大手テックに誰が生殺与奪の権限を与えたのか
米国は坂を転げ落ちるように暗黒社会に突入しようとしています。
昨日1月6日の暴動劇において、トランプに議会審議を破壊する動機もなければ、それを煽る理由もないことを時系列で考えてみました。
使った時刻はNYTが記事で出したもので、トランプを弾劾するために利用したものですから、かえって信用できるというものです。
なんだ連中、トランプ演説と暴動には因果関係が存在しないことがわかっているんじゃないですか
「勇敢な議員を応援しに行こう」という呼びかけが、どうして突入して暴れて、異議申してをメチャクチャにしろとトランプが言ったということになるのか、私にはさっぱりわかりません。
さてトランプという政治家は、直接に国民大衆に呼びかけ、その力をわがものとしてワシントン・スワンプと戦ってきた政治家です。
そもそも彼は、初めから銀の匙をくわえて生まれてきたわけではなく、6回もの倒産に見舞われながらそのつどしぶとく立ち上がってきた庶民の英雄でした。
だから一般国民は彼を「ワーキングクラス・ミリオネーラ」として愛してきたのです。
そんな彼が、オバマのようなハーバードで鍛えたような高尚にして薄っぺらなスピーチをするはずがありません。
まわりくどい言い方より直接的な表現を好み、大衆との直接的コミュニケーションによって力を得た彼が、もったいぶった大統領声明よりも日常的に国民が見るツイッターを利用したのは当然のことです。
当日も「ワイルドにいこう」といったギリギリの表現を使ってしまっているのですが、そういう危なさも含めてドナルド・トランプという男の魅力なのです。
ですから、一連のツイッター・フェースブックと、それに追随する大手テックからの追放劇は、特に彼のようなタイプの政治家には極めて重い社会的、政治的制裁となるわけです。
ツイッターCEOジャック・ドーシー AP
今回のツイッターからの削除・アカウント停止事件で、改めてはっきりしたことは、いまや大手テックが「社会の支配者」であるという事実でした。
さらに恐ろしいことには、このタイラントに多くの企業が分野を問わず盲目的に追随してしまったことです。
Spotify、TikTok、PinteresといったSNSプラットフォーム、そしてそれをスマホのアプリにダウンロードできる権限を握るグーグルやアップル、アマゾン、果てはトランプの主要取引先金融機関であるドイツ銀行、シグネチャー銀行といった金融機関、果てはディズニーやウォールマートに至るまで制裁に追随しただけではなく、唯一の保守系SNSのParlorまでダウンロード停止としてしまったのには、恐ろしさを通り越して呆れました。
トランプに、大手新聞社が紙面を提供しないのはわかりきっていますから、この大手テックの追放劇によって、トランプは一切の社会的発言が封じられたことになります。
今や彼に残されたのは、古典的大統領演説だけとなってしまいました。それができるのも、あと5日の間だけです。
すなわち大手テックは、ドナルド・トランプという大衆政治家の口を塞いだだけでは飽き足らず、両手両足をもいでしまったのです。
高度に情報化された社会においてプラットフォームからの追放は、とりもなおさず社会的・経済的な死亡宣告なのです。
エデンの園を支配する全能の神よろしくツイッターのジャック・ドーシーは、その一存で合衆国大統領の死活を握ることが可能です。
ドーシーの政治信条に反すれば、規約を楯にしてツイッターの園から追い出し、排除されてしまうとその言論を知られることもなく、資金集めすら困難になり、事業すら倒産の危機に見舞われるのです。
これに恐怖しない政治家や運動家がいるでしょうか。
こうやってツイッターはただの民間企業でありながら、社会の監視人として頂点に君臨することが可能となったのです。
メルケルがいみじくも言うように、このようなことは民間企業がすることではなく、議会が決めることなのです。
それを一私企業が内規ひとつで左右できてしまうということの恐ろしさです。
これはわが国でも、ツイッターからいったんヘイトと見なされると即座にアカウントを凍結される一方、特定の政治家を攻撃するためのハッシュタグにはやりたい放題をさせていることでも垣間見ることができます。
ツイッターからヘイトや煽動を行ったといったん目されるると、それ以外の部分も含めてアカウントを停止され、予防的に排除される結果、以後社会的に死んだものとして扱われます。
誰が、一民間企業にこんな過大な権限を与えたのでしょうか?
いったんツイッターという言論の監視人から目をつけられれば、抗弁する機会すら与えられないのです。
こういう弁護をする機会を奪うことを、弁護人ぬき裁判と呼ぶのではなかったのでしょうか。
いや、裁判制度と比較すること自体が無意味です。
なぜなら、数百年間積み上げられてきた近代司法制度は、その手続きや訴追と弁護に関して分厚い権利と義務の事例を蓄積してきました。
その中で、いったん訴追されても抗弁する機会を十全に与えらて国民を守る仕組みが備わってきたのです。
検察ですらがんじがらめに訴訟法で縛られ、警察も職務執行法の枠内でしか動くことができません。
それに比して、なんと大手テックの帝王らの「自由」でのびのびとしていることよ!
自分たちが作った利用規約とやらひとつで、その理由すら明かすことなく、弁解の余地なく「敵」をいつでも自由に葬ることができるのですから。
なにが正しく、なにが間違っているのか、そんなことを価値判断する権限をいったい誰が大手テックに与えたのでしょうか。
「これまでSNS運営企業は通信品位法230条に基づき、不適切な投稿を掲載したり、削除したりしても法的責任を問われなかった。SNSは人々が意見を交わす「掲示板」のような情報基盤に過ぎないと位置づけられたためだ。
ただ、社会への大きな影響力を持つようになったSNSは単なる掲示板とはいえないとして、SNS運営企業を投稿内容に責任を負う「編集者」として扱うべきだとの見解も強まってきた。一国の大統領のアカウントを停止するという踏み込んだ対応の是非も
踏まえながら、同法230条の改正を含むIT規制強化が急務となりそうだ」(産経1月12日)
テッド・クルーズが噛みついているように、言論検閲をするようなプラットフォーマーは、もはや「掲示板」ではなただのパブリッシャー(出版社)にすぎませんから、とうぜん法的規制の対象に置くべきです。
このような規制強化がの声が起きると、いや彼らは利用規約に基づいてトランプが暴動を煽動しているのを止めただけだといういうことをしたり顔で言う人がいますが、違います。
仮にそうであるとしても対象ても、その暴動を煽動する行為を停止できるのは、唯一司法という国家機関だけだからです。
煽動と考えた人がいるならば司法に提訴すればいいのですし、そのような法律は教唆罪として存在し、犯罪を事前に止める仕組みもあります。
あるいは不適切な言動だと判断できるのは、議会と政府だけなのです。
少なくとも、一私企業に言論を検閲する権限がないことだけは確かです。
このようにいまや洗練の極みに達したスタイリッシュな暴虐。自由人の服を来たタイラント。抗弁を許さない監視人。
それが大手テックです。
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まずはじめに、今回のトランプ氏の行動に関して私は全く賛同できません。大国アメリカのリーダーとして、という以前に為政者のなすべきことではないと思うからです。
しかし、然は然り乍ら今回のツイッター社など一私企業の振る舞いは確実に一線を越えたと言わざるを得ません。GAFAのように普段は何かと角突き合わせている印象がある企業同士が、ことトランプ叩きとなれば一蓮托生とばかりに連む姿は不気味というか空恐ろしさしか感じません。
もしこの専横が許されて全く問題にならないとしたら、もはや米国は中国を嗤うことは出来ないでしょう。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2021年1月15日 (金) 07時20分
逆に考えて家に帰ろう発言を止めるほうが私的には扇動していると思いますね。だからツイッター社の行動もよろしくはなかった。あれでは火に油を注ぐだけである。
投稿: 銀 | 2021年1月15日 (金) 08時35分
日本の大学教授あたりでもこの点に問題意識のかけらもないようなツイートを見かけますね。
トランプ嫌いが高じて
投稿: 素人 | 2021年1月15日 (金) 09時06分
TWやFACEBOOKは、大統領選挙中にNYポストが報じたハンターバイデンの醜聞記事を出したNYポストそのもののアカウントを停止するだけでなく、それに対する関係者や識者や論評まで掲載不可にしました。
ある調査ではバイデンに投票した人達のうち、ハンターバイデンに関する情報を知らなかった者が70%以上にのぼり、さらにその70%のうち「知っていたら、バイデンに投票しなかった」と答えた人が30%以上に上っています。この数字が正しければ「不正選挙」云々の前にSNSやメディアの情報操作だけでもって大統領選の帰趨を決してしまった事を意味します。
バイデンの醜聞写真は郭文貴のG-TVで細々と新規公開され続けていますが、今でもNYポストが何報じたか知らない民主党支持者が圧倒的に多いようです。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2021年1月15日 (金) 09時35分
私はTWやFacebookなどのBIGテックが、自身の偏った正義や政治的信念だけで、トランプ大統領やその支持者の発信を禁じたのではない事は明らかだと思っています。
その多くの動機が「水に落ちた犬は叩け!」とばかりに、それが彼らのビジネスに有利に働く事が明瞭だからです。
この事はわが国においても、対中国商売にいそしむ日本企業の姿勢にも「みる鏡」として重要で、それに連なる自民党の親中派にも通底する「危惧すべき出来事」だと思います。
なぜなら、もともとトランプ在任中のツイートの中には、今回永久凍結を喰った関連内容よりさらに誤解に満ちた過激な内容があったし、明らかな間違いもありました。
また、中共政府や南米の独裁者から発せられるプロパガンダ情報については、明らかなウソであっても、ほとんど何の制約マークも付かずスルーが常態でした。
時の権力者におもねり、中共などの独裁者に対してはBIGデータや市場接続に関連する莫大な利益が見込めるなど、彼らの動機は「利益第一主義」です。
資本主義がグローバルな拡大を見るにつれ、そこが穴となって民主主義の価値が低減して行くさまを我々は見ているように思います。
いくぶん偏頗だし野卑でもありましたが、こうした問題点を明らかに理解していたのはトランプのチームだし、自身の利益を省みずこれを実行し続けたトランプ大統領は称賛されるべきです。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2021年1月15日 (金) 10時26分
米国の識者の幾人かの予測では、今後SNS及び個人情報については規制強化とともに国家統制へある程度吸収されていく流れに、ならざるをえない、それに向けての様々な提言が必要という話でした。
(今週のアメリカ通信内にて。なんか私奥山信者みたいですが彼の翻訳は役に立つ事は確かです)
実際それを踏まえての独仏の非難声明がありましたし、公的インフラに近い私企業がこれほど恣意的なフリーハンドを持つまで支援してきた勢力が政界にも多数いること自体が、私達世界中の全員に危機をもたらしつつあるのだと思います。
記事内容からは少しそれますが、SNSの情報管理問題が大き過ぎるのと昨今の治安悪化で、昔からあれほど憎まれ反対されていたGPS位置情報管理と開示についてはスルーされるようになってきています。
こうやってマスの空気の中で所謂「常識」が変わりゆくのを拾い見るとゾッとしながらも、流れを変えていこうとする人々を応援したくなるのが人間だと思います。
それを利用しようとする人達も沢山いることを肝に銘じておきたいです。
parlorについては、SNSがやっておくべき情報管理自体あまりにも杜撰でハッカーに全ロクダウンロードされるという醜態の末、ダウンロード禁止になったかと記憶していますが違いますか。
投稿: ふゆみ | 2021年1月15日 (金) 12時50分
上のふゆみさんのコメントのように、メルケルはSNS側がジャッジするのではなくて、「国家が統制せよ」と言っているのですね。
ドイツは言論統制の本家本元ですから。
そのための財源としてEUはかねてからSNSへのデジタル課税を言っていて、そのような中共や社会主義的なありようを否定して即座に反発したのがトランプ政権でした。
そうした流れの中で日本ではデジタル庁がその役割を担うかもしれず、まして新たな財源が出来るとなれば、不自由な言論空間を強いられる事になるかも知れません。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2021年1月15日 (金) 15時10分
ふゆみさんへ
某ガジェット系サイトの記事です
https://www.gizmodo.jp/2021/01/ompletely-save-parler-data.html
こちらの記事ではparlorの停止はあくまで政治思想や倫理面において危険な書き込みを野放しにしているという理由での停止で、ハッカーのログダウンロードはそれとは関係ないようです。
にしてもこの記事の内容の偏りっぷりは凄いです。
普段はライターの偏見とステマ色の強いIT関連の情報ばかりなのですが、突然のparlorの経営者とその周辺の人物にロシア関係者が多いという所を発端にいかにこのデベロッパーが普通ではないと(まるでロシアの工作機関だと臭わせる)結論付ける陰謀論サイト顔負けの政治色の強い憶測記事をぶっこんできています。
おそらく独禁法に触れる可能性が高い今回の排斥行為を正当化するためのアリバイ作りにこのような子飼いのメディアを使って情報の拡散を狙っているのでしょう。
Amazonが提供しているAWSなどは日本の多くの自治体や企業が利用しているサービスなのですが、せめて官公庁は国内企業のものを利用するように規制をかけたほうがよいのではないかと感じます。
投稿: しゅりんちゅ | 2021年1月15日 (金) 16時35分
しゅりんちゅさんありがとうございます。
書きっぷりもレイアウトも凄いゲスいサイトですね(^_^;)頑張って読みました。
(ほんと、ありんくりんはスッキリ爽やかで読みやすいページです。こういう時に実感)
これはダウンロード禁止というか、parlor凍結ですね。
とはいえ仕様が書かれている通りスカスカと中に入ってダウンロードできたのなら、今凍結されて新たな逮捕者は減るかもしれません。
GPS位置情報とparlorのログと顔認証を合わせてどんどん逮捕者が出ています。
今のところは親トランプの白人米国人が晒されていますが、沖縄や台湾が巻き込まれないことを祈っています。
なんか、半年ぐらい寝かせておいて超嫌なタイミングでバイデン政権が出してきそうで、嫌な予感がします。
投稿: ふゆみ | 2021年1月15日 (金) 17時29分
SNSが自由な言論空間であることを自ら放棄するとはお笑い草です
もっとも山路さんの指摘どおり、今の米国社会はトランプ氏を叩くことが自らの保身と利益になってそうですね
こんな国が民主主義国家の盟主を気取っていたとは
国民はその程度に応じた政府しか持ちえない、でしたっけ
ここまでの顛末が、米国でなくどこかアジアの他所の国で起きていたら笑っていられるだけで済むんですけど、米国が倒れちゃあかんでしょうよ、実害被るのは御免ですよ
投稿: しゃちく | 2021年1月15日 (金) 18時37分
I disapprove of what you say, but I will defend to death your right to say it.
私はあなたの言う事を非とするが、あなたがそれを言う権利は死を賭しても護ろう
とは、ヴォルテールが批判した書物の著者に対するのヴォルテール自身の態度だったという。
これだけじゃ、足りないな。
A good teacher protects his pupils from his own influence. ーBruce Lee
good(良き・善き)師は己のinfluence(影響・感化・威力・権威)から弟子・生徒たちを護る
力を持つ者持ちたい者持ち続けたい者は、毎日起きてから寝るまで何度も、このブルース・リーの言葉も一緒に音読し続けるが宜しい。
無理か。
この通りに出来る者は稀か。
ならば出来ない自分を認識するが宜しい。
それも無理か。
投稿: 宜野湾より | 2021年1月15日 (金) 23時12分
ジョージオーウエル小説の
動物農場。
小説1984は、米でまた売れています。ロシアとの冷戦時代は敵の顔がはっきり見えたのですが、最近は見えにくいです。芸能人が、共産主義者のような発言します。グローバリズムとアカ共産主義は相性が良く、20日から、米は完全に全体主義に覆われるのでしょう、か。ドミニオ○は正常で有り調査も今後は一切されず(テキサスで女性が不正選挙で捕まりましたが、流石テキサスです)これからバイデンジャンブを何百回見ても不思議に思わなくなるのでしょう
疑問批判はネットでバン、顔認証監視カメラでウイグルの様に監視され
中共のように、個人情報も成績表の数字で評価を受ける
自由がなく息苦しい
二十日はガガ、ハンクス、ボンジョビが盛り上げ華やかな花火も盛大に。(さむけします)
大好きなHollywood映画を見る気にもトラウマで当分なれないでしょう
(ぞッとする)
トリプルブルー&正しいドミニオ○&ビックテックの暴走
夢であったなら覚めてほしい
投稿: コロ | 2021年1月16日 (土) 04時08分