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2020年12月 8日 (火)

中国、輸出管理法発動

098

中国が新たな輸出管理法を作りました。
例によってメディアは日本向けの影響などと、いたってのどかなことを報じるだけのようです。
中国「輸出管理法」施行 法律の狙い 日本への影響は | 米中対立 | NHK ...

中国版エンティティリストは形式的には、米国の対中貿易制裁であるエンティティリストに対する報復にも見えますが、まったく本質的に別物です。
※関連記事『中国vs米国「エンティティリスト」戦争へ』http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-173990.html

まずエンティティリスト(懸念顧客リスト) から押えておきます。

「懸念顧客者リスト[Lists of Parties of Concern] 以下のリストのうちの1つに掲載されている企業、団体又は個人が、輸出取引において可能性のある当事者と合致するように見える場合、輸出取引を進める前に更なる相当な注意が必要とされます 」
(■MOFCOM Order No. 4 of 2020 on Provisions on the Unreliable Entity List)
https://bit.ly/35TePOC

米国がエンティティリストを公表するやいなや中国も同様なものを発動しました。

Https3a2f2fimgixproxy_n8s_jp2fdskkzo6515

中国、輸出管理法12月施行: 日本経済新聞

「中国、信頼欠く企業や国、個人「エンティティーリスト」の制裁対象に
中国政府は「エンティティーリスト」に掲載した信頼を欠く企業や国、団体、個人に対し、取引と投資、ビザ(査証)の制限を含む制裁を科す方針を明らかにした。中国商務省が19日にガイドライン(指針)をウェブサイトで公表した。  商務省によれば、中国の主権と国家安全保障、発展、ビジネス上の利益に対する脅威あるいは潜在的脅威になるか、中国の企業や団体、個人を差別したり、害を及ぼしたりするエンティティーの名前がリストに掲載される」(ブルームバーク9月19日)

問題となるのは、米国のそれが対中国経済制裁であることに対して、中国のそれは世界すべての国が対象だということです。
ゲッ、米国は中国が米国の安全保障に脅威を与える対象のみに的を絞ったピンポンイントですが、中国は名前は似ていますが、全世界を対象にしたものですから決定的に違います。
たしかに米国の対中エンティティリストは効きました。
米国は国家安全を理由にファーウェイやバイトダンスなどの中国のハイテク企業に対する輸出制限を米国の半導体企業に課した結果、中国は半導体産業への半導体供給の道を絶たれ、いまや瀕死に追い込まれています。

ですからこれに対する報復という意味もあることはありますが、仮にこんな中国版エンティティリストなるものを対米輸出管理として作っても米国にとってはあまり意味がありません。
そりゃそうでしょう。米国にとって中国へは先端技術のダダ漏れでしたが、逆に輸入する先端技術などないに等しいからです。
ですから、この中国版エンティティリストは、一見対米報復にみえますが、違います。

それはこれが3年前の2017年に既に起草されて、3年間も寝かされていたことを見ればわかります。
中国は、米国のエンティティリストが9月に出るやいなや翌月には批准し、この12月には実施としました。
3年前には米中関係は波風がたっておらず、米国は技術の盗用をやられっぱなしで、気がつけば情報インフラを乗っ取られてバックドアまで開けられていたわけです。
中国にとってあえてこんな経済蜜月の時代にエンティティリストなんてダンビラを抜く必要がないので、米国の出方を見ていたわけです。

また米国だけではなく、当時まだ難航していたRCEPとの関係もあったようです。
そりゃそうでしょう。これを抜くと中国がゴリゴリの管理貿易主義であることがバレてしまいますからね。
アジア・太平洋に自由貿易圏をつくろうとするRCEPの趣旨と、中国の「万国対象版アンティティリスト」は真っ向から対立する概念です。
一方は共通の貿易ルールを作ろうとする試みであって、一方は自分の国さえよければいい貿易ルールを他国に押しつけることですから。
だからRCEPの署名までジッとがまんしていたのです。
これで中国がRCEPの主導権を日豪などのクアッド諸国から奪い、中国主導で貿易ルールを恣意的に運用しようとする懸念が出てきました。

このエンティティリストは、軍民共用技術(デュアルユース)の輸出管理規制強化をしようとするものです。
このリストによって米国は、デュアルユース、軍事、核関連、その他の国家安全保障の利益の保護、さらには不特定の危険な国家へと拡散することを防止しようとすることが目的です。

中国はこの米国版エンティティリストの枠組みだけを盗み、換骨奪胎しました。

「米国商務省の輸出管理条例と同じく、中国も輸出許可制度を採用し、輸出商は必ず輸出許可を得て、初めて輸出管制リストに記載されている製品の輸出が可能となる。
この法律はさらに、輸出商が率先して制限リストに入らないようにし、中国への潜在的損害を引きおこす輸出取引において許可証を申請するよう要請、かつリストにはいっていない物品項目に対して北京当局は最長二年の臨時輸出管理を実施することが許される
このほか注目すべき点は、この法律は北京が申請者を審査するときに、「関連する信用記録」をもって許可を与えるか否か決定してもよい、としている。つまり、この法律は企業に対し、国家の意思を尊重するように迫るという一つの法律ツールであると、外界は疑ってみている」(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.226 2020年12月7日)

法執行までの流れは米国と一緒です。
中国商務部が申請された輸出制限リストに照らして審査するわけですが、リストに入っていない物品に対しても最長で2年もの臨時輸出管理規制をすることが可能なのです。
ここが抜け道です。
この特例措置を使えば、リストに入ろうと入るまいと「臨時輸出規制管理」という名目で輸出規制をかけることが可能となります。

つまり、中国の意志に逆らう国に対しては「臨時」で2年間もの輸出管理規制をかけることができるわけで、さっそく中国はオーストラリアの鉄鉱やなんとロブスターにまで輸出管理規制を発動しました。
ロブスターに国家安全保障上の脅威があったとは、今の今まで私は知りませんでした。
あまりおいしいので中国人民が豪州産ロブスターの虜になるのを恐れているのでしょうか。

中国は「問題が解決したらリストからはずしてやる」なんて言っていますが、もともと問題とはオーストラリアが長年のやりたい放題に対して抵抗を開始したことに端を発していますから、「問題解決」とは昔のように唯々諾々と中国の足をなめつづけるという意味です。

また個人に対しても懲罰が認められていますから、駐在員が恣意的に逮捕されることも頻発するでしょう。
中国くらい相手国の国民を人質として拘束し、交渉材料にすることを常套手段とする国はないからです。

中国は世界規模で自国が渡したくないと思ったレアアースや先端技術の販売を全面的に制限しようとするでしょう。
日本はご承知のように前回一度それをやふられて、ひどい目にあっているのは、ご承知のとおりです。
ま、そのおかげで輸入先を多様化したり、レアアースに頼らない技術が飛躍的に進歩したんですがね(笑)。

とまれ自由主義圏の企業は常に、北京の鼻息をうかがっていなければいつ何時リストをかざして規制をかけられるかわからないだけではなく、意向に反すればリストに入っていない物品まで輸出制限をかけられることになります。
するとどうなるでしょうか。、
中国は国内の治安維持のために「社会スコアー」という国民管理手法をもちいています。
これは政府の意に従えば得点されて賞品をもらうことができる一方、意にそぐわない民主化要求デモなどしようものなら大減点されて、収容所送りにされてしまうという、まことにこれぞ全体主義といった「懲罰と奨励」システムです。
これと似たような効果を、海外企業と政府に与えることができます。

「新米国安全センター技術・国家安全項目の研究所里であるアイニッキ・リコネンはVOAのインタビューで、「企業の信用システムはすでに企業の行為に対し懲罰か奨励を行うことだが、それを輸出管理に結びつけることで、さらにこの懲罰と奨励システムに新たな一面を加えている」と指摘している」(福島前掲)

中国にとって気に食わない国の主力輸出品に対して突然関税を2倍3倍にする「懲罰」が可能となります。
一方、可愛いことをする国や企業には「奨励」を与えます。
たとえば商業用暗号のデバイスやそのサービスを中国はリストの初期制限に入れたことから、この輸出管理をすることで外国の電力公共事業や金融分野に強い影響を与えることが可能となりました。
この管理措置は1月1日から施行され、実施されれば東南アジア諸国を中心として、重大な影響を被るはずですが、「可愛いことをする国」にはおしげもなく輸出を認めてやります。これが「奨励」です。

まことにあいまいで、中国官僚のサジ加減ひとつでどうとでも解釈し、その時の気分で懲罰を与えたり、奨励の飴玉をなめさせることができてしまいます。
こんな法律は全体主義国家だからこそ可能であって、自由主義国家においては夢想すらできません。

しかも中国商務部スポークスマン高峰か言うように、「さらに多くの項目が将来輸出管理リストに入り、そうしたリストは商務部が適時発布する」とされているのですから、その時の中国の気分ひとつでいつでも締めつけることが可能です。

「米国の輸出管理に関する専門弁護のチモシー・P・オトゥールは、一部の原材料、特にコンピューター、監視システム、産業試験・研究に用いるハイテク製品など軍民両用物資はリストに入りやすい、と指摘している」(福島前掲)

今後どうするかは中国政府の意のまま、気に食わなければ罰し、従えば飴をくれてやるということです。
いちおう日本の影響をですが、そりゃあるに決まっています。

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日本しか考えない視野狭窄のNHK記事を引用しておきましょう。

「レアアースは電気自動車のモーターのほか、家電の精密部品などの生産に欠かせず、日本は、全体のおよそ6割を中国から輸入しています。対象になった場合、これまでどおり入手できるのか、新たにどのような手続きが必要になるのか、懸念されています。
また、「再輸出」と呼ばれる規定も影響が懸念されています。
これは、中国で生産された素材を輸入し、日本国内で加工してアメリカなど、ほかの国に輸出した場合も規制の対象になるという内容です。輸出した製品を最終的に使用する企業が問題視された場合、中国からの素材の輸入に影響が出かねないと見られています。
また、直接、中国から素材を輸入していない場合でも、自社が購入する部品などに使われている中国の素材の割合によっては規制の対象になる可能性も指摘されています」(NHK12月1日上画像も同じ)

特に在留邦人まで規制可能ですから、中国進出企業は今まで以上に中国当局の顔色を伺うことに汲々とすることでしょう。
そして日本政府もまた、尖閣や歴史認識や靖国などが浮上するたびに、レアアースと中国のサプライチェーンを人質に取られることになります。

このように見てくると、中国が考える世界統治の手法が透けて見える気がします。

 

 

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コメント

時事通信によれば、12月7日にリチャード・アーミテージ氏やジョセフ・ナイ氏らが発表した、シックス・アイズへの日米協力や米国のTPP復帰を提言する報告で、中共を安全保障上の最大の課題と位置づけ「競争的共存」を目標にする、と述べているそうです。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020120700982&g=int

https://www.csis.org/analysis/us-japan-alliance-2020
リポート原文で確かに、
The biggest security challenge for the alliance is China.で始まるパラグラフで、
how to develop a new framework for competitive coexistence.
と述べられています。

誰かと「競争的共存」を目指すのは間違ってはいないけれど、中共は対等な共存なんて考えていないところが問題なわけですね。
意趣返しの輸出管理法で中共は、他の世界全体も困らせて、アメリカがその主たる原因をつくったとして孤立・分断を目論んでいるのでしょうが、もう問題はそこには無い。
中共はステイタス・クオを満足ゆく到達点にしているわけではなく、自分唯ひとりの他は奴隷しかない世界を目指していて、トランプのとばっちりは嫌な側のアメリカも、アメリカのせいで迷惑するのは嫌な諸国も、中共にとって「他は奴隷」の方に入るのです。
実に腹黒く世知辛いですが、トロいといろいろな意味で死にます。

豪はいち早く国内侵略の脅威に気が付き中国と本気で対峙する覚悟を決めその思いを菅新首相に伝えたはずだったんですけどね。
表には出さないでしょうがモリソン首相からしたら「安倍が持ちかけてきた話なんだから日本が途中で降りるとか無しだからな」という不安でいっぱいでしょう。
内閣支持率の急落がコロナ対策の不備だという分析がありましたが、むしろ先の王毅氏の無礼な発言に対する腰砕けの対応に保守層が不安を感じた影響の方が大きいように感じます。
米国の混乱に乗じて中国が本性を見せて来るのは十分に想定の範囲内であったと思うのですが、今や期待どころか進出した企業を守るために国を売るようなマネだけはしてくれるなよと思わずにはいられないのは情けない限りです。

んー、なんというかこの法律?が出た時点で恐ろしくなりましたよ。これは本当にヤバイ!
具体的なことは全く無く中国共産党のフリーハンドで何でもどうにでもできるというシロモノです。
今の所はやっと出てきたリストについて日本企業への影響とかやってるけど、
我が国の大手メディアは何をやってるんでしょうね。。
某国の動くゴールポストどころではなく、いつでもあちらの任意でVAR判定すら覆すことができる!という内容ですよ。

すでに散々やられてる豪州が折れない!立派です。日本政府はどうするの?と。
ただし、ポリティカルとしては表向きには敵対したくないけど···そろりそろりと手を引く(現地企業を撤退して国内回帰か他国に移す)のは正解でしょうね。こんな信頼が出来ない国が巨大な人口と資源で「戦争」を仕掛けて来ているのですから。。。

日本政府の義務「国民の命を守る」が歪んでいますよね。
1人でも死んだり捕まったら政府の責任!と騒ぐのも無理筋ですが、放りっぱなしすぎです。申し訳程度に注意喚起のメールを流す位で、武漢コロナの初動時には中国に遠慮してHPの注意喚起文言甘すぎでした。
海外の領事館などにお世話になる度に、ウチら国民の一人一人は守る気ゼロだなあと実感します。
そんな中で、ジャックと豆の木の様に隙を突いて商売してきた中小企業。
不況の中彼等なりに頑張っているのですが、損切り足抜けのタイミングを見誤らないようもっと声を掛けるのは政府の国民への義務です。
自治体レベルでもです。兵庫県が年初に頼み込んで作らせた国産防護服を、中国から安定供給されるからって入札に切り替えて買い取らない件など論外。
倒産して自殺するかギリギリまで対中商売するかを選べというのに等しいというメッセージだと、追い込まれた企業は受け取りますよ。

 懸念というよりほぼ確信ですね。中国は自分を中心とした貿易体制を作るつもりです。米国を完全に締め出して日本やオーストラリアに「鎖国」か「属国」かのどちらを選ぶか迫ってくるでしょう。既に日本の言論界では「米国に同調するな」との主張が出始めております。離米の兆候です。

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