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2021年1月

2021年1月31日 (日)

日曜写真館 ただひとり夕陽に向かって歩いてる

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冬の時 息をはいたら きしゃポッポー   櫛間聖矢(小4)

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北風に 負けずに今日も 「いってきます!」  鷲尾英悟(小5)

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来る友の 賀状とどかず 日がくれる  古谷実子(小5)

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しもばしら 土がかなでる 冬の音   井上祐実(小6)

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ありがとう つたえたいのに 言葉出ず 小林 祐也(小6)

064_20210131033801

雪が舞う ぼくらは笑う フフフフフ   森本哲平(小6)


2021年1月30日 (土)

建国の理念を捨てたバイデン

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いまバイデン政権がやろうとしているのは、米国版文革です。
文革とは、かつて毛沢東が中国の文化遺産を反動的遺物にすぎないとして、一切を破壊させた運動のことです。
毛沢東に直接鼓舞された少年少女は紅衛兵を名乗り、寺院を破壊し、研究者を打ち据え、本を焼き払いました。
幼稚な彼らは赤信号がとまれはオカシイ、赤色は革命の色、故に赤信号は進めにしろと交通当局に強要したら自動車事故が続出したとか(笑)。
バカもこれほどまでになると殿堂入りです。

彼ら紅衛兵は、今のポリコレとそっくりで、気に食わない表現はすべて実力で変えさせる事ができると信じていました。
なぜなら彼らは「正義」だからで、自分らに反対するのは「反動分子」、すなわち進歩の敵で「反革命」だと見なしたからです。

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今の米国のBLMは、「黒人差別反対を叫ぶ我々に反対する者たちは反動的で、過去の黒人奴隷所有者は例外なくすべて糾弾されるべきだ」と言っていますから、「革命家」たちの考える正義は、東西でよく似ています。
彼らにとって自国の歴史とは、当時を生きた人たちとは無関係に、今の価値観でバッサリと唐竹割りにできるもののようです。
運動家達がそうかんがえるのは勝手ですが、無関係な人たちにその特有の価値観を強制しないで頂きたいものですし、ましてやそれを政府が音頭取りするなどもってのほかです。

さて、ことの発端は例の忌まわしい警官による黒人殺害事件でした。
この事件によってBLM運動が爆発し、それはやがてアンティファによる暴動と、そして歴史的記念碑の破壊へとつながっていくことになります。

当初歴史的記念碑の破壊運動は、南軍の将軍像を破壊することから始まりました。
なぜって?敗軍の将ならバッシングしやすいからにすぎません。
これは発端でしかなく、BLMはエスカレートしていきます。

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AFP

「【6月5日 AFP】米バージニア州のラルフ・ノーサム知事は4日、州都リッチモンドにある南北戦争時の南軍司令官、ロバート・E・リー将軍の像を「できるだけ速やかに」撤去するよう指示したことを明らかにした。
リー将軍が率いた南部連合(Confederate States of America)は奴隷制度を擁護していたことから、将軍像の周辺のモニュメントアベニューでは連日、黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に拘束された際に死亡した事件に抗議するデモが続き、像への落書きも相次いでいる」AFP2020年6月5日)

このバージニア州知事は民主党員で、こののち猖獗をふるったBLMとその突撃隊のアンティファ暴動を幇助し続けたのもまたことごとく民主党系知事ばかりでした。
彼らの特色は、BLMの要求どおり、「反動的な銅像」を撤去し、商店のが略奪されても州兵も出さず、むしろ警官にはてぬるい規制を命令し、果てはシアトル市長のようにアンティファが「解放区」を作れば「愛の夏が始まった」と歓喜の声を上げたほどです。こうなるともうアンティファの共犯者です。
ちなみにこのシアトル「解放区」の中にあった警察署の署長は黒人女性でしたが、撤収命令に強く抗議をしたそうです。
 ※関連記事
トランプ陽性判定とシアトル自治区の「愛の夏」の結末: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

しかしこのコンミューンはわずか一カ月で内部崩壊を起こします。
お定まりの略奪・暴行、そして黒人少年が殺害される事件まで起きたからです。

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しかし、彼らの共犯者であるシアトル市長と州知事(これも民主党)は、なにひとつ責任を問われることがありませんでした。

そして去年の夏8月、ニューヨークタイムスが「1619プロジェクト」と称する特集を組み、12本のシリーズ記事として掲載しました。
これはリベラル左翼による米国建国史に対する修正要求でした。
ここに出てくる1619年とは、
黒人奴隷が独立前のバージニア植民地に初めて連れて来られた年で、そこを米国建国の年としようとする考えでした。
そしてNYTは、以後の
米国史は、とりもなおさず黒人奴隷の迫害の悲劇の歴史であって、ここを軸に展開してきたとします。
そして実は1776年の米国の独立は汚辱にまみれたもので、その本当の動機は奴隷所有者である建国の父たちが奴隷制維持を企んだからだ、と主張します。
つまり建国の父たちは奴隷所有者であって、腹黒い差別主義者、悪人だというわけです。
ちなみにこの1619プロジェクトは、掲載中から多くの事実誤認を歴史学者に指摘されており、これにピューリツァ賞を与えてしまった際には、米国科学アカデミーは、そのような歴史を分析するのはメディアの仕事ではないと抗議しています。

そしてこの左翼メディアの煽動に乗るようにして、BLMは次の標的を建国の父たち、独立宣言署名者らに移していきます。

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像破壊訴追命じる大統領令 トランプ氏、奴隷制絡み

「首都ワシントンでは22日夜、数十人の暴徒がホワイトハウス前の公園に建てられている第7代ジャクソン大統領の銅像をロープや鎖で引っ張って倒そうとしたが、駆け付けた警官隊に撃退された。トランプ氏は暴徒らの行為を「闇討ちだ」と非難した。 デモに参加している一部の黒人運動家や極左系の活動家は、ジャクソンや初代ワシントン大統領、第3代ジェファソン大統領について「生前に奴隷を所有していた」との理由で銅像や記念碑を破壊している。
 銅像などの破壊行為は当初、奴隷制を支持した南部連合政府に連なる政治家や軍人に集中していたが、最近はワシントンといった「建国の父」らを含め、標的が広範囲に拡大している。
 有識者からは「現在の尺度で過去を一面的に断罪し、米国が積み重ねてきた歴史を否定する行為」として懸念の声も出ている」(産経2020年6月24日)

そして当然の流れとしてお次に襲撃されたのは、「原住民虐殺のきっかけを作った」コロンブス、そして「奴隷制度を守るために独立した」初代大統領ワシントンです。
トランプは厳しくこれを批判し、像の破壊をやめるように訴えたのですが、反トランプの濁流にかき消されていきます。
そしてとうとうやり玉に上がったのは、なんとリンカーンでした。
リンカーン像が黒人を見下ろしているのがけしからんというのですから、理屈と膏薬はどこにでも着くとはよく言ったもんです。

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AP

お後はもうBLMのやりたい放題のポリコレ祭りが全米を覆います。
あらゆる企業や文化が、ポリコレ文革の嵐にさらされることになります。
球団名にインディアンズを入れたら改名を迫られ、『アンクルトムの小屋』などは図書館から追放、『風と共に去りぬ』なんか二度と公開不可能だそうです。
もう笑うっきゃない幼児ぶりです。
書かれた当時の社会状況と無縁ならなんでも言えます。自分が神だとでも思っているのでしょうか。
かつて文革で踊り狂って、社会を破壊し、文化を棄損し、やがて自分の人生もドブに捨ててしまった紅衛兵の少年少女に似すぎていてコワイくらいです。

このような愚かしい歴史改竄に対して多くの政治家は当たらぬ神に祟り無しを決め込みましたが、立ち上がった数少ない政治家のひとりがトランプでした。
彼はただ口で非難するだけではなく、「1776委員会」の結成を大統領令で命じます。

大統領令はこう述べることから書き出しています

憲法とアメリカ合衆国の法律によって大統領としての私に与えられた権限によ、そしてこれから成長してゆく世代rising generation1776年にアメリカ合衆国建設の歴史と原則をよりよく理解、これを通じてより完全な連邦を作り上げるようにするため、ここに次のように命令る」

そして続けてこの「1776委員会」を作った目的は、独立が王に支配されない共和国を作るためであり、国民の自由と平等の権利を作るためのものだったと謳い上げます。

「第1条目的
自由と平等の権利を原則にして形成された共和国は、憲法制定、内戦、奴隷制廃止、一連の国内危機と世界紛争を経て歴史上稀な国家となったが、近年、このような歴史に反し、貧弱な学問に基づ一連の論争がが建国建国者中傷している。
米国を救い難い組織的な人種差別国と見做すことでは、偉大な英雄の運動奴隷制と公民権に果たした役割を説明できない。
現在、
多くの学生自国を憎み、建国した男女英雄ではなく悪役であると信じるように学校で教えられこの歪んだ視点を修正しないと、我々の国と文化を結びつける絆が失われる可能性がある」

そして以下第5章までこの目的を達成するための具体的諸策を打ち出しています。
たとえば第2条には、教育長官は120日以内に教育に建国の精神を取り入れたカリキュラム作りを命じています。

「第2条
大統領諮問1776委員会では、120日以内に教育長官は1776委員会を設立し、次の世代がその歴史と原則をよりよく理解できるようにする」

トランプは、この米国の「自由と平等」の精神に基づいて奴隷制度が解体されたのだとしています。
つまり独立と、後の奴隷解放は敵対する概念ではなく、むしろ自由と平等を時代と共に進化させ結果得られたのだとします。

ですから米国社会の理念とは、「自由」とはまず勤労の自由であり、失業の苦痛から逃れることから始まります。
トランプが富の再配分ではなく、失業対策に打ち込んだのはそのためです。
そして皮膚の色によって差別されることのない自由です。
トランプは平和的デモは大いにやるべきだと言っていますが、暴動略奪はゆるさないと、明確に区別しています。
それを混同して、目的が正しければ略奪放火なんでもオーケーとしたのが民主党でした。

彼はまっとうな社会とは、契約によって雇用主と自由に契約し、契約に基づいて平等に労働し、それによって家族を養い、財産を作ることがでるの社会なのだと説きます。
これが米国の建国理念である自由と平等主義で、自由主義によって導かれた独立革命は、王による独裁に抵抗し、国民が自由に働くことができ、平等に暮らすことがでる社会を造り出したのだと考えます。
自由と平等は対立概念ではなく、自由を追及する流れの中で奴隷解放があったのだと位置づけたわけです。

バイデンは就任早々この「1776委員会」をつぶす大統領令に署名しました。
想像を巡らせるまでもなく、この人物は去年BLM・アンティファの暴動を行政官として抑制するどころか、ヤンヤの喝采を上げた知事・市長らと同じ体質を持っているようです。
去年はまだ連邦政府がブレーキをかけましたが、いまや大頭領閣下おん自らがBLMとポリコレの煽動の太鼓を叩かれるようです。
大統領が建国の精神を踏みにじるとは、ひどい時代になったもの、つくづく戦争と選挙には負けたくないものです。

 

※改題しました。

2021年1月29日 (金)

南部諸州をテキジットへと押しやるバイデン

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日米首脳が電話会談をしたそうで、日経がジョー、ヨシの関係となったと妙にはしゃいでおりますが、そんなことはどーでもええのです。
わが国がコロナで協力するのはあたりまえ、地球温暖化でも今は断る関係にない以上、懸案はひとつしか
残りません。
「自由で開かれたインド・太平洋」(FOIP)をバイデンが認めるかどうか、その言質をとることです。
この一字でも欠けたら、ザ・クアッドではなくなります。
ザ・クアッドのいちばんのキモはいうまでもなく「自由」という価値観の共有にあります。
ここが欠落するとただの「開かれたインド・太平洋」となってしまって、これじゃRCEPみたいな経済連携協定とどこが違うのということになります。
これは中国を念頭に置いた安全保障同盟なのですから、「自由」、そしてそれが意味する法の下の秩序を落としたら、無意味です。

「両首脳は日米同盟の一層の強化や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協調で合意した。日米にオーストラリア、インドを加えた4カ国のさらなる協力のほか、北朝鮮による日本人拉致問題の解決や北朝鮮の非核化のための連携も申し合わせた。互いに「ヨシ」「ジョー」とファーストネームで呼び合うとも確かめた」(日経1月28日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE27EJT0X20C21A1000000/

就任式前のバイデンはここをあいまいにしてモゴモゴ言っていましたが、対外政策は当分はいじる気がないようです。
というか、ジジにはそこまで頭がまわらないんでしょうね。

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彼は内政で、出しも出したり歴代第1位の30もの大統領令に署名してしまったので、そちらでアップアップです。
常識的には大統領令なんか出してもトランプが4ツ、あとの大統領はせいぜいが平均2ツていどですから10倍以上。
この大統領令の大部分は、内政ですから、彼の関心がどこにいっているかわかるでしょう。

おそらく彼の頭の中では、一位トランプ内政の全否定、二位地球温暖化、三位ヨーロッパ、あとは番外で中東、アジアってところじゃないのかな。
政権初期に日本やオージーさんと波風立てたくないしね、ていどのことで、トランプのように米国が矢面に敢然と乗り出して中国の進出を抑えようなんて気概はみじんもありゃしません。

トランプが、これだけは壊さないでくれと最後の最後まで言い残していった国境の壁政策は早くも全面否定です。

[ワシントン 20日 ロイター] - バイデン米大統領は就任初日の20日、トランプ前大統領の強硬な移民政策の転換に向け、6つの大統領令に署名した。イスラム圏やアフリカなど13カ国からの入国制限の即時撤廃などが含まれた。
バイデン氏はまた、米国に居住する多数の不法移民に市民権獲得への道を開く法案を議会に送付した。
ホワイトハウスで開かれた式典で署名した大統領令には、13カ国からの入国制限撤廃のほか、メキシコ国境沿いの壁建設の停止、選挙区再編時に不法移民を人口に数えないようにするトランプ氏の大統領令の撤回が含まれた。
バイデン氏はまた、国土安全保障省と司法長官に対し、幼少期に親と米国に不法入国した若者「ドリーマー」の強制送還を猶予する「DACA」プログラムの有効性を確保するよう指示する覚書に署名。米国内に居住している不法移民の取り締まり強化を求めたトランプ氏の大統領令も撤回した。
バイデン氏が議員らと共有したメモによると、29日に追加の措置を講じ、米国の難民保護を復活させ、難民審査手続きを強化し、トランプ氏の国境政策によって引き離された家族を再び一緒にするための対策本部を立ち上げる。ロイターはこのメモを入手した。
一方、バイデン政権の当局者が就任前に配布した資料によると、議会に送付した法案は、米国に居住する推定1100万人の不法移民の多数が8年かけて市民権を取得する道筋が示されている。
1月1日時点で米国に居住し、一定の基準を満たしている移民は5年間の滞在資格を与えられ、その後に米国永住権(グリーンカード)が付与される。追加で3年経過すれば市民権取得を申請できるようになるという内容」(ロイター1月20日)

バイデンは、メキシコ国境からの不法移民は強制送還しない、一定期間いる不法移民には国籍を与えるという非常識な政策に舵をきったらしく、当該州のテキサス州から激烈な逆ねじを食らわされました。
当然です。不法移民の7割は犯罪者というデータがあるくらいなのに強制送還しないどころか、あるていど居たら国籍やるてんですから、あんた頭大丈夫か。
とうぜんテキサス州は即刻連邦最高裁に憲法違反で提訴し、今回はさすがの連邦最高裁も即刻無効判決を出しました。

不法移民の現状はこうです。

「合法移民の増加に比例するように、非合法移民も増えた。2016年のピュー・リサーチ・センターの推計では、アメリカ国内には現在、非合法移民が約1070万人いるとも言われている。総人口を3億2000万人とすると人口の3.3%が非合法移民となる。非合法移民の5割以上は、メキシコに隣接するカリフォルニア州(約5.6%)やテキサス州(約5.7%)など6州に集中している 。
家族単位で長い間、不当に滞在するケースも多い。アメリカは出生地主義であるため、一家の中で親は非合法移民でも、子どもがアメリカで生まれれば、その子どもはアメリカ国籍となる。それだけ、法的にも人道的にも一家を切り離すのが難しい」(前島和弘上智大学総合グローバル学部教授)

ただし前島氏の使った1100万人という数字は少なめに見た数字で、最新の研究ではその倍以上と見られています。

「イェール大学とMITの研究チーム は1990~2016年の人口データを基に人口統計モデルを用いて、米国に在住している不法移民は2,210万人と推定した」(2018年 9月18日 グローバルリスクコミュニケーション)


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なんと不法移民が全人口の3.3%、1000万を超え、彼らは国籍もなく統計上は「いない人」です。
トランプはその実態調査に乗り出しましたが反対にあって、正確な数は不明です。
メキシコとの壁と言うので勘違いされていますが、不法移民にメキシコ人 だけではなく、グアテマラ、ホンジェラスなどからメキシコ国境を超えて侵入してきます。

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彼らは何度逮捕されて送還されても再び侵入し、最底辺の臨時労働者として働いています。
一部の産業は不法移民なくしては回らない部門もあるほどです。

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オバマは、今バイデンが模倣している不法移民政策の原型を作った人物でした。

「不法移民は一時的に法的移民のステータス(temporary protected status: TPS)を取得の後、長期滞在が可能となり、アメリカ国民が納めた税金で、社会保証も受けられ、アメリカ国民で同じ権利を持つことになる。
2つの異なる移民政策であるが、アメリカに渡ろうとする不法移民に示すメーセージは同じである。それは、不法移民は全て「永住権の資格を取得できる」ことである」(グローバルリスクコミュニケーション前掲)

いくら不法入国しようと真正さえすれば合法的移民の資格を得られ、米国民と同等の社会保証を受ける権利をもて、永住権の資格も持てるというのですから、中米からの流入が止まるはずがありません。
今回のバイデンの移民法はこのようなものです。

バイデン政権の当局者が就任前に配布した資料によると、議会に送付した法案は、米国に居住する推定1100万人の不法移民の多数が8年かけて市民権を取得する道筋が示されている。
1月1日時点で米国に居住し、一定の基準を満たしている移民は5年間の滞在資格を与えられ、その後に米国永住権(グリーンカード)が付与される。追加で3年経過すれば市民権取得を申請できるようになるという内容。
自然災害および内戦などから逃れてきた特定国の移民向けの「一時保護資格(TPS)」やDACAの対象者、一部の農場労働者に対しては合法的な資格を得るまでの期間をより短くする」(ロイター1月22日)

一方依存度が高い産業部門以外の米国人は、このような不法移民の増加を憂慮しています。

「世論調査によれば、米国民の半数以上はトランプの強硬策を好意的に受け止めているようだ。7月12~14日に約2000人を対象に行われた調査では、強制退去に「強く」または「ある程度」賛成する人が51%に達する一方、反対は35%にとどまった。共和党支持者に限れば65%が強制退去に「強く」賛成し、「ある程度」賛成する人も含めると賛成が85%を占めている」(2019年7月22日 ニューズウィーク)

すでに市民権を持つヒスパニック層すら、安い賃金で働く不法移民の流入の圧力を受け続けており、今までのような民主党支持基盤ではなくなりかかかっているといいます。

このような状況を見ると、バイデンのオバマ路線への回帰は、いっそうテキサス州の分離独立(Texit・テキジット)を加速し、南部諸州を巻き込んでいくことになるでしょう。

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テキジットの原因はあのテキサスが意地を見せた連邦最高裁への意見訴訟が発端でした。

「この訴訟は、「ジョージア、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの4州で大統領選挙が不正に行われた疑いがあり、投票ではなく州議会が大統領選挙人を選出すべきである」としてテキサス州が起こしたもので、フロリダ、テネシーなど17州と106人の連邦下院議員が原告として名を連ねた。これに対し、連邦最高裁判所は「テキサス州は提起する法的権利を有することを証明できていない」と門前払いの形で提訴を却下したことから、ウエスト氏は「この判決は『州が連邦憲法に違反してもかまわない』という判例を確立したことになる。この事態を重く受けとめ、我々は連邦憲法を遵守する連合国家を形成すべきなのかもしれない」と訴えた」(藤和彦 経済産業研究所上席研究員)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3d07e8f8c55610fcc99c15ba04ddf15b6e4ba282

テキサス州知事は、憲法をあくまでも守りぬくと言明していますから、今後このままバイデンが「左翼リベラルのためだけの内政」を強行し続ける限り、南部諸州の動きには目を離せなくなりそうです。
テキサスの共和党員は「共産主義化した連邦政府にいる意味はない」とまで述べています。

ところでフランス革命の著作で有名な佐藤賢一氏に、『アメリカ第二次南北戦争』という小説があります。
この小説は、まだテキジットなどという言葉すらなかった16年も前に書かれたものですが、ぞっとするほど今の状況を予見しています。

佐藤氏はさすがにフランス革命を知り尽くした作家らしい目で、第2次南北戦争勃発までの筋書きを記述しています。
そのプロセスはこうです。
2013年、テキサス州ダラスを訪問中の女性大統領が暗殺され、これにより自動的に大統領となった黒人副大統領は、銃規制強化を強権的に実施する。
これに猛反発した南部諸州が合衆国を離脱し、認めない北部の連邦政府と第2次南北戦争が引き起こされ、南部諸州は独立する。

現時点で、佐藤氏がテキサスなどの南部諸州が独立に踏み切るだろうと見た条件の9割が揃ってしまっています。
盗まれた大統領選。門前払いされた連邦最高裁へのテキサス州の提訴。
国民の半分が選んだトランプへ執拗に繰り返される民主党の弾劾訴追。
バイデン政権の著しい左傾化政策の数々。
左翼の黒人マイノリティ、しかも女性だという理由だけで選ばれた副大統領のハリス。
こんな状況で健康不安を抱えるバイデンが倒れて執務執行不可能となれば、国民が選んだわけではないカマラが大統領となっしまうというわけです。

ま、こんな状況の中で、「ジョーは自由で開かれたインド・太平洋」って言ってくれたと感涙せんばかりの認識派の皆さんには憐憫の情すらわきます。
今はジジの脳みそがそこまで回らないだけのこと。
トランプが言う「左翼のあやつり人形」の主筋であるオバマは有名な口先番長でしたから、いつ気が変わってもいいように備えておきましょう。
大統領の交代による本質的変化は、まず内政において現れ、やがて外交政策にも影響を及ぼし、そして世界が気がつくころには異質の国へとなっていきます。
オバマがその8年間で、米国を所得格差と人種対立のるつぼに変えてしまい、南シナ海を文字通り中国の海にしてしまったように、です。

バイデンは建国の精神を捨てる気のようです。
これは元々バラバラな米国人の紐帯を断ち切ってしまうということを意味します。
そのひとつの現れとしてトランプが作った「1776委員会」を廃止したことが挙げられます。

トランプは後世いろいろな評価をもらうことになるでしょうが、私は建国の精神の復活を掲げた正統派の大統領であったと考えています。
ただし、トランプに与えられた4年間は、急激に左翼全体主義に全身を冒されてしまっているあの国を変えるには短すぎました。
彼は多方面で、衰退して内部崩壊しようとするアメリカを変えようとしましたが、いかんせん短すぎました。
しかも初めの2年間は、共和党主流の執拗な妨害と、オバマが仕掛けたロシア疑惑との戦いに費やされたのですから、気の毒としかいいようがありません。

そうでありながらも彼が渾身の力で作った理念が「1776委員会」であったことは、我が国ではほとんど知られていません。
長くなりましたので、これについてはあすに回します。

2021年1月28日 (木)

オバマ時代への逆行を進めるバイデン政権

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バイデンがお約束の大統領令に署名し、トランプ路線の破壊に着手しました。
対外政策は外国との関係がありますから激変させることは困難ですが、国内政策は民主党左派のいうなりのようです。
バイデンがしようとしているのは、オバマ時代への逆行です。

「[ワシントン 20日 ロイター] - 20日に米大統領に就任するバイデン氏は、就任直後に15の大統領令などに署名する方針。環境問題や新型コロナウイルス対策などトランプ政権の政策を転換する。
大統領報道官に就任するサキ氏によると、バイデン氏は20日午後に、パンデミック、経済、地球温暖化、人種問題といった「危機」に対応する大統領令などに署名する。連邦庁舎内でのマスク着用の義務化を指示し、コロナ対応でホワイトハウス内の新たな連携体制を確立する方針。
地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰する手続きを開始するとともに、「キーストーンXLパイプライン」の建設認可取り消しを含め、環境対策を打ち出す。
移民問題では、国境の壁建設やイスラム教国からの移民受け入れ禁止などのトランプ政権の政策を転換する。
サキ氏は「今後数日から数週間にかけ、国民への公約にしたがって様々な課題に対応する措置が大統領から発表される」と述べた」(ロイター1月20日)
https://jp.reuters.com/article/usa-biden-executiveactions-idJPKBN29P1AF

パリ協定やWHOへの復帰、メキシコとの国境の壁やカナダからの石油パイプラインの建設中止など、外国と関わるものもありますが多くは国内政策です。
バイデンの大統領令はおおむね3つにわけられます。

①環境政策優先
②移民拡大
③トランプの伝統尊重政策の廃棄

どれもこれもトランプが積み上げてきた国内政策の総否定です。
①の環境は、パリ協定への復帰、カナダからの石油パイプラインの建設中止、再生可能エネルギーの拡大などです。
②の移民政策は、トランプの遺産であったメキシコ国境との壁建設を中止し、移民の受け入れを拡大しようとするものです。
③の伝統政策の廃棄は、1776委員会の廃棄です。これについては別記事で詳述します。

この三つの国内政策をみると、民主党型リベラルの思考様式がよくわかります。
過激な環境保護政策をとって、そのしりぬぐいを社会保障という富の再配分でするやり方です。
彼らリベラルはこれを万能の特効薬と考えているようで、形を変えてさまざまな分野でこの方法を使ってきました。
国内産業を多くの環境規制を作って衰退に追い込み、そこで出た多くの失業者にはなんらかの失業補償でケアしようとします。

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フォーブス

たとえばその典型例は炭鉱です。炭鉱はまさに衰退する国内産業のシンボルとでも言うべき存在でした。

「企業の被雇用者が1億2900万人を超える米国で、炭鉱労働者はわずか5万人あまりしかいない。労働者全体の0.04%だ。トランプ大統領の就任後、炭鉱労働者は数千人単位で微増したが、最新の雇用統計によれば、現在の労働者数は3年前を下回っている。この間、雇用総数は640万人以上も増加した。
季節調整後の炭鉱労働者数は以下の通り
・2016年11月:50400人
・2017年1月:50900人
・2020年2月:50600人
季節調整前の炭鉱労働者数は以下の通り
・2016年11月:50700人
・2017年1月:51000人
・2020年2月:50100人
(フォーブス)

炭鉱産業が衰退した最大の原因は、オバマ時代の多くの規制強化と、これに追い打ちをかけたのがシェールガスの登場でした。
民主党は露骨に化石エネルギー源を敵視する政策を取り、事実上操業が不可能となるまで追い込みました
もちろんそこで働く数万の人々は失業者となったのですが、その手当ては例によって例の如しで富の再分配でケアするというわけです。

一方トランプは炭鉱産業を衰退し続ける国内産業のシンボルと考えたようです。
数は5万人にすぎなくとも、いままで人一倍苦労してつらい重労働に耐えて、米国をささえてきた労働者を社会保障のエサをくれてやることがで事足りたと考えてよいのか、産業を復活させねば本質的解決にならないのではないか、とトランプはかんがえました。

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フォーブス

白人にせよ、黒人にせよ、国民が望んでいるのはまともに働ける環境、働く機会の均等、所得格差の少ない社会であって、なにかを社会から恵んでもらって生き延びることではないはずです。
働かないで暮らせる社会、社会保障を伸ばし伸ばしして生きて一日ヒマを持て余す生き方、これがほんとうに望ましい社会なのか、違うだろう、誇りを取り戻せ、とこの「ワーカーズクラス・ミリオネーラ」は訴えたのです。
国民があたりまえに額に汗して働ける社会を取り戻す、これが建国の理念ではなかったのか、そうトランプは言いたかったようです。
彼の「アメリカファースト」という呼びかけは、左翼メディアによって人種差別的に国をブロックすることだ、米国だけよければオーケーのミーイズムだと書き立てられましたが、本質的には建国の精神に戻ろうとするものなのです。

たぶんトランプと民主党との本質的違いはここにあります。
勤労者の貧富の格差拡大は産業の空洞化によって生まれており、原因はグローバル企業が中国に製造拠点を移してしまったこと、そして行き過ぎた規制強化のためだとトランプは考えたようです。
そして米国民から職を取り戻すために取ったのが、中国から製造業の拠点を奪還すること、そして衰退を続ける国内産業への規制緩和と投資拡大でした。結果、FRBが景気判断の重要な指標としている失業率は大きく改善されました。
この失業率の改善はコロナ大不況直前まで続きましたが、一挙に下降したところに折悪しく大統領選挙を迎えてしまいました。

「米国労働省が3月6日に発表した2020年2月の失業率は3.5%(図参照)と、市場予想(3.6%)を下回った。就業者数が前月から4万5,000人増加し、失業者数が10万5,000人減少した結果、失業率は前月(3.6%)より0.1ポイント低下した」(JETROビジネス短信2020年03月13日)

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JETRO

炭鉱産業衰退の代わりに著しく伸びたのは、再生可能エネルギーでした。

「オクラホマ州でも、2019年発電量の40%以上を風力が占め、2017年の33%、2018年の36%から増加した。州内の再生可能エネルギープロジェクトへの投資は200億ドルを超えたが、これはおそらく、同期間における全米の石炭業界への投資額の数倍にあたるだろう」(フォーブス前掲)

再エネは労働力がいらないことが大きな特徴です。
巨大なメガソーラーは、管理要員が数人いるだけのことで、火力発電のように炭鉱を掘る人々、それを運ぶ人々、そして発電所を動かす人々などが一切不要ですから、労働力の浮揚効果はゼロです。
民主党はグリーンニューディールなどといかにも新たなグリーン産業が新規雇用を生むようなことを言って来ましたが、再エネは労働力がいらない上に、太陽光パネルの9割以上は中国製ですからなんともかとも。
ですから、米国人でその利益に預かれるのは、そこに投資したソロスのような投資家と、太陽光パネルを作っている中国だけなのです。

たぶんこんな経済政策ではコロナ恐慌から脱出できないでしょうから、また社会保障でそのしりぬぐいをしよと考えているのでしょうね。
いつもいつもこの調子。
過激な環境政策で国内産業を潰して大量の失業者を出しては、富の再分配でケアする、そんな不毛な繰り返しです。
しかしこれがバイデンの民主党流のようです。

 

2021年1月27日 (水)

バイデンの通らねばならない狭い道

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やっぱり出てきましたね、あのオバマ時代の対中政策キイワード「戦略的忍耐」が。
それを伝えるロイターです。

「米新政権、中国に「戦略的忍耐」で対応 企業規制解除は慎重[ワシントン25日 ロイター] - 米ホワイトハウスのサキ報道官は25日、米国は中国と厳しい競争関係にあり、バイデン大統領は対中関係に忍耐を持って取り組む意向だと述べた。
中国の習近平国家主席はこの日、世界経済フォーラム(WEF)主催のオンライン会合で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの「不安定」な回復を踏まえ、マクロ経済政策の国際的協調の強化と世界経済ガバナンスにおける20カ国・地域(G20)の役割拡大を呼び掛けた。
サキ氏は会見で、習氏の主張はバイデン政権による中国への戦略的アプローチを変えるものではないとし、「ここ数年、中国は国内でより権威主義的になり、国外ではより自己主張を強めている。中国政府は安全保障、繁栄、価値観において大きな挑戦を挑んでおり、われわれも新たなアプローチが必要だ」と述べた。
さらに、「われわれは戦略的な忍耐を持ってこの問題に取り組みたい」と述べ、ホワイトハウスが今後数週間以内に、この問題について議会や同盟国などと協議すると述べた」(ロイター1月26日)
https://jp.reuters.com/article/usa-biden-china-idJPKBN29U2EP?il=0

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時事

まずその前に、私のバイデン政権を見るスタンスですが、「警戒心を忘れずに慎重に見る」ということになるかと思います。
ご承知のように私はトランプ政権後期の外交政策を高く評価していますので、バイデン政権を歓迎してはいません。
とはいえ、バイデンは北京に弱みを握られた親中政権にすぎない、とあらかじめ色眼鏡をかけて見ることもしないでしょう。
そうかもしれないし、あんがい違うかもしれません。
トランプの真意はそうとう後になるまで日本の私たちには判断がつきかねていたように、バイデンもそうかもしれないからです。

かといって、いわゆる認識派のようにバイデンがトランプの敷いた路線を踏襲するたびにいちいち嬉しげに、そらみろ陰謀論者め、などと言う気はありません。
あくまでも批判的姿勢を崩さずに、突き放して見ていくつもりです。
なにぶん始まったばかりですからね。
バイデン政権はさまざまな勢力との綱引きの中で、対中政策を決定していくしかないのです。

そもそも仮にバイデンが親中派であろうとなかろうと、大統領の一存で対中政策を決定できるほど簡単なことではありません。
ましてやバイデンは、国内を二分するトランプ派が存在する上に、党内は穏健保守と左派のまるで闇鍋です。

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いちからわかる!)どんどん出している大統領令って何?:朝日新聞デジタル

なにより議会の存在は、「最弱の王」であるバイデンを強く牽制します。
「王」という表現はあながち比喩ではなく、米国政治は大統領に強い権限を与えながら、一方で議会がそれを強く牽制する力も与えてバランスさせています。
それは近世の王と議会の関係によく似ています。
大統領は議長の許しなくては議事堂にすら入れないのですからね(笑い)。

そしてその議会は、あのペロシですらウィグル制裁や香港支援に賛成しているように対中強硬派で占められており、中国に弱気な態度をとれば容赦なく非難することでしょう。
対中政策は大統領令などといった議会の承認なしでできるものと違って(したがってパーフォーマンスに終わることが多いのですが)、対中制裁は議会決議を経た国防権限法として施行されているために、大統領の一存で解除できません。

パリ条約の枠組みやWHO復帰などは簡単に大統領の一存で可能ですが、対中政策は仮にバイデンが力一杯北京にシッポを振りたくても変更は簡単にはできません。
そうでなくともトランプ王の処刑への怒りでたぎっている共和党保守派は強く反発するでしょうし、対中政策は人権問題でもあるために共和党保守派と民主党左派の意見が一致しています。
したがって、テッド・クルーズとペロシという仇敵同士は、この問題では意見が一致しているのです。
そんな状況で、バイデンができることの幅は大変に狭いのです。

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バイデン政権、中国に甘くなる? ファーウェイの行方は:朝日新聞デジタル

ですから、バイデンは議会を怒らせないために対中宥和に踏み切ることについて、常に腰が引けています。
バイデンの対中方針は片手で従来のトランプが決定した対中強硬路線を踏襲しながら、別の分野では宥和をしていくという分裂気味のものになると思われます。
外形的には強硬路線を継続しながら、本音では協調路線に引き戻したいのですから、つまりは現実には「なにもしない」ということになります。
どんなに中国が挑発的なことをしようと非難するのは口だけ、口では強く批判しても、対抗措置はせいぜいが航行の自由作戦ていどのことで、駆逐艦や空母を南シナ海を通過させるていどのことです。
これ以上の経済制裁や輸出規制には慎重で、相互の投資規制についてはなにもしないかもしれません。
むしろグリーン産業や炭酸ガス排出問題では、米中の協力関係構築に熱心なはずです。

さてこういうバイデン政権の二つの顔は、第二期オバマ政権末期の様相によく似ていると、小檜山智之(前外交防衛委員会調査室)氏は指摘しています。
※『オバマ政権のリバランス政策 ― 「未完」に終わったアジア太平洋戦略 ―』
小檜山智之(前外交防衛委員会調査室)参議院常任委員会調査室・特別調査室(PDF)
https://bit.ly/3iJQ0Jl
 
小檜山氏は手練の外交アナリストですが、民主党系大統領は、理念的には対中強硬派を装いますが、それはあくまでも航行の自由作戦なとの軍事面に限られ、それもきわめて抑制的であって、経済安全保障には無関心であったと指摘しています。
これがオバマとトランプの対中政策の決定的違いです。

たとえば典型的にそれが現れたのが、北朝鮮の核武装問題でした。
思い出していただきたいのですが、北朝鮮が得意としてきたのは過激派まがいのおおよそ国家がいうようなセリフとも思えないイっちゃった言辞でした。
「崩壊しちゃうぞ、核武装するかんね、戦争だ、戦争だ、核大国だ、火の海にしてやる、困るだろう。なら金出せ、石油だせ、原発作れ」というわけです。 
このような外交儀礼もくそもない言動をされると、オバマのような学級委員長的青瓢箪は呆然としてなにもできませんでした。
オバマにできることは、国連という学級委員会にかけて「ジョンウンくんダメだからね。これ以上おいたすると廊下に立たせるからね」と言うことだけ。
 

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AFP

これがオバマの悪名高い、「戦略的忍耐」です。
戦略的だといってもその先になにかを掴もうとして「忍耐」しているのではなく、一時しのぎの便法にすぎません。
なにもできないからインテリらしくカッコよく言っただけのことです。

こういう口先外交は、ケンカ達者な北朝鮮にすぐ見破られます。
クリントンは北朝鮮の核プラントを爆撃する気概に欠けていたために核武装化を手伝ってしまい、そしてオバマは「戦略的忍耐」なんて自分でもよくわかっていない言葉遊びをしているうちにとうとう米大陸に到達可能なICBMまで作られてしまいました。
オバマが第1期において、北の核武装に断固たる対応をとっていたなら、あの時期は核ミサイルを持っていない時期だったのですから、はるかに解決は簡単だったはずです。

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トップダウン戦略が裏目…正恩氏、最大の危機に - 産経ニュース

これを一転させたのが、トランプのマッドマンセオリ(狂人戦略)だったことはなんどか書いてきました。
トランプ外交のことを「素人のデタラメ外交」と俗流外交評論家は評しますが、この無為無策のオバマの後をついで処置なし状態で手渡されたという側面もあることをお忘れなく。 
トランプは、朝鮮半島海域に空母を3隻並べて見せたかと思うと、斬首作戦の準備まで開始して、びびった正恩を直接会談に追い込んでいき、とうとう核開発の事実上の凍結にまで持ち込んでしまったのです。

オバマの最大の外交的失敗である、中国の南シナ海の人工島建設に対しても、航行の自由作戦の強化をトランプがしたのは当然。
更に踏み込んで、中国の強さの根源である経済に狙いを定めた輸出管理規制強化を次々に発していき、習は手の打ちようもないままにリング際に追い込まれて防戦一方でした。

「バイデン政権は実際に政権を担当する中で、いくつものジレンマに直面すると考える。すでに中国はオバマ政権時代の中国ではなく、習近平により共産主義に回帰した中国であり、国連などの国際機関は一国一票原則と中国の影響力拡大により、米国に思い通りにならなくなっている。また、軍事的脅威に関しても、南シナ海の人工島はすでに要塞化されており、宇宙航空分野、北極問題など軍事的な拡大は米国にとって
の直接的な軍事的脅威に変化している。これを話し合いで解決できるかといえば、まず不可能といってよいだろう」(小檜山前掲)

小檜山氏はバイデンが直面している米中関係の大前提が変化しているのだと述べています。
つまりかつての中国はまだ経済的に未熟で、国際的競争力も弱ったために自由主義陣営諸国と共存する姿勢をみせて取り入ろうとしていました。
いわゆる韜光養晦(とうこうようかい)戦略です。 
たとえばWTOという登竜門をくぐるに際しては
、嘘八百の公約をして、そのすべてを紙くずにしてしまいました。

「中国は最終的な完全な民主化、経済の自由化を約束し、自由社会の一部になった。WTOに加盟する際も、国有企業などの撤廃や輸出、資本規制の撤廃を約束したが、それを守っていない。
それどころか新興国としての優遇を求め続けており、逆に先進国にとって逆差別状態になっている。また、SDR入りする際にも、為替の自由化、資本移動の自由化を約束したが、それも全く守られていない。
さらに言えば、2015年、習近平は、南シナ海の人工島などを軍事利用しないと国際社会に約束したが、実際には軍事要塞を作ったのである。 これは米国特にオバマ政権の弱腰姿勢が招いた結果であり、一旦力を得た中国がそれを手放すとは思えないのだ」(小檜山前掲)

そしてこの時間稼ぎによってだまされたかっこうとなった自由主義陣営は、気がついてみれば自身が中国市場に首までどっぷりと漬かっていました。
巨大企業はこぞって中国に生産拠点を移した結果、国内は失業者で溢れ、米国ブランドでも実はメイドインチャイナ。
技術は盗まれ放題盗まれ、研究所や大学は中国人だらけ。長い時間をかけて米国が育てた科学者は気がつけば中国に彦抜かれる始末です。
お家芸のハリウッドまでもがほとんど中国資本で、いまや世界一の映画市場となってしまった中国で受けそうな映画しか作りません。
かくしてカネはチャイナの懐に流れ込む一方、ここまで全身を冒されてしまっては、航行の自由作戦ひとつでなんとかなるわきゃありません。

こういった状況を根本から変えねばならないと決心したのがトランプだったのですが、その処刑をバイデン最初の仕事にしようとしています。
さてどうしますね、オバマの番頭だったバイデンさん。
中国は必ずあなたに宥和的なおいしい言葉をかけてきますぜ。
その一方で、南シナ海だけではなく、東シナ海にも食指を伸ばし、アフリカを完全支配したようにアジア・太平洋地域の完全覇権も視野にいれてくるでしょう。
そして米国国内への静かなる侵略は止まらない。
それでも「戦略的忍耐」ですかね。

今はコロナだけで手一杯の顔ができるでしょうが、必ず終息の時がきます。
その時にトランプのように明確に中国に対して、初期の隠蔽はとうぜんのこととして、その発生の秘密にまで遡って開示することを要求できるか、
お手並み拝見です。

とまれ、私たちも新政権の国務長官や国防長官がこう言ったああ言ったと一喜一憂しないこと。
逆に、バイデンだからと妙にわかったような気分にならないことです。




2021年1月26日 (火)

エスカレートする中国海警

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中国という国は米国のいぬ間にガサゴソとよからぬことを企む習性があります。
今、新政権が南シナ海や尖閣水域に対して明確なスタンスを示さぬ間にとばかりに、1月22日、尖閣諸島を範囲とする新海警法を成立させてしまいました。

「中国の全国人民代表大会常務委員会会議は22日、中国海警局に武器の使用を認める海警法草案を可決、同法は成立した。
中国メディアが報じた。海洋権益維持を目的に発足した海警の法整備が完了し、体制や装備も強化される。中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島の周辺海域や南シナ海で海警の活動が活発化し、緊張が高まる恐れがある。施行は2月1日」(1月22日付共同通信)

全人代は、なかなかキナ臭い法律を作ってくれたものです。
これによって中国海警は、彼らの必要に応じて自由に外国船舶に発砲できる権限を与えられました。
中国海警は、建前としては日本の海保に相当するもですが、内実はまったく異なります。
最大の違いは、常に軍と行動を共にし、有事には軍の指揮下に入ることが定められている「準軍隊」なのです。

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中国公船(右)と並走する海上保安庁巡視船(左)=2013年8月7日、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺海域(石垣市の仲間均市議提供)

日本の海保は純然たる「海の警察」です。管轄は国交省であって防衛省ではありませんから、いかなる意味でも自衛隊に海保の指揮権はありません。
一方中国海警は中央軍事委員会の傘下に組み込まれ、今回さらにそれを組織図上のものからから、実際に発砲できる権限を与え、その「管轄海域」を定めることにエスカレートさせました。

「昨年通過した「武警法」は中国側は11年にわたって検討したうえで可決。最大の改変は武装警察指揮系統に組み入れたこと、海上の権利維持執法の機能を中央軍事委員会の批准により、その隷属する武装警察隊に加えたこと。つまり海上の権利維持の執法行為は、「戦時」と同様に、中央軍事委員会、あるいは解放軍戦区が指揮をとり、軍事作戦として海警が参加し、場合によっては海軍との作戦協力もありうる、ということだ。
日本でいえば、領海内の違法漁業を取り締まるとき、海上保安庁は統幕長あるいは海上幕僚長の指揮をうけて、軍事作戦として参与あるは海上自衛隊と合同で作戦にあたる、というニュアンス」
福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.258 2021年1月25日

日本では考えられないコーストガードの軍事組織化です。
2月1日から施行される海警法は11章88条からなっています。

「ポイントは中国当局の批准なしに、外国組織、個人が中国管轄の海域、島嶼に建造建や構築物、固定、浮遊の装置を設置した場合、海警がその停止命令や強制撤去権限をもつこと(20条)で、たとえば尖閣諸島の日本が建てた燈台とか撤去に出るかもしれない。
また、執法行為の範囲として、領海、排他的経済水域、大陸棚の人口島嶼(おそらく南シナ海の南沙、西沙諸島を想定)があげられている(12条2)
21条の外国軍用船舶、非商業目的外国船舶が中国管轄海域で中国の法律に違反する行為を行った場合、海警は必要な警戒と管制措置を取りこれを制止させ、海域からの即時離脱を命じる責任がある。離脱を拒否し、深刻な損害あるいは脅威を与えるものに対しては、強制駆逐、強制連行などの措置をとることができる。
22条の国家主権、海上における主権権利と管轄が外国の組織、個人から不法侵入、不法侵害などの緊迫した危機に直面した時、海警は本法及びその他の関連法に基づき、侵害を制止し、危険を排除することができる」(福島前掲)

また今回持ち出したこの「管轄海域」という概念が大変に怪しいのです。
いつもは安全保障に無関心な毎日さんが珍しく的確に報じています。

「中国海警局の船は機関砲を備えるなど既に重装備化が進み、軍とも一体的に活動する。22日に成立した『海警法』は、これまでブラックボックス状態だった武器使用規定や具体的な権限の法的な根拠を明らかにしたと言える。そこから透けて見えるのは、独自の基準を国内外に示し、新たな国際秩序を生み出そうとする戦略だ。
中国は近年、他国との権益争いで『法律を武器』とする姿勢を鮮明にする。習近平国家主席は2020年11月の演説で『対外問題に関わる法整備を加速し、立法、法執行、司法の手段で闘争し、国家主権や核心的利益を守る』と述べた。(略)
権限の範囲を『管轄海域』と特異な表現にしたのも、南シナ海での一方的な主張を正当化するためとみられる。中国は南シナ海の大半を占める『九段線』内の権益を主張するが、オランダ・ハーグ仲裁裁判所は16年に『法的根拠がない』とこれを否定した。もし海警法が権限の範囲を『領海』などと国際ルールに則して明記すれば、九段線の範囲で活動できなくなる。そこで『管轄海域』という言葉を持ち出したとみられる。(後略)」(毎日1月22日)

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そう、この「管轄海域」という概念がクセモノなのです。
実は中国が今回「管轄海域」という聞き慣れない表現を使わざるをえなかったのは、苦肉の策なのです。
本来ならコーストガードの使命は自国の領海警備にあるはずですが、中国は「領海」を勝手に南シナ海に拡げてしまいてしまいました。
ご承知のように、こんな身勝手な侵略行為を国際社会は許すはずもなく、2016年には国際仲介裁判所で負けています。
ですから、海警を南シナ海、あるいはこれから南シナ海化しようとしている尖閣水域に出張らせても、その法的根拠が薄弱でした。

しかしこの新法により今後、海警は「外国船からの脅威の防止または停止のために、すべての必要な手段」(all necessary means  to stop or prevent threats from foreign vessels)が認められます。
また同法では、「主権と安全保障、国内海上法の保護に関するイニシアティブ」が承認されました。
ですから、また、同法により他国のコーストガードの入域を規制することも可能となりました。

これも説明が要りますね。
仮にその海域で外国のコーストガードや船舶と紛争となった場合、他国は「ここはオレたちの国の領海だ。国際司法裁判所もそれを認めているぞ」と宣言できますが、中国は「そんなことは知らぬ存ぜぬ。ここはオレの海だぁ」とひたすら言い張るしかできなかったわけです。
まるで子供かヤクザです。
なんせそもそもやっていることが暴力団よろしく他人様の領海に人工島なんか作ってしまい、その周辺を「神聖な領土・領海」と宣言しているのですから。

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上の写真はスビ礁ですが、ビルと工場が立ち並び、工場写真手前には数千メートル級の軍事用とみられる滑走路もあります。
岩礁を埋め立てて作った基地なんて言うと小規模なものを連想しがちですが、とんでもなくバカデカイものだとお分かりになったでしょうか。
辺野古を埋め立てるとジュゴンがぁ死ぬぅ、なんて言っているグリーンピース、どうぞこっち来て同じことを言って下され。

水面下の岩礁から一大軍事要塞を作ってしまうというまさに毛沢東の「愚公、山を移す」の教えに沿って着々と岩の上にも三年をやっているようです(褒めてんじゃねぇぞ)。
おそらく尖閣諸島を中国が奪った場合、彼らは島々の間を埋立て、大規模軍事基地建設をするんでしょうね。

ただし情けないことにハーグの国際司法裁判所に「法的根拠がない」と一蹴されてしまっために純然たる違法占拠、すなわち侵略にすぎません。
そこで考えたのが、「管轄水域」という新概念です。
これでいちおう法的根拠として「わが国の管轄水域であるぞ」ということが可能となりました。
そしてここに侵入する外国船舶やコーストガードに対して、「ここはわが国の管轄水域である。退去せよ」と言えることになります。
そしてついでにいつのまにか準軍隊ですから、発砲することも堂々と可能になりました。

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しかしそもそも「管轄水域」って何?
そんなものは国内でしか通用しない概念で、国際社会においてここまでが領海としましょうね、という国際海洋法に則った決め事じゃないわけです。
てめぇが勝手に言っているだけですから、本来は無視してもかまいませんが、日本にだけは一定の効果があるから困ります。
前になんどか記事にしていますが、尖閣水域は領海であっても、どちらの国のEEZにも入っていない法的に未決の海域(法令適用除外水域)としてしまったために、日本は無害通航するかぎり手が出せません。

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尖閣諸島に出漁した仲間均市議の漁船を追尾する中国公船「海警1501」=5月24日午前(仲間市議提供)

これをいいことに、中国は日本漁船に対して、尖閣水域に近づくと「警備活動」と称して追い回しています。
尖閣海域で「ここはわが国の領海である。直ちに退去せよ」とわめく中国海警。まるでブラックジョークのような風景です。
海保は中国海警察との間に入ってなんとか日本漁船を守っていますが、苦しい戦いが続いています。
こんなことが続くのは、中国が今回作ったような「管轄水域」を宣言できる領海法が日本にはないからです。
※関連記事『領海法がなくて、どうやって戦えというんだろう』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-77192f.html

実は似たものは台湾も持っていますから、尖閣周辺国はすべて領海法をもつのに対して、わが国だけはもたないために手も足も出ません。
日本が正当に中国と渡り合い、その拡張主義を撥ねのけていこうとするなら、日本も中国と同じように「管轄海域」での強制措置を可能にする領海法をもたねばなりません。
ここを中国ともめたくないあまり、尖閣水域警備をグズグズにしてしまったツケを今後もっと強く払わされることになるでしょう。



 

2021年1月25日 (月)

ナバロ・レポート

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トランプはつくづく異形の偉人だったと思っています。
憎もうと、謗ろうと勝手ですし、J念氏のような「認識派」と自称する諸氏のように鼻先でせせら笑うのも勝手ですが、とまれ私は彼がいない空白というものを噛みしめています。
あのようなタイプの大統領は二度と現れないかもしれません。
この大統領選挙の私の感想は、2カ月前の11月23日に書いた『悪法でも法は法。毒酒を仰がねばならないこともある』に書いたことで尽きてしまいます。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/11/post-d7bd98.html
そこで私はこう書きました。

「しかし太平洋を隔てて私たちまでが不必要に熱くなってどうするのです。
当事国ではない私たちができることは、情勢分析における醒めた眼と巨悪を許さない気持ちを持ち続けることです」

私は不必要に熱くなるなと書いていますが、11月20日の投票人が確定してしまった段階では、もはやこれ以上の異議申し立ては通らないと考えたからです。
当時私は逆転の可能性は1%以下だと考えていましたが、残念ですがそれは当たったようです。

しかし大部分のトランプ支持者はそうは考えずに、逆転の望みをかけて、不正選挙の証拠を糾弾し始めました。
残念ながら、私はこれらのトランプ派の「証拠」と称するものは、真実を射ているものもあれば、ただの思い込みや、時には一種の謀略論にすぎないとかんじました。
つまり、真実と虚構、怒りと期待、そしてなかには意図的虚偽情報さえ混じる玉石混交のゴッタ煮なのです。

しかしそのような支持者たちのSNSの追及とは別に、きわめてクールな分析と整理が公式に存在します。
それは大統領補佐官のピーター・ナバロによって12月17日に出た報告書です。

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ピーター・ナバロ大統領補佐官

ナバロは対中経済制裁のシナリオを書いた人物で、一連のトランプ政権の厳しい対中政策のコンダクターでした。
そのナバロは、不正選挙疑惑についてこのように述べています。
(『ナバロ報告書の翻訳』 井上雅夫)
http://www.venus.dti.ne.jp/~inoue-m/el_2020pe_na.html

「以下の表で、行と列の交点は、6つの激戦州すべて、および選挙の不法行為の6つの側面すべてにわたって、重大な不法行為が発生したことを示しています。この発見は、選挙がドナルド J. トランプ大統領から盗まれた可能性があるという主張に信憑性を与えています」

「この報告書の調査結果から、トランプ・ペンス組に対して効果的に選挙不正工作をする(stack the election deck against)ための統合された戦略があった可能性があると推測することができます。
実際、観察された選挙の不法行為のパターンは、6つの激戦州全体で非常に一貫しているため、もし選挙を明白に盗んでいない場合でも、「投票箱に不正票を詰める(stuff the ballot box)」などの方法で選挙プロセスを戦略的に操作し(strategically game)、バイデン・ハリス組に有利なように競技場を不公正に傾ける統合された戦略を示唆しています」(ナバロ前掲)

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詳しくはこのナバロのレポートをぜひお読み下さい。
怒りにかられた支持者のそれと異なり、経済学者だけあって実に客観的内容です。
しかし、既に12月中旬に出ていたにかかわらず、一顧だにされず有象無象の告発と一緒にジャンク扱いにされてしまいました。

いわゆる「認識派」の諸氏は、一頃はJ氏のようにトランプが勝つ可能性のアレコレを並べて視聴者数稼ぎをしていましたが、形勢が不利になるやいなや一転して「トランプ支持はやめた」と宣言して、なんとバイデン支持者と見紛うような変節を遂げました。
J氏は、それでも当初はバイデン政権の政策を見極めて対処せねばならないとまっとうなことを言っていたのですが、いまやトランプ支持者たちを十把ひとからげにして「陰謀論者」として口汚くコキ降ろしています。
こうまで節操のない転向を眼前で見たのはひさしぶりです。

彼ら「認識派」は今回の事態において、選挙制度と事実認識を混同しています。
大統領選の制度設計において、いったん出てしまった選挙結果を逆転させることはほぼ不可能です。
そのような事例は過去に大昔に一回あったきりで、現代には存在しません。

というのは制度そのものを認めないとなると、逆にトランプが勝った場合にも対立候補によって不毛な異議申し立てを受けて、逆転される可能性が出てしまうからです。
副大統領のペンスが「不正7州」の投票結果を無効にするのではないかと見られた1月6日にも、ペンスは賢明にも常識に沿った決断をしました。
それは「副大統領が大統領を選ぶことはできない」という伝統が頑としてあったからです。

ましてや、一部のSNSのトランプ支持者が熱望したような反乱法を使ってバイデン陣営を拘束するとか、軍に戒厳令を敷かせて再選挙をするなどといった方法はもはや論外であって、これではクーデターをしろとそそのかしているようなものです。

つまりペンスがそうしたように、バイデンが当選してしまったのは選挙制度としては「正しかった」のです。
しかし不正選挙疑惑は、そうであったとしても残り続けます。
いささかも解明されておらず、疑惑は疑惑として残っているのです。
である以上、これは道義的に「間違った」当選なのです。

とくに不正があったと名指しされた7州は、その事実関係を調査する義務を負ったはずでした。
しかし州議会共和党の追及は弱々しく、時には勝者民主党におもねったものとなりました。

「本報告書で評価された選挙の不正の6つの側面を積極的かつ完全に調査できなかったのは、反トランプの主流メディアや検閲ソーシャルメディアだけでなく、議会と裁判所の両方の大失敗によります。
アリゾナ州とジョージア州の共和党知事と、6つの激戦州(アリゾナ州、ジョージア州、ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州)のうち5つの州議会の両院の共和党多数派は、この報告書で提示した6つの側面を調査する権限と機会の両方を持っています。それでも、激しい政治的圧力の下でしおれ、これらの政治家は憲法上の義務と責任を果たせず、それによって彼らの州とこの国の両方、そして彼らの政党を見捨てたのです」(ナバロ前掲)

それどころか多くの州裁判所と連邦最高裁は、少しの例外を除いて勝者に屈しました。

「最高裁判所を含む州裁判所と連邦裁判所の両方が、彼らの前に来た選挙の不法行為を適切に判決を下すことを拒否することで、アメリカ国民を見捨てたのです。彼らの失敗はアメリカ共和国に大きなリスクをもたらします」(ナバロ前掲)

ナバロはこう予言しています。

「これらの選挙の不法行為が就任式前に十分に調査されず、それによって有効に立候補することが許されない場合、この国は二度と公正な大統領選挙を行うことができないという非常に現実的なリスクを冒します。ジョージア州で1月5日に予定されている上院議員の決選投票は、この迫り来るリスクの最初のテストケースとなります」(ナバロ前掲)

ナバロの予言どおり、ドミニオンを使い続けたジョージア州では、またも異常なバイデン・ジャンプが観測されて、共和党は敗北し、ここに政府-上院-下院の三つすべてを民主党が独占するという異常事態を引き起してしまいました。

さて簡単にこのナバロ・レポートを見ておきます。
彼は6つにわけて不正選挙を分析しています。

①明白な不正選挙

Nt3

②投票用紙野過った取り扱い

Nt4

③争いになるプロセスの反則

Nt5

④平等保護条項違反

Nt6

⑤2020年選挙の投票機の欠陥

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⑥6つの激戦州における統計的異常

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不正選挙などは妄想であるとするNYTやWP、CNNといったオールドメディアや、日本の自称「認識派」の方々は陰謀論だと一蹴する以上、ここでナバロが列挙した事例と、それが指し示すことに真正面から答える義務があります。
いつのまにか「認識派」に近くなってしまったケントさん、不正選挙疑惑は多岐多彩に渡り、ケネディの親父がしたような賄賂だけじゃないんですよ。
ナバロもトルストイの有名な一句を引いて、「幸福はひとつだが、不幸は多くの顔を持つ」なんて言っているほどです。
だからややっこしい、だからメンドーなんです、この疑惑追及は。

そしてこれらの不正選挙疑惑とは別次元のテキサス州の憲法違反の訴えをどう考えるかです。

「この「投票箱に不正票を詰める(stuff the ballot box)」戦略の大部分は、テキサス州が合衆国最高裁判所に提出した訴状に適切に要約されています。新型コロナウイルスのパンデミックを理由にして、[ジョージア、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシン]の[民主党の]州政府高官は議会の権限を奪い、州の選挙法を憲法に違反して改訂しました。彼らは、行政命令(executive fiat)または馴れ合い訴訟(friendly lawsuits)を通じてこれらの法改正を達成し、それによって投票の完全性を弱めました」(ナバロ前掲)

私は1カ月前に、この選挙結果を毒杯と知って仰いだギリシアの故事に例えました。
誤っていようとそれを認めて、今は粛々と合衆国政府を安定させるべきだと書きました。
そもそもいかに抵抗しようと、下院投票で選ばれた大統領などには正統性がないからです。

ましてや大衆動員で、議事堂に圧力をかけるなどは下策の極みでした。
米国は韓国のような民主主義が未成熟な国ではないのです。
むしろ自由主義陣営の盟主として範を示すべき地位にある国がデモで勝ってどうするのです。
そんなことを考えるから、何者かによって議事堂選挙事件を仕掛けられて致命傷となってしまいました。

政府は継続するものであって、不規則なやり方で大統領となろった者は、同じく不規則な大統領として扱われます。
それは一種の合法クーデター であって、国内の反対派のみならず諸外国政府からも同様にフェークガバメントと見られてしまいます。
威信は地に落ち、外国政府は米国政府が何をいおうと距離を開けるでしょう。

ただし、このようなトランプの勝負へのこだわりが、多くの米国人に不正選挙への怒りを共有する結果となりました。
オールドメディアですら3割の米国人が選挙に不正があったと考えています。
トランプは悲劇の王となりました。
これを知ってワニばばぁと裏切りミッチは、トランプ王をギロチンにかけるまで落ちつかなかったようです。
もっともFBIは、議事堂占拠は前もって計画されたグループによって計画されており、演説との因果関係はないと公表しているようですから上院訴追がとおるとは思えません。

トランプは、いみじくも最後に国民に言い残したように「形をかえても帰ってくる」のです。
たとえば、24年の共和党候補となったポンペオの応援をするトランプ、わくわくする光景じゃありませんか。
その時を待ちましょう。

 

 

 

 

2021年1月24日 (日)

日曜写真館 突堤の孤独

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突堤の一番先きの冬帽子  細見綾子 

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突堤のほどよきところ氷旗  尾関乱舌

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風吹て湖水をめぐる時雨哉  正岡子規

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冬枯をぐるりと湖水々寒し 藤野古白 

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2021年1月23日 (土)

ホンペオ、新型コロナは武漢ウィルスラボ発の疑い

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山路さん、「三方両損」ですか、うまいことおっしゃいます。
たしかにそのようなあいまいなスタンスで、独立調査委は中国の名指しを回避しています。
私はチャイナの完全支配が出来上がっているWHOとしては、ぎりぎりここまでだったと思っています。
むしろクラークが共同とはいえ、よく代表になったもんです。

とはいえ、あのNZですらこんなものなのです。
トランプのWHO脱退策は下策でした。これではチャイナの世界支配を手助けしているようなもんです
米国に戻って来てもらって、日米で連携をとって尾身茂氏あたりを事務局長に送り込まない限り、WHOは中国の代理機関のままです。
彼は今回の新型コロナとの戦いの日本における指導者であるだけではなく、WHO西太平洋事務局長時代には小児ポリオを絶滅に追い込んだ実績もあります。

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ウィキ

尾身氏はかつて日本に擁立されて事務局長に立候補しましたが、中国が押し込んだマーガレット・チャンに破れてしまいました。
このチャン以降、WHOは転げ落ちるようにチャイナ支配下に入っていきます。
考えてもせんないことですが、もし尾身氏が今回WHOの最高指揮官だったなら、世界的パンデミンクの様相はまったく違っていたでしょうに。
とまれ日本の貧弱な国際政治力だけではどうにもなりませんから、米国に戻ってきてもらわないことにはどうしようもありません。

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BBC

おっと泣き言になっちまった(苦笑)。話を戻します。
さてWHOの現地報告が出る先手を打つように、2021年1月16日という任期ぎりぎりでポンペオが新型コロナについての声明を出しました。

新型コロナウイルスの発生源を探るWHOの調査団は、1月14日に中国湖北省武漢市に到着。当初の予定より数カ月遅れて調査を開始した。AP通信によると、調査団は総勢10人程度のグローバルな研究チームで、メンバーはアメリカ、オーストラリア、ドイツ、日本、ロシアから参加している。
ポンペオは15日に「調査団の重要な仕事への支援」を表明し、「2019年の研究所内の活動」について調査を求める声明を発表した。
「アメリカ政府は、最初とされる感染確認例より前の2019年秋の時点で、WIV内に新型コロナウイルス感染症および一般的な季節性疾病のどちらとも一致する症状を呈した研究者が複数存在していたと信じるに足る理由がある」と、ポンペオは語った。
「これは、WIVのスタッフと研究員には、新型コロナウイルスまたはSARS(重症急性呼吸器症候群)関連ウイルスの感染はなかったというWIV上級研究員石正麗(シー・ジェンリー)の公式発表の信頼性に疑問を投げかけるものだ」
(ニューズウィーク1月18日)
米国務長官「武漢研究所の複数の研究員がコロナともとれる病気にかかっていた」と、WHOの現地調査を後押し(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース 

彼は最後の最後まで、超人的な馬力で仕事を片づけていきましたが、その目的はバイデンによって米政府の中国政策が後戻りすることを防ぐためでした。
思えばボンペオが大統領選延長戦から距離を開けていたのは、これら膨大な外交上のやり残しのカタをつけるためだったようです。

ポンペオは、中国の責任をあいまいにすることに決まっている独立調査委の中間報告書を見越して、米国はこれだけ多くの事実を知っているぞ、否定したいならWHOと中国は実証調査をしろ、ということをつきつけたわけです。
これもまた、WHOが現地調査なるものをアリバイ的にして幕引きすることにクギを刺したかっこうです。

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武漢ウィルスラボ

そもそも米国は、この新型コロナが軍事目的で作られた生物兵器だと考えていました。
生物兵器は製造することが生物兵器禁止条約によって禁じられていますが、それは建前です。
米国は中国やロシアが生物兵器を製造しているという疑惑をもっているために、対抗上自らも秘密裏に同種のウィルスを研究していたと思われます。
さもないと生物兵器を使われた場合、ワクチン製造ができなくなってしまうからです。

核兵器や生物兵器は合わせ鏡みたいなもので、こちらがやっていることはあちらもしていると考えます。
事実、中国もまた同じ理由で、さまざまな危険なウィルスをサンプルとして保管しています。
ただし、ここが重要なのですが、ウィルスはそのままでは兵器となりません。
強力すぎて、自分にも火の粉がかかるからです。

では、どうするのでしょうか。
これも核兵器と一緒で、威力を「薄めてやる」のです。
核兵器は小型化する一方ですし、生物兵器は一見して季節性の感染症のようにしてしまうことで「使いやすく」します。
絶対にはがれない接着剤より簡単に剥がれる事務用ノリが重宝されているように小型化・弱化のほうが武器のトレンドなのです。
気軽に使える核・生物兵器とは悪魔的な発想ですが、人類というのはそういう思考形式をするもののようです。

コロナ類ウィルスは親類筋の季節性インフルに紛れ込んでしまって、生物兵器のようにはみえません。
しかしその感染力は極めて強力で、死亡率も高く、新種であるだけに特効薬やワクチンと言った対抗手段がないわけです。
まさに理想的生物兵器だといえます。

ます製造が容易です。サンプルとして保管していたという言い訳が通用しますから、軍事研究と学問研究の境があいまいです。
今回の武漢ラボ((武漢病毒研究所・Wuhan Institute of Virology)は、民間研究所というのが表看板でしたが実は人民解放軍系列でした。
研究目的も防疫だと言っていますが、防疫と生物兵器製造は紙一重なのです。
ウィルス兵器は「貧者の核兵器」といわれるように安価に製造可能なうえに、人に付着させて持ち込む事も容易、かつ、多くの人を殺傷し、経済中枢を長期に渡って麻痺させ国力を落とさせることが可能です。
軍隊すら、空母数隻がクラスターとなったために使用不可能になった時期があります。
言葉のあやではなく、まさに核兵器レベルの威力です。

そしてなにより、そう考えて調査しない限り足がつかないのです。
なにせ症状が季節性インフルとそっくりですから。
しかも新型ウィルスはそうだと気がつくまで一定時間を要し、判明してもウィルス分離をするだけで手間がかかり、簡易検査キットが簡単にできなかったために実際の感染者の数すらわかりませんでした。
PCR検査をサーベイランスで使ってしまった欧米は、患者判定のために医療機関が崩壊の危機に曝されました。
日本もメディアと野党のいうことを聞いていたら、同じように医療崩壊を引き起したでしょう。
ワクチンに至っては先進国ですらこの春に開始できればたいしたもので、現実に世界規模で接種できるのはそうとう先になることでしょう。
その間に大量の患者が出て、死亡者は鰻登りとなり、社会活動は壊滅状態となります。

今回、弱毒化した生物兵器がなんらかの原因で使われたと仮定した場合、どうして当初に生物兵器ラボがある武漢だけに集中して起きたのか、コウモリのウィルス由来だといいながらその中間宿主がいつまでも不明なのか、といういくつかの謎が一気に説明できてしまいます。
このように今回の新型コロナが生物兵器であったと仮定して考えると、多くの謎が説明できてしまうのです。

2020年1月31日、インドのデリー大学とインド理工学院に所属する研究者たちが出した論文(査読を受けていませんが)は、後になぜか撤回されてしまいましたが、人工ウィルス説を唱えました。

「簡単に言えば、彼らは新型コロナウイルスとSARSウイルスの棘突起タンパク質の配列を比較し、SARSウイルスと比べると新型コロナウイルスの棘突起タンパク質には4つの新しい挿入配列があることを発見したのだ。その後、彼らはこの4つの挿入配列をデータベース中の配列と比較した結果、4つの挿入配列がともにエイズウイルスのタンパク質配列の中にあることを見つけた。
この研究論文によれば、この種の特異な同一性/相似性が自然界の中で偶然に起こる現象とは考えられず、またこの4つの挿入配列は新型コロナウイルスに独特なもので、そのほかのコロナウイルスには存在しない、とされている」
(東経ネット2月12日)
https://toyokeizai.net/articles/-/329766

ポンペオは、中国で最初に新型コロナの感染例が発生したのは、公式に中国政府が認めた以前の2019年夏からで、しかもその初めの患者たちは武漢ウィルスラボの関係者だったと指摘しています。
そして武漢ウィルスラボでは、遺伝子情報が新型コロナと96%以上も合致するRaTG13ウィルスの研究をおこなっていました。
このRaTG13ウィルスは英語版ウィキによればこのようなものです。

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石正麗 WSJ  

「2012年の春、墨江自治県のトングアンの町の近くにある廃銅鉱山でコウモリの糞を掃除している3人の鉱山労働者が致命的な肺炎を発症した。
鉱山労働者から収集された血清サンプルは、武漢ウイルス研究所に送られ、石正麗とそのグループによって、エボラウイルス、ニパウイルス、およびコウモリSARSr-CoVRp3についてテストされ。サンプルは陰性だった。
彼ら武漢ウィルスラボの研究者たちは、感染の考えられる原因を発見するために、さまざまな動物(コウモリ、ラット、トガリネズミなど)を採掘洞窟内およびその周辺でサンプリングした。
石正麗と彼女のグループは、洞窟内のコウモリの糞サンプルから、2012年から2015年の間に293の多様なコロナウイルス(大部分はアルファコロナウイルス)を分離した。
2013年にRhinolophusaffinisのコウモリの糞から収集されたサンプルの1つは、コウモリのコロナウイルスRaTG13でした。系統名は、起源のコウモリの種、地理的位置、および収集された年に由来している」
RaTG13
https://en.wikipedia.org/wiki/RaTG13

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いずれにしても、すでに中国は国家通知で証拠隠滅を命じています。武漢ラボにはなにも残っていないはずです。
サンプルがあるのは中国国家衛生健康委員会弁公庁。
下請け機関となってしまった今のWHOにこれ以上の原因解明を望むのは無理でしょうから、国際社会が協力しあって独自に調査委員会を作り、強制力を持つ査察を行わねばなりません。

さもないと中国は原因究明をあいまいにできたばかりではなく、自分の国の経済だけがV字回復し、中国製ワクチンを配布することで救世主気取りでいるのですから、もらい病をもらった私たちはたまったもんじゃありません。

 



2021年1月22日 (金)

WHO独立調査委 、中国の初動隠蔽を指摘

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トランプが去りました。ご苦労さまでした。
あなたは忘れがたい大統領となることでしょう。今後のご健闘をお祈りします。

さて、WHOが特別に設置した独立委員会は2021年1月18日に中間報告を公表しました。
さんざんこの間の対応で信用を落としたWHOですから、今頃だすのかいという感じですが、まぁ出ただけましと思いましょう。
ちなみにこの独立委員会は去年9月から活動を開始し、ノーベル平和賞受賞者リベリアの元大統領サーリーフとニュージーランドのヘレン・クラーク元首相を戴いています。

「1月19日 AFP】(更新)新型コロナウイルスの大流行をめぐる世界の対応について調査している委員会は、同ウイルス感染症が中国で最初に報告された際、世界保健機関(WHO)と中国政府はより迅速に行動できたはずだとの見解を示した。
 パンデミック(世界的な大流行)の事前準備および対応に関する独立委員会(IPPR)はその第2報告書で、感染拡大の初期段階の時系列評価から、「より迅速に行動し得た初期兆候の可能性が示唆された」と発表した。
独立委員会は報告書で、「(昨年)1月に中国の地方および国の保健当局がより強力な公衆衛生対策を講じられたはずである」ことは「明白」だと述べた。 委員会はさらに、新型ウイルス危機の初期対応に二の足を踏んだWHOを批判。WHOが新型ウイルスの緊急会合を昨年1月22日まで開かなかったことや、緊急会合が、WHOの警告として最もレベルの高い「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の宣言で合意するまでその後1週間かかったことを挙げた。報告書は「緊急会合がなぜ1月第3週まで開かれなかったのかも、会合の(中略)最初の招集で、なぜ(PHEICの)宣言で合意に至れなかったかも明白ではない」と指摘している(AFP1月19日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3326979

内容的には、WHOは(というかWHOすらも)、 不十分ながらも中国の初期の隠蔽を公式に名指ししています。
中国の「感染拡大の初期段階で対応に遅れがあった」と指摘しました。

このクラーク元首相の出身国ニュージーランドは、世界最高度の感染防止を成功させた国として知られています。
それは初動において中国からの渡航制限を厳しく実施したからです。

「英国BBCラジオとの会見で述べた。ニュージーランドは世界保健機関(WHO)が感染対策として渡航制限に異論をはさむ段階でこれらの入国禁止措置を発動させていた。
元首相はこの中で、WHOの立場について組織運営に絡む地政学的な問題が多く関係しているのだろうと推測。渡航制限に同調した場合、諸国から十分な協力を得られないと判断したのかもしれないと続けた。
その上で2月初めの段階で中国からの入国を、その後にイランからの入国を認めず、3月には帰国するなどしたニュージーランド国民へのより厳しい規制を講じたことが効果を生んだと言い切るのに躊躇しないと強調。
ニュージーランドの感染対策は着実な成果を示し、先月27日には新規感染者はわずか1人を記録していた(CNN2020年5月20日)
https://www.cnn.co.jp/world/35153284.html、

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独立調査委員会共同代表ニュージーランドのクラーク元首相 CNN

この中国からの渡航制限をいち早く実施して、感染者を極小に止めたNZのクラークを共同代表にもってきたことは評価できます。
その彼女ですら、今回の独立調査委の原因について、明らかな中国の隠蔽工作を名指しできないというのが、限界なのでしょうか。

「独立委員会は、先に公表した中間報告で、感染拡大の初期段階で中国の対応に遅れがあったと指摘したうえで、WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を去年の1月30日まで出さなかったことを疑問視し、ほとんどの国が宣言の出された後も必要な措置をとらなかったと指摘しました。
委員会の共同議長を務めるニュージーランドのクラーク元首相らは19日、WHOの執行理事会で「報告書は新型コロナウイルスへの対応で国際社会や各国が初期の段階で犯したいくつもの重大な失敗を特定している」と述べ、名指しはしなかったものの、中国をはじめ各国とWHOの対応に問題があったと強調しました」(NHK1月20日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210120/k10012823611000.html

独立調査委が言っているのは、中国が初動制圧に失敗して感染爆発を引き起こし、それを隠蔽したことを匂わせています。
そしてさらには、テドロスが故意にWHOも初動において無作為だったと指摘しています。

特に初動においてWHOが強く批判されているのは、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態宣言を去年の1月30日まで出さず、パンデミック宣言に至っては出たのがなんと3月11日のことですから、おいおいです。
これではWHOなんてなくてもいいということになります。
かくして、このWHOの初動対応の致命的遅れによって、ほとんどの国がまったく危機感を持たずにノーガードで感染の大波をもろに食らうことになってしまいました。

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上の写真あるテドロスの北京訪問がなされたのは、去年1月28日のことです。
この男は中国の後押しでWHO事務局長に押し込まれた男ですが、既にこの1月末には武漢を中心として感染爆発を起こしており、2月中旬からにかけて武漢の病院という病院は満杯で、医療崩壊が始まっていました。
こんな感染真っ只中に北京に行って、情報を開示しろとはひとこともいわず、担当の李克強すら会わないで、いったいなにしに行ったんでしょう、この男。

時系列を押えておきます。

●感染拡大時系列
・2019年秋 初発が出た可能性濃厚
・2020年1月1日、武漢「華南海鮮市場」閉鎖。
・1月11日、武漢市で新型コロナウイルスによる初の死者が発生。
・1月12日、WHOはヒトヒト感染はないと発表。
・1月前半、広東省でも新型肺炎患者が発生。
・1月13日、タイで感染者確認。
・1月16日、日本で感染者確認。
・1月16日、中国で病院の医療陣26人の感染事実が報告されたが、武漢市は「医療陣の感染はない」と発表。
・1月中頃、医療陣から26名もの感染者が発生。
・1月20日、中国疾病統制センター(CDC)が新型コロナについて公式に認める。
この時点で発生から1ッカ月近くたっていました。
・1月20日、中国感染者135人、死者3人が確認され、韓国でも初の感染者が発生。
・1月中頃から春節休暇が開始。中国政府はまったく移動制限をかけずに放置。
・約500万人が武漢から全国各地と世界へ移動開始。
・1月23日、欧州にも火の手が上がり、イタリアで初の感染者発生。
・1月24日、武漢での感染拡大がわかると、台湾政府は直ちに1月26日には湖北省から台湾への渡航を禁止。同時に台湾国内に滞在している中国人留学生などの中国から台湾に入国していた人々の隔離を開始。
・1月28日、中国最高人民法院、「新型肺炎はSARSではないが、この情報の内容は完全に捏造というわけではない。もし社会大衆が当時、この“デマ”を聞いていたら、SARSの恐怖を思い出し、みなマスクをして、厳格に消毒し、野生動物のいる市場を避けるなどの措置をとって、今の新型肺炎防疫状況はもっとましになっていただろう」とコメント。
このごにおいてもまだ隠蔽しようとしている。

そして遅れて出された宣言後も、西欧はアジア特有のものと思ったらしく必要な措置を怠りました。
ダイヤモンドプリンセスで降りかかった火の粉を全力で制圧しようとしていた日本に対して、対岸の火事でも見るように冷笑していた欧米メディアの対応を思い出すと、苦い汁がこみあげてきます。
このように新型コロナをアジア人特有のものだとする、民族差別の香りすら漂う欧米の認識が、あっけなく崩れ去り、欧米こそが感染爆発の震源地となってしまったのは皮肉なことです。

それはさておき、WHOが適切な緊急自体宣言をださず、習近平にゴマをすっていたた1月中旬には、既に中国最大の休暇である春節が始まっており、膨大な中国人旅行者が海外に殺到する事態となってしまいました。
実はこの時期、武漢はパンデミックに陥り、感染拡大は全国に飛び火していたのです。

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わが国も中国との渡航制限が遅れましたが、世界はまったくの無警戒で中国人旅行家者を受け入れてしまいます。
春節で移動する人口は延べ実に30億人!
世界は地獄の蓋を開けてしまったのです。

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もちろんこの独立調査委の中間報告について、中国政府の代表はいつものようにこうケチをつけることを忘れてはいません。

「WHOの執行委員会では中国政府の代表が発言し、中間報告について「中国は感染状況をWHOに直ちに伝え、ウイルスの遺伝子配列をできるだけ早い段階で共有し、最も包括的で厳しい感染対策をとった」と反論しました。
そのうえで「中国以外の4か国で7例しか報告されていなかった去年の1月23日に、中国は武漢の公共交通機関の規制を発表し、人口1000万を超える武漢を止めた。決して軽くない毅然とした決断だった」と主張しました」(NHK1月20日)

なにが「毅然した対応」というのでしょうか。呆れて言い返す元気も失せます。
こういうことをシャラっと言えてしまう鉄面皮の国、それが中国です。
見え透いた嘘を堂々と言う、それも何度も何度も聞き飽きるほど言い続けるうちに、事実を指摘するほうがバカバカしくなって匙を投げてしまい、とどのつまりその言い分が通ってしまって「事実」となる、これが中国の常套手段です。

上の時系列を見ればわかるように、20年1月24日の時点で中国国家衛生健康委員会が認めた死亡者は、当時感染が燃え盛っていた武漢がある湖北省で新たに15人確認され、合わせて41人、患者数は全国29の省や市などで1287人(25日で1331人)だけだと発表しています。

そもそも発生したのは、2019年秋のことで11月から12月にかけては、既に武漢では原因不明な病気で患者が溢れていたという内部告発がありましたが、中国当局は完全にこれを隠蔽し、告発した医師らを拘束しています。

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1月中旬とみられる武漢市内病院風景

結局、国民はなにひとつ知らされないままに、1月中旬から始まる春節で国内や海外への民族大移動に出掛けてしまいました。

ポンペオ前国務長官は去年5月6日の会見でこう指摘しています。

「中国は世界で数十万人の人々の死を防ぐことができたはずだった。世界が地球規模の経済低迷に転落するのを救えたはずだった。
かれらには選択の余地があった。ところが、しかし中国は武漢での感染大流行を隠蔽した。
国家衛生健康委員会は1月3日にウィルス・サンプルの破壊を指示したのだ」

この中国当局の意図的隠蔽は文書で確認されています。

「国家衛生健康委員会弁公庁 2020年1月3日
6 の通知が発出される以前に、すでに関連する医療衛生機構で関連する病例の生物サンプルを取得している機構及び個人は、そのサンプルを直ちに隠蔽、あるいは国家が指定する機構に送って保存保管し、関連する実験活動や実験結果を適切に保存する」
(正論2月『中国の隠蔽指示文書全文』)

この中国政府の意図は、ただの隠蔽だけに止まらず、新型コロナウィルスのサンプルを、国家が独占してしまうことを意味しています。
これはこの通知1にあるように、「死亡患者の死体組織・臓器等」まで含んでいる徹底さです。

長くなりましたので、あすに続けます。

2021年1月21日 (木)

辞めた大統領を訴追する異常な国

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バイデンが就任式を挙げたのは、まぁいいとしましょう。(よかぁありませんが)
トランプに対する上院の訴追はまだ続けるそうです。
ああ、なんたるしつこさ。辞めた大統領をまだ訴追するという異様な執念。米国さん、あんたら韓国化しているよ。

「【ワシントン=中村亮】米下院本会議は13日、連邦議会議事堂の占拠事件を扇動したとして、トランプ大統領を弾劾訴追する決議案を可決した。2019年12月に続く弾劾訴追で、トランプ氏は2回の弾劾訴追を受けた史上初の大統領となった。次の焦点は上院の弾劾裁判に移るが、開催は20日の新政権発足後になりそうだ。
決議案は弾劾条項に「反乱の扇動」をあげた。「トランプ氏は議会での非合法行為を促す発言を意図的に行った」と断じ、6日の議会占拠事件に関与したと結論づけた。事件は民主党のバイデン次期大統領の選出手続き中に起きており、「民主的システムの正当性を脅かした」「平和的な政権移行を妨害した」などとトランプ氏を批判した」(日経1月14日)

下院では強引に訴追を通したものの、上院ではまだなことから、新政権が発足した後も訴追作業を継続するということのようです。
私はせいぜいが就任式で幕引きとなると思っていたのですが、旧政権の大統領に懲役20年を宣告して、死ぬまで牢獄に入れておくどこかの国といい勝負です。(クネさん、無惨に痩せちゃったね)

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 ナンシー・ペロシとミッチ・マコーネル

この新政権になっても執拗な訴追方針は、下院議長のワニばばぁと、上院共和党総務・裏切りミッチのふたりに主導されています。

「トランプ氏の任期切れが1週間後に迫るなかで、異例の弾劾訴追になった。民主党のペロシ下院議長は13日、議場で「大統領は我々が愛する国家にとって明確で今まさに存在する危険となっている」と指摘し、事件からわずか1週間で弾劾訴追に至った理由を説明した。前回は調査開始から弾劾訴追まで3カ月近くを要していた。
次の舞台はトランプ氏が有罪かどうかを争う上院の弾劾裁判に移る。与党・共和党上院トップのマコネル院内総務は13日の声明で「今後7日間は安全な就任式(の開催)やバイデン次期政権への秩序的な移行に集中することが国にとって最も良い」と指摘。政権交代する20日までは弾劾裁判を開かない考えを示した」(日経前掲)

民主党の事実上の「党首」であるワニばばぁ、ことナンシー・ペロシと、共和党上院院内総務の裏切りミッチこと、ミッチ・マコーネルは利害が完全に一致しています。
このご両人の目指すことは、ただひとつ。トランプの完全排除です。
それも政界からの排除なんて生易しいものではなく、公民権を剥奪して手鎖つけてナポレオンよろしくどこかの離れ小島にでも終生幽閉したいんじゃないでしょうか。

どうしてここまで恐れるのか、理由はハッキリしています。トランプが怖くて怖くてたまらないからです。
彼は今回の不正選挙疑惑追及の過程で、ある意味、現職大統領の時以上のカリスマ性を帯びてしまいました。
バイデンは就任式を理由に狩り集めた州兵の身元チェックをしないと夜も寝られなかったほどで、テキサス州知事は「プロの州兵をなめとんのか、こらぁ」と怒っています。
実際に、テキサス州兵の大部分はトランプ支持者で、バイデンが不正を働いたと考えています。
これはテキサスに限らず、7300万人のトランプに一票を投じた人の共通の認識で、有権者全体の実に半数に匹敵します。

トランプは今や支持者に「迫害を受ける受難者」として刻印されてしまいました。
この受難を受けながらもまた帰ってくると訴えており、彼のパワーは衰えるどころか、いっそう強いアイコンに成長していこうとしています。
それがコワイ。だからこそ、マコーネルは民主党のペロシと組んで、自分の党の大統領を売ったのです。

下院の訴追において共和党から10人が賛成し、4人が棄権にまわり、民主党と行動を共にしました。
一般の共和党員や議員たちの彼らへの怒りはすさまじく、むしろ衛生無害のじぃさんへではなく、決定的瞬間に裏切った者らに向けられています。

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ロイター

不正選挙など妄想にすぎないと書き続けてきたロイターはこう書いています。

「19日 ロイター  米共和党が「弱虫」議員たちに支配されるぐらいなら、いっそ党をつぶした方がましだ――。トランプ大統領支持者たちによる連邦議会議事堂乱入事件の後、一部の同党議員たちがトランプ氏を非難して距離を取りつつあることに対し、米テキサス州西部ホックリー郡の共和党地区委員長、パット・コワンは本気でそう考えている。
コワン氏は、同郡レベランド市の自宅で「連中は民主党員か共和党員か、もはや区別がつかない」とあざけった。(略)
乱入事件の数時間後にバイデン氏勝利の認定に賛成したテキサス州選出の共和党下院議員たちに対し、怒りをたぎらせている。
もっと頭にきているのは、トランプ氏への弾劾訴追決議案に他州選出の共和党下院議員10人が賛成したことだ。コワン氏は「これで新党立ち上げを思い浮かべた人は多い。トランプ氏が党首になるというのが私の考えよ」と話す。
ロイターが20人余りのテキサス州の有権者や党幹部を取材したところ、多くが同様の考えを表明した。トランプ氏が大統領を務めた4年間のうちに、米国全体だけでなく共和党自体まで分断が進んでしまった事実が浮き彫りになった」(ロイター1月20日)
https://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/reuters-20210120064.html

それでもテキサス州はまだまとまっているからいいようなものですが、ジョージア州などではもっとひどい分断が進みました。

「上院決選投票で共和党候補が2人とも敗北したジョージア州では、党内部が混乱の極みに達している。いずれも共和党のケンプ知事とラフェンスパーガー州務長官が、同州の大統領選結果を覆すようトランプ氏から手伝いを要請されて拒否。これをトランプ氏が猛然と批判したことで、同州フォーサイス郡の屋外広告ボードには先週、ケンプ氏とラフェンスパーガー氏を、投獄すべき「裏切り者のRINO(Republicans In Name Only=名ばかり共和党員)とののしるメッセージが掲げられた」((ロイター前掲)

ここで出てくるRINOとは、「Republican In Name Only」の略で、「名ばかりの共和党員」のことです。
いちおう共和党に現住所があるものの、本籍はリベラル。脳みそはピンク。民主党と根は一緒の連中です。
歴代の共和党主流は彼らが占めてきていました。
ざっと有名どころを挙げただけで、願いましては、ジョージ・ブッシュJrとその副大統領だったネルソン・ロックフェラー、その国務長官だったコリン・パウエル、国防長官ウィリアム・コーエン、リチャード・アーミテージ国務副長官、副大統領候補ミット・ロムニー、元大統領候補ジョン・マケイ、そして我らが上院院内総務のミッチ・マコーネルなどなど。
日本でいえば、90年代自民党中枢の野中や加藤、今なら二階やゲルあたりの顔を思い浮かべていただければ、あたらずとも遠からずでしょう。

彼らRINOの面々は、トランプの組閣に自分らの息のかかった者を強引に入れようとしたり、トランプ再選を望まないどころか、積極的に民主党とつるんで妨害工作を行い、不正選挙疑惑に対してはろくに調べもしないで妄想の一言で片づけてきました。
そして今度はとうとうワニばばぁとタッグを組んで訴追積極推進ですから、もう「隠れ民主党」なんていわせません。まんま民主党員です。

オールド・メディアは、トランプのことを「二つの弾劾訴追を受けた初めての大統領」という呼び方をしますが、ちょっと待って下さいよ。
最初のウクライナ疑惑とやらは、先日に出た議会の調査報告書においても、トランプはとうに無罪となり、フリンは偽証をFBIから強要されたことがわかっています。

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ニューズウィーク

この疑惑はフレームアップされたものて、逆にオバマ自らが立案し、FBIを使ってでっち上げた「オバマゲート事件」だというのが、トランプの主張でした。
今後、政府の秘密文書開示でさらに裏付けがすすむとみられていました。
この1回目の弾劾訴追騒ぎが起きたのは、時もあろうに2018年6月18日の米朝シンガポール会談の当日です。

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時事

まるでこの日を狙ったかのように、FBIはトランプ側近であるフリンの聴取を行いました。
どこの国に、敵国首脳と交渉する当日に、自国を代表する大統領を訴追するアホがあるのでしょうか。
プーチンなら、こんな裏切り行為をする輩はまとめて毒殺です(おお、こわ)。

これでは、大統領共々米朝直接会談そのものを潰そうと意図したものだと、後世いわれてしまうことでしょう。
しかし、トランプはそのような妨害にもめげず、見事なマッドマン戦略を駆使し、正恩を追い詰めていったのはご承知のとおりです。
結局、北朝鮮との戦争は回避され、核兵器開発は不発に終り、正恩はストレスによる暴飲暴食で死亡説すら流れる有り様です。

そして、今回に至っては、訴追決議書はたったの3300字にすぎません。
Impeaching Donald John Trump, President of the United States, for high crimes and misdemeanors
https://degette.house.gov/sites/degette.house.gov/files/Impeachment%20Resolution.pdf

その訴追根拠としているのは、憲法の訴追条文にある「下院が唯一の弾劾権を有する」こと、「大統領は反逆罪、賄賂、またはその他の重大な犯罪と過失による弾劾および有罪判決によって当局から解任される」という2点です。

この憲法規定に基づき、今回トランプが、「職務を忠実に遂行し、能力の及ぶ限り憲法を維持し、保護し、擁護するという、そして法律が忠実に執行されるように注意するという憲法上の義務に違反し、米国政府に対する暴力を故意に扇動する(willfully inciting)ことによって、重大な犯罪と過失に関与した」と、しています。

具体的には、1月6日、「合同会議が始まる少し前に、トランプ大統領は近くの彼の政治的支持者の群衆に話しかけた。そこで彼は、『我々はこの選挙に勝った、地滑り的勝利だ』という誤った主張を繰り返し」、「議事堂での切迫した無法行為(imminent lawless action)を奨励(encourage)し、そして結果が予見可能な(foreseeably resulted)発言を故意に行った」とし、「トランプに扇動された暴徒が国会議事堂を不法に侵害した」と主張しています。
しかし、議事堂に侵入した者の証言などの因果関係を証明する貼付文書はいっさいなく、ただの印象でつなぎ合わせたものにすぎません。

そしてこの暴力煽動のみならず、2日に起きたジョージア州知事・州務長官への「大統領選挙の結果認証を覆し、妨害するという彼のそれ以前の取り組みと一致する」として、2日のジョージア州務長官への電話で「結果を覆すのに十分な票を見つけるよう促して、脅した」ことをあげています。

これらの訴追理由がいかに根拠薄弱なものかは、既に記事にしていますのでそちらをお読み下さい。
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トランプが改竄指示を出したですと?

ワニばばぁと裏切りミッチがしているように、新政権になっても辞めた大統領を弾劾訴追する国になり下がっておきながら、なにがバイデンの就任演説のような「ユナイト」(団結)ですか、笑わせないでください。
分断は民主-共和だけではなく、共和党内部にもおよび、いまや国を二分する勢いです。
いずれにしても、この訴追が上院で通るか通らないか予断を許しませんが、仮にトランプが葬られる事があっても、彼は「受難のアイコン」として再び蘇ることでしょう。
それほどまでにトランプを大きな存在にしてしまったのは、皮肉にもトランプに唾を吐きかけ、石打ちをしようとしている彼らなのです。

 

2021年1月20日 (水)

山路敬介氏緊急寄稿 宮古島市長選「チーム沖縄」敗れる その2

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                                                     宮古島市長選「チーム沖縄」敗れるその2
                                                                                                  山路敬介

承前

しかし、そんな座喜味氏の小賢しい返事は子供でも信じません。この事の発端は前回2017年市長選挙にあります。
二期目だった下地敏彦市長に反旗を翻した議長の真栄城徳彦氏が市長選に出馬し、保守分断選挙となりました。
公明たのみの真栄城は下地市長にあえなく敗れましたが、このとき真栄城側についたのが当時県議だった座喜味一幸氏でした。

そうしたなか、今度は昨年の県議選で市長派から下地康教氏をたてられ、座喜味氏はこれに惨敗しています。
いわば、あきらかに連鎖的怨恨の動機からオール沖縄側に寝返ったのであって、そのさらなる遠因は自民県連内で非主流派に陥った事からでもあります。
「まことに宮古らしい」と言えば宮古らしい権力争奪戦ですが、これから市議会は荒れるでしょう。
座喜味氏の公約はきわめて抽象的で曖昧なもので、選挙中も「腹七分」とか「左右イデオロギーを乗り越える」だの、故翁長前知事の演説を聞いているのかと勘違いしそうで眩暈がするようでした。

「刷新」して、それから宮古をどういう方向にもっていこうとしているのか、そういう肝心な事がぜんぜん語られていないのです。なんの為の「刷新」か、何も語られていいません。
敗者となった下地市長は「これからはハードではなく、ソフト面の整備に注力する」としていて、建設特需に沸く宮古島経済を軌道修正しようとしていたので、それが建設事業者に受けていない嫌いがありました。

また宮古島市の貧困問題にも注視していて、その事を「改善して行く基盤がようやく出来た」としていました。経済学で言う「トリクルダウン理論」が通用しない土地柄である事をよく理解していた数少ない政治家であったので、残念でなりません。

なお、選挙期間中「デニー知事は案じたよりも、はるかに良くやっている」との声を聞く事が度々ありました。デニー県政に対する批判報道は控えめで、そのような印象を持ってしまっている有権者が多く、その事が今回の選挙でも影響して出たものと言えます。

ですが、デニー県政の迷走ぶりは就任3年目に入っても際立っています。一つだけ分かりやすい例を言います。
皆さんは、沖縄県がコロナ死亡率がダントツで一番多い事をご存知だったでしょうか?さんざん叩かれている東京でさえ10万人あたり5人なのに対し、沖縄県は東京を上回る5.7人です。これは全国平均の優に2倍でもあります。

報道では「死亡者数」で語る事により、沖縄県の失態はうまく隠されています。知事のコロナ対策の右往左往が要因である事は当然として、仲井眞知事時代に比して県行政全体として系統的な鈍重さが顕著に見えます。
宮古の前市長だった革新系の伊志嶺市長時代がちょうどその様で、行政に活気がなく市経済はどん底でした。
それでなくともコロナ後の経済環境が憂慮される最悪の時代に突入し、私たちの生活や安全保障環境分野にどのような変化が起きるのか。

新市長に就任する予定の座喜味氏からはこれまで、ハッキリとした発信がないままに結果だけが出てしまった事で心配でなりません。

                                                                                                                                          了

 

                                                                                                                                     文責     山路敬介

                                                                                                                                      

2021年1月19日 (火)

山路敬介氏緊急寄稿 宮古島市長選「チーム沖縄」敗れる

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                                    宮古島市長選「チーム沖縄」敗れる
                                                                                             山路敬介

 1/17投開票の宮古島市長選において現職の下地敏彦氏が敗れ、政治的な立場として一貫して「保守」と目されつつも今回オール沖縄側の支持を受けた座喜味一幸氏が初当選しました。その差は2782票なので「僅差」とも言われますが、投票率が当初想定されたよりも低い65%程度である事から現職優位に作用したはずで、実質的には「僅差」とは言えないものと思います。

この選挙における私の立場は断固とした現職下地敏彦市長支持派であって、出来るだけの選挙活動も手伝って参りました。私のすすめによって名簿に記入いただいた方々には、これから一言お礼を言って廻る事にしています。
また、下地敏彦現職市長はチーム沖縄(沖縄振興を考える保守市長の会)の会長であった事もあり、このように沖縄保守の重鎮を落選させてしまった事を県内保守層支持者の皆様にもお詫びせねばなりません。

下地市長の多選批判はもともとありましたが、今回の出馬表明は菅政権発足に合わせた素早いものでした。あつい信頼関係をもとにした「菅=仲井眞ライン」は、これからの日本政府=沖縄に欠かすことが出来ない大事な太いパイプです。
同様に下地市長も経済・自衛隊誘致などの懸案をつうじ、国境を接する離島や辺々自治体に気を配った官房長官時代の菅氏とも、直接忌憚のない意見を交換できる関係でした。

厳しくなる一方の宮古島の安全保障環境を考えた場合、雰囲気だけの多選批判は意味を持ちません。しかし、そういう訴えが通じる世論は初めからないのであって、自衛隊誘致に熱心だった人たちさえも「自衛隊がいるから安心」として終了してしまっているのが現状だったと思います。

また、今回の敗因の一番のキモは、革新やオール沖縄側が保守分断を図った事が功を奏した点です。
当選した座喜味一幸氏は4期にわたり自民党県議を勤めながら、前回県議選で落選中でした。このときの私は、当選した市長派新人の下地康教氏ではなく、座喜味一幸氏に一票を投じました。
座喜味氏の議会におけるデニー知事への質問は舌鋒鋭く、尖閣問題をはじめ自衛隊誘致問題など、全般に保守派らしい観点から安全保障問題をないがしろにするデニー知事を厳しく追いつめていたからです。

オール沖縄側は市長選の候補者選定にさいし「市政刷新の会」なる組織をつくり、そこで革新系の候補者を統一する手続きをすすめていて、そこで落選中の座喜味一幸氏は「一本釣り」されました。
純然たる保・革の闘いでは、オール沖縄側には勝ち目がありません。座喜味氏をたてる事により、革新票にプラスして、保守票の一部を取り込む作戦が大当たりしたのです。

座喜味に対してオール沖縄側からの条件はいくつかありましたが、なかで「デニー知事と協調して市政をすすめる事」との項目がありました。座喜味氏はそれを承諾し、デニー知事の推薦を得ました。
よくもこんな条件を呑んだものだと呆れかえり、私は直接座喜味一幸氏に苦情の電話を入れました。いわく、「宮古における自衛隊誘致に賛成の立場で一致したから」との答えでした。

                                                                                                                                            (続く)

 




2021年1月18日 (月)

サイレント・インベージョンに警鐘を鳴らすポンペオの遺言

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マイク・ホンペオは、歴代米国国務長官としてめざましい功績を残した人物でした。
トランプもさることながら、ポンペオを米国政府から失うことの損失ははかり知れません。
これはわが国とクアッド諸国にとっても同様で、バイデンはこの対中同盟を骨抜きにするでしょう。
バイデンはすでに「自由で開かれたインド洋・太平洋」という表現を避けて、「繁栄」という価値観を放棄した言葉に置き換え始めています。

ポンペオの単独インタビュー記事がEpoch Timesのユーチューブにアップされましたので、抄録しておきます。
エポックタイムズは、そろそろユーチューブから凍結されるかもしれないのでお早めに。

この中で彼は、米国という大国が隅々に至るまで中国共産党によって浸食され、情報や科学技術を盗まれたのみならず、変質させられて、彼らの手先になってしまったことを警告しています。
これはサイレント・インベージョン(静かなる侵略)そのものです。

そして中国共産党によって変質させられてしまった国内勢力は、建国の自由の精神をふみにじっています。
それはこの間の彼らのやり口を見ればお判りになるでしょう。
今、米国が直面しているのは、異論を許さない言論統制の社会、デジタル全体主義の社会です。
トランプはそれに対する反逆者として吊るされようとしているのです。
ならば、この1カ月に及ぶ不正疑惑追及のうねりはその憲法を守ろうとする勢力と、それを蝕む勢力との戦いであり、今後も形を変えて継続されねばなりません。

(聞き手エポック・タイムズ上級編集者ヤン・エキレックYOUTUBE翻訳付インタビュー )

                                                          ~~~

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 世界中の自由を愛する人々は、歴史を通じて独裁政権の本質を見抜いていましたが、それを無視してきました。私たちがこれを無視した理由の一つは、外交政策を確立していたからです。
中共と十分な取引をし、交渉をすれば、中共の一部は少なくとも対外的に公正かつ互恵的に取引するだろうと信じていました。しかし、それは完全に間違っていました。様々な理由のため、あらゆる方面からの抵抗がありました。

経済的な理由や、より良い状況になると信じている人もいましたが、明らかにそうではありません。トランプ大統領は、選挙運動を開始し、就任したときからこのことを認識していました。
今では米国だけでなく、西側諸国の中国に対する見方も根本的に変わったと思います。欧州、豪州、東南アジアも分かっています。
彼らは中共が悪だということを認識しています。
この巨大な脅威から目を逸らし、その結果現在この脅威に直面しています。我々の国に侵入しています。中共は米国に浸透しています。トランプ政権はあらゆる面で舵を取り、米国が再び正しい道に戻り、中国の共産主義の脅威から米国を守ろうとしています。

トランプ大統領の指揮の下、私たちは中国だけでなく、他の国でも信仰の自由に焦点を当ててきましたが、特に中共を注視しています。
中国西部のウイグル人に何をしているのか、チベット人に何をしているのかを見てきました。
今では中国北部のモンゴルの人々や全国のキリスト教徒など、他の少数民族にも同じことをしています。

聖書の中国化など、人間の尊厳に対する根本的な侮辱は独裁政権の特徴です。
人々が神から与えられた権利を実践でき、中共が選択した信仰ではなく、自らの信仰を持てるよう中共に要求します。
中国国民は産児制限で出生数まで定められる独裁政権の下で暮らしています。長い間、彼らは自分の望むように子どもを持つことさえできず、選択的中絶が行われてきました。

過去50年の文明の最大の悲劇は、中国国内で起こりました。しかし、それを推進しているのは中国国民ではありません。お金を盗み、国有企業に世界のあるべき姿からかけ離れた行動をさせているのは、これらの指導者たちなのです。
私は中国人を尊敬していますし、中国の人々が違う道を望んでいると確信しています。彼らは自由を望んでいますが、それを否定しているのは中共です。ですから、中国共産党と中国を切り離すことは重要です。

中国との取引は、中国が我々に製品を販売し、我々が製品を購入し、それが公正かつ公平で相互的であれば問題ありません。
米国で投資する同じルールで、米国の企業や欧州の企業が中国に投資し、米国の国家安全保障に影響を与えないなら構いません。
我々や世界がしてはならないことは、私たちが50年間やってきたことです。

中国が例外を要求するたびに、それが国家安全保障政策の例外であれ、WTOの貿易ルールであれ、あるいは彼らが放言する「世界保健機関(WHO)は興味深いが、率直に言って、彼らの要求に従うつもりはないし、彼らを取り込みは政治化している」などは、我々が止めなければならないものです。容認するわけにはいきません。

我々が大切にし、我々の建国者たちが、ここ米国で大切にしている自由の理念は、世界が今後50年間、どのように関わっていくかのルールの基礎となるべきものでなければなりません。
我々が重要だと認識していることに、欧米が立ち上がらなければ、中国共産党は勝者となり、我々の子供や孫たちは、全く違った世界で、暮らすことになるでしょう。誰もそれを望んでいません。

米国に留学する中国人学生は、年間30万人以上います。そのような学生が米国に来て学び、欧米に触れたいのであれば、問題ありません。
しかし残念なことに、中共と国家安全部、そして中国国内の安全保障機構である人民解放軍は、これらをあまりにも多く取り入れてきました。
我々は直ちに確認できた人物数千人を追放しました。それは今までになかったことです。
また中共が浸透した、あるいは少なくともアクセスした、助成金や研究プロジェクトに関連するリスクを学校側に認識させるために、これまで以上に多くの取り組みを行ってきました。そうすることでより良い研究機関にすることができます。

私たちが適切な方法で、セキュリティ要素を管理し、確実に保護することができれば、中国の学生がここで学ぶことは全く問題ありません。
しかし全世界がそうする必要があります。米国の教育機関だけでなく、彼らは豪州や欧州など、世界中の教育機関で学んでいます。 これは米国だけの問題ではありません。 全世界がこの問題に、取り組まなければなりません。

私は議員として6年間、トランプ政権で、4年間務めてきた経験からすると、他でもなく中共に不信感を抱き、中共の成すことは全て愚かなことだと言えます。彼らは次から次へと約束を破りました。米国との約束だけでなく、世界との約束、香港の人々との約束、中国本土の人々との約束、南シナ海を軍事化しないという、オバマ元大統領との約束を破ってきました。何度も何度も、このようなことがありました。

ウィスコンシン州でも話しましたが、米国民は、中共が我々の周りの至る所に浸透していることを知っておくべきです。
彼らは私たちの学校で活動していますし、団体や組織でも活動しています。市民団体と称し、実際は中共の情報収集活動を行なっています。
この種の脅威は、私たちが非常に長い間見てきた脅威とは異なるので、必要とされる対策も異なるものでなければなりません。彼らが領事館を通じてスパイ活動をしていたのは明らかだったので、ヒューストンの領事館を閉鎖しました。米国民は中共が、米国の利益にかなうような行動をとっていないことを認識し、警戒する必要があります。米国の指導者は、このことを米国民に明確に示す必要があります。

私たちは様々な信仰や、政治的背景を持つ人々に、建国当時に立ち戻ってもらい、「米国の伝統に基づいた、効果的な外交政策の方法は何か」と言っていました。
私たちは今、一人一人にとって非常に重要な、これらの本質的な権利について話すための世界的な取り組みを始めました。、、米国の偉大さや、我々の建国の父が、いかに聡明で優れていたか、そしてそれがなぜ建国の繁栄の中心に、あったかを思い出させてくれます。
これらの権利は重要です。すべてが権利になるのであれば、私たちの外交政策は原則に基づいた方法では、提供できないので、その伝統に戻りたいと思っています。

 

2021年1月17日 (日)

日曜写真館 冬の日はずうっと風がたびしてる

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冬の日はずうっと風がたびしてる       中山及維(小5)

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鳥わたるこきこきと缶切れば    秋本不死男

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音たてて立冬の道掃かれけり  岸田稚魚

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冬がきたからだうごかせあつくなれ   安達和津(小1)

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太陽も寒くてはやくしずんだよ 小林和真(中1)

出典 『こども歳時記』より

 

2021年1月16日 (土)

反トランプ全体主義

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とうとうトランプはユーチューブからも追放され、映画に写っていた彼の姿さえ削除されてしまったようです。
もはや負のアイコンなどといったかわいいものではなく、立派な反社会分子扱いです。
現職大統領をつるし上げただけでは飽き足らず、一切の言論空間から追放してしまう国ですか、すごいね。

1月6日の議事堂占拠事件については、現時点で解明することは難しいでしょう。
SNSでは乱入分子の中のピンクの帽子の女性が指揮する様子が写っていますが、なにぶん解明されるには時間が必要です。
憶測を許していただくなら、私はあの事件は以前から周到に企んでいた少数の者が煽動し、冷静に実行したものではないかと考えています。
ペロシのPCをターゲットにするなど、あまりに手際が良すぎますし、簡単に侵入できてしまったいきさつも疑惑に包まれています。

ちなみに暴動を煽動し、その騒乱の中で特定の標的を破壊したり、略奪する手口は中国がお手の物にしている工作です。
かつての反日暴動の際、松下の工場に乱入した暴徒の一部は、正確に最も高価で代替がきかないマシーンのみを破壊の標的にしました。
あきらかに破壊工作のプロの仕業でした。

しかしだとしても、いやそうだとするとなおさら、この議事堂占拠事件は闇に包まれたまま消えていくでしょう。
そもそもFBIはこの事件の前日に、乱入計画を察知していたという情報すらあり、ペロシに警告していたという未確認情報もあります。
あれだけ多くの過激グループが乱入をほのめかしていたのですから、それを知らなかったとすればFBIはよほどの馬鹿です。

しかも当日の警備はがら空きでした。
トランプ煽動説のロイターですら、当日の警備ががら空きだったことに疑問を述べています。

「トランプ氏の演説線推し説の会場などの警備計画に詳しい法執行機関の幹部は、議会警察の準備不足に衝撃を受けたと漏らす。「まるで(サイレント喜劇映画で警官ネタを得意とした俳優グループの)キーストン・コップスの芝居のようだった。本来ならば乱入事件は発生するはずもなかった。われわれは全員、トランプ氏支持者が押し寄せると承知していた。警備でいの一番に必要なのは、そこの警備の存在を見せつけることだ。議会警察は本質的には治安警備の部隊だ。議会警察に対する準備がなぜもっとされていなかったのか、理解に苦しむ」と首をかしげた」(1月12日ロイター)

つまり、治安当局は事前に各種の乱入計画を知り得る立場にいていながらそれを警備当局に通知せず、当日の警備はガラ空きのまま乱入を許してしまったということになります。
FBIと警備当局はよほど無能か、さもなくば別の意図を疑われてもしかたがありません。

この訓練された小グループは、トランプの演説が終わる1時12分前にすでに議事堂前に集結し、議事堂の見取り図まで用意して、テッド・クールーズの異議申し立て前には窓を破って侵入を開始し始めていました。
目標は大衆を煽って議事堂に乱入させ、異議申し立てを中断させ、トランプにその罪をなすりつけること、そしてさらに司直に押収された場合に危険物となるペロシのPCをあらかじめ確保しておくことでした。
もちろんすべて私の憶測にすぎません。

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いずれにしても、この事件は司直が解明に乗り出さないかぎり判らないことばかりで、事件からわずか数日後にトランプにひとことの抗弁の機会も与えることなく、魔女狩りよろしく樹からぶら下げてしまっては、初めから解明する気など皆無ということです。
トランプを完全に葬ること、それが目的だったんでしょうから、目的は見事に達成されました。
このようにあたふたとトランプを「処刑」してしまったことを、後に米国はひどく後悔することになるはずです。

さて、ツイッターCEOのジャック・ドーシーが気になることを言っています。
これもSNS情報で恐縮ですが(いかに私たちがこれに依存していることか)、ドーシーは新大統領が就任したらさらに規制を強化していくと取れる発言を社内でしていたようです。
すでにツイッターはトランプ陣営の発言だけで7万人のアカウントを停止していますから、これを更に徹底的に行うということになります。
これが事実なら、トランプに一票入れたような者は、言論公共インフラから排除するということになります。

これについての慎重論は、米国内ではテッド・クルーズ以外からはあまり聞こえてきません。
とくに口では自由を掲げる米国リベラル陣営は、言論の自由という基本的人権に触れることににもかかわらず、むしろ拙速極まる弾劾に加担してしまいました。まったく残念なことです。
いいでしょうか。トランプを好きでも嫌いであってもそれは各議員の勝手ですが、トランプは個人ではなく7400万人が選んだ人物であって、それは有権者の実に半分、歴代現職大統領で第一位の票数だという事実です。
ですから、トランプを樹からぶら下げて公開処刑するということは、国民の半分を殺してもかまわないということなのです。

しかも何度も繰り返しますが、公聴会ひとつ開催されず、一切の弁明の機会を与えることなく、事実関係を調査することもないまま下院議長が独善的にどんどんと進めていき、気がつけば下院では決議されていた、これが民主主義大国のやることだとは恐れ入りました。
もう「民主党」なんて党名を止めたらいかがでしょうか。
しかもその尖兵がもっとも国からの規制を嫌い、自由を尊ぶ歴史を誇っていたはずのビッグテックという私企業ですから、悪い冗談のようです。

つまり議会多数派と、大手テック、そして大手メディアが結託して連合すれば、現職大統領とそれを支持する国民の半分を排除できるということです。
そしてジャック・ドーシーのように、バイデンになればこれを徹底してやるというのですから、米国は中国の全体主義国家になりたいのか、いやもう既になっているのか、と薄ら寒くなる思いです。

彼らは勘違いしています。
トランプを吊るしても鎮静化しないどころか、いっそう混乱は拡がり深みにはまっていきます。
彼らの強引な手法は、7300万の強い反発を招き、必ずアンダーグランドの情報が激しく飛び交うことになります。
現在でも、ユーチューブを見ればわかるように、陰謀論は花盛りで、真実とフェークが絡まりあってケイオス状態を呈しています。
ビッグテックから排除されればされるほど、この傾向はいっそう強まり、アングラ化し、小サークル化して地下に潜ります。
いくつかの陰謀論を核にしてトランプ支持者は分裂しカルト化し、過激化するかもしれません。
その一部は「ビッグテック帝国」への反乱を呼びかけて、実力行動に出るかもしれません。

そして22年の中間選挙、24年の大統領選を標的として、いっそうその抵抗は強まることはあっても、弱くなることはないはずです。
ビッグテックに歴史から学ぶ気があるなら、言論統制をすればするほど、必ずその裏世界ができてしまい、それを止めることは不可能だと判るでしょう。
今回、メルケルやロシアの野党指導者ナワリヌイが、このビッグテックの排除を批判したのは、彼らは揃って国家による言論統制の表裏を知り尽くしているからです。

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毒を盛られて苦しむ反体制派ナワリヌイ

メルケルは東独で半生を送り、ナワリヌイはプーチンに毒物を呑まされて死にかかりました。
メルケルやフランス首相は、かねてからGAFAの独占を容認していけば、ただの税金逃れだけに止まらず国家の主権に関わることだという危機感をもってきました。
これがGAFAに対してのEUの規制強化につながっていくのですが、今回もフランスのルメール経済・財務相は「デジタル寡頭制」ではなく、政府が規制に責任を負うべきだとした上で、ビッグテックを民主主義への「脅威の一つ」とまで呼んでいます。

「ドイツのメルケル首相は、両社の決定に異を唱え、言論の自由を規定するルールは、民間テクノロジー企業ではなく、立法府の議員が決めるべきだと主張した。
ドイツ政府のザイベルト首相報道官は11日の定例記者会見で、「選挙で選出された大統領のアカウントを完全に停止することに問題があると首相は考えている」と説明。 言論自由のような権利が「制限されることはあり得る」が、「それは法律によってか、立法府が決める枠組みの範囲内で行われ、一企業の決定によるものではない」と述べた。
一方、フランスのボーヌ欧州問題担当相は11日、ブルームバーグテレビジョンに対し、民間企業がこのような重要な決定を下すことに「衝撃を受けた」と発言。「これは最高経営責任者(CEO)ではなく市民が決めるべきだ。大手オンラインプラットフォームの公的規制が必要だ」と語った」(ブルームバーク1月12日) 

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ルメール経済・財務相  ブルームバーク

トランプもはっきりとGAFAとビッグテックに対して通信品位法などを使って規制強化する方針を決めていました。
このようにビッグテックやGAFAがタックスヘイブンを利用して好き放題に金儲けし、世界の情報インフラを独占してきた時代は、世界的に終りが見えかかってきていたのです。
この危機感こそが、ビッグテックがトランプをみせしめとして潰そうとした理由です。

日本には米国の風潮に追随する悪しき習性があります。
わが国では、今回の大統領選はみごとなまでの報道管制が敷かれ、ハンターバイデンの「ハ」の字も報じられることもなく、、選挙疑惑にいたっては陰謀論、妄想のひとことで冷笑されてきました。
ビッグテック批判はまったく聞こえて来ずに、報じられるのはひたすら議事堂選挙の風景とトランプ悪玉論ばかりです。

このような空気が支配しているかぎり、もともと頭の弱い日本メディアは米国の言論に従属します。
政府も、菅さんがなまじIT改革を主政策にしているだけに、米国の新政権に追随しないかと心配になります。

 

 
 

2021年1月15日 (金)

大手テックに誰が生殺与奪の権限を与えたのか

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米国は坂を転げ落ちるように暗黒社会に突入しようとしています。
昨日1月6日の暴動劇において、トランプに議会審議を破壊する動機もなければ、それを煽る理由もないことを時系列で考えてみました。
使った時刻はNYTが記事で出したもので、トランプを弾劾するために利用したものですから、かえって信用できるというものです。
なんだ連中、トランプ演説と暴動には因果関係が存在しないことがわかっているんじゃないですか
「勇敢な議員を応援しに行こう」という呼びかけが、どうして突入して暴れて、異議申してをメチャクチャにしろとトランプが言ったということになるのか、私にはさっぱりわかりません。

さてトランプという政治家は、直接に国民大衆に呼びかけ、その力をわがものとしてワシントン・スワンプと戦ってきた政治家です。
そもそも彼は、初めから銀の匙をくわえて生まれてきたわけではなく、6回もの倒産に見舞われながらそのつどしぶとく立ち上がってきた庶民の英雄でした。
だから一般国民は彼を「ワーキングクラス・ミリオネーラ」として愛してきたのです。

そんな彼が、オバマのようなハーバードで鍛えたような高尚にして薄っぺらなスピーチをするはずがありません。
まわりくどい言い方より直接的な表現を好み、大衆との直接的コミュニケーションによって力を得た彼が、もったいぶった大統領声明よりも日常的に国民が見るツイッターを利用したのは当然のことです。
当日も「ワイルドにいこう」といったギリギリの表現を使ってしまっているのですが、そういう危なさも含めてドナルド・トランプという男の魅力なのです。
ですから、一連のツイッター・フェースブックと、それに追随する大手テックからの追放劇は、特に彼のようなタイプの政治家には極めて重い社会的、政治的制裁となるわけです。

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ツイッターCEOジャック・ドーシー  AP

今回のツイッターからの削除・アカウント停止事件で、改めてはっきりしたことは、いまや大手テックが「社会の支配者」であるという事実でした。
さらに恐ろしいことには、このタイラントに多くの企業が分野を問わず盲目的に追随してしまったことです。
Spotify、TikTok、PinteresといったSNSプラットフォーム、そしてそれをスマホのアプリにダウンロードできる権限を握るグーグルやアップル、アマゾン、果てはトランプの主要取引先金融機関であるドイツ銀行、シグネチャー銀行といった金融機関、果てはディズニーやウォールマートに至るまで制裁に追随しただけではなく、唯一の保守系SNSのParlorまでダウンロード停止としてしまったのには、恐ろしさを通り越して呆れました。

トランプに、大手新聞社が紙面を提供しないのはわかりきっていますから、この大手テックの追放劇によって、トランプは一切の社会的発言が封じられたことになります。
今や彼に残されたのは、古典的大統領演説だけとなってしまいました。それができるのも、あと5日の間だけです。
すなわち大手テックは、ドナルド・トランプという大衆政治家の口を塞いだだけでは飽き足らず、両手両足をもいでしまったのです。

高度に情報化された社会においてプラットフォームからの追放は、とりもなおさず社会的・経済的な死亡宣告なのです。
エデンの園を支配する全能の神よろしくツイッターのジャック・ドーシーは、その一存で合衆国大統領の死活を握ることが可能です。
ドーシーの政治信条に反すれば、規約を楯にしてツイッターの園から追い出し、排除されてしまうとその言論を知られることもなく、資金集めすら困難になり、事業すら倒産の危機に見舞われるのです。

これに恐怖しない政治家や運動家がいるでしょうか。
こうやってツイッターはただの民間企業でありながら、社会の監視人として頂点に君臨することが可能となったのです。
メルケルがいみじくも言うように、このようなことは民間企業がすることではなく、議会が決めることなのです。
それを一私企業が内規ひとつで左右できてしまうということの恐ろしさです。

これはわが国でも、ツイッターからいったんヘイトと見なされると即座にアカウントを凍結される一方、特定の政治家を攻撃するためのハッシュタグにはやりたい放題をさせていることでも垣間見ることができます。
ツイッターからヘイトや煽動を行ったといったん目されるると、それ以外の部分も含めてアカウントを停止され、予防的に排除される結果、以後社会的に死んだものとして扱われます。

誰が、一民間企業にこんな過大な権限を与えたのでしょうか?
いったんツイッターという言論の監視人から目をつけられれば、抗弁する機会すら与えられないのです。
こういう弁護をする機会を奪うことを、弁護人ぬき裁判と呼ぶのではなかったのでしょうか。
いや、裁判制度と比較すること自体が無意味です。
なぜなら、数百年間積み上げられてきた近代司法制度は、その手続きや訴追と弁護に関して分厚い権利と義務の事例を蓄積してきました。
その中で、いったん訴追されても抗弁する機会を十全に与えらて国民を守る仕組みが備わってきたのです。
検察ですらがんじがらめに訴訟法で縛られ、警察も職務執行法の枠内でしか動くことができません。

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それに比して、なんと大手テックの帝王らの「自由」でのびのびとしていることよ!
自分たちが作った利用規約とやらひとつで、その理由すら明かすことなく、弁解の余地なく「敵」をいつでも自由に葬ることができるのですから。
なにが正しく、なにが間違っているのか、そんなことを価値判断する権限をいったい誰が大手テックに与えたのでしょうか。

「これまでSNS運営企業は通信品位法230条に基づき、不適切な投稿を掲載したり、削除したりしても法的責任を問われなかった。SNSは人々が意見を交わす「掲示板」のような情報基盤に過ぎないと位置づけられたためだ。
ただ、社会への大きな影響力を持つようになったSNSは単なる掲示板とはいえないとして、SNS運営企業を投稿内容に責任を負う「編集者」として扱うべきだとの見解も強まってきた。一国の大統領のアカウントを停止するという踏み込んだ対応の是非も
踏まえながら、同法230条の改正を含むIT規制強化が急務となりそうだ」(産経1月12日)

テッド・クルーズが噛みついているように、言論検閲をするようなプラットフォーマーは、もはや「掲示板」ではなただのパブリッシャー(出版社)にすぎませんから、とうぜん法的規制の対象に置くべきです。

このような規制強化がの声が起きると、いや彼らは利用規約に基づいてトランプが暴動を煽動しているのを止めただけだといういうことをしたり顔で言う人がいますが、違います。
仮にそうであるとしても対象ても、その暴動を煽動する行為を停止できるのは、唯一司法という国家機関だけだからです。
煽動と考えた人がいるならば司法に提訴すればいいのですし、そのような法律は教唆罪として存在し、犯罪を事前に止める仕組みもあります。
あるいは不適切な言動だと判断できるのは、議会と政府だけなのです。

少なくとも、一私企業に言論を検閲する権限がないことだけは確かです。
このようにいまや洗練の極みに達したスタイリッシュな暴虐。自由人の服を来たタイラント。抗弁を許さない監視人。
それが大手テックです。
 

 

 

 

 

2021年1月14日 (木)

トランプは煽動したのだろうか?

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頭を切り換えて下さい。
今私たちが目にしていることは、ただの大統領選の勝敗でもなく、ましてやトランプという政治家の処遇でもなく、私たちが日々享受している民主主義システムそのものが21世紀を生き延びることができる否か、それが問われているのです。

ツイッター、FacebookをはじめとするSNS大手や、クラウドサービス提供者は、トランプをそのSNSのプラットフォームから追放しました。
それのみならず、このトランプ排除の動きはTwitterやFacebookにとどまらず、Spotify、TikTok、Pinterest他のSNSも追随しています。
ツイッターは、スマホでグーグルが提供するアンドロイドやアップルが唯一ダウンロードできる独占的アプリのために、ここから排除された場合、事実上SNSからの完全排除となります。

また、不動産業を営むトランプの主要取引先金融機関であるドイツ銀行、シグネチャー銀行は、トランプ氏との取引を停止し、オンライン決済企業のストライプ社もトランプ氏を追放しました。

「ドイツ銀はトランプ氏にとって最も重要な銀行で、現在は同氏の息子2人がみている統括組織「トランプ・オーガニゼーション」への融資残高は約3億4000万ドルとなっている。
またトランプ氏が当座預金とマネーマーケット口座を持っているとされるシグネチャー・バンクは同氏の辞任を求めた。
ウェブサイトに掲載した声明で「大統領の辞任は米国と国民の最大の利益になる」と主張した」
(朝日新聞 2021年1月12日)

またゴルフ場も、全米プロゴルフ協会が2022年の全米プロゴルフ選手権の開催予定地からはずしました。
理由をゴルフ協会は、「私たちはメンバーを、ゲームを、そして使命とブランドを守らなければならない。トランプ・ベドミンスターではそれを担保できないと感じた」からだとしています。

トランプの支持者の多くが利用するParlorはアップルストアからも排除され、アマゾンのクラウドサービスであるAWSからも排除された結果、クレジットカードを使った寄付が不可能となり、トランプへの政治献金や寄付も不可能となりました。

これでトランプは、弾劾決議が仮に通ることになれば次期大統領選への出馬はおろか公職につくことさえ禁じられ、一切の発言は封じられ、その上生業もまた倒産に直面しています。
つまりこれはドナルド・トランプという人物の完全抹殺以外のなにものでもありません。
これを公開リンチ、あるいは魔女狩りと呼ばないで、なにをそう呼ぶのでしょうか。

では改めて、問題とされている1月6日について、トランプの行動が暴動の煽動に当たるのか、検証してみましょう。
なお私は、当時から書いているようにこの議事堂占拠を強く批判します。
これはいかなる弁護の余地もない暴挙であるばかりか、このような境遇にトランプを落とした原因を作ってしまいました。

ペロシやツイッターが弾劾理由に上げているのは、トランプが集まった支持者を煽動して議事堂に向かわせ、そこで5名の死者を出す暴動を引き起こしたこと、そして今後もさらなる暴力事件を用意しているという判断でした。

問題を切り分けてみます。とりあえずこのようなことでしょうか。

①トランプに支持者を煽動せねばならない動機があるのだろうか?
②トランプの言動と暴動との因果関係が立証されるのか?
③トランプは暴動を支持したのか? 

まず当時の状況を押えておきます。
6日当日、トランプは連邦議会において最後の抵抗を試みていました。
不正疑惑をもたれている7州について異議申し立てを行い、それを無効票として逆転の道を探ったのです。
これに16年の共和党予備選でトランプと競ったテッド・クルーズ上院議員が呼応して、上院議長であるペンスの動向が注目されていました。
ペンスができることの幅は自ずと限界があることから、テッド・クルーズの異議申し立てにすべてがかかっていたといっても言い過ぎではない状況だったことを頭において下さい。
※関連記事『ペンスは禁断の封を切るか』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2021/01/post-a559a3.html

ですからトランプにこのクルーズの異議申し立てを妨害する理由はまったくなく、むしろ正常に議事が運営されることを強く望んでいたはずです。
そのトランプが、群衆をけしかけて議事を止めたというならば、トランプという男は意図とやることがまったく正反対の人物だということになります。
たしかにトランプは、セイブ・アメリカ・マーチとして支持者の結集を訴えましたが、呼びかけたのはホワイトハウス前であって、議事堂前ではありませんでした。
ここが非常に重要なことですから、頭においておいて下さい。

ではトランプが支持者に結集を呼びかけたホワイトハウス前と、事件が起きた議事堂との位置関係をみます。

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 クラブツーリズム

ホワイトハウスと議事堂感間は距離にして3キロ以上あって、この道路を歩いた人によれば早足でも30分から40分かかる距離でした。

では当日の時系列を見ておきます。これは正確に記録されています。

・1時12分・・・トランプの群衆へのスピーチ終了
「議会へ行って勇敢な議員らに声援を送ろう」と発言。

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民主党完全勝利と「トランプ・クーデター」が示す米国の末路と日本への

・1時15分・・・暴徒が議事堂に集結し、侵入を開始。
トランプ演説終了して3分後に議事堂にくることは不可能です。
また市警の阻止線は簡単に突破され、一部の警官が阻止線を開けた証言もあります。

・1時48分・・・テッドクルーズの異議申した始まる。

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トランプが煽動したとされるスピーチは、1時12分に終了しており、トランプとしてはスピーチを長くしてぎりぎり引っ張ったようなかんじがします。
それは彼の意図があくまでも院外、院内が呼応して、異議申し立てを成立させることにあったからです。
ですから、トランプがホワイトハウス前の群衆に、「議事堂に行こう」と言ったのは事実ですが、当然議事堂に乱入しろなどとは言っていません。
ただ、このような状況で不用意な場所に不用意に怒り狂った群衆を集め、不用意な発言をしたことの非は、トランプが負わねばなりません。

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一方、議事堂前には既に一群の暴徒予備軍が待機していました。
彼らは既にトランプの演説など聞く気もなく、乱入することだけを目的としていたのです。
彼らの正体は、極右だとも支持者の扮装をした極左だともいわれていますが、たぶんその混成群だったのでしょう。
いずれにしても、彼らが阻止線を簡単に(あまりに簡単に)突破し、議事堂周辺に押しかける行動を起こしたのは、1時15分です。

ホワイトハウス前から議事堂までなにもない時期に普通に歩いても30分以上かかりますから、数万の群衆の移動となるとその倍以上かかると考えてもいいでしょう。
したがって群衆が議事堂前に移動したのは、一時間後の2時以降と考えるのが妥当です。
つまり、仮にトランプの演説で煽動されたとしても、彼らと議事堂乱入とは無関係で、演説と乱入には因果関係は認められません。

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ペロシ下院議長がトランプ大統領の一般教書演説のスピーチ原稿を破いた

ペロシはこの時間的因果関係を意図的に無視して、直接トランプが支持者を煽って議事堂乱入を指示したかのように言っていますが、それは偽りです。
彼女は上の写真にもあるように、ひたすらトランプを憎み続けてきた政治家です。
憎悪感情に流されたうえに、政治的思惑も絡んでいるために、実証的にこの事件を見てはいません。
自分でも無理筋なのがわかっているとみえて、社会が総バッシングモードの今を狙って拙速に弾劾決議を通そうとしているのです。

法と秩序を信条とする政治家のトランプが暴動を認めないのは当然で、ツイッターで「暴力はだめだ。われわれは法と秩序の党だと忘れてはいけない」と投稿し、動画でも「帰宅せよ」と訴えましたが、なんとツイッターはこれすら削除しました。
続いて、一部の支持者が暴徒化した後には、「暴力をやめて家に帰るように」というビデオメッセージも出していますが、なんとこれすらも削除対象とされたのですから、呆れてものが言えません。

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この削除されたツイートの中でトランプは、We love youと呼び掛けていますから、同情的ととられてもいたしかたがないのですが、同時に文脈全体を見れば、暴力を非難し、法と秩序を重んじるべきことを強調しており、「家に帰るように」と結んでいます。
このどこが、暴力を煽動し、肯定したのでしょうか。

先ほどの私自身の問いに答えておきましょう。
①トランプに支持者を煽動せねばならない動機があるのか?
トランプは異議申し立てに逆転の可能性のすべてを賭けていました。
その彼にテッド・クルーズの異議申し立てに合わせた時間を見計らったような乱入をけしかけねばならない動機はゼロです。
今回の乱入事件で大打撃を受けたのが、誰よりもトランプ陣営であったことをみればお判りになるでしょう。

②トランプの言動と暴動との因果関係が立証されるのか?
大衆政治家として生身の大衆と共に選挙戦を戦い抜いたトランプは、一部で過剰なリップサービスをしているのは事実です。
ワイルドにいこう、とも言っているようですし、議事堂に行こうとも発言していますが、乱入しろ、議事を止めろ、などとはひとことも言っておらず、不用意なことは責められても、煽動したとするには無理があります。

トランプの言動と暴動との因果関係が立証されるのか?
因果関係は薄いか、まったくないと思われます。
時系列で見れば明瞭のように、乱入を計画していた一群は、トランプ演説のはるか前から議事堂前に集結を完了していました。
彼らはいわば職業的騒乱者であって、多くの集まった支持者とは区別されるべきです。

③トランプは暴動を支持したのか? 
トランプは暴力を批判し、法と秩序を守るように呼びかけ、帰宅するように呼びかけています。

長くなりそうなので、今日はいったんここで止めますが、ツイッターに代表される米国リベラルが目指しているのは、トランプ個人に止まらず、トランプを支持する7000万人を超える国民の半分から言論の自由を奪うことなのです。

 

2021年1月13日 (水)

米国、「一つの中国」を放棄

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ペロシばぁさんが出した弾劾決議の行方はわかりません。
憲法修正25条でペンスに要請し、断られれば今日明日にでも下院議会にかかると思われます。
状況はこうです。

「11日にも決議案を提出して早ければ週半ばに本会議で採決する案が浮上している。決議案はトランプ氏が議会乱入を扇動しただけでなく、南部ジョージア州の当局者に電話で大統領選の結果を覆すよう要求したことも弾劾訴追に相当する不適切な行為だと指摘しているという。決議案に130人以上の民主党議員が賛同している」(日経1月11日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0901Y0Z00C21A1000000 

「こうした中、共和党は、修正25条に基づきトランプ氏の職務を停止するようペンス副大統領に求める決議案の審議に直ちに入ることに反対。共和党のアレックス・ムーニー下院議員は「公聴会での審議や投票がないまま、正規に選出された大統領の解任を要求する決議案を採択するようなことがあってはならない」と述べた。
同決議案は12日にも採決される可能性がある。可決後24時間以内にペンス氏が応じない場合、弾劾決議案の審議に入る見通し。
弾劾決議案の作成に関わった議員は、下院民主党議員222人のうち少なくとも214人の支持を確保したとしており、可決の可能性が高いことを示唆している」(ロイター1月11日)

仮に下院で通ったとしても、上院は正式な政権移譲の1日前の19日まで休会ですから、まず再開されることはありえません。
どこの国に就任式に前の大統領の弾劾決議出す国があるっつうの。常識でかんがえなさい。

これで弾劾案はおしまいです。
上院で共和党から17人の造反者をだすことは無理でしょう。
テッド・クルーズ率いる異議申し立てグループがいますからね。

首都ワシントンDCに緊急事態宣言が発令され州兵が出ましたが、国土安全保障省だといわれており、おそらくは議事堂乱入で乱れた治安を回復させるためのものです。
戒厳令を期待している人には気の毒ですが、フェークに踊らされないように。
SNSでは、ワニばばぁが逮捕されてグアンタナモに移送されたとか、トランプがテキサスの軍司令部にいるとか、沼地のガスのように出所不明の情報が飛び交っていますが、こんな時期に、トランプがそんなまねをするほど愚かだと思っているのでしょうか。

これもオールドメディアが、きちんとした情報を開示しないためです。
選挙疑惑やバイデンスキャンダルはただの1分も報ぜず、ツイッターに至っては先頭切って言論統制に走るのですから、これでまともな情報交換ができるはずがありません。
この問題は重大なので、次回にゆっくりとお話します

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BBC ポンペオ国務長官

さて、この混乱をよそに、驚くべきフットワークの軽さでポンペオは最後の最後まで仕事をやり続けています。
こんどはなんと「一つの中国」を完全否定してしまいました。
マイク・ポンペオ国務長官は9日、中国政府に配慮して長年続けてきた、アメリカと台湾の当局者間の接触に関する「自主規制」を解除すると発表したのです。


「米国務長官、米台関係に制約不要と 台湾との公的接触規制を解除へ
米国務省は声明で
、台湾当局者との接触に関する「自主規制」は、台湾に対する自国の主権を主張する中国政府を「なだめる」ため数十年前に導入されたものだと説明。現在は「無効」だとした。
今回の対応は中国の怒りを買い、米中間の緊張を高めることになりそうだ。
ドナルド・トランプ大統領の任期終了が20日正午に迫る中、「自主規制」解除が発表された。(略)
ポンペオ氏は9日の声明で、米国務省がアメリカの外交官と台湾との接触を制限する複雑な規制を導入したと説明。「本日、これらの自主規制を全て解除すると発表する」と述べた。
「アメリカと台湾の関係は、この国の官僚制度が自らを縛ってきた自主規制に制約される必要がなく、制約されるべきでないことを認める」と長官は表明した。
さらに、台湾は活気あふれる民主主義の場所で、信頼できるアメリカのパートナーだとし、外交関係への規制はもはや有効ではないと付け加えた。
昨年8月にはアレックス・エイザー保健福祉長官が台湾を訪れ、蔡英文総統と会談した。1979年にアメリカが台湾と断交して以来で最高位の訪問となった。これに対し中国は、「一つの中国」の原則を尊重するようアメリカに求めた」(BBC 1月10日)
https://www.bbc.com/japanese/55599899

ポンペオは7日、米国の国連大使、ケリー・クラフトの訪台を発表しましたから、わずか1週間のうちに、二度、米台接近の強烈なシグナルをはなったことになります。
中国側は「間違った行動は重大な代償を支払わなければならないだろう」と牽制していますが、言っていることは毎度のことなので省略します。
 
一方、このポンペオの画期的な声明に対して、台湾は手放しで喜ぶかとおもいきや、落ち着いた対応を示しています。

「北京の警告に対し、台湾大陸委員会は、書面で「我々はすでに中共緩急時報のやたら激しい論評に注意している。台湾は熱くならずに落ち着いて、正面から評価している。これは疑いなく台湾米国関係の重要な進展であり、台湾米国関係の緊密化を反映している。
台湾総統府は感謝の意を示すほか、米国の次の大統領のバイデンの受け止め方にも関心をよせている。重ねて申しあげる。台湾は引き続き米国の党派を越えた支持を勝ち取り、台湾米国関係の深化させていく。
蔡英文政府の一貫した、外国事務処理の基本的態度を重ねて申しあげる。圧力に屈服せず、支持を得て向こう見ずなことはしない、だ。蔡政府は以前沈着冷静な態度をもって、国際情勢の発展に対応する」 
ちなみに「むこうみずなことをしない」という蔡英文の慎重発言を弱腰だという台湾人は多い」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.248 2021年1月11日)

 「圧力に屈服せず、支持を得て向こう見ずなことはしない」ですか、なるほどこうでなくては「戦狼」の目の前で生き延びることはできないわけです。
台湾が大きな喜びを感じているのは確かですが、ここで妙にはしゃいで「戦狼」をこれ以上怒らせて緊張を高める気はない、ということのようです。

ポンペオが20日までに次の一手を打つとすれば、トランプの電撃訪台でしょうが、そこまで踏み込むことは常識的には不可能です。
案外台湾のほうから、「お志しは嬉しいのですが、今は控えていただきたい」と言ってくるかもしれません。

何回も書いてきていますが、選挙人投票から新大統領の宣誓式までの期間は政権移行期間として、旧大統領は新大統領の方針を束縛しないのが紳士協定でした。
ところが今回は選挙疑惑があまりに大きかったためにトランプは敗北を認めずに、現在に至っているわけです。
そしてこの期間を逃さずに、最後の最後まで対中政策を後退できないように歯止めをかけているのがポンペオです。
決して褒められた手法ではありませんが、台湾を自由社会の最前線と位置づけることは、規定路線の範疇でした。

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   デヴィッド・スティルウェル国務長官補佐

「米国務省アジア太平洋担当の長官補佐であるデヴィッド・スティルウェルはフィナンシャルタイムズに対して、「米国務省の台湾との外交制限撤廃措置は、長い評価プロセスを経てきたものであり、政権交代とは関係ない。米台関係の緊密化が外交準則の改善の目標のひとつであり、米国選挙やそのほかの国内の議題の影響は受けない。としている」(福島前掲)

スティルウェルはパイロットであり、かつ三沢の空軍司令官をしていたこともあって、アジア情勢に精通しています。
彼が、バイデン政権で残留できるかわかりませんが(たぶん無理でしょうが)、彼はこれが決して思いつきでもトランプの最後っ屁でもなく、国務省内で練り上げられた評価プロセスに沿ったものだ、と言っていることに注目下さい。
スティルウェルがあえてこう言わねばならないのは、バイデンの台湾政策が明瞭ではなく、むしろ選挙戦の中で「一つの中国政策を実施していく」と言っているからです。
一方バイデンは上院議員時代には、台湾の防衛を保障した台湾関係法にも賛成しており、要するに従来の米国のあいまい路線そのもののお人なのです。
こういう人物が次期大統領になることが確実視されている以上、ここで台湾蔡英文政権がやったぜバンザイというわけにはいかなかったのです。

このような台湾の対応を百も承知で、こでポンペオが打った最後の一手が、このバイデンの未来を拘束することです。
ポンペオは「次の政権がこの外交方針を継承していくことを望む」としていますから、一部のトランプ支持者よりもよほど冷静に情勢を眺めています。
もしバイデン政権が、このポンペオの声明を覆すようなことをすれば、それはあからさまに中国にすり寄って、米国の古い友人を切り捨てることになります。
それが米国内でどのように見られるかまで計算に入れています。

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バイデン親子 バズフィードニュース

絵にかいたようなバカ息子のハンターのみならず、父親までがチャイナ汚染にまみれていることを、オールドメディアはまったく報じなくても、多くの米国民は知るようになってしまいました。
ここでバイデンが、一気にポンペオがつけた台湾承認への道筋をひっくり返せば、ほら見たことかやっぱりあの噂は本当だったのだと思われるのは必至です。
そうなると、中国の人権にはうるさいワニばばぁも黙ってはいないかもしれません。

ここで中国がいう「一中原則」(一つの中国)なるものを米国が認めているかといえば、微妙です。
あくまでも、米中国交回復時の取り決めは、米国は中国がひとつであるという中国側言い分を「聞き置いた」(テイクノート)したとだけあります。
つまり、中国さんがそういってるのは「聞いただけだ」、という意味です。
ですから、米国は中国はひとつだ」という北京の言い分にはうなずきながら、台湾との関係まで立ち切ったわけではない担保に台湾関係法を作っておきました。

これは中国が台湾を軍事的侵攻した場合、守る義務を米国が自らに課したものです。
ただし、歴代の米大統領が腰が引けていたのは、このガラス細工のような台湾の地位が、無茶をすると一気に崩れかねないと危惧したからです。
だからあえて微妙にしてあることを、中国が「一つの中国を米国は認めただろう」とばかりにキャンキャンうるさくいえばいうほど、米国はこれなら台湾を国際社会復帰させたほうがいいのかと思わせる結果となってしまっていました。

そしてそこに近年の異常な習近平の「戦狼」路線が来たものですから、台湾に対して慎重だった国務省内部にさえ、台湾の国際的地位を向上させようとする人々が増えていきました。
ですから、ポンペオの一切の交流制限を撤廃しようとするこの政策は唐突に生まれたわけではなく、習のオウンゴールだともいえるのです。

このような政策をトランプ政権がとると、俗流外交評論家(あえて名を秘す)は必ず、外交官が苦心して作ったガラス細工をメチャクチャにして、中国の台湾侵攻を助けるものです、と言うでしょうが、ならないと思います。
なぜなら、ここで台湾に軍事的侵攻なんぞしたら、トランプが大喜びするのは目に見えていますし、さすがバイデンジィさんも黙っているわけにはいかなくなるからです。
つまりは、中国はなにもできない、そこまで見越してポンペオは最後の一手を放ったのです。

 

 

2021年1月12日 (火)

またもや決まった韓国のオウンゴール

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 また韓国が目の覚めるようなオウンゴールを決めてくれました。
ウル中央地裁は8日、16年1月に開始されていた日本政府を被告とする元慰安婦12名の訴訟で、原告の起訴事実をすべて認めた上で、被告が原告らに損害賠償金として一人1億ウォン(約950万円)を支払え、との判決を下しました。
これに対して加藤官房長官は、「国際法上の主権免除の原則から、日本政府が韓国の裁判権に服することは認められない」などと述べて、相手にしない考えです。


まずは韓国自身の報道から。
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「日本政府が慰安婦被害を賠償すべきという8日の韓国裁判所の判決は、被害者には司法の正義が実現したという意味がある。日本は慰安婦被害について謝罪しながらも「賠償」という概念は最後まで拒否してきた。しかしこじれるだけこじれた韓日関係を解決すべき韓国政府の立場では、もう一つの大きな宿題を抱えることになった。日本は直ちに「韓国が国際法を違反した」と強く反発した。
裁判所は今回の判決で国際法的に通用する「主権免除」概念を排斥した。これは一国の裁判所が他国の政府の主権行為に対して裁判管轄権を持つことができないという規範だが裁判所は「主権免除論はその後ろに隠れて賠償と補償を回避する機会を与えるためのものではない」と判示した。梁起豪(ヤン・ギホ)聖公会大教授は「その間、被害者が日本と米国の裁判所に提起した訴訟ですべて敗訴したが、今回、韓国国内で救済になったということ」とし「公式的に法廷で日本政府の法的責任が認められたのは初めてであり、意味が大きい」と評価した」
(中央日報日本語版1月9日)
ソウル中央地裁が「(日本政府は)主権免除論の影に隠れて賠償と責任を免れない」と言っている主権免除論について押えておきますか。
聞き慣れない言葉ですが、外務省が丁寧に説明しています。
外務省『国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約
外務省はなぜ「主権免除」という国際ルール(国際法)ができたのか、その理由から始めています。
「かつては、国及びその財産については、すべて無条件に他の国の裁判所の裁判権からの免除を認めること(「絶対免除主義」)が一般に受け入れられた国際ルールであった。しかし、19世紀末以降、国による経済活動が活発に行われるようになり、現在、国の商業的な行為に関しては免除を認めないとする「制限免除主義」が多くの国において採用されている」(外務省HP)
19世紀までは、「国およびその財産についてはすべて無条件に他の国の裁判所の裁判権からの免除を認める」という考え方をしていました。
つまり外国の政府はおろか民間企業まで含めて、その国の訴追対象からはずされていたのです。
ところが国際貿易が盛んになって国際間トラブルが頻発すると、こんな外国企業が訴追の枠外では通用しなくなっちゃったんですね。
そこて政府と私企業を線引きをしました。
民間企業間のトラブルはその国の主権の範囲内で訴追して裁けますが、政府は除外対象としたのです。

というわけで19世紀以降、「制限免除主義」、つまり「国の商業的な行為に関しては免除を認めない」という考え方が、多くの国において採用されるに至っています。
これがちょっと小難しい表現で「主権制限論」といいます。国際ルールです。

外務省によれば、1977年に国連総会が国際法委員会に対し「主権免除に関する国際法規」の作成を検討するよう勧告し、その後は2004年12月2日、国連総会において『国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約(国連国家免除条約)』が採択されるに至りました。
しかし、30カ国にならないと条約として発効しないために、いまはその前段ですが、とうぜんわが国は国際ルールとして「主権制限論」を受諾しています。

たしかに発効の前段ですが、すでに国際ルール(通念)として通用しているわけで、ソウル中央地裁のようにいまさら「主権制限論の影に隠れて」なんていわれてもねぇ、なんです。
隠れるも隠れないも、日本としては国際ルールに従って処理してください、というしかありません。当然ですよね。

その線引きですが、外務省はこう説明しています。

「国及びその財産に関して免除が認められる具体的範囲等について主に以下のとおり定める。
(1)国は、当該国が明示的に同意した場合等を除き、他の国の裁判所の裁判権からの免除が認められる。ただし、商業的取引から生じた裁判手続、雇用契約に関する裁判手続等本条約に定める裁判手続については免除が認められない。
(2)国の財産に対する強制的な措置(差押え等)は、当該国が明示的に同意した場合等を除き、とられてはならない
本条約は、刑事手続及び軍事的な活動については対象外」

ね、読み間違いする余地もなく、国は当該国、この場合韓国裁判所からの裁判権の免除対象になっているために、差し押さえなどの強制措置はとることができないのです。
ですから、日本はこの裁判の判決を無視してかまいません。
というか、悪しき前例を作ってしまうので無視するべきです。
いくらソウル中央地裁が、日本大使館跡地などを差し押さえて競売するなんて言いだしてもガン無視すべきです。

韓国の法廷にも出てしまっては、自分から主権制限論を捨てたことになりますから、出ては行けませんし、同じ理由から控訴もしてはいけません。
仮に原告側が差し押さえなどに走った場合でも、今度は、外交使節の保護を定めたウィーン条約で韓国の心得違いに逆ねじを食らわせましょう。

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聯合 土俗信仰の像を拝む人々

ウィーン条約は国際法で、文明国と名がつく国はそれを遵守しないとけっこう恥ずかしいことになってしまいます。
文明国だから国扱いしてもらえるのであって、ルールは守らないような国はただの野蛮国です。

国際法は国家間関係の紛争の種をあらかじめ取り除いておくものですから、結局は人間関係のようなものです。
というか、そもそも国際法というのは、近代国内法を敷衍したものなのです。 
人と人の関係でも、「この家にはレイプ魔がいますよぉ」なんてことを大声で喚いて、相手の家の前にディスるような看板や、ましてや「この子がレイプの被害者の少女ですよぉ」なんて銅像を建てたら、絶対に喧嘩になりますよね。
ま、国家規模で実際にこれをやり続けているのが韓国です。

一国の代表部であり、その国の威厳の象徴たる外交施設を、誹謗する像を勝手に建てたり、その前で定期集会をしたりして外交関係が円滑にいくわけがありません。 
これは
接受国義務違反です。

ウィーン条約とはそのことを明文化した国際法です。


■外交関係に関するウィーン条約 
第22条 1 使節団の公館は、不可侵とする。接受国の官吏は、使節団の長が同意した場合を除くほか、公館に立ち入ることができない。
  2 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。
 

この像も慰安婦合意で撤去することに決まっていたのですが、韓国外相は「解決するとは言ったが、撤去するとは言っていない」(爆笑)とシラとしてそのままになっています。

というわけで、そもそも韓国は裁く対象とならない外国政府を裁いてしまい、そのうえ「賠償と補償」を要求しているのですから、前提が間違っている上に判決を実体化させるために日本政府の施設(大使館・領事館・文化施設など)を競売の対象としたらしたで、今度はウィーン条約にモロに反してしまいます。
できると思うなら、どうぞおやりなさい。
自称徴用工訴訟で民間企業相手の資産売却すらまったく進んでいないのに、今度はもっと大物の日本政府資産ですから、推して知るべしです。
やったら十倍返ししますよ、とかねがね日本政府は言ってきているんですからね。

先ほど述べたように日本としては、このソウル地裁の審理には顔さえ出していませんでしたが、それは一度出廷すると主権制限論を自ら捨てたことになってしまうからです。
そしてどんなめちゃくちゃな判決がでようと、外交的に強く抗議しても、基本的には完全無視でけっこうです。
控訴するとやはりこの韓国の国際ルール違反を認めてしまうことになるので、同じ土俵には乗りません。
仮に、日本大使館跡地をや公使館や、その付属施設の日本文化院(公報文化院)を売りにだそうものなら、よい機会ですから、大使館の再建を断念してしまうことも選択肢となります。
どうせ作れば作ったで、またおかしな像を建てられるのがオチで、韓国政府を喜ばせるだけですから、もういらないんじゃないでしょうか。
ならばいっそう、現状でも韓国政府のネチネチしたいやがらせによって大使館施設がない状態なので、この際大使館も置かず、大使も置かないっていうのはどうでしょうか。(
ああいかん、だんだん投げやりになるわたくし)

領事館は邦人保護で必要ですが、もうこの国とまともな外交関係を結ぶのは無理だと、大部分の日本人は勘づき始めていますしね。
関係修復を計るどころか、有名な反日議員を駐日大使に送り込んでくるような国となにかできると考えるほうが幻想というものです。

というわけで、なにもかも彼らの国内政治の延長であって、つきあわされるわが国はいい面の皮です。
お願い、うるさくしないで放っておいてくれないかな、こちらは新型コロナと米国大統領選の余波でそれどころじゃないんです。

ま、国内政治っていっても、結局、それでなくても検事総長騒動で首が回らないムン閣下の首を、さらに締め上げただけのことなんですがね。
ハンギョレが「訴訟には勝ったが、もうこの先は手詰まり」なんて書いていますが、はじめから袋小路に頭突っ込んでいまさらなにを(笑)。
ムン閣下はこのままなにもしないで、訴訟には勝ったとだけ言って、処理はお次ぎの政権にお願い、ってところかな。

 

2021年1月11日 (月)

香港の民主活動家、大量逮捕される

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気を持たせたラトクリフ・レポート提出とペロシPC押収はフェークでした。
レポートについての追加情報もなく、PCは司直によって「押収」されたものではなく、暴徒が執務室に入り込んで盗んだものです。
やれやれ、バカですか、あんたらは。
まったく米国ときたら、左翼のアンイティファは火つけ強盗をし、右翼の暴徒は議事堂占拠して盗みを働くのですから呆れてものがいえません。
SNSでは盗んだのが米軍特殊部隊だとか、いいかげんなことが流布されていますが、信じるに値しません。
たぶんこのPCの内容は流出するでしょうが、そのようにしてわかった情報にどれだけの価値があるか考えてみることです。
米国の民度はこのていどなのか。恥を知れ。

さてこの米国の混乱に乗じて、中国は好き放題を仕掛けてきます。
香港で53名もの民主活動家が一斉逮捕されました。

「[香港 6日 ロイター] - 香港警察は6日、香港政府の「まひ」と「転覆」を計画したとして、前立法議会議員や民主活動家ら50人超を香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで逮捕した。香港保安局の李家超(ジョン・リー)局長が明らかにした。
当局は警官約1000人を動員して72に上る関連箇所を捜索し、民主活動家など53人を逮捕した。民主党のフェイスブックと香港の公共放送、香港電台(RTHK)によると、立法会(議会)前議員のト謹申氏や林卓廷(ラム・チュクテン)氏、岑敖暉(レスター・シャム)氏などが逮捕された。
李局長は記者団に対し、民主派集団は社会に「深刻な損害」を与えようと計画したと指摘。当局はいかなる破壊活動も容認しないと述べた。
民主党のフェイスブックによると、昨年9月に予定されていた立法議会選に向けて民主派が昨年夏に実施した予備選への参加が逮捕の理由という。香港と中国の政府は、予備選は国安法違反だと警告していた。
当局は結局、新型コロナウイルスを理由に立法議会選の延期を決めた」(ロイター1月6日)
https://jp.reuters.com/article/hongkong-security-idJPKBN29B07T

しかも民主活動家のみならず、反骨の論陣を張る蘋果日報(アップル・デイリー)やネットメディア、スタンドニュースなどのメディアも捜索しました。
また米国人弁護士も逮捕されています。

「警察は国安法を巡る取り締まりに関連し、家宅捜索した法律事務所、何謝韋律師事務所(Ho, Tse, Wai & Partners)で米国人弁護士を逮捕した。」((ロイター前掲)

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これは国安法の本格的発動ですが、3つの狙いがあります。
ひとつめは、去年秋の立法会選を香港当局は新型コロナを理由に1年延期にしていましたが、民主派は出馬候補を絞りこむために「予備選挙」を計画し、実施しました。

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AFP

この予備選挙は、この9月の立法議会選挙の民主派候補の共倒れを防ぐ目的で、民主派が独自に開催したものです。
この約61万人という投票者数が意味するのは、民主派が圧勝した昨年の区議選で獲得した票の約3分の1に相当し、立法会選の有権者全体の14%にあたります。
民主派は目標を達成し国安法以降初めての勝利をもぎ取りました。
※関連記事『予備選挙に61万人 香港市民は諦めていない』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-e46051.html

当時からキャリーラム行政長官はは国安法違反だと言っていましたが、今回これを行った民主派議員を国家政権転覆罪に当たるとしたわけです。
逮捕者の中には、元立法会議員の塗謹申、尹兆堅、林卓廷、胡志偉、鄺俊宇などが含まれています。

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香港經濟導報網訊 http://www.jdonline.com.hk/index.php?m=content&c=index&a=show&catid=50&id=56400

ふたつめは、メディアに対しての弾圧です。
蘋果日報は香港において唯一の独立系メディアです。
社主にして香港メディア界大物、そして民主化活動家の実業家である黎智英(ジミー・ライ)は、その歯に衣をきせない言論で、香港当局と中国政府に憎まれ続けてきました。

下の写真は前回逮捕時のものですが、報道陣の中を後ろ手錠で引き回しています。まさにみせしめです。

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BBC

ジミー・ライはこのようにインタビューで語っています。

「脅迫、恐喝を怖がっていたら、何もできなくなる。何かをしようとするたびに、その結果を考えないといけなかったら、何もしなくなる。だから、ずっと昔から私自身の命の安全への脅迫は感じないようにしている。壹傳媒グループの本丸である『蘋果日報』を死守するため、不採算雑誌などを売却。今も記者、ニュースソースのアウトソーシングを進めている。そして残った社員には10%の株をシェアするようにした。そして、ウェブ化も同時に進め、今では1日のページビューは3000万にまで成長した。この春から有料会員制をスタートさせ、経営状態は2年前に比べると好転した。
こうした合理化を行うのも、中国に対してモノ申すことのできるメディアを香港からなくしてはいけないという一念からだ。
言論に止まらず、自身を民主化デモの最前線において抵抗し続けてきました。
私は香港にいられる限り、闘いを止めることはない。仮に私が香港にいられなくなる日がやってきても、彼ら(社員、デモ隊)は闘い続ける。私たちを潰そうとしたら、それは仕方のないことだ。しかし、自ら退くことはない。停刊処分をされない限り、私が自らの手で『壹傳媒』を畳むことは決してない」
(富永久 『ジミー・ライ氏が語る「香港騒乱」のゆくえ 普選なしでは香港は永遠に中国に鎮圧される』2019年9月27日)
https://toyokeizai.net/articles/-/305007

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ジミー・ライ

ジミー・ライが率いる『壹傳媒(Next Digital)』グループは、いまや香港で唯一の中国政府に真正面から物言える媒体となっています。
彼は1994年の第2次天安門の折りに、李鵬に向けた『馬鹿な李鵬への公開質問状』を、創刊したばかりの『壹週間』に寄稿し、以来、中国から「香港に禍をもたらした4人組」の1人として名指しで非難されています。
米大統領選挙不正疑惑について、中国もどきの自主統制を敷いた情けなさの極みの姿をさらした日米のメディア、ジミー・ライの爪の垢でも煎じて飲むことです。

香港民主派に対しての今回の逮捕は、国安法が弾圧しようとしている4点にひっかかったからです。
その4点とは

●国安法が取り締まり対象とした4点
①国家の分裂
②中央政府の転覆
③テロ活動
④外国勢力などとの結託

これらは解釈ひとつで、中国政府に対する批判すべてを「国家転覆罪」で逮捕監禁できることを意味します。
第20条にはこう書かれています。

●国安法第20条
国家分裂、国家統一破壊の組織、計画、実施に参与したいかなる者も、武力を使用、あるいは武力を使用すると脅したか否かにかかわらず、すなわち犯罪である。
一) 香港または中華人民共和国のその他の部分を中国人民共和国から分離させようとすること。
二) 香港または中華人民共和国のその他の部分の法的地位を不当に変更すること。
三)  香港または中華人民共和国の一部を外国統治下に移すこと。
 前項の罪を犯した者は、その主犯、あるいは重大な罪の場合、無期懲役又は十年以上の懲役、積極的に参与した者は三年以上十年以下の懲役に、それ以外は三年以下の懲役、拘留又は行動制限におかれる。

覚えておきましょう。これが全体主義です。

三つ目は、香港籍をもたない米国人弁護士も逮捕されたことです。
これは国安法どおり、中国政府を批判する者は外国人も罰するという事の始まりです。

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米国人弁護士のジョン・クランシー REUTERS

「6日の一斉取り締まりでは、現地の法律事務所、何謝韋律師事務所で働くアメリカ人弁護士のジョン・クランシーも逮捕された。香港国家安全維持法の下で、香港のパスポートを持たない外国人が逮捕されたのは、これが初めてかもしれない。同法は国家分裂、政権転覆、テロや外国勢力と結託する行為を禁じており、違反した場合の最も重い処罰は終身刑と定められている」(ニューズウィーク1月27日)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/01/53-5.php

クランシーは民主派が独自に実施し、60万人もの香港人が参加した予備選を支援したひとりでした。
これは国安法第38条の前段で、外国人も香港人と同等に処罰するとしたものです。
今回は香港の施政範囲内でしたが、今後は国外もその適用対象に拡大するかもしれません。

第38条とはこのようなものです。

●第六節 有効性の範囲
第38条
本法は、香港特別行政区の永住者の資格を有しない者が、香港特別行政区の外で香港特別行政区に対してこの法律に基づく犯罪を犯した場合に適用される。

これに対しての諸外国の対応です。
EUの駐香港マカオ事務局は同日、ツイッターで「香港が政治の多元化をもはや容認しないことが明らかになった。香港国安法はまさに、異なる意見を弾圧するための者であり、人権の扼殺である。EUとして忠地に彼ら逮捕者の釈放を要求する」との立場を公表しました。
6日、EUスポークスマンのピーター・スターノは、「EUは中国に対する制裁の可能性を排除していない。50人以上の香港民主派人士の逮捕問題は、おそらく今月後半に予定されているEU外相会議の議題になる。制裁行動はEUのすべての国家の意見が一致すれば実施される」としています。

しかし、EUは初めから腰が引けていますから、たいしたことは望めないでしょう。

EUは中国と投資協定を結ぶことによって、自動車やバイオテクノロジーなどの産業への投資で中国市場へのアクセスが広がる。さらに、協定は市場をゆがめていると欧米が見なす産業補助金や企業に対する国家の統制、強制的な技術移転など中国の根本的な政策にもメスを入れることになる。  一方、中国にとってEUとの協定は、地政学上の主流派と自らを位置付ける主張を裏付けるとともに、中国からの投資に対するEUの厳しい姿勢に由来するリスクも抑制できる。また、中国が以前から求めてきたEUとの自由貿易協定(FTA)交渉の開始にも弾みがつく。EU側は投資協定の締結が先との立場を取ってきた。
EUと中国は昨年4月に20年末までの投資協定交渉妥結を目指す方針を確認していた」(ブルームバーク12月29日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-29/QM2NTBDWX2PS01

このEUの足元を見透かして、一斉逮捕数日前にEU・中国投資協定交渉は基本合意しており、中国メディアはこれを「中国の外交的勝利」と喧伝していたそうです。
EUにとって中国が最大貿易パートナーだ。2020年第3四半期末までに、中国はすでに米国にとってかわってEUの最大貿易パートナーになっています。

英国は激怒し、米国「次期政権」も遺憾の意を示しています。
英国は、規定方針どおり空母クイーンエリザベスを東アジアに派遣するでしょうが、米国ときたらこのていたらくです。
国防総省の政権移譲はなされず、歴代国防長官は連名で憂慮声明を出しています。

中国の香港民主派大量逮捕も、米国政治中枢の麻痺状態を見越しての火事場泥棒的逮捕でした。
その意味で、トランプはこれ以上の米国中枢の麻痺状態を放置すべきではありません。
トランプ再選の芽は完全に摘まれました。
再選はおろか、解任と訴追すらありえる状況です。
不正疑惑追及にいったん区切りをつけて、早急に政権移譲に協力するべきです。
今のトランプ陣営は国益だけではなく、世界の自由主義陣営の利益を損なっています。

 

2021年1月10日 (日)

日曜写真館 蓮田から湖岸の道へ

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蓮田から岸辺につながる小道を歩いてみましょう。左手の山なみに筑波山が見えます。

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深い田んぼにもぐらないように大きな水車をつけています。重くてコツがいるそうです。

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湖岸には道には柳が風と戯れています。もう夕方か。

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この薄の岸辺は春になると、オオヨシキリなどの水鳥の巣作りでにぎやかになります。

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夕陽の中、もう少し歩いてみましょうか。

 

2021年1月 9日 (土)

トランプ最後の攻防

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トランプを巡る最後の攻防が始まっています。
ワシントン・スワンプに棲むワニたちは、トランプをバラバラになるまで食いちぎろうとしています。
議事堂占拠事件によって、追及する者とされる者の立場が逆転してしまった結果、民主党と共和党の一部は、トランプを大統領から罷免するようにペンスに求めています。

「米民主党のペロシ下院議長は7日の記者会見でペンス副大統領に対し、合衆国憲法の権限を発動してトランプ大統領を罷免すべきだと主張した。6日起きたトランプ氏支持者による連邦議会議事堂への乱入をトランプ氏が扇動したと断じ、責任を追及するようペンス氏に促す発言だ。合衆国憲法修正25条は大統領が死亡するなどして職務遂行ができなくなった場合の手続きを定めている。副大統領と行政機関のトップの過半数が大統領は執務不能と判断すれば、副大統領を大統領代行に選べる。
民主党のペロシ氏とシューマー上院院内総務は7日、トランプ氏の即時罷免に向けて25条を発動するようペンス氏に求めた。声明で「(暴動は)大統領が扇動した合衆国への反乱行為だ」とつづり、直ちに職を解くよう求めた。ペンス氏が動かなければ「議会は弾劾も辞さない」とも述べた。
米下院司法委員会の民主党議員18人は6日、ペンス氏に書簡を送り、25条の発動を求めていた。司法委員会は弾劾を監督する権限を持つ。民主党は100人以上が弾劾を求めている。
ペンス氏の意向は明らかになっていないが、複数の米メディアによると、7日には共和党幹部や閣僚からもトランプ氏が罷免されるべきだとの声が出ているという。共和党のキンジンガー下院議員は「我々の民主主義を守るために25条の発動を求める」とツイッターに投稿。「(トランプ氏は)自身の責務や誓いのみならず、現実からも逃げてきた」と批判した。
米CNNは6日、共和党関係者の話として、複数の閣僚が25条発動に向けた事前協議をしていると報じた」(日経1月8日)

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日経

また共和党支持団体で、今回もトランプを推してきた全米製造業協会もまた、トランプの解任を迫っているようです。
産業界はこの間の権力中枢の混乱を嫌っており、バイデン決定を受けてNY相場はまた上げました。

米国で最も影響力を持つとされるビジネス団体、全米製造業者協会(NAM)は6日、ペンス副大統領にトランプ大統領の罷免(ひめん)を検討するよう求めた。
同日、大統領選の選挙人投票の集計が行われていた連邦議会議事堂にトランプ支持者が乱入。ペンス副大統領が避難をよぎなくされるなど混乱が生じていた。
共和党よりで知られるNAMは声明を出し、ペンス氏が「閣僚と協力して憲法修正25条の発動を真剣に検討するべきだ。目的は民主主義の保護だ」と述べた。
1895年創設のNAMは米国最古にして最も力のある業界団体の1つ。全米50州の中小企業、大企業を代表する」
(CNN Business1月7日)
https://www.cnn.co.jp/business/35164757.html

ふたつともソースはCNNですが、内容的には事実だと思われます。
民主党全部と共和党の一部が大統領解任に賛成した場合、大統領は憲法修正第25条によって罷免され、副大統領が代行することになります。
修正第25条を押えておきます。これは大統領の免職条項です。

合衆国憲法修正第25条
第3節 大統領が、その職務上の権限と義務の遂行が不可能であるという文書による申し立てを、上院の臨時議長および下院議長に送付する時は、大統領がそれと反対の申し立てを文書により、それらの者に送付するまで、副大統領が大統領代理として大統領職の権限と義務を遂行する。
第4節 副大統領および行政各部の長官の過半数または連邦議会が法律で定める他の機関の長の過半数が、上院の臨時議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限と義務を遂行することができないという文書による申し立てを送付する時には、副大統領は直ちに大統領代理として、大統領職の権限と義務を遂行するものとする。

閣僚からも賛成者が出るようですから、ペンスが拒否することは簡単ではありません。
※追記  ペンスは拒否したそうです。

残念ですが、このまま推移すれば罷免要求が通ってしまうことがありえます。
これが現実です。
戒厳令だなんだと言っている場合ではありません。
仮にSNSで期待論が先行している戒厳令を出した場合、直ちに議会はカウンターで罷免要求を出し大統領職務権限の執行停止を求めるでしょう。
このように大統領と議会が真っ向から対立した場合、国防総省が連邦軍の出動を飲むとは思えません。
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出典不明
そもそも逆を考えていただければわかるのですが、あの6日の議事堂占拠事件は反乱罪を適用されても文句がいえない性質のものでした。
上下両院すべての議員と副大統領という米国の政治中枢が集まった会議を、こともあろうに暴力的に乱入し発砲事件を引き起し4名もの死亡者を出したのですから、ただ街路で石を投げたとはわけが違うのです。
これは反乱法を適用されてもいたしかたがない事件でした。
ただし反乱法は執行権限が大統領にあるので、今回は使えないだけのことです。
これがアンティファが議事堂に乱入したとしたら、トランプはためらいもなく反乱罪を適用し、連邦軍を入れて実力で排除したかもしれません。
今回の場合、トランプはデモの群衆を上下両院会議場の外に集め、しかも議事堂前に集まることを認めてしまっていることが厳しい判断を下される理由となっています。
トランプさん、ここはコリアじゃないんです。米国版ローソクデモをしないで下さい。
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もちろんこれは民主党のトランプに対する復讐の刃でもあります。
ナンシーペロシ下院議長は、「共和党は、6日中にトランプ弾劾決議に賛成せよ。ペンス副大統領は、米憲法修正第25条に定められた『副大統領が閣僚の過半数とともに、大統領の執行不能を宣言できる規定を行使して、トランプ大統領を免職せよ」と迫ったそうです。
これが米国流の幕引きで、日本のように首相を辞職して一定期間謹慎していれば、禊ぎを済ませたとして復活もありえますが、彼らは今や「水に落ちたイヌ」となったトランプが完全に政界から抹殺するまで攻撃を止めることはないでしょう。
それほどまでに、民主党と共和党の一部はトランプを憎悪しているのです。
彼ら反トランプ連合は、トランプが次の4年年間に大暴れすることを心底恐怖しています。
その理由は、トランプが多くの中国がらみの不正選挙の証拠を握っているからです。
実は昨年12月18日は、トランプが2018年9月12日に制定した選挙干渉の外国人らに制裁を課す大統領令「外国からの選挙干渉に関する2018年の大統領令」の報告期限(大統領選挙の投票日から45日以内に提出)でしたが、なぜか提出が延期されており、いまだされていません。
この大統領令は、「サイバー攻撃やその他の手段で、米選挙への外国の干渉が明らかになった場合に、外国の企業や個人に制裁を課す」というものなのでしたが、外国の干渉を支援、隠蔽、加担した個人や企業・メディアの全資産を差し押さえる権限を米司法省に与えたものでした。
大統領令では、国家情報長官室(ODNI)を中心として、CIAや国家安全保障局(NSA)、国土安全保障省を含む一連のインテリジェンス機関が選挙干渉の有無を判断する役割を担い、大統領、国務長官、財務長官、国防長官、司法長官、国土安全保障長官に報告することになっていました。
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これが提出された場合、中国共産党がらみのを資金を受け取っていたことが明らかになっているバイデン親子だけに限らず、多数の民主党議員と共和党の一部まで含んだ多くの不正が白日に曝されることでしょう。
トランプの思惑には、この報告書を受けて「国家非常事態宣言」を出すことも視野に入れていたと思われます。
しかしご承知のように、この報告書をジョン・ラトクリフ国家情報長官は12月18日までに出しませんでした。
口頭で中国による選挙介入はあった、とメディアに述べているにとどまっています。
もちろんトランプは口頭でラトクリフから、中国の選挙介入の実態を聴取したはずです。
たぶん内容が、大統領候補者のみならず、民主・共和上下両院議員、さらには歴代大統領にまで及ぶチャイナ汚染の実態が赤裸々に暴露されているために、「歴史に残る報告書なので万全を期すための最終評価を終えていていない」という理由で公表が遅れています。
このままばバイデン政権になってしまえば、「2050年まで開封禁止」といった具合に、関係者全員が死ぬ頃までお蔵入りとされることでしょう。
だからペロシと民主党は、いまここでトランプの息の根を止めておかねばならないと決意したのです。
※追記 未確認ですが、ラトクリフ報告書が提出され、ナンシー・ペロシなど民主党議員の20台のPCが押収されたそうです。
ほんとうなら、ぎりぎり間に合ったということになります。

2021年1月 8日 (金)

この大統領選の最悪の結末について

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ご承知のような惨憺たる状況となりました。最悪の幕引きです。
リカバリー不能で、このような結末を国民に見せつけてしまうとトランプを4年後に推すことすら難しくなります。

開票の結果は、審議の中断がありましたが、ペンスは事前の声明どおり淡々と事務的に進め、異議は認められませんでした。
おそらペンスは泥をかぶったのでしょう。
少々驚いたのは、共和党からも民主党の同調者が多数でたことです。
かくして、バイデンが次期大統領に正式に決定し、トランプも20日の政権移譲には不満だが応じる姿勢に転じました。
トランプが集まった支持者に「家へ戻ろう」と訴えた時点で、事実上の敗北宣言をしたととるべきです。
長きに渡った大統領選はこれで終了しました。
後は戦後処理の問題に移ります

まずは客観状況からおさえます。

「ワシントン=横堀裕也】米連邦議会で開かれていた上下両院合同会議は7日未明、大統領選の選挙人による投票結果の集計を終え、ジョー・バイデン前副大統領(78)を次期大統領に正式に選出した。議会では審議中の6日午後、トランプ大統領の支持者が多数乱入し、議事堂を一時占拠、一部は警官隊と衝突した。米メディアは、これに伴い、4人が死亡したと伝えている。
 米メディアによると、支持者らは窓ガラスを割るなどして議事堂に押し入り、議場や下院議長室に侵入した。合同会議は約6時間にわたって中断を余儀なくされた。会議の議長を務めていたペンス副大統領や議員らは避難して無事だった。
 首都ワシントンのムリエル・バウザー市長は6日午後6時(日本時間7日午前8時)から夜間外出禁止令を出し、警官隊がデモ隊の排除を進めた。米CNNなどによると、死者4人のうち女性1人は議事堂敷地内で銃で胸を撃たれたという。
 合同会議は再開後、各州の選挙人の投票結果の集計を継続し、計538人の選挙人による投票はバイデン氏306票、トランプ氏232票となり、バイデン氏の勝利が正式に確定した。
 一方、CNNなど米主要メディアは6日、ジョージア州で5日実施の上院2議席の決選投票で、民主党候補が両議席で勝利を確実にしたと一斉に報じた。民主党が上院で多数派となり、過半数を確保している下院と合わせ、20日に就任するバイデン氏は議会運営で主導権を握る運びとなった。
トランプ氏「20日に政権移行」
 トランプ氏は7日未明に声明を出し、「選挙結果には同意できないが、1月20日に秩序だった政権移行が行われる」と表明した」
(読売1月8日)
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12213-921397/

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時事

一方、EUの反応。

「【ブリュッセル、ロンドン共同】トランプ米大統領の支持者による連邦議会議事堂占拠を受け、欧州連合(EU)のミシェル大統領は6日、ツイッターで「米議会は民主主義の殿堂」であり「米国がバイデン(次期大統領)への平和的政権移行を実現すると信じている」と訴えた。ボレル外交安全保障上級代表は民主主義が攻撃されているとし「これは米国ではない」と強調した。
 フォンデアライエン欧州委員長は「米国の制度と民主主義の強さを信じている」とした上で「平和的政権移行がその中核。バイデン氏が勝利したのだ」とツイートした。
 英国のジョンソン首相はツイッターで「恥ずべき光景」と批判した」(共同1月7日)

形勢は一気に逆転し、トランプは攻撃する立場から防戦一方に追い込まれました。
民主党はペロシ下院議長が、トランプの解任を求めていますが、ここで居直らせたくないバイデンは「彼は最初から民主主義に対する全面的な攻撃を放ったが、きのうはその集大成だった」と 非難しつつもそれには乗らないようです。
この人物に民主主義を教えられたくはないもんですが、政治というのは冷徹です。

「ペロシ米下院議長(民主党)は7日の記者会見で、トランプ大統領が支持者の議会乱入をあおったとして、トランプ氏の罷免をペンス副大統領に要求した。前代未聞の騒動から一夜明け、トランプ氏の責任を問う声が強まっている。
ペロシ氏は「大統領職にとどまるべきでない人物だ。これは緊急事態だ」と語り、残り13日の任期を待つべきではないと強調。大統領が職務を果たせない場合の罷免手続きに関する憲法修正25条の行使をペンス氏に求め、応じない場合はトランプ氏の弾劾訴追に進む用意があると述べた。
修正25条は副大統領と過半数の閣僚が「職務を果たせない」と判断した場合、大統領を罷免する手続きを定める。ロイター通信によると共和党の一部でも同調する動きがあるが、残り任期の短さから実現は難しいという見方もある」(時事1月8日)

一部のネットにはテキサスに空中指揮機で移動し、軍隊を動かすような噂がまことしやかに出回っていますが、ありえません。
ペンスが応じるとも思えません。
そもそも今の状況でそれをしたら、大統領の裸クーデターとなってしまい、連邦軍まで泥にまみれさすことになります。
また、トランプはウクライナや中国の裏切りの証拠を掴んでいるので、バイデンを売国奴として拒否できると言う者もいますが、証文の出し遅れです。
もう遅い。今さらそんな証拠が出たとしても、それを聞く耳を国民と国際社会はもたなくなってしまいました。

いかなる理由にせよ、大統領確定を審議している議事堂に突入し、その審議を中断させてしまえば、これは立派な犯罪行為と見なされます。
主張していることの内容ではなく、やったことの行為の内容において処罰されねばなりません。
しかも死者を4名も出してしまっては、いかなる言い訳も許されません。

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同上

上の写真は死亡した女性が撃たれた時のもののようですが、発砲しているのはただの警官ではなく要人警護官(シークレットサービス)です。
彼らが銃を抜くというのは、要人のすぐ近辺まで殺到し、撃たれたのは制止に応じなかったためでしょう。
亡くなった方には気の毒ですが、重要案件を審議中の議事堂に暴力的に押し入り、警察官の制止を聞かなければ、米国では撃たれても文句は言えません。

トランプ政治の特徴であり、欠点だったのは、大衆を動員する手法でした。
大規模な応援集会やデモをするところまでは、大衆のやりきれなさを具現化する大統領として有効な政治手法でしたが、このような議会審議に圧力をかけるためとなると話は違います。
これは民主政治の仕組みそのものを、大衆デモの力を借りて有利に運ぼうとするものであって、ひとたび間違えると今回のような一部の暴徒を押えきれなくなってしまいます。
トランプは「大衆の力」の使い方を、今回という土壇場で間違えたのです。

常日頃は理性的に行動する人が、群衆心理に流されて暴力を振るうのですが、これは主催者側であるトランプ陣営が充分に予想できた事態でした。
想像していただきたいのですが、目の前にガソリンタンクがあるとしましょう。
これは、選挙不正や度重なるフェクニュースに憤って怒りのガソリンをたっぷりとため込んだ万単位の人々です。
しかも彼らの多くは、大統領の呼びかけに応じて集まった無統制な人々で、コントロールをする者を欠いていました。
そこに誰かわかりませんが、意図的にガソリンタンクに着火しようとする者が現れれば、ガソリンタンクは大炎上するかもしれません。

トランプ支持者は、支持者に扮したアンティファのメンバーだと主張しているようです。
ワシントン・タイムズは、ある退役軍人が同紙に対して、XRビジョンの顔認識ソフトウェアで、この占拠グループにフィラデルフィア出身のアンティファ・メンバー2人だと断定しています。

リン・ウッド弁護士ははこの男には、スターリンを賛美するタトゥーがあったとしています。
この左端の人物についての情報はまだありません。

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一方中央の角のついた毛皮の帽子をかぶった人物は、アンティファ集会にいたと言われています。

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こちらのほうの真相は明らかになっていて、この男はフィアデルフィアで有名な極右で、「Qシャーマン」と名乗ってBLMの集会を荒らすので、彼らのサイトに出ていただけのことです。
Qシャーマンというネーミングから、Qアノンの信者かもしれません。
亡くなった女性も、当初はアンティファ扱い受けていましたが、これも違うと判っています。

こういう噂が多く流れるように、敵対するデモ隊に紛れ込み、火を着けたり警官に暴力をふるって、集会自体を破壊する行為はダーティな常套手段で、左右どちらの側も仕掛けてきたことはたしかです。
事実アンティファは、赤いトランプ支持の帽子をかぶってトランプデモに紛れ込めという指示を出していたようです。

しかしその多くは解明されないまま闇に葬られて来ました。
今回の議事堂占拠をアンティファの煽動だとするには、現時点では状況証拠しか存在しません。
極左グループが群衆に紛れ込んで煽動したこと自体は否定しきれませんが、たぶんこの混乱した状況では、多数の不正選挙証言と共にお蔵入りとなることでしょう。

ただし、疑惑は残り続けます。
昨日の事件を思い起こせば、そもそもワシントンDC市警の阻止線がなきに等しいために、議事堂構内に群衆を入れてしまっています。

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写真には、議事堂の扉や窓に密着して叩いているものが多数見られます。
異議申し立てする議員の声がたびたび聴取不能で中断するほどだったそうです。
ありえない光景です。日本において重要案件の審議中の国会議事堂構内に群衆が闊歩していることなどありえません。
デモ隊は、議事堂の遥か数キロ先で、警官隊の阻止線に阻まれて近づくことすらできないはずです。

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BBC

また、デモ隊の中には、阻止線を警官が自ら開いて群衆を導き入れたというものさえあります。
そもそも議事堂の扉はいったい誰が開けたのでしょうか。窓を壊して侵入したことは写真にありますから、彼らが開けたのかどうか。
しかもテッドクルーズの異議申し立てスピーチが終わった時を狙いすましたように中断に持ち込むとは、念がいったことです。

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市警の指揮権はワシントンDCの民主党系首長が握っていたはずですから、なんらかの意図があったのかどうか。
いずれにしても、この議事堂占拠事件は疑問は尽きず、きな臭い話です。
ただし仮にこれが仕組まれた謀略だとしても、このような構図を作ってしまった原因がトランプにあることは動きません。

米国大統領選挙は、民主主義の盟主の王冠を競う戦いです。
ですから、不正選挙の疑いがあれば、その行為を告発し、異議申してを行い訴訟を起こすことは、国民の当然の権利であり、義務です。
同じく国家と国民に対して責任を負う大統領には、不正選挙に目をつむることは国家に対する反逆行為です。
したがって、疑惑がこれだけ大量に上がった以上、それを解明する義務は大統領に課せられた義務なのです。

トランプは、政治的には12月6日に撤退しておけば無傷でした。
24年の次回選挙で候補になるためには、後は法廷闘争に任せて政権移譲に応じるべきでした。
しかし、トランプは飽くなき敢闘精神で、そのスマートな道を選ばずにラフロードにあえて突入しました。
そして幾枚ものカードを出しては負け続けました。

なんといっても出す出すと言っていた絶対的な証拠が出なかったのが致命的でした。
その証拠群のなかに、バイデンやクリントン、オバマなどが外国と癒着していた事実が発見され、巨大なインパクト故にトランプですらたじろがせたのかもしれません。
そんなことはひいき目で、初めからなかったのかもしれません。
いずれにしても、不正を糾ためには国民大衆の力を借りねばならず、共和党主流はしらけきり、トランプを切り捨てました。

一方、民主党は「選挙の結果を覆す行為は民主主義の破壊行為だ」と反論していますが、これは選挙が正当に運営された上でのことで、その前提が崩れているのですから説得力を欠いていました。

残念ながら、今回一部の愚かな行為によって、民主主義の大義の旗はバイデン陣営の手に渡ってしまいました。
願わくば、トランプが失望と怒りのあまりに戒厳令などの愚行に走らないことを祈ります。

 

2021年1月 7日 (木)

ペンスは禁断の封を切るか

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まずはジョージア州上院決戦投票ですが、共和党は2議席を奪われました。
郵便投票が300万票以上あるためにまだ最終結果ではないものの、結果は動かないと見られています。
予想段階から1%を争う激戦だったのですが、最後までその差を埋めきらなかったようです。
投票方法は、疑惑をもたれている大統領選と9割9分一緒で、6割間違った結果を出すと言われているドミニオン集計機を使い、問題の郵便投票自体がそのままですから、結果は見えていました。

今回も、ありえないような共和党候補からの得票数の削除があったと言われています。
疑惑を糾弾する人たちは、異常な票の動きから、ここでもドミニオンの加算アルゴリズムが作動していると読んでいます。
平然と不正疑惑の争点であるドミニオンを使うような腐りきった州政府の下で、正当な選挙は望めません。
この上院議員選不正疑惑は、今後もくすぶりつづけることでしょう。

バイデンは応援に出掛けても人が集まらず、バイデンチャンネルの視聴者数はたった数千人という惨憺たる不人気。
そのうえねじれ議会を相手にせねばならないことから逃れられて、少しは愁眉を開いたことでしょうが、まだ早い。
ただし、ほんとうに喜ぶのは、今日の最後の大きな障壁が終わってからです。

さてご承知のように、本日はいよいよ上下両院合同会議が開催されます。
この日に合わせて、トランプは全国の人々にワシントンに集まることを要請しています。
おそらく空前の規模の集会となるはずですので、その熱い眼差しの中での上下両院会議となります。

反トランプ報道を続けてきたロイターですら、こんなことを不安そうに書いています。

「1月6日の米上下両院合同会議に対する関心高まる
 報道によると、クルーズ米上院議員を含めたグループは1月2日、米大統領選挙の選挙人投票に関する完全な認定を延期し、不正が行われたとされる主張について10日間の調査実施を求めた。クルーズ上院議員らのグループは、「調査委員会が設置されない限り、疑惑のある州の選挙人は合法的に認定されていないと見なし、1月6日の投票で拒否する意向」との声明を発表している。
 昨年11月に行われた米大統領選について、一部の市場関係者の間からも「いくつかの州における選挙不正の疑いは払しょくされていない」との声が聞かれている。1月6日に行われる上下両院合同会議における選挙人投票の結果認定については、予断を許さない状況が続くとみられており、金融市場における不確実性は高まる可能性がある」(ロイター1月14日)

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CNN

どのような決定をペンスがするのか、私がこれを書いている日本時間1月7日午前2時半の時点ではわかっていません。
改めてペンスの立場を確認しておきますが、ペンスはこの上下両院会議においては副大統領ではなく、ブレジデント・オブ・セネター、直訳すれば「上院大統領」として憲法が保証する強い裁量権をもちます。
ただし、この強い権限が使われたことは、独立宣言署名者のトーマス・ジェファーソンしかなかったそうで、実際は形骸化していました。
今日の結果は、この封印をペンスが切るか切らないかで、ほぼ決定してしまいます。

選択肢としては3つです。
一つは、いままでどおりにこの合同会議をセレモニーとして開封することです。
二つ目は、異議を聞いた後に、両院で多数決を張って決定することです。
三つ目は、上院議長の権限で、不正があったとされる7州(PA・GA・MI・AZ・WI・NV・NM)を、正当な選挙が行われなかったとすることです。

一つ目は、なにもしないで事務的に淡々と開封して結果を認めるということですから、オールド・メディアからはそれでこそ副大統領、ニクソンだってそうした、の掛け声がかかるでしょうが、ペンスの保守政治家としての政治生命はこれで終わりです。
国家の分裂を避けるためと言ったとしても、議場を取り囲む100万人とも言われる支持者は納得しないことでしょうから、ペンスには一生裏切り者の名がついて回り、政治生命はこれで終りです。
ただし、ペンスは「副大統領が大統領を決めるのはおかしい」とも発言していますから、事務的に処理する可能性はそうとうに高いと思われます。

二つ目は、前に記事にしましたが一見妥当のように見えますが、これでは連邦議会が大統領を決めてしまうことになってしまいます。
これは州議会が大統領を選ぶ権限を冒していることになってしまいますので疑問符がつきます。

もうひとつの三つ目の選択肢はどうでしょうか。
選挙は、正当な手続に則って、偽りなく実施されて初めて投票結果を認めることが可能てす。
この要件を満たしていない選挙結果は認められません。
ちょうどゴルフでミスショットをしてもノーカウントにしてもらえるようなものだ、という例えがあるそうです。
不正をしても投票結果さえ出てしまいさえすれば、悪事を働いた者勝ちだという前例となりますから、これでは民主主義なんてしょせんこんなもんよ、といわんばかりです。

そこで米国憲法はこういう事態を許さないために、「上院大統領」に強い裁量権を与えて、選挙人投票の結果を検証して不正がないかを明らかにする義務を負わしています。
いわば大統領選の最後の番人の役割を、上院議長に負わせたのです。

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時事

このような異議を認める裁定をペンスが下した場合ですが(下さなければこの前でお終いですが)、ここからが問題です。
では、ここで不正があったとされる7州の処置はどうしたらいいのでしょうか。
ふたとおり考えられます。
ひとつは、当該の州議会に差し戻すことです。
これはあくまでも州議会が大統領を選ぶという原則に従った処置です。
この可能性も残ります。

この「不正7州」の議席配分をみるとこんな感じです。

●疑惑7州の選挙人数
・PA(ペンシルベニア)・・・20票
・GA(ジョージア)       ・・・16
・MI(ミシシッピー)      ・・・16
・AZ(アリゾナ)          ・・・11
・WI(ワイオミング)    ・・・10
・NV(ネバダ)           ・・・8
・NM(ニューメキシコ)・・・・5
                         計84票

これらの州議会下院で民主党が優勢なのは、ネバダ州5票とニューメキシコ5票と言われています。
とすると先ほどの84票から10票を引くと74票が、トランプ票に加わることになります。
ただし州議会の議席数は不正確な可能性がありますので、ご容赦のほどを。

●現在の選挙人得票数
・バイデン・・・306票
・トランプ・・・232
●州議会で再投票した結果の得票数推定
・バイデン・・・232票
・トランプ・・・306

このように理論上は勝敗が逆転しますが、くどいようですが理論上ですから念のため。。

次の可能性は、ペンスがこの7州の結果自体に不正があったとして無効票扱いとする場合です。
この場合、84票全体が消滅しますから、このようになります。

●不正7州の選挙人得票が無効となった場合
・バイデン・・・222票
・トランプ・・・316

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東経 デモは11月のもの

これもまたあくまでも理論上はトランプが逆転勝利する可能性があるという話です。
何回も繰り返しますが、これは一種の数字合わせのような要素があって、現実には1月6日の議会周辺の熱気や、それを受けてのペンスの胸先三寸いったメンタルな要素にかかっています。

どうなるのかは、私にはまったく分からないと申し上げておきます。

 

■追記 午前9時
デモ隊の一部が議事堂に乱入し、意義申し立てをしていた審議が中断させられ、ペンスは議事堂を出ました。
抗議デモのトランプ支持者らが米議会に乱入 議会審議は中断 | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210107/k10012800761000.html 
一部に州兵が出たという情報もありますが、未確認です。
トランプはデモ隊に家に帰ろうと呼びかけています。

このような状況では、私の想定したシナリオはすべて吹き飛びました。
トランプは敗北を認めるしかない状況になりそうです。
一部デモ隊の暴挙に心底怒りを覚えます。

これで大統領選挙はほんとうにおしまいです。

 

2021年1月 6日 (水)

イラン、核武装化再開か

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ジョージア州上院議員選挙の結果は数日後と見られているそうです。
現在のところメディアの予想では共和党候補は不利な状況だと言われている上に、よりによってこんな時に(といっても無理ですが)共和党議員が亡くなるという不運な巡り合わせ。
しかも欠員を指名できるのが、民主党知事ときていますから、こりゃ苦笑するきゃないですね。
したがって、ジョージア州で2議席を獲得しないと、政府-上下両院すべてを征するというブルーウェーブが現実のものとなります。

そうなってしまうと、バイデンの政策に対して与野党が同数であった場合、上院議長としてあの高笑いで有名なカマラおばさんが決定票を握る権限を持つことになります。

「米ジョージア州で5日、連邦議会上院2議席を巡る決選投票が始まった。民主党候補が2議席とも制した場合、上院の議席配分は与野党50ずつとなり、ハリス次期副大統領が決定票を握る。そうなれば、民主党が上下院を実質支配するンをことになるため、注目が集まる。
投票は米東部時間同日午後7時(日本時間6日午前9時)に締め切られる。これまでに約300万人の有権者が郵便投票を含む期日前投票を済ませているが、期日前投票分の開票は投票締め切り後に始まるため、勝者が同日中に判明する公算は小さく、数日かかる可能性がある」(ロイター1月5日)

ちなみに、このジョージア州の上院議員選挙においてもドミニオン集計機が使われているそうで、おまけに仕切るのはあの「オレはトランプにいじめられたから、もう民主党に行く」と叫んで時の人となった州務長官殿です。
 最後の最後でオールドメディアから最期屁に見舞われましたから、いかがなりますことやら。

きょうは言うまでもなく、両院会議です。泣いても笑っても今日限りと思っていたら、なんとテッド・クルーズから10日延長して超党派で調査したらどうかという案がでてきました。
なんせ言っているのが、大統領候補にもなってトラさんと競った大物中の大物、テッド御大ですからね。
民主党に反対されること必至ですが、最後の米国の良心をみせていただきたいものです。

さて、バイデン「次期」大統領がすぐに直面するのは、イランの核武装化再開問題です。
国際原子力機関(IAEA)は1日、イランが同国中部のフォルドゥのウラン濃縮関連活動で濃縮度を20%に上げると通達してきたことを明らかにしました。
イランは核合意当初、濃縮度「3・67%」を守ってきましたが、去年19年になってそれを破って「4・5%」に引き上げ、そして今回は「20%」です。
核問題の専門家によれば、「濃縮度4・5%」と「濃縮度20%」では大きな違いがあります。
「濃縮度20%」を超えると核兵器用の「濃縮度90%」まで技術的に容易になるといわれています。
つまりイランは核兵器開発の道に完全復帰したということです。

「[ドバイ/ウィーン/ワシントン 4日 ロイター] - イラン政府報道官は4日、中部フォルドゥの地下施設でのウラン濃縮活動について、濃縮度を20%に引き上げる作業を再開したと述べた。同国のメヘル通信が伝えた。2015年のイラン核合意から一段と逸脱するもので、今月発足するバイデン米新政権は難しい舵取りを迫られる」(ロイター1月5日)

ロイターさんねぇ、バイデン「次期」大統領が「難しい舵取りを迫られる」、なんてあいまいな書き方をしてはダメです。
だって舵取りもなにも、バイデンが主張してきたイラン核合意への復帰もクソもありゃしません。
肝心のイランが核開発に戻ると宣告してしまった以上、もう核合意の枠組みそのものが完全消滅して地上にはないのです。

イランは、こういう宗教原理主義国家に対して適切な表現ではないかもしれませんが、急激に右傾化しています。
イラン内部には、イスラームの教えどおり世界をイスラム化するのだと考える聖戦強硬派と、いや欧米と対話して折り合わないと経済の崩壊は救えないとする現実穏健派に別れていました。
いまの大統領のロウハニ大統領は後者の穏健派で、強硬派のトップは国のトップに君臨するハメイネ師です。 
イランは国軍(正規軍)と同等の革命防衛隊を有し、大統領は国軍の指揮権しかもっていません。
日本のタンカーを攻撃したり、米無人機を撃墜したりしているのは、もっぱらこの革命防衛隊です。
近代国家でこんな軍の二本立てなどありえませんが、革命国家特有の私兵集団が肥大化してしまったものです。

「イランでは司令官殺害後の昨年2月、国会選で反米の保守強硬派が全議席の7割超を確保。欧米との対話に前向きなロウハニ大統領らの求心力は急落した。  昨年12月には核合意で規定する国際原子力機関(IAEA)の査察を拒否し、ウランの濃縮度を20%に高めるよう求める法律が成立。この段階になると核兵器転用可能な90%への引き上げ作業が容易になる」(産経1月3日)

西側の観測では、今年6月の大統領選で保守強硬派の大統領が誕生することが確実視されており、その場合、急激な核武装化と米国との敵対関係が再開されると思われます。

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ソレイマニ司令官とハメネイ師 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58855

ハメネイは直接革命防衛隊を指揮下に置き、数々のテロをソレイマニにやらせてきました。
典型的なのはシリアで、市民虐殺を繰り返してきたと言われています。
イラクも大半を掌中にしていますし、パレスティナのハマスはイランの別動隊であり、イエメンの武装集団も同様です。
この総指揮を執っていたのがソレイマニで、彼を抹殺したのがトランプです。

オバマは、モグラ叩きのようにテロ組織を叩く一方で、テロ組織を生んだ国際関係は放置してきました。
いくらオバマが好きな暗殺戦争でテロリストを殺しても、結局は次の指導者が生まれてしまい「終わりなき戦争」状態となってしまいました。
かくして、中東全域にくまなく米軍を薄く広く展開させねばならず、その戦死者たけで5千人を超え、米国史上最長の戦争となっています。
米国は疲弊し、テロは尽きないということになってきました。

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クーリエ 戦略なき戦争は「泥棒政治」と「アヘン」の泥沼にはまった | クーリエ

こうなった原因は、事実上のオバマのテロ容認があったからだ、とマイケル・フリン(元特別補佐官)はインタビューで証言しています。
フリンは2012年当時のオバマ政権下で2つの要職、国家情報副長官と防衛情報長官に任命されていましたが、オバマは情報機関の分析をまったく無視して、自身の意見に沿わない者には、発言すら許さなかったようです。
あの男、ああ見えて、非常に強権的で暗い人物なのですよ。

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たとえば、毎年12月18日の上院情報委員会で開かれる公聴会では、フリンの意見も聴取されるのですが、独自の判断や証拠を提出することは許されず、オバマの決定に従ったことだけの発言が認められたといいます。
これはワシントン・スワンプによくあることで、ひと握りのエリートがすぐ下の官僚も含め、大多数の人々を支配するという構造であり、意見の相違は認めず、一方的に上から命令し、下っぱはひたすらそれを実行するだけという構造です。
当時フリンはイランとの核交渉を担当していましたが、2015年7月に合意に到達したことで、米国から数億ドルの現金が真夜中にイランに空輸されたと述べています。
つまり、オバマ政権はイラン核合意の引き出物でドルさえ渡していたことになります。
そしてこのようにテロ支援国家イランと裏で結びつきながら、積極的に中東安定のための政策はとらずに、革命防衛隊のテロを放任していました。

トランプは、イラン強硬派の指導者を抹殺しつつ、米無人機撃墜に対しては自制しています。
おっと、その挑発には乗らないぜ、ということです。
ボルトンは報復攻撃を主張したようですが、トランプは米国が中東のみならず、世界各地で米国のテロが起きるたびに自衛戦闘を行い、そしてそれが報復の連鎖を呼んできたという苦い教訓を知っていました。
ですからトランプはモグラ叩き戦略を止める一方、革命防衛隊の蛇頭を叩き潰し、イランを完全に孤立化させる外交的攻勢に打って出ました。
これが一連のUAE、オマーン、そしてサウジに及ぶイスラエル承認の波です。
このことによって「中東全体として平和を実現する戦略」を実現し、中東諸国を対立から協調に向かわせ、その中にイランを裸で放り出そうというわけです。

トランプが2期目にしようとしていたことは、イスラエル承認を中東諸国全体に拡げて、最大の紛争の種を抜き、今や彼らにとっても共通の敵となったイランを孤立化し、テロを封じ込めることです。
あるいは、米国・イラン双方に友好関係を持つ日本が、調停のテーブルを作ることも視野にあったかもしれません。

いずれにしても、イラン核合意を神棚に祭って、現実にはなにもしないことでイラン強硬派を手助けしていたオバマの番頭に多くを望んでも無駄というものです。

 

 

2021年1月 5日 (火)

トランプが改竄指示を出したですと?

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やはりオールドメディアはこう来ましたか、という「衝撃のニュース」が飛び込んできました。

【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、ジョージア州での大統領選の結果を覆して民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)氏に勝利できる十分な票を「見つける」よう、同州の州務長官に圧力をかけていた会話の録音を米メディアが3日公開し、米政界に衝撃が走っている。
トランプ氏と、ジョージア州のブラッド・ラフェンスペルガー(Brad Raffensperger)州務長官(共和党)の録音された会話を最初に入手したのは、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)。この録音には、バイデン氏の勝利を覆すことができなければラフェンスペルガー氏や他の当局者は「大きなリスク」に直面する恐れがあると、トランプ氏が暗に脅すような内容の発言も含まれていた。  録音の中でトランプ氏は、大統領選の得票数を「再集計したと言っても何の問題もないだろう」と発言。「何十万票もの誤差がある」と指摘した。  これに対しラフェンスペルガー氏は、「大統領、問題はあなたが持っているデータが誤っているということです」と反論した。  
長年共和党が優勢だったジョージア州で、バイデン氏は1万2000票未満の小差で勝利した。数回にわたる再集計や徹底的な検査を行っても、この結果は変わらなかった。  トランプ氏は、「現在の票差はたった1万1779票だ。それは分かっているだろう?」とラフェンスペルガー氏に問い掛け、「だから、私は1万1780票を見つけたいだけだ」と述べた。  
さらに驚くべきことは、選挙人団の票が16票あるジョージア州での逆転シナリオですら、306対232で勝利したバイデン氏に逆転勝利することができないということだ。  公開されたこの録音について、ホワイトハウスはコメントを拒否。
一方で民主党からは怒りの声が上がっている。  一部の政治コメンテーターらは、この録音をリチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領の辞任に発展した「ウォーターゲート事件(Watergate)」で公開された音声テープになぞらえている。  当時ニクソン氏を辞任に追い込んだ記者の一人であるカール・バーンスタイン(Carl Bernstein)氏は、今回の音声について、「最大の決定的証拠になる」と述べた」(AFP1月4日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d20d7422c791752f24842f85ab7bfecdcf33e9b6

元のワシントンポスト記事はここからご覧になれます。ご丁寧にも、トランプの音声入りです。
Audio: Trump berates Ga. secretary of state, urges him to ‘find’ votes
https://www.washingtonpost.com/video/politics/audio-trump-berates-ga-secretary-of-state-urges-him-to-find-votes/2021/01/03/aba64f5f-8c3c-490f-af34-618ccea732d7_video.html?utm_source=twitter&utm_campaign=wp_main&utm_medium=social

ワシントンポストは、かつてのウォーターデート事件の時にニクソンを辞任に追い込んで映画にまでなったメディア界の英雄・カール・パーンスタインまで担ぎだしてやったぞ、バイデン、バンザイと叫んでいるようです。
日本のメディアも、今までの無関心のそぶりをかなぐり捨てて、一斉に地方紙レベルまで報じるあり様です。

いや、まったく露骨なまでの政治的誘導です。
考えてご覧なさい、今日はなんの日でしょうか。ご承知のように、ワシントンポストが得々として報じたジョージア州の上院議員選挙の決戦投票日です。
これで共和党が2議席、いや1議席でも獲得すれば、その段階でバイデンはレームダックです。
民主党が勝てば、議会運営はそうとうに楽になることでしょう。
ですから、民主党はこのジョージア州上院議員選こそが決戦と思い定めて、噂の域を出ませんが、他州から有権者移動までしていたという話すらあるほどです。

その投票日前日を狙いすまして、これです。
あまりに露骨な選挙介入ですから、ここまでやるかと一瞬唖然としました。
WPの意図は説明するまでもなく、攻守を逆転させることです。
今まで大量のバイデンの不正選挙疑惑については言論統制まがいを働いてきたオールドメディアは、ここに来て一挙に反転攻勢にでようとしています。
その第1弾がこれで、たぶんまだでてくるでしょう。

ではこれがトランプの命取りになるかといえば、どうなんでしょうか。
同記事は、トランプ大統領と南部ジョージア州のラフェンスパーガー州務長官との間の会話の録音記録の一部をリークしたものです。
そもそもどこからこんな通信記録が出たは、想像をめぐらす必要もなくあのラフェンスバーガー州務長官以外ありえません。
このラフェンスバーガーは、CNN に、ボク、ホワイトハウスや共和党から圧力をかけられているけど、がんばるからね、涙目でインタビューに答えていたような「あちら側のヒーロー」のひとりです。
共和党にはほんとうはバイデンに勝ってほしいような奴がうようよいて、トランプの足をひっぱり続けてきましたが、この男もそのお仲間でした。

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ジョージア州ラフェンスパーガー州務長官
米大統領選2020】 トランプ氏、票を「見つける」よう要求 ジョージア州 ...

では、オールドメディアが鬼の首を取ったように狂喜乱舞している肝心なこの録音記録ですが、内容的に問題視されているのはこの部分です。

「トランプ大統領  あなたが(票を)再集計したと言えばいい。
私は(バイデン次期大統領の得票を上回るための)1万1780票を見つけたいだけだ」

はい、正味これだけです(笑)。このどこが「決定的証拠」?
はて、これで票数改竄指示だとWPはいうのですが、飛躍も度が過ぎます。
だって、州務長官なんぞに1万ナン千票を魔法のように取り出す能力がないのは、不正選挙を問い詰められてこの人物が言っていたことではありませんか。だからトランプはWPの記事でも「見つけたいだけだ」と言っているわけで、このどこが改竄指示なのでしょうか。
改竄させたいなら、はっきりと1万ナン千票を得票数に乗せて、オレに勝たせろ、と言うはずです。

トランプにしても、当時既に裏切り者だと考えていたラフェンスバーガーに、投票結果を改竄しろ、なんて言うはずがありません。
トランプが言ったのは、ただ再集計してみろ、自分が盗まれた1万ナンボの票が見つかるだろう、と言っているだけのことです。

このジョージア州こそ、後に「選挙不正4州」として合衆国の歴史に刻まれるような疑惑の州でした。

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そもそも、WPが本気でこの発言を選挙結果改竄要求事件にしたいのなら、全文を出したはずです。
しかし、問題の部分も会話の一部の前後を切り取ったもので、どんなことを発言の中でこう言ったのか文脈が明確ではありません。
ですから、これは都合よい場所を、つごうよく解釈しただけの記事にすぎないのです。
よく安倍さんや麻生さんがやられたことですね。

だからWPも、記事に「・・のおそれがある」とちゃんと逃げの仕掛けを施してあります。
たぶん、後に強力無比なクラーケン弁護士に、提訴された場合の言い訳でしょう。
仮に裁判にでもなれば、いやあれはその可能性について報じただけで、改竄指示そのものだとは書いていない、とかなんとかね。

本家が逃げを作ったうえで報じるくらいですから、報道媒体によってトーンが異なります。
ロイターにかかると、当該部分はこうなります。

「ジョージア州の住民や米国民は怒っている。再集計したと言うのは何ら悪いことではない。私が望むのは1万1780票を見つけることだ」
(ロイター1月4日)

わ、はは、「再集計してもなんら悪いことではない」です。このどこが問題ですか?
トランプが言っているのは、再集計して正しい投票結果をだしてほしいということにすぎません。
その会話の一部に「1万ナン千票は盗まれたものだから見つけ出してくれ」がはさまっていただけのことです。

もういいかげんにしてくれ、オールド・メディア。
ほんとうの今回の大統領選の敗者はあんたらなんですから。
どうせ今日のジョージア州上院議院選挙や、明日に予定されているトランプ支持者による100万人ワシントンパレードに冷や水を浴びせたいんでしょうが、もう遅いとおもうぞ。

 

 

2021年1月 4日 (月)

大統領選の天王山・1月6日の流れはどうなっているのだろう?

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明けましておめでとうございます。2021年の更新を始めましょう。
今年の元旦の写真は、黒雲がむくむく連なるという陰鬱なものをあえて選びました。
新年らしく海辺の松なんて考えてはみたものの、やはり今年を考えると、暗い雲間から見えるわずかな太陽を目指し進む年だとして、心して選ばせて頂きました。
というわけで今年最初の口絵は、杭の上にちょこんなんとバランスしているアオサギのものです。
なんか私みたい。

さて口開けからナンですが、いきなり米国大統領選です。
なんのこった、とっくにバイデンと決まってるだろと思う方はさようなら、 辟易されている方、怒りに燃えている方は大勢おられると思います。
私もそのひとりです。

まずお話する前に私の立場をはっきりとさせておきます。
私はドナルド・トランプが大統領にふさわしいと考えています。
トランプの内政・外交についての評価はなんども書いてきました
「肉屋に飼われた豚」はどちらでしょうか: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

そしてこの大統領選は数えあげるときりがないどころか、今後も増え続けるような膨大な疑惑の闇に包まれています。

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ニューズウィーク

では、なにがなんでもトランプが勝利すればよいと考えているのかといえば、ノーです。
トランプが、仮に偽りと不正にまみれた選挙の結果を受け入れないとすれば、それもまた民主主義の危機です。
すでにトランプは、通常の政権移行であれば、次期大統領と民主主義制度のリスペクトに従って一切の積極的外交政策は慎みます。
しかしトランプは立て続けに対中制裁法を通過させました。
内容的には素晴らしいのですが、出すこと自体いかがなものかと思います。

かつて2008年のブッシュからオバマへの政権移行は、金融危機の真っ最中でしたので、ブッシュはいくつかの手を打ってはいますが、例外的なものとして許容されました。
しかしトランプのそれは、勝敗を認めなかったうえに次期大統領の外交方針を強く拘束しているのですから、批判されるべきではあります。
私がトランプに言いたいことは、このようなことをすれば必ず同じことを今度は民主党系大統領からやり返される可能性がある、ということです。
バイデンが2024年選挙で負けてもなお敗北を認めず、対中宥和政策を次々に通過させたらどうでしょうか。
外交は大統領権限が強いので、そうとうなことまで可能ですからね。

ましてや戒厳令を行使して軍を使い疑惑4州の再投票を図ったりすれば、次回民主党系大統領が敗北を認めずに居すわって、最後に軍を使って再選挙などというまねをして結果を覆すかもしれないのです。

今の米国は既に充分すぎるほど分裂しています。
公称で7,800万票vs7,100万票といったように二分された米国の実態をこれ以上溝を深めて、決定的対立にまでエスカレートさせる必要がどこにあるでしょうか。
ありえないほどの僅差です。まともな選挙で行われれば、たぶんトランプが勝利したでしょう。
ただし、それすら僅差だったかもしれません。
つまり国民の半分はトランプを支持していないのであって、どちらが大統領になるにせよ、この国は分裂過程に大きく踏み込もうとしているのです。
ならば、これ以上の分断は民主主義制度の安定と保全のうえで控えるべきであって、次の2024年に捲土重来を期すべきです。

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マイク・ペンス(Mike Pence)|アメリカ大統領選挙2020|NHK NEWS WEB

さてもう少し具体的にお話していきましょう。
1月6日の上下院合同の投票開票日ですが、いうまでもなく上院議長でもあるマイク・ペンスがキイマンです。
一部の見方では、ペンスが不正疑惑4州の投票人の結果を受け入れず、州議会による再投票をもとめるのではないかという節が拡がっているようです。
残念ですが、ありえないと思います。
なぜなら、当のペンスがそれを否定しているからです。

ペンスに対してこれを強く勧める訴訟すらありましたが、彼は「これでは副大統領が大統領を選んだことになる」として退けています。
まことに常識的判断です。
これも先ほど述べた戒厳令と一緒で、こんな選び方をしたら、次回はカマラ・ハリスが不正があったとして同じことをするでしょう。

次に、上下院から少なくとも1名ずつが、州の投票結果にオブジェクション(異議を申し立て)をする場合です。
これはすでに候補者があがっており、上院にも同伴者が複数出たことから、間違いなく実施されます。

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「上院では昨年末、共和党のホーリー上院議員が東部ペンシルベニア州などでの不正投票や、ソーシャルメディア企業による選挙干渉を主張し、異議を申し立てると表明している。
米メディアによると、下院でも共和党議員約140人が異議申し立ての動きを見せている。
6日の合同会議では、選挙人投票の結果が各州(首都ワシントンを含む)ごとに確認される。上下両院の議員が結果に異議を唱えた場合、州ごとに最大2時間の審議を経て結果の是非を問う採決が上下両院で行われ、過半数の同意でその州の結果は無効となる。
ただ、上院では共和党トップのマコネル院内総務がバイデン氏の勝利は揺るがないとして、同党上院議員らに選挙結果を受け入れるよう求めているほか、下院は民主党が多数を占めているため、選挙結果が覆る公算は極めて小さいとみられている。
昨年12月14日に実施された選挙人投票ではバイデン氏が306人、トランプ氏が232人の選挙人をそれぞれ獲得し、バイデン氏が勝利した」(産経1月3日)

●12月30日に異議を申し立てを表明した上院議員
ジョシュ・ホーリー議員(ミズーリ州)
テッド・クルーズ議員(テキサス州選出)
ロン・ジョンソン議員(ウィスコンシン州)
ジェームズ・ランクフォード議員(オクラホマ州)
スティーブ・デインズ議員(モンタナ州)
ジョン・ケネディ議員(ルイジアナ州)
マーシャ・ブラックバーン議員(テネシー州)
マイク・ブラウン議員(インディアナ州)
以上現職

シンシア・ラミス(ワイオミング州)
ロジャー・マーシャル(カンザス州)
ビル・ハガティ(テネシー州)
トミー・タバービル(アラバマ州)
以上、4人次期

※下院は約140人が異議申立てを行う予定

この場合、異議が出た州について、上下院が1州につき2時間ずつの審議を行い、それで審議が終了しなければその州選挙人の投票の結果は無効となります。

ところで開票作業の流れを押えておきましょう。
ペンス副大統領と上院2名(共和党1、民主党1)、下院2名(共和党1、民主党1)が行います。
異議が出た場合、上院1名と下院1名が書面に署名して、上下両院の議論となるわけですが、異議申し立てた議員のスピーチ時間は5分で、1州につき2時間枠です。
複数の異議申し立てがあった場合、あるいは多数の州が異議申し立ての対象だった場合、どこまで議論の時間を延長できるか、私にはわかりません。
5日間という説もあれば、当日限りだという説もあります。

いずれにせよ、この上下両院協議の結果、各議院で議決を取り、異議が認められれば投票人投票の結果は無効となると思われますが、たなにぶん前例がないので、なんともいえません。

また上下両院あるわけですが、上院下院どちらの結論を有効とするのかも、わかりません。

おそらく下院が大統領を選ぶ権限を持つので、下院の結論が優先すると思われます。
その場合、下院は民主党が優勢なのですが、米国には党議拘束がないので、これまたいちがいには言い切れませんが、一般論として下院で共和党が多数決で勝利するのは至難だといわざるを得ません。

さんこう3日に下院議長に、あのトランプの教書をビリビリ破いてみせたペロシが決まりましたが、わずかの差でした。

「下院で行われた投票では、ペロシ氏が216票を獲得し、対抗馬だった共和党のマッカーシー院内総務(209票)だった」(時事1月3日)

下院民主党から17票ていどの造反があれば、ひょっとしてひょとするかもしれません。
ちなみに前回、トランプを次期大統領として開票した副大統領はバイデンでしたが、彼はしごくあっさりと事務的に処理してトランプの勝利を宣言しています。

このようにペンスができることは限られており、ペンスは副大統領討論で、国家の分裂を心配する少年に対して、「米国はどちらが勝ってもひとつです。選挙が終わればまた一つに団結するのです」と言える人物なのです。

 

 

 

2021年1月 1日 (金)

明けましておめでとうございます。

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明けましておめでとうございます。
旧年中はひとかたならぬご支援を賜りましたことを御礼申し上げます。

皆様にとって、雲外蒼天の一年でありますことを祈念いたします。


                                              令和3年元旦
                                                                         ブログ主

 

※再開は4日(月)からとなります。

 

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