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2021年3月24日 (水)

新日英同盟は世界の地殻変動の兆しか

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ポンペオがFOXで、ブリンケン、甘いぞ、小僧、なぜウィルスのことを言わんのだ、だからつけこまれるのだぁ、とFOXで怒っておられました。
まぁまぁ、あなたのような北朝鮮を黙らせ、イスラエルと中東諸国の手を結ばせて一気に安定化させた辣腕外交官にはご不満でしょうが、ブリンケンはまだ国務長官としてはルーキー。
それになにぶん上司が上司で、いないほうがましの人ですから、お手柔らかに。

ややつや消しなことから始めますが、さて新日英同盟(" Anglo-Japan Alliance")の全容は、現状ではまだ見えていません。
まず、日米安保と決定的に違うのは、双務的な防衛条約ではないことです。
したがって日米安保第5条にあるような自動参戦条項が欠落していますから、日本がピンチの時に救援に駆けつけてくれるかどうかはまだ未知数です。
逆に日本は英国の何を共に守ろうとしているのか、それは英国の領土・領海なのか、それとも別の共に共有する自由主義陣営としての価値観なのかわかりません。
したがって、どこの何を守るのか、どうやって守るのか、双務的か片務的か、というような具体論が明示されていません。

現状で具体的に出てきているものは、安全保障面では海洋安全保障、テロ対策、サイバーセキュリティ、インテリジェンス、人道災害支援、平和維持活動、防衛装備品開発などです。
これら情報、人道支援関連は大事ですが安全保障のすそ野であって、本体そのものではありません。

それに対して経済はかなり明確になっていて、英国は自由貿易協定をブレグジット後に真っ先に日本と締結したように、 TPPに加盟する気はムンムンなようです。
つまり英国でもそう評されているようですが、準軍事同盟でありながら、政治・経済・文化領域まで含んだ新しいタイプの「同盟」なのです。

日本の側からすると、日本一国ではどうにも手に負えなくなった巨大モンスターと化したチャイナ相手に、遠くヨーロッパから駆けつけてくれた心強い友でわかった気になれるのですが、では一体英国の利害とはなんなんでしょう?

英国には、実は身近な「同盟」のひな型としてEUがあります。
EUはヒト・モノ・カネの自由を保証し、共通のユーロという共通貨幣を持ち、更に欧州議会という形で政治的にひとまとまりのユニットを組んでいます。
そしてその軍事部門がNATOです。

しかし最近になってわかってきたのは、EUとはドイツとそれに追随するフランスだけが利益を得て、その他の諸国にとっては活かさず殺さず餌になる「金ぴかの檻」みたいなシステムでした。
初めから半身の英国にとっては、EUから得る利益より損失のほうがはるかに大きく、散々の思いをしてブレグジットしたのはご存じのとおりです。
ユーロにまで加盟しなくてよかったと、心底思ったでしょう。

ではなぜブレグジットできたのかといえば、英国には日本というパートナーがあったからです。
英国の製造業にとって進出した日産やホンダが英国を救ったことによる信頼感は大きく、今や彼らを抜きにして英国経済は語れないほどです。
同じ日産を相手にしても、骨の髄までしゃぶろうとしたフランス国有企業のルノーとは大違いでした。

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平成29年8月30日 日英両首脳による京都訪問 | 平成29年 | 総理の一日

テリーザ・メイ首相の時期から英国は、日本の名を出した「グローバル・ブリテン」構想を立てていました。
英国はEUという名の「ヨーロッパ合衆国」を拒否した以上、新しい国家展望としてアジア・太平洋を選択したのです。
理由は三つあります。

ひとつは、ブレグジットをした以上、ヨーロッパ市場への参入は更に厳しくなるに決まっていますし、英国にしてもドイツの独占を許すようなEUにはなんの未練もなかったはずです。
ジョンソンがブレグジットで唯一心を痛めたのは、日産・ホンダが出ていってしまわないかだけだったでしょう。

ふたつめは、英国が背後の大陸とは距離を置くことで、必然的に本来の英国の姿である海洋国家として復活するしかないからです。
EUの足かせから自由になって海洋をながめれば、そこには大英帝国の資産がまだ活きているのがわかります。
旧植民地と自治領を合わせて54カ国て公正される英連邦諸国は、いまでもしっかりとしたネットワークを堅持しています。

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英連邦(コモンウェルス)

そこに、EUでは望めなかった多くの国との自由防衛協定を締結し、徹底した規制緩和によって外国企業を呼び込むことができると構想しました。
ブレグジット後、英国は米国、オーストラリア、NZといった"like-minded "な国(同志的国家)からFTAを締結し、自由貿易圏を作ろうとしました。
ちなみにlike-mindedという英語表現は、メイ首相が日本に対して使ったものですが、ファイブアイズ以外で使用されたのは初めてのことだそうです。

それはさておきさておき、ボリス・ジョンソンがブレグジットに成功した時に、「これは終りではない復活の号砲だ」と吠えたのはその心づもりがあったからです。
これらの国はすべてファイブアイズと呼ばれる英語を共通語とするアングロサクソン国家群であり、そこに招かれた唯一の非白人国家が我が日本でした。

この英国の英連邦自由貿易圏構想とは、多国間FTAを結び、そこに世界から多くの先端企業や金融を呼び込み、英国シティを「テムズ河のシンガポール」として位置づける、というものです。
おわかりでしょうが、この英連邦自由貿易圏構想は、TPPと完全に重なります。
そのTPP11を率いたのが安倍氏であり、わが国はその盟主だと世界からみなされています。

このような大きな状況を眺めてくると、今の新日英同盟は実はもっと大きなアライアンス(同盟)につながっていく過渡的なものに思えてきます。
それは「アングロサクソン+日+印連合」という国家間アライアンスです。

一つ目のプレートは、米国を盟主とするアングロサクソン圏+日+印。
二つ目は、ドイツを盟主とするヨーロッパ合衆国。
三つ目は、中国、ロシア+イラン+アフリカの一部といったローグネーション(ならず者国家)。

現状では冒頭に述べたように「新日英同盟」は完全な同盟とは呼べません。
今後「新日英同盟」は日米同盟と並んでインド・太平洋の安全保障の要となることを求められています。

このように見てくると、世界のプレートが三つに割れていこうとする、まさにその歴史的時期に私たちは立ち会っているのかもしれません。

日英同盟はその兆しのひとつではないのでしょうか。

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コメント

日立やEPSONや諸々の産業がEU輸出の拠点を英国に置いていたので、ブレグジットの時にはちょっとしたパニックでしたね。。

やはり海洋国家!
かつて中東やアジアで散々悪どさを発揮してきたわけですけど、未だにその名残りが世界中にあるのはさすが元覇権国家だと。コモンウェルスゲームズなんて今でもやってるわけだし。
ああいう悪どさというか狡賢さを我が国も持てればいいんですけど、かつてアジアの列強国を目指して英国と袂を分かったとたんに破滅への道を歩んだ日本と「中国の夢」は、すごく似ているんですよね。。

ウィグル族人権侵害による中共へのEUからの制裁に対する報復制裁の一環で、中共本土・マカオ・香港への入国禁止とされるEU議員のひとりが、「それなら台湾があるってことになるよ」とツイートし、さっそく台湾外交部が「歓迎します」と応答。
G6とEUが人権問題で一致して態度を明らかに。
中共の戦狼外交が、事をどんどん先へ進ませる。
曖昧さとスピードは我が国の弱点。
G7+EUのうち、我が国だけがウィグル族への人権侵害について違った態度で、そうする自由はあるのだけれど、それが何のため、どんな戦略や展望があってのことなのか、各国に説明できているorできるのか。
英国とて、日本を見ているが、もちろん我が国の肩越しにアメリカを見る。
各国の皆さんは、安倍JAPANの頃ほどには優しくしてくれないと思う今日この頃。
歴史的な変化が起こるとして、それに相応しい存在であれるか我が国。
あってくれ。

それまで世界各国が見てみぬふりを決め込んでいたウイグル問題の流れが一気に変わってきたのがイギリスBBCの番組であったことは偶然でしょうか?
ウィルス関連の事はWHOに復帰するというバイデン政権の建前上カードとして切りにくかったのでしょうが、日和見のWHOやIOCがこのポリコレ圧にどこまで耐えられるか見物ですね。

宜野湾よりさんも指摘されている通りこの流れの行き着く先では日本も対中勢力側の国が納得出来る方針を明確にすることが必須になるわけで、トヨタやパナソニックなどのどっぷり中国市場に漬ってしまった大企業に対して冷徹な判断を下せるかが試されます。
楽天もこのタイミングでテンセントのフロント企業からの出資を受けるらしいですけど、通信インフラも抱えている企業だけに変な事にならない事を祈っています。

  どのみち中国式経済モデルは失敗するので、それが分かっている英国にすれば絶好のチャンスと捉えて、アジアへの関与を深める動機は自然です。
沈みゆく中国経済の問題は中共自身も分かっていて、何とか威のあるうちにAIIBだとか一帯一路だとかをブチあげるのですが、これは周辺諸小国を犠牲にした侵略的略奪方式による経済転換に他なりません。

そうしたわけで、日本の課題はASEANです。RCEPにおいて豪やNZと協力して、いかしてASEAN諸国をTPPレベルまで引き上げつつ従来の中国が担っていたサプライチェーンを移転できるまでに成長させうるか?という事になるのだと思います。

一方、EUの投資協定は日本がRCEPをやるのと内容はもちろん「動機」が違っていて、まだ中国と一緒の夢を見ているのですね。ウイグル問題での非難合戦で批准するかどうか怪しくなって来ましたが、ドイツやフランスにとっては失敗しても負の部分はイタリアやギリシャなど下層加盟国民が負うので、構わずやろうとするかも知れません。

こうした事も世界を記事のように三層モデルにして考えると、しっくり理解が進むように思います。

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