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2021年3月22日 (月)

ブリンケンが掲げた「人権」の旗とは

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中国は本気で「戦前の日本の道」を驀進したいようです。
先だっての米中「対話」で、ブリンケンはあえて楊潔篪(ようけつき)を素にさせて万座の場にさらす手法をとりました。
やりようによっては危険ですが、一般的にな外交的プロトコルではキレイな包み紙の下に中国の本音が秘匿されてしまいかねないからです。
中国要人の表裏のつかいわけは激しく、たとえば楊の横にいた王毅は、公式会談がハネた後には日本メディアになにくれと達者な日本語で話しかけて融和的なことを言うくせに、公式記者会見では豹変します。

だからブリンケンは楊を怒らせて、ゴリゴリの共産党員としての素顔をさらけ出させ、本音を吐き出させる必要があったのです。
特にこう言わしたのはよかった。

「まさか我々には、まだ西洋人から受ける苦痛がたりないとでもいうのか?外国の包囲網に囲まれている時間がまだ短いとでも?
中国のシステムが正しくありさえすれば、中国人は聡明なので、我々はつまずくことはないのだ」

わ、はは、中国がグローバル経済で世界で一番カネ稼いでおいて、よーいうわ。
なにをいまさら攘夷でもあるまいに。こりゃ完全に国内向けのアジ演説です。
実際翌日の中国のSNSは、よく言ってくれた楊同志同志といった書き込みで溢れたとか。
まるで松岡が国際連合を脱退したときの日本のようです。
こういう楊みたいなことを言っていると、国内向けに激烈なことをやらねば国内が納まらないことになり、どんどんと下がるに下がれなくなっていきます。
なまじかつての日本のように、侵略に怯えたアジアの弱小国から一等国になって列強に伍したのに、という自尊心があるもんだから始末が悪い。
つまるところ、その先には孤立化と戦争が待っています。

一方ブリンケンの横にいたサリバンが「中国の反応はなんの驚きもない」と評しているように、これは考え抜かれた戦術だったようです。
中国は、いくら国内で激しい中国非難をしても、公式の会談に顔をだせば、ニコニコと握手し、毒にも薬にもならない建前を述べ合うセレモニーだとタカをくくっていたようです。
だから手土産に中国の制裁関税の削減ていどを持っていけば、なんとかなると考えていたみたいです。

「サリバン米大統領補佐官は会談後に記者団にこう語った。また、ブリンケン米国務長官は、米国が問題提起をした際の中国の反応を「防御的」とした上で「何の驚きもない」と強調した。政権高官の一人は「中国政府は時に、米国の公式見解と水面下でのメッセージは異なると考えがちだ。我々はこれを早めに打ち消し、公での言葉と同じメッセージを直接伝える必要があると考えた」と説明する」(朝日3月20日)

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米中外交トップ、冒頭から異例の激しい非難の応酬 バイデン政権下での ...

そもそも楊はこのブリンケン、いやバイデン政権を甘く見ていました。
バイデン政権を誕生させた原動力はBLMであり、それを煽ったのが他ならぬ中国でした。
中国は米国に長期間のサイレントインベージョンを仕掛けてきましたが、その成果が端的に現れたのが、「ミネアポリス事件」から始まる一連のBLMの暴動でした。
これは米国社会を白人と黒人に分断するとともに、ウィグル人権法で制裁に踏み切ったことに対するカウンターとしての意味ももっていました。
米国が中国を人権問題で制裁しようとすると、「お前だって人種差別をして黒人を殺し続けているじゃないか」ということができると考えたからです。
案の定、楊は「米国は黒人の虐殺には知らん顔をする」j言って反論した気になっていました。

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中国がアフリカと「一帯一路」共同建設に合意

平たく考えれば、米国でなにがあろうと、自分の国でナチスを凌ぐとさえ言われるジェノサイドをしていい道理はないのですが、彼らの「内政干渉反対」のロジックではそれで反論になってしまうようです。

ところがこの中国のロジックにアフリカ諸国の多くはうなずいていたのです。
たとえば昨年5月29二にのアフリカ連合(AU)のムーサン・ファキ委員長はこのミネアポリス事件に対して強く非難し、「人種や民族にに基づくあらゆる差別の根絶のために努力しろ」と米国政府に要求しています。
AUの大部分は一帯一路に組み込まれていおり、AU本部はエチオピアの首都アジスアベバにあります。
この国からテドロスWHO事務局長がでてきたように、もっとも中国汚染が進行している国家です。
このような「国際世論」を背景にして楊は会談で強気に、米国よ、お前らの言う国際社会とはしょせん米欧だけではないか、われわれには(アフリカを中心にして)多くの国が従っているのだ、ということを言っていました。

「人数にしろ世界の潮流にしろ、西側の世論がすなわち国際世論にはならない。米国が語る普遍的価値観も、本心からかどうかわからない。なぜなら、あなたたがは米国政府を代表しているだけだ」

実際に中国がBLMやアンティファに工作資金を与えたかどうかではなく(たぶんしているでしょうが証拠がありません)、中国にとってBLMから始まるキャンセルカルチャー(否定文化)こそ米国社会の分裂を誘う近道だったのです。
お前の国は国内で差別を温存しているんだから人権を言う資格はない。だからおれの国のことを言うな。それは互いに国内問題のはずだから内政干渉にしておけ、というわけです。

それに対して、ブリンケンは巧みにも「人権」を逆手に取りました。
なぜなら、「人権」は米国世論の団結にも繋がるからです。
自由を至上の価値とし、米国の誇りを守ろうとする保守派も諸手をあげて賛成せざるをえないし、米国のリベラル左翼は中国と国内をダブスタで別物扱いするような日本のそれとは異なるからです。
行き過ぎて放火略奪に走り先人を貶めさえしなければ、「人権」は保守リベラルを問わない共通の米国の価値でありえるのです。
つまりテッドクルーズからペロシまでが共有できる唯一の米国の統一された価値観こそ、この「人権」だったともいえます。
これは「米国社会の分裂からの再生」を掲げたバイデン政権にとって、大きな意味をもっていたはずです。

またこの人権を武器として戦う手法は同時に同盟国を一つにさせる作用を持っていました。
ブリンケンは米中会談前に日韓2+2を行ったうえで、日本からは中国を名指しで非難する共同声明を引き出し、同時にオースティン国防長官をインドにまで派遣しました。
これは日本、韓国、インドのそれぞれが、国内的には中国と事をかまえたくない勢力を抱え持っているからです。

このようにブリンケンの米中会談の発言は、国内の人種差別問題から「人権」を解き放ち、世界最大の人権蹂躙国家中国と戦う宣戦布告でした。
ブリンケンはトランプ路線の正統の継承者であり、同時にバイデンが唱える「合衆国の統一」「同盟国の強化」にも沿ったもののようにも見えます。

いずれにせよ以後、新たな段階に突入します。
それはインド・太平洋そして東シナ海を舞台にした自由主義陣営の同盟の力を現すことです。

第2次日英同盟が現実味を帯びてきました。
それについては明日に続けます。

 

 

 

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コメント

中共は、バイデンが大統領になれば米国と世界各国のメディアが一斉に政権がやることへの批判をしなくなるだろうって考えなかったんですかねぇ。
ブリンケンが「我々は完璧でない、間違うし誤るし挫折もする」と述べたのと(アメリカの誰がどう過ちをおかすのかについての詳しい認識はこの際置くとしても)、楊が「我々は聡明で躓くことがない」と述べたのとが、好対照となりました。

「黒人系and/orアジア系で初」の謳われを欲しいままにしながらも、自身の口から未だ新疆・香港・台湾の人権について発言しないカマラ・ハリス副大統領にスイッチしてからも、こんな感じだといいなぁ。

 中共に対する人権カードは米国内だけでなく、民主主義国共通の第一条件としてまとまれる強い共通的価値観だという事が改めて明らかになったと思います。
それに対して、楊潔篪のウソと詭弁にまみれたクソ論法は全世界の笑いものとなりました。

この会談の評価について、中国側に軍配を上げるむきがありますが、ここまでは「ブリンケンよくやった!」とみて良いようです。

楊潔篪の歴史修正主義は会談の成立経緯までがウソまみれで、そういう事にせざるを得なかったという追い込まれ状態にありましたね。
「戦略対話」か、「一般会談」か、という部分での認識の相違にもそれが表れていて、しかし既に場所がアラスカである事実だけを以ってしても、屈辱的なアメリカ接着要請が本音です。

米国にとっての対話の必要は6月にも取りまとめられるとされる国防省の対中戦略方針策定のためであって、日本や韓国への訪問もそのための意見聴取が主な目的だったと思われます。そうすれば、国内向けパフォーマンスとはいえ、楊潔篪らはとんでもないミスを冒したと言えるでしょう。

Wikipediaでブリンケン国務長官の外交姿勢として【国際協調を重視する対外穏健派であると同時に人道的介入論者として人権侵害国家には厳しく対峙していく立場である。ナチス・ドイツによるホロコーストの生存者を継父に持つことが、外国のことだからと人権侵害を放置はしないという彼の人道的介入主義に影響を与えたとみられている】と記されています。

外国のことだからと人権侵害を放置はしないという外交姿勢が、人権を尊重する国々に支持される(支持せざるおえなくなる)のは間違いないと思いますが、借金があったり何かと弱味を握られているといったことを抜きにして、人権を尊重していると言えない国々にも支持されるかどうか。

それにもまして、自国民の人権の侵害はしていなくても人権を尊重しているとは言い難い、マスコミ含む既得権益者や、かの国と抜き差しならぬ関係にある政界経済界の面々が幅をきかせている日本が、このことを積極的に取り上げ世論を巻き込んでかかわっていけるのかどうか。

マスコミが報道しないし国会が取り上げない国外の事には無関心になりがちな市井の日本人の1人として、経済的軍事的な価値なくなれば、世の中に必要とされない国に成り下がらぬよう、まずは見守っていかねばと思う次第です。


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