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2021年4月29日 (木)

山路敬介氏寄稿 報道されない現代自衛官の本質 

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                              報道されない現代自衛官の本質 
~沖縄タイムス「防人の肖像」は現代自衛官の姿を表していない。コロナ宮古島派遣自衛官の姿から ~                                                                             
                                                                                             山路敬介

沖縄タイムス紙上で「防人の肖像(自衛隊沖縄移駐50年)」なるシリーズ化された記事が連載されています。昭和の時代、様々なカタチで自衛隊に関わって来た人たちや沖縄とつながる元自衛官らの個人的体験談をつうじ、インタビューを手記風に読ませる事で一見して個々の心情にまでせまった良質な記事と見まごう読み物となっています。

 沖縄タイムス紙は「1972年の日本復帰に伴い、沖縄に自衛隊が駐屯し始めて2021年で50年目になります。沖縄戦が繰り広げられた国境の島しょ県は、現代の「防人(さきもり)」とどう向き合っているのでしょうか。半世紀をひもときながら、部隊配備が進む琉球弧の今を問い直します。」とシリーズの主旨を説明しています。

 けれど、いうまでもなく沖縄タイムスはじめ琉球新報・県内報道機関は米軍基地だけでなく、自衛隊配備反対派に与する傾きが顕著でした。これまでの自身の自衛隊に対する批判的立場の報道から離れて中立性を保持したようにも見せる、お仕着せの主旨はうそ寒さを感じさせます。

 たとえば、このシリーズ開始と前後して沖縄の特殊県的立場(この言い方からして嫌らしい!)にもかかわらず、県内からの自衛官志願者がふえ続けている現状(人口比割合で全国18位)を疑問視していて、その要因を専門家と称される者の言を借りて「自衛隊の南西シフト」「東北大震災での人助け感覚」などがあると分析させています。

 このシリーズの欠点は、一般の現役自衛官の声が欠落している事です。

4/20には防大出の幹部自衛官の「肖像」も登場しましたが、「国際貢献の意義」だとか、外国での「平和維持活動のやりがい」など定型文的に語らせましたが、それはそれで防衛省要望か辻褄合わせのアリバイ的にバランス挿入した印象を禁じ得ないものでした。

 もとより「現代の防人(タイムス称)」たる現役の生の声を拾うのは容易ではなく、特に沖縄ジャーナリズムには困難な仕事と言って良いでしょう。成果は、せいぜい退いた者の過去史としての個人的な苦心談を選別的に語らせるとか、つくり物めいた仕立てとなる以外になく、その原因を沖縄メディアに対する自衛隊内部の「かん口令(説)」によるとする記者もいます。

 たとえば4/19の分は、現在は那覇市中央消防署長の新城敏行氏(57)の回でした。

新城氏は高校時代から身体能力にたけ、18~22才まで自衛隊に在籍し優秀者の証であるレンジャー訓練を受けつつも、辞めた理由を「訓練が戦争ごっこに思えて、人の役に立っている実感がなかった」としています。志望動機は「実弾を撃てるから」だったそうで、その一方で「(復興支援で力を試される平成時代なら)仕事を続けていたかも知れない。救助の手が届きにくい離島県にこそ自衛隊は必要と思う」などと語らせています。

私の後輩にも同じ動機で辞めた者がおりまして、3.11以後は自衛隊を辞めてまでボランティアとして福島に残りました。

 きびしい軍事的訓練をつうじ、もって「社会貢献もしているという実感や誇りを得られなかった」という辞職の動機はありがちの正義のように思えるし、人によっては承認欲求を抑えきれない事もあるでしょう。ただ、そのようなケースも決して現代の自衛隊に一般的であるとは言えません。

 今の自衛隊は良い意味で「職業」としての観念が発達していて、社会貢献の本分は研鑽を積んだ自己の職責をつうじてなされるものである、との考えがより浸透していることが確かです。

 また、自衛隊は国防に関わる軍事的訓練も災害出動などの場合も、当然のことながら優劣や順位を規定していません。上手に説明できませんが、このことは武士道の本質が「日常」にある事と似ているように思います。演習や銃をとった訓練だけが「訓練」であるのではなく、日常の隊務すべてが鍛錬と結びついてこそハッキリした成果が出せているのだと考えます。

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医療逼迫の宮古島に派遣 陸自がきょうから支援活動|テレ朝new

 私がかような考えを再認識するに至ったのは、先の宮古島市におけるコロナ騒動での自衛隊派遣の現場を詳らかに見たり聞いたりした結果です。

タイムスはじめ沖縄のメディアも派遣自衛官への取材を虚心坦懐に徹底しておれば、件の「防人の肖像」があのような薄っぺらい読み物にならなかっただろうに、と思います。

 タイムスが「国境の島しょ県が、「現代の防人」とどう向き合っているのか?」という命題を立てるなら、オジィの昔話を聞くのではなく、今まさに現役である一般隊員を見つめる事でしか解けないでしょう。報道が主として、迎え入れた空港での歓迎場面だけだったことが実に悔やまれます。

以降、差し障りのない範囲で少し紹介します。

 宮古島市においてコロナ感染者が急増し、1/29デニー知事は自衛隊に緊急出動要請を出しました。この事についてネットでは批判のコメントが多く寄せられましたが、なかなか辛辣でありながら正鵠を得た意見も多くあり、無知な反自衛隊派へのよい刺激になったと思います。

 ただ、知って頂きたいのは大方の報道内容とはちがい、沖縄県民や宮古島市民の一般的感覚として、決して自衛隊に対してネガティブな感情を持っていないという事です。

自衛隊誘致政策をほぼ完了した宮古島市においてはなおさらで、今でも「反対」をうるさく叫ぶ専門人員はせいぜい十数人程度でしかありません。

 宮古のおばちゃんは口さがなく、自衛隊反対派の運動員に対し派遣自衛官が空港へ着く頃合いに「あれ~、あんた空港行かんでいいの? 自衛隊くるな!といつものように出口でやったらいいがぁ~」とからかいました。また、「自衛隊反対の人間は、自衛隊の助けを拒むべき」とかなんとか、真顔で厳しい意見を言う人もあり、それはそれで思わず笑えました。

                                                                                                                (続く)

 

               

  

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コメント

最前線の島での話は貴重です。
おばちゃん方の話は、あははっ!と。
何かにつけて「ごく少数意見」のミサイル射場と弾薬庫がどうしたとか取り上げる沖縄メディアや、朝日·毎日といったどこの国のかわからないような大手メディアの罪深いこと。。

たぶん今(29日6時時点)Yahooニュースを開くとヘッドラインに「福島汚染水を揶揄した日本画コラ画像をアップした中国外務省に、茂木大臣が抗議した→日本こそ世界に謝れ」という全く同じ内容を上げてるのが、テレ朝とTBSですね。。なんとも分かりやすい。

「防人」の肖像シリーズ、読んだことがなかったので、馴染みの食堂のおばちゃんに聞いたら19日から21日の3日分の新聞がまだ店にあるとのことだったので、「第2部 浸透の境界線 自衛官になってみて」の「上」「中」「下」の3本を読んできました。
肖像に描かれる皆さんの「」内にある言葉はそれぞれに価値あるものなので、記事の送り手と受け手の技術的なことを少々。
「上」と「中・下」で記事の筆者が違うんですね。
「上」の見出し「役立つ実感薄い昭和」との記事の結びの文

>時代は隊の存在が世の中に浸透するばかりでなく、隊員がやりがいを感じるか否かの境目にもなった

これは「」が無いので、話者の方が語った言葉なのか、それにほぼ等しいのか、記事筆者の主観なのかが曖昧ですね。
職業・出自・思想信条などの属性に関わりなく、100人いれば100の肖像が描かれるのですから、記事の書き手も受け手も、話者の言葉とメディアの主観の区別にも、内容の不要な一般化にも、気をつけるに越したことはありませんよね。
ただねぇ、新聞やテレビには、予め決まった方針や方向性がもし無かったとしても、尺があって、それに合わせて内容や言葉を削ったり過剰にしたり言い換えたりがあるものでしょうから、自ずと正確さに限界はあるってことですね。
取材対象者が語る、広く知られるべき大切な情報であるほど、映像ならば無編集無加工を全編通しで見たいし、文字ならば必要最低限の事実関係説明以外は全て、「」付きの話者の言葉のみで読みたいものです。

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