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2021年3月20日 (土)

地金がでてしまった楊潔篪

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ご存じのように、18日からアラスカで米中「対話」がおこなわれました。
まるで期待していなかったせいもあって、私は実におもしろかった。

「【アンカレジ(米アラスカ州)】バイデン米政権下で初となる米中高官協議が18日に始まった。アントニー・ブリンケン国務長官は冒頭、政府として問題視している中国の行動を列挙。サイバー攻撃や香港での取り締まり、台湾への威嚇などを挙げ、「世界の安定を維持している、法に基づく秩序を脅かす」ものだと述べた。
中国外交トップの楊潔チ(よう・けつち)共産党政治局員はこれに対し、米国は自国の人種差別問題に対処すべきで、自己流の民主主義を世界各国に広めるのをやめるべきだとやり返した。「米国も西側諸国も国際世論の代弁者ではない」とした。
 ブリンケン氏は、米国は「完璧ではない」が、隠し立てせずに問題に対応していると回答した。その直後に記者団は部屋から出るよう指示されたが、楊氏は記者らを呼び止めてこの発言に抗議し、米国側が見下すような態度を取っていると訴えた」
(ウォールストリートジャーナル3月20日)

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 毎日  楊潔篪(ようけつち)とブリンケン

昨日、私はアンソニー・ブリンケンを「教師タイプ」と評しましたが、教師は教師でも言うことは言うタイプのようです。
たぶん生徒にも人気があるでしょう。
いままでブリンケンは国内や2+2という身内の発言しかなかったので、中国に対してどれだけモノ申せるかが、私にとっての注目でした。
そもそもこんな米中「対話」でなにか新たに生産的なことが生まれるはずもなく、新政権がトランプをどれだけ受け継ぐのか見たいというだけが、中国の興味だったたはずです。

楊潔篪(ようけつち)はこの興味を、会談に先立つ2月2日に開かれた米中関係全国委員会(NCUSCR)主催のイベントでこう口にしていました。

「バイデン米新政権に対し「米中関係を予測可能で建設的な軌道に戻そう」と呼びかけた。一方、トランプ前政権の対中政策を「誤りだった」と位置づけたうえで、「中国の核心的利益の尊重」などのポイントを挙げて、バイデン政権に政策変更を要求した。
楊氏は「(中国には)米国の地位に挑戦するつもりも、勢力範囲を切り取るつもりもない」と述べつつ、「台湾問題における中国の立場を尊重し、香港やチベット自治区、新疆ウイグル自治区などの問題への干渉をやめるべきだ」と強調。こうした問題は「中国の核心的利益、民族の尊厳であり、14億人の国民感情をゆさぶる越えてはならない一線だ」と主張した」(毎日2月2日)

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楊潔篪 と二階 朝日

「ブリンケンは東京、韓国と訪問するのだから、北京にもきてもらいたい、というのが中国側の最初の要請だったが、米国側は、中国側が米国に会いたいのなら、米国にこい、ということで、アラスカに場所が決まったという経緯がある。
つまり中国側は、バイデン政権にかなり期待しており、トランプ政権までの強硬姿勢が徐々に和らぐであろう、という期待があった。だから、わざわざアラスカまで楊潔?は王毅とともに行くことにしたのだ。
なのに、会談の冒頭で、香港、新疆、台湾問題をぶつけられたわけなので、トサカに来たー!ということかもしれない。
会談直前、米国はチャイナテレコムの営業許可を取り消したり、24人の香港、中国官僚に?して、香港の民主自治を弾圧したとして制裁を課したり、トランプ政権の中国共産党に対する制裁を引き継ぐ格好で、一連のアクションを取っていた」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.298 2021年3月19日)

中国独特の中華の論理では、皇帝の徳を慕って世界から馳せ参じることになっています。
今回の場合、即位した米国皇帝は使節を送らねばならないはずですから、開催地は北京に決まっています。
それをブリンケンはんにゃといい、アラスカに来いというからさぞいい話でもあるのかと渋々行ってみれば、さぁご喝采。
ブリンケンは皇帝の使者にいきなり急所を狙いすました正拳突きを見舞ってきたのですから、さぞ楊はたまげただろうな。くすくす。

こういう公式会談の冒頭はセレモニー化されていて、まずはメディアの代表取材を許し、互いに自分の立場を説明するというだけのものにすぎません。
事前に事務方から配られたペーパーどおりを読み上げるだけにすぎませんが、ブリンケンは自分の言葉でこのように切り出しました。

「我々が深い関心を寄せる問題には新疆、香港、台湾における中国の行動がある。さらに米国に対するハッキング攻撃、我々の盟友国を経済的に恫喝するなどの行為がある」「数々の行動が、規範と秩序を基礎にしたグローバルな安定性の脅威となっている。これは単なる内政問題ではなく、今日の会談で議題にする意義がある」

パチパチ。強いて言えば東シナ海と海警法についても言及してほしかったですが、ま、いいでしょう。
ブリンケンはこの黒光りするような共産党中央政治局員という正真正銘の独裁者に喧嘩を吹っ掛けたわけです。
中央政治局員は、政治局常務委員、俗にチャイナ7と呼ばれる下に位置する階層です。
国務院外相の王毅などはただのパシリにすぎません。
自由主義諸国ではありえない仕組みですが、全体主義国家においては政府の上に共産党が乗っていて、そちらがホンモノの司令塔なのです。

楊は中国国内にさえいれば14億人がへへぇーとひれ伏し、外国にいっても下にもおかないおもてなしに馴れきっています。
しかもロンドン・スクール・オブ・エコノミックス出身のエリートで、最年少の駐米大使の経験もある外交畑の人物です。
その男に面と向かって中国がいちばん言われたくないことをズケズケと言い放ったわけです。
しかも世界のメディアの眼の前で(笑)。
メンツをなによりも重んじるこの中国人が怒るまいことか。

楊はすっかり地金の共産党幹部丸出しで、共産党官僚のトップらしくベラベラと16分に及ぶ大演説を開陳してしまいました。
これで楊が長年作り上げてきた「国際派の紳士」「西側通」、という評価がガラガラと崩れたことでしょう。
しかも通訳を差しおいて、得意の英語を使わずにしゃべりまくったのですから、いかにほんき で頭にきたのかわかります。
2分間というルールは無視する、通訳を介さないで一方的に喚いたことになりますから、あっぱれ国際法は紙くずと豪語する国の外交トップらしい行いです。

「米国が強大な軍事力、金融覇権など用いて他国に圧力をくわえて、国家安全の名の下で国際貿易の未来の発展に脅威を与えている。
中国の人権状況は前進している。
新疆、香港、台湾は中国の不可分の領土であり、中国側は米国の内政干渉に断固反対する」

なにが「人権状況は前進している」ですか。恥ずかしげもなくよく言います。
ウィグルは軍事侵略を受けるまで、香港は英国から返還されるまで、台湾に至っては一度として中国共産党政府の実効支配を受けたことはなかったはずです。
それを「真正不可分の土地」に祭り上げ ウィグルには民族絶滅政策(ジェノサイド)を働き、香港ではすべての民主人士を牢獄に投げ入れ、台湾には強圧を掛け続けているのです。
そして国際社会から批判を受けようものなら、逆ギレして内政干渉で一蹴するのですから、なにをかいわんやです。

楊は返す刀で、米国の人権状況を言い出します。

「米国は黒人の虐殺には知らん顔をする。
ネット攻撃を利用しているのは米国がチャンピオンだ、米国に一撃で立ち向かうのは不可能だ」

このあたりはBLMを支持団体にするバイデン政権へのジャブでしょうが、その背後で暗躍を疑われているのは他ならぬ中国共産党なのですがね。
これに対してのブリンケンの切り返しは見事です。

「我々は完璧ではないことを知っているし、過ちもおかすし、挫折に遭遇するし、後退するが、しかし歴史上、これらの挑戦に直面した時、率直に、公開し透明性を保ってきた。それら問題をおろそかにはしていない。また、そうした問題が存在しないようなふりもしていないし、隠蔽もしてこなかった。あるときは非常に苦痛で、耐えがたい。だが、そうした試練ごとに、この国家はさらに強く、よくなり、団結するのである」

ブリンケンは、全体主義国家に対して民主主義国家が優れているのは、欠陥があってもそれを隠蔽しないことだとした上で、あなたの国にそれができますかと問い質しているわけです。
さんざっぱら大統領選の不正疑惑の隠蔽をみてきた私からすれば、心からの同意はしかねますが、民主主義の理念を対置したのは正しいやり方です。

すると楊は、言うに窮して米国は国際世論を代表していない、西側は国際世論を代表していない、と言い出します。

「人数にしろ世界の潮流にしろ、西側の世論がすなわち国際世論にはならない。米国が語る普遍的価値観も、本心からかどうかわからない。なぜなら、あなたたがは米国政府を代表しているだけだ。
米中双方は自分の国内事務の処理をよくするべきで、冷戦思想を放棄して、衝突を避けるべきだ。
我々の中米関係に対する見方としては、国家指導者の習近平が言うように、衝突をゼロにし、対立をゼロにし、相互尊重のウィンウィンの協力だ」

こういう米中対決の構造を作ったのが、他ならぬ習近平の「戦狼」路線であることは衆目の一致するところです。
対決構造を作り出しながら「冷戦思考を放棄」しろと要求することは、米国や自由主義陣営に対してオレ様の言うことをおとなしく従えということに等しいわけです。
事実、わが国にも「冷戦思考」を捨てたくてしかたない者たちが幹事長室や与党内部にも大勢います。

さてこの楊の演説会で時間切れで退室しようとする取材陣に、ブリンケンは戻るようにうながすとこう述べました。

「過去に100か国の外交官トップと会談したが、私が耳にした話は、あなたの主張とかなり異なる。米国がアジアに復帰したことについて、彼らは米国と再び同盟関係を深めることを肯定的に見ている。あなたの政府の行動に非常に憂慮していると聞いている」

このブリンケンの直球勝負に驚いたのか、彼の左にいたジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障顧問)で、こうとりなすように言っています。

「ブリンケンが指摘したこれらの領域は経済的、軍事的恫喝を含め、基本的価値観の問題に至るまですべて、今後共同で討議すべき問題だ。
これらは米国人の関心が寄せている問題だ。我々は全世界の国際社会の至るところで、これらの問題への関心を耳にしている。
我々は衝突を求めてはいないが、強硬な競争は歓迎している。我々は永遠に自分自身の原則と国民、同盟国のために身を挺するつもりだ」

まぁ外交的に節度を持っていえばこうなるのでしょうか。
「強硬な競争」ですか。ぜひ言葉だけではなく、その実を見たいものですが、納まらない楊も取材陣を押しとどめるとこう言っています。

「今一言述べたい。あなた方は中国との会談で発言する資格がない。あなた方は実力を備えてから、中国と会談すべきだ。20年前、30年前ですら、中国と交渉する資格はなかっただろう。これは中国人のやり方じゃない。
もしあなたが、我々とうまく交渉したいなら、お互いを尊重して交渉しなければならない。協力は双方にとって利益となる」

お前ら小僧の遣いでは役不足だ、大統領を連れて来いということなんでしょうか。
しかしうちの大統領を出したら、会談の途中でおしっこ漏らして寝っちゃいますからとはサリバンも言えんよな(笑)。

そしてもはや押えがきかなくなった楊は、まるで共産党大会スタイルで演説を締めくくります。

「まさか我々には、まだ西洋人から受ける苦痛がたりないとでもいうのか?外国の包囲網に囲まれている時間がまだ短いとでも?
中国のシステムが正しくありさえすれば、中国人は聡明なので、我々はつまずくことはないのだ」

阿片戦争まで遡って「西洋人から受ける苦痛がたりないのか」と先祖帰り始めちゃうんですから、すごいね。
なにがロンドン留学した国際派だつうの。
 日本でいえば、鬼畜英米、洋夷の輩めと言っているようなもので、あぶないあぶない。
こういうに時期に、言っちゃならないのがこんなナショナリズムの毒が脳にまわった言い方なんですが、ま、言っても無駄か。
日本のメディアには米中対話が始まったと手放しで喜んでいるところもありましたが、ここまでやってしまった以上、とうぶん米中対話は開かれないでしょう。

蛇足ですが、この会談時、ブリンケンの親方であるバイデンは、「プーチンは殺人者だ」なんて耄碌したことを口走って、ロシアを激怒させています。
もうジジときたら、考えもなしで口にするんだから。
プーチンが毒殺マニアなのは誰も知っていることですが、いまそれを言う時ではありません。
それをあろうことか、部下が中国と「強硬な競争」をしている時に、その後ろでロシアを怒らせちゃうんですから まったくもう。

とまれ、この持ち前であろう少年のような正義感を、ブリンケンがなくなさないでほしいものです。

 

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コメント

楊潔篪 はそうとう焦ってますね。
米中友好は中国共産党の生命線です。米中協力体制がなければ中国国内の安定化はなく、その事を楊潔篪 は痛いほど分かっている。しかし、今の習近平政権下では恭順は政治的死を意味しますから、醜さをさらけ出しても、かような反応にならざるを得ないのでしょう。
少なくも米国は2022年の習近平再選を阻むつもりだと思います。

米国は重要な産業のサプライチェーンから中国を外す試みを推進し、議会で台湾のWHO復帰、FTA締結を推進すべきだとの案が出、それにブリンケンは「同意する」と答弁しています。

読売の報道によれば、延期されていた尖閣周辺での米軍の訓練も日米合同のうえ、互いの陸・海・空軍プラス海兵隊参加にグレードアップされて行なう事が14日の岸・オースティン会談で決定されてます。


議会と歩調をそろえるブリンケンは良いですが、政権内のライス氏ら親中派の巻き返しが心配です。ここはハードに「人権問題」を盾に活用して、ライスらの守旧派を押さえ込んでもらいたいものです。

20210320 相模吾です。 久々にアメリカらしい会談を見せてくれました。
この考え方を継続してもらいたいものです。 どこぞの幹事長室の主には耳の痛いことでしょう。 奇貨居くべし。ブリンケンさんがんばれ。

 久々に、胸がスカッとしました。
バイデン政権の閣僚だということで、
オバマ時代と同様な、ただのなれ合いと逡巡、
アリバイ作りでの今度の会談だと、思い込んで
いました。そういう予見や、予断は、
人物や、(現実) 実際の、世の動きのなかでは、
禁じ手だと、今回も思い知らされました。
直近、似たような例で、河野太郎さんの
表舞台への登場のときも、父親 洋平氏の
政治的尊属の背景でしか、見れなかったです。

 ブリンケンさんには、政治的構想と見識を持った
人物として、役職を背景に一機に抜きん出たリーダー
として、・・トランプ政権時の国務長官のように、
がんばって、力を尽くしてほしいと思います。
 それにしても、日本の政界にも、この方のように、
中共におもねずに、けれんみのない発言で、正しく
主張できる実力者が、ほんとうに、欲しい時代です。

独裁全体主義国家がツブれてゆくプロセスを、中共が順調に歩んでいるよう
に思えて、安心しましたわ。独裁全体主義国家、それも儒教国なもんで上下
の関係が異様に厳格な中共ですわ。個々の立場を守るのが最優先の宦官
根性丸出しで、懸案の米中関係の改善などフッ飛んでしまい、「ボク、負けて
ないよ、ブリンケンなんて若造に絶対に負けてないよ!!!」と、北京の近平
皇帝に必死でアピールしているようで、もう惨めで、党内順位とかいう世界で
生きてる人間の悲哀を感じましたわ。さて、皇帝はどういう評価を下されるの
でしょうか?

プロセスが順調ならば、近平皇帝は「ヨシヨシ、米国に噛み付くとはエエ根性
しとるやんけ、順位上げたろかいのう」として、この他国から見て惨めな楊さん
ですが、中共内では評価されます。独裁全体主義国家の内では、とにかく勇
ましい馬鹿が好まれるのです。全体主義では、聡明で自分で仕事をこなすよ
うな個人は役に立たないばかりか害悪です。全体主義は、一般国民を馬鹿に
して、さらに彼らを統治する責任者を馬鹿にして、初めて成り立つ形態ですか
ら。先行する北朝鮮なんて、もう国自体が基地害の域に達しています。

楊さんが出世すれば、より下の立場の野心ある馬鹿者達が「鬼畜米日」を唱
えて暴走しだします。野心家の馬鹿である彼らも出世します。その頃になると、
アリババなどの民間企業のリーダーはヤル気を喪失していて、ただの中共か
らの指示待ちに堕落して、企業は競争力を失くすかゾンビ企業に零落するだ
けです。これから日本をしのぐ少子高齢化が始まろうとしている中国で、中共
バンザイ馬鹿達が威張っているなんて、悲劇(喜劇?)的展開ですわ。

さすがにそうなる前に、トチ狂った馬鹿が苦し紛れに尖閣・沖縄・九州へ来そ
うです。「仕返しだぜ、お前らの旧関東軍がやったことだ!」と、儒教の時間軸
は数百年単位ですから、話し合いにもなりませんわ。ケンポー改正を早くして、
少なくとも米軍との同盟行動でお荷物にならないシン・日本軍が必要ですわ。

それと、「中国には中国の民主主義がある」には、久々に声出して笑いました。

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