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2021年3月25日 (木)

なければ作れ、国際人権法

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中国によるウイグル人へのジェノサイドについて主要国の動向が固まりました。

「米国、英国、カナダは22日、中国での少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害にあたるとして、中国政府当局者らへの制裁をそろって発表した。欧州連合(EU)に続く制裁で、主要国が足並みをそろえた。米欧と中国の対立が一段と鋭くなる一方、日本の対応も焦点となりそうだ(日経3月23日)
「欧州連合(EU)は22日開いた外相理事会で、中国での少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害にあたるとして、中国の当局者らへの制裁を採択した。対中制裁は約30年ぶりで、同日付で発動した。ブリンケン米国務長官が同日から就任後初めて欧州を訪問するのに合わせ、協調姿勢をアピールする狙いがありそうだ」(日経3月22日)

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ウイグル族人権侵害 EUが30年ぶり制裁 中国は対抗措置

一方、日本政府は今のところこの主要国の中国制裁に連帯する意志はないそうです。

「日本政府は、新疆ウイグル自治区での人権侵害をめぐる対中国制裁には慎重な立場だ。米国や欧州連合(EU)などがそろって踏み切ったが、距離を置いている。4月に予定される日米首脳会談では、人権問題で中国批判を強める米国との温度差が浮き彫りとなる可能性もある。
 官房長官は23日の記者会見で、「人権問題のみを直接あるいは明示的な理由として制裁を実施する規定はない」と指摘。外国人に資産凍結などの経済制裁を科す外為法の要件を引き合いに説明した」(時事3月23日)

G7で日本だけがカヤの外となりましたが、いつもはカヤの外はイヤじゃあ、バスに乗り遅れるなと叫ぶ築地界隈の皆さんはどう思われるのでしょうか。
それはさておき、こういう人権問題に腰が引けた対応は、もちろん自民党中枢(だれかわかりますね)や政権与党内部(どの党かわかりますね)が、中国制裁に強く抵抗しているからです。
菅氏は二階の支持を得て首相となったいきさつから、彼らの反対を押し切ってまで制裁に加われないようです。やれやれ。
派閥を持たない悲劇と言ってしまえばそれまでですが、菅氏と安倍氏の政治力の差はこんなことひとつにも現れています。
つまり安倍氏なき後の世を楽しんでいる風情の二階が実質的に与党の支配者になってしまっていて、内政のみならず対中外交まで仕切っているようです。
この致命的欠陥をどうにかしないと、菅政権は今年の秋までとなるでしょうね。

そりゃ確かに、法的には加藤官房長官が言うとおり、人権問題だけに絞った入管法や外為法の規定が存在しないのことは事実です。
なければ作ればいいだけのことです。
それをしないで法律がないからできましぇん、なんて言うのなら、それは政治家の発言ではなくただの小役人の言い逃げ口上にすぎません。
こんなせこい言い訳で中国問題から逃げていると、菅政権は保守から見放されますよ。

一昨年、韓国の大量破壊兵器拡散に繋がる輸出管理不正についてホワイト国ステイタスから落としましたが、これは国際的な輸出規制のルールに合わせたものです。
だから日本は制裁のセの字もいわずに、実質的な強い制裁をかけられました。
もちろん隠れた意図は、かの国の繰り返された約束違反に対しての制裁の一環ですが、そうとは明示せずにやってのけたわけです。

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中国企業11社、米の制裁対象に ウイグル人権侵害めぐり

ところが今回のような人権事案には、適用できる物資の輸出入制裁の法律がないというのが、日本政府の言い分です。
ではモノがダメなら米国のようにウィグルのジェノサイドの直接の責任者に対する入国規制はどうでしょうか。
実際に主要国はこの制裁にすでに踏み切っています。

「米財務省は、ウイグル自治区の公安トップを務める陳明国氏を制裁対象に指定した。同区の治安対策などを担う組織「新疆生産建設兵団」の共産党委員会書記、王君正氏にも制裁を科した」(日経前掲)

これも入管法に人権の規定がないためにできない、というのが政府の言い分のようです。
せめてジェノサイド禁止条約にでも加入していれば、条約を楯にできるのですが、これも9条がらみでしていないのです。
困った国だな、わが国は。

いかに悪逆非道なジェノサイドが隣国で進行していようと、法律に明示されていなければできないというわけですかが、なるほどならば残る方法はふたつしかありません。
ひとつは、国連決議です。これはかつての南アフリカのアパルトヘイトに対しての制裁のような前例があります
北朝鮮の核開発についても国連の制裁決議が出ていますから、日本はそれを遵守する形で制裁に加わり、安倍氏はわが国独自の制裁までもそれにつけ加えています。

しかし、今の菅氏にはこんな安倍氏のような強い党内指導力が欠落しているために、独自制裁どころか国連の決議待ちです。
ただし安倍氏などが外交部会の働きかけを受けた形で応援すれば、出来ない相談ではないかもしれません。
ただしこれも結局堂々巡りなんですが、習の訪日は中止ではなく延期だなんて未練がましく言っているようなパンダハガーが幹事長室に居すわっているかぎりそうとうに難しいのも確かです。

さらに悪いことにはいまの時期の中国制裁はオリンピックに直結してしまいますから、中国の報復ボイコットくらいは覚悟するのですね。
同時に、欧米は来年の北京冬季五輪のボイコットも視野に入れて中国制裁をかけていますが、制裁を課せばもっとも返り血を浴びるのが日本だ、ていどの認識は持ってやりましょう。
このボイコットの流れは強まっても弱まることはないので、来年は開催地を変更しない限り羽生くんには泣いてもらうことになるかもしれません。

もちろん国連安保理決議のほうは、中露がウィグルのジェノサイドを認めることは金輪際ない以上、100年待っても無駄です。
といってもまったく国際的制裁決議ができないわけではなく、主要国が足並みを揃えて制裁を実施して、それが国際世論として完全に定着すれば出来ない相談ではありません。
中国も一国で制裁を掛ければ、お前のとこのコレは買わないという陰湿な報復をしてきますが、世界が一丸となって制裁に参加した場合、赤信号みんなで渡れば怖くないということになります(古いね)。

かつてのロシアのウクライナ侵攻に際しては、EUを中心にして国連決議とは別枠の制裁に踏み切り、わが国も同調しました。

●対クリミア等制裁関連 平成26年8月5日発表
ウクライナ(クリミア自治共和国又はセヴァストーポリ特別市を原産地とする場合に限る。)に対し、主要国が講じた措置に沿い、貨物の輸入禁止措置を講じております。
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/01_seido/04_seisai/crimea.html

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huffingtonpost.jp  ロシア軍のクリミア侵攻

日本もこの時には追随しているので、まったく出来ないわけではないのです。

また欧米の議員によって作られたNGO「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」が、国際刑事裁判所(ICC)と国際連合人権理事会に、ウイグル民族に対する人道上の罪とジェノサイドを理由に告発し、関わった中国当局者に関する調査を依頼しています。
このような国際司法裁判所を動かすという手段も継続されているように、ウィグルに対する国際社会の関心は強まっています。

ところが日本だけが、ウイグル人の強制労働に関わったとして83のグローバル企業が国際人権NGOヒューマンライツ・ナウから名指して非難されており、その内、12社が日本企業であるにもかかわらず、政府はこれについてもだんまりを決め込んでいます。
このような見て見ぬふりを続ければ、わが国も中国と同じなのかと批判されても返す言葉もないことでしょう。

このように加藤氏がいうように「人権を明示した法規制はない」のは事実であるとしても、やりようはいくらでもあるのです。
それをいわないで、こういう小役人的な言い方でスルーしようとするとは、ああイヤダ。
日本は早急に国際人権法のようなものを作るべき時期になっています。

 

 

 

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コメント

立法府なれど、しがらみがあって法律をつくれないならば、せめて日本国憲法の前文に沿って、国会決議をすればという案がツイートされていました。

【日本国憲法 前文より抜粋】
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

【浅野一郎元参議院法制局長見解】
「法的拘束力がない国会決議てあっても、憲法第66条で内閣は行政権の行使につき国会に連帯して責任を負うことから、各院の決議は内閣に政治的・道義的拘束力を有している」との見解を表明している。

 戦前の日本は、人種差別に反対しユダヤ人弾圧(ジェノサイド)にも反対したという誇り高い国であった。当時は英米なども人種差別の国家であり、人種差別が世界で廃止されたのは、戦後だいぶたってからのことである。

 今、政治家が法律を盾にジェノサイド認定に躊躇するのは可笑しい。英米が認定に賛成しているのだ。なんの心配もないではないか。中国が怖いと思っているのではないか? 尖閣で何をされるのかが怖い、日本人商社・会社員に危害が及ばないかと怖れている。

日本としては、今は中国を怒らせたら東京五輪を潰されるのが怖いのだと思います。0
聖火リレーに飛び入り参加した小池都知事の虚栄心をも利用しなければというのが苦々しいところです。
彼女がへそを曲げて中止を宣言、違約金を国に擦り付け、英断の英雄として都議会選に総選挙まで雪崩れ込んだら大変です。

無事に閉幕したら、もう遠慮することはありません。
それまでは耐えがたきを耐える必要があると思います。

「なければ作れ」
仰る通りです。

「当事者意識」
ややもすれば当たり前過ぎて今更使うのを躊躇うような言葉を敢えて今提起する高橋杉雄氏(防衛研究所防衛政策研究室長)のレポート
https://www.jiia.or.jp/column/post-75.html
とも併せて、本日のエントリーに私は共感いたしました。

私は、右の軸足は欧米諸国などの方へ置いおいて、左足は中共の方へ爪先だけ
置いておく派ですわ。

日本の貿易は米国より中国との方が大きくなってしまっているので、人質なら
ぬ社質がバカにならぬ数ほどあります。角さんの日中国交正常化以来、中国
は豊かになれば民主化するというアテがあったし、現に天安門事件まではその
動きもありました。その後も、天安門事件は民主化が急激過ぎたので鄧小平
さんが泣く泣く馬謖を切ったんだよ、あんな好々爺さんが悪い人のハズがない
のだから、中国は遅くなれども民主化するのはガチさと、企業の中国進出は
止まりませんでした。そこへイキナリ、近平中華皇帝の出現で、もう爪は隠さ
ないと世界帝国の宣言をしたんで、中国奥深く進出してしまっていた日本企業
にも少しは同情しますわ。もう投資をしすぎていて、それをおっぽり出して帰
れない。

それに日本には地政学的リスクが高すぎますわ。欧米なんて地球の裏側だか
らいいんであって、日本なんて目と鼻の先ですわ。米国が日本を守ってやる
という同盟のウラには、前線基地として日本の国土の一部を優先的に使うと
いう美味い汁があってのことです。日本の国土で大国同士が派手にドンパチ
するのは、周辺諸国まで含めて火事場ドロボー(竹島など)を誘発しかねない
ので、最悪の事態と言えますわ。

日本は、欧米諸国の側には「おいらも、人権侵害の中共は許せねーよ!(人権
も大事なんだけどさ、実はドップリと中国に浸かっちまってて、急に抜けられ
ないのよ)」と言っておいて、中共には「こら、メンツなんていい加減にせいよ、
今ならおいらがどうにかして話し合いの場を持たせてやるよ(おい、社質に手ェ
出すなよ、これから逃がすんだからよ、時間かせぎさね)」と、ダメ元で恩を売る
素振りをしておいた方が良いですわ。もちろん、両サイドに日本の本心を悟られ
ない外交手腕が必要ですけど。なんやら明治時代には、日本にも外交の上手な
人が多かったようなんですが・・・

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