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2021年1月26日 (火)

エスカレートする中国海警

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中国という国は米国のいぬ間にガサゴソとよからぬことを企む習性があります。
今、新政権が南シナ海や尖閣水域に対して明確なスタンスを示さぬ間にとばかりに、1月22日、尖閣諸島を範囲とする新海警法を成立させてしまいました。

「中国の全国人民代表大会常務委員会会議は22日、中国海警局に武器の使用を認める海警法草案を可決、同法は成立した。
中国メディアが報じた。海洋権益維持を目的に発足した海警の法整備が完了し、体制や装備も強化される。中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島の周辺海域や南シナ海で海警の活動が活発化し、緊張が高まる恐れがある。施行は2月1日」(1月22日付共同通信)

全人代は、なかなかキナ臭い法律を作ってくれたものです。
これによって中国海警は、彼らの必要に応じて自由に外国船舶に発砲できる権限を与えられました。
中国海警は、建前としては日本の海保に相当するもですが、内実はまったく異なります。
最大の違いは、常に軍と行動を共にし、有事には軍の指揮下に入ることが定められている「準軍隊」なのです。

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中国公船(右)と並走する海上保安庁巡視船(左)=2013年8月7日、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺海域(石垣市の仲間均市議提供)

日本の海保は純然たる「海の警察」です。管轄は国交省であって防衛省ではありませんから、いかなる意味でも自衛隊に海保の指揮権はありません。
一方中国海警は中央軍事委員会の傘下に組み込まれ、今回さらにそれを組織図上のものからから、実際に発砲できる権限を与え、その「管轄海域」を定めることにエスカレートさせました。

「昨年通過した「武警法」は中国側は11年にわたって検討したうえで可決。最大の改変は武装警察指揮系統に組み入れたこと、海上の権利維持執法の機能を中央軍事委員会の批准により、その隷属する武装警察隊に加えたこと。つまり海上の権利維持の執法行為は、「戦時」と同様に、中央軍事委員会、あるいは解放軍戦区が指揮をとり、軍事作戦として海警が参加し、場合によっては海軍との作戦協力もありうる、ということだ。
日本でいえば、領海内の違法漁業を取り締まるとき、海上保安庁は統幕長あるいは海上幕僚長の指揮をうけて、軍事作戦として参与あるは海上自衛隊と合同で作戦にあたる、というニュアンス」
福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.258 2021年1月25日

日本では考えられないコーストガードの軍事組織化です。
2月1日から施行される海警法は11章88条からなっています。

「ポイントは中国当局の批准なしに、外国組織、個人が中国管轄の海域、島嶼に建造建や構築物、固定、浮遊の装置を設置した場合、海警がその停止命令や強制撤去権限をもつこと(20条)で、たとえば尖閣諸島の日本が建てた燈台とか撤去に出るかもしれない。
また、執法行為の範囲として、領海、排他的経済水域、大陸棚の人口島嶼(おそらく南シナ海の南沙、西沙諸島を想定)があげられている(12条2)
21条の外国軍用船舶、非商業目的外国船舶が中国管轄海域で中国の法律に違反する行為を行った場合、海警は必要な警戒と管制措置を取りこれを制止させ、海域からの即時離脱を命じる責任がある。離脱を拒否し、深刻な損害あるいは脅威を与えるものに対しては、強制駆逐、強制連行などの措置をとることができる。
22条の国家主権、海上における主権権利と管轄が外国の組織、個人から不法侵入、不法侵害などの緊迫した危機に直面した時、海警は本法及びその他の関連法に基づき、侵害を制止し、危険を排除することができる」(福島前掲)

また今回持ち出したこの「管轄海域」という概念が大変に怪しいのです。
いつもは安全保障に無関心な毎日さんが珍しく的確に報じています。

「中国海警局の船は機関砲を備えるなど既に重装備化が進み、軍とも一体的に活動する。22日に成立した『海警法』は、これまでブラックボックス状態だった武器使用規定や具体的な権限の法的な根拠を明らかにしたと言える。そこから透けて見えるのは、独自の基準を国内外に示し、新たな国際秩序を生み出そうとする戦略だ。
中国は近年、他国との権益争いで『法律を武器』とする姿勢を鮮明にする。習近平国家主席は2020年11月の演説で『対外問題に関わる法整備を加速し、立法、法執行、司法の手段で闘争し、国家主権や核心的利益を守る』と述べた。(略)
権限の範囲を『管轄海域』と特異な表現にしたのも、南シナ海での一方的な主張を正当化するためとみられる。中国は南シナ海の大半を占める『九段線』内の権益を主張するが、オランダ・ハーグ仲裁裁判所は16年に『法的根拠がない』とこれを否定した。もし海警法が権限の範囲を『領海』などと国際ルールに則して明記すれば、九段線の範囲で活動できなくなる。そこで『管轄海域』という言葉を持ち出したとみられる。(後略)」(毎日1月22日)

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そう、この「管轄海域」という概念がクセモノなのです。
実は中国が今回「管轄海域」という聞き慣れない表現を使わざるをえなかったのは、苦肉の策なのです。
本来ならコーストガードの使命は自国の領海警備にあるはずですが、中国は「領海」を勝手に南シナ海に拡げてしまいてしまいました。
ご承知のように、こんな身勝手な侵略行為を国際社会は許すはずもなく、2016年には国際仲介裁判所で負けています。
ですから、海警を南シナ海、あるいはこれから南シナ海化しようとしている尖閣水域に出張らせても、その法的根拠が薄弱でした。

しかしこの新法により今後、海警は「外国船からの脅威の防止または停止のために、すべての必要な手段」(all necessary means  to stop or prevent threats from foreign vessels)が認められます。
また同法では、「主権と安全保障、国内海上法の保護に関するイニシアティブ」が承認されました。
ですから、また、同法により他国のコーストガードの入域を規制することも可能となりました。

これも説明が要りますね。
仮にその海域で外国のコーストガードや船舶と紛争となった場合、他国は「ここはオレたちの国の領海だ。国際司法裁判所もそれを認めているぞ」と宣言できますが、中国は「そんなことは知らぬ存ぜぬ。ここはオレの海だぁ」とひたすら言い張るしかできなかったわけです。
まるで子供かヤクザです。
なんせそもそもやっていることが暴力団よろしく他人様の領海に人工島なんか作ってしまい、その周辺を「神聖な領土・領海」と宣言しているのですから。

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スビ環礁

上の写真はスビ礁ですが、ビルと工場が立ち並び、工場写真手前には数千メートル級の軍事用とみられる滑走路もあります。
岩礁を埋め立てて作った基地なんて言うと小規模なものを連想しがちですが、とんでもなくバカデカイものだとお分かりになったでしょうか。
辺野古を埋め立てるとジュゴンがぁ死ぬぅ、なんて言っているグリーンピース、どうぞこっち来て同じことを言って下され。

水面下の岩礁から一大軍事要塞を作ってしまうというまさに毛沢東の「愚公、山を移す」の教えに沿って着々と岩の上にも三年をやっているようです(褒めてんじゃねぇぞ)。
おそらく尖閣諸島を中国が奪った場合、彼らは島々の間を埋立て、大規模軍事基地建設をするんでしょうね。

ただし情けないことにハーグの国際司法裁判所に「法的根拠がない」と一蹴されてしまっために純然たる違法占拠、すなわち侵略にすぎません。
そこで考えたのが、「管轄水域」という新概念です。
これでいちおう法的根拠として「わが国の管轄水域であるぞ」ということが可能となりました。
そしてここに侵入する外国船舶やコーストガードに対して、「ここはわが国の管轄水域である。退去せよ」と言えることになります。
そしてついでにいつのまにか準軍隊ですから、発砲することも堂々と可能になりました。

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しかしそもそも「管轄水域」って何?
そんなものは国内でしか通用しない概念で、国際社会においてここまでが領海としましょうね、という国際海洋法に則った決め事じゃないわけです。
てめぇが勝手に言っているだけですから、本来は無視してもかまいませんが、日本にだけは一定の効果があるから困ります。
前になんどか記事にしていますが、尖閣水域は領海であっても、どちらの国のEEZにも入っていない法的に未決の海域(法令適用除外水域)としてしまったために、日本は無害通航するかぎり手が出せません。

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尖閣諸島に出漁した仲間均市議の漁船を追尾する中国公船「海警1501」=5月24日午前(仲間市議提供)

これをいいことに、中国は日本漁船に対して、尖閣水域に近づくと「警備活動」と称して追い回しています。
尖閣海域で「ここはわが国の領海である。直ちに退去せよ」とわめく中国海警。まるでブラックジョークのような風景です。
海保は中国海警察との間に入ってなんとか日本漁船を守っていますが、苦しい戦いが続いています。
こんなことが続くのは、中国が今回作ったような「管轄水域」を宣言できる領海法が日本にはないからです。
※関連記事『領海法がなくて、どうやって戦えというんだろう』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-77192f.html

実は似たものは台湾も持っていますから、尖閣周辺国はすべて領海法をもつのに対して、わが国だけはもたないために手も足も出ません。
日本が正当に中国と渡り合い、その拡張主義を撥ねのけていこうとするなら、日本も中国と同じように「管轄海域」での強制措置を可能にする領海法をもたねばなりません。
ここを中国ともめたくないあまり、尖閣水域警備をグズグズにしてしまったツケを今後もっと強く払わされることになるでしょう。



 

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コメント

本当にやってくれますね。
ヒマラヤではまた投石とか原始的戦闘やらかしてるし、台湾領の近海では海底の土砂採取しまくり!
同じことを尖閣とかでやるかもしれません。
ここでも今のところアメリカ任せな我が国です。米政府の対応次第ではどうなるやら。
辺野古の海兵隊基地に陸自の「水陸機動団」が常駐するのか?なんてことを国会でやって、琉新じゃデカデカと加藤官房長官の話を載せてますけど。
今はそれでいいです。もし米海兵隊が削減なり撤退なんてしたら、当然日本の部隊が増強展開して対抗するしかない!もちろん防衛費も増大しますと。

山形さんもふれられてますけど今日の琉球新報の記事。

玉城知事「県民感情として認められない」辺野古陸自常駐 国は計画を否定
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1262144.html

「海兵隊が退いていく代わりに陸自が入ってきて基地を共同使用するということは、県民感情として認められない」と反発した。県民感情?そうですかね?自衛隊と共用になると「米軍専用施設」の占める割合が減るから都合が悪かったりして。

この御仁は沖縄防衛協会にも名を連ねてたくせに、知事選前にしれっと抜けてましたね。その時の都合で「こう言った方が人気取りできる」くらの考えでの言動ばかりな感じ。どう考えても隣国の方が脅威なんですが。

 尖閣でトラブルが起きれば、国民は国家防衛の必要を感じて、国民世論が変化するだろうと期待したことがあった。しかし、 国民は何も言わないし、世論も変わっている様子はない。国防意識は具体的に高まったのか? それは疑問である。
 さらに、今後中国が尖閣を実際に侵略したらどう国民は反応するのだろうか? 世論は変わるのか、変わらないのか?

 このような状況でトランプさんだったらどうするのだろうか、と考える。日本の政治家がどのように対処するのかが重要問題である。私だったら、国防予算を増やし、万全の防衛体制を整える。多少の紛争もあるかもしれないが・・・。

 トランプ政権は1/12に「開かれたインド太平洋戦略」に関する機密文書を公開しました。中国を米国の安全保障上の最大の脅威と捉え、インドの台頭を助け、台湾を支援する内容です。

そのために中国を第一列島内に封じ込める事が肝要で、その穴がまさに日本の尖閣列島です。そこを中共は突いて来ているのです。

オリンピックへの協力や環境政策への共同など、政治・経済レベルでの日中間の友好関係など、尖閣に手を出し続けるなら何の価値もありません。

先日の宮古島市の市長選挙でオール沖縄が勝ったのも不気味です。
選挙に勝つためだけが目的なら、自衛隊賛成もありでしょうが、
最終的には共産党が物を言います。
翁長知事も、晩年は共産党の言いなりでした。
宮古島も二の舞にならないといいのですが。

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