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2020年12月26日 (土)

北朝鮮の非核化を達成できなかったって?

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一昨日のトランプはマッドマン・セオリを使っているかもしれない、という記事について、HYさんからこんなコメントを頂戴しています。

「解釈は自由ですがトランプ政権は北朝鮮の非核化を達成できなかった厳然たる事実を直視するべきです」

ふむふむ、なるほど。成果あがってねぇじゃないかってわけね。
その前に、なんか勘違いがあるようですが、素直に読めば、あの記事自体が彼の対北朝鮮政策の功罪を考えたものではないことにきがつきませんでしたか。
私が書いたことは、ドナルド・トランプという人物がどのような癖球を投げるタイプの投手かということを、対北政策を見る中で解き明かそうとしたものです。
ですから、非核化が達成しようとしまいと、そんなことは初めから私の視野の外なのです。

ただあの記事を書きながら改めて思ったことは、トランプという政治家はオーソドックスな保守政治家ではなく、ある種の「奇才」の主だということです。
私は大統領としての落ち着きだけなら、副大統領のマーク・ペンスのほうが遥かに上だと思っていますし、奥山真司氏などもそう考えているようです。
ペンスは従来の「大統領」というイメージにトランプより近いし、今、起きている米国を二分する分断をさせない力にもなりそうなきもしないでもありません。この彼の重厚さが、過剰なまでのペンスへの期待となっているのでしょう。

ではトランプにあって、ペンスにないものはなんでしょうか。
突破力というんでしょうか、行き詰まった状況を思いもしない方向から手を突っ込んで揺さぶり、新たな状況を作ってしまう、こんなことはペンスにはできません。
もちろん劣化オバマのバイデンなど議論の外です。
ペンスやバイデンといった米国政治家は、立場は違いますが、従来の外交のしきたりから自由ではないのです。
米国の外交伝統では同盟関係を重視し、国際的圧力を強めることで対応しようとします。
韓国との共同歩調を重視するのが前提ですから、今のムンのような北に対して極度のすり寄りをしているようなパートナー国がいるともう一歩も先に行かないわけです。

ムンは米国や国際社会が自分の頭越しに北と非核化交渉をしないという米国の伝統的思考様式を知っていましたから、自分が北朝鮮と民族統一を目指すと叫んでさえいれば、米国や国際社会の対北制裁を邪魔できると考えていたわけです。
そう、ムンジェインこそ、味方の顔をした敵、北朝鮮の非核化をするうえで最大の障害物だったのですよ。
南北は同じ民族、それを阻むのは悪い米国。かつての朝鮮戦争だって、米国というこの悪の帝国が南北を戦わせたんだ、冷戦の谷間に咲く白百合の花一輪、いまもなお続く悲哀の民族・・・、そうムンは言いたかったようで、ピョンチャン冬季五輪に「統一旗」なんてグロテスクなものを掲げさせました。
え、戦車を先頭にして攻め込んできたのはどこの国でしたっけ、なんて聞くのは野暮。せっかく気持ちよくナルっているんですからね。

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あるところまではトランプはオーソドックスな対北制裁のセオリどおり、国連制裁決議に基づいて経済制裁をし、瀬取りを摘発し、さらには海上封鎖に進もうとしていました。
誰しもこのまま海上封鎖に突き進むと思っていましたが、トランプはここでいったんこの制裁フェーズを凍結してしまいます。
だって、これ以上北朝鮮を締めあげると、窮鼠ネコを噛む可能性があるからです。
北朝鮮は核兵器が政治的兵器であることをよく知っていますから、自らの権力が崩壊する瀬戸際まで核を使用をしないでしょう。
使ってしまったら報復核攻撃を受けることを知らないほど、正恩はバカではありませんからね。
正恩が核兵器を使おうと決心する唯一の状況は、「殿、ご落城でございます。お腹を召しませ」と言われる時だけなのです。

海上封鎖は有効な手段で、今まで米国も使ったことがある正統派の外交圧力ですが、次はほんとうの戦争しかカードがのこされていないのです。
だから事実上の最後の外交カードで、これを切ってしまうと、本気で戦争をせにゃならなくなります。
ところがあいにく、今までの戦争好きな民主党系大統領と違って(対日戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争などは民主党系大統領が始めことをお忘れなく)、トランプは大の戦争嫌いなのです。
戦争ほど不経済で算盤に合わないものはない、やる時はアドレナリン出まくりだが、後片付けだけで大変じゃないか、そこまで考えてやれよな、と内心考えている人です。
ですからトランプは海上封鎖を寸止めして、返す刀で直接会談を呼びかけるという頂上作戦をとったのです。
北風をいきなり南風に向きを変えたのです。

さぞかし正恩はたまげただろうな。
一度こちらが場の雰囲気で呑んでしまえば勝ったも同然、そうトランプは長年のビジネスマンの経験から思ったはずです。

そしてもうひとつの見落としがちな要素が、中国です。
中国は、北朝鮮問題がこじれればこじれるほどイイと思っている国です。
「北朝鮮に唯一影響力を行使できる国」という虚構を高く売れますからね。
実は北朝鮮は北京のいうことなどまったく聞く気がないし、心の中では憎悪すらしています。
これは初代からの一貫したいわば家訓で、北朝鮮は中国が大嫌いです。
だから中国の核の傘には入らない、という意思表示として独自の核開発をしたのです。

米国からすれば、北朝鮮が核ミサイルの照準を北京に向けているのは、大いにけっこうな発想じゃないですか。
さしずめオバマなどの米国政治家なら、ここで核開発か非核化するか、イエスかノーかという2択で迫ってしまいますから、ノーと言われるに決まっているうえに、下手をすると困った北朝鮮は北京に泣きつくかもしれません。
実際、ハノイ会談が不調に終わった後に、正恩は北京にすがる臭い芝居をして見せました。

イエスかノーかの2択で迫れば、北朝鮮を中国の勢力圏に追い込む結果となります。
北朝鮮には、朝鮮半島を中国の支配圏におかない防壁であってもらわねば困るのです。
中国に対して「三不の誓い」をするようなヘタレの韓国にまったく期待できない以上、ここで北朝鮮に中国の南下をブロックしてもらわねば、朝鮮半島全域が中国の版図となってしまいます。

え、じゃあトランプは北朝鮮のほうを韓国より信頼しているのか、って?
はい、そのとおり。ムンなんていう裏表ある二枚舌より、はるかにストレートな正恩坊やのほうが御しやすいと思っていますよ、トランプは。
私は当時(半分冗談ですが)、米韓同盟は廃棄してしまって、北朝鮮と安全保障条約を結ぶという奇策があっていいんじゃないか思っていましたもん。

このように考えると、今、直ちに非核化を大前提にする必要はない、ということになりはしませんか。
要は、北朝鮮がイランやシリアなどの怪しげな国に、弾道ミサイルや化学兵器といった大量破壊兵器を拡散させねばいいのです。
その確約さえとれれば、核兵器を持っているかいないかわからない、あるいは完成直前のままフリーズしている状態で充分に満足すべき「解決」なのです。
で、トランプはご丁寧にも、再び核兵器開発を再開しないように、直接会談は第3回もあるからという含みを持たせて縛っておくことも忘れませんでした。

このように考えると、トランプの思考は逆転の発想から新局面を切り拓くだけではなく、わざとあいまいにしておくという寝業もできる政治家なのだとわかりますね。
こういう「解決しないという解決」技をケレン味たっぷりに展開するもんだから、オーソドックスな外交関係者からトランプは蛇蝎のように嫌われ、色物扱いされたのです。

しかし、現状をご覧下さい。トランプの第3回会談をやらんではないというマジックが効いていますから、北朝鮮の核開発は凍結状態です。
ここでキレて、ICBM発射実験だ核実験だ、大量破壊兵器の密輸だ、なんてやろうもんなら、三度目の直接会談が吹き飛ぶくらい子供でもわかります。
だから、フェークじみた巨大弾道ミサイルのパレードなんかをしてみせますが、国内向けプロパガンダにすぎません。
その実験はぜったいにできないはずですもんね。

ね、この状況のどこに不満なんでしょう。
ここまで核開発凍結が出来た大統領なんてひとりもいやしません。
それとも「海が干上がっても核を手放さない」と言っていた北朝鮮が、簡単にお宝を手放すと思ってましたか。
完全非核化か戦争かみたいなゼロイチ思考では、トランプ外交は理解できるわけがありません。
マティスは正統派同盟論者でしたし、ボルトンが切られたのも彼が「解決しないという解決」を理解できなかったからです。

というわけで、トランプという奇才が鬼才に進化しようとする2期目をみすみす盗まれるのは実にもったいない、と心底私は思うのです。

 

 

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コメント

HYさんって
毎度のことですけど、
なんか違和感なりを感じたら全体どころか記事すらマトモに読まずに重箱の隅に突撃して、取りあえず思い付いた文句を垂れるだけの淋しい人なんですね。。そんな生活は楽しいですか?
しばらくネット断ち生活でもすることをおすすめします。

 イランに米軍の無人機が二機までも撃ち落される事件ありましたが、それに対してボルトンが主導してトランプは武力制裁に乗り出す決定をし、米軍もすでに作戦行動に移っていました。
しかし、トランプは直前で止めてしまいました。これにボルトンは怒り心頭で、「やってられっか!」となったのですが、結果は中止して正解でした。

その後、UAEはじめ数国をイスラエルと国交を樹立させ、イスラエルを軸としたイラン包囲網を構築する方向に誘導できた事は高い評価をされるべきです。
イランの宗教原理主義に嫌気がさしている国々の真意を見抜き、かつ戦争が与える費用だけでない米国の負担を回避できた事は大きな功績でした。

バイデンはオバマレガシーを重んじてイラン核合意を復活させるようですが、何もかも台無しです。
バイデン政権はその布陣をみてもオバマ傀儡政権に堕することは間違いありません。バイデンにはオバマに逆らう力は残ってはいず、その意志もありません。

ちなみに、本来はバイデンやヒラリーはオバマとは違い、米国本来のリベラルの伝統を所持していたはずです。
国民皆保険にも本心では反対の立場であり、かつてのバイデンはオバマを度々「「ブラック・マックス(黒い共産主義者)」と呼んで憚りませんでした。

オバマ政権は北朝鮮の核開発を野放しにしただけでなく、習近平の窮地を救いさえしています。
安倍総理のレガシーである「自由で開かれたインド太平洋」は、さっそく「安全で繁栄したインド太平洋」に呼称変更され、菅総理も中共寄りのその姿勢に追随する姿勢を見せています。


 トランプさんのような芸当はなかなかできるものではありませんね。
ありんくりん さんがおっしゃることに同感です。私には到底考えることもできないような腹芸をトランプさんはやっておられるように思います。また他に、彼の考えるフラット税制なども非常に興味深くて、それへの期待もしております。彼は天才ですよ。色々の点でずば抜けているのですよ。

 しかし抱える問題点は多く、敵も多しで前途は厳しいですね。我らが英雄トランプ大統領、多くの困難を是非乗り越えてください。神様のご加護が多くありますよう祈ります。

 こんにちはブナガヤさんと常連のコメント投稿者の方々、HYです。この度は私如きのために記事を設けてくれたことに恐縮しております。とりあえず皆様がトランプ支持者であることはわかりました。

“非核化が達成しようとしまいと、そんなことは初めから私の視野の外なのです。”と言いながら“突破力”とは言いえて妙です。だって何も好い方向に進んでおりませんもの。開発を凍結しただなんて馬鹿正直に信じているのですか?

 北朝鮮が国を疲弊させてまで核兵器を開発したのは、他国に攻撃されないためと独立を保つためです。そしてもう一つ「超大国米国と対等に“対話”する」ためでした。いくらICBM作ったところで米国相手に核戦争なんて正恩氏どころか正日氏も考えていませんよ。「対等に対話する」それが最初から彼らの狙いでした。

 まるでトランプさんが正恩氏を追い込んで対話に引きずり込んだように見えますが、実際引きずり込まれたのは米国の方です。米国は誰よりも核兵器の恐ろしさを知っているから、核保有国相手に戦争なんてそもそもできないんですよ。結局、トランプさんがやったことは散々引っ掻き直した挙句、メンツを保ちながら対話の席に座っただけです。

 もしそこから一歩踏み出すなら米国にはもう、北朝鮮の核保有を認める以外の選択肢がありません。そして国交を正常化し核クラブの一員に受け入れ、核拡散防止と“長期的な”核廃絶に取り組むしかないんです。現実主義のトランプさんはそこへ進もうとして安倍さんとボルトンさんに止められました。

“北朝鮮が核ミサイルの照準を北京に向けているのは、大いにけっこうな発想”ですか。そりゃ米国にとってはそうでしょう。核大国にとって北のちっぽけな核なんて怖くないもの。ブナガヤさんも山形さんも“米国国民”ならその考えで結構です。

 しかし、核を持たない日本にとっては、悪夢以外の何物でもありません。開発が凍結されたから安心?一発だけでも恫喝には十分でしょう。核をチラつかせられながら、お金を延々とせびり取られる我が国の未来が目の前に浮かぶようです。

 トランプさんのキャラクターに見惚れて足元を見失ってはなりません。

 連投申し訳ありません。先日の記事「トランプの得意技はマッドマンセオリです」の内容が不正選挙に対するトランプさんの戦い方を考察したもので、その引き合いに対北朝鮮政策を挙げていたことは理解しております。しかしあたかも成功例のごとく表現していたことから、あのようなコメントを投稿してしまいました。すみませんでした。

 HY氏が言うような、トランプ氏が「国交を正常化し核クラブの一員に受け入れ」ようとし、それを「ボルトンと安倍さんが止めた」などというファクトなんぞありませんよ。
あるのは「終戦宣言」を出そうとし、それを「安倍さんとボルトンが止めた」です。
いうまでもなく、終戦宣言=「核クラブの一員として認められる事「」ではありませんね。肝心の主要素が欠けてます。

HY氏の認識形成はあらっぽすぎるだけでなく、うぬぼれて持論に引き付け過ぎているので、事実を正確に見る事が出来ていません。

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