続けますが、以前ほどのように複数の国家の大部分を支配するような勢いは失せています。
先進国へのテロ攻撃も減少していますので、十数年にわたって米国を苦しめた対テロ戦争はそろそろ手仕舞してもいい時期なのです。。

アフガンのような独立心が極めて強く外国勢力と戦ってきた民族国家にこれ以上駐留を続けるのは無駄であるばかりか、やがて旧ソ連のように国力を疲弊させて国全体がおかしくなります。
できるだけ現地化を計るしかないのであって、これは避けて通れない道であり、トランプは公約を実現したのです。
かつての南ベトナムの崩壊のようになることは充分考えられますが、だとしてもそれはアフガン人が自ら選んだことなのです。

中東に伸びきった戦線は2正面作戦を米軍に強いてきました。
ひとつは中東正面、そしてアジア正面の二つですが、今どちらがより大きな脅威なのかは考えるまでもありません。
今のように薄く広く世界に展開させてしまった米軍のシフトでは、準同盟関係にあるイランと中国が歩調を合わせて中東とアジア・太平洋で攻勢に出た場合、完全に破綻します。
米国の軍事力はかつての絶対的優勢からレベルダウンしており、外交的軍事的余力はマンパワーひとつ見ても、もはや限界を超えています。
米軍の軍事的ポテンシャルを整理し、対中国に全面的に注ぎ込もうということです。

そして2番目が、台湾保証法を成立で、台湾に強力な軍事的支援を贈ろうとしています。

「(ワシントン中央社)トランプ米大統領は27日、2021 会計年度の連邦政府予算案に署名し、一体化されていた「台湾保証法」が成立した。台湾への武器売却の常態化や台湾の国際組織への参加の支持を米政府に促すほか、国務省への台湾との関係見直しの要請などが盛り込まれている。
同法は、断交後の台湾との関係について定めた「台湾関係法」を基礎に、さらなる関係深化を目指すことが目的とされる。米政府は台湾の「非対称戦力」の発展を支持するとし、武器売却の常態化で台湾の自己防衛能力の強化を支援する立場が示された。
また、国務長官には成立から180日以内に、台湾との関係に関する書類やガイドラインの検討、高官による相互往来・交流を促す「台湾旅行法」の実施の状況などについて上下両院の外交委員会に報告することが求められる。
これに加え、予算案には、台米日の交流プラットフォーム「グローバル協力訓練枠組み」(GCTF)の活動費用として300万米ドル(約3億円)が組み込まれた。
外交部(外務省)は28日の報道資料でこれらに言及し、「米国の行政機関と議会の超党派の友人が具体的な行動で台湾への支持を示してくれた」と謝意を表明。今後の関係強化に期待を寄せた」(12月28日フォーカス台湾)
https://japan.cna.com.tw/news/apol/202012280002.aspx

内容的には、激しく中国様が激怒しているのをみれば、いかに中国がやられたくないことなのか判ろうというものです(笑)。
単にこれは武器援助ではなく、従来あった台湾関係法の枠組みを一歩乗り越えようとするものです。
これは米国が一方的に動いたというより、習近平が押し進める「戦狼」路線が招いた必然的結果でした。

「また軍事的に見逃せないのが、中台軍事バランスが大きく変化する中で、中国側が台湾海峡の中間線を初めて越えたことだろう。本年3月、中国空軍J-11(殲撃)戦闘機2機が中間線を越えて約10分間飛行した。台湾が主張する中間線を中国は認めていないものの、これまでは事実上の停戦ラインとして機能してきており、台湾側が設定する防空識別圏(ADIZ)とも重なる。米国からもボルトン大統領補佐官が即座にtwitterで中国の軍事的挑発を批判しているし[、後述の通り米海軍は台湾海峡でのプレゼンスを高めている」(村上政俊 同志社大 『トランプ政権下での米台関係の飛躍的な進展(1)』2019年6月26日)
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3161

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中国、台湾威嚇強める: 日本経済新聞

このように既に軍事バランスは大きく中国へと傾いており、台湾軍は旧式の装備で対応していたような状況でした。
またこの間の中国の激しい侵犯によって、台湾空軍は疲弊しきっており、スクランブル機の墜落事故まで生じています。
このあたりの事情は、執拗にくり返される侵犯行為に忙殺されている海保や空自とまったく同じです。

このような台湾の疲弊は、中国のご機嫌を損ねることを恐れて、米国歴代政権が台湾に細々とした支援しかしてこなかったツケです。
歴代米国政権は、中国が発する「ひとつの中国が約束だろう」という大声に負けて、生かさぬように殺さぬようにといったあいまいな政策を取り続けてきました。
これはひとたび中国が怒ると、台湾に侵攻しかねないだろう、だから怒らせないように台湾は故意に放置しておくべきなのだ、という因循姑息な思惑が米国にあったからです。

このような台湾政策は今になると奇妙に見えますが、当時の米国の関与政策といわれる、中国は経済発展するに連れて必ず民主化し、米国と中国が協調して世界を安定化させようとするG2願望と裏腹のものでした。
オバマとスーザン・ライス、そしてバイデンの政権は、習に抱きつかんばかりの政権でしたから、台湾みたいなちっぽけな島なんぞG2の引き出物にくれてやる、と内心考えていたふしさえあります。
毎回おなじみの宮家邦彦氏など、「トランプはいままでの職業外交官の苦心のガラス細工を壊そうとしているんです。ただのど素人。メチャクチャですよ」なんてのたもうておられました。
しかしこういう「職業外交官の努力」の無作為が、台湾をここまで追い詰めてきたのです。

トランプは、この隠微な「台湾放置」の流れを、アジアシフトに大きく舵を切る中で変えてしまいます。
2018年12月に、「アジア再保証推進法(ARIA)」を作り、次いで2018年3月には「台湾旅行法」を制定し、そして今回は「台湾保証法」を送り出しました。

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「アジア再保証推進法(ARIA)は中国の影響力拡大に対抗するトランプ政権のインド太平洋戦略を、外交、安全保障、経済、人権などで包括的に肉付けしており、昨年10月4日のペンス副大統領の対中政策演説に呼応している。中国に対しては、米国が築いたパクス・アメリカーナに挑戦する覇権国家であることを示唆したうえで、「重大な懸念」と位置づけ、市民社会と宗教の活動を制限し、インド太平洋地域にあっては法に基づく国際秩序を害していると指摘した。
 とりわけ、ARIAは「同盟強化」を求め、第1に日米同盟を挙げたのは当然として、インドに対しても「戦略的パートナーシップを同盟国なみのレベルに引き上げる」と明記し、東南アジア諸国連合(ASEAN)については戦略的パートナーに格上げして関係強化を求めている。このためのアジア向け軍事、経済支援に2023年までの5年間に、各年度で15億ドルが国務、国防両省に充てられる」(湯浅博『中国走らす米のアジア再保証戦略』2019年1月24日)

このアジア再保証推進法が、ずばり「自由で開かれたインド・太平洋」、すなわちクアッドを指していることに注目下さい。
この枠内で米国は台湾旅行法で、米政府要人の台湾の往来を活発化させ、そして武器援助として台湾保証法を作ったということです。
もしトランプに2期めがあるのなら、次の一手は電撃的訪台と台湾正式承認が待っていたはずです。

第3に、駆け足になりますが、このような太平洋・インド洋シフトの流れの中で、米海軍も動きました。

「米、インド洋に「第1艦隊」構想 対中国で海軍態勢強化
ブレイスウェイト米海軍長官は17日、海軍関係団体が主催したオンラインのイベントで講演し、インド洋と太平洋を結ぶ海域を管轄する「第1艦隊」を創設する構想を明らかにした。米軍事専門紙などが報じた。中国に対する抑止力を強化するとともに、横須賀を拠点とし、太平洋とインド洋の広大な海域を担当する第7艦隊の負担を軽減する狙いがある。
中国、「戦争準備」本格化 制服組トップ、態勢転換に言及―台湾などの緊張にらむ
 ブレイスウェイト氏は「中国は世界各地で攻撃性を示しており、1812年の米英戦争以降で今ほど米国の主権が脅かされている時はない」と強調。その上で「日本にいる第7艦隊だけに頼らず、インドやシンガポールといった同盟・パートナー国と連携し、最も重要な海域に艦隊を配置しなければならない」と説明した」時事2010年11月18日)

これはアフリカ大陸東岸までの広大な海域を管轄としていた米海軍第7艦隊を、インド・太平洋までの管轄にして、対中シフトに特化させようとするものです。
このような大きな流れをトランプは作ってきたものですが、これはあくまでも本格的戦略転換に向けての取っかかりを作ったにすぎませんでした。
大統領職は2期8年でワンセット。
後半に予定されていた更に本格的なインド・太平洋シフトに取りかかろうとする寸前に、それが盗まれたとしたなら、あまりに残念でなりません。

それでは皆様、よいお年をお迎えになりますように。
更新の再開は4日(月)からです。

 

2020年12月30日 (水)

チベット支援法という大きな贈り物

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トランプは就任当初、「アメリカファースト」というスローガンをあげつらわれて、米国の利害だけにしか関心がないミーイズムの大統領と冷笑されてきました。
そうでなかったことは去年からのウィグル支援法や香港制裁法などで明らかですが、先日これにチベット支援法が加わりました。

12月22日、上下両院を通過して「チベット政策及び支援法・The Tibetan Policy and Support Act pf 2020・TPSA 」が成立しました。
この内容は以下の
8項目からなっています。

①名称 「チベット政策及び支援法 」
②2002年のチベット政策法の修正と再承認
③ダライ・ラマの継承または転生に関する方針の声明
チベット高原の環境と水資源に関する方針
チベット亡命コミュニティの民主主義
文化、宗教、言語の保護を求めるチベット人コミュニティの持続可能性
予算枠の承認
予算効果の決定

②の2002年に出来ている「チベット政策法」を一部修正するもので、「米国チベット問題特別調整官によって、中国政府と接触している全ての連邦省庁に連絡される」とされ、領事館設置もこの項にあります。
中国はもっとも触れられたくないチベット・ラサに米国領事館を建てられ、星条旗が翻っているのを眺めねばならなくなりました。
もっとも新たな領事館設置には、接受国の承認が必要ですのでひと悶着ありますが、、
中国が抵抗するのは自由ですが、すればするほどチベット人権弾圧の惨状を国際社会に明らかにされるきっかけを自ら提供するようなものですがね。

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ダライ・ラマ後継者選びを国連が支援すべき」米特使 中国をけん制

③のダライ・ラマの継承について、中国が勝手に自分が擁立する人物をダライラマにしようとしていることに対するものです。
3項に、このように述べられています。

「チベットの転生プロセスへの中国の干渉は、国際的に認められた宗教的自由の権利の侵害で、中国以外の他の国々には長いチベット仏教の伝統があり、チベット仏教の転生に関連する問題は世界中のチベット仏教徒にとって非常な関心事である」

まさにそのとおりで、ダライラマ継承問題は、人権において言論・結社の自由と並ぶ宗教の自由問題に属します。
宗教の自由を奪う国家に゛自由や人権などどこにもないのです。

「1950年にチベットを管理下に置いた中国政府は、ノーベル平和賞受賞者で83歳になったダライ・ラマを、危険な分離主義者とみなしている。
自分の死後のことについて、ダライ・ラマは、中国政府がチベットの仏教徒に継承者を押し付けようとすると予測した。
「中国は、ダライ・ラマの生まれ変わりを非常に重要視している。私よりも、次のダライ・ラマの方に関心がある」と、伝統的な赤と黄の法衣をまとったダライ・ラマは語った。
「将来、もし自由の国であるこの地から出た人と、中国政府に選ばれた人との2人のダライ・ラマが出てきたときに、(中国が選んだ方は)誰も信じないし、誰も尊敬しない」と、ダライ・ラマは笑って付け加えた。
中国の指導者には、中国皇帝から継承した権限の一部として、ダライ・ラマの継承者を承認する権利があるというのが中国の立場だ」(ロイター2019年3月19日)
https://jp.reuters.com/article/china-tibet-dalai-lama-idJPKCN1R00MT

ダライラマはただの宗教的指導者ではなく、チベット民族の精神的大黒柱ですが、それを奪おうというのが中国の黒い企みです。
第5項で米国はこう述べています。

「ダライ・ラマ14世は、チベットの600万人のチベット人に真の自治を求め」ており、「11年に亡命中のチベット人の選出された代表者に彼の政治的責任を委ねた。この民主主義の原則に従って、選出された指導者に政治的権威を委譲するというダライ・ラマの決定は称賛されるべきである」

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「現在チベット中で、僧と尼僧はダライ・ラマ法王を批判することを強いられ、ダライ・ラマ法王の写真を所持することが禁じられている。彼らは、中国が指名したパンチェン・ラマであるギャルツェン・ノルブへの忠誠を誓い、ダライ・ラマ法王が認めたゲドゥン・チョーキ・ニマ少年を非難するよう強制されている。ゲドゥン・チョーキ・ニマ少年の所在と状態は今のところ不明となっている。これらの規則を破ると、僧院や尼僧院から追放され、拷問を受ける。僧院や尼僧院が閉鎖される場合もある」(チベット亡命政府)
https://www.tibethouse.jp/about/information/destruction/

このダライラマ継承問題はただの宗教問題ではなく、チベット文化そのものを完全否定し、「新社会主義チベット文化」に置き換えようとする中国共産党の政策に基づいています。

そもそもチベット問題の発端は、共産中国が朝鮮戦争や台湾海峡危機のさなかに、軍隊を送ってチベットを軍事占領したことから始まっています。
このような臆面もない領土拡張主義が共産中国の特徴で、同時期に行われたウィグル占領に並んで、中国は領土を3割以上拡げ、いまや南シナ海にまで膨張しようとしています。
しかしこれに対してチベット人は果敢に抵抗を試み、1958年末からラサ蜂起を激化させましたが、翌4月には鎮圧されています。

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文革の狂気の中で紅衛兵らによってチベット寺院や遺跡はことごとく破壊され、多くの僧侶が虐殺されました。
そして習近平は、従来にも増してチベット人から古来の文化や伝統を奪っています。
軍事訓練風の技能訓練などを通じて強制的に同化させるための強制労働プログラムを課し、学校に中国語で教えることを強制するなど、ウイグルや内モンゴルと同じ民族浄化をし続けています。

「チベットや他の少数民族の文化的後進性を証明するために、中国の知識人は「5千年の歴史を持つ漢文化」というフレーズを用いる。チベットに在住する中国の知識人はこの考え方によって、自らの職務はチベット文化を改革することなのだという確信を強め、チベットの文化的遺産がいかに遅れているかを示すことで改革が成し遂げられると信じている。この知的優位性と政府の政治的計画が組み合わさり、一連の宣伝戦がチベットで起こった。その結果、二つの文化が展開した。ひとつは伝統的なチベットの精神文化であり、もうひとつは共産主義によって培養され、チベット文化にも中国文化にも属さない「キャンパス・カルチャー(大学構内の文化)campus culture」(※)である。伝統的な精神文化が封建的支配者の文化として弾劾される一方で、「キャンパス・カルチャー」は社会主義的新生チベット文化として売り込まれた。「キャンパス・カルチャー」は小学校から大学レベルまで教授されるが、チベット社会の現実とは一切関連を持たない」(チベット亡命政府)
https://www.tibethouse.jp/about/information/destruction/

 中国はこのように、独自の民族文化を博物館の見せ物に追い込む一方で、生きているチベット文化を漢民族化させようとしました。
そしてそれに抵抗する宗教者たちを、香港国安法で見せたように国家分裂罪で牢獄に送り込んできました。
いや正確には、チベット・ウィグルで行われていることこそ、香港国安法の先取りだったのです。
下の写真は近年撮影されたもので、いまだ文革当時と少しも変わらぬ所業を続けていることがわかります。

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この民族独自の宗教を奪うことで、その民族に隷属を強いようとする政策は、ウィグルで行われている強制収容所政策とまったく同じです。
ダライラマ14世はかねてから、後継者はチベット人が自ら選ぶべきことだとして、国連の仲介に期待していましたが、国連は安保理に中国がいるかぎり動くことはできませんでした。
そこで、米国がダライラマの正当な後継者選びをチベット人にまかせるように乗り出したわけです。画期的なことです。

⑤は、来年の2021年から25年まで内外のチベット人、およびその支援者たちの人道支援に資金を提供しようというものです。
これも大変に目配りの効いた項目で、中国の少数民族弾圧と戦うチベット人や、外国に逃れた亡命チベット人たちは苦しい生活の中で戦いを継続しています。
中国政府は、国内で容赦ない少数民族弾圧政策をすすめるだけではなく、国外へ逃れようとヒマラヤ超えに挑むチベット人を殺害してきました。

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亡命チベット人について | ダライ・ラマ法王日本代表部事務所

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上2枚チベット亡命政府

このようなチベット人の抵抗運動に対して、なかでも在インドのチベット亡命政権に対しての支援を、米国が明らかにしたことの意義は巨大です。
インド亡命中の中央チベット政権(CTA)のセンゲ大統領は、同法案可決を「チベット人にとって重要なランドマーク」とし、「中国政府当局者によるいかなる干渉も深刻な制裁に直面し、米国への入国は認められないと見做されるだろう」と述べています。

 ④はメコン河源流のチベット高原を中国が支配することによって、東南アジアの水資源を一元的に支配しようとすることに対してのものです。

「チベット高原には、氷河、河川、草地、その他の地理的・生態学的特徴があり、植生の成長と生物多様性を保ち、推定18億人の水流と供給を調節している」が、中国による「チベット以外に電力を送るための大型水力発電ダムの建設や四川-チベット鉄道を含む他のインフラ計画が、チベット人の居住環境を変える可能性がある」(前掲)

私が驚嘆するのは、このチベット支援法が人権分野のみならず、チベットコミュニティや水資源、鉄道まで言及していることです。
中国は、メコン河源流のチベット高原を抑え、多数のダム建設をすることで、下流域のベトナム、タイなどの水資源の喉くびを押さえようとしてきました。
このことに対して初めて大国が言及し、環境破壊と住民保護を訴えた意義は大変に大きといえます。

そして⑦にはその予算措置としてこうあります。

●7項 予算措置 2021年から25年までの会計年度毎の金額
チベット問題の米国特別調整者当局のために年1百万ドル
チベット奨学金計画実施のために年675千ドル
ァンチョペル交換計画(旧教育文化交流計画)の実施に年575千ドル
チベット自治区のチベット人コミュニティと中国の他のチベット人コミュニティにおいて、文化的伝統を維持し、持続可能な開発、教育、および環境保全を促進する活動を支援するために61年の外国援助法に基づき年8百万ドル
チベットの文化と言語の発達、およびインドとネパールのチベットのコミュニティの回復力を促進および維持し、次世代のチベットの指導者の教育と発展を支援するため61年の外国援助法に基づき年6百万ドル
チベットの統治-チベットの機関の能力を強化し、民主主義、統治、情報および国際的な組織的奉仕や研究を強化する計画のために年3百万ドル。この一環でチベットのチベット人を含むチベット人にチベット語で無修正のニュースや情報を提供する放送のためにVoice of Americaに年3,344千ドル、Radio Free Asiaに4,060千ドルを割り当てる。
以上は、中国の迫害の脅威から逃げてきた南アジアのチベット難民のために、食糧、医薬品、衣類、医療および職業訓練を含む人道支援に利用できるようにする。 

なお、議会に有象無象のコロナ追加新法と一緒に提出されたために拒否されたのではないかという報道もありましたが、台湾保証法とともに無事通過したようです。めでたし。

私はトランプが仮に去ることになったとしても、このような巨大な遺産を残したことに深く感謝します。

 

 

2020年12月29日 (火)

完全非核化論はゼロリスク論です

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HYとやら、これが最後です。
あくまでトランプという政治家の癖球をみるために触れたにすぎない北朝鮮交渉に、これ以上時間をとられたくはありません。
というわけで、あまり気が進みませんが、とくにきみへの反論ということではなく考えていきます。

はて、では北はなんのために核兵器で国力すり減らし、民を飢えさせてやってきたのでしょうか。
「大国と対等に」というのは半分正しいが、半分間違っています。
あんな世界最貧国が「大国と対等」になんて、いかなる意味でもなれっこありませんから。

あえてあるとすれば、陸続きの隣国・中国に飲み込まれないためです。
決して表だってはそうは言わないでしょうが、中国が主で、米国はむしろ従です。
北がなにより嫌うのは、中共の政治的介入です。

米国は口やかましく国際ルールを守れと言いますし、韓国の後ろ楯ではありますが、内政に口バシを突っ込んではきません。
しかし中国にはそれが可能です。ここが決定的な米中の違いです。
中国は、経済を握って生かさず殺さずの「支援」の代わりに、北国内で中国の手先を扶植し、彼ら中国派は党軍の最高指導部で実権を握ろうと画策してきました。

金王家が中共をいかに憎悪しているかは、歴代の金王朝が中国派との党内闘争に大きな力を割いていたかを知ればわかりますし、元々金日成が権力を掌握できたのは延安派を粛清できたからです。
また今でも中国をいかに恐れているのかは、正恩のやった中国派の頭目で叔父の張成沢を残虐な処刑で殺したことでもわかるでしょう。

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北が米中どちらを恐怖しているかは、一目瞭然です。
ここを分からないと、中国の力を借りて北を非核化するという外務省型俗論になってしまいます。

あくまでも金王家の権力確立の文脈で核が出てくるのであって、「大国と対等になりたい」なんて願望一般ではないのです。
つまり、むしろ核兵器は金王朝独裁の背骨であって、独裁体制そのものなのです。
だから彼らは北の独裁体制を守るために3代かけて核開発をし、他の大量破壊兵器と共に密輸することで資金源にもしてきたのです。

そしてその中で作られた北朝鮮特有のメンタリティは、核こそ力の根源であるという一種の核信仰でした。
彼らは核を手放すくらいなら、国が滅んでもいいとすら思っているのです。
この核に対する思いとでもいうことの重さが理解できないと、北の核を論じられません。
こここそがリビアのカダフィと北が決定的に違う点ですし、カダフィは核を奪われると、後にCIAが画策した「アラブの春」で抹殺されてしまいました。
正日や正恩はこのカダフィの顛末をよく知っていて、その二の舞はしないと決心しています。

結論を言えば、北は核を手放さないでしょう、仮に国が滅びても、です。
核は金王家の力の源泉であって、かつ統治の象徴なのですから、核を手放す時は金王家が滅ぶ時です。
これについては黒井文太郎氏などが同じことを書いています。

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ロシア軍が北朝鮮入りか…米中韓戦争なら三沢基地に核ミサイル飛来..

ただし、北の核は「使えない核」です。
他の核保有国もそうですが、核は等価報復されてしまえば自国も滅んでしまうし、北の権力の源泉である至宝を消費したらお終いだからです。
北の場合、在日米軍が駐留しその家族までが住む日本を核つきノドンで撃ってしまったら、10倍返しの報復核攻撃を受けるくらい三才の子供でもわかりますからね。

だから、このような北の核をわが国や国際社会への政治的脅迫に使わないようにMD (ミサイルディフェンス)を構築したり、敵基地攻撃能力といった受動的抑止力をもたねばならないのです。
具体的には問題が多くありますが(それについては書いてきました)、わが国は淡々とMDで自国民を守るだけのことです。

では、今持っている核をどうするのかですが、北はカダフィのように完全非核化で締め上げていって手放すほどやわではないということです。
ならば「使わせないようにする」、つまり事実上の無効化ができればいいと、トランプが踏んでどこが間違っているのか、逆に聞きたいくらいです。

HY氏が言っているのは、一種の核兵器版ゼロリスク論、言い換えれば「100点満点論」です。
北が核を手放すことは至難の極である以上、次善を考えねばなりません。
いや核兵器は残り続けるから危険だ、とHY氏のように言い続けてみてもなにひとつ解決しません。
ここで私がトランプ的と思う解決方法が、先に述べた仮に持っていても使えないようにすること、すなわち事実上の無効化です。

ここがわからないと、HY氏のように、どうやったら完全非核化ができるかその道筋を明らかにしないまま、完全非核できずに引っかき回しただけだとトランプを批判しているだけになってしまいます。

私は比較衡量でものごとを考えようとしているので、どこと較べて「進んだ」のか、それはグッドとバッドのどちらが大きいのか、と常にかんがえてしまいます。
世の中、完全にグッドはめったにないし、バッドだけでもない以上、どちらが大きいかで判断するわけです。
完全解決がむりなら次善を選択します。
この場合、かつての取っかかりひとつなくひたすら国連制裁一本槍だった当時からすれば、現状の凍結状態は飛躍的にグッドで、それは核が残っているかもしれないというバッドの側面よりはるかに大きいといえるのです。

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ところで私はボルトンの完全非核化論を支持していました。
それはトランプと組んでいたからで、彼がトランプのマッドマンセオリを象徴していたからです。
ボルトンはリビアでの非核化の担当者でしたから、ボルトンを据えたということはリビア方式をするぞ、お前はカダフィのように死にたいのかという強烈なメッセージでした。
これがトランプが交渉ごとにおいて最初に投げる、打者にぶつかりかねないクセ球で、彼がマッドマンだといわれる所以です。
いつ本気でぶつけてくるかわからないからコワイ。
だから、私はトランプがボルトンを解任したことは、いまでも残念に思っています。
なぜならトランプにとっても、得意のマッドマンセオリの危険球を使いにくくしてしまったからです。
トランプがもう少し辛抱強かったらとも思いますし、ボルトンが交渉の呼吸が判るタイプでなかったことが惜しまれます。

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ロシア軍が北朝鮮入りか…米中韓戦争なら三沢基地に核ミサイル飛来や北 ...

結局、トランプはボルトン路線を捨てて、今のグレーゾーン(凍結状態)で一呼吸置いて、あとはまた対処療法を施すしかないと見極めたのでしょうね。
それで今はよしとする、そういう見切りをトランプはしたのです。
この決断は、これ以上北の非核化に深入りすると、中国との宥和路線に傾斜しかねないからです。

ただし、ここで交渉は中断するとは言いません。第3回を匂わせることで正恩は核開発の凍結を継続せざるをえないからです。
北が第2回移行、韓国向けの短距離弾道弾の発射だけに限定しているのはその重しが効いているからです。
このようなことは口で言うわけがありませんが、その後の米朝の動向をみていればすぐにきがつくことです。

ただトランプにやり残したことは沢山あるのは事実で、なんといっても北の核の検証を認めさせることができなかったことは課題として残りました。
検証さえできれば、北のベールに包まれた核の実態が判るからです。
もし第3回があるなら、検証する権限をめぐってになるかもしれません。
あくまでもあればで、ないかもしれません。
バイデンなら、かつての海上封鎖の段階まで戻って、こと次第では空爆くらいするかもしれませんが、そんなことをすると中国を喜ばせるだけなんですがね。

米国が引きずり込まれた、いや引きずり込んだんだなんて、しょせん主観の問題にすぎません。
米国みればこう見える、北からみれば違うというだけのこと。
直接会談は北にとって年来の夢だったなんて常識ですし、こういう独裁国家には頂上作戦しかないのです。
そもそもトランプが決断せねば、直接会談自体がなかったし、歴代の大統領、たとえば「核なき世界論」のオバマになんぞそれができたなんてまるっきり思いません。
そもそも民主党のクリントン当時、核施設を爆撃をしていたら、とっくに終わっていたことなのです。
トランプは民主党の屁たれの尻ぬぐいしているだけともいえるのです。

今後ですが、ゆくゆくは長距離核の廃棄、中距離核(ノドンなど)の削減といった核軍縮を目指すべきでしょうが、核拡散防止条約の枠組みに入れるか入れないかは、米国が単独で考えることではありませんし、検証作業をして実態を把握せねばなにも始まりません。
しかしそれを今議論すべき時期ではないということ、今は「凍結」を維持するだけで充分です。

北に外交的力を集中して、ましてや戦争なんかしてしまったら、喜ぶのは中国だけだからです。
北国内での戦闘行為は、中国の容認を前提とするしかないからです。
下手すりゃ、中国軍が平和維持軍名義の看板をかけて、北に陸上部隊を入れられてしまいますからね。

そして中国へこんな借りを作ると、それは対中制裁の緩和などの融和策とワンセットですから、使えるか使えないかわからないような北の核と引き換えにするのは馬鹿げています。
最大の脅威はあくまでも中国なのですから、そこのところを間違えないようにしましょう。

HYさん、2回にわたって記事で丁寧に説明したつもりです。
これで終わりとします。

 

■年末年始の更新について
真面目というか、貧乏性なので、31日までは平常どおりの更新をいたます。
元旦はご挨拶だけとして、2、3日と正月休みとさせていただきます。
更新再開は、4日(月)からです。
おお、5日は海の向こうでは上院議員決戦日、そして6日は運命の日ですぞ。
休んでなんかいられません。

 

2020年12月28日 (月)

組織的侵入をしていた中国海警

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世界が大統領選に気を取られているうちに、中国は「やるべきこと」をやっています。
そのひとつがオージーに対する過熱化した輸入制限であり、そしてわが国に対しては王外相の尖閣領土発言とその裏でエスカレートする一方の領海侵犯です。

この間の中国公船の侵入パターンには、従来と較べて明らかな違いが見られます。
たとえば12月9日のケースでは、中国公船は4隻で船団を組んで長時間に渡って領海侵入を繰り返しました。

中国海警局の船による日本の領海侵入は、11月7日以来で今年22回目。
本土ではまったく報じられていないので、現地の八重山日報(12月10日)を見てみましょう。

「第十一管区海上保安本部によると、9日午前9時43分ごろから尖閣諸島(石垣市登野城尖閣)周辺の領海に中国海警局の船4隻が相次いで侵入、約1時間半後に領海を出た。中国公船が尖閣周辺で領海侵入したのは11月7日以来で、今年27日目。
4隻は、機関砲のようなものを搭載した「海警1303」のほか「海警1301」「海警1302」「海警2502」。
加藤勝信官房長官は記者会見で、首相官邸の情報連絡室を官邸対策室に格上げして情報収集や分析に当たり、中国政府に抗議したと説明。「誠に遺憾で、断固容認できるものではない。わが国の領土領空領海を断固として守る方針のもと、関係省庁と連携していく」と述べた。
日中関係に関する認識を問われ「中国は世界第2位の経済大国で、日中関係は日本にとって重要な二国間関係の一つだ。引き続き首脳会談や外相会談などハイレベルな機会を活用し、主張すべきは主張し、中国側の前向きな対応を強く求める」と述べた。
日本政府は11月下旬に来日した中国の王毅外相に対し、尖閣周辺での中国公船の活動に関する懸念を伝えたばかりだった」
中国船4隻が領海侵入 尖閣周辺、今年27日目 | 八重山日報  

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中国公船(右)と並走する海上保安庁巡視船(左)=2013年8月7日、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺海域(石垣市の仲間均市議提供)

次に、海上保安庁が発表している中国公船の領海侵入回数グラフを見てみましょう。Image01_20201228025501

この日のニュースだけを見ると、これまでの領海侵入と同じと感じられるかもしれませんし、こういう中国の侵犯常態化は日本の世論を麻痺させるためのものなのです。

さて侵入パターンは、12月8日から15日を除いて連日接続水域に侵入し、うち9日にはこの4隻がそのまま領海に船団で侵入しています。
また23日には、接続水域に入った4隻のうち2隻が領海侵入をしています。
特徴的なことは中国公船が「4隻」で船団を組んでいることです。
2020年に入ってからこの侵入船団は4隻でチームを組み、毎月15日に1ヶ月ごとの交代をし、別に1隻は予備船で随時リリーフしているようです。

またもうひとつの特徴は、古い巡視船タイプの1000トン級に代わって、その3倍の大きさの3000トン級に交代させたことです。
これは12月に入って冬季の荒天のためだともかんがえられますが、大型の軍艦まがいの公船を侵入させています。
大きさを比較すると、中国公船は八重山漁師の漁船からは小山のように見えるそうです。

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この3000トン級公船は、2013年から2-3年間で作られた軍艦型のもので、船型を見ると船体と、船橋構造物からヘリ格納庫までを一体化して、搭載艇(RHIB)と救命艇の設置場所のほかにスティルス性を考慮したような凸凹を作らない異様な構造となっています。
東シナ海を管轄する海警東海分局には、この3000トン級が8隻が配備され、海監型3000トン、級漁政型3000トン級、そして海警2301型の3種類があるようです。

通常、沿岸警備隊型艦船はあくまでも海上警察活動をしているのであって攻撃任務に就いているわけではありませんから、むしろ相手方のレーダー反射面が大きいほど任務に適しているわけです。
それを相手方に見つからないようすることを主眼とするスティルス・タイプを新造し続ける神経が理解できません。
あんたら警察だろ、海軍のつもりか。

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海警2301 3000トン級

そのとおり、彼らは海保の仮面をかぶった海軍もどきです。
いちおう海警と名乗って、船体にはチャイナコーストガード(中国沿岸警備隊)とデカデカと表記しているにかかわらず、一般の国とは違って中国海警は2018年7月に、中央軍事委員会が直接指揮する武警傘下の海警総隊(中国海警局)に再編統合されています。
つまり中国公船とはいうものの、指揮系統は中国海軍に連なります。

では、日本側に何ができるでしょうか。
現在大型巡視船を八重山に派遣することでしのごうとしていますか、いかんせん海保全体の予算がイージス艦一隻とどっこいくらいの額ですので、巡視船の多くは痛みが激しく、海保職員の疲労も限界に近づいていると言われています。

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海保巡視船うるま

それだけにとどまらず、法的な措置が遅れています。
中国は領海法を一方的に制定し、法的根拠にしていますが、わが国にはそれに相当するものがないのです。
領海に他国の船舶が侵入した場合、直ちに「領海侵犯」事案として実力で排除できるのかといえば、できません。

領海侵犯が成立するためには、以下の条件が成立せねばなりません。

①侵入した船舶が、政府公船・軍艦であること。
※民間船の侵入は、単なる不法入国の範疇だから扱いが別枠。
②侵入した外国公船が国際海洋法の無害通航権を犯した場合。
※無害通航に当たらないと領海国が判断した場合のみ、初めて排除宣言が可能。

中国公船・軍艦は国際海洋法により無害通航権を有していますから、現在の領海侵犯行為に対してもそれが適用されます。
日本側はそれに対して領海であることを強く警告できますが、砲を旋回させたり、艦載機をとばしたり、調査行為などしないかぎり合法です。
日本人としてはふざけるなと叫びたいでしょうが、今回のような中国公船・軍艦は国際海洋法により無害通航権を有していますから、現在の領海侵犯行為に対してもそれが適用されます。
中国船を排除できるのは、日本のEEZ(排他的経済水域)で違法操業した民間漁船の場合に限ります。
日本と中国は日中漁業協定を結んでいます。実に細かく水域がゾーニングされているのでご注意ください。
日中漁業協定 - Wikipedia

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1997年の日中漁業協定によって、他国のEEZ内で操業する場合には、相手国の許可が必要です。
中国漁船が日本のEEZで操業するなら、日本の許可が必要です。
ここで問題となるのは、日中漁業協定で棚上げとなっている海域があることです。
それは
北緯27度線以南の海域で、この27度以南の水域は日中漁業協定第6条(b)によってどちらの権益に属するのか決まっていないのです。
この領有権が明確にされていない水域に、なんと尖閣水域が入っているのです。

アジャパーという感じですが、尖閣を係争地としないことを外国方針としているわが国は、臭いものに蓋とばかりに尖閣水域を法令適用外の「どちらの国のものでもない海域」に設定することに合意してしまいました。
こういうことをすれば、法の盲点が生まれ、そこを中国は突いてくるに決まっています。

つまり、日中漁業協定はこの尖閣を「法令適用除外水域」としてしまうことで、事実上中国の操業を認めてしまっているわけで、これが中国漁船の取り締まりに支障をきたす結果となっています。

「現行の日中漁業協定は、北緯27度以南の東シナ海の日本EEZについて棚上げしており、この海域で中国が自国漁船を取り締まる権利を否定していない。中国の漁業監視船は、これを根拠に行動することができる。
日本政府はこの海域を「EZ漁業法特例対象海域」に指定し、中国漁船に対して漁業関係法令を適用していない。中国漁船もまた、これを根拠として操業している。
日本国民として非常に残念なことだが、中国政府には「自国の漁業監視船の活動を日本が容認している」と主張するだけの根拠がある、と考えるのが国際法的にも自然なのである」(静岡県立大学助教・西恭之)

わが国はこの尖閣水域を日中漁業協定に沿って「どちらの国のものでもない水域」にしていますが、中国はそんな紳士的な取り決めなど屁とも思っていません。
中国がしているのは、協定の盲点を着いた既成事実の積み重ねです。
中国側は、2016年のように北緯27度以南の尖閣水域にまで大挙して漁船を入れてきたり、例年平然と多くの漁船を入れては、ここはオレら中国様の海だ、と主張するようになりました。
中国海警はそれを取り締まるどころか、今回訪日した王毅が言い放ったように、「日本漁船が違法操業している」と、居直り強盗のようなことを言う始末で、沖縄県議会から抗議声明を受けたほどです。

ですから日本政府は早急に、この海域に隣接する中国や台湾と同様の領海法の法整備をせねばなりません。
外交において、等価の対応をすることが認められています。
中国が一方的に領海法を制定し、尖閣周辺の暫定水域にまで漁船を入れてくることを続けるのなら、こちらも当該国の法律によって対処可能なような領海警備に関する法律を早急に作って対処せねばなりません。
これは一方的な国内法の制定だけですむので、どうせ中国はギャーギャー言うに決まっていますが、あんたの国と同じもんを作ってナニが悪いねん、と放っておけばよろしい。
そして、そんなにご不満でしたら、日中漁業協定もいい機会ですから改訂交渉をしましょか、と突き放し下さい。ニタニタあいまいに笑ってはいけません。

こういう政府ができることをせずに海保にばかりその重圧を任せているから、気がつけば中国が領海宣言をして日本漁船を「取り締まる」ようになるのです。

 

 

 

2020年12月27日 (日)

日曜写真館 岩代太郎『無言歌集』に寄せて

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安息

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心魂

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沈黙

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 慈愛

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岩代太郎『無言歌集』
ソロ・ヴァイオリンと弦楽オーケストラのために

 

2020年12月26日 (土)

北朝鮮の非核化を達成できなかったって?

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一昨日のトランプはマッドマン・セオリを使っているかもしれない、という記事について、HYさんからこんなコメントを頂戴しています。

「解釈は自由ですがトランプ政権は北朝鮮の非核化を達成できなかった厳然たる事実を直視するべきです」

ふむふむ、なるほど。成果あがってねぇじゃないかってわけね。
その前に、なんか勘違いがあるようですが、素直に読めば、あの記事自体が彼の対北朝鮮政策の功罪を考えたものではないことにきがつきませんでしたか。
私が書いたことは、ドナルド・トランプという人物がどのような癖球を投げるタイプの投手かということを、対北政策を見る中で解き明かそうとしたものです。
ですから、非核化が達成しようとしまいと、そんなことは初めから私の視野の外なのです。

ただあの記事を書きながら改めて思ったことは、トランプという政治家はオーソドックスな保守政治家ではなく、ある種の「奇才」の主だということです。
私は大統領としての落ち着きだけなら、副大統領のマーク・ペンスのほうが遥かに上だと思っていますし、奥山真司氏などもそう考えているようです。
ペンスは従来の「大統領」というイメージにトランプより近いし、今、起きている米国を二分する分断をさせない力にもなりそうなきもしないでもありません。この彼の重厚さが、過剰なまでのペンスへの期待となっているのでしょう。

ではトランプにあって、ペンスにないものはなんでしょうか。
突破力というんでしょうか、行き詰まった状況を思いもしない方向から手を突っ込んで揺さぶり、新たな状況を作ってしまう、こんなことはペンスにはできません。
もちろん劣化オバマのバイデンなど議論の外です。
ペンスやバイデンといった米国政治家は、立場は違いますが、従来の外交のしきたりから自由ではないのです。
米国の外交伝統では同盟関係を重視し、国際的圧力を強めることで対応しようとします。
韓国との共同歩調を重視するのが前提ですから、今のムンのような北に対して極度のすり寄りをしているようなパートナー国がいるともう一歩も先に行かないわけです。

ムンは米国や国際社会が自分の頭越しに北と非核化交渉をしないという米国の伝統的思考様式を知っていましたから、自分が北朝鮮と民族統一を目指すと叫んでさえいれば、米国や国際社会の対北制裁を邪魔できると考えていたわけです。
そう、ムンジェインこそ、味方の顔をした敵、北朝鮮の非核化をするうえで最大の障害物だったのですよ。
南北は同じ民族、それを阻むのは悪い米国。かつての朝鮮戦争だって、米国というこの悪の帝国が南北を戦わせたんだ、冷戦の谷間に咲く白百合の花一輪、いまもなお続く悲哀の民族・・・、そうムンは言いたかったようで、ピョンチャン冬季五輪に「統一旗」なんてグロテスクなものを掲げさせました。
え、戦車を先頭にして攻め込んできたのはどこの国でしたっけ、なんて聞くのは野暮。せっかく気持ちよくナルっているんですからね。

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あるところまではトランプはオーソドックスな対北制裁のセオリどおり、国連制裁決議に基づいて経済制裁をし、瀬取りを摘発し、さらには海上封鎖に進もうとしていました。
誰しもこのまま海上封鎖に突き進むと思っていましたが、トランプはここでいったんこの制裁フェーズを凍結してしまいます。
だって、これ以上北朝鮮を締めあげると、窮鼠ネコを噛む可能性があるからです。
北朝鮮は核兵器が政治的兵器であることをよく知っていますから、自らの権力が崩壊する瀬戸際まで核を使用をしないでしょう。
使ってしまったら報復核攻撃を受けることを知らないほど、正恩はバカではありませんからね。
正恩が核兵器を使おうと決心する唯一の状況は、「殿、ご落城でございます。お腹を召しませ」と言われる時だけなのです。

海上封鎖は有効な手段で、今まで米国も使ったことがある正統派の外交圧力ですが、次はほんとうの戦争しかカードがのこされていないのです。
だから事実上の最後の外交カードで、これを切ってしまうと、本気で戦争をせにゃならなくなります。
ところがあいにく、今までの戦争好きな民主党系大統領と違って(対日戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争などは民主党系大統領が始めことをお忘れなく)、トランプは大の戦争嫌いなのです。
戦争ほど不経済で算盤に合わないものはない、やる時はアドレナリン出まくりだが、後片付けだけで大変じゃないか、そこまで考えてやれよな、と内心考えている人です。
ですからトランプは海上封鎖を寸止めして、返す刀で直接会談を呼びかけるという頂上作戦をとったのです。
北風をいきなり南風に向きを変えたのです。

さぞかし正恩はたまげただろうな。
一度こちらが場の雰囲気で呑んでしまえば勝ったも同然、そうトランプは長年のビジネスマンの経験から思ったはずです。

そしてもうひとつの見落としがちな要素が、中国です。
中国は、北朝鮮問題がこじれればこじれるほどイイと思っている国です。
「北朝鮮に唯一影響力を行使できる国」という虚構を高く売れますからね。
実は北朝鮮は北京のいうことなどまったく聞く気がないし、心の中では憎悪すらしています。
これは初代からの一貫したいわば家訓で、北朝鮮は中国が大嫌いです。
だから中国の核の傘には入らない、という意思表示として独自の核開発をしたのです。

米国からすれば、北朝鮮が核ミサイルの照準を北京に向けているのは、大いにけっこうな発想じゃないですか。
さしずめオバマなどの米国政治家なら、ここで核開発か非核化するか、イエスかノーかという2択で迫ってしまいますから、ノーと言われるに決まっているうえに、下手をすると困った北朝鮮は北京に泣きつくかもしれません。
実際、ハノイ会談が不調に終わった後に、正恩は北京にすがる臭い芝居をして見せました。

イエスかノーかの2択で迫れば、北朝鮮を中国の勢力圏に追い込む結果となります。
北朝鮮には、朝鮮半島を中国の支配圏におかない防壁であってもらわねば困るのです。
中国に対して「三不の誓い」をするようなヘタレの韓国にまったく期待できない以上、ここで北朝鮮に中国の南下をブロックしてもらわねば、朝鮮半島全域が中国の版図となってしまいます。

え、じゃあトランプは北朝鮮のほうを韓国より信頼しているのか、って?
はい、そのとおり。ムンなんていう裏表ある二枚舌より、はるかにストレートな正恩坊やのほうが御しやすいと思っていますよ、トランプは。
私は当時(半分冗談ですが)、米韓同盟は廃棄してしまって、北朝鮮と安全保障条約を結ぶという奇策があっていいんじゃないか思っていましたもん。

このように考えると、今、直ちに非核化を大前提にする必要はない、ということになりはしませんか。
要は、北朝鮮がイランやシリアなどの怪しげな国に、弾道ミサイルや化学兵器といった大量破壊兵器を拡散させねばいいのです。
その確約さえとれれば、核兵器を持っているかいないかわからない、あるいは完成直前のままフリーズしている状態で充分に満足すべき「解決」なのです。
で、トランプはご丁寧にも、再び核兵器開発を再開しないように、直接会談は第3回もあるからという含みを持たせて縛っておくことも忘れませんでした。

このように考えると、トランプの思考は逆転の発想から新局面を切り拓くだけではなく、わざとあいまいにしておくという寝業もできる政治家なのだとわかりますね。
こういう「解決しないという解決」技をケレン味たっぷりに展開するもんだから、オーソドックスな外交関係者からトランプは蛇蝎のように嫌われ、色物扱いされたのです。

しかし、現状をご覧下さい。トランプの第3回会談をやらんではないというマジックが効いていますから、北朝鮮の核開発は凍結状態です。
ここでキレて、ICBM発射実験だ核実験だ、大量破壊兵器の密輸だ、なんてやろうもんなら、三度目の直接会談が吹き飛ぶくらい子供でもわかります。
だから、フェークじみた巨大弾道ミサイルのパレードなんかをしてみせますが、国内向けプロパガンダにすぎません。
その実験はぜったいにできないはずですもんね。

ね、この状況のどこに不満なんでしょう。
ここまで核開発凍結が出来た大統領なんてひとりもいやしません。
それとも「海が干上がっても核を手放さない」と言っていた北朝鮮が、簡単にお宝を手放すと思ってましたか。
完全非核化か戦争かみたいなゼロイチ思考では、トランプ外交は理解できるわけがありません。
マティスは正統派同盟論者でしたし、ボルトンが切られたのも彼が「解決しないという解決」を理解できなかったからです。

というわけで、トランプという奇才が鬼才に進化しようとする2期目をみすみす盗まれるのは実にもったいない、と心底私は思うのです。

 

 

2020年12月25日 (金)

中国の豚肉不足と大停電はセルフ制裁が原因だった

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中国で市民生活にかかわることで、注目すべき事態がふたつ生まれています。
ひとつは豚肉生産を急激に増やしていることで、いまひとつは広東大停電です。

まず豚肉生産ですが、恐ろしいほどの急ピッチで豚増産計画を発動し、世界の穀物相場が逼迫する無計画な爆買いをおこなっています。
ブロイラー生産も並行して増大させたために、すべての飼料の国際市場価格が連動して上昇しました。

「昨年のアフリカ豚コレラ(ASF)の発生後の養豚能力の拡大により、9月の養豚量は860万トンに達し、昨年の同時期から54%、8月から15%増加しました。ほとんどの種の動物飼料生産量は、9月に年々(前年比)増加しています 」(グローバルニュース2020年10月19日)

あーあ、なんと迷惑な。
中国は、世界中の豚肉市場から豚肉を輸入しまくるだけではなく、国際穀物市場をみさかいなく荒しまくっています。
この節操のなさは、ガタイが大きいだけに影響が巨大で、全世界規模の飼料高騰を招きました。
常識的な国家は一定の水準で買いつけ計画を立てて、前もって四半期ごとの輸入契約を輸出先と結ぶものですが、いきなり札束で頬を叩くようにして他国を押し退けて割り込んだのだからたまったもんじゃありません。
いまや中国がどこかの国で大豆を買いつけたというニュースが流れるたびに、シカゴの穀物相場はナーバスにハネ上がります。

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シカゴ大豆 チャート2020年12月23日 終値  シカゴ大豆 – 豊トラスティ証券マーケット情報

わが国では、小はわが家業、大は巨大インテグレーションにいたるまで、まんべんなく飼料価格が天井知らずとなっています。
その一方、それが販売価格に転化できないために、生産者は飼料価格の上昇と販売価格の停滞というニ枚の鋏の刃で切り刻まれています。
わが国においては、四国から始まったトリインフルエンザは全国に蔓延しようとしており、とうとう関東にも千葉で発生をみました

ちみなにこのトリインフルも中国のウィルスと同型であることがわかっており、新型コロナと並んでの中国由来の感染症です。
通常は数百万羽規模の殺処分が行われているのですから、鶏不足から卵価上昇につながるのが普通ですが、あいかわらずの低迷を続けています。
飼料価格補填金には早くも底が見えており、たぶんこの春には資金がショートして倒産に追い込まれる中堅・零細生産者が急増するはずです。
農水省、寝ている場合じゃないぞ。

さて、この中国の食肉生産急増の直接のきっかけは、昨年のアフリカ豚コレラ(ASF)の発生です。

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  https://pelicanmemo.hatenablog.com/entry/2019/07/25/130000

「ASFへの感染と発生による豚の殺処分の頭数は、公式発表では120万頭以上となった。
それとは別に、養豚業者や自治体による、ASF発生を恐れてのリスク回避、豚の飼育や運搬、検査など規制が強化されたこと、早期出荷や投げ売り、豚の飼育の停止や転業などによって、中国の豚の飼育頭数がすさまじい速度で減り続けている。
2019年4月、オランダの金融機関ラボバンクから、中国の豚は「2019年の末までに2億頭」「30%減少」と発表があった」
(pelicanmemo 2019年7月25日 )

これにより、中国人の最も好む豚肉は口に入らなくなり、習近平は国民に食の節制を命じたほどです。
食堂で食べきらないほど皿にテンコ盛りし、余らせればその残飯を豚に食わしていたのですが、豚コレラで残飯養豚が禁止されたためにこれもかなわぬこととなっていたようです。

豚コレラによっていかに豚肉生産が打撃をうけたのかは、次の時期の出荷に直接影響を与える子豚価格を見ればわかります。

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豚肉生産量が減少し、輸入量が大幅に増加|農畜産業振興機構

上図を見ると、豚肉価格と子豚価格がパラレルで上昇しています。
中国人はメシを食わさないとすぐに暴動に走りますから、青くなった習は世界の豚肉と飼料の買い集めを命じたようで、世界は今中国の豚肉と飼料爆買いにさらされているというわけです。

まっさきに、かつて報復関税をかけたはずの米国から大豆を買い占めました。
だから言ったろうって。そもそも米国と中国は貿易戦争にならないのです。
中国にとって死活的な家畜飼料は絶対に輸入制限をかけられない反面、米国にとって中国から輸入品がなくては困るという物品はありませんから、この二国で貿易戦争などすれば、初めから勝敗は見えています。

そのうえに、通常なら米国で開いた穴を、オーストラリアに振り向ければよかったのですが、習が怒りに任せてやってしまった豪州締め上げ策の影響で、食肉や飼料の輸入が途絶えています。
この米豪で開いた食肉・穀物の穴を世界からの爆買いで埋めようとしています。

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上図と同じ

米国がマイナス6.8%なのに比して、隣国のカナダはなんと47.8%、実に5割増しです。
つまり中国は、外交政策を過ったツケを豚肉の逼迫で払わされていたところに、通弊の衛生環境の劣悪さのために豚コレラを引き起し、お定まりの爆買いに走って世界に迷惑をかけているということになります。

 

ふたつめは、豚肉と並んで市民生活に直結する電力事情が逼迫しているようです。

「広州、東莞、深?、仏山、珠海など広東省の一部で21日未明、予告なく一時間ほど停電した。理由は不明。だが街灯への電力供給が中断され、街中が漆黒と化し、断水やスマートフォン、インターネットも一時的に通じなくなった。市民は大災害が起きたと思い、一時は騒然とした。その後当局は送電網の故障だと発表したが、ネット上ではさまざまな憶測が飛び交う事態となった。
浙江、湖南、江西など中国南部3省では先週、地域の国家発展委員会が電力制限措置をとるという通知は出していたが、広東の停電は予告がなかった。
市民は、新型コロナ禍の始まりにも隠蔽があり、今回も、なにか重要な問題を隠しているのではないか、と非常に敏感になっている」
(福島香織 中国趣聞チャイナゴシップNO.237 2020年12月22)

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冬のソルスティス中の広東での突然の停電]ー中国、企業に電力使用制限

中国市民からすれば、食卓になくてはならない豚肉はバカ高くなり、新型コロナでバタバタ人が死に、移動制限をかけられてつらい思いをしていたところに、今度は冬を迎えて大停電です。
政府がメンテナンスのための計画停電だった、なんて説明しても誰も信じません。

「今回の停電では、広州、東莞、深?、中山、仏山、恵州、珠海などの都市で、街灯などへの電力供給が中断され、ウォーターポンプの電源が切れたため、断水も起きた。午前零時から断水していたという。ある市民は深夜に電力供給サービスホットラインに電話をかけて問い合わせたが、送電網の故障、としか教えてもらえなかった。
今回の停電では、スマートフォンの通信も10分から20分通じなくなった。複数の基地局の送信網が影響をうけ、インターネットやスマートフォンの通信にも影響があったという。地域の病院、養老院、学校宿舎などが影響を受けたという」(福島前掲)

こういうことが続くと、国民は根本的に政府を全く信じていない習性から、またなにか共産党は隠しているのだろうと疑心暗鬼になり、それが買い占めにつながり、いっそ逼迫するという悪循環を招きます。
政府は不安感を払拭するために、一度に市場に大量の豚肉を流す必要が生じて、かくして世界規模の爆買いが始まったわけです。

この大停電の原因はまだ特定されていませんが、おそらくこれも外交政策がらみです。
中国は、オージーいじめの一環として、突如、豪州産の石炭の輸入を制限しました。
その結果、発電用の石炭が不足し、大規模停電につながっているといわれています。 

「一部では原因は石炭不足ではないか、といわれている。中国はオーストラリアとの関係が悪化し、11月以降、オーストラリアからの輸入石炭に対し実質、禁輸措置をとっている。このことから石炭不足が起き、電力不足が起きているのではないか、という。オーストラリア産発電用石炭は、中国の輸入石炭の57%を占めるという」(福島前掲)

「オーストラリアのスコット・モリソン首相は15日、同国産の石炭の輸入を中国が禁止したとする現地報道を受け、世界貿易機関(WTO)協定に明らかに違反すると非難した。
 両国の緊張が高まる中、中国国営・環球時報は13日、オーストラリアが輸出する数十億ドル相当の石炭が現在、非公式に禁輸対象とされていると報じた。同紙によると、中国各地の発電所は石炭の調達先を国内またはオーストラリア以外の国々に変更するよう指示を受けているという」」(AFP2020年12月15日)

また、環境問題にやたらこだわる習近平政権がCO2削減を官僚たちの政治成績の項目としてノルマを課しているので、地方官僚たちが習近平におもねるために、石炭火力発電所の稼働を減らしているのではないか、という見方もあるそうです。

「中国はいち早く新型コロナを制圧した。経済はV字回復だ。5Gもいち早く実用化した。カーボンニュートラルを目指している──。そんな報道を信じて疑わない人も多いだろう。だが、寒波襲来中も暖房が使えず、エレベーターがあっても動かず、民営企業はバタバタ倒産し、失業者は増え、突然ネットが不通になり、その不満をSNSで語ると「デマを流すな」と当局から恫喝される社会でもある」(福島香織『真冬の中国で恐怖の大停電、市民によぎる暗黒の記憶』JBpress)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d57711762583db82d400d8190a523ccf418de310

政府は経済がV字回復したから電力が不足したんだとか言っても、国民はうそばかり言われてきたので誰も信じないというわけです。

石炭の用途別のグラフをみると、発電用が大きな比重を占めています。

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JETRO(中国の空は青くなるか?――資源エネルギーから見た低炭素社会への道――)第3回 石炭大国・中国のいま(森永 正裕) - アジア経済研究所 (ide.go.jp)

「中国における石炭消費の用途別内訳の推移を示したものである。上図の「転換部門」とは、石炭を燃焼させて火力発電や熱供給、コークス生産など他のエネルギーへ転換する部門を指し、「最終消費」とはその熱を直接消費する部門を指す。2015年の統計では、石炭消費のうち最も比率が高い用途が火力発電で45.2%、次いで工業が22.9%、コークス生産が15.3%、熱供給が6.1%となっている」(森永前掲)

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オーストラリア・キャンバーウェル近郊の炭鉱 AFP

かつて世界一の石炭生産国だった中国は、いまや純輸入国になって久しい状態です。

「中国は、1990年代まで世界有数の石炭輸出国であった。特に1999年からの2001年の2年間で輸出量を4000万トンから9000万トンに倍増させ、南アフリカ、インドネシアを抜いて豪州に次ぐ世界第二位の石炭輸出国となった。ところが、2000年代半ば以降は急増する需要に供給が追いつかず、これを補う形で輸入が増加した。2008年に約4000万トンだった輸入量は翌年倍増して1億トンを超え、中国は石炭の純輸入国に転じた」(森永前掲)

つまり、中国は世界最大の石炭輸入国であり、かつ石炭の45%を火力発電に消費しているエネルギー構造を持つ国なのです。
このような国が、主要石炭輸入国であるオージーから輸入を止めたのですから、なんともかとも。

「中国がオーストラリア産石炭の荷揚げを差し止めた結果、現在、50隻以上のオーストラリアの石炭貨物船が、中国の海上で立ち往生している。これらの船は総額5億ドル(約520億円)以上の石炭を積んでいるとされる。
中国とオーストラリアの関係は、オーストラリア政府が5Gネットワークからファーウェイ排除を決めた2018年以降、悪化した。さらに、今年4月中旬にモリソンが新型コロナウイルスのパンデミックの発生源の、独立した調査を中国に求めて以来、関係はさらに悪化した。中国側はこの要求を即座に拒否していた。
その数週間後、中国はオーストラリア産大麦の輸入に80%の関税をかけ、オーストラリア産牛肉の輸入に新たな制限をかけた。それ以来、紛争に巻き込まれた品目のリストは急速に増加している。中国は27日、オーストラリア産ワインに反ダンピング(不当廉売)措置を発動し、107%以上の保証金を徴収すると発表した」(フォーブス2020年11月30日)
激化する中国と豪州の貿易対立、500億円分の石炭が海で足止めに

自分がかけたオージー制裁により大停電が発生し、国民生活だけではなく、工場生産の停止も発生し、焦った政府は大停電はこれは景気が急激に回復したからだと強弁しました。
一方、豚肉不足に端を発する食料不安には人民代常任委員会で食べ残し禁止法を審議し、大食い番組を禁止するなどといった彌縫策に追われています。
食べ残し禁止令に違反したら、160万円の罰金だそうです(苦笑)。
いままでエネルギーは使いたい放題、輸入食料の半分を捨てて、それを豚に食わしていたのですから、今頃なに言ってんだか。

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中国人は、なぜ食い散らかすのか? | レアメタル王・中村繁夫の

この豚肉不足や電力逼迫の原因を作ったのは、米国やオージーとの極度の関係悪化でした。
習の「戦狼」路線の賜物です。
このれにより、大豆を中心とする穀物、小麦、そして石炭などのエネルギー源の供給が不安定化してきており、これが今回の事態を招いたといえるのでしょう。
なんのことはない、大豆輸入にしても石炭にしても、ことごとく自分が吐いた唾が自分の顔にかかってきただけのこと。
ただのセルフ制裁です(笑)。

14億人の人口を抱える国中国は、いい時にはその巨大な消費市場で西側諸国を吸いつけるのですが、一端このような負の連鎖が始まれば、その過剰な人口の多さによって食料やエネルギーの安定供給が不安定化します。
実はその逃げ場として、アジア・アフリカに食指を伸ばしたのが一帯一路ですが、いまやコロナの感染拡大で、経済崩壊に瀕する国が続出して、逆にその支援に力を削がれている結果となりました。

このようなていたらくで、中国政府は対外的には経済がV字回復したと豪語していますが、肝心の当の中国国民がそれをまったく信じていないようです。

 

 

 

 

2020年12月24日 (木)

トランプの得意技はマッドマンセオリです

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今回の選挙不正疑惑とその後の対応を太平洋のこちらから眺めて見てていると、トランプはいつものパターンを踏襲しているきがします。
失礼だが、言っていることと本気でやることの境があいまいなのですよ、この人。
言っていることだけ聞けば常軌を逸しているとも見えるし、別の人が見ればただの「弱腰」とも写るわけです。

どちらが真実というわけでもなく、どちらもホント。
それを使い分けてネゴシエートするのが、トランプの「芸」なのです。

そこで思い出して欲しいのですが、今までいっさいまともな交渉テーブルに乗ってこなかった北朝鮮をどうやってひっぱりだしたでしょうか?
2017年から18年にかけての話ですね。

いっかな非核化に応じようとしない北朝鮮に対して、米国は国連安保理決議を積み重ねたうえで、朝鮮半島水域に空母3隻をズラリと並べてみせるという超弩級の脅しを行いました。
ちなみに、この
空母打撃群3個の破壊力は、中規模国家2つ3つに相当します。

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小技としては、韓国にシールズチーム6という暗殺専門部隊を送り込んでみたり、平壌上空にスティルス爆撃機を飛ばしてみたりと、そりゃまぁ忙しく脅し上げていました。
こんなことが判るのは全部、米国がリークしているからです。
なんのためにといえば、そりゃ決まっています。正恩を直接交渉の場に追い込むためです。

自分でリークしているくらいですから、ただのプロパガンダです。
本気で空爆したり、斬首作戦なんかする気はありません。
本気になった時は、ひっそりと米空母は行方をくらまし、暗殺部隊はとうに北朝鮮に浸透しているはずです。

当時、北朝鮮は、「我々に核放棄を望むのは、海の水が干上がるのを待つより愚かだ」なんて言っていましたが、トランプが面白いのはこんな硬直しきった北朝鮮を交渉の場に追い込むためにビジネス手法を使ったことです。
トランプは失敗王で、今まで6回会社を潰して、その都度しぶとく蘇ってきました。
そして尋常ではない
タフネゴシエーターに成長していったわけですが、トランプは北朝鮮はただの弱小会社で虎の子商品は核兵器にすぎないと理解したようです。
オンボロ会社が唯一の「売れる商品」の核兵器を手放したら元も子もなくなりますから、売るならメチャクチャな高値を吹っ掛けてくると読んでいました。

いままで北朝鮮が恐れられていたのは、棒を呑んだように妥協を拒み続け、なんなら攻めてきますか、そんなことすれば核兵器もろともわが国を吹き飛ばしてみせますぜ、後始末に困るのはあんたらのほうでしょうが、という瀬戸際戦略をとったからです。
弱者の恫喝というやつですが、これが常識人の外交官ばかりが揃った国際社会では効いたのです。

かくして六カ国協議などで、北への食料援助にとどまらず、北の核と交換に新しい原発を作るの作らないのというバカ丸出しの融和策に走ったあげく、その間にほんものの核兵器体系を完成寸前にする時間を与えてしまったのです。Dkswppkvyaazjti

トランプは、きっと内心笑っていたと思います。
正恩の瀬戸際戦略なんて北朝鮮流のマッドマンセオリだから、なんだオレの得意技と一緒じゃないか、ってね。
それが判れば後は早い。要はメリハリです。硬軟取り混ぜて、交渉テーブルに追い込めば勝ちなのです。
まずはこぶしを振り上げて交渉に乗らねぇならブン殴るぞと脅し、反発すれば一転しておだてるだけおだてて、いい気分になってもらって適当な妥協線を探ろう、ということです。

感染症対策の要諦にハンマー&ダンスという手法がありますが、トランプのやり方も似たようなもので、初めは完全非核化という高めの球を直球で投げ込んできます。
トランプはさまざまな情報から、北の核は完成していないことを知っていました。
自由主義国家ではメディアにすぐバレてしまうような核実験も、長距離核にしても、国営プロパガンダ放送しかない国ならいくらでも偽造が可能だからです。
ですからこのような独裁国家においては、独裁者が核を持っていると宣言すれば持っていることになってしまう不思議な兵器なのです。
この独裁者くんは、出来たか出来ないか誰にもわからない核を作ったと宣言することで、それをいかに米国に高く売りつけることができるか、腐心していたわけです。
そこで、
高価・迅速買い取りします」と言って、片手にこん棒、片手にケーキをもって出てきたのがトランプでした。
買い取り担当者はボルトンとポンペオです。
ボルトンにはこん棒を持たせ、ポンペオにはケーキを持たせました。

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ボルトンがつきつけたのが、CVID 「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(ああ長い)で、これは満額要求です。
ここで重要なのは非核化そのものではなく、「検証可能」という部分です。
これは北朝鮮内部に米国や国際社会の調査団が自由に踏み込めて、自由に査察できる権利という意味です。

ポンペオはいやいやをするガキの口を、「ほ~ら、痛くないでしょう。先生に虫歯チェックさせてね」とあやしながら開けさせて、虫歯ならぬ核の実態を調査しようとしたのです。 
ここで僕、イヤダもんと口を開かない悪い子だと、怖いボルトンおじさんが、優しそうなポンペオさんの後ろからヤットコを持って登場するということになります。おお、コワ。 

端折りますが、こういう掛け合いができるのは、あくまでもトランプがマッドマンであって、ほんとうに怒らせると暴れるからな、という恐怖が裏付けとしてあるからです。
青瓢箪のオバマなんか逆立ちしてもできませんし、マッドマンのまねなら、駆け出しの正恩よりトランプのほうがはるかに年季が入っているのです。
そしてトランプはとうとう首尾よく正恩という、かの国で唯一の決定権者を交渉テーブルに引き出すことに成功したのです。

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第2回ハノイ会談では、危なく言い値で買わされそうになり、ボルトンから制止されるという一幕がありましたが、トランプとしては満額じゃなくてもかまわない、とりあえず米国に向けたICBMだけでも止めさせれば上出来くらいに構えていたとのが本心だったと思います。
今は北朝鮮との交渉は終了してはいないし、第3回会談もにらんでの幕間となっていますが、それでトランプはかまわないのです。
だって、その間、北は核ミサイル開発も核実験もなにもできないじゃない凍結状態じゃないですか。
いままで現状凍結にすら持ち込めなかったのですから、リッパな外交的勝利です。

しかし白黒がはっきりついていないのは気持ちが悪いと思われるでしょうが、トランプは10の要求を出して、押し合いへし合いの交渉の結果6くらいでもいいではないかと思うタイプです。
強い言葉を吐きながら、腹の中では次のステージの仕掛けを考えているような人物です。

北朝鮮と今回の大統領選も同じことです。
トランプ陣営が、リン・ウッドやクラーケン女史に盛んに
戒厳令だ、国家非常事態宣言だ、果てはオバマ、ヒラリー逮捕だと言いたい放題言わせているのは、北朝鮮交渉でいえば朝鮮半島水域に空母を3隻ならべて見せたようなものです。 

ひるがえって今回の大統領選のアディショナルタイムにとったトランプですが、私は戒厳令ウンヌンは空母3隻の海上デモのようなもの、リン・ウッドはボルトン役だと思っています。
そして正恩役は誰かとかんがえると、バイデンではなく、むしろ身内の共和党員だというきがしてなりません。
彼らがしっかりしていれば、もっと大統領を守れるはずですからね。
そう考えてくると、戒厳令という空爆をほんとうにするかどうか、さてどうなんでしょうか。

 

 

2020年12月23日 (水)

戒厳令報道の真偽

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今日までが任期のウィリアム・バー司法長官は特別検察官を任命するつもりはないと言明しました。媒体はCNNですが、疑う理由はありません。

ワシントン(CNN) 米国のバー司法長官は21日、記者会見で、今年の大統領選の不正やバイデン次期大統領の息子のハンター氏に対して捜査を行う特別検察官の任命について問われ、任命する計画はないと明らかにした。トランプ大統領は大統領選をめぐり不正が行われたと主張しているが、バー氏がトランプ氏の考えを拒否した形だ。
バー氏は大統領選に関する質問に答え、「もし、現時点で特別検察官が正しいツールであり適切だと考えるならば、指名するだろう。しかし、指名していないし、これからも指名しない」と述べた。バー氏はまた、今回の大統領選で大規模な不正は見つかっていないと語った。
バー氏はトランプ氏の支持者から最近要求が出ている投票機器の押収についても否定した。「連邦政府が押収を行うための根拠がない」としている。
今回の記者会見はバー氏がトランプ政権下で行う最後の大規模な記者会見で、トランプ氏からの決別の姿勢が鮮明になった。
トランプ氏は顧問らに対して、ハンター氏や投票機器に関する特別検察官の必要性について尋ねている、選挙が盗まれたと主張し続けている。
ハンター氏については当局が財務関係について捜査を行っている。バー氏はこちらについても捜査を保護するための特別検察官の任命は必要ないとの認識を示した」
(CNN 2020.12.22 Tue posted at 17:20 JST)
https://www.cnn.co.jp/usa/35164234.html

一読してわかるように、バーはハンター疑惑を解明するつもりなどさらさらないし、不正選挙も調査する気はないということです。
「根拠がない」だって(ため息)。こうまであけすけに言われると、こちらのほうが鼻白むほどです。
司法の公正中立もクソもありません。CNNがいうように「トランプとの決別」なんて重々しいもんじゃなく、ただのバイデンへ寝返りにすぎません。
前日の記事を書いていた午前4時頃には知り得なかったためとはいえ、こんなしょうもない男に対して過剰な深読みをしてしまったために起きた誤認でした。
昨日のバーに対しての評価を取り下げると同時に、たいへんに申し訳ありませんでした。

このような分析ミスが起きたのは、私が「大統領の戒厳令」を恐れているからでしたが、そのためにいまホワイトハウスに残る男たちに過大な評価を与えてしまうことになったようです。

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AFP

さて、一日たって現時点からこのホワイトハウス戒厳令協議報道を検証すると、信憑性に欠ける点がいくつか散見されます。
なんて言うんだろう、あまりにも出来すぎ、不自然なんですよ。
昨日にも書きましたが、いくら公務ではないとはいえ、今はただの私人であるはずのフリンやパウエルをホワイトハウスに呼び出して、あろうことか戒厳令の是非を論じたことに引っ掛かります。

いいでしょうか、もしこの時論じていたと報じられた戒厳令が失敗した場合、トランプのほうが反乱罪に問われる可能性があるのです。
反乱罪、つまりクーデター未遂ですから、トランプのほうが「大統領のクーデター」として法廷で裁かれる立場になります。
それほどまでに戒厳令を決断することは重いのであって、もしトランプが本気で戒厳令を布告する気ならば、それを私人を交えた場所ですること自体非常識です。
これではフリンやパウエルは、まるで2.26事件における北一輝になってしまいます。

仮にトランプが本気ならば、いまさら「北一輝」の出番はなく、相談するのは実行部隊である陸軍部隊を動かせる国防総省と将官です。
こと次第では、民主党系知事の州兵と連邦軍が対立し、交戦する可能性すら否定できないのですから、しっかりと軍側の意見を聞いておかねばなりません。
ネットで士官学校対抗試合で軍人たちが見に来たトランプにUSAコールを送ったから、トランプのいうとおりに軍が動くなんてヨタが流れていましたが、バカ言っちゃいけない。
現実に市民に銃を向けねばならず、州兵と対決することすらありえることに、指揮官たちが簡単なゴーサインを出すわけがない。
かつて陸軍長官をしており、実戦経験もあるマーク・エスパー国防長官は、アンティファ暴動の時にすらためらいました。
前国防長官の元海兵隊トップのマティスも同じ意見だったようです。
アンティファ暴動ですらこうですから、ましてや選挙がらみなら軍が唯々諾々と従うとは考えられません。

したがって、仮にこのふたりを呼んだとしたなら、それは別のことを話合ったのです。
そして反対したメンツとされたのが、たぶんトランプに政権移譲を勧める立場だったはずの主席補佐官メドウズと法律顧問シポローネだったというのも気になります。
ホワイトハウス内部の非公開の議論が外部メディアに漏れるというのは、出席した者が意図的にリークしたことになります。
これは戒厳令を止めたということをアピールしたい者、つまりメドウズ、ないしはシポローネ以外ありえません。
議論に破れたとメディアに報じられたフリンとパウエル側が漏らすわけがないではありませんか。

しかもリークされた媒体がNYTとCNNという反トランプの急先鋒であるのも気になるところです。
今回の産経記事を書いたのも、いつもCNNを取材源にしていた黒田特派員でした。
つまり、大統領が戒厳令を仕掛けようとしているということを一番聞きたい所に、それを否定する立場の者が、欲しい情報を、欲しい時期にリークしたということになります。
なんのことはない、反トランプ陣営にとってにこれほど都合のいいニュースはなかったことになります。

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そう考えると、出来すぎなニュースでした。
フェークとまでは現時点で断定できませんが、その可能性が濃厚です。
ただし、フェークであろうとなかろうと、この微妙な時期に戒厳令をしようとトランプが企んでいるというニュースは全米を駆け回ったことでしょうし、それは一部の熱狂的トランプ支持者以外にはドン引きの情報だったはずです。
それは我那覇真子さんの米国ユーチューブ(必見)で、スーパーからモノが消えつつあるという報告でもわかります。
これはトランプにとって得か損か、かんがえないでも判ろうというものです。

なお、パウエル側はそのような議論はしていないと述べています。

「パウエル弁護士がWHでトランプ大統領と会った件、クーデターや戒厳令についてはやはりNYTやCNNのデマだったと現場にいたパトリック(パウエル組)が証言。退陣を促したいメドウズ首席補佐官と弁護士達によるリークだったと。
メドウズは大統領がコロナ入院した時も怪しかった」
htps://t.co/pXg9hvLCyu」

このツイートも裏をとりようがないもので、真偽半ばします。
フリン・パウエル側なら、ホワイトハウスで戒厳令を大統領に勧めたなどと口が裂けても言えないはずで、こう言うしかないからです。
ですからこれは決定的証言にはなりえませんが、情報としてお伝えしておきます。

このようにペンスが集計された選挙人の票を開封する否かで緊張が高まる1月6日まで、どちらのサイドからも偽情報が意図的に流されます。
自戒をこめて、注意しましょう。

 

 

2020年12月22日 (火)

戒厳令はホワイトハウスで検討されていたようだが

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トランプが戒厳令を検討したのは事実のようです。
主張したのは、ロシアンゲートで苦渋を飲み、最近トランプによって復帰したフリン元補佐官です。

「戒厳令の発動を呼びかけたのは、いわゆるロシア疑惑で偽証罪に問われ、11月にトランプ氏から恩赦を与えられたフリン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)。会議では戒厳令を出して軍を動員し、トランプ氏が敗北した複数の激戦州で再選挙を行うべきだと唱えたという」(産経BIZ12月20日)

このホワイトハウスの会議には、フリン以外にパウエル女史も参加していたようです。
ホワイトハウスのこのような会議は最高度のセキュリティクリアランスを持たねばならないはずですから、このふたりがいかなる資格でホワイトハウスの会議に出られたのか不明です。

フリンは元補佐官だったとはいえ、今は資格の上では無関係なはず。ましてやパウエルは弁護団からも退けられているはずですから、まったくの私人です。国家にとって最高度の意思決定であるはずの戒厳令を、このような形で検討するのは、いいのかよと思いますね。
こういうことをして仮にフリンとパウエルの主張が通ってしまった場合、戒厳令による再選挙という米国史上稀有の事態は、私人が煽ったからだということになりかねません。
CNNでなくても批判しますよ、そりゃ。

 一方、これを阻んだのは、現職の主席補佐官マーク・メドウズでした。

「米主要メディアは20日、トランプ大統領が大統領選の結果を覆す方策に関し、ホワイトハウスで18日に側近らと電話会議を開いたと伝えた。会議ではトランプ氏を大統領職にとどめるため戒厳令の発動などが提案されたが、メドウズ大統領首席補佐官らが猛反対して却下されたという」(産経BIZ前掲)

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マーク・メドウズ

マーク・メドウズ は下院出身のバリバリの共和党保守派で、共和党保守議員グループの自由議員連盟のリーダーとして初めの大統領選挙戦当時からトランプ擁護を鮮明にしてきた人物です。ノースカロライナ選出の側近中の側近でした。
たぶん、エスパー国防長官解任の時もそうであったように、ポンペオも同じ意見であったと思われます。
直接会議で反対したのは、メドウズと法律顧問のシポローネであったようです。

会議ではこのパウエル女史を選挙疑惑の特別検察官にすることも協議され、同様にふたの反対で否決されたようです。

「会議ではまた、ドミニオン社製の集計機を駆使した大規模な不正があったとの陰謀論を展開してトランプ弁護団から関係を解消されたシドニー・パウエル氏を、「不正選挙」を捜査するための特別検察官に任命する案も話し合われた。
 パウエル氏はトランプ陣営から遠ざけられているが、トランプ氏は「選挙に不正があった」と主張しているパウエル氏を評価しているとされ、この日の会議にも参加させた」(産経BIZ前掲)

この産経記事は、例のトランプ嫌いの黒瀬悦成特派員が書いているので、ドミニオン疑惑を軽く「陰謀論」で一蹴しているのが鼻につきますが、パウエル女史をこの問題の特別検察官に任命しなかったことは賢明でした。
彼女を特別検察官という公職につけてしまうと、その言動の過激さから議会に問題視される可能性があります。
理由は簡単。あまりにもトランプ寄りだからです。

特別検察官は、少なくとも表面上は司法の公正性を担保しておかねばなりません。
そりゃそうでしょう。法の下に公正・公平であるべき検察官が、はじめから強い予断をもっていることをおおっぴらにしていては話になりません。
パウエルは、ひとりの民間人として、フリンと一緒にウィ・ザ・ピープルという団体で戦えばいいのであって、疑惑追及の公職につけるべきタイプではないのです。

いま、バー司法長官がネットのトランプ支持者から袋叩きにあっていますが、彼は一貫してトランプを影に日なたに擁護してきた人物で、選挙中のハンター・バイデン疑惑の追及を止めたことに不興を買ったために解任されることになった人物です。
ただし、彼は司法長官としてはしごくまっとうな判断をしたのであって、選挙期間中に三権の要である司法権力が明らかに選挙戦を左右しかねない捜査をするわけにはいかなかったのも道理です。

ただし、こういうバーの司法長官の判断と、トランプの意志が大きく食い違ったのも事実であって、バーめ、こんな巨大な疑惑の火薬庫をなぜもみ消しやがったんだ、と怒りをため込んだのだと思われます。
バーからすれば、別にもみ消したのではなく、トランプよ、時期をわきまえろということです。
ハンター疑惑を選挙期間中に捜査させなかったことを、「影の政府がFBIにも浸透して」と説明する人がいますが、関係ありません。
彼は司法長官として、司法が政治と別次元にあることははっきりさせておくべきだ、と考えたにすぎないのです。

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ウィリアム・バー司法長官

改めて眺めると、バーはなかなか骨のある人物です。
たとえば、フリンが解任に追い込まれたロシアの選挙介入疑惑では、このように述べています。

「司法長官の承認に先立って行われた公聴会で、「ロシア疑惑」の捜査について問われた際には、「誰からであっても、圧力を受けて間違ったことをするつもりはない」と述べ、モラー特別検察官の捜査に干渉することはなく、自分の指揮下で完遂させると強調。
ただ、モラー特別検察官が司法省に提出する報告書については、「法と規則で許される範囲で公表する」と述べ、可能な範囲で公表すると述べた。(2019年1月)
これについて、野党・民主党は「完全な公表を約束しておらず疑惑の隠蔽につながる可能性がある」と反発している」(NHK2019年2月26日)

バーはこの時、トランプのFBI長官解任を擁護したために、トランプ寄りだと思われたようですが、特別検察官の独自捜査権を擁護し「自分の指揮下で完遂させる」としています。
今回のハンター疑惑についても同じ彼の考え方が現れています。
バーは特別検察官を司法による法の執行として捉えており、それがゆえにトランプベッタリの任命では、国民の理解を得られないと考えたようです。

逆に、バーがトランプから追放同然のこの時期に特別検察官を任命すれば、トランプの利害とは無関係な法の忠実な執行者であることを鮮明にできると考えたのかもしれません。
考えてみればいいんですよ。いいですか、クラーケン女史なんかにハンター疑惑追及の特別検察官をさせてしまったら、誰がその結果を信用するでしょうか。
だって、結論は初めから出ているようなもんですから。内容的に正しかろうと間違っていようと、相手にされません。
下手をすればトランプの意趣返しと取られかねません。

だから、ここはいったんバーがトランプの怒りを引き受けた形にして特別検察官を任命すれば、仮に民主党政権になろうと疑惑追及は継続されるだろうと踏んだのです。
私はあんがいその辺の呼吸がバーとトランプの間にあると思っています。

ちなみに、民主党は新閣僚人事にいまだ司法長官を入れられていません。
バイデンがなればなったで、ハンター疑惑の火薬庫の上の政権ですから、それを仕切る司法長官の人事は難しいはずです。
バーのような硬骨漢にしたら我が身が危ない、しかし見え透いた疑惑潰しをしそうな奴ならなおさら不人気となる。
バイデンさん、息子を使って怪しげな金儲けに手を染め、国益を害していた報いです。せいぜい苦しんで下さい。

とまれまことに常識的な判断をしてくれたわけで、トランプ政権にこういうもの申すことができる人間がまだいることを嬉しく思います。
トランプは、いい意味でも悪い意味でも、ワンマン社長体質が抜けきらないところがありますから。

 

■追記 バーが記者会見をして、ハンター疑惑と不正選挙について特別検察官を置く必要がないと述べました。
私の見立ての誤りでした。お詫びします。

 

2020年12月21日 (月)

GoToだけが感染拡大の原因なのか

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朝日が手を打って喜んでいるようです。
この新聞社は世の中が元気になると落ち込み、不幸になるとがぜん元気を取り戻すという不思議な所です。
発足当初、60%超えの支持率だったはずが、いまやな~んと半分の30%台に突入したそうで、おお、なんともう危機ライン、築地の新聞社にとって早めのクリスマスプレゼントといったところです。
ま、本当は仕事に専念して、選挙なんかに無駄な時間を使いたくなかった菅さんに、早く総選挙しろと言っているようなもんなんですが、ま、いいか。

「朝日新聞社は19、20日に全国世論調査(電話)を実施した。菅内閣の支持率は39%(前回11月は56%)に急落した。不支持率は35%(同20%)に増えた。菅義偉首相が政府の観光支援策「Go To トラベル」を年末年始に全国で一時停止することを決めたタイミングについて聞くと、「遅すぎた」が79%だった。
「Go Toトラベル」をめぐって菅総理大臣は、政府の対策本部で、今月28日から来年1月11日までの間、全国一斉に一時停止する考えを表明しました」(朝日12月20日)

かねてから執拗にGOTOを一刻も早く止めろと言っていたのはメディアでしたが、これだけ日がな一日、感染拡大、医療逼迫、患者続出と騒げば、そりゃ心配になりますよね。
GOTOが全国にコロナをバラまいている、他県から清浄な我が地域に来るな、それがメディアが作った空気です。
これは福島事故の折の事故前はゼロベクレルだったら、放射能ゼロを基準にしろというゼロリスク信仰の亜流です。
一回ゼロリスク信仰に帰依してしまうと、物事を軽重の秤にかけて見ることが出来なくなります。

かつてなら、事故収拾期にゼロベクレルを食品の基準値にしろなんて空論だったわけで、そう言ったことを言うことがどれだけ復興を阻害するのか考えてもみなかったわけです。
このメディアと反原発運動家によって人為的に作り出されたゼロリスク信仰の煽りで、福島県はコメの全袋検査というとてつもないことを延々と10年近くやることになってしまいました。
この不毛な検査作業はようやく終りになりましたが、終わった頃には、その人たちの恐怖の対象はコロナの感染拡大の恐怖にすり代わっていたのですから、やっちゃいられない。

ゼロりスクなんて世の中にありません。
それによって得られる利益と、それによって失われる損失を常に秤にかけて世の中は動いているのです。
これを比較衡量と呼びます。
どちらかを過大に評価してしまうと、必ず後に大きな負の影響を与えます。

今のコロナの感染拡大なら、GOTOによる経済復興への影響と、それを中止することによる影響を天秤にかけねばならないのです。
では、GOTOが感染拡大の原因だというエビデンスが存在するのでしょうか。

都医師会の尾崎会長が「GOTOが感染拡大のきっかけとなった」という発言をしたために、犯人扱いされていますが、それは事実の一面を指していますが事実そのものではありません。
国民の行動量と感染が正の相関関係にあるのは事実ですが、かならずしも会長が言うほど単純なものではないのです。
この関係について検証した吉田裕司・滋賀大学教授のグラフを見ます。
(12月9日『コロナ感染拡大は本当に「GoToキャンペーン」のせいだったのか Googleのビッグデータを分析してわかった意外な真相』
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20201209/se1/00m/020/004000d

「「14日前の行動量」と「新規感染者数」の交差相関、「前日の新規感染者数」と「行動量」の交差相関について、それぞれの日から過去30日間分を計算したうえで、その変化を見ている。5月1日の「行動⇒感染」の相関係数は、3月19日から4月17日までの「行動」と4月2日から5月1日までの「感染」の因果関係の強さを示す」(古田前掲)

下図の黄色の線が行動量ですが、青線の感染者数とこの夏までは正の相関関係でしたが、この秋以降の11月以降は相関していないことがわかります。

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古田氏はこのようなことが導き出されるとしています。

「①人々の行動量が感染拡大につながっているのは、4月第1週、5月前半、7月前半、そして11月中旬だ。
4月第1週に相関係数が0・36を超えているということは、過去1カ月間(すなわち3月中)について、それぞれの日の2週間前の人々の行動量の増加が、その日の新規感染者の増加につながっていることを示す。
直近の11月中旬について言えば、10月の1カ月間の人々の行動が、10月中旬から11月中旬の感染の拡大につながったことになる。
②感染拡大が人々の行動を自粛させていたのは、おおむね4月初頭から6月中旬まで。すなわち、30日間さかのぼる3月初頭から6月中旬程度まで、人々は前日の新規感染者数が増加すると行動を自粛し、感染者数が減少すると行動量を増やしたことになる。しかし、第3波とも呼ばれる現在の感染拡大期において、人々が特別に行動を自粛しているとはデータ上は確認できない。
③8月~11月は少なくとも「感染拡大⇒行動自粛」の確かな関係は読み取れない。「行動⇒感染拡大」についても、11月14日から11月16日の3日間を除けば、関係は弱いと言える。
コロナの新しい生活様式に慣れたとも考えられるし、「GoTo」の導入などによってこれまでと異なる行動パターンに移行したとも考えられる」(古田前掲)

福岡市のデータでも同じようなことを指摘できます。
福岡市長高島宗一郎氏は、自身のブログで福岡市においてGOTOと感染の相関は薄いと述べています。
(11月19日『Go Toトラベルとコロナの相関関係 )

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高島氏は慎重に、感染防止は徹底せねばならないが、その相関に疑問を呈しています。

「福岡市においても9割の方が第三次産業に従事しているので、「Go To トラベル」の開始時期、宿泊施設の稼働指数と、新型コロナの陽性者数のグラフを作ってみました。
Go Toトラベルが関係しているのであれば、全国各地で同じ傾向があってもおかしくないと思うのですが、 11月19日時点の分析においては、Go Toトラベルと福岡市の感染者数に相関関係はみられませんでした」(高島前掲)

そして高島市長は、多くの原因が考えられるとしています。

「福岡県医師会は昨日の会見で、「県民が基本的な感染対策をとり、感染者が出た場合には接触者の検査体制が整っているため」と話しています。
人口あたりの累計検査数は政令市の中で福岡市が全国一位で、二番目が北九州市なので、そのような個別のコロナ対策が陽性者数に影響しているのかもしれませんが、ハッキリとは分かりません」(高島前掲)

ここで高島市長が指摘しているのが、PCR検査数の増加です。
福岡市は政令都市で全国一の累計検査数だったために、当然検査数の増加に伴って陽性者も増加するという現象が起きました。
これはこの夏頃から、医療機関を守るためにPCR検査を控えていた春とは違って、検査体制が整い、感染拡大が停滞したために国民の行動量が増えたからです。

そしてもうひとつ考えられる感染拡大増加の原因としては、季節との関係です。
新型コロナと同じコロナウィルスに属する季節性インフルエンザの流行する季節は冬です。
これはコロナウィルスに執って繁殖に絶好の乾燥し、気温が急激に低下するからです。
一方、人間は寒気によって免疫力を落とし、しかも換気の悪い室内に長く滞在するようになります。

「また、新型コロナの急拡大には、寒さや湿度などの、如何ともし難い気象条件もあるかもしれませんし、寒さに伴って換気をしなくなることもあるかもしれません。いずれにせよ、現時点ではエビデンスとして明確に「これが原因!」と断言できるものはないということでしょう」(高島前掲)

このように全国の状況を細かく検証していけば、GOTO停止の遅れが原因だという立憲の主張にはため息しかでません

立憲民主党
2020年12月14日
GoToトラベル全国一斉停止に「菅総理がこだわったため、全国に感染が広がったことは明白であり、人災」と福山幹事長
https://blogos.com/article/503879/

毎度のことですが、政権批判しか頭にないようで、さぞかし今回の支持率低下はお喜びのこととお察しします。
といってもあんたらの支持率はあいかわらずボトムですけど。

こういう火事場泥棒のような野党やメディアは放っておいて、ではGOTOが始まることによりどのような経済浮揚が見られたのでしょうか。
これはGOTOと感染拡大との相関よりも、さらに分かりやすい相関関係です。
下図のように、GOTOが始まり、緊急事態宣言が終了するに従って、業態によってバラつきはあるものの、全体として景気の下落は止まり、回復の兆候が見え始めていました。

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株式会社Finatextホールディングス                                                            

「「Go Toトラベル」キャンペーン期間中の8月前半、7月後半に比べて「旅行」「宿泊」は下落幅を縮めた。しかし、新型コロナウイルスの感染が全国で再び拡大したため、ふるさとへの帰省を見送る、外食を控える、余暇は近場で過ごすなどの傾向が高まり、「交通」は悪化傾向が続き、「外食」は悪化した。急回復していた「娯楽」も「遊園地」が大きく下落幅を拡大し、回復基調は足踏み。ただ、「喫茶店・カフェ」や「ゴルフ場」などは引き続き回復傾向にある」(上図と同じ)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000104.000012138.html

これはこの夏の消費動向と比較すると明瞭です。

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緊急事態宣言をすれば、消費は極端に抑制され、これが長期に及べばまちがいなく経済は死滅します。
経済が死滅すれば、感染拡大による死者よりはるかに多い自殺者を出します。
そのようにならないためには、経済と感染拡大抑制をどのようにバランスするかという比較衡量の考え方が必要であって、どちらか一方を無視してしまえというのは間違いなのです。

私は今回の全国規模でのGOTO全国停止は行き過ぎだと思っています。
当初の菅氏の言うように感染拡大が顕著な地域のみに限定すればよいのであって、全国規模で停止することには疑問が残ります。
感染対策はハンマー&ダンスだといわれますが、要はブレーキとアクセルの塩梅なのです。
感染者が増加するならば疫学的対策(ブレーキ)を強化して増加ペースを抑制し、逆に感染者が減少傾向顕著になれば、規制解除をして経済振興策(アクセル)を踏むということを繰り返して、ワクチン摂取が効果を発揮して事態が大きく改善される頃まで状況をなだめることが大事なのではないでしょうか。

 

 

2020年12月20日 (日)

日曜写真館 クメールの微笑

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シェムリアップの朝は托鉢から始まります。

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古代クメールの微笑。

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現代クメールの微笑。

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好奇心いっぱいの少年僧たちです。

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クメールのビーナスというそうです。少年僧には目の毒です。

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2020年12月19日 (土)

今後の大統領選シナリオ3つ

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GOTOやワクチン、はたまた沖縄県議会の尖閣宣言など書くべきことは沢山あるのですが、あえて大統領選を最優先させました。
それは米国のみならず世界全体の未来に大きく関わってくることだからです。
山路さんの寄稿にもありましたように、状況はいっそう混沌とするばかりです。
スッキリと「バイデン次期大統領」と呼んでいるのは、なんとしてでもバイデンに勝ってもらわにゃ困ると見えるオールドメディアのお歴々だけで、米国大統領選の慣例は一方の側の敗北宣言ですから、選挙人が投票したというだけのこと。
それを「確定」したと見なしているだけのことで、いわば見切り発車にすぎません。

ではなぜこんなにもつれ込んだのでしょうか?
宮家邦彦さんあたりにかかると、いやートランプは子供じみた権力愛の持ち主ですから大統領の座にしがみついているだけです、ああ醜悪、のひとことでかたづけられそうですが、果たしてそうなんでしょうか。
違うと思います。宮家氏などの国際情勢政局屋にはお判りにならないでしょうが、トランプが最後まで抵抗を諦めないのは、勝ち負けにとどまらず、これが米国の理念そのものに関わることだからです。

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日経

理解の補助線としてこの7月23日のポンペオ演説を一本引くと、トランプの意志が鮮明になってくるはずです。
ポンペオは、現在の米国に与えられた責任は、「自由主義と専制主義との戦い」だと言い切りました。
つまり、バイデンが今頃になってチョイ出しした、「米中貿易問題が米国の優先課題だ」などという寝ぼけた状況判断ではなく、もうすでに米国が価値観をかけて戦う時なのだ、という強い認識でした。

「中国共産党の習近平総書記は、破綻した全体主義のイデオロギーの真の信奉者だ。中国の共産主義による世界覇権への長年の野望を特徴付けているのはこのイデオロギーだ。我々は、両国間の根本的な政治的、イデオロギーの違いをもはや無視することはできない。
中国共産党から我々の自由を守ることは現代の使命だ。米国は建国の理念により、それを導く申し分のない立場にある。ニクソンは1967年に「中国が変わらなければ、世界は安全にはならない」と記した。危険は明確だ。自由世界は対処しなければならない。過去に戻ることは決してできない」 (日経7月24日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61896140U0A720C2000000/

米国がこのように「イデオロギーの違いを無視できない」と言い切る時は、コワイですぞ。70年前にうちの国がやられましたから。
かつて私たちの国も、戦開戦時に全体主義と呼ばれ、その後日米両国は太平洋を舞台にして死闘を繰り返す事となります。
かつての日本やドイツ、あるいはソ連に対してと並べて、中国との戦いは全体主義との戦いだと、米国政府の政策責任者が口にしたということをしっかり覚えておきましょう。
ポンペオは演説の結語です。

「中国共産党から我々の自由を守ることは現代の使命だ。米国は建国の理念により、それを導く申し分のない立場にある。ニクソンは1967年に「中国が変わらなければ、世界は安全にはならない」と記した。危険は明確だ。自由世界は対処しなければならない。過去に戻ることは決してできない」 (日経7月24日)

「中国が変わらなければ、世界は安全にならない」、だから大統領選の真の争点は、この中国という名の全体主義国家の野望と戦う意志を持っているかどうかなのだ、とトランプは言ったのです。
この神髄の部分を報ぜず、ただのトランプ個人の権力欲で判った気になっているのが、オールドメディアや俗流外交評論家たちです。

さて、今後のトランプのシナリオを考えてみましょう。
大きくわけて三つのシナリオが想定されます。
①法廷闘争継続
②バイデン大統領辞退
③反乱法適用・国家非常事態宣言・戒厳令
そこまでの流れを押えておきます。
まず、第1の法廷闘争路線についてみてみましょう。
先日12月14日のメディアが「大統領確定」として世界に報じたのは、50州の選挙人による大統領選挙です。
これはすぐに開票されずに、その結果を連邦議会に送り、 1月6日に連邦議会の上下両院合同会議で上院代表のペンス副大統領候補が選挙人投票の結果を開封する、というのが慣例です。
選挙人投票か終わったからバンデンの勝ち、というのは「平時」のこと。
実は一方が敗北を認めていない以上、選挙戦はまだ継続されているのです。
というのは、大統領を選ぶ権限は州にあるからです。
なんどなく書いていますが、米国はユナイテッド・ステーツ(合州国)、すなわち州・ステート(国)の連合体であって、あくまでも州議会が選ぶのです。
ですから、ステートによって「未決状態」がいくつかの州で生まれれば、1月6日までに州議会が選挙人と別に独自の選挙人名簿を作って提出することが可能です。
となると選挙人投票の結果を、上院の長たるペンスが未決状態がこんなにあるようでは正しい選挙結果ではありませんね、と拒否する権限があります。
この場合、選挙は振り出しに戻り、下院が議決で大統領を決定しますが、1州につき1票となります。
この可能性は残ります。
既にトランプ陣営が起こしている裁判で、たとえばミシガン州アントリウム郡ではドミニオン投票機22台が差し押さえられ、エラー率が実に68%、外部からのセキュリティはズタボロという州最高裁が認めた監査報告が明らかになっています。

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ミシガン州法廷のドミニオン監査報告書
たぶん同様のドミニオン集計機の不審な挙動は、今後堰を切ったように発覚するはずで、それ以外にも報告されている多くの不正行為などについても逐次明らかになるはずです。
これはオールドメディアが口を揃えて言っていた、選挙で不正があったなんて荒唐無稽なヨタ話さ、という非難がまったく的外れだったことを物語っています。
第2のシナリオとしては、詳述するのは別の機会にしますが、バイデン自身が密接にからんでいるとされる次男ハンター・バイデン疑惑です。
これはバー司法長官が、FBIに捜査を止めていたことがウォールストリートジャーナルで暴露されていましいました。
下の写真のハリウッド映画の悪漢ヅラしたのが、バイデン家の次男坊のハンターです。
ひとことでいえば、身をもち崩したクズ男。趣味は小児性愛。
海軍をコカイン中毒で追放され、以後、親父に寄生してバイデン家のダークサイドを担当し、ウクライナや中国で濡れ手に粟の金儲けに励みました。
これらすべてに親父バイデンが、副大統領としてからんでいたからややっこしい。
親父殿は先日、ハンター疑惑についてどう思われますかと聞かれて、「誇りに思っている」と答えましたが、まぁバイデン家の資産を大きく増やしたことを誇りに思っているってことでしょうかね。
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「選挙で劣勢に立っていたトランプ氏は、10月、特別検察官を任命して“バイデン親子の疑惑”の捜査を始めるよう、腹心であるウィリアム・バー司法長官に呼びかけた。特別検察官のロバート・ムラー氏がトランプ氏の“ロシア疑惑”を調査したように、バイデン親子の周辺を調査する特別検察官が必要だと考えたのだ。
そのバー氏について、12月10日付のウォール・ストリート・ジャーナルが「バー氏はハンター・バイデン氏のビジネスと金融取引に関わる調査が行われている事実について、遅くとも春から知っており、選挙運動中、それが明るみに出ないようにしていた」と報じている。
この報道を受け、トランプ氏はツイッターで怒りを露わにした。
「なぜバーは選挙の前に、国民にハンター・バイデンについての事実を明かさなかったのか? ジョーは討論会の場で何も不正はないと嘘をつき、記者もそれを認めた。投票の際、共和党にとって大きく不利になった」」(飯塚真紀子 12月15日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20201215-00212541/
驚いたことにはFBIは、ハンター・バイデンの疑惑をこの春以前から知り得たにもかかわらず見逃し続け、あまつさえ証拠として提出されたハンターのPCはろくすっぽ検証もせず握りつぶしていたようです。

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ウィリアム・バー前司法長官

そしてウィリアム・バー司法長官は、トランプになにも怪しいことはありませんでしたと報告していたようですから、参ったね、これは。
バーは選挙結果に影響を与えるので公にしなかったと言い訳することでしょうが、たしかにこのFBIの隠蔽により得票結果は左右されたようです。
米上院の国土安全保障・政府活動委員会のロン・ジョンソン委員長(ウィスコンシン州の上院議員、共和党)は、このように述べています。
「バイデン氏に投票した人の36%は、ハンター・バイデン氏のストーリーを知らなかったという調査結果がある。また、そのうち13%がハンター氏のストーリーを知っていたら、バイデン氏には投票しなかったと答えている。つまり、バイデン氏に投票した人の4.6%が、ハンター・バイデン氏のストーリーを知っていたならバイデン氏には投票しなかったということになる。その場合、トランプ氏が選挙に勝っていただろう」
(飯塚前掲)
この疑惑は選挙人投票が終わるまで伏せられ続け、メディアはこれについても荒唐無稽だと冷笑していましたっけね。
そして笑えることには、バイデンが「次期大統領」と決まやいなや、いきなりハンターを税務調査で引っくくるそうです。
あまりに見え透いた小芝居です。
ちなみにこれによってバイデンが辞退に追い込まれたとすると、就任前ならいざ知らず、就任後だと民主党左派のカマラ女史が自動的に女帝となってしまいます。ある意味、これが最悪のシナリオです。
そして3番目のシナリオ。
ジョン・ラトクリフ米国家情報長官は、「民主主義と自由にとって戦後最大の脅威」であると訴え、今回の選挙には中国共産党が関与していたことを示唆しており、マイケル・フリン元陸軍中将も「反対勢力によるトランプ大統領に対するクーデターは現在も進行中であり、その背後にあるのは中国共産党だ」と指摘しています。
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ラトクリフ国家情報長官

ラトクリフは、CIAなど十数ある情報機関の元締めにいる人物です。
その彼はいつもは影の男なのですか、今回に限ってメディアではっきりと「中国による選挙介入があったと明言しました。
「12月4日 AFP】ジョン・ラトクリフ(John Ratcliffe)米国家情報長官は、3日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で、「中国は現在の米国にとって最大の脅威であり、世界の民主主義と自由にとって第2次世界大戦後最大の脅威だ」と主張した。
ラトクリフ氏は、中国が米国の企業秘密と防衛技術を盗んでいるとも指摘。中国のスパイ活動は経済的な圧力によって米議員に影響力を及ぼしたり、間接的な攻撃をかけたりしていると述べ、「中国当局がこの手の影響力工作を米国で定期的に行っていることが、米情報活動によって明らかになった」としている」(AFP12月4日)

「国家情報長官室 (ODNI) によると、情報局は2020年大統領選挙の期間中、外国の脅威についての調査報告書について、大統領令により定められた提出期限である12月18日には間に合わないが、1月に提出できる見込みだという。12月17日付の声明で明らかにした。
声明によると、情報長官オフィスはまもなく発表される「外国による米国大統領選挙への干渉に関する評価報告書」の中に、「外国政府が選挙にもたらす脅威」に関する内容が含まれていると確認している」(エポックタイムス12月18日)

ラトクリフの選挙介入疑惑についての評価報告がどのようなものになるかわかりませんが、中国の選挙介入が認められた場合、マイケル・フリンとパウエルは12月1日にホワイトハウスに出した陳情書で、外国による侵略があったと見なし戒厳令を宣言し、軍の管理による再選挙を実施しろと主張しています。
またリン・ウッド弁護士は、トランプは今年の5月22日に国家緊急状態法202条を1年延長しており、国家緊急状態(戦争状態)は来年の5月19日まで続くことになる、この国家緊急状態法は、大統領に憲法の条項、例えば、人身保護令も中止することが出来る非常に大きな権限を与えている、大統領にはこの最終手段を使え、と主張しています。
そして、国家反逆罪を適用しろとも言っています。
う~ん私としては、こればかりはぜひ避けていただきたいシナリオです。
連邦軍を選挙に使ってしまうと、表面的に中国の手先やその息のかかった者が一掃されるようにみえますが、必ず地下に潜ってアンダーグラウンドになります。
リベラル派や過激派、そしてメディアは、トランプこそ全体主義の権化だと決めつけるでしょう。
その結果、米国は完全に分断され、事実上二つの国家に分裂する可能性がでてくるでしょう。
トランプは顔に似ず、穏健派です。
切った張ったは大嫌い。歴代でもっとも平和を愛して、軍に戦争をさせなかった大統領です。
その彼が、フリンやリン・ウッドなど強硬派のいうことを唯々諾々と従うとはにわかには信じられません。

2020年12月18日 (金)

山路敬介氏寄稿 アメリカ大統領選異聞その2

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承前

■ ミシガン州のドミニオン投票機

 ミシガン州アントリウム郡ではドミニオン投票機22台が正式に差し押さえのうえ、法廷鑑査のために第三者機関に引き渡されていましたが、昨日(12/15)調査を担当した第三者機関や原告人弁護側から結果発表がありました。

 それによると、これらの投票機のエラー率は68.05%(ミシガン州基準0.01%以下)、ありえないない事にセキュリテイログだけが抹消されていて、11/21にデータを消そうと試みた痕跡もあった。また、理由は不明ですが、選挙後の11/6にプログラムを更新していて、セキュリティプログラム含むウィンドウズのアップデートは4年間していない、古いパスワードの使いまわし、ログインさえできれば、誰でも何度でも何でも出来る最悪のセキュリテイ状態で、最低限の基準も満たしていない、外部接続の痕跡も見られた、「このような機器を使用した場合の選挙結果は認められるべきではない」との結論でした。

 エポックタイムスなどの報道では、ドミニオン機器は意図的に結果を創作するように出来ていたと評しましたが、そこまでの表現は発表文には具体的になかったものの、これでも「選挙は正常な状態で民主的に行われた」と言えるのかどうか、バイデン氏側は応えるべきでしょう。

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https://beta.documentcloud.org/documents/20423772-antrim-county-forensics-report
This claim about election fraud is disputed

 ミシガン州法廷のドミニオン監査報告書

■ラドクリフ情報長官報告
 トランプ大統領は今月に入ってラドクリフ情報長官に対し、今回の選挙において「外国からの干渉があったのか。あったとすれば、どのようなものか?」を諮問していす。
ラドクリフ氏はFOXのインタビューに答えて、中国共産党の関与などを事細かに話していますが、12/18期限とみられる報告書もそのような内容となるようです。

 ちょっと気になるのは、武漢ウイルスに関して「中国共産党が大統領選に向けて恣意的に放ったもの」との刺激的な見方をしていて、それをどの程度まで具体性と信ぴょう性がある内容のレポートに仕上がるのか、かなり疑問です。

 そして、トランプ大統領はその報告書に対する判断をどうするのか?

トランプ支持派が期待する「国家反逆罪」や「部分的戒厳令」というような場合、より多くの国民の支持が必要です。
そのためには、よほどの説得力ある証拠開示と緊急性も重要です。
もし本当にドイツにおけるドミニオンサーバーの確保が事実で、その分析内容が反逆罪に値するものだった場合はあり得るかもしれませんが、それでもかなり難しい事でしょう。

私はトランプ大統領は中々、そこまでの意思は持っていないと思います。
しかし、政治的な影響力と権力への意志を常に持ち続け、これから四年間、不正をただし続けるつもりであると考えています。

 ■仮にトランプ大統領が無理にでも政権を存続させた場合はどうなるか?

 そうした意志がないものを仮定するのもどうかと思いますが、トランプ大統領がなぜそうしないかの答えにもなると思うので夢想してみます。
まず、全米各地で間違いなく暴動が起きます。

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読売

今度は反対に「トランプが選挙を盗んだ」の大合唱になります。右派のデモやなんかは常におとなしいものですが、BLMだとかアンティファ以上のこれまで名を聞いたこともない地下過激左翼が表に出てくるでしょう。彼らはロシア製のガトリングガンを持っていたりするかもしれません。

 トランプ大統領は州兵を使って治安に乗り出します。民兵組織も動員するかもしれません。こうした騒乱状態が世界に報道されます。

中には誤射や、挑発にのって学生を打ち抜いてしまう兵があり、まさに習近平やプーチンがのどから手を出してもほしい「絵」が得られるかもしれません。かっての上海南駅で泣く赤ん坊のように、得られなければ作り出せばいいのです。素手で立ち向かう人間を戦車でひき殺す絵など最高でしょう。そして、純粋なアメリカの若者の精神はズタズタになります。

 香港やウクライナ、ウイグルやチベットなど、そうしたいわれのない圧迫を受ける必要はなくなったと独裁者は喧伝するでしょう。あとはゆっくりプロパガンダ戦に持ち込んで、国連やなんかで、欧州やアフリカ諸国と組んでアメリカを立ち上がれないほどいたぶることになるでしょう。

 ■ 翟東昇教授のオンライン講演会
中国対外研究センター事務局長など複数の肩書を持ち、対外宣伝部や国事科学院などとも密接な関係にある翟東昇教授の大統領選後の講演内容が物議をよびました。

今は元動画も訳を付けたものも抹消されているようですが、ご覧になった方も多いと思います。

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翟東昇教授

翟教授が話した内容は、「トランプ前までは米中関係にどのような問題が起きようとも、うまくコントロールすることが出来た。しかし、トランプ政権では不可能だった。だから貿易戦争が起こった」、「だが、バイデン大統領になれば、関係性は我々の手の内にある。バイデンのためにファンドを作ったのは誰か? それは取引だった。バイデンならOKだ」とし、「アメリカの上層部には我々の人間がいる。ウォール街は中国と米権力中枢をむすぶカギである。ウォール街を動かせば、アメリカを動かせる」などと話し、差し支えないほどの小さな成功例も示して見せました。

 「翟氏とライバル関係にある右派教授との出世争いに逸ったために、調子に乗りすぎた」とは、さる中国系知識人の評価ですが、言っている事は80%は当たっているでしょう。
すくなくも、本人の認識するところに正直な内容であると思います。

 ウオール街は中国に投資し、あるいは基準に満たない中国企業をアンフェアに米国市場に上場させて莫大な利益を得て来ました。トランプ政権は中国投資をやめさせ、代わりに中国にあった製造業をアメリカに戻す事をしました。
投資者にとって必要な目安となる監査すら受けなくてもよい特権を中国企業に与えていたのをはく奪して、さらに情報を盗む前科のある企業やウイグル人などの人権を侵害することに加担している企業を締め上げています。

 空前の資金を得た大統領選時の民主党の金庫はウオール街から出ていて、のこりはGAFAやテック企業が中心です。
こちらも中国のビックデータの取得など、中国との強固な結びつきを戦略としています。かつては自身が製造業経営者で裕福な共和党候補と伍して、多くの労働者階級のために広く薄く資金を募っていたいた民主党ですが、先端金融や巨大ネット関連企業の自由のために働く政党になったのです。

 ■ 本物のリベラルの立場
 ロバート・エルドリッチ博士は有本香氏との対談のなかで、「一票でも不正があったなら、選挙自体を無効にすべき」と述べました。有本氏は「極論ですけどね~」と受け流していましたが、エルドリッジ氏の真意は国民主権をより重くみたもので、よく騒がれるほとんどの人権侵害よりも深刻な状態であると述べたかったに違いありません。

 氏によれば、アメリカの民主主義はとっくに失われていたのであり、民主党はかなり前から腐敗しきっていた。以前からその隠ぺいに加担して来たのがマスメディア。
そこに今回さらにSNSが加わった。ワシントンや官僚たちも同じこと。

 「ここでウミを出し切らないと、返ってアメリカはだめになる」としています。
どういう風にウミを出すのか?共和党にその知恵があればいいが、これも中々難しい。

とにかく安全保障に関連する重要案件で優先権を持つ上院選で、共和党がジョージア二議席とることでしょうが、いまのところ一勝一敗の予想が多いようです。

                                                                                                了

                                                                                                   文責 山路敬介

 

2020年12月17日 (木)

山路敬介氏寄稿 アメリカ大統領選異聞その1

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                                                  アメリカ大統領選異聞
                                                                                          山路敬介 

バイデン政権設立準備報道が喧しい一方、「不正など何もなかった」と考える米国民は少なく、それでいてトランプ氏が逆転出来るとは考えていない人々が大勢だと思います。
 国土安全保障省の局長だったクレブス氏は11/17「選挙は適切に実施されたと」とし、バー司法長官も「これまでのところ、不正の証拠は出ていない」(後に広報が趣旨を否定)と話しました。しかし、不自然な開票状況から公聴会の模様まで放映されたことで、「疑惑」の段階からとうに歴史的不正選挙の山を超えたと言ってよいでしょう。

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バイデン氏が当選確実に「国として団結する時だ」と声明 トランプ氏は ...

12/15選挙人投票にあたって、バイデン氏はぬけぬけと「(「不正選挙」などとして、)選挙に携わったものたちを誹謗中傷する行為はやめるべきだ。彼らのおかげで民主主義が保たれているのだ」などと、事実とまるで逆の言いぶりです。

 不法に期日後郵便投票日付の改ざんを命令された郵便局員は内部告発しましたが、馘首され、「州をまたがって大量の投票用紙を運んだ」と証言したトラック運転手の告発も、同様に告発内容を調査される事はありませんでした。それどころか、FBIは逆にこれら告発した側の人間の取り調べを行っています。

市井の国民だけではありません。テキサス州は連邦最高裁に訴訟を提起しましたが、主導したパクストン州司法長官に次に何が起こったか? FBIにすぐさまパクストン司法長官を汚職の容疑で取り調べたのです。

 問題のある複数の州の状況ですが、今だに混とんとしていて、とりあえず選挙人の選出だけは法にもとづいて型通り行ったという状況です。

もともと合衆国憲法には、国民の投票権はうたわれていません。州議会の立法などで、どの州も選挙によるものとしていますが、そもそも選挙をやらずに議会が選挙人を選定しても合衆国の憲法違反にはなりません。
「選挙」はさながら州の持ち場であって、州や州議会が決めた方式と運用で行われる事になっていて、選挙人が選出されるまでは合衆国政府の関与は最小限にとどめることと理解されているようです。

このような制度の違いは理解しづらく、選挙人の地位もあやふやに見えます。
なんらかの事故があった場合には無効や再選挙などよりも、次には州および州議会の判断にゆだねられる法律構成です。
それゆえ、州の権限の矩を越えるおそれのある訴訟には保守派判事は躊躇しがちだし、連邦裁判所が判断しづらい事情も理解できます。

 しかしその裏を返せば、法的には1/6に開票予定の選挙人投票の結果を合衆国議会が忌避する事が可能です。
上院が理由がありその投票結果を認めなければ、下院での州単位投票となります。
今回の場合ならば、その結果は明らかです。ですが、マコーネル上院内総務はじめ共和党重鎮らはこれまで「バイデン次期大統領の認定作業」を拒否していたところ、12/15の選挙人投票を期にバイデン氏を次期大統領として認める方向にカジを切っています。

ここにきて、トランプ氏の再選の可能性は消えたと言えます。

 ※ ちなみに本稿は世間様での報道内容と違い、ゆえに「異聞」としました。

 

                                                                                        続く

 

                       

2020年12月16日 (水)

山路敬介氏寄稿 詭弁に弄される重要証拠についてその 2

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承前

また、Eメールシステムの発明者でもあるMITのシヴァ博士のグループがした研究分析結果にも、そうとう早くからあった論考にもかかわらず、いまだ有効な反論は出ていません。というか、無視されています。

ミシガン州の4つの郡をサンプルにして、共和党支持者のうちのトランプ支持者が異常に少ないデータを研究分析したものですが、博士は「集計機のアルゴリズムが操作され、計69,000票がバイデン側へ流された」としか説明出来ないと結論づけています。

ベンフォードの法則にかかわる問題もそうです。
ベンフォードの法則についての説明は端折りますが、専門家の意見は「選挙については、ベンフォードの法則は適用できない」とする見解が一般的なようです。
理由は「「選挙」という投票者数の分母が決まっている事柄については適用出来ない」(たとえば1000と総体が決まっている場合、一方が先に500とってしまえば、残る一方にはベンフォード的直感作用は入り込む余地がない)とするもので、至極もっともな話と思い「フェイクの類いの説だろう」と考えていました。(澁谷司さん、ごめんなさい。)

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https://togetter.com/li/1620833

ところが、正しく分母が決まっていない地域が多かったのが今回の大統領選挙だったのです。
普通ではあり得ない投票日当日の、しかも投票現場での有権者登録が認められ、ウィスコンシン州の最終投票率は北朝鮮でもなければ絶対不可能な90%にも達しました。

当日はAPとWT紙、FOXの最終投票者数が相違していて、あと何票とればトランプ当選なのか? その計算が出来なかった事が思い出されます。ロイターは「当日有権者登録のどこが問題か?」と開き直っています。

どっちにしても金融や企業会計の世界のように「証拠」として扱われませんが、結果としてトランプの得票数字はごく自然な範囲に収まっているだけに、バイデンのそれは企業会計なら「鉛筆なめなめ」の粉飾決算を疑われる不自然さがともなっていた事は興味深いです。

                                                                          文責 山路 敬介

 

●管理人からの補足
記事の図版は管理人が入れたものです。
ベンフォードの法則について補足させていただきます。この法則は「一桁の法則」ともいわれ、一連の数字が自然発生的に発生しているのか、なんらかの操作によって捏造されたものなのかを検証するるために使用されています。
多くは不正経理の摘発で用いられますが、2009年のイラン選挙での投票不正の検出のように、投票の検証にももちいられています。
今回、奇妙なことに、トランプは法則どおりの自然な曲線を描いていますが、バイデンは超常現象もどきのメチャクチャな曲線を描き、しかも勝利しています。
統計学上ありえないことです。

参考ベンフォードの法則 - Wikipedia
グラフで見るバイデン勝利の秘訣、金融にも応用できる数学『ベン ...

                                                               

2020年12月15日 (火)

山路敬介氏寄稿 詭弁に弄される重要証拠について

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                                                    詭弁に弄される重要証拠について
                                                                                        山路 敬介


米大統領選においては、勇気ある証言者によって数々の不正が明るみに出ました。その多くが公聴会でのもので、次から次に登場する証人たちの様子を長時間、漫然と見ているだけで空恐ろしくなる思いでした。
ここではそうした内容をいちいち詳らかに取り上げず、科学的成果としての証拠が「詭弁」によってどのようにして我々の認識を変えてしまうのか、その点を中心に述べたいと思います。

もちろん、その筆頭は例のバイデンカーブ現象です。

11/3から4日の未明にかけて現れたバイデンカーブは、バイデン一気逆転の不可思議かつあり得ない怪奇現象でした。

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ウィスコンシン州得票数グラフ

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ミシガン州得票数グラフ

こうした事実がウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアで同時に起こる確率は一兆分の一だ、と複数の科学者が公聴会で証言されています。また、この問題は憲法問題の主題にかくれていて話題に上りませんでしたが、テキサス州の最高裁への訴因のひとつでもありました。
この事について昨日の「目を醒まそう」氏は、「不在者投票が集計を終えて一度に加算された為にグラフが跳ね上がったというだけのこと」としています。

保守評論家のJ氏は「郵便投票の分を一斉に開けただけ」という解説を述べていて、私が知る限りNYタイムスにも同内容の論説記事が載っていました。
こうした反論は単純かつ明快であるだけに、俗耳には入りやすく納得している向きもあるのではないでしょうか。

しかし、このような反論は反論になっていません。
まず、統計学分野の科学的知見に基づいた分析結果について反論するには、そこで使用された計算なり論理や過程の誤りを証明する方法に限られます。
そうした有効な反論が学者スジから出現するのを待ちましたが、いっこうにその気配はないです。

原則論は置くとして、「目を醒まそう」氏はともかく、J氏はディべート巧者あるだけに、承知のうえで詭弁的な論陣を張っている可能性があります。彼の言い分は巧みに「結果」を指していて、原因や過程の順序が整っていません。

はやく言えば、なぜJ氏や「目を醒まそう」氏は、郵便投票の全部がバイデン票だという前提で物事を考える事が出来るのか? という事です。結局、正常性バイアスの虜になっているのかも知れません。

11/4のウィスコンシンでは3:30~4:40までの間の11万票のうち、ほぼ全ての票がバイデンへ。

ミシガン州では郵便投票分とされる12万票のうち、95%以上がバイデン票になっていて、そうした現象が「複数州同時に起こる確率は一兆分の一だ」という命題(分析結果)に対しての反論回答が、「郵便投票分を開けたら、その全てバイデン票だったのだよ、エッヘン」だとしたら、これでは回答どころか同義反復的なけったいな会話です。

                                                                                                                                   続く

2020年12月14日 (月)

連邦最高裁却下の「含み」とは

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ご承知のように、連邦最高裁が却下しました。
連邦最高裁のペーパーですが、実に短く、言っていることは「原告の適格性がない」、「他州の選挙方法に介入する利益があるとは証明できていない」というだけのことです。
法廷闘争に関しては最初の勝利はまだ先のようです。

FRIDAY, DECEMBER 11, 2020

ORDER IN PENDING CASE

The State of Texas’s motion for leave to file a bill of complaint is denied for lack of standing under Article III of the Constitution. Texas has not demonstrated a judicially cognizable interest in the manner in which another State conducts its elections. All other pending motions are dismissed as moot.

テキサス州の言いぶんは、要約すればこのようなものです。

訴えたジョージア州などは、郵便投票の承認を議会の承諾なしに州政府がやってしまった。
これは州の選挙制度の変更であって、憲法違反であり、かつそれを遵守した他州に不平等に当たる。
したがって、4州の選挙人は無効にせよ。

だから、今までのように選挙不正ウンヌンではなく、その前段の選挙手続きの改変が不正なのだということになります。
一瞬、私もこれは正面突破が困難な今、抜け道となるかとも考えたのですが、落ち着いて考えれば、そうとう無理筋な議論であることは確かです。
というのはこのテキサス州の言い分には、選挙制度は州に主権があるという大前提が抜け落ちてているからです。
そもそもジョージアが郵便投票を認めようとどうしようと、それは他州がクチバシを入れられる内容ではないのです。
つまり、連邦最高裁がいうように、日本流にいえば「原告には訴えの利益がない」ということになります。
これが今回の連邦最高裁の決定理由となっています。

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米大統領選2020】 連邦最高裁、トランプ氏応援の訴え退け 4州の結果 ...

ここで連邦最高裁は、郵便投票を認めた手続き論で覆してしまえば、選挙に不正があるなしに関わらず、大統領選挙の結果全体を覆しかかねないことをよく判っています。
バイデン氏が獲得しているとされる306人の選挙人のうち、わずか37人が「造反」しただけで選挙人の票数は270を割り込み、「バイデン大統領」は実現しないからです。

これが、絶対に動かぬ疑惑解明の物的証拠、あるいは内部告発のような絶対的証言ならば、審議をすることはやぶさかではなかったでしょうが、そうではなかったということです。
連邦最高裁は今この時期に立ち入った判断をすることに腰が引けていたのです。
ではなぜ腰が引けていたのでしょうか?ここを考えないとこの門前払いの意味がわからなくなります。
これはある意味で「含み」を持った決定なのですよ。

反トランプの人たちは、これで選挙疑惑はなかった、ざまぁと手を打って喜んでいるようですが、そうでしょうかね。
いいでしょうか。連邦最高裁は州の下級審のように、さっと審議しただけで疑いなしという安直なことはできません。
この疑惑が大きければ大きいほど、それは国家の根幹に関わることなので徹底した証拠調べをすることでしいう。

では、今、この時期で万人をうなずかせるような証拠が開示されているかといえば、ノーです。
ですから、まだ出揃っているとは到底言えない生煮えの証拠開示の段階で審議に入れば、たぶん9割の確率で却下されます。
そうなった場合、これで損をするのは、追及している側なのです。
ということは現時点で法廷で争えば、必ず疑惑追及陣営は負けてしまい、連邦最高裁が否定するとなると、ほんとうにこれで大統領選に勝った負けたという目先のことだけではなく、疑惑追及それ自体がジ・エンドです。

だから、連邦最高裁の保守系裁判官は、ここでの審議入りをあえて拒絶してみせたのです。
それも内容に立ち入らずに「訴えに利益なし」という外形論で拒否し、物的証拠で再チャレンジしなさいということです。

たとえばつい先日、ジョージア州ウェア郡で、ドミニオン集計機が押収され、同数のトランプとバイデンの投票が法的に法的監査がなされた結果、ドミニオン集計機はトランプ票を87%、バイデン票を113%と集計していたという情報も伝わってきています。
ただし、この情報もツイッターのみで詳細は不明です。


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このような物的、かつ科学的な証拠をどんどんと積み上げていかねばなりません。
それがあって初めて、バイデン陣営やそれを支持するオールドメディアの流す「荒唐無稽なトランプ陣営」という風説の牙城を切り崩せるのです。
これが私がいう連邦最高裁決定の「含み」です。

メディアはトランプの法廷闘が終わったと書いていますが、それは違います。

「ワシントン=横堀裕也】米大統領選を巡り、テキサス州が接戦州4州の選挙結果を無効とするよう連邦最高裁判所に求めた訴訟で、最高裁は11日、訴えを退ける決定をした。トランプ大統領も原告に加わることを申し立てており、バイデン次期大統領が勝利した選挙結果を覆そうと望みを託してきたが、法廷闘争は事実上の終焉(しゅうえん)を迎えた形だ。
 最高裁は、テキサス州には訴えを起こす法的利益はないとして、原告適格を認めなかった。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は決定を受け、トランプ氏側の法廷闘争について「選挙結果を覆す道は閉ざされた」と伝えた」(読売12月12日)

あくまでもそれは選挙結果を覆すための法廷闘争の終わりであって、今後長期にわたってこの選挙疑惑に対する訴訟はやむことなく継続され、「バイデン新大統領」をブディブローのように苦しめ続けるのです。
といっても、バイデンを大統領から引きずりおろしてしまうと、代わりに左翼リベラルのハリスが大統領になってしまいますので、塩梅はご注意ください。

 

 

2020年12月13日 (日)

日曜写真館 神社POP

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おもわずパォー。いななくブルーエレファント。ほんとうにいたらコワイ。

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切れ長の涼しい目がすてきです。

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伊藤若冲の鳥獣花木図屏風にでてきそうな象ですが、若沖は白象、こちらはなんと蒼象。

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極彩色の凄さ。ど派手の怖さ。キュチュでポップ。だけど゙神聖。

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楽園の憧れ、異世界へのわななき。

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紫の唐獅子。

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この神社の蒼天は唐天竺につながっています。

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祭礼の時以外訪れる人も稀なちいさな神社です。

 

2020年12月12日 (土)

緊急事態宣言と戒厳令をトランプは出せるか?

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ユーチューブなどのネットでは、もう連邦最高裁が受理し保守派判事が多数だから勝ったも同然という予測が多く出ています。
なかにはマクナニー元空軍中将やリン・ウッド弁護士の「戒厳令を敷け」とか「反逆罪を適用しろ」という過激な言説まで大きく取り上げているところもあります。
ちょっとお待ち下さい。クールダウン、クールダウン。

非常事態宣言と戒厳令はそもそも別次元です。

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マクナニー元空軍中将

後述しますが、非常事態宣言はコロナ禍でもでましたし、日本でも「非常事態宣言もどき」がでたことがあるように、国の安全が脅かされた場合に政府が随時発令するものです。
米国は大統領がよく出すことがありますし、パリ同時テロの例では警察権限が強化され、裁判所令状なしの家宅捜索や拘束、一部地域の立ち入り制限などを実施しました。
主体はあくまでも警察です。

一方、戒厳令ですが、これの主体は「軍」です。
軍が、国の三権(行政・司法・立法)を軍政に一時移管するもので、民主主義の一時的凍結措置です。
これは「他国の侵略」があきらかな場合、あるいは国内が内乱状態に陥った場合の話で、国家として土壇場、もう道がこれしかないという場合だけに限った措置です。
タイが2014年5月に出したことがありますが、先進国で戒厳令なんか出したらそうとうに恥ずかしいと思って下さい。
お前の国大丈夫かという話で、米国がこんなものを出したら最後、世界の警官なんか直ちに辞職せにゃなりません。

ましてや選挙で出すとなるとただの選挙不正ではなく、「他国の介入があった」ということが立証されねばなりません。
目の前で外国軍が侵攻し、米軍とドンパチやっているような状況や、あるいは9.11テロのようなものが起きれば話は別ですが、現時点では裁判所が認めない限り難しいはずです。

マクナニーが言っている反乱法ですが、出せることは出せます。
米議会は2002年、議会の制定法によらなくても、「戦争、反乱またはその他の重大な緊急事態に即応する憲法上の義務を果たすため、軍隊の使用が必要だと大統領が判断した場合」には、法執行を含めて国内で行動させることができる、という決議(合衆国法典第6編第466条)を制定しています。

実際にこの反乱法は使われたことが何度もあります。
大統領が反乱法を用いることができるのは以下の場合です。

①反乱が起きている州の議会(州議会を開くことができない場合は知事)が大統領に支援を要請した場合。
②反乱のため、通常の司法により連邦法を執行することができない場合。
③反乱もしくは暴動によって法執行が妨げられ、州の住民が憲法上の権利を剥奪されており、その権利を守る意思または能力を州が失った場合。

暴動鎮圧に対して連邦軍は反乱法を法的根拠にして何度か投入されています。
ジョンソン大統領は1967~68年の都市暴動に対して、パパブッシュが1989年のバージン諸島ハリケーン被災後の治安悪化や、1992年のロサンゼルス暴動に際して、①の知事の要請に応じて連邦軍を派遣しています。

では現時点で、暴動が起きているかと言えば起きていません。
今BLMやアンティファは、バイデン勝利に満足しておとなしくしていますから、暴れるとすればトランプ支持過激派です。
ですから、今そんなものを出すと、トランプ支持者を規制することになってしまいます。

さて保守論客のJ氏などは、「裁判所が認めないので負け。これ以上混乱を続けると中国の思惑どおりになる。騒ぐ奴はその手先」といった言い方をしています。
いかにも中央法科出らしい言い方で、まぁ法律的にはそのとおりなんでしょうが、この人特有の過剰なリアリズムで、少々この私も鼻につきます。

ウォールストリートジャーナルは、米国では珍しくトランプの評価すべきことは正当に評価してきた媒体ですが、こういう言い方をしています。

「トランプ米大統領とその支持者らは、大統領選の結果を覆そうと、テキサス州の司法長官が提起した訴訟に望みをかけている。ただ、選挙法の専門家は、訴えが認められる見込みはほぼゼロだと指摘している。(略)
連邦最高裁で問われる唯一の問題は、テキサス州が自らの訴訟を起こす許可を持っているかどうかだ。多くの場合、まずは下級裁判所での審理を経るが、憲法では州が最高裁に直接訴えることを認めている。ただ、こうした慣例は、他のどの裁判所でも最初の審理が不可能な係争問題に限られてきた」
(WSJ2月11日『トランプ氏「奇策」に賭け、テキサス州の訴訟に望みつなぐ』 https://jp.wsj.com/articles/SB11337479942064503444304587151571516227922

WSJは連邦最高裁はテキサス州がこのような訴訟を起こす資格がないというだろうとみています。たぶんそれが妥当です。
連邦最高裁がどういう判断をするかわかりませんが、内容に入る前に却下されるか、受理してもこのような訴訟は米国選挙法とはなじまないので判断できないという言い方をするかもしれません。
つまり勝ち負けをつけずに、裁判所はテキサスの訴状にあるようなことを審議する場所じゃない、ということを言いそうです。
というのはこの訴えを認めた場合、今までの選挙の法的根拠が全部怪しくなってしまうからです。
逆の場合を考えてみればいいでしょう。トランプが大勝していたとしても、重箱の隅をつつくようなことで、バイデン勝利を認めた州から憲法違反だと提訴されたらどうします。
互いにこれをやったら、選挙制度自体の信頼性が崩壊してしまいます。
だから法的に選挙白黒を争うのはそうとうに困難です。
不正選挙の絶対的証拠が不足しており、憲法違反提訴にも無理があるのは事実なのです。

次に国家緊急事態法についてですが、出てます。
米国の場合、トランプ今年の5月22日に、国家緊急状態法202条(d)を1年延長しています。
202条(d)とは、イラクの情勢が不安定だった時に実施された国家緊急状態のことです。
それを1年延長したということは、形式的には今も国家緊急状態(戦争状態)は続いており、来年5月19日まで有効ということてす。
ですから、今さら非常事態宣言を出す出さない、ではなく、もう出ているのです。

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イラク情勢とは無関係に、コロナ感染対策としても今年の3月13日に国家緊急事態宣言を出しています。
その時にトランプは「戦時大統領」という言い方をしています。
いかにも彼らしいハッタリめいた言い方に聞こえるかもしれませんが、これはただのレトリことへのックではなく、既に131日時点で、保健福祉長官アレックス・アザーの名前で、公衆衛生緊急事態(Public Health Emergency)を出していますから、それを上書きしたものです。
ただし、ここからが米国特有の連邦政府と州政府の権限の問題となるのでやっかいですが、連邦政府にできることは限られています。

「アメリカにおいて感染症対策の主役は州政府である。といっても、連邦政府が感染症対策についての権限を州政府に委譲しているわけではなく、そもそも州内の公衆衛生については州政府が管轄する。連邦政府の役割といえば、州境あるいは国境を超えて感染症が拡散しないよう対策することにある。合衆国憲法の規定では、連邦政府は憲法に列挙されている事柄についてのみ権限をもち、その他についての権限は州政府が留保する。連邦政府と州政府の関係は、日本政府と地方自治体との関係とは全く異なっている」
(2020年5月22日)梅川健都立大教授『「戦時大統領」としてのトランプ(2):新型コロナウイルス対策と国家緊急事態宣言』)

このように国家緊急事態法や公衆衛生事態法は、大統領に強い権限を与えることは確かですが、これもトランプ支持者が考えるほど簡単ではありません。
前者は前述したように「戦争状態にある」ことの立証が必須ですし、後者コロナ対策は戦争ではなく感染症対策であり、既存の感染症対策の枠組みの中では大統領は脇役にすぎず、反乱法は暴動が起きて警察の手に余るという状況ではない以上出しようがありません。

では、米国民の半分存在するトランプ支持者たちが、現状のまま裁判所やメディアがいうとおりで納得するかといえば、まったくノーです。
ことは既に、「中国が選挙に介入していたのではないか。票はドミニオンなどでバイデンには多く、トランプには少なくされたのではないか。ならばほんとうはトランプが勝利していたはずだ。勝利は盗まれたのだ」、という民主主義が冒涜されたことへの怒りに発展しており、一片の法律論ではこの解消にはならないのです。
この活火山は仮にバイデンが就任しても、いやすればそのエネルギーはいっそう大きく成長するでしょう。

私としてはテキサス州の提訴がかなうことを祈りたい気分はありますが、同時にさっさとこういった混乱に決着をつけないと大変なことになるぞと、私の別な部分が警告しています。
ただしそれは外国人だからいえることなんだとは思いますが。

 

※追記 連邦最高裁がテキサス州の訴えを却下しました。ほぼWSJの見立てのとおりです。

「連邦最高裁は11日、短い判決文で、テキサス州には原告適格(訴訟を起こすための原告としての資格)がないとして、同州の訴えを退けた。
「テキサス州は他の州による選挙の実施方法について、法的に審理し得る利益が自分たちにあると、立証できていない」と、最高裁は判断理由を示した」(BBC2020年12月12日 11:11 )


 

2020年12月11日 (金)

米国は南北戦争の時代に逆戻りするのか?

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テキサス州の憲法違反の最高裁への訴えに、17の州が共闘に参加しました。
これにより18州が選挙結果に異を唱えたことになります。
しかも今後3州が訴訟同盟に参加するという情報もあって、もはや半分の州が選挙結果に異議を唱えたことになります。
これはバイデンが仮に勝利しても、半数近くの州がその勝利を認めないという意味です。日本のメディアは完全無視を決め込んで、GOTOトラベル叩きに勤しんでおられるようです。
それにしてもここまで大きな政治的な動きなのに、わがマスコミは一行たりとも報じませんな。まるで香港。

「米テキサス州のパクストン司法長官(共和)が大統領選の手続きに不当な変更を加えたとして激戦4州を連邦最高裁に提訴した裁判に、他17州が9日、追随する方針を表明した。
これら17州にはミズーリ州のほか、アラバマ、アーカンソー、フロリダ、インディアナ、カンザス、ルイジアナ、ミシシッピ、モンタナ、ネブラスカ、ノースダコタ、オクラホマ、サウスカロライナ、サウスダコタ、テネシー、ユタ、ウエストバージニアの各州が含まれる。各州とも共和党関係者が原告で、17州中14州の州知事が共和党員」(ニューズウィーク12月10日)

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ニューズウィーク

ほー、すごいですな。 みごとに南北戦争で破れたアリリカ連合国(Confederate States of America・CSE)の諸州が揃い踏みしました。
偶然なのかどうか、いわゆる南軍諸州は以下です。

・南軍諸州
テキサス、アラバマ、アーカンソー、フロリダ、ルイジアナ、ミシシッピー、バージニア、テネシー、ノースカロライナ、バージニア、サウスカロライナ

サウスカロライナ州 1860年12月20日 1861年2月4日 1868年7月9日 1876年11月28日
ミシシッピ州 1861年1月9日 1861年2月4日 1870年2月23日 1876年1月4日
フロリダ州 1861年1月10日 1861年2月4日 1868年6月25日 1877年1月2日
アラバマ州 1861年1月11日 1861年2月4日 868年7月14日 1874年11月16日
ジョージア州 1861年1月19日 1861年2月4日 1870年7月15日 1871年11月1日
ルイジアナ州 1861年1月26日 1861年2月4日 1868年6月25日
もしくは1868年7月9日
1877年1月2日
テキサス州 1861年2月1日 1861年3月2日 1870年3月30日 1873年1月14日
バージニア州 1861年4月17日 1861年5月7日 1870年1月26日 1869年10月5日
アーカンソー州 1861年5月6日 1861年5月18日 1868年6月22日 1874年11月10日
テネシー州 1861年5月6日 1861年5月16日 1866年7月24日 1869年10月4日
ノースカロライナ州

 

ウィキ  上図 左から 州名 合衆国脱退  連合加盟 合衆国再加入 地方自治の再建
地図にするとこんなかんじです。300pxusa_map_1864_including_civil_war_di
赤は南部連合、青が北部、白は当時まだ州に昇格していない準州でした。
これを今回トランプが勝った州(赤色)の地図と重ねて見ましょう。
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その前のヒラリーと戦った時のもののほうがもっとよく分かるかな。
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トランプが前回勝利したのは、旧南軍諸州の鉄板地盤に、中西部農民層地帯、中東部工業労働者地帯を共に押えたからです。
逆にいえば、民主党は海岸沿いのよく米国人にあそこはアメリカじゃないよと揶揄されるカリフォルニアやニューヨークなどを押えているにすぎません。
ただ都市部で人口が多いため、カリフォルニアが実に55、ニューヨークが29、この2州だけで84票も押えています。
民主党は全米を駆け回らなくても沿岸部だけで運動すればいいので、効率のよい勝ち方ができます。
今回ペンシルベニアとジョージアが焦点になっていますが、テキサスが訴えたのがジョージア、ミシンガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンです。
ジョージアを除けば、すべて北軍地域。
唯一の例外がジョージアですが、共に南軍で苦渋を呑まされたテキサスがジョージアをどう考えて提訴に踏み切ったのか、裏の感情を知りたくなります。
憶測の域を出ないとお断りしますが、ジョージアは前回選挙でトランプが勝った地域で、しかも磐石の共和党鉄板地域ですから知事もとうぜん共和党。
しかし、ジョージア州知事のブライアン・ケンプは見事に寝返って、相棒のこれまた共和党員の州務長官などに至っては仇敵のCNNに「ボク、ホワイトハウスと共和党からいじめられているんだーい、グスっ」なんていう始末。
そりゃ、これを聞いていたテキサスは怒るよね。この裏切り者め。
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さてもう少し歴史をみてみましょう。
日本人には南北戦争について根本的な勘違いがあるようですが、リンカーンは共和党です。
リンカーンは、大統領選挙に出馬する前の1858年の連邦上院議員選挙に共和党の候補として出馬し落選していますが、相手は民主党のダグラスでした。
1860年の大統領選挙に共和党は候補者として急進的な奴隷制度廃止論者となりそうでしたが、結局、穏健派と見られていたリンカーンが勝利します。
多くの日本人はリンカーンが奴隷解放を訴えて大統領選に打って出たと錯覚していますが、違います。
リンカーンは連邦政府の統一を重視しており、国家分裂を招くくらいなら、奴隷解放の主張は控えてもかまないという立場のリアリストでした。
オバマがリンカーンに親近感をもつのはこの辺かもしれません。
口では格調高く非核の世界なんていいながら、実はなんもしないクソリアリストってとこでしょうか。
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リンカーンはこのように述べています。
「連邦政府は半分奴隷制で半分自由という状態をいつまでも続けることはできない。私は、連邦が解体するのを望むものではないし、私の希望は争うのをやめてほしいのである」

ですから、リンカーンの1860年大統領選挙での公約は、奴隷制度維持派の民主党陣営を分裂させるために、今までどおり南部は奴隷制は維持してもかまわないが、今後州に昇格する準州は認めないていどのことだけで、解放宣言をしたのはそれからずっと後の3年後このことです。
それも南軍に勝つプロパガンダとして行った節があります。

しかしこのリンカーンの妥協案によって、北部民主党と南部民主党に別れて分裂選挙をせざるを得なくなり、リンカーンが勝利したわけです。
リンカーンは大統領に就任しても1861年3月の就任演説でこう述べています。

「直接的であれ、間接的であれ、奴隷制度が存在する州においてこの制度に介入する意図は全くない。国家を支える基本法には、たとえ明確に表現されていなくても、その存在の永遠性が合意されているものである」

おいおい、リンカーンは「奴隷制度を持つ州には介入しない」と言っちゃっているのです。
ところがリンカーンが当選するや否や、サウス・カロライナをはじめフロリダ、ジョージアとアラバマなど7州が南部連合を1861年2月に形成し、デイビスを大統領に選出してしまいました。
南部諸州の勇み足です。戦略ミスです。なにも国家分裂まで走る必然はありませんでした。
リンカーンなら時間をかけて南北宥和も可能だったはずで、段階的奴隷制廃止も可能だったはずで、実際、リンカーンはそう考えていたはずです。

後はご存じのように、売られたケンカとなったリンカーンは「強いられた戦争は受けて立つ」姿勢を明確にせざるをえませんでした。
有名な奴隷解放宣言が出たのは、南部諸州が分離に踏み切った後の1863年です。
勝敗はやる前から明らかでした。国力が違いすぎます。
南部は人口が900万人、北部は2200万人、そして工業地帯を有し、ワシントンDCの首都機能を押えた北部は勝つべくして勝ちましたが、その戦争の過程で同じアメリカ人が同国人にしたとは思われない残虐行為を働き、アトランタなどの多くの街を焦土に変えたのは北軍でした。
しかし、歴史書には悪玉=南軍と刷り込まれました。

当時19世紀後半まで米国においては黒人差別は合法でした。
現代の目でみれば、とてつもない人権侵害ですが、当時はそうだったとしかいいようがありません。
北部にも奴隷所有をしているものは大勢いたし、奴隷制度肯定論者も多くいたのです。
ところがいったん南軍が敗北を喫すると、すべての人種差別の罪を南部諸州にだけ被せてしまったのです。

この南部が民主党という構図がひっくりかえったのは最近のことで、大戦直前まで南部の大農場主が党首でしたが、これをルーズベルトは北部を地盤とする政党に変貌させます。
これにより行き場をなくした南部民主党に目をつけて取り込んだのが敏腕な共和党のニクソンでした。
ニクソンは、この南部民主党保守派を、巧みな政策で取り込みます。
これは、いわゆるサイレント・マジョリティと呼ばれる人々でした。
この階層が、今のトランプ支持層の源流です。

一方、黒人解放を掲げたケネディが民主党党首となったために、民主党は共和党に黒人差別主義者というレッテルを貼りますが、そんな単純な構図ではありません。
いずれにしても、南部諸州から見れば、南北戦争で大量虐殺の憂き目にあい、住んでいる街をことごとく焼き払われ、経済基盤を奪われたたという歴史的怨念をいまだ持っています。
日本で言えば、奥羽越列藩同盟、州都アトランタを丸焼きにされたジョージアなど会津みたいなもんでしょうか。

これがこの間の南部将軍銅像撤去や南部の基地名から南軍将軍名を削除する動き、そしてBLMなどの南部連盟旗の掲揚禁止要求によって、いっそう怒りをかきられたのです。
彼らにとってトランプは唯一の彼らの正当な代表であったわけで、この勝利が「盗まれた」とあっては黙っているわけにはいかなかったようです。

というわけで、この収拾を誤れば、今後米国はかつての南北戦争の時代に逆戻りしていく可能性が濃厚でしょう。
 

2020年12月10日 (木)

テキサス州ペンシルベニア州など4州を提訴

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仰天しました。まだこんな方法が残されていたんですね。
テキサス州が不正選挙の疑いがあるとしてペンシルベニア、ジョージア、ミシガン、ウィスコンシンの4つの州を連邦最高裁に提訴しました。

[ワシントン 8日 ロイター] - 米テキサス州のパクストン司法長官(共和)は8日、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)に乗じて大統領選の手続きを不当に変更し、選挙結果をゆがめたとして、ジョージア州、ミシガン州、ペンシルべニア州、ウィスコンシン州を相手取り連邦最高裁に提訴した。
不正投票の横行により「信頼が崩壊し、選挙の安全性や公正性が損なわれた」とし、4州の選挙人(62人)を選挙人団から除外するよう要請。また14日に予定されている選挙人団による投票の延期も求めた。
パクストン氏は「4州が正規の議会によって制定された法令に違反し、憲法にも違反した。州法と連邦法の両方を無視することで、当該州における投票の公正性を汚しただけでなく、テキサス州を含むあらゆる州における投票の公正性も汚した」とした。
連邦最高裁は、トランプ氏が指名した3人の判事を含め6対3で保守派が多数を占めている。最高裁にこの訴訟を審理する義務はない。
トランプ大統領はツイッターで、テキサス州の行動を支持すると表明。さらに他の州も訴訟に加わるよう呼び掛けた」(ロイター12月8日)

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「アメリカから見た日本」

正直言って仰天しました。
トランプさんは針の穴でも通るようなことがないかぎり勝てないと私は書いてきましたが、その「針の穴」に挑戦する気のようです。
提訴を起こしたテキサス男は州司法長ケン・パクストン、もちろん共和党員。この人は弁護士資格を持っています。

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テキサス州司法長ケン・パクストン

パクストン司法長官はバリバリの共和党員で、訴えられたペンシルベニア州のケンプ知事もいちおう共和党員ですから、バリバリ派vsなんちゃって派との戦いです。
バクストンは、かつてトランプがイスラム系の入国を制限したことに対して反対した州を偽善だと批判した人物です。

「テキサス州司法長官のケン・パクストンは、イスラム教徒が多数を占める6つの国を対象としたトランプ大統領の入国停止令を支持する16州の連合を指揮しているが、大統領令を差し止めた裁判所は、誰を入国させるかを決定する大統領の役割を偽善的に解釈しているとして非難した。(略)
他の大統領は1980年以来、合計44回、何らかの入国禁止を制定させており、オバマは6回課したことがあると彼は述べた」
(ドナルドトランプニュース2017年6月13日)
https://www.trumpnewsjapan.info/2017/06/13/texas-ag-accuses-lower-courts-hypocrisy-trumps-travel-ban/

さてここで面白いのは、「州が州を訴える」ということができるという米国国家の仕組みのわからなさです。
日本で神奈川県が千葉県を、しかも選挙のことで訴えるというのは想像もつきませんが、米国ではできるのです。
しかも今日参考にさせて頂いているブログ「アメリカから見た日本」様によれば、「この訴訟は複数の管轄区域にまたがって提訴することで、最高裁判所へまっしぐらで行けることになる」そうです。
https://note.com/yamatogokorous/n/n0ac61aa4f6b1

つい昨日も「最高裁不正選挙の訴えを認めず」という報道がなされていました。
Supreme Court dismisses Trump allies' challenge to Pennsylvania election
https://www.usatoday.com/story/news/politics/2020/12/08/supreme-court-wont-hear-trump-allies-challenge-pennsylvania-vote/6483060002/

「最高裁」はペンシルベニアで全面的に州当局の言い分を支持し、監視カメラに写っていた机の下のトランクはバロットキャリアーという公式の運搬具で、係員の動きも別にマニュアル通りで違法なしとしました。
これで終了、万策尽きたかと、私も考えていたところに飛び込んできたのがこのニュースです。

さぁここで問題です。今、ペンシルベニア州の言い分を認めた「最高裁」ってどこの最高裁でしょう?
はい、ペンシルベニア州の州最高裁なんです。

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ここが日本人には理解を超えます。
日本には県の最高裁なんてありませんからね。あるのは国にひとつ。
ところが、米国は州ごとに最高裁があるのですから、参ったね。
合「州」国という訳のほうが正しいわけで、ひとつひとつの州は日本人が考える地方自治体ではなく、半分独立した「国」(ステート)のようなものなのです。
だから、州政府はあたりまえ、法律は独自、州兵という戦闘機まで持つ軍隊も持っているし、州の最高裁まであるのです。

で、ここで争ってもどうにもならないことを悟っトランプ陣営はウルトラCをだしました。
どうやらこれが4日前にトランプが予告していた、重大なことが起きるぞという予告の中身だったようです。

さて、どのようにテキサス州はやったのでしょうか。
テキサス州は、合衆国憲法の第3篇2節に 「州と他州の市民との間の争訟」 について、連邦裁判所に裁判管轄権を与えている条項を使ったのです。
※参考『合衆国最高裁判所による最初の憲法判決 - 帝塚山大学』

この憲法条項によれば、「2つ以上の州の間で意見の食い違いや紛争などがある場合は、それらの複数の州にたまがる問題を解決できる元々の管轄権は最高裁判所がある」とされていますから、管轄権は州最高裁から連邦最高裁に移ります。
これは州をまたがる紛争解決では、州最高裁を使うことは不公正になるために、連邦最高裁が裁判権を持つという仕組みです。
だから、鉄壁のようにトランプ側をハネ返してきたペンシルベニア州裁判所も、相手がトランプ弁護団ならいざしらずれっきとした「他国」である州、しかもテキサス州を含む9つの州の連名ですから、州裁判所で門前払いができずに頭越しを許してしまうことになりました。

では具体的にどうやったのでしょうか。
訴えられた4つの州は、今回の大トラブルの元凶になった郵便投票を認めた手続きが杜撰でした。
郵便投票と聞いてピピンっときませんか。そうですこここそが、トランプが選挙前にあれだけ口酸っぱく不正の温床になると訴えても、民主党系知事の州だけではなく一部の共和党系知事すらイソイソとやった、まさに選挙不正の核心部分です。

これは作業員のルビィおばさんの机の下のトランクがどうしたといったチマチマしたことではありません。
かといって、あまりにも影響がワールドワイドなために、簡単に解明が進まないドミニオンシステムでもありません。
トランプ陣営が不正選挙だとする案件については、欄外に列記しておきました。

そもそもペンシルベニア州はどのような手続きを経て郵便投票を認めたのか、そんな行政措置はしていないし、だいたい投票日前日になって投票規則や手続きを突如変更したのは憲法の選挙人条項違反ではないか、これがテキサス州の提訴理由です。

そしてもうひとつ、訴えられた4州は、郡によって投票規則と手続きに食い違いがあってバラバラであり、それは憲法の平等保護条項に違反しているではないか、ということもつけ加えています。

う~ん、パクストンさん、面白いところを突いてきましたね。
たしかにペンシルベニア州などは、堂々と選挙方法の変更をしましたが、これは新型コロナがハンデミックになったということを理由にしているわけですが、その時に正当な行政手続や法的根拠を明らかにしなかったようです。
そりゃできません。だって新型コロナのような感染症は連邦の選挙法には規定されておらず、おそらく州の選挙法にもないからです。
今回疑惑をもたれているこれらの州は、それをいいことに州知事・州務長官の独断でやってしまったものとみえます。

ちなみに、彼らがパンデミックこわ~い、投票所はクラスターになるから行かないでぇ、だから郵便投票にして、なんていいながらご自分はレストランやヘアサロンに行っていたそうです。
直接の証拠にはなりませんが 、裁判官の心証形成にはマイナスでしょうな。

テキサス州はこのように提訴理由を述べています。

「これらの違法行為により、被告州は自州民の投票の完全性を汚しただけでなく、彼らの行動は原告州および憲法に忠実であり続けた他の州の市民の投票を弱体化することになった」

SNSでは早くも、連邦最高裁が受理したという報道もありますが、12月10日早朝時点で私は確認できていません。
受理されない可能性も高いので、あまり喜びすぎないように。
しかし受理されれば、この4州62人の選挙人は認められなくなりますから、一気にバイデン270票の過半数確保は崩れるだけではなく、12月8日からの選挙人による投票自体が流れてしまいます。
すると後は、下院が大統領を選ぶという結末になります。
ちなみにこれは下院議員投票ではなく、1州1票で割り当てらいるために共和党が多数を占めるのでトランプが有利とされています。

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米国の選択:2020年大統領選 米社会分断、色濃く 法廷闘争が現実味 ...

ただこうなるかならないか、私にはなんともいかませんし、ここまで米国の政治空白が続くことがいいことかどうか、判断しかねます。

とりあえず現時点でロイター以外の報道は確認されておらず、日本においては産経系のZAKZAKのみにあるだけです。

「米国情勢に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「トランプ氏らが提示する不正を裏付ける根拠や、『署名の検証がないジョージア州の再集計には意味がない』という指摘は個々には正しいが、連邦最高裁をはじめ各裁判所には『大統領選をめぐる判断に関わりたくない』という“逃げ”の姿勢が見える。その意味では、バイデン新大統領を迎えるムードは簡単には覆らないかもしれない」と指摘した」(ZAKZAK12月9日)
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/201209/for2012090008-n1.html

島田氏は連邦最高裁のみならず、各州裁判所も「選挙には関わりたくない」という逃げの姿勢があると述べていますが、濃厚にその空気はあります。
連邦最高裁に放ったテキサス州の一本の矢、届くか届かないのでしょうか。
最後まで諦めずに、しかし過度に熱くならないで見届けたいものです。

※追記
ロイターによれば、以下の州がテキサス州と共に連邦最高裁に提訴しました。

ミズーリ、アラバマ、アーカンソー、フロリダ、インディアナ、カンザス、ルイジアナ、ミシシッピ、モンタナ、ネブラスカ、ノースダコタ、オクラホマ、サウスカロライナ、サウスダコタ、テネシー、ユタ、ウェストバージニア

 

                                                                       ~~~~

●トランプ陣営が不正選挙だとする案件

①ミシガン州ではドミニオン・システムの欠陥のため、6万の票がトランプ氏からバイデン氏へと変更された。
②ミシガン州では大幅にリードしていたのに、午前6時31分に突然、149,772票がバイデン氏に入った。
③ジョージア州ではなぜか有権者の署名が本人の署名であるか確認されることなく、たくさんの票がバイデン氏に流れた。署名が本人の署名とマッチするか確認する必要がある。
④本人かどうかIDを確認されず、米国市民かどうかも確認されず投票した人々がいる。死者も投票した。
⑤民主党が強い都市では、選挙立会人が集計室から追い出された。不法な活動を行なっていたからだ。
⑥ペンシルベニア州では、多くの有権者が郵便投票用紙を2通も受け取ったが、彼らの多くは民主党支持者だった。
⑦有権者登録していない人々の中には、偽名で投票するようにと言われた人々がいる。
⑧締め切りを過ぎて到着した票が何千票も集計されたという証言がある。
⑨デトロイトでは、選挙管理人が、同じ票を何度もカウントした。また、複製された票もある。多くの票がみな同じ署名だった。
⑩ネバダ州では、署名を確認するマシンが低標準で設定されていたため、多くの票が集計に入れられた。実験的に、9人の人々に意図的に正しくない署名をしてもらったところ、うち8人の署名が正しい署名であるとそのマシンにより判断された。
⑪激戦州では、郵便投票の拒否率が非常に低かった。ジョージア州では拒否率が0.2%とほとんど拒否されなかったに等しい。一方、2016年の大統領選時の拒否率は6.4%だった。

 

 

2020年12月 9日 (水)

もしトランプ新党ができたら

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予言めいたことを言うようで気恥ずかしいのですが、米国の衰退はどうも本格的になるかもしれません。
今回の大統領選は、どちらが勝っても遺恨試合となり、分断を深めます。

まずシナリオの基本は二つです。

①トランプの選挙不正の訴えが勝利して逆転勝利する。
②バイデンがこのまま勝利する。

①となった場合、ここまで露骨にバイデン押しをした諸勢力は、今さらトランプを正統な大統領としては認めるわけにはいきませんから、偽りの王として次の4年間は面従腹背同盟をよりいっそうガッチリと作るでしょう。
民間のリベラル左翼、特にBLMやアンティファは見境のない暴動に走る可能性があります。
もはやトランプは反逆罪適用と、連邦軍の出動をためらわないと思います。

②となった場合、バイデンがどのような政策をとるのかはとりあえず置きますが、それとは無関係にトランプは共和党とは一定の距離を置いた独自の政治団体を作って、反不正選挙闘争を継続するでしょう。
実は、トランプが今一番力を入れているのが、この団体(「米国を救え」PAC)のためのカネ集めです。
トランプは選挙戦においても思うほどカネが集まらず苦労していたうえに、その後の法廷闘争の弁護団費用に巨額のコストがかかったために青息吐息でした。
高橋洋一氏などは、カネがなくなりゃ法廷闘争なんてお終いです、と冷淡にしゃべっていましたね。

ところが皮肉なことに、法廷闘争で連敗し、絶体絶命に追い込まれたところで、ドミニオン疑惑やその他の選挙不正疑惑が火を吹き、トランプガンバレの声が民衆レベルで高まっていきました。
トランプ支持者にとって、まともな選挙で負けたならまだしも、「勝利を盗まれた」とあっては怒るのはごもっともです。

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WSJ

彼らは浄財をトランプに惜しげもなくカンパしました。
これが貧者の一灯だったことは、小口カンパが大部分だったことでわかります。

「再選を目指したトランプ米大統領の陣営は選挙後、債務について警告していた。だが、大統領選の結果を覆そうとする法廷闘争と絡めて、トランプ氏の政治活動委員会(PAC)と共和党は2億0750万ドル(約216億円)もの献金を集めた。 顧問らへの取材や広告出稿の記録によると、トランプ陣営は投票日を控え、一部の激戦州で支出を減らしていた。3日遅くに連邦選挙委員会(FEC)に提出された書類によると、11月23日時点で、トランプ陣営の手元現金は1840万ドル、業者への必要な支払額が1130万ドルに上っていた。
 だが、トランプ陣営は選挙後、債務返済や係争費用、PAC設立の原資を確保するため、メールやテキストによる異例の献金集めを実施。これが奏功し、財務状況は大きく改善された」(ウォールストリートジャーナル12月7日)
https://jp.wsj.com/articles/SB11386037924793283460204587140043566451460

高橋さんの指摘どおり、11月23日時点でトランプの手元の現金は1840万ドル、訴訟費用や広告などの出費が1130万、差し引き710万ドルくらいしか懐になかったようです。
それすら今後の訴訟の展開次第では軽くショートします。
なんせトランプの家業のホテルやゴルフ場はコロナ禍で大打撃ですから、さすがの大富豪も下手をすれば破産になりかねない瀬戸際に追い込まれていたようです。

ここで起死回生の力となったのが独自政治団体の結成呼びかけで、国民各階層から一気になんと2億ドル近い小口カンパを集めてしまいました。
これを見ただけで、トランプにかける一般国民の切なる願いが伝わろうというもんですが、これにもメディアは選挙支援でもらったカネを自分の政治団体に流用しているとねちっこく批判していましたね。
これをまんまNHKはまるでトランプが不正をしたかのように流しましたが、支援金を送ったほうからすればトランプが新政治団体を作るのも選挙不正を暴く戦いにカンパするのもまったく同じことなんですがね。

「トランプ氏は選挙から1週間後、「セーブ・アメリカ(米国を救え)」と呼ばれるPACを立ち上げた。献金を要請するトランプ氏のメッセージは、多くが法廷闘争の費用を援助するよう求めているが、細かな字で資金はこの「米国を救え」に振り向けられるとの注記が添えられている。(略)
3日提出されたFECのデータによると、「米国を救え」は約2週間で56万9000ドルを集めた。このうち約75%は200ドル以下の小口献金だ。 これに加え、トランプ氏が選挙後の献金集めに使っている主要PACは、11月23日時点で9200万ドルの現金を確保した。これも「米国を救え」に加え、トランプ氏やRNC関連のPACに振り向けられる見通しだ」(WSJ前掲)

トランプが敗北した場合、トランプはこの政治団体「米国を救え」にすべての力を注ぐでしょう。
いや、元のビジネスマンに戻るさ、と言っているメディアもあるようですが、大統領までやった男が、今さらビジネスマンに戻ってナニすんでしょうか。
それにこういう言い方はナンですが、政治はやりようによっては「儲かる」のです。
それはクリントンなどが財団を作って、目の玉が飛び出るような講演料をせしめたり、あまり人様にはいえない外国からの資金の受け皿にしているのを見ればわかります。

それでなくても、トランプは今回共和党内部がガタガタで、多くの裏切り者を出したことを知っています。
たとえばジョージア州知事ケンプなど、お前どこの党の政治家だとおもう者も少なくなく、トランプのおかげで当選したような議員ですら、いったん負けたとなると揃って背を向けました。
そもそも、大統領となってからも共和党主流から陰に日向に陰湿ないじめを受けてきたトランプですから、インディペンデントの気風は人一倍持っています。
共和党に義理立てするのは建前だけで、自分の新党に傾注するはずです。

その結果、共和党内新党のような存在となり、事次第では割って出てトランプ新党となってしまうかもしれません。
事次第とは、次回2004年の大統領選に、トランプの意に沿わない候補を担ぎだした場合です。
トランプにとって、ポンペオやペンスならまだしも、まずは自分自身が最大の候補でなくてはなりません。
この場合、トランプは問題なく応援に回るでしょうが、共和党内反トランプから候補者が出るなら、もはや共和党にいる意味はありませんから、出て行きます。

元々、トランプはビジネスマンだった頃は、ヒラリーにせがまれて応援資金を拠出したこともあるような人で、共和党人脈ではかならずしもない人物です。
あくまでもインディペンデントな男なのです。
ですから仮にトランプを野に放ってしまった場合、共和党の右にもうひとつトランプ新党「米国を救え」ができてしまい、三つ巴という新たな政治構造が誕生してしまいます。
実はこれは民主、共和共にとんだハズレくじなのです。

共和党はいちばんのカリスマを失い、かつトランプに相当数の議員をもぎ取られて分裂状態になります。
必然的に分裂したまま選挙戦を戦わねばならず、トランプ新党と民主党の狭間に落ちて存在感がないまま敗北することでしょう。

一方民主党は、ペンスなどのようなタイプが共和党から出てくれれば、バイデンのような中道が候補となるでしょう。
それは民主党内左派のサンダースやウォーレンなどを出したら勝てないからで、これは今回の大統領選候補者選びと同じ政治力学です。
しかし共和党が分裂した場合、民主党が「極右」「人種差別主義者」と考えているトランプ新党との直接対決を構えねばなりません。
もはやなまぬるい中道派では勝てない、こちらもバリバリの左翼をもってくるぞ、というわけです。

この二極化した戦いの構図でどちらが勝利するか、私にはなんともいえません。
ひとつ言えそうなことは、民主党が勝てばバイデンがやりたくても出来なかった「レイイシスト狩り」に夢中になるでしょうし、トランプが勝てば「中共の手先狩り」となって、いずれにしても米国の分断は決定的となります。

 

※改題しました。いつもすいません。

 

 

2020年12月 8日 (火)

中国、輸出管理法発動

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中国が新たな輸出管理法を作りました。
例によってメディアは日本向けの影響などと、いたってのどかなことを報じるだけのようです。
中国「輸出管理法」施行 法律の狙い 日本への影響は | 米中対立 | NHK ...

中国版エンティティリストは形式的には、米国の対中貿易制裁であるエンティティリストに対する報復にも見えますが、まったく本質的に別物です。
※関連記事『中国vs米国「エンティティリスト」戦争へ』http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-173990.html

まずエンティティリスト(懸念顧客リスト) から押えておきます。

「懸念顧客者リスト[Lists of Parties of Concern] 以下のリストのうちの1つに掲載されている企業、団体又は個人が、輸出取引において可能性のある当事者と合致するように見える場合、輸出取引を進める前に更なる相当な注意が必要とされます 」
(■MOFCOM Order No. 4 of 2020 on Provisions on the Unreliable Entity List)
https://bit.ly/35TePOC

米国がエンティティリストを公表するやいなや中国も同様なものを発動しました。

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中国、輸出管理法12月施行: 日本経済新聞

「中国、信頼欠く企業や国、個人「エンティティーリスト」の制裁対象に
中国政府は「エンティティーリスト」に掲載した信頼を欠く企業や国、団体、個人に対し、取引と投資、ビザ(査証)の制限を含む制裁を科す方針を明らかにした。中国商務省が19日にガイドライン(指針)をウェブサイトで公表した。  商務省によれば、中国の主権と国家安全保障、発展、ビジネス上の利益に対する脅威あるいは潜在的脅威になるか、中国の企業や団体、個人を差別したり、害を及ぼしたりするエンティティーの名前がリストに掲載される」(ブルームバーク9月19日)

問題となるのは、米国のそれが対中国経済制裁であることに対して、中国のそれは世界すべての国が対象だということです。
ゲッ、米国は中国が米国の安全保障に脅威を与える対象のみに的を絞ったピンポンイントですが、中国は名前は似ていますが、全世界を対象にしたものですから決定的に違います。
たしかに米国の対中エンティティリストは効きました。
米国は国家安全を理由にファーウェイやバイトダンスなどの中国のハイテク企業に対する輸出制限を米国の半導体企業に課した結果、中国は半導体産業への半導体供給の道を絶たれ、いまや瀕死に追い込まれています。

ですからこれに対する報復という意味もあることはありますが、仮にこんな中国版エンティティリストなるものを対米輸出管理として作っても米国にとってはあまり意味がありません。
そりゃそうでしょう。米国にとって中国へは先端技術のダダ漏れでしたが、逆に輸入する先端技術などないに等しいからです。
ですから、この中国版エンティティリストは、一見対米報復にみえますが、違います。

それはこれが3年前の2017年に既に起草されて、3年間も寝かされていたことを見ればわかります。
中国は、米国のエンティティリストが9月に出るやいなや翌月には批准し、この12月には実施としました。
3年前には米中関係は波風がたっておらず、米国は技術の盗用をやられっぱなしで、気がつけば情報インフラを乗っ取られてバックドアまで開けられていたわけです。
中国にとってあえてこんな経済蜜月の時代にエンティティリストなんてダンビラを抜く必要がないので、米国の出方を見ていたわけです。

また米国だけではなく、当時まだ難航していたRCEPとの関係もあったようです。
そりゃそうでしょう。これを抜くと中国がゴリゴリの管理貿易主義であることがバレてしまいますからね。
アジア・太平洋に自由貿易圏をつくろうとするRCEPの趣旨と、中国の「万国対象版アンティティリスト」は真っ向から対立する概念です。
一方は共通の貿易ルールを作ろうとする試みであって、一方は自分の国さえよければいい貿易ルールを他国に押しつけることですから。
だからRCEPの署名までジッとがまんしていたのです。
これで中国がRCEPの主導権を日豪などのクアッド諸国から奪い、中国主導で貿易ルールを恣意的に運用しようとする懸念が出てきました。

このエンティティリストは、軍民共用技術(デュアルユース)の輸出管理規制強化をしようとするものです。
このリストによって米国は、デュアルユース、軍事、核関連、その他の国家安全保障の利益の保護、さらには不特定の危険な国家へと拡散することを防止しようとすることが目的です。

中国はこの米国版エンティティリストの枠組みだけを盗み、換骨奪胎しました。

「米国商務省の輸出管理条例と同じく、中国も輸出許可制度を採用し、輸出商は必ず輸出許可を得て、初めて輸出管制リストに記載されている製品の輸出が可能となる。
この法律はさらに、輸出商が率先して制限リストに入らないようにし、中国への潜在的損害を引きおこす輸出取引において許可証を申請するよう要請、かつリストにはいっていない物品項目に対して北京当局は最長二年の臨時輸出管理を実施することが許される
このほか注目すべき点は、この法律は北京が申請者を審査するときに、「関連する信用記録」をもって許可を与えるか否か決定してもよい、としている。つまり、この法律は企業に対し、国家の意思を尊重するように迫るという一つの法律ツールであると、外界は疑ってみている」(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.226 2020年12月7日)

法執行までの流れは米国と一緒です。
中国商務部が申請された輸出制限リストに照らして審査するわけですが、リストに入っていない物品に対しても最長で2年もの臨時輸出管理規制をすることが可能なのです。
ここが抜け道です。
この特例措置を使えば、リストに入ろうと入るまいと「臨時輸出規制管理」という名目で輸出規制をかけることが可能となります。

つまり、中国の意志に逆らう国に対しては「臨時」で2年間もの輸出管理規制をかけることができるわけで、さっそく中国はオーストラリアの鉄鉱やなんとロブスターにまで輸出管理規制を発動しました。
ロブスターに国家安全保障上の脅威があったとは、今の今まで私は知りませんでした。
あまりおいしいので中国人民が豪州産ロブスターの虜になるのを恐れているのでしょうか。

中国は「問題が解決したらリストからはずしてやる」なんて言っていますが、もともと問題とはオーストラリアが長年のやりたい放題に対して抵抗を開始したことに端を発していますから、「問題解決」とは昔のように唯々諾々と中国の足をなめつづけるという意味です。

また個人に対しても懲罰が認められていますから、駐在員が恣意的に逮捕されることも頻発するでしょう。
中国くらい相手国の国民を人質として拘束し、交渉材料にすることを常套手段とする国はないからです。

中国は世界規模で自国が渡したくないと思ったレアアースや先端技術の販売を全面的に制限しようとするでしょう。
日本はご承知のように前回一度それをやふられて、ひどい目にあっているのは、ご承知のとおりです。
ま、そのおかげで輸入先を多様化したり、レアアースに頼らない技術が飛躍的に進歩したんですがね(笑)。

とまれ自由主義圏の企業は常に、北京の鼻息をうかがっていなければいつ何時リストをかざして規制をかけられるかわからないだけではなく、意向に反すればリストに入っていない物品まで輸出制限をかけられることになります。
するとどうなるでしょうか。、
中国は国内の治安維持のために「社会スコアー」という国民管理手法をもちいています。
これは政府の意に従えば得点されて賞品をもらうことができる一方、意にそぐわない民主化要求デモなどしようものなら大減点されて、収容所送りにされてしまうという、まことにこれぞ全体主義といった「懲罰と奨励」システムです。
これと似たような効果を、海外企業と政府に与えることができます。

「新米国安全センター技術・国家安全項目の研究所里であるアイニッキ・リコネンはVOAのインタビューで、「企業の信用システムはすでに企業の行為に対し懲罰か奨励を行うことだが、それを輸出管理に結びつけることで、さらにこの懲罰と奨励システムに新たな一面を加えている」と指摘している」(福島前掲)

中国にとって気に食わない国の主力輸出品に対して突然関税を2倍3倍にする「懲罰」が可能となります。
一方、可愛いことをする国や企業には「奨励」を与えます。
たとえば商業用暗号のデバイスやそのサービスを中国はリストの初期制限に入れたことから、この輸出管理をすることで外国の電力公共事業や金融分野に強い影響を与えることが可能となりました。
この管理措置は1月1日から施行され、実施されれば東南アジア諸国を中心として、重大な影響を被るはずですが、「可愛いことをする国」にはおしげもなく輸出を認めてやります。これが「奨励」です。

まことにあいまいで、中国官僚のサジ加減ひとつでどうとでも解釈し、その時の気分で懲罰を与えたり、奨励の飴玉をなめさせることができてしまいます。
こんな法律は全体主義国家だからこそ可能であって、自由主義国家においては夢想すらできません。

しかも中国商務部スポークスマン高峰か言うように、「さらに多くの項目が将来輸出管理リストに入り、そうしたリストは商務部が適時発布する」とされているのですから、その時の中国の気分ひとつでいつでも締めつけることが可能です。

「米国の輸出管理に関する専門弁護のチモシー・P・オトゥールは、一部の原材料、特にコンピューター、監視システム、産業試験・研究に用いるハイテク製品など軍民両用物資はリストに入りやすい、と指摘している」(福島前掲)

今後どうするかは中国政府の意のまま、気に食わなければ罰し、従えば飴をくれてやるということです。
いちおう日本の影響をですが、そりゃあるに決まっています。

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日本しか考えない視野狭窄のNHK記事を引用しておきましょう。

「レアアースは電気自動車のモーターのほか、家電の精密部品などの生産に欠かせず、日本は、全体のおよそ6割を中国から輸入しています。対象になった場合、これまでどおり入手できるのか、新たにどのような手続きが必要になるのか、懸念されています。
また、「再輸出」と呼ばれる規定も影響が懸念されています。
これは、中国で生産された素材を輸入し、日本国内で加工してアメリカなど、ほかの国に輸出した場合も規制の対象になるという内容です。輸出した製品を最終的に使用する企業が問題視された場合、中国からの素材の輸入に影響が出かねないと見られています。
また、直接、中国から素材を輸入していない場合でも、自社が購入する部品などに使われている中国の素材の割合によっては規制の対象になる可能性も指摘されています」(NHK12月1日上画像も同じ)

特に在留邦人まで規制可能ですから、中国進出企業は今まで以上に中国当局の顔色を伺うことに汲々とすることでしょう。
そして日本政府もまた、尖閣や歴史認識や靖国などが浮上するたびに、レアアースと中国のサプライチェーンを人質に取られることになります。

このように見てくると、中国が考える世界統治の手法が透けて見える気がします。

 

 

2020年12月 7日 (月)

米国メディアの異常さ

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米大統領選で新たなジョージア州での不正映像証拠が見つかったようですが、多くのサイトがそれを報じているのでそちらをご覧下さい。
ネットは加熱気味で、トランプが非常事態宣言するだの、NATO第5条の自動参戦条項を使って中国と対峙するだのと騒がしいことですが、ありえません。
トランプは最後まで徹底抗戦するでしょうが、中国が明らかに選挙介入をしたという逃げも隠れもできない絶対的物証がないかぎり、かつてのイラク戦争の二の舞になります。
私も中国が選挙介入した可能性はあると考えますが、「可能性がある」ことと、「選挙介入した」ではまったく意味が違います。
まだあくまでも可能性のレベルであって、それで米国政府は動けないし、ましてやそんな不確定情報で外国政府が動くはずがないのです。

イラク戦争時、ブッシュ・ジュニアが大量破壊兵器をイラクが製造している証拠はあるとしながら一般開示を拒み、同盟国のみにちょっとだけよと見せたのはいいのですが、後に完全否定されてしまって大恥をかきました。
ちなみに誤った情報を与えたのはCIAです。
この誤情報で世界を巻き込んだイラク戦争は、ブッシュが恥をかいただけでは済まず、その後実に20年間も続くイラク・アフガンの泥沼にズブズブと足をとられ米国を衰退させていくことになります。

このイラク戦争をみれば99%ありえないのが判るはずです。
ヨーロッパ諸国は、仮にそのような要請がトランプからあったとしても、ニベもないはずで、ましてや今第3波とも言われるコロナ禍の真っ最中でNATOを動かせだと、寝言は寝て言え、というところです。

今回のジョージア州の動画も、一見決定的なようにも見えますが、不正を告発された作業員は、深夜に机の下から取り出した箱は決められた投票用紙入れだったと言っており、真偽はいまだ不明です。
今回、仮に不正があったとするなら大規模、かつ、恐ろしく杜撰だったことで、そこかしこでボロが出ていますが、まだ小悪党のてなぐさみていどの規模で、仮に不正がホントだとしてもルビィなんとかオバちゃんがすり替えたていどの話です。
核心はあくまでもドミニオンであって、この巨大なブラックボックスが開示されないかぎりなんとも言えません。

私にとってむしろ興味をそそられるのはCNNの幹部会議の盗聴が暴露されたことです。
これは正直いって、 さもありなんで、面白い。

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日本語字幕】10#CNN 内部電話会議 CNNのジェフ•ザッカー ルディ

CNNのジェフ・ザッカー社長
「分かった。私は改めて次のことを強調したい。我々は先週、トランプに起きたことと彼の言動をまともだというような報道はできないと考えている」
プロジェクト・ベリタスは引き続きCNN電話会議の内容を公開しました。2回目の録音では、CNNのザッカー社長が彼の編集チームに対し、トランプを「まともな人間」として報じないようにし、トランプの「不安定な行為」を報じ、さらには「彼は罹患した」とも報じるよう明確に指示していました。
CNNのジェフ・ザッカー社長
「David Chalianが言ったのは、彼が失敗した大統領だということを知っており、彼が困難に陥っていることを知っており、彼は(COVID-19に)り患し、もしかしたらステロイドの後遺症が出ているかもしれないということだ。私には分からないが。だが彼の行動は予測不可能で、彼は絶望している。我々は彼をまともな人間ではないと報じる必要がある」
別の録音の中でCNNの社長はさらに編集チームに対し、バイデンファミリーのスキャンダルを追跡報道しないように指示してもいました。
CNNのジェフ・ザッカー社長
「これまでのいわゆるスキャンダルについて(彼らは)みんながそれを追いかければいいと思っている。だから我々は、こうした根拠のない中傷(スキャンダル)を、右翼メディアが我々にそれを報じろと推奨しているからという理由で何度も報じる必要はないと考えている」

「トランプがまともじゃない人間だと報じろ」「バイデン疑惑は報じる必要はない」ですか、わかりやすいなぁ。
ああ、言いそう、こんなこと言っていると思ってましたよ(苦笑)。
暴露したのは米国の非営利団体、プロジェクト・ベリタスという団体で、告訴すると息巻いているCNNにこう啖呵を切っています。

ジェームズ・オキーフ氏
「これは我々が知っているニュースとは雲泥の差がある。我々は、CNNは人々に謝罪すべきだと考えている。これは恥ずべきことで、我々はもっとたくさんのメディア業界人が立ち上がって、マスメディアの腐敗を明らかにするよう勧める」

オキーフさんは訴訟されたら負けるでしょうが、米国政府の内部情報をハッキング流出させた奴が英雄になる国ですからね。
それはさておき、今回の米国メディアは歪んでいた、なんてナマ優しいものではなく、反トランプ宣伝機関と化していました。
たとえば、トランプは11月4日未明にバイデンが「勝利の道を歩んでいる」という声明をだしたために、対抗上2時間後に似たような勝利宣言をだしたのはご記憶にあるかと思います。
メディアにはトランプがイカレポンチだとばかり言われていますが、バイデンのほうが慣例をやぶったから始まってしまったことなのです。
慣例はあくまでも開票の大勢が判明して当確がでてからのことで、それまでおとなしく開票状況を注視するのが慣例でした。
それをバイデンジィさん破っちゃたので、トランプもやむなくやるはめになったわけです。

そこで始まったのが大々的トランプ叩き大会。
もちろんこんな挑発に乗ったのは軽率のそしりを免れないとしても、バイデンに対してはひとことも批判せずに、すべてのメディアの砲火はトランプだけに向けられました。

特にひどかったのがCNNです。
この大統領声明が終わるか終わらないかという瞬間に、キャスターのクリス・クオモがこう言って割って入ったのにはたまげました。
ちなみにこのクオモはニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモの弟で、兄弟そろってCNNでキャスターをしています。
言ったセリフがこうです。

「今の大統領声明は嘘です。ウソ、ウソ、ウソなのです。今の大統領の言葉はゴミ(ガーベイジ)です」

ジャーナリストのコメントというより、ただのそこらの知恵足らずの連中のトランプ憎悪だね、こりゃ。
「大統領の言葉はウソとゴミ」とまで言ってしまうと、もう報道機関もクソもないもんですが、許されるのです、米国メディア業界では。
このCNNの憎悪発言があった4日未明には、すべての米国メディアは開票率が低い段階からバイデン有利、やや有利になればなったで当確を打ちました。

そして当確が出るや次期大統領と手放しで礼賛し始めます。
まずはトランプ支持のFOXから。

「親トランプとされてきたFOXニュースの白人女性キャスターの反応はまるで正反対だった。明らかに軽蔑と分かる表情を演出しながら首を振り、「トランプ大統領を4年間、悪者扱いしてきた後に言うことだろうか」。コメントを求められた黒人女性リポーターも「これだけ多くの言葉を使いながら圧倒的に内容のないスピーチを初めて聴いた」と苦笑した」(『米テレビのあからさまな肩入れ報道 NYでCNNとFOXを見続けて感じた深刻な危機』)
https://globe.asahi.com/article/13911826

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同じ時刻のCNN。

「トランプ大統領が名指しで毛嫌いするCNNにチャンネルを変えると一転、今度はバイデン氏を褒めたたえるコメントの雨嵐に驚いた。白人女性キャスターは「民主主義や国民団結の重要性に触れる、なんて大きなスピーチでしょう」と興奮気味。白人男性キャスターも「本当に素晴らしい。昨日のトランプ大統領のひどい会見とは大違いだ」と、大げさに目を丸くしてみせた」(前掲)

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キャスターの暴言は、こういう一連の空気の中から生まれたのです。
今までの大統領選挙でも、米国メディアは支持政党を明確にするという慣例がありました。
それはそれで結構なことで、客観報道さえ担保されていれば、むしろ旗幟鮮明にしていただいたほうがこちらも助かるのです。
日本なら朝日とNHKは立憲支持、東京は共産党支持、読売・産経自民支持といったようにね。
しかしそれは論説においてであって、報道まで自民憎し、立憲憎しじゃ困ります。
読む方が報道によって誘導されてしまうからです。

今回はウォールストリートジャーナルがやや共和党寄り、FOXだけがトランプ支持で、以外のすべての全米地上波、すべての新聞媒体はこぞって反トランプ、バイデン支持、いやトランプくたばれコールにどっぷりと首まで浸っていました。

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AFP

それは選挙線が白熱化する10月上旬には、いままで執拗にトランプのコロナ対策をくさしていたメディアは、トランプが感染したとみるやもう大はしゃぎでシャンペンを抜くような騒ぎとなりました。
私も米国の感染対策には問題が多いとは思いますが、それはトランプにだけ背負わせればよい問題ではなく、最後までPCRの拡大にこだわったクオモニューヨーク州知事のような民主党系知事や、正しい方針の出しきれなかったCDCにもその責任の一端があるのは自明です。

ところがニューヨークタイムスの、モードリン・ドウドが言うことには、「ついに天の懲罰がウソで固めたトランプの世界に下った」、ワシントンポストのデーナー・ミルバンクは「トランプの無謀・無能・無責任、ウソの結果この感染であり、米国民への侮辱だ」、そして本命のCNNは「トランプはこの感染でパニックに陥り、常軌を逸し、もう選挙戦に破れている」と書き立てました。
あの、リベラルメディアの皆様方に素朴な質問ですが、感染対策の指揮を執っている現職大統領が感染したことをそんなに手放しに喜んでいいんでしょうか?
まずは、他人の不幸を喜ぶ前におかげんはいかがでしょうか、ていどの言葉をウソでもいいから言ったほうが、米国を代表する高級紙を自認しておられるなら上品なのでは。
ところがこれだけ口汚く罵り、ホワイトハウス医師団が述べた所見までデタラメ、ウソと罵倒するのですから、パニックを助長したいのみたいです、この人たち。
さすがに腹にすえかねたのかウォールストリートジャーナルは、「民主党支持にのめり込んだ敵意の変更」と批判しましたが、当然です。

そもそもかつてトランプが誕生した時に、ニューヨークタイムスの編集会議で、「選ばれてはならない人物が選ばれた。打倒する」とトランプ潰しを社の方針としていました。
2019年8月に流出したニューヨークタイムス編集会議の記録にはこうあります。

「トランプ打倒を大目標とする紙面作りを続ける。これまでロシア疑惑報道をその最大手段としてきたが、効果があがっていない。以後はトランプがレイシストであるとする主張を最大手段とする」

もはや報道機関というより政治団体ですね。
ニューヨークタイムスの日本支社は築地の新聞社にありますが、そことそっくりな体質です。
それはともかく、警官による黒人射殺事件があったとはいえ、なぜか突然に始まったBLMは、アンティファによる略奪放火を目にしながらなぜかメディアの批判の矛先は暴徒に向かわず、レイシスト・トランプに向かいました。
分断の原因もトランプがひとりで作ったかのような報道ぶりです。

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ちなみにこのトランプの「ロシア疑惑」のネタを持ち出したのがCIAだったことは、今回のドミニオン疑惑と重ね合わせると興味深いことです。
このCIAからの情報リークをもらって、米国メディアはトランプ叩きにふける一方で、情報がきわめて明確になっていたバイデンのウクライナ・中国疑惑は一切目をつぶる、選挙不正疑惑なんてもうタブーだからせせら笑う、という「報道しない自由」の権利を大々的に行使したというわけです。

なお、プラットホームでしかないはずのツイッターやフェースブックも追随してしまい、ツイッターなど大統領の投稿すらボツにしてしまったことは驚かされました。
日本のメディアは産経ワシントン支局まで含めて米国メディアの報道論調に右へならえしたのはご承知のとおりで、選挙不正なんていったいどこの世界の話という風情です。

 

2020年12月 6日 (日)

日曜写真館 冬雲雀天を仰いで胸を張る

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凍てついた蓮田の空を楔型の雁がわたっていきます。

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枯れた荒れ野ではありません。泥の下には肥えた蓮の旬です。

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一陽来復

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霞ヶ浦の舟溜まりの対岸にはビルの水平線。

 

2020年12月 5日 (土)

安倍桜を見る会余聞

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ピピー、終了。安倍前首相の桜を見る会のアディショナルタイムが終了しました。
身悶えせんばかりにくやしがっている朝日新聞から引用します。

「安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食会の費用を安倍氏側が補塡(ほてん)していた問題で、東京地検特捜部は、安倍氏の公設第1秘書で政治団体「安倍晋三後援会」の代表と事務担当者の2人を、政治資金規正法違反(不記載)罪で略式起訴する方向で検討に入った。罰金刑となり正式裁判は開かれない見通しとなった。
 関係者によると、立件対象は2016~19年の4年分とし、安倍氏側の補塡分を含む総費用(支出)と参加者の会費(収入)で計約3千万円の不記載を認定するとみられる。安倍氏の関与については本人の認識を聴いて最終判断する方針で、安倍氏の任意聴取を要請した」(朝日12月4日)
https://www.asahi.com/articles/ASND37RD2ND3UTIL04K.html

「安倍氏に任意で出頭要請」なんてことをデカデカと書いているところもありましたが、ナニを検察が聞きたいのかは朝日が書いているとおり「安倍氏の関与」についてです。
要は、「安倍さん、あなたは事務所が3千万円の支出を記載漏れしていたことをご存じでしたか」ということを聞きたいだけのことです。
これを聞かないと、検察としてはこれにて一件落着にはならないからです。
もちろん、これはいわゆる歌舞伎で、聞いたほうも聞かれたほうも判ってやっています。

「関係者によると、安倍氏の資金管理団体『晋和会』の会計責任者の秘書は特捜部の調べに『補填はしていないと安倍氏に虚偽の報告をした』と供述しているという」(産経12月2日)

事務所が安倍氏本人にウソ言ってましたと言っている以上、安倍氏がいや、オレは知っていたと言う義理はありません。

そもそも略式裁判になったら、このようになるのは初めから決まっています。
検察に自分で「略式裁判」について説明してもらいましょう。
検察庁HP http://www.kensatsu.go.jp/gyoumu/ryakushiki.htm

●略式裁判について
略式裁判とは,検察官の請求により,簡易裁判所の管轄に属する(事案が明白で簡易な事件)100万円以下の罰金又は科料に相当する事件について,被疑者に異議のない場合,正式裁判によらないで,検察官の提出した書面により審査する裁判手続です。
 簡易裁判所において,略式命令が発せられた後,略式命令を受けた者(被告人)は,罰金又は科料を納付して手続を終わらせるか,不服がある場合には,正式裁判を申し立てる(略式命令を受け取ってから14日間以内)ことができます。

検察が根拠法としそうなのは、政治資金規制法第9条と第24条です。

第9条(会計帳簿の備付け及び記載)
1 政治団体の会計責任者はすべての収入・すべての支出を会計帳簿などに記載しなければならない。

第二十四条
 次の各号の一に該当する者(会社、政治団体その他の団体(以下この章において「団体」という。)にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)は、三年以下の禁又は五十万円以下の罰金に処する。
 第九条の規定に違反して会計帳簿を備えず、又は同条、第十八条第三項若しくは第十九条の四の規定に違反して第九条第一項の会計帳簿に記載すべき事項の記載をせず、若しくはこれに虚偽の記入をした者

分かりにくく書いてありますが、市民語にすれば「政治資金規制報告書の帳簿漏れをしたら罰するからな」ていどのことにすぎません。
ご指摘どおりです、申し訳ありませんでした、と事務所が認めたのですから、「50万円以下の罰金」を払っておしまいです。
本式の裁判はなしです。

実際、政治資金規正法違反(不実記載)の罰則は「3年以下の禁固」か「50万円以下の罰金」(同第24条)ですが、もしも「略式起訴とする」という朝日新聞の報道が事実ならば、検察としては50万円以下の罰金刑として秘書らを略式起訴し、秘書らは罰金を納めて終了です。
これにて終了という意味は、ここから先、つまり野党やメディア界隈が騒ぎ立てていた公職選挙法違反に問う理由がないという意味です。

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安倍氏側、800万円を補填か 「桜を見る会」夕食会差額5年分:東京 ...

野党とメディアは、検察リークがあった時にはしゃいで、安倍氏が票を支援者から買ったかのように報じて、公職選挙法違反になるぅ、桜劇場大噴火と思っていたようですが、あのね、常識的に考えて安倍さんにそんな必要ありますか、って問題です。
彼は選挙中一回も地元に行きませんよ。だって彼は日本一選挙に強い議員だからです。
ですから選挙中も総理・総裁として全国を飛び回って他の議員をかたせるのが仕事。
自分の選挙は奥さんと地元事務所だけで楽々トップ当選しちゃう人なのです。
そこら辺の陣笠代議士ならいざ知らず、そんな彼がなんでまたカネで票を買わにゃならんのか。
検察がいくら検察人事に介入してくる官邸憎しで凝り固まっていたとしても、公職選挙法「有権者らへの寄付の禁止」なんて逆立ちしても認定できっこありません。

そもそもこれを「有権者の買収」とするにはショボすぎです。
朝日新聞に説明してもらいましょう。

「関係者によると、立件対象は2016~19年の4年分とし、安倍氏側の補塡分を含む総費用(支出)と参加者の会費(収入)で計約3千万円の不記載を認定するとみられる。安倍氏の関与については本人の認識を聴いて最終判断する方針で、安倍氏の任意聴取を要請した。
 夕食会は年に1回、都内のホテルに支援者らを招き、1人5千円の会費制で開かれた。直近5年の15~19年では、計約2300万円の総費用に対し、会費分は計約1400万円で、安倍氏側が計約900万円を補塡した」(朝日前掲)

前夜祭に2300万円というとびっくりする人もいるでしょうが、それは4年分(2016年~19年)だからです。
そして参加者からの会費が1400万ですから、900万足りなかったのを事務所が補てんしたということです。
1年に換算すると225万ていどでしょうから、平均で一回につき100人来たとするとひとり2千円から3千円です。

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政治資金の頼みはパーティー 議員と支援者、思惑も一致:朝日新聞デジタル

ただし、こういう政治家がサービスでするパーティというのは、開けてみるまで何人くるのかわからないものなんだそうです。
予想外に来る場合もあるし、まったく来ないこともあるのですが、事務所はそんなことを当然予測しています。
政治家のパーティは結婚式と違って、立食形式です。
ホテル側もその辺の呼吸は判っていて、ざっとこのていどと腰だめで食事と酒を用意しておくだけです。
ですから100人くるはずが70人になろうと、はたまた130人になろうと、ホテルが出す食事や酒の出る量は一緒です。
そして領収書には5千円会費と事務所から言われたら、素直にそう書くだけのことです。
実費なんか書きません。

そしてその伸び縮みした差額は事務所が補てんします。
多ければ来年に回すかもしれないし、少なければ補てんします。
共産党議員秘書をしていた塩原常一郎氏は、「自分もやっていた。こんなことはすべての議員が与野党を問わずやっていること」と言っていますから、そのうち立憲のブーメラン直撃芸が見られることでしょう。

それにしても検察のこの陰湿なリーク癖はどうにかならんのですかね。
今回もアゴラで読売出身の新田さんが、検察が読売に流したのは軽微な罪にしたかったからだ、本気なら朝日に流すなんて書いていましたが、そういうさじ加減がいやだ。
検察はあくまでも国家機関。しかも司法の中枢です。
それが恣意的にこいつを叩きたいと思えばそれにふさわしいメディアを選んでリークする、ああ、たまらん。一体何様?

 

2020年12月 4日 (金)

黄之鋒と周庭、林朗彦の三氏、牢獄へ

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12月2日、黄之鋒、周庭、林朗彦の三氏が逮捕され、実刑判決が出ました。
三氏は「6・21警察包囲集会」事件で逮捕され起訴され、それぞれ禁固13.5か月、10か月、7か月の実刑判決となりました。
執行猶予も保釈もつかず、保釈も認められずそのまま収監されました。
周庭は泣き崩れ、黄之鋒は退廷時、傍聴席にむかって「難しいのはわかっているけど、がんばれ!」と叫び、林朗彦は「絶対後悔はしない!」と叫んだそうです。
周は決まっていた北海道大学の研究員生活に早く入りたかったのでしょう。

「【台北=矢板明夫】香港の西九竜裁判所は2日、昨年6月のデモをめぐってデモ扇動罪などに問われた民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏(23)に禁錮10月、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏(24)に禁錮13月半、林朗彦(アイバン・ラム)氏(26)に禁錮7月の量刑をそれぞれ言い渡した。いずれも執行猶予はつかず、3人は再び収監された。 香港紙、蘋果(ひんか)日報(電子版)などによれば、法廷で量刑を聞いた周氏は号泣した。3日に24歳の誕生日を迎える周氏の弁護士は上訴に伴う保釈を裁判所に申請したが、その場で退けられたという。一方、黄氏は傍聴席の支持者らに対し「頑張って耐えていく」と話しかけ、林氏は「後悔はしていない」と大きな声で叫んだという」(産経12月2日)
https://www.sankei.com/world/news/201202/wor2012020030-n1.html

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日刊スポーツ

この日は周庭(アグネス・チョウ)は24歳の誕生日にあたり、香港浸会大学を卒業する日でもありました。
周庭はせめて誕生日を「みんなと過ごしたい」という切ない望みをもっていましたが、中国共産党はそれを無惨に摘み取ったわけです。
しかも、おおよそ中国以外では禁固10カ月はおろか、逮捕事案にすらなりえない「集会呼びかけ」にすぎません。
まだしも彼女が実力闘争に加わったのなら刑法犯に問われる可能性がありますが、ただの集会呼びかけであり、しかもその集会の主催者ですらありません。
これで逮捕されるということは、当局がこれは潰すと思っただけで、そこに関わるすべての行為が、実行行為や煽動をしたか否かを問わず、一切有罪処罰の対象になりえるということです。
恐るべき話です。これが中国共産党のいう「法治」です。
日本のリベラル左翼の皆さん、これが真のファシズムです。

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王詩麗裁判官はこのように判決理由を述べています。

「三人の社会運動は日増しに犯罪的になっていった」と指摘。「三人が共犯として分業協力し、言葉と行動で他人を扇動しこのデモに参加させようとした。デモの規模を大きくし、また道路をふさぎ潜在的リスクを伴い、警察はこの対応のためにマンパワー資源を浪費させた」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.224 2020年12月3日

異常の一言に尽きます。
そもそも王裁判官が実刑判決の理由にしている「煽動行為」の証拠は、黄之鋒と林朗彦がメガホンを使って警察を非難するいくつかのニュース映像、黄之鋒がテレグラムが警察総部前のデモに参加するように呼び掛けるメッセージぐらいのようです。
周庭は黄之鋒の傍らに立ってスピーカーを持っていただけにすぎません。下の写真がその時のものです。

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Poker ポーカー Now on Twitter: "【香港】6月の警察本部包囲デモで ...

これを「煽動行為」だと断定するなら、街頭での演説やその支援行為一切が犯罪と見なされることなります。
しかも周庭は今までスポークスウーマンとして活躍しましたが、実行行為などには一切加わっておらず、それを教唆した事実はありません。
黄之鋒は雨傘運動からの筋金入りの民主活動家、過去2回に渡って収監経験があります。
一方、周庭はこれが初犯であり、百歩譲ってこれを違法と言ったとしても執行猶予つきで保釈が当然です。

「かつての香港の同様のケースは、香港の弁護士らなどに言わせると、一定期間の社会奉仕が相応の処罰であろう、という。かりに、この「違法集会」に参加するのが犯罪である、というならば」(福島前掲)

裁判所は、黄之鋒がメガホンを持って演説した、テレグラムで警察総部前に誘導した、ということを証拠として判決理由に挙げていますが、これはイスラエルのハッカー企業セレブライトに依頼してハッキングしたもので、内容的にも不特定多数への煽動ではなく、仲間内への連絡にすぎなかったようです。
法治社会においては、このような違法な証拠収集に基づく判決は無効です。

福島氏によれば、この6月の集会において、主役は黄之鋒らデモシストではなく「連登仔」(LIHKG)というグループだったそうで、彼らはいわゆる「勇武派」(武闘派)です。
勇武派は、実力行動も辞せずとして激しく警官隊と衝突を繰り返したのはご存じのとおりです。
私はこのような武装闘争はかならず中国当局の弾圧のエスカレーションを招き、やがて中国国家が前面にでてくることを恐れました。
彼らからすれば、むしろ香港行政府の後ろ楯である中国共産党を引きずり出すことで、中国国家との直接対決を望んでいた節があったようですが、私には無謀な自滅行為と写りました。

いまだ国際社会の民主派への支援体制は充分ではなく、特に米国は議会の制裁法のみといった状況で、むしろ彼らの武闘が支援をしづらくしていました。
議会の民主党がBLMを支持する乗りで香港デモを支援したことに対して、かんじんのトランプは過激デモに対して否定的感想があったように見えました。
この武闘派を押しとどめていたのが、実は黄や周らデモシストの言論重視派です。

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香港の民主派学生、新党「デモシスト」旗揚げ 独立問う投票目指す

彼らが国際社会への発信源となっていたためにまるで彼らが香港デモ全体の司令部のようにみえてしまいましたが、決してそういうわけではなかったようです。
実際に、区諾軒(市議)によれば、6月21日のデモについても、黄らデモシストと武闘派の連登仔と意見が対立していたようです。

「このまま興奮状態でデモを行うと、暴力的な状況が起きそうなので、デモを続けるがどうかを現場で賛否を問うてはどうか、という提案をしたようだ。それで集会のあと、黄之鋒がデモを解散させた、といった非難が参加者から殺到したとか。
つまり黄之鋒が切りの良いところで解散を提案したからこそ、21日の警察前集会は、あの程度の過激さ(レンガを投げたり卵をぶつけたり)で済んだ、ということだ。黄之鋒らがいなければ、もっとヒートアップし、暴動に発展したかもしれない、ということではないか」(福島前掲)

デモシストら穏健派は、暴力闘争をヒートアップすればするほど国際社会の信頼を損ない、中共には弾圧の口実を提供し、結局は運動全体が潰されると判断したようです。
若いも関わらず、このようなバランスの取れた情勢認識ができるのが黄の優れた点です。

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ブルームバーク

このように彼らは一切の「犯罪」を犯してはいません。
いやむしろ、仲間の過激化を押しとどめる側でした。
もちろん中共当局もそれを知っていながら、あえて穏健派の彼らから実刑判決を下したのはなぜでしょうか。

「今回の裁判ではっきり分かったのは、香港の司法のやり方は、もう中共政府のやり方とほとんど同じで、裁判で起訴事実を明らかにし、法の下で公平に裁くというものではない。中国本土と同様、法は中共が気に入らない人間を痛めつけ、脅し、屈服させるための道具であり、国内外に影響力の強い人間を共産党が法の名の下で屈服させて見せることで、「鶏を殺して猿を脅す」効果、「寒蝉効果」と呼ばれる委縮効果を狙うものなのだ。
そうして運動の熱を恐怖政治で抑え込み、メディアをコントロールし、中共に逆らう存在を殲滅しようとしている。
このための見せしめとして裁く対象は、顔をマスクや眼鏡でかくし匿名の破壊活動で抵抗する勇武派よりも、寸鉄まとわぬ姿で顔と名前をさらし、正論を訴える言論活動家の方が、目的の萎縮効果は大きいだろう。
なぜなら言論の活動家が求めるのは、最終的には対話による解決であり、対話の余地があるという希望をつぶすことが、人々に一番絶望を与えることになる」(福島前掲)

それに対して武闘派は、自分たちが暴力という違法行為に走る以上、警官に殴られ逮捕され、牢屋送りになることはむしろ当然の覚悟のうえで、そこでまた法廷闘争を戦えばよいと考えています。
このへんの彼らの心理は、かつての70年安保世代と似たものだと思われます。
しかしそれは市民社会から隔絶した思い込みであって、必然的に社会から孤立化するが故に、仮に逮捕・収監・実刑判決を受けても社会は驚かないでしょう。
国際社会も彼らの目的には理解を示しつつ、その救済をしようとまでは考えないでしょう。
中国共産党は暴力によって政権を奪取し、暴力で考えの違う者たちを粛清し、時には第2次天安門のような大虐殺すら厭わない暴力のプロです。
ヤクザが屍の山を築き、ヤクザが仕切っているのが、この中国という国なのです。
こんな彼らと、暴力のエスカレートで勝とうとすること自体が大きな間違いで、彼らにとって武闘こそ待ち望んだ抵抗方法だったともいえるのです。

ですから中国共産党にとって、ほんとうの摘み取るべき対象はこんなハネ上りたち武闘派ではなく、国際社会にパイプを持ち、多くの外国人ジャーナリストや議員たちから愛されて支持されていた黄や周などの穏健派でした。

さて、実はこの判決は前触れでしかありません。

「黄之鋒と周庭については、8月10日に香港国家安全維持法違反の容疑で逮捕された件がまだ残っている。こちらの方が、実は恐ろしい。違法資金集めや外国との結託、などといった罪が問われかねない。特に中共が目の敵にしている黄之鋒は中国に送致されて中国の司法で裁かれる可能性もあるのではないかと噂されている。(略)
黄之鋒、周庭には今年8月10日に香港国家安全維持法違反の容疑で逮捕された件もある。今後、この件でも裁判が行われるのか。また、台湾への脱出途中で中国海上警察船に拿捕され、中国深?で収監中の12人の香港市民の裁判はどうなるだろうか」(福島前掲)

中国は、米国の政治の混乱に乗じています。それが終息するまであと数カ月はかかるはずです。
それまでに中国は香港民主派を根絶やしにしようとしています。
同時にオーストラリアを断交にまで追い込み、日本を無力化することでクアッドを解体させようとするでしょう。

 

 

2020年12月 3日 (木)

問題は選挙の勝ち負けだけではないのです

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私のところがQアノンになるんじゃないか、という危惧がコメントで寄せられていましたが、ゼェーッタイになりません(笑)。
むしろ、私、大統領選について臆病なくらい慎重です。
我ながら慎重すぎてウップンが溜まっているほどです。
長年おつきあい頂いた方はご承知でしょうが、このブログの大原則は、裏がとれないことは書かない、証拠がないことは書かない、複数の情報源が同じことを指している以外は書かないのがポリシーです。

ですから、ドミニオンのサーパー押収の一件も、当初はAPがファクトチェックしたように、フェークだと考えて眉唾情報かもしれないと書きました。
毎日新聞などはそのまま自分で検証もしないで、APが言う通り「選挙不正の証拠が保存されたスペイン企業のサーバーが、ドイツ・フランクフルトで米軍に押収された」という情報が米国で発信され、日本語のツイッターでも大量に拡散しているが、誤り」と書いています。

昨日などはNHKニュースが「トランプが不正選挙と提訴している」とリードでいいだしたので、おや初めての不正選挙報道かと身を乗り出すと、続けて「不正選挙疑惑として集めた募金を自身の政治団体に入れてしまったと米国メディアが報じた」というのが本文。
はいはい、NHK何ぞに一瞬でも期待したあたしが馬鹿でした。
今回トランプ陣営が訴えているのは単なる勝ち負けではなく、リンウッド弁護士がこのように指摘することなのです。

リン・ウッド弁護士の12日朝のツイート
“Yes, they would and did.” - We The People. 2020 This is not about politics. This is about crimes. Serious crimes. Over course of years.  LOCK THEM UP. Biden, Obama, & Hillary & Bill Clinton, et al. There will be no more corruption in The White House. They have been caught.
「これは政治とは関係ない、これは重大な犯罪だ。バイデン氏、オバマ氏、ヒラリー氏、ビル・クリントン氏らは現行犯であり、逮捕されることになるだろう。CNN、ABC、NBC、CBS、FOXニュース、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、アトランティック、Mother Jonesなどのメディアらが共謀犯である」

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リン・ウッド弁護士

そう、リン・ウッドがいうとおり、これは直接狭い意味での「政治」、この場合はトランプの勝ち負けとは関係ありません。
私の関心もそこにはありません。
巨大な規模で、米国大統領選という世界の趨勢に直接影響する事案に、外部からなんらかの介入があり、彼らの意志によって集票結果がねじ曲げられたという疑惑を解明することが重要なのです。

勝ち負けにとどまらず、追及の刃がこの根源的な疑惑の岩盤に突き当たったからこそ、米国のオールドメディアはこぞって耳をふさいで、一切の報道をしていないのではありませんか。
仮にパウエルやリン・ウッドが言っていることが、半分でも真実ならば、米国を支配してきた勢力にとってこれ以上はない打撃になりますもんね。
私はディープステート論には距離を置いていますが、今回に限って下の風刺画のような構図は現実にあると考えています。
米国のエスタブリシュメントは、全体重をかけてトランプという異端を排除しようとしたのです。
手段を選ばず、おそらくは国家機関の一部まで動員して。

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ですからこの疑惑解明という核心部分を素通りして、J氏のように、戦争は終わったんだと言い、このフランクフルトでのサーバー押収事件まで一括して「リテラの右翼バージョン」としてしまう態度には、強い違和感があります。
私は、勝ち負けでいえば、J氏と同じ様にトランプが勝つことは針の穴を通るほど困難だと見ていますし、その後に来るであろうバイデン政権に対しては警戒心を持った上でという大前提つきで是々非々で臨みます。
つまりあらかじめバイデン政権を「中国に操られたパンダハガー」だと全否定はしませんし、先日の財務長官に元FRBのイエレンを抜擢した人事などは拍手したくらいです。
まだ全貌が見えないバイデン新政権について、過剰に恐怖心を持つことは判断を狂わせます。

しかしだからこそ、バイデンが勝とうとトランプが勝とうと、それと大統領選の不正疑惑追及とはまったく次元が違うのです。
選挙は政治の根幹、イロハのイ、一丁目一番地、ここを外部から不正に操作されてしまえば、いかなる民主主義もただの廃墟にすぎません。
そんな結果で選ばれた政府には統治の正統性が欠落していますから、何をしゃべろうと何をしようとすべてが虚構です。
こんな民主主義の土台である選挙不正を、簡単に選挙の勝ち負けの次元に押し下げてしまっていいのか、どうか。
負けたから不正選挙の追求まで全否定していいものか、どうか。

今回、私がフランクフルトでのサーバー押収を、そうとうに確度が高いと判定したのは、山路氏も指摘されているように、複数の元米軍将官が公開されたネットメディアニュースのNWNの場で証言したからです。
実はこれは想像以上に大きいことです。
今までFOXも含めて、パウエルらの言っていることは報じましたが(ただし塩辛く)、米軍がサーバーを押収したとされた件で、当の米軍関係者の公開の場での証言は初めてだからです。
これがネットでの伝聞ではなく、公開されたメディアで直接の肉声で伝えられた重さは実に大きいのです。
また彼らふたりが宣誓供述書を出してしゃべっていることは、意図的虚偽を言えば偽証罪となりますから、虚偽である可能性は少ないと見るべきです。
以上この3点で、私はこのハンブルクサーパー押収事件は、信頼に足る情報と判断しました。

マイケル・フリン元陸軍中将と、トーマス・マキナニー元空軍中将はこう述べています。

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 トーマス・マクマニー元空軍中将

元大統領補佐官、マイケル・フリン将軍(2020.11.28)
「実際、今私たちが経験していることは、トランプ大統領への攻撃だけではなく、アメリカ共和制への攻撃だ」
元米空軍中将 トーマス・マキナニー氏(2020.11.28)
「我々は今、反逆罪の話をしている。 中には、これはただの政治だと思っている人もいるかもしれないが、政治ではなく、反逆罪だ」
選挙不正をめぐる論争は激化の一途を辿っています。、元米空軍中将のマキナニー氏は米メディア、ワールドビュー・ウェイクエンド(WVW-TV、worldview weekend)の取材で、米軍関係者がドイツのフランクフルトで選挙の不正データが保存されているサーバーを押収する際に犠牲になったと明かしました。
元米空軍中将 トーマス・マキナニー氏(2020.11.28)
「米特殊部隊司令部はドイツのフランクフルトでいくつかのサーバーを発見した。 5〜6州の選挙データをインターネットでスペインに送信して、それからドイツのフランクフルトにも送信していた。 まだ検証できないので、気をつけたいと思う。 この情報は出されたばかりで、私がもらった最初の報告は、作戦で米軍関係者が犠牲になったということだ。

これらの証言は、アリゾナの公聴会において「ドミニオン機器はクローズドではなく、ネットに接続されていた」という米陸軍ネットセキュリティ専門家の宣誓供述とも符号します。 

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Naty @NatyLiy
BREAKING: #ArizonaHearing: "Are you willing to say under oath, that you've seen the connection to the internet, that you've seen it gone offshore to Frankfurt, Germany?"
Col. Waldron: "Yes, our "White" hat hackers, they have that traffic and the packets."

これはドミニオンCEOの、完全にクローズされていたという反論を真っ向から否定するもので、仮にほんとうなら選挙不正はなかったとする説を根底から覆してしまうことになります。、

ただし、ネットで流布されているCIA長官のジーナ・ハスペルまでが事件に巻き込まれて殺害されたというのは、フェークだと思われます。
ハスペルは大いにうさんくさい人物ですが、フランクフルトにいたという証拠も、死亡したということもまったく確認されていません。
このような状況では、情報が真偽取り混ぜてながされ、その中には明らかにカウンターインテリジェンス(意図的偽情報)が多く含まれているのでご注意下さい。
私がこのドミニオンを操った一派なら、怪情報や偽情報をほんとうの情報に紛れ込ませて発信し、ひとつの偽情報を暴くことで、ほら見ろ、トランプ陣営が言っていることはこれで判るように全部嘘八百なんだぜ、とふれてまわるでしょう。
オールドメディアは得たりとばかりにそれにそれに食いつき、世論操作に励むはずです。

保守派のメディアThe Gateway Punditはこの経過をおおよそこう整理しています。

・米政府はドミニオンのサーバーが大統領選挙での投票の変換と判断。
・インテリジェンスコミュニティが政府の命令で世界のサーバーの検索を開始。
・ドミニオン(サイトル)のサーバーがドイツ・フランクフルト領事館内に拠点を置いていることが判明。
・このサーバーにアクセスして合法的に使用できるためには、州務省が司法省と連携して機能する必要がある。
・彼らはドイツ政府がこのサーバーのこの押収を許可することに協力することを要求。 
・ドイツ政府が米政府に許可を出し、米陸軍特殊作戦部隊がフランクフルトにあるサイトル社を急襲し、サーバーを没収。
私も現時点でおおむねこのような推移だと思います。
このようにしてドミニオンのサーバーは押収され、トランプの弁護チームは、いつ投票集計が停止されたのか、誰が停止を命じたのか、誰が投票を入れ替える加算アルゴリズムを作動させたのか、という直接的な証拠を手に入れることが可能になった、ということです。

 

2020年12月 2日 (水)

米国大統領選不正疑惑は安全保障の問題となった

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昨日の記事からの続きとなります。
いまだにメディアは、「勝利を確実にしたバイデン」という表現を多用しています。
この表現自体がメディアによる刷り込みです。もう大統領選は終わったのだ、トランプ陣営が騒いでいるのはただの根拠もない妄想の類だ、ドミニオン?、そんなものは陰謀論だ、というのが彼らのメッセージです。

オールドメディアが「根拠がない」と執拗に言えば言うほど、この選挙不正はただの作業員の数え間違いなどといったレベルではなく国家が絡む安全保障上の問題となったと私は考えてしまいます。
それが露呈したのは、いうまでもありませんが、ドミニオン投票器と集計システムの存在が浮上したからです。
このドミニオン集計システム二なんらかの不正、穏やかに言っても不具合が生じたことはメディアも否定できないでしょう。

この真っ先に名が上がったドミニオン社の実体が段々と判ってきました。
この会社にはCEOはいますが、外部に登場したことは極めて稀で、ペンシルバニア州の公聴会にも突如欠席をして、現在行方不明です。

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ドミニオンCEO 大紀元 

「ペンシルべニア州議員らによると、大統領選で不正集計が指摘されているドミニオン社(Dominion Voting Systems)は、11月19日夜(現地時間)ペンシルベニア州での公聴会の出席を約束していたが、直前になって出席を取り消した。一方、トランプ弁護団のパウエル弁護士は20日メディアで、同社がカナダや米国にあるオフィスを突如閉鎖するなど、その動きが「疑わしい」と指摘した。
​ドミニオン社は公聴会の直前、約束の撤回を発表した。共和党の州下院議員であり、政府監督委員会の委員長を務めるセス・グローブ(Seth Glove)氏は記者会見で、ドミニオン社が公聴会に出席すれば「私を含めて同社の投票機を使った130万人のペンシルベニア州の人たちを安心させただろう」と述べた」(大紀元11月22日)

またドミニオン社はカナダ法人と言いながら、すでに本社には無人のがらんどう、どうやら社員全員が逃亡してしまったようです。
いやそもそもこの会社には実体があったのかどうかすら怪しくなってきました。
このドミニオン社の親会社は、イギリスのロンドンに本部のあるスマートマティック社で、しかもドミニオン社のデータ管理をしているのはスペイン企業のサイトル社とされています。

ここで明らかになった事実は、今回の選挙不正疑惑に関わったと見られるドミニオン、スマートマティック、そしてサイトルにいたるまですべて外国企業で、そのうえご丁寧にもそのサーバーがあったのはドイツのフランクフルトでした。
日本で言えば衆院選の選挙業務を外国に任せているようなものです。しかも電子的に。

これらの企業はおそらく一種の企業集団を形成しており、電磁的につねに一体として動いており、資本的にも事実上一つの会社のさまざまな顔にすぎないようです。
さらにこのドミニオン・グループ、(いやサイトル・グループというべきかな)は、さまざまな触手を介して、クリントン財団やソロス、ラテンアメリカの独裁国家、あるいは米国民主党、共和党の一部と連結していることがわかっています。

「サイトル社は世界各地で選挙集計サービスを提供し、上述のドミニオン社のデータ管理を提供しているスペイン企業である。元はバルセロナ自治大学のアンドリュー・リエラ博士が2001年に創業、2006年までは小さなベンチャーであったが、同年3月11日に創業者のリエラ博士が突然交通事故で死亡し、その跡を継いだペレ・バジェス氏がCEOに就任してから、急拡大を始めた。
バジェスCEOは、リエラ博士の死の2年前にサイトル社に財務責任者として入社したばかりだったが、それまではオバマ氏のお膝元シカゴのナスダック上場の通信企業で最高財務責任者を務めていた。2008年の米大統領選挙ではオバマ陣営に大金を寄付し、前出のジョージ・ソロス氏とも関係があるとも噂される人物である」(危機管理コンサルタント 丸谷元人  12月1日)

このサイトル社のあらたなCEOが社を拡大できたのは、巨大投資家のジョージ・ソロス氏や民主党と関係したり、マイクロソフト共同創業者のポール‧アレンのバルカン・キャピタルが同社lに4000万 ドルを投資し、ビル・ゲイツ氏もサイエリの株を保有しているなどといった米国政財界とのつながりがあったからです。

「そのバジェス氏は、リエラ博士の死の直後に複数の投資ファンドの出資を受け入れ、そこから同社を毎年70%成長させ、瞬く間に世界35カ国以上に拠点を構えるグローバル企業に育てた」(丸谷前掲)

サイトル社はいまや北米を中心として選挙に大きな支配力を持つようになっています。

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上図はサイトル社HPの「電子投票カスタマーサクセス」という世界地図です。米国と南米、東欧とロシアにに強い力をもっているのがわかります。
サイトル社は誇らしげに「顧客に成功を導いた」とうそぶいています。「成功に導く」ですか(苦笑)。
このサイトル社のHP「選挙ソリューション」の項目にはこんな記述があって、興味をそそられます。

Scytlの高度なセキュリティフレームワークは、選挙の完全性を保証するだけでなく、投票者がiVote®システムの重要なセキュリティ側面である悪意のある改竄攻撃に対する追加の保護手段として投票を検証できるようにします」

上手の手から水とはよくいったもんで、サイトル社が「改竄攻撃に対する保護措置」を熟知しているということは、その実行者にも容易になれるということです。

「サイトル社の業務の大きな問題点は、海外にある同社のサーバーに投票結果がいったんアップロードされてしまえば、その集計プロセスを追跡するのはほぼ不可能だということだ。同社のバジェスCEOはかつてスペインのメディアに対し、「選挙の不正行為は(中略)投票所が閉まった後や、投票用紙が入った箱が集計センターに運ばれる際に発生する」と述べているが、今回、まさにそんな自社での不正が疑われているのである」(危機管理コンサルタント 丸谷元人  12月1日)

 

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http://ddogs38.livedoor.blog/archives/24837717.html

現時点でさまざまな情報が出てきていますが、その中から信憑性が高いと思えることを抜き出すと、ドミニオン・ボーディングシステムのサーバーがドイツ・フランクフルトにあり、それを管理しているのがサイトル社であったことはほぼ確実なようです。
しかもそのサーバーがあったのが、フランクフルトのCIAのファームだとされています。
その押収に踏み切ったDOD(国防総省)は特殊部隊を投入し、CIA側に1名、DOD側に5名の死亡者を出したと伝えられています。
現時点では裏を取りようがありませんが、これを証言したのが元空軍中将の要職にだった人物だけに、、APのように一概に無視するわけにはいきません。

仮にこの事件が真実だとした場合、5名もの死亡者数の多さから見て、部隊全体では30人以上の規模、バックアップ要員までいれると50名近い部隊を投入したと考えられます。
もはや完全な軍事行動で、当該国のドイツにとっては主権侵害行為ですから、何らかの事前合意があったものと思われます。
もっともビンラディン殺害作戦もそうでしたが、米軍は国家的に枢要な事案においては、機密漏洩を警戒して当該主権国に通知しないどころか、FBIやCIAなどの関係諸機関にすら通知しないで隠密行動をとる場合があります。
また死亡者が急襲したDOD側に偏在しているのは、サーバーを破壊されないために非殺傷武器を使用したのに対して、CIA側が自動火器を用いたためかもしれません。

なぜ銃撃戦にまで発展したかといえば、国内にドミニオンのサーバーがなかったからです。
元々選挙システムは自国主権内に設置にあるのが当然であって、安易にカナダ籍の会社に委託し、しかもサーバーまでドイツに置いてあり、誰とも知れない武装集団によって守られていたわけですから、強制捜査するためには実力を伴うことになるわけです。
エスパーの解任がも時期的に一致することから、なんらかのつながりを指摘する声もあります。

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ハンターバイデン 悪相だなぁ。

この間 のハンターバイデンのウクライナ・中国疑惑に対してもっともよくそのことを知り得ていたはずのFBIとCIAがだんまりを決め込み、選挙不正疑惑についてもいっかな腰をあげない不思議さと関連づけると、米政府内にホワイトハウス・DODvsFBI・CIAの激しい対立があったのかもしれませんが、憶測の域を出ません。

とまれ今回の出来事は、ただの作業員の数え間違い、あるいは郵便投票の水増し等といった小悪党的なことではなく、国家安全保障上の問題に発展していく様相を見せています。
いみじくも、元CIA長官だったポンペオが、「不正選挙を見逃せば、米国は植民地化されてしまう」という発言も、選挙を電子的に処理してしまい、しかもそれを外国企業に委ねてしまえば、簡単に国家を牛耳ることができることへの警告と受け取るべきでしょう。

選挙人投票まであと1週間です。今週が山場です。

 

 

2020年12月 1日 (火)

大統領選挙疑惑は巨大故にすぐには解明できません

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大統領選挙はまだ続いています。いろいろな動きがありますし、軽々に結論は下せないのですが、過度な期待は抱かぬほうがよいでしょう。
トランプ御大は案外醒めたことを言っています。

トランプ氏「最高裁に持ち込むのは困難」 法廷闘争は継続     
【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は29日、大統領選での不正を主張し法廷闘争を続けていることに関し「訴訟を連邦最高裁判所に持ち込むのはとても難しい」と語った。真意は不明だが、上訴しても最高裁が緊急性の高い案件として審理するか不透明との見通しを示した弱気な発言とみられる。
FOXニュースの電話インタビューで語った。トランプ氏は「真の大きな判決を進んで下す最高裁が必要だ」と指摘し、最高裁に選挙不正を認定するよう促した。不正について「私の考えは6カ月後も変わらない」と述べ、法廷闘争を続ける意向を改めて示した。
トランプ氏の選挙陣営は選挙不正をめぐり州裁判所や連邦地裁などで敗訴するケースが相次いでいる。最高裁は1年間で数千件ある案件のうち数十件を厳選して審理する。「訴訟を最高裁に持ち込むのは困難」との発言は最高裁が訴訟を取り上げて審理し、トランプ陣営が勝利する展望が立っていないことを示す弱気な発言とも受け取れる」(日経11月30日)

これを読む限り、トランプは連邦最高裁に持ち込むのが難しい、その理由は数千件ある案件から、この選挙不正を選んでくれるかどうかわからないからだ、と述べています。
日経は弱気と書いていますが、トランプは州レベルで決着をつけようとしているようです。

トランプは、今展開されている州レベルの法廷闘争で勝利するとは思っているかどうかわかりませんが、そう楽観はしていないことは確かです。
というのは、不正選挙の傍証・伝聞情報はそれこそ山ほどあるのですが、決定的物証に欠けます。
たとえば、ハウエルが出した訴状は、このような内容であることかわかっています。参考までに抄録しておきます。
(篠原常一郎氏によるものを編集しました)

●2020年11月25日付の訴状 ジョージア州知事ブライアン・ケンプ以下、関係機関(州選挙委員長や選挙委員ほか)を被告として提訴。訴状提出先アトランタ管区ジョージア州北部地区連邦地方裁判所
●訴状(部分)
①詐欺計画は巧妙な策略で違法手段を駆使し、ジョー・バイデンがアメリカ合衆国大統領が確実に選出されるように、投票数を不正に操作している。
②投票の水増し。
③外国からの選挙不正ソフトの流入。
④独裁者チャベスの要請でスマートマティック社が開発した票ン操作システムが使用された。これは投票の操作を外部から監査できなくするためのものだ。
⑤ドミニオンのソフトウェアは投票数の改竄、票の再配布、削除がなされるように設計されている。
まず、中央システム蓄積機ではリアルタイムに保護された監査ログ、すなわち日付やデータ、タイムスタンプなどの重要な選挙イベントが含まれていない。
システムの主要構成要素は、保護されていないログを利用いる。
非合法のユーザーが任意に追加、変更または削除をすることができるが、実際の選挙人の投票の集計結果を全て反映したかのように記録可能である。
⑥投票所ビデオには、投票が終了した11月3日に、選挙職員が水漏れにより施設を閉鎖する必要があると誤って主張し、すべての投票立会人(選挙職員)と午後10時頃に数時間避難させた。
しかし何人かの選挙職員は、午前1時以降まで、監視されておらず、投票集計機のコンピューターで作業を続けていた。
⑦ドミニオンのソフトウェアは、2018年にテキサス州選挙管理委員会によって拒否されていたが、ジョージア州知事は無視した。
この分野の専門家であるアンドリュー・アッペル博士、プリンストン大学のコンピューターサイエンスおよび選挙セキュリティの専門教授が、ドミニオン投票機に関して最近示唆したところでは、少しの違いをコンピュータープログラムに反映し作成することにより投票が終了する直前に、ある候補者から別の候補者に投票を切り替える方法が見つけた。
⑧元米軍セキュリティ担当官によれば、ドミニオンはイランと中国からハッキングされ、操作された。

以下、この調子で延々と続くのですが(なにせ100ページもあります)、目を皿のようにしても私が渇望する決定的証拠は見当たりません。
パウエルが「宣誓証言はこれだけある」と誇らしげに言っていましたが、それらの内実は、「サイバーセキュリティの専門家がこう言った」とか、「ドミニオンの上部会社のスマートマティックがベネズエラの選挙と関わっていたという証言」などといった傍証にすぎません。
いずれも内容的には興味そそられることですが、法廷が求めているのはそこではないのです。

SNSやジャーナリズムならこれでよいのです。極端にいえば、さまざまな角度からの情報によって読者の心証を形成し、この事件の外貌を浮き彫りにするだけで事足りるからです。
しかし、傍証だけでは法廷では勝てません。法廷では動かぬ物証が必要です。
この選挙不正ならば、バイデンに多く入り、トランプには少なく入る加算アルゴリズムの存在を押えねばなりません。
こんなことはドミニオンのサーバーを開けて、サイバーセキュリティの専門家が検証すればわかるはずです。
それが行われれば、ドミニオン疑惑が正しかったのか、間違っていたのか白黒がつきます。
ドミニオンのサーバーが今どこにあるのか、だれが押えているのか、そのサーバーは国防総省が押えたという噂があるが、ならばなぜ出てこないのか、わからないことだらけで、不確実な情報だけが錯綜しています。
噂はもう結構。噂では法廷で勝利できません。

保守論壇が割れたという話もあるようですが、コロナの時に割れた構図の再現です。
願望から離れて冷静に評価し、日本が取るべき態度を決めていこうする側と、いや正義は絶対に勝たねばならない、最後まであきらめてはならぬ、という側の温度差です。
前者の人から見れば後者は頭に血が昇っている人たちに見えるでしょうし、後者から見れば前者はこの敗北主義者めということになりそうです。

私は前者の立場です。トランプは支持しますが、それと情勢判断は別ものです。
勝たねばならないからという意識で情勢を読んでしまったら、目が曇ります。
いいでしょうか、今トランプが逆転するには、単に州ごとの再集計されてトランプ票が増えたとしても勝てません。
600万票の差が縮小するだけのことです。

可能性として残されているのは、選挙に不正が行われたことを州裁判所が認めることがまず第1。
さらに、不正選挙が行われた以上、選挙結果そのものが無効だとする訴えを裁判所が認めることが第2です。
この場合、合衆国憲法の規定により各州議会の議決で投票人が決まる可能もあります。

今、CNNがこの州議会での投票でのトランプ勝利の可能性を報じて、トランプ支持者の間ではちょとしたお祭りになっています。

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トランプの仇敵CNNが言ったというので大騒ぎとなったのですが、これには前述のようにふたつの訴訟で勝たねばなりません。
つまり不正があったことを認める裁判と、裁判無効の裁判二つに勝つ必要があります。
この二つに同時に勝つことはそう簡単なことではありません。

そしてもうひとつの問題は、時間がないことです。
12月14日の本投票、あるいは8日の投票集計までは、あと1週間しかありません。
トランプ自身が選挙人選挙で白黒が着けば政権移行に協力すると言っている以上、これがタイムリミットです。

むしろその選挙人集計前の1月5日のジョージア州上院議員選挙の決戦投票で2票のうち1票でも共和党が押えれば、この瞬間バイデンはレームダック化します。
ご承知のように、上院は共和党50、民主党48の力関係だからで、どちらも過半数を確保していないからです。
仮に上院を共和党が支配すれば、上院は閣僚の任命権を持っていますからサンダースやウォーレンと言った左派を閣僚に入れることはかぎりなく不可能になります。
また各種の法律の拒否権も上院が握っているために、いくら大統領令を発しようと、ことごとく議会でハネられることになります。

このような最弱の帝王となった場合、なんの理念もなく、カリスマ性など爪のアカほどもないうえに、全身を親族スキャンダルで冒されてれているバイデンの任期がどのようなものになるのか、だいたい想像がつこうというものです。
仮にバイデンが就任したとしても、上院には大統領選調査委員会が設けられ、その中で多くの証拠・証人が登場するはずです。
たぶんくだんのドミニオンサーパーの提出も求められることでしょう。
それ次第で、バイデンは辞任に追い込まれる可能性もあります。
米国政治史上空前の事件故に、真相解明まではまだまだ時間がかかるのです。

拙速な勝利を願望しないことです。米国民主主義の自浄能力に期待しましょう。

 

 

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