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2020年12月29日 (火)

完全非核化論はゼロリスク論です

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HYとやら、これが最後です。
あくまでトランプという政治家の癖球をみるために触れたにすぎない北朝鮮交渉に、これ以上時間をとられたくはありません。
というわけで、あまり気が進みませんが、とくにきみへの反論ということではなく考えていきます。

はて、では北はなんのために核兵器で国力すり減らし、民を飢えさせてやってきたのでしょうか。
「大国と対等に」というのは半分正しいが、半分間違っています。
あんな世界最貧国が「大国と対等」になんて、いかなる意味でもなれっこありませんから。

あえてあるとすれば、陸続きの隣国・中国に飲み込まれないためです。
決して表だってはそうは言わないでしょうが、中国が主で、米国はむしろ従です。
北がなにより嫌うのは、中共の政治的介入です。

米国は口やかましく国際ルールを守れと言いますし、韓国の後ろ楯ではありますが、内政に口バシを突っ込んではきません。
しかし中国にはそれが可能です。ここが決定的な米中の違いです。
中国は、経済を握って生かさず殺さずの「支援」の代わりに、北国内で中国の手先を扶植し、彼ら中国派は党軍の最高指導部で実権を握ろうと画策してきました。

金王家が中共をいかに憎悪しているかは、歴代の金王朝が中国派との党内闘争に大きな力を割いていたかを知ればわかりますし、元々金日成が権力を掌握できたのは延安派を粛清できたからです。
また今でも中国をいかに恐れているのかは、正恩のやった中国派の頭目で叔父の張成沢を残虐な処刑で殺したことでもわかるでしょう。

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北が米中どちらを恐怖しているかは、一目瞭然です。
ここを分からないと、中国の力を借りて北を非核化するという外務省型俗論になってしまいます。

あくまでも金王家の権力確立の文脈で核が出てくるのであって、「大国と対等になりたい」なんて願望一般ではないのです。
つまり、むしろ核兵器は金王朝独裁の背骨であって、独裁体制そのものなのです。
だから彼らは北の独裁体制を守るために3代かけて核開発をし、他の大量破壊兵器と共に密輸することで資金源にもしてきたのです。

そしてその中で作られた北朝鮮特有のメンタリティは、核こそ力の根源であるという一種の核信仰でした。
彼らは核を手放すくらいなら、国が滅んでもいいとすら思っているのです。
この核に対する思いとでもいうことの重さが理解できないと、北の核を論じられません。
こここそがリビアのカダフィと北が決定的に違う点ですし、カダフィは核を奪われると、後にCIAが画策した「アラブの春」で抹殺されてしまいました。
正日や正恩はこのカダフィの顛末をよく知っていて、その二の舞はしないと決心しています。

結論を言えば、北は核を手放さないでしょう、仮に国が滅びても、です。
核は金王家の力の源泉であって、かつ統治の象徴なのですから、核を手放す時は金王家が滅ぶ時です。
これについては黒井文太郎氏などが同じことを書いています。

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ロシア軍が北朝鮮入りか…米中韓戦争なら三沢基地に核ミサイル飛来..

ただし、北の核は「使えない核」です。
他の核保有国もそうですが、核は等価報復されてしまえば自国も滅んでしまうし、北の権力の源泉である至宝を消費したらお終いだからです。
北の場合、在日米軍が駐留しその家族までが住む日本を核つきノドンで撃ってしまったら、10倍返しの報復核攻撃を受けるくらい三才の子供でもわかりますからね。

だから、このような北の核をわが国や国際社会への政治的脅迫に使わないようにMD (ミサイルディフェンス)を構築したり、敵基地攻撃能力といった受動的抑止力をもたねばならないのです。
具体的には問題が多くありますが(それについては書いてきました)、わが国は淡々とMDで自国民を守るだけのことです。

では、今持っている核をどうするのかですが、北はカダフィのように完全非核化で締め上げていって手放すほどやわではないということです。
ならば「使わせないようにする」、つまり事実上の無効化ができればいいと、トランプが踏んでどこが間違っているのか、逆に聞きたいくらいです。

HY氏が言っているのは、一種の核兵器版ゼロリスク論、言い換えれば「100点満点論」です。
北が核を手放すことは至難の極である以上、次善を考えねばなりません。
いや核兵器は残り続けるから危険だ、とHY氏のように言い続けてみてもなにひとつ解決しません。
ここで私がトランプ的と思う解決方法が、先に述べた仮に持っていても使えないようにすること、すなわち事実上の無効化です。

ここがわからないと、HY氏のように、どうやったら完全非核化ができるかその道筋を明らかにしないまま、完全非核できずに引っかき回しただけだとトランプを批判しているだけになってしまいます。

私は比較衡量でものごとを考えようとしているので、どこと較べて「進んだ」のか、それはグッドとバッドのどちらが大きいのか、と常にかんがえてしまいます。
世の中、完全にグッドはめったにないし、バッドだけでもない以上、どちらが大きいかで判断するわけです。
完全解決がむりなら次善を選択します。
この場合、かつての取っかかりひとつなくひたすら国連制裁一本槍だった当時からすれば、現状の凍結状態は飛躍的にグッドで、それは核が残っているかもしれないというバッドの側面よりはるかに大きいといえるのです。

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ところで私はボルトンの完全非核化論を支持していました。
それはトランプと組んでいたからで、彼がトランプのマッドマンセオリを象徴していたからです。
ボルトンはリビアでの非核化の担当者でしたから、ボルトンを据えたということはリビア方式をするぞ、お前はカダフィのように死にたいのかという強烈なメッセージでした。
これがトランプが交渉ごとにおいて最初に投げる、打者にぶつかりかねないクセ球で、彼がマッドマンだといわれる所以です。
いつ本気でぶつけてくるかわからないからコワイ。
だから、私はトランプがボルトンを解任したことは、いまでも残念に思っています。
なぜならトランプにとっても、得意のマッドマンセオリの危険球を使いにくくしてしまったからです。
トランプがもう少し辛抱強かったらとも思いますし、ボルトンが交渉の呼吸が判るタイプでなかったことが惜しまれます。

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ロシア軍が北朝鮮入りか…米中韓戦争なら三沢基地に核ミサイル飛来や北 ...

結局、トランプはボルトン路線を捨てて、今のグレーゾーン(凍結状態)で一呼吸置いて、あとはまた対処療法を施すしかないと見極めたのでしょうね。
それで今はよしとする、そういう見切りをトランプはしたのです。
この決断は、これ以上北の非核化に深入りすると、中国との宥和路線に傾斜しかねないからです。

ただし、ここで交渉は中断するとは言いません。第3回を匂わせることで正恩は核開発の凍結を継続せざるをえないからです。
北が第2回移行、韓国向けの短距離弾道弾の発射だけに限定しているのはその重しが効いているからです。
このようなことは口で言うわけがありませんが、その後の米朝の動向をみていればすぐにきがつくことです。

ただトランプにやり残したことは沢山あるのは事実で、なんといっても北の核の検証を認めさせることができなかったことは課題として残りました。
検証さえできれば、北のベールに包まれた核の実態が判るからです。
もし第3回があるなら、検証する権限をめぐってになるかもしれません。
あくまでもあればで、ないかもしれません。
バイデンなら、かつての海上封鎖の段階まで戻って、こと次第では空爆くらいするかもしれませんが、そんなことをすると中国を喜ばせるだけなんですがね。

米国が引きずり込まれた、いや引きずり込んだんだなんて、しょせん主観の問題にすぎません。
米国みればこう見える、北からみれば違うというだけのこと。
直接会談は北にとって年来の夢だったなんて常識ですし、こういう独裁国家には頂上作戦しかないのです。
そもそもトランプが決断せねば、直接会談自体がなかったし、歴代の大統領、たとえば「核なき世界論」のオバマになんぞそれができたなんてまるっきり思いません。
そもそも民主党のクリントン当時、核施設を爆撃をしていたら、とっくに終わっていたことなのです。
トランプは民主党の屁たれの尻ぬぐいしているだけともいえるのです。

今後ですが、ゆくゆくは長距離核の廃棄、中距離核(ノドンなど)の削減といった核軍縮を目指すべきでしょうが、核拡散防止条約の枠組みに入れるか入れないかは、米国が単独で考えることではありませんし、検証作業をして実態を把握せねばなにも始まりません。
しかしそれを今議論すべき時期ではないということ、今は「凍結」を維持するだけで充分です。

北に外交的力を集中して、ましてや戦争なんかしてしまったら、喜ぶのは中国だけだからです。
北国内での戦闘行為は、中国の容認を前提とするしかないからです。
下手すりゃ、中国軍が平和維持軍名義の看板をかけて、北に陸上部隊を入れられてしまいますからね。

そして中国へこんな借りを作ると、それは対中制裁の緩和などの融和策とワンセットですから、使えるか使えないかわからないような北の核と引き換えにするのは馬鹿げています。
最大の脅威はあくまでも中国なのですから、そこのところを間違えないようにしましょう。

HYさん、2回にわたって記事で丁寧に説明したつもりです。
これで終わりとします。

 

■年末年始の更新について
真面目というか、貧乏性なので、31日までは平常どおりの更新をいたます。
元旦はご挨拶だけとして、2、3日と正月休みとさせていただきます。
更新再開は、4日(月)からです。
おお、5日は海の向こうでは上院議員決戦日、そして6日は運命の日ですぞ。
休んでなんかいられません。

 

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コメント

 HY氏の論法に倣えば、ボルトンが提唱したようにリスクを侵した「斬首作戦」しか手段がない事になる。
ところがHY氏は北朝鮮が核を持つ理由は「他国に攻撃されないためと独立を保つため」とするのですね。こんな矛盾を書いているHY氏本人が気づけないなら、いくら親切に説明しても無駄だと思います。

つまり、HY氏こそが「散々引っ掻き直した挙句、メンツを保ちながら対話の席に座っただけ」なのですよ。

売り家と唐様で書く三代目、みたいなことには絶対ならない、中共もアメリカもロシアも使いこなす孤高の存在に俺はなる、が北の坊ちゃんでしょうかね。
とはいえ、誰某はこう考えているはず、という各々の前提に立って考察するこの手の話は、議論が噛み合わなくても当たり前ですし、人の考えとは不変ではない、豹変もあり得るもの。
ゆえに軍事的脅威においては、相手の意図ではなく能力と必然性に対して備えよ、となるわけで、我が国も合衆国次期大統領が誰かに関わらず、核を保有する非同盟国のミサイルから伏線たるサイレント・インベージョンまで、備えておくべきなのは当然として、トランプ大統領が北朝鮮の能力と必然性を鑑みる延長線で、「完全非核化」よりも「管理」の方向を選択するのは、これも(動機はどうあれ)自然なことだと考えます。
その流れで「核探知特殊偵察機」が嘉手納に来ていたり、合衆国2021年度国防予算にある対北朝鮮ICBM対応強化予算の中でハワイへのレーダー配備計画が復活したという話があったり、ということになっているのじゃないでしょうか。
それは、合衆国にミサイルが届かなければよい、ということでもあり、また、バイデン氏の場合の選択が「完全非核化」か「管理」か、それとも、せっかくトランプ大統領が葬った「戦略的忍耐byオバマ前大統領」に戻るのか、予想をひとつに絞るのも詮無いことであり。
北朝鮮の核保有が話のスタート地点であるのが今日只今の現実、ということですね。

 この度はお騒がせして申し訳ありませんでした。もうこの話題には触れません。

 私はゼロリスク論を唱えるつもりはありません。ただ今の日本では僅かなリスクさえ受け入れる土壌がないという事を申し上げたかっただけです。米国にいつまでも頼ってはいられないことはブナガヤさんもよくわかっていると思います。

 山路さん、私は先のコメントで一言も「斬首作戦」なんて訴えてませんよ?もはやアメリカは北朝鮮の核保有を認めざるを得ない状況まで来てしまったと書いたんです。中国やインド、パキスタンと同じように。

 とてもレベルの高い社会系ブログをいつもありがとうございます。2020年もお疲れさまでした。

 HY氏の論法で考える人は他にもたくさんいるでしょう。しかし現実は不如意の世界であり思う通りにはナカナカなりませんよね。世界情勢は難しいものです。単純ではありません。

 金正恩は生きているのか死んでいるのか、はたまた無意識状態にあるのかも私たちには分りません。。今後の北朝鮮どうなるのかな?
妹の金ヨジョンがもしも実権を握ることができておれば、アメリカと組むこともあるのでしょうかね。色々と空想しております。

 アメリカの大統領選も分かりにくいものがありますが、アメリカの国情の乱れがそんなにも酷いものとは知りませんでした。選挙不正が行われ、アンティーファやBLMの暴動などが堂々と行われております。トランプ大統領が勝利し、積年のアメリカ社会の暗い面を払拭してもらいたいものです。

 このアメリカの混乱(左翼化)の淵源はウイルソン大統領の頃まで遡りDSという大きな勢力がアメリカ政治を動かしてきたという説がありますね。馬淵睦夫氏の論ですが、これはロシア革命時にもそのDSの影響があったと言っております。そして、現在のアメリカ大統領選にも大きく影響しているというのです。色々と複雑な要素があって世界は動いているのかもしれませんね。

 

 

 

 HYさんさぁ~

一体だれが、「HYさんが先のコメントで「斬首作戦」を訴えた」とか言ってんの? 話は正確にお願いしたいですね。
米国が北朝鮮の核開発を認める事などないのだから、HYさんの論法では選択肢は武力攻撃しかなくなりますよ、と言ってる。
(ちなみに、武力攻撃をしないで締め上げるのがトランプの良いよころだ。)

つまんない国語力の問題をくどくど言うようだが、「非核化を実現していないからトランプはダメだ」というのがHYさんの論法だ。
それなら武力行使以外に何があるの?って事。
「北朝鮮の核保有を認める事になる」と考えるなら、ファクトを含め、そう考えた理由をとくと説明したらいいだろうが。


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