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2021年4月27日 (火)

米軍より中国軍が優勢だって?

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うるま市の市長選勝利、おめでとうございます。確実に次の知事選の足掛かりとなるでしょう。
このところいいニュースがまったくなかったので、ほんとうに嬉しいことです。

さて中国についていつも感じるのですが、メディアが煽る過剰な恐怖には耐性を持ちましょう。
さもないと、メディアの垂れ流す無責任な情報に右往左往することになります。
たとえば、二つの記事があります。

ひとつは、日経(4月21日)の特集記事「台湾有事 備えはあるか」では、中国、台湾、在日米軍の兵力を比較して、「中国優位が鮮明」と結論しました。
危機感を持つのはけっこうですが、ここまで書いてしまうと煽りです。
もうひとつは、共同(4月26日)の「世界の軍事費、2.6%増 コロナ拡大でも最高額更新」は、米中だけで世界の半分の軍事費を占めていて、中国の軍事費の増大は大きいと書いています。

うーん、まったくの嘘じゃないんですが、根も葉もないことと違って、一定の事実が含有されているからかえってやっかいです。
二番目の共同の記事は米中で世界の半分は確かですが、その「世界の軍事費」の大部分を占めるのは、わが国の同盟国の米国です。
だから「世界の半分」という見出しのつけ方は煽りです。

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http://www.garbagenews.net/archives/2258869.html

世界の軍事費の38.4%を占めるのは米国で、中国は13.7%でしかありません。

日経記事は米中逆転、中国が海軍力でも優位に立ったと書いていますが、完全に間違いです。
中国の艦艇750隻という数字が出てきますが、これは米国防総省の『中華人民共和国が関与する軍事および安全保障の進展に関する報告書』においてカウント方法の誤謬とされている数字です。
中国海軍の戦闘艦艇および戦闘を支援する艦艇(バトルフォース)は約350隻だといっていますが、その内訳は、86隻のミニサイズのミサイル哨戒艇や、49隻の056/056A型コルベット(最も小型の艦艇)も含んでいます。
それらの艦艇は外洋航行能力が低く、戦闘力も小さいために、沿岸警備や海警がもっぱら使っている艦種です。
ですから、米海軍と較べたいならこれらを捨象して、実数は215隻前後といったところです。

一方、米海軍の米海軍の戦闘艦艇は現在290隻であり、355隻という目標が法制化されているものの、予算や乗員の面で実現のめどが立っていないようです。
これら艦艇の中には世界最大規模の空母12隻も含まれており、駆逐艦は一隻残らずイージス艦です。
したがって哨戒艇といったガラクタまで入れた中国海軍は比較の対象になりません。

ちなみに海上自衛隊の戦闘艦艇は、現在138隻の主要艦艇(護衛艦、潜水艦、機雷艦艇、哨戒艦艇、輸送艦艇、補助艦艇)です。
個別の艦艇は世界最高の水準を持っていますが、単独では中国に押されつつあるのが実態です。

むしろ中国の脅威を見る場合重要なのは、軍事費の急激な伸びです。

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米国はオバマの時期に削減されましたが、トランプになって再び増加に転じていますからご安心を。
中国が世界第2位の軍事支出をしている国であることは間違いありませんし、内容が研究費や軍人の福利厚生、宇宙関連などが軍事費とは別項目に入れられているので、実際はこれ以上だと推測されています。

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防衛省・自衛隊|令和元年版防衛白書|2 軍事

防衛白書(令和元年)はこのように指摘しています。

「中国は、2019年度の国防予算を約1兆1,899億元と発表した。これを前年度の当初予算額と比較すると約7.5%(約829億元)の伸び12となる。中国の公表国防費は、1989年度から毎年速いペースで増加しており、国防費の名目上の規模は、1989年度から30年間で約48倍、2009年度から10年間で約2.5倍となっている」

ここで防衛白書がいうように、30年間で40倍、10年間で2.5倍という、異常な速度で軍備を拡張していることこそが問題なのです。

次に、以上の軍事費についての数字を頭に置いたうえで、日経の記事を見て下さい。
「米中逆転」とは一体なんのことを言っているのか、私にはさっぱりわかりません。
軍事費の伸びも、オバマ時代ならともかく、今は中国の軍拡に対応していますから、「中国優勢」なはずがないじゃないですか。
ただひとつ日経の記事がそれなりにただ正しいとすれば、「東アジアに限定すれば」という前提条件をつけた場合だけです。

日経の使ったトリックの仕掛けはこうです。
中国軍については、その全軍の陸上兵力、艦艇、作戦機を全部数えています。
逆に、米軍については在日米軍だけでカウントしています。
軍事力比較をするなら、米軍も全軍の数字を出さなければおかしいですね。

どうして米国がこのような大きな軍事費を持たねばならないかといえば、欧州、中東、アフガン、東アジアに至る広域のエリアの安全保障を担っているからです。
現在、米軍は大きな戦力移動をしようとしています。
中東やアフガンから撤退を進め、最も危険な中国の軍拡に対応しようとしています。
それは東アジアでの軍事バランスが崩れようとしているからです。
ですから、この部分は日経の「中国優勢」というのも、あながち間違いではありません。

ここまでを整理しておきましょう。

①中国は米国に次ぐ世界第2位の軍事費をもつが、その差は大きい。
②中国の軍事費の伸びは10年間で2.5倍である。
③東アジア・南太平洋においては中国が優勢なのは事実である。

では、もう少し詳細を詰めていきます。
中国は東アジアだけをとると優勢だと言いましたが、かといってその主要な標的である台湾に即座に侵攻できる状況かといえば、そう簡単ではありません。
これは中国陸軍は世界最大規模のの陸上兵力89万人を誇っていますが、なにぶん5つの戦区に分散していますから、89万人が丸々渡海してくるわけではありません。
台湾海峡を渡ってこれる兵力だけを問題にすればいいのです。
そこで中国軍の渡海能力ですが、中国は海軍陸戦隊、空中突撃旅団、空挺降下部隊の軍種類を持って、それらを投入することでしょう。

「073 型大型揚陸艦は、すでに6 隻目が建造され、5 年後には10隻以上に達する可能性がある。そうなると一度に1個重装備師団を輸送できる。これを使うときは、すでに第一波上陸が終わりに近づき、制空、制海権も確実に獲得している。或いは台湾東岸への上陸に使われる可能性もある」
(『最後の手段としての台湾への武力侵攻』台湾 漢和防務評論2018年2月8日)
https://www.ssri-j.com/SSRC/abe/abe-364-20180228.pdf

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世界記録並み」の急ピッチで強襲揚陸艦の建造を進める中国 | 上海から東シナ海に向けて出航するのが確認された075型強襲揚陸艦 
ニューズウィーク

かつて国共内戦末期に金門島に侵攻しようとしたときは漁船まで徴発しましたが、現代では10隻の強襲揚陸艦が主力になります。
それまでに内陸の枢要地点にヘリなど浸透させるでしょうが、あくまでも主力は海兵隊です。
強襲揚陸艦が上陸させられる兵力は、一個師団(訳1万人前後)にすきません。
それも台湾海峡を無事に無傷で渡り切れたらの話です。

台湾海峡を正面から押し渡ろうとすれば、その途中で米国と台湾の潜水艦、水上艦艇、地対艦ミサイル、航空機による対艦攻撃を雨あられと受けねば通過できません。
おそらく強襲揚陸艦の過半数は、台湾海峡を渡り切らずに無力化されると予想されます。

おっと、長くなりましたので、後半は明日に続けます。

 

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