山路敬介氏寄稿 海保法改正、シン尖閣密約の事など その1
海保法改正、シン尖閣密約の事など
山路敬介
ここのところ何日かコメント欄の入力で常にはねられてしまい、数日間の記事に関連した事項をお願いして書かせて頂く次第です。どうも中国関連の話題についてはAIが特に過敏になるようで、いろいろ試しても何のワードが引っ掛かったものか、皆目見当がつきません。おそるべし中華帝国!とでも言っておきましょう。(笑)
日本の尊厳と国益を守る会(通称「守る会」は、この二月初旬に中国の海警法施行にともなう提言書を菅首相に提出したそうです。
しかし、その中には海保法改正の必要性は全くふれられていません。
代表の青山繫晴氏によれば、「守る会」の主旨として「実現可能性のあるものだけを提言している」そうで、海保法改正についても「討議はあった」としていますから、実現可能性がないと判断されたのかも知れません。
また、青山氏が現場を含めた海上保安庁各部署へした聞き取りによると、①海警局が侵入して来る箇所が限定的である事、②海保の船に向かってくる気配はなく、民間漁船を負い廻すのみだと言う事、③現状の海保の火力で充分対抗できる事、④たとえば海警が導入した12000トン級の船では漁船を追い廻す事はできず、実際には現場で見せるだけの目的に過ぎないと考えられる事、等々から「余計な法改正をするとワケが分からなくなってしまうので、今のままで良い」(ママ)との意見だったそうです。(YouTubeチャンネル 【ぼくらの国会・第108回】ニュースの尻尾「中国海警法の本当の狙い」より)
こうした守る会の「海保法改正不要」との判断は、中国の海警法改正の真のねらいを読み解く事から至ったものです。
しかし、あいかわらず漁業者は尖閣に近づく事さえできず、本来の漁果は長年あがっていません。むしろ海保により作り上げられたこの「安全のための禁止」の状況は、「海保によって漁業を阻まれている」と言っても同義だと思えます。
また、上記の海保の見解は庁行政本来の法的立場かぎりのものであって、それを逸脱した意見など余程の改革派公務員でない限り言えるはずがありません。公務員は自らの意思でグレーゾーンを打破する行動に出る事はありません。
「守る会」は安倍前総理以来、自民党内で国防案件について重要な役割を果たして来たと見ていますが、今回は目的を失した省庁縦割り行政の壁にぶつかってしまっていて、海保庁の役割増大からの省昇格や9条改正と紐づける事もできず、その事に気づきもしないようです。
青山さんらが「実現可能性のある提言」とする自然海洋調査、船溜まりや観測機器の設置、現地慰霊祭の実施、等々が実現できるならまだしも良いでしょう。しかし、法の在りようの変化こそが公務員の意識・行動を変えるという重要な視点を欠いています。
そうしたなか、中谷元氏とリベラル派の山尾志桜里氏がつくる超党派の「中国政策に関する国会議員連盟」(JPAC)は存在感を増しています。ウイグル問題を「ジェノサイド」認定すべく活動は超党派であるだけに自民党親中派の縛りを受けづらく、外務省批判にも手をこまねいていません。
ハフポストあたりにも取り上げられるなど、今後、日本の政治家には数少ない本物のリベラル方面にも強くうったえる活動が広がることを期待します。
話がそれました。
ところで、あまり知られていませんが、海保は漁業組合を通じて漁業者に不明船舶や違法漁船のリサーチをさせています。
私にはこうした政策に特別な意味があるとは思えず、税金からの体の良い「魚業補償」のようなものだと思っています。そうであれば、海保は農水省管轄を侵した措置をとっている事になります。
不審船の有り無しに関わらず報告内容の形式だけ整っていればいいので、二人乗船で日当3万円の手当ては漁業者にとってうま味があるものです。
しかし、先の日台漁業水域妥結のさいに台湾側に譲歩した件にともなう補償金などもあり、これではハッキリ言って漁業者本来の就労意欲を削ぎ続ける「補助金行政」そのものです。
国民の権利を金員に換算する場合のある事も仕方ありませんが、地域の産業を台無しにしないで貰いたいです。
(次回完結)
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