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2021年3月27日 (土)

孤立をみずから選ぶのか、海保

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なんともいえないもどかしさを感じます。
米国と台湾は、海上警備で共同する覚書に調印しました。
いうまでもなく中国の海警法に対応したものです。

「【台北時事】米国の対台湾窓口機関である米国在台協会(AIT)は26日、海上警備分野で協力を強化するための覚書に調印したと発表した。米台の海上警備当局の交流を拡大することで、中国が2月に施行した「海警法」に対抗する狙いとみられる。米台が覚書に調印するのは、バイデン政権発足後初めて」(時事 3月26日)

米国はバイデン政権であるか否かを問わず、台湾とその領海を共に警備することを宣言したわけです。
ここで注目しなければならないのは、この新たな海上共同警備の覚書は、米国の有事における台湾支援とは一線を画した平時の共同警備だという点です。
有事において、米国は台湾関係法に基づいて軍事的支援をすることになっています。
これを平時の段階から海洋警備だけに限定してですが、共同防衛しようというわけです。
おそらくトランプ政権の頃から煮詰められていたとおもわれますが、国家としての承認、米台湾安保条約締結まで行ってほしいものです。

中国がいきなり数万人の軍隊に号令をかけて台湾海峡を渡ってくるというなら、誰の眼にも見えます。
しかし日常的に台湾海峡の中間線をひんぱんに領空侵犯してみたり、台湾領土の島の砂利を違法採掘するなんていうことは、他国の眼にはなかなか眼に入らないことです。
これを一度や二度やるならともかく、ズっと毎日このボディブローを食うとどうなるでしょうか。
台湾空軍や台湾海保は疲れ切り、やがて恐ろしいことに慣れっこになってしまいます。
これが俗に言われる、チャイニーズ・サラミスライシングです。

超大国とも思えないセコさですが、日本などはすでに尖閣水域を半ば譲り渡してしまっていますから効果絶大です。
中国に施政権を主張され、「警備」という実効支配を継続され、実行支配さえしていれば海警が発砲できるという法律まで作られ、今や海警に追い回されるのは日本漁船のほうですから、これをまっとうな日本領海とはだれも思いませんものね。
やがて中国の実効支配水域は徐々に拡がり、石垣港のすぐ外を海警が「警備」をしているような光景を、私たち日本人は見慣れることになるかもしれません。

台湾空軍は連日のスクランブルによって疲れ切って事故が急増しているそうです。
日本の空自も同様で、海保などはすでに一部で限界にさしかかっています。
なんと第11管区所属の海保の巡視艇が警備航行中に不具合が起きて漂流したそうです。

「尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海警備に当たっていた海上保安庁の尖閣専従巡視船が1月、任務中に故障し、一時、航行不能状態に陥っていたことが21日、海保関係者への取材で分かった。老朽化が原因とみられる。尖閣では中国海警局の船による領海侵入が相次ぎ、中国は2月、海警局の武器使用を認める海警法を施行するなど日本の有効支配を覆す動きを強めており、装備の刷新も含めた対策が急務といえそうだ」(産経3月21日 )
https://www.sankei.com/affairs/news/210321/afr2103210007-n1.html

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漂流したうるま 産経

「うるまは1月下旬、尖閣諸島周辺で、船内の電力をまかなう発電機の一部が故障し、動作不良になった。発電機を動かしている燃料タンクを確認したところ、大量の海水が混入していることが判明。海水を含んだ燃料をエンジンに使用すれば機関停止につながる恐れもあり、一定時間、エンジンを停止させたままの状態を余儀なくされた」(産経前掲)

これはうるまにとどまらず、海保巡視艇全体が老朽化しています。

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「耐用年数を過ぎた139隻の内訳は巡視船29隻、巡視艇110隻。巡視艇の老朽化が特に顕著で、超過割合は46%に上る。海保は順次、新造して代替更新を進めているが、尖閣対応巡視船の増強などが優先されてきたため、追い付いていないのが現状だ」(産経前掲)

海保全体の老朽化が、特に尖閣警備で長期の消耗戦を戦っている第11管区に出たということのようです。
それにしても船体に穴が開いてしまって浸水とは絶句します。ここまでとは・・・。

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「耐用年数を過ぎた巡視船艇は故障が増え、エンジンの出力が落ちて速度が低下。さびなどの腐食で船体に穴が開いて修理が必要になるほか、交換部品が製造中止になっているケースもある。海保は対応が手薄にならないよう、古い船艇が1カ所に集中しないようにするなど配置を工夫し、老朽化に対応している」(産経3月22日)

日本は領海とEEZを合わせて世界6位の広い海域を持つ海洋国家です。
ではこの尖閣から宗谷岬までの広大な海洋を守っているのは誰でしょうかか
もちろん海保と海自です。
海保は国土交通省の管轄、海自は防衛省ですが、素朴に考えれば、ふたつしか組織がないのですから相互に協力し合っているかと思えば必ずしもそうではありませんでした。

初期海保のメンバーの多くは戦時中の海軍の民間船徴用を経験していました。
戦時中の民間船の船員たちの多くが、徴用により帰らぬ人となって今もなお海に眠っています。
この恨みは、海軍軍人を中心にして作られた海自に向けられました。
軍の言うとおりにはならない、軍には協力しないというのが、一頃までの海保の根強い伝統意識だったのです。

海保は、大は艦艇から小は微備品のひとつひとつまで海保独自の規格を作ったばかりか、巡視船の呼称すら海自とまったく同名を平気で名乗らせる意地というか、ほとんどいやがらせじみたことすらしたために、同名の艦船2隻が同時期に2隻存在したことなど珍しくなかったのです。
映画『海猿』の寮に「海自打倒」と書いた紙が貼ってあったのも、あながちフィクションではないようです。

しかし国民としては、かつての海保の心情には同情しますが、もういい加減にしてほしいとおもいます。
戦時徴用を知る海保初期のメンバーはひとりも残っていないのに、いつまでこんな隠微な対立感情を同じ国のシーマン同士が抱えているのでしょうか。
しかも巨大な中国の津波がそこにまで来ている時期に。

元海将伊藤俊幸氏はこう述べています。

「自民党は2月の国防部会などの合同会議で、中国海警法をめぐる対応を協議し、海上保安庁法の武器使用に関する20条や、海保が軍事的任務に就くことを禁ずる25条の見直しを求める意見を提示した。しかし、海保は「見直す予定はない」と回答した。
海保は野党に対しても、中国海警船が武器を使った場合、海保巡視船は20条1項の「正当防衛」で反撃できるとし、20条2項に関しては、「不審船事案を契機とし、無害でない通航への対処」を追記したが、「軍艦と政府公船には無害通航権があるため除外した」と説明したという」(時事3月21日)

やれやれ。自民党は海上保安庁法の武器使用に関する20条や、海保が軍事的任務に就くことを禁ずる25条の見直しを求める意見を提示しましたが、海保の答えはにべもなく「見直す予定はない」そうです。
その理由は前にも記事にしましたが、外国軍艦や公船は「無害通航権」があるからだそうです。
これは領海内であろうと、当該国に害をなす航行でなければ通航できるとした国際海洋法に基づいた解釈です。
中国海警は長期間恒常的に日本領海に侵入を続け、あまつさえ日本漁船を追い回す「警備活動」を盛んにしているのは知られた事実です。
このどこが「無害」なのか、海保にお聞きしたいものです。
外務省すらこの自民党合同部会で、「海警船の領海侵入は無害通航ではあり得ない」と述べていますが、現場を預かる海保と管轄の国土交通省は違う意見のようです。

また海保は海自と連携して行動してはならない、という異様な法律に縛られています。
9条の呪いがかかった海上保安庁法を改正せよ

●海上保安庁法
第二十五条  この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはらない。

これは世界的にみても異常な規定です。
米国沿岸警備隊などの諸外国のコーストガードは陸海空軍に並ぶ準軍隊として位置づけられ、有事には自動的に海軍の指揮下に入りますが、日本では有事どころか平時でも連携を禁止しているのですから話になりません。
つまり艦艇、機材、行動、すべてに渡って海自との連携を拒んでいるのは海保のほうなのです。

国交省大臣がなぜか常に親中派の公明党の指定席だから、などとうがった見方はしたくありませんが、最低でも外務省見解と意見をすり合わせて第11管区にのみしわ寄せを押しつけるのはやめていただきたいものです。
そしてこのような因循姑息な海保に、尖閣に隣接する台湾海保との協力関係を提唱するのはさらに虚しいだけかもしれません。
国内でもまともに海自と協力できない海保が、外国の、しかも国として承認していない台湾の海保との協力など夢の又夢ですから。 

かくして海保はひとり孤立して、漂流するぼろ船を抱えて消耗を深める一方のようです。

 

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コメント

「海猿」ブームに乗ってチャンスあったのに···。海保は予算が無い中で良くやってくれてるんですけど、ここで悪しき日本のセクショナリズムが今更になって出て来ていますねえ。
こんなんで大丈夫なのか?と、当然心配になります。。

> 海保は、大は艦艇から小は微備品のひとつひとつまで海保独自の規格を作ったばかりか、巡視船の呼称すら海自とまったく同名を平気で名乗らせる意地というか、ほとんどいやがらせじみたことすらしたために、同名の艦船2隻が同じ海域にいたことがあったそうです。

…おいおい、まさに帝国陸海軍のいつか来た道じゃないか。海自側はどう思っとるんかな。海自側も海保を敵視しとったらこの拗れを正すのはただ事ではないエネルギーが必要となるのだが。

 海保には海自と協力してグレーゾーンをうめて尖閣を守るという意思はなく、その任でもないと表明しているワケです。
海警法改正にともなう海保法の改正にも「必要ない」としているし、海保が漁業者を守るためにする事は「漁業者に対する漁業制限」です。
文句が出ないように、漁業者に対して名目を付けて手当を出したりしています。

そりゃあ現場の職員は確かに立派な仕事をされていますが、組織としては硬直化した管理職の保身が目立ちます。
法の建て付けが他国の沿岸警備隊とはちがいますので仕方がありませんが、国境警備にはおよそ役に立とうという気概もありません。「海猿」は架空の物語にすぎません。

我が国も台湾もアメリカも、法やディフェンスシステム構築の必要性、安全保障上の必要性は既に言い尽くされていると思うので、その上で人の気持ちとして。
台湾の中にも実質中共のフロント企業は数あり、芸能人著名人にも、新疆綿の不使用を表明したブランドとの広告契約を終わらせたり、カウンター的に新疆綿支持を表明する者たちがあり、良く言えば多様、悪く言えば獅子身中の虫虫虫、そういうところは我が国も同様です。
であっても今、台湾は「国」として、1ミクロンたりとも中共に呑まれまいという気概、黙っていないで闘う姿が鮮明です。
台湾とアメリカの覚書が結ばれた昨日26日その日のうちに、中共人民解放軍の軍用機延べ20機が台湾の防空識別圏に進入しましたが、早速今日27日に台湾総統府の張惇涵報道官が「一方的な軍事挑発で、地域の平和と両岸関係の役に立たない」「台湾人の支持も得られない」と述べ、蘇貞昌行政院長が「台湾周辺に中共が軍用機を派遣する必要はない」と強い調子でメディアに述べたとのこと。
助け合いは大切だけれども、なるべく人様に頼らず自力でなんとかしようと努めている姿がわかるから、助ける側はなお助けたくなるのであって、おぶさるつもりが見える相手だと、助けたい気持ちも削がれるというもの。
「気概」或いは「気概を見せる」ことに、我が国と台湾の大きな開きを感じるのです。
自衛権行使が(おおいに)あり得る状況に海保が対応するためには法的根拠が要り、それがあっての海保の兵装アップ、そして外国公船からどんなことをされたら武力行使・攻撃であるとするのか、外国公船に対する正当防衛でどこまでの武力行使がOKなのか、さらに海保の正当防衛と海自の自衛権発動をどう繋ぐのか…そういうことを逃げずにガンガン議論するというのも「気概を見せる」ひとつだと思うのです。

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