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2021年3月26日 (金)

北朝鮮弾道ミサイル発射の意味

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北朝鮮が弾道ミサイルを発射したようです。懲りない奴ですな、まったく。
北にとって「弾道ミサイル」というのは軍事的意味より、一種のおしゃべりのようなものです。
今どき短射程のものを海に向けて撃ってもだれも驚きはしませんが、撃ちたい、撃たせてくれぇというわけで、南北揃ってめんどくさい国です。

●防衛省発表 令和3年3月25日
本日、北朝鮮は本日7時4分頃及び7時23分頃、北朝鮮の東岸から合計2発の弾道ミサイルを東方向に発射した模様です。従来から北朝鮮が保有しているスカッドの軌道よりも低い高度、すなわち100km未満をいずれも約450km飛翔したものと推定されます。なお、落下したのはわが国の排他的経済水域の外と推定をされております。

注目すべき点はいくつかあります。
まずミサイルを落とした位置が日本のEEZの西だということです。

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北朝鮮への対応、日米首脳会談の主要議題に…弾道ミサイル発射受け米韓

2020年の北朝鮮の弾道ミサイルはこのようなものです。

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防衛省 2020年の北朝鮮による弾道ミサイル発射

上図をみればお判りのように、去年のものはいずれも着弾地点が同じ無人島に集束していますから、着弾修正をしたのだと考えられています。
一方、先日のそれは、東部から一直線に東に撃ち出しています。たぶん米軍のTHAAD攻撃を想定したものだと推測されています。
JSF氏によれば、その飛行性能から北朝鮮版ATACM(陸軍戦術ミサイル)の可能性があるとのことです。

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北朝鮮版ATACMS短距離弾道ミサイル2回目の発射(JSF)

ちなみにこのATACMは、当初は韓国の玄武2に酷似していることから流出疑惑をかけられていましたが、大きさも異なり、操舵系がロシアのインスカンダルと同じであることから、むしろロシアの技術供与があったものだと推測されています。
このイスカンダル系の弾道ミサイルはグライドミサイル(極超音速滑空体) とも呼ばれて、落下してくる時に通常の弾道軌道を描かずに、軌道を微妙に変化させるというコジャレた小技を使って落ちてきます。
そのために一部の識者は、現存の日米のMD(ミサイル・ディフェンス)では迎撃不可能とまで言っていますが、それは過大な評価です。

「パトリオット迎撃システムのPAC-3迎撃ミサイルは大気圏内迎撃用でありターミナル段階でイスカンデルを迎撃可能です。イスカンデルに限らずPAC-3は弾道ミサイルをターミナル段階で迎撃するので何時もと変わりがありません。イスカンデルもターミナル段階で落ちて来る直前ともなれば大きな軌道変更はもうできず、目標照準用の小さな修正しかできません。全く問題無く交戦可能です」(JSF 2019年10月22日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20191022-00147868/

この今回の弾道ミサイルの弾種と落下地点から、正恩の苦心が忍ばれます。
ひとつは、韓国国内にしか到達できないものであることから、いつでも思う存分罵ってよいと思っている馬鹿な弟に向けたものだということです。
かといって、今さら正恩がムン閣下に何らかの政治的メッセージがあるわけではなく、撃つとなると韓国に向けて撃つしかないからです。
北とムン政権は一種のサドマゾ関係で、ムン閣下は正恩や与正に罵られれば罵られるほど抱きつくのですからキモイ。
日本に向けて撃てば、これは日米同盟と全面敵対する意志を明確にしたことになり、以後米国は圧力一辺倒になるしかありませんからね。
米国新政権の移行時期に撃ったことから、なんらかの瀬踏みだとの観測もありますが、まぁ多少はあるでしょうね、ていどだと私は思います。

弾種も火星シリーズの長射程のICBMなど撃てば、いくらジジでも目が醒めてしまいます。
すると、トランプが匂わせていた第3回会談などは望むべくもなくなります。
中距離のノドンは日本専用弾道ミサイルですから、これも同じ。

ロシア、中国はもっと論外。いまこの二国に撃ってしまったら、二度と支援物資や軍事技術をもらえなくなってしまいます。
したがって、消去法で「いつでも気まぐれで殴っていい国」である韓国に向けて短射程の弾道ミサイルを撃ったということです。
ムンちゃん、気の毒。どこまでもついて行きます、ゲタの雪。
ただし、隠し味として滑空性能があるグライドミサイル使って、いかにミサイル開発が進んでいるのかも誇示しました、というところです。

こんな高価な政治的オモチャを撃っているくらいなら、国民に医薬品や食料を買ってやれと思いますが、正恩とてまったくそれを考えないわけではなく、同時期に中国にすり寄っています。

「最近米国からの接触提案を拒絶した北朝鮮が中国に向け手を差し出した。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が習近平中国国家主席に伝えた口頭親書を通じてだ。
労働新聞など北朝鮮メディアは23日、金委員長が「敵対勢力の全方向的な挑戦と妨害策動に対処し、朝中両党・両国が団結と協力を強化することについて強調した」と伝えた。これに対し習主席は「国際および地域情勢は深刻に変化している」とし、「両国人民により立派な生活を与える用意がある」と答えた。昨年1月から新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して国境を閉じたまま自力更正に没頭していた北朝鮮が両国の協力を強調しながら手を差し出したところ中国がすぐに応じたものだ」(中央日報3月21日)
https://japanese.joins.com/JArticle/276870

いま北朝鮮はコロナで散々な目にあっています。
ひと頃は感染者ゼロなんて世界の誰も信じないことを言っていましたが、あの最貧国レベルの医療インフラがたちまち崩壊したことは想像に難くありません。
また、それでなくても国連制裁が効いているうえに国境まで感染流入をおそれて閉鎖してしまいましたから、二番底とでも言うべき惨憺たる状況になったと思われます。
特に命の綱の中国からの物品輸入が途絶え、瀬取りも不可能になったことが大きかったことでしょう。
北朝鮮が干上がるのを笑いをかみ殺しながらながめていた習は、さっそくお待ちしておりました、とばかりに優しい声を返したということです。

これはもちろん国連制裁決議違反ですから、米国は制裁攻撃の理由にできます。
バイデン側から何回かにわたってコンタクトを試みたという情報もありますが、もうジジには新たな対抗手段はないでしょう。
あるとすれば、また国連制裁の蒸し返していどのことで、限界はやる前から見えています。
一方トランプなら第3回会談をオファーするという切り札がありますし、短距離ミサイルていどなら許すという限界は正恩もわかっていました。

トランプのような北とのコミュニケーションをジジはできません。
呼吸がジジには読めないのです。
こういうモードに入るとブリンケンのまっすぐな若さが危険です。
正が義恩が弾道ミサイル挑発を繰り返すと、ジジは案外すぐに報復爆撃を命じるなんてしかねないかもしれません。
それでなくても歴史的に民主党は共和党より「戦争好き」なのですから。
その場合、北を攻撃するためには中国の容認が不可欠ですから、そのためにどれだけ代償を払わされることか。
私にはそちらのほうが恐ろしい。

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コメント

 与正は「足を延ばして寝られなくする」とか言っていたが、この程度ではスルーされるだけ。ただ、今回の事に世界で一番反応したのは二階幹事長。
何やら、「呼応した」とすら感じてしまいます。
「ヘナっと抗議するだけだけど、そんなことだけでいいのか」とか、「こんな生ぬるいことを言っていていいのか」と述べているが、彼の本質は日朝議員連盟方式の「対話」であり、中国を引き入れる心算がミエミエ。安倍の「条件を付けずに会う」とは別物なので、要注意です。
これからエスカレートしていくつもりかも知れず、中国の動きに要注意です。

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