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2020年12月31日 (木)

米軍の世界的戦略転換とは

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今年最後の更新となってしまいました。
今年もこの拙いブログにおつきあいいただいて、ありがとうございました。

さてトランプは、大きな戦略シフトの転換を図っています。
今月に入って、また重要な戦略転換が行われました。

ひとつは中東の不良債権からの足抜きで、トランプはアフガン、イラクからの段階的撤退を命じました。
12月28日、トランプ大統領は「果てしない戦争は終わらせる」として、アフガン駐留米軍を4500人から2500人、イラク駐留米軍を3000人から2500人に縮小し、ソマリア駐留米軍700人の大半を現地から撤退させる方針です。

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Pars Today

現状では、アフガニスタンのアルカイダは数百人規模にまで減少し、シリア・イラクのISも小規模なテロ集団となっています。
もちろん、イエメンのアラビア半島のアルカイダや、北アフリカのアルカイダ、ソマリアのアルシャバブなど群小のテロ組織は残存し続けますが、以前ほどのように複数の国家の大部分を支配するような勢いは失せています。
先進国へのテロ攻撃も減少していますので、十数年にわたって米国を苦しめた対テロ戦争はそろそろ手仕舞してもいい時期なのです。。

アフガンのような独立心が極めて強く外国勢力と戦ってきた民族国家にこれ以上駐留を続けるのは無駄であるばかりか、やがて旧ソ連のように国力を疲弊させて国全体がおかしくなります。
できるだけ現地化を計るしかないのであって、これは避けて通れない道であり、トランプは公約を実現したのです。
かつての南ベトナムの崩壊のようになることは充分考えられますが、だとしてもそれはアフガン人が自ら選んだことなのです。

中東に伸びきった戦線は2正面作戦を米軍に強いてきました。
ひとつは中東正面、そしてアジア正面の二つですが、今どちらがより大きな脅威なのかは考えるまでもありません。
今のように薄く広く世界に展開させてしまった米軍のシフトでは、準同盟関係にあるイランと中国が歩調を合わせて中東とアジア・太平洋で攻勢に出た場合、完全に破綻します。
米国の軍事力はかつての絶対的優勢からレベルダウンしており、外交的軍事的余力はマンパワーひとつ見ても、もはや限界を超えています。
米軍の軍事的ポテンシャルを整理し、対中国に全面的に注ぎ込もうということです。

そして2番目が、台湾保証法を成立で、台湾に強力な軍事的支援を贈ろうとしています。

「(ワシントン中央社)トランプ米大統領は27日、2021 会計年度の連邦政府予算案に署名し、一体化されていた「台湾保証法」が成立した。台湾への武器売却の常態化や台湾の国際組織への参加の支持を米政府に促すほか、国務省への台湾との関係見直しの要請などが盛り込まれている。
同法は、断交後の台湾との関係について定めた「台湾関係法」を基礎に、さらなる関係深化を目指すことが目的とされる。米政府は台湾の「非対称戦力」の発展を支持するとし、武器売却の常態化で台湾の自己防衛能力の強化を支援する立場が示された。
また、国務長官には成立から180日以内に、台湾との関係に関する書類やガイドラインの検討、高官による相互往来・交流を促す「台湾旅行法」の実施の状況などについて上下両院の外交委員会に報告することが求められる。
これに加え、予算案には、台米日の交流プラットフォーム「グローバル協力訓練枠組み」(GCTF)の活動費用として300万米ドル(約3億円)が組み込まれた。
外交部(外務省)は28日の報道資料でこれらに言及し、「米国の行政機関と議会の超党派の友人が具体的な行動で台湾への支持を示してくれた」と謝意を表明。今後の関係強化に期待を寄せた」(12月28日フォーカス台湾)
https://japan.cna.com.tw/news/apol/202012280002.aspx

内容的には、激しく中国様が激怒しているのをみれば、いかに中国がやられたくないことなのか判ろうというものです(笑)。
単にこれは武器援助ではなく、従来あった台湾関係法の枠組みを一歩乗り越えようとするものです。
これは米国が一方的に動いたというより、習近平が押し進める「戦狼」路線が招いた必然的結果でした。

「また軍事的に見逃せないのが、中台軍事バランスが大きく変化する中で、中国側が台湾海峡の中間線を初めて越えたことだろう。本年3月、中国空軍J-11(殲撃)戦闘機2機が中間線を越えて約10分間飛行した。台湾が主張する中間線を中国は認めていないものの、これまでは事実上の停戦ラインとして機能してきており、台湾側が設定する防空識別圏(ADIZ)とも重なる。米国からもボルトン大統領補佐官が即座にtwitterで中国の軍事的挑発を批判しているし[、後述の通り米海軍は台湾海峡でのプレゼンスを高めている」(村上政俊 同志社大 『トランプ政権下での米台関係の飛躍的な進展(1)』2019年6月26日)
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3161

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中国、台湾威嚇強める: 日本経済新聞

このように既に軍事バランスは大きく中国へと傾いており、台湾軍は旧式の装備で対応していたような状況でした。
またこの間の中国の激しい侵犯によって、台湾空軍は疲弊しきっており、スクランブル機の墜落事故まで生じています。
このあたりの事情は、執拗にくり返される侵犯行為に忙殺されている海保や空自とまったく同じです。

このような台湾の疲弊は、中国のご機嫌を損ねることを恐れて、米国歴代政権が台湾に細々とした支援しかしてこなかったツケです。
歴代米国政権は、中国が発する「ひとつの中国が約束だろう」という大声に負けて、生かさぬように殺さぬようにといったあいまいな政策を取り続けてきました。
これはひとたび中国が怒ると、台湾に侵攻しかねないだろう、だから怒らせないように台湾は故意に放置しておくべきなのだ、という因循姑息な思惑が米国にあったからです。

このような台湾政策は今になると奇妙に見えますが、当時の米国の関与政策といわれる、中国は経済発展するに連れて必ず民主化し、米国と中国が協調して世界を安定化させようとするG2願望と裏腹のものでした。
オバマとスーザン・ライス、そしてバイデンの政権は、習に抱きつかんばかりの政権でしたから、台湾みたいなちっぽけな島なんぞG2の引き出物にくれてやる、と内心考えていたふしさえあります。
毎回おなじみの宮家邦彦氏など、「トランプはいままでの職業外交官の苦心のガラス細工を壊そうとしているんです。ただのど素人。メチャクチャですよ」なんてのたもうておられました。
しかしこういう「職業外交官の努力」の無作為が、台湾をここまで追い詰めてきたのです。

トランプは、この隠微な「台湾放置」の流れを、アジアシフトに大きく舵を切る中で変えてしまいます。
2018年12月に、「アジア再保証推進法(ARIA)」を作り、次いで2018年3月には「台湾旅行法」を制定し、そして今回は「台湾保証法」を送り出しました。

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「アジア再保証推進法(ARIA)は中国の影響力拡大に対抗するトランプ政権のインド太平洋戦略を、外交、安全保障、経済、人権などで包括的に肉付けしており、昨年10月4日のペンス副大統領の対中政策演説に呼応している。中国に対しては、米国が築いたパクス・アメリカーナに挑戦する覇権国家であることを示唆したうえで、「重大な懸念」と位置づけ、市民社会と宗教の活動を制限し、インド太平洋地域にあっては法に基づく国際秩序を害していると指摘した。
 とりわけ、ARIAは「同盟強化」を求め、第1に日米同盟を挙げたのは当然として、インドに対しても「戦略的パートナーシップを同盟国なみのレベルに引き上げる」と明記し、東南アジア諸国連合(ASEAN)については戦略的パートナーに格上げして関係強化を求めている。このためのアジア向け軍事、経済支援に2023年までの5年間に、各年度で15億ドルが国務、国防両省に充てられる」(湯浅博『中国走らす米のアジア再保証戦略』2019年1月24日)

このアジア再保証推進法が、ずばり「自由で開かれたインド・太平洋」、すなわちクアッドを指していることに注目下さい。
この枠内で米国は台湾旅行法で、米政府要人の台湾の往来を活発化させ、そして武器援助として台湾保証法を作ったということです。
もしトランプに2期めがあるのなら、次の一手は電撃的訪台と台湾正式承認が待っていたはずです。

第3に、駆け足になりますが、このような太平洋・インド洋シフトの流れの中で、米海軍も動きました。

「米、インド洋に「第1艦隊」構想 対中国で海軍態勢強化
ブレイスウェイト米海軍長官は17日、海軍関係団体が主催したオンラインのイベントで講演し、インド洋と太平洋を結ぶ海域を管轄する「第1艦隊」を創設する構想を明らかにした。米軍事専門紙などが報じた。中国に対する抑止力を強化するとともに、横須賀を拠点とし、太平洋とインド洋の広大な海域を担当する第7艦隊の負担を軽減する狙いがある。
中国、「戦争準備」本格化 制服組トップ、態勢転換に言及―台湾などの緊張にらむ
 ブレイスウェイト氏は「中国は世界各地で攻撃性を示しており、1812年の米英戦争以降で今ほど米国の主権が脅かされている時はない」と強調。その上で「日本にいる第7艦隊だけに頼らず、インドやシンガポールといった同盟・パートナー国と連携し、最も重要な海域に艦隊を配置しなければならない」と説明した」時事2010年11月18日)

これはアフリカ大陸東岸までの広大な海域を管轄としていた米海軍第7艦隊を、インド・太平洋までの管轄にして、対中シフトに特化させようとするものです。
このような大きな流れをトランプは作ってきたものですが、これはあくまでも本格的戦略転換に向けての取っかかりを作ったにすぎませんでした。
大統領職は2期8年でワンセット。
後半に予定されていた更に本格的なインド・太平洋シフトに取りかかろうとする寸前に、それが盗まれたとしたなら、あまりに残念でなりません。

それでは皆様、よいお年をお迎えになりますように。
更新の再開は4日(月)からです。

 

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コメント

今年もありがとうございました。

世界はますます混沌としてきておりますが、
来年もご健勝にてご指導いただけましたら幸いです。

 この1年、大変動の年でしたね。来年も大変なものになりそうです。主宰者のありんくりんさん、みなさんもご健勝でありますように!!

 今日の記事のように、中国への牽制ができるよう日本も軍事予算を拡充できるようにしたいものです。アメリカ頑張れ、日本も頑張れです。


 HAPPY NEW YEAR!

自宅の片づけの合間に拝見しております。
いまや茂木外務大臣よりよっぱど実のある外交成果を残しているのではないかと思われる岸信夫防衛相がドイツ艦艇のインド洋派遣を引き込んできました。
あのドイツが中国を牽制する側に回るとか、情勢はめまぐるしく変化してきているのだと感じています。

世間ではコロナ対応の失敗で内閣支持率が急降下したと報道されていますが、さきの王毅訪日での大失敗による政権の外交能力を自民党支持者に不安視されたのも原因のひとつだと思っています。
どうもワンチームになりきれていない印象が強い菅内閣がコロナ対応を平行に年明けからの激動の変化に対応できるのかどうか、追いつめられつつある菅首相が仕事人からリーダーシップを発揮する「真の指導者」へ覚醒するか否かにかかっていると思います。
まずは1月5日の上院選挙ですね、いやはやどうなる事やら…

それではいつも内容の濃い記事を提供していただいてる管理人様
および興味深いコメントを投稿している皆様によいお年を〜

本日の主題に関連せず恐縮ですが、年が変わらないうちに。
穀物の取引などでアメリカと深い付き合いがあり、左傾化を嫌うアメリカ農業者の本音を知るJAだと、農業協同組合新聞に堤未果氏のこのような記事を載せるのですね。
堤未果「報道の裏にある現実を見極める眼を」
https://www.jacom.or.jp/nousei/closeup/2020/201228-48605.php

管理人さんが週6で濃い小論文を書き続けることがどれだけ修行めいて、しかし素晴らしいことか、そこから連なる集合知と共にどれだけ思考の助けになることか。
日々の糧を得られることに大感謝です。

 台湾問題について、米民主党は党の綱領から「一つの中国」という文言を削りました。すでに台湾はトランプ政権によって事実上、米軍駐屯の実質は出来ていると思います。
台湾を第二の香港にしては絶対いけません。

 しゅりんちゅさんが言うように、王毅訪日事件が支持率に影響した部分は否めません。安倍さんのように岩盤支持層がないのが菅さんの弱点です。
ですが、訥弁に思える岸防衛相はダークホース的でしたが非常に好ましく、これからの世界的変化に備えた力を発揮してます。
中山外交部会長も良い拾いものです。

菅総理は、麻生さんの外交モラル原則的な行き方を、二階らに咬ませる事をすべきです。その点、安倍さんは巧みでした。
いつまでもマスコミに創作されたコロナ禍などに踊らされることなく、来年は全開でダッシュする方向で行きたいものです。

ブログ主さま、コメント者の皆さん。
どうか良いお年をお迎えくださいませ。

 中山外交部会長 ×
 中山防衛副大臣 〇
訂正でした。

> 台湾みたいなちっぽけな島なんぞG2の引き出物にくれてやる、と内心考えていたふしさえあります。
そうですね。当時は台湾内も「自分たちは香港よりももっと上手くやれてる」と己に言い聞かせて大陸との商売に励む人達が多くいました。
米国側も自分に都合良く「国民党がソフトランディングさせるなら東アジアの平和にオバマ政権は貢献できる」と甘く考えいてたのではないでしょうか。
実際、欧米や日本に留学やビジネスで来ていた、賢くしっかり者で明るく身なりの良い中国人のイメージは、元々台湾や香港人・移住を済ませたセレブ華僑達が醸し出していたものを、大陸からの人民達が札びらと共に上書きしてしまったのがオバマ時代でした。
上書きが済んだと己を過信し暴挙にで始めた中共に、紆余曲折はあれ対峙し続けたトランプ政権の功績は本当に大きいです。
来年は激動の一年になりそうですが、皆さま元気に強かに、生きてゆきましょうね。

オバマなんぞ中東の混乱に何の役にもたたなかった者がノーベル平和賞とか何の
ジョークかと思ったりします。実は戦争嫌いで中東国家とイスラエルの和平を実現し
たトランプの実績は凄いものです。後世に語り継がれるべきはどちらでしょう。日本
に限らすオールドメディアが腐りきっているのがよくわかる一年でした。

沖縄のメディアは相変わらず反米軍基地で、こいつらは中共のことをどうとらえてい
るんだろうかと訝しる日々でタメ息です。香港の状況をみても彼らの好物の民主主義
だの民意だのに最も遠いものだろうに。

管理人様、コメントの皆様、今年もありがとうございました。良いお年をお迎えくだ
さい。新型コロナが早く収束しますように。

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