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2021年3月 6日 (土)

中国漁船尖閣付近で転覆事故

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中国漁船が石垣の北330キロで転覆しました。
石垣近辺の水域というより、尖閣水域といったほうがよい地点です。

「第11管区海上保安本部によりますと、午前8時50分ごろ、石垣島の北の海上で中国船籍の漁船から遭難警報を受信したということです。
航空機で確認したところ、石垣島の北およそ330キロの東シナ海の海上で転覆している漁船が見つかり近くでは8人が浮遊物につかまって漂流していたということです。
船には10人が乗っていて、その後、中国当局から現場の近くにいた中国漁船が5人を救助したと連絡があったものの、5人の行方がわからなくなっているということで、海上保安本部の巡視船が捜索を行っています。
沖縄気象台によりますと当時、船が見つかった海域では、北の風が強く吹いていたということで、海上強風警報が発表されていました」
(NHK3月2日)

事故を起こした中国漁船の位置はこのような場所です。場所を確認してみましょう。

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  沖縄タイムス

沖タイのこの図には尖閣が入っていないので、これに尖閣を中心とした位置関係を重ねてみます。

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石垣から尖閣は170キロですから、漁船の転覆位置である330キロは、尖閣の先東北水域です。
おそらく日本のEEZ内の水域のはずです。
これを石垣島近辺というのはいかがなもんでしょうか。
はっきりと「尖閣周辺のわが国EEZ内」と明示すべきです。

そもそもこんな他人様の排他的経済水域で中国漁船はなにをしていたのでしょうか。
特に想像力を発揮しなくても違法操業していたのに決まっています。
尖閣水域は豊かな漁場ですが、いまや中国海警の厳重な「警備活動」によって、実質的に日本漁船は近づくことすらできない状況が続いています。
それをいいことに海警に守られた中国漁船はこの尖閣水域に進出しています。

Plt2008020007p1

漁船群の尖閣領海侵入を予告 「日本に止める資格ない ...

その理由は、今まで書いてきたように日本政府の腰の引けた対応もありますが、もうひとつは物理的距離にもあります。
海保第11管区の拠点がある本島からは410キロ、出先がある石垣港からも170キロあるのに対して、中国本土からは330キロしかありません。
つまり、中国大陸のほうがはるかに尖閣水域に近いという絶対的不利な条件に海保や海自は置かれているわけです。
これは空自も同じで、中国機より100キロも長い距離を飛行しなければ尖閣上空にたどり着けません。
尖閣上空の滞空時間も中国機より短いでしょう。

さて、中国はいまや隠すふうもなく堂々とこの尖閣水域は「中国領海」であると宣言しています。

国防部「中国公船の釣魚島海域での法執行活動は正当で合法

国防部(国防省)報道局は1日、最近の軍事関連の焦点となっている問題について記者の質問に答えた際、「中国公船が釣魚島(日本名・尖閣諸島)周辺海域で法執行活動を行うことは、正当で合法かつ議論の余地のないものだ」とした。新華社が伝えた。
【記者】最近日本メディアは、「中国公船が釣魚島周辺海域での活動を一層活発化させており、日本側は中国側による海上活動の強化に懸念を表明している」と報じた。これについて中国側としてコメントは。
【国防部報道局】釣魚島及びその附属島嶼は中国固有の領土であり、これには十分な歴史的、法理的根拠がある。中国公船が領海内で法執行活動を行うことは、正当で合法かつ議論の余地のないものだ。引き続き常態化して実施していく」(中国人民網2021年3月2日)
http://j.people.com.cn/n3/2021/0302/c94474-9823824.html


いやー、ここまで露骨に言われると鼻白みますなぁ(苦笑)。
中国は尖閣は固有の領土だから法執行を常態化させていくそうです。
まことにあっぱれな法治主義ですが、どうぞご自分の領土領海だけでおやり下さい。
ここは日本領土、百歩譲っても係争地域です。

係争地域で相手国の了解もなく「法執行を常態化」させようものならどうなるのか、ただでは済みませんがこれがわからないのですな、この国は。
国際的な認識に沿ってかんがえるのではなく、その前に自国のイデオロギーがあるわけです。
本来、国内でしか通用しないドグマを、外国との関係にそのまま投影してくるんですから、たまったもんじゃありません。
彼らの主観では、人民政府の打倒を狙う外国勢力が神聖な領土を侵し、国家を分裂させようとテロ活動をしている、というりくつです。

このゆがんだ考え方は、ウィグルにも香港にも共通して現れています。
ですから彼らにかかると、海保は彼らの領海内でテロ活動を働いているということになります。
国際社会がそれを批判しようものなら、得意の「内政干渉」を言い出します。
ああ、なんて困った国。

尖閣が領土だということは去年の5月くらいから口にしていましたが、ここまで露骨に国防部が公然と言うことは控えていたのに、また一歩進んだわけです。
先の2月1日に海警法を改訂施行しましたが、偶然なのかどうか、それから1カ月もたたない時期に尖閣水域で漁船が転覆したわけです。
私は意地が悪いので、偶然とは思えません。
これは小手調べの疑いが濃厚です。

尖閣水域で漁船が事故を起こした場合、日本の海保は直ちに人命救助に向かいます。
今回も4隻の第11管区の巡視船が救助に向かいました。
これは海上保安庁法に、海保の本来任務として海上交通の整理や海難事故等への対処があるからですが、先日も書きましたが、領海警備は含まれていません。
今回尖閣水域に出動したのはあくまでも人命救助のためです。

一方日本と対照的に中国海警は人民武装警察の組織下にある準軍事組織(パラミリタリー)です。
ですから海警の任務は、領海警備と排他的経済水域の警備で、救難は主任務ではありません。
今回、自国漁船であるにもかかわらず中国海警の動きが鈍いのは、あるいはこのせいかもしれませんが、なんともいえません。

そしてもうひとつ考えられるのは、日本の海保がどれだけの時間で救難機を到着させ捜索を開始するか、巡視船はどれだけ到達時間がかかるのかを見たかったのかもしれません。
よく中国やロシアの軍用機が日本周辺を飛行するのは、自衛隊の対処時間やその際の手際、あるいはレーダー周波数などの電子情報を収集するためだと言われています。
これと同じ理由で、海警は海保を試した可能性があります。

さて中国はこの2月の海警法の改訂で、国防部に属する準軍事組織として武装警察の傘下であることを明らかにしました。
また去年12月に改訂された国防法では、このようにその目的を述べています。

「2020年12月に改正した「国防法」では、軍事行動によって守るべきものとして、国家主権、統一、領土と並んで新たに「発展利益」が追加されたが、この「発展利益」の意味もまた「管轄海域」と同様に曖昧模糊としている。恣意的解釈が自在な「発展利益」と「管轄海域」に国際社会は疑心暗鬼とならざるを得ない」(山本勝也 『中国海警と人民武装警察-海警法への違和感と懸念 』)
https://www.spf.org/iina/articles/yamamoto_06.html

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この「発展利益」という概念がクセモノです。
中国が考える「管轄海域」は、沖縄トラフ以西の東シナ海や南シナ海九段線の内側、中国流にいえば「第1列島線」の内側の全てを指します。
ここを彼らは「領土」と呼び、それを「管轄海域」と規定するのですが、とうぜんこんな中国の主張は、日本、フィリピンをはじめとする周辺諸国の主張とはまったくかけ離れています。
南シナ海の人工島は国際仲介裁判所の仲裁裁定によって否定され、仮に尖閣でも国際司法で争うなら同じ結果が出るでしょう。

またここで国防部が「統一」を上げているのは、明らかに台湾の併合を想定しています。
つまり中国は、「国家主権」の一部として管轄権を主張し、それを警備するだけではなく、その「発展的利益」をもぎとると言っているわけです。
平たくいえば、オレのものはオレのもの、ひとのものもオレのもの、それが国家主権の発展的利益だ、ということになります。

おそらく今年の漁期の解禁に当たる夏には、大挙して漁船を入れて海保を対応不可能に陥れて、その混乱の中、尖閣に上陸を図るかもしれません。
とりあえず理由なんかどうでもいいのです。漁船同士が衝突したでも、なんだったら水漏れで沈んだでもいいし、腹痛でもかまいません。
ともかく尖閣に上陸さえしてしまえばアチラのものなのです。
上がってくるのは漁船員で裏稼業は海上民兵。
そしておもむろに彼らを「救助」しに現れるのが、海警という段取りです。

駆けつけた海保は多勢に無勢でなぶりものにされ、救援に海自が入れば、中国海軍との紛争に発展します。
5年前なら海自がなんとか勝てたでしょうが、いまは軍事バランスが崩れていますからどうでしょうか。

え、オリンピックがあるだろうって。いや逆です。
中国にとって、だからこそ絶好の機会なんですよ。
オリンピックを人質にされて、日本は岸防衛大臣が言ったような武器使用はできませんからね。

 

 

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コメント

どうみてもタイミング良すぎなアドバルーンですよね。
扱いを間違うと、それこそ漁船の大群(らしきもの)が押し寄せて来て、中国海警が取り締まるという演出で「我らの海域」だと主張してきて、尖閣諸島は中国領だとエスカレートします。
我が国が出来るのは、決然とした主張と国際的なアピールしかありません。
海保もいっぱいいっぱいだし、海自はようやく海保との海域合同訓練(これは高く評価します!)する程度。
本当に海自が「撃ち合い」するような場面の直前だという危機が迫ってます。もしそうなったら···物量的に勝てませんな。。。

まず、ネット上で「助けなきゃいい」「撃て」「沈めるべき」という意見がけっこうあって、一部の極端な物言いと承知してはいますが。
仕事でもレジャーでも、海上で従事する者・できる者は皆、「明日は我が身のお互い様」の精神で、遭難の発生を認知したら、要救助者の氏素性などよりもまず救難し、協力します。
それが世界共通のシーマンシップなので、そのことはこの場をお借りして強調しておきたいです。

外国公船に対して先制で武器を使用しないという、国際法に明文化はされていない「慣行」を突いている中共に対して、同じように国内法で外国船・外国人に武器を使用できる、強制力を行使できるとしてしまう我が国政府・議員に対する私の腹の中は非常に漆黒暗黒なので、コメントはほぼ自粛中。
中共の出方によっては我が国に対する武力攻撃、軍事行動と見做して国際法に合致した正当防衛、自衛権を発動しますよ、という議論を綺麗さっぱりすっ飛ばし、また、中共がチャレンジしているのは最早ただ「尖閣」というより「国際法と秩序」であることを最大限に利用もせず、日本の方が国際法に違反したとされることにもなりかねない行為の判断と実行を海保に丸投げするのか。
海保を浪費し疲弊させないやり方を考える方がよくないのか。
政府が肝の座った考え方をしないことが、不用意に勇ましい人たちを吹き上がらせるのではないか、とだけ今は。

日本の側から「国内法により凶悪犯として危害射撃」の話が出ても中共が無反応なのは、「敵がミスを犯している時は邪魔をしない(byナポレオン・ボナパルト)」からとさえ思えている現状。

宜野湾さん、そんな書き込みがあるのですか。呆れてものがいえません。
冗談じゃない。真逆です。
わが国の海保は中国海警より1分でも早く漁船員を保護し、那覇に連れ帰って調べるべきなのです。
さもないと中国海警が救助してしまい、尖閣水域は中国が管理しているという証拠になってしまいます。

こちらが警告射撃をしていいのは、相手方が武装して抵抗してきた場合だけです。
実弾を当てていいのは、北朝鮮の工作船のように自動小銃を使ったりした場合のみに限られます。
海警に対しても同様。尖閣水域に「いる」だけでは排除の対象になりません。無害通航権があるからです。
そこで彼らが海保巡視船やわが国漁船に武力攻撃を仕掛け場合のみ、警察比例の原則に則って対応するだけです。

そもそもこんな書き込みをする連中に、尖閣周辺は日中漁業協定によってどちらの経済水域でもない除外水域であることを知らないか、国際海洋法によって中国漁船が通航することは認められていることすら知らないのではないでしょうか。
今回の遭難した中国漁船に対しては、事故船について無条件で救難する義務がある国際海難救助法に則って救助せねばなりません。

あくまでも私たちにとって「法の支配と自由」が武器なのです。中国のようになってどうしますか。
彼らは自分達だけの論理で攻めてきます。
だからこそ、私たちは国際法を武器に戦わねばならないのです。そうしないと国際社会を味方にできません。


拙コメントにとりあって頂きありがとうございます。

あれが掲示板やまとめサイトの書き込みだけなら、まだ「素材」のひとつくらいで済みますが。
「国際法と秩序は遵守しよう」、或いは「日本は国際法と秩序に則った正当性をアピールした方が」といった言論に対して、「親中なんですね」から「他国は法を守らないのに日本だけ守ったってしょうがない」「どうせ国際社会は守ってくれないから自分でやるしかない」みたいな返しがワラワラと湧いていて、政治ともども、国際法に合致した自衛権の発動を明言することによる抑止よりも、海保が犠牲になる日々への道筋を歓迎しているわけですから、暗黒な気持ちになります。

あ、やっとコメント入った。
この程度すら弾かれるって、なんなのでしょうねぇ。

2021.3.7 相模吾です。 選挙に対する認識がこうまで露骨で醜悪な公式見解とは法治国家とは言えない。 無茶苦茶な法律を作って法治国家の仮面をかぶって、国民や近隣国に歯をむき出して、周さんはどこに行こうとしてるのか。これでは世界を取り込むか、戦争しか終わりが無くなる。
 日本の引け腰が増長させていると思う。菅首相のあいまいさもしかり。前の投稿で「戦争」と表現したが、すでに中国から(形を変えた)戦争を仕掛けられていると考えるべきだ。
しかしこの国会をみていると、有効な自衛手段は取れそうもない。情けな~。

2021.3.10 相模吾です。 上記投稿 訂正
 選挙→尖閣 です。今頃気が付き申し訳ありません。

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