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2021年4月17日 (土)

日米首脳会談、台湾の平和と人権明記が焦点

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※  共同声明に以下の文言が入ったようです。午前9時追記

「首相は記者会見で、「世界の平和と繁栄に中国が及ぼす影響について議論した。東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試み、地域の他者に対する威圧に反対することで一致した」と述べた。
首相は会見で、「台湾海峡の平和と安定の重要性については日米で一致しており、今回改めて確認した」と説明。中国海警船が領海侵入を繰り返す尖閣諸島(沖縄県石垣市)に関し、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象に含まれることをバイデン氏と改めて確認したことも明らかにした」(産経4月17日)

「台湾」ではなく「台湾海峡」ですか。苦肉の表現だな。
ウィグル香港の人権については

「アメリカは日本の最良の友人であり、日米は、自由、民主主義、人権などの普遍的価値を共有する同盟国だ
全文で確認してから記事にします」(NHK4月17日 )日

「人権を普遍的勝ちとする」か。これではただの一般論です。
制裁についてはまったくふれられていません。
評価などは来週月曜日にします。

本日未明に行われている日米首脳会談の共同記者会見は、午前4時現在まだ行われていませんので見切りで書くことにします。
なんだか山路さんではないが、落ち着きませんよね。
トランプと安倍さんなら鉄板の安定感があったのですが、方やジジ、方や外交若葉マークの菅さんですから、よもやとは思いますが、大丈夫かな。
逆に言えば、双方ともしたたかなプレイヤー型政治家だったドナルド&シンゾーは、その時の会談の状況次第で事務方が決めた線を飛び越えることもあったに対して、側近が支えてやらないと危なげな双方ですから落ちるべき所に落ちるでしょう。

「落ちるべき所」とはなんでしょうか。それをもっとも雄弁に語っているのが中国です。
あの「戦狼」報道官の趙立堅はこうあらかじめ脅しをかけていました。

「中国外務省の趙立堅副報道局長は16日の記者会見で、日米首脳会談の共同声明で台湾問題が盛り込まれる見通しになったことに関して、「両国が結託して中国に対する否定的な動きをしており、米国と日本に深刻な懸念を表明した」と語った。
趙氏は「中米、中日関係はいずれも重要な転機にある。(日米関係強化により)第三国の利益を損なってはならない」と主張した。また、「われわれが国家主権、安全、発展の利益を守る決意は固く、日米は中国の内政に干渉してはならない」と述べた」(時事4月16日)

第三国が、他の二国間首脳会談に対してアレを言うななんてことは、外交上ありえない暴言ですが、この粗暴野卑な男は言いたい放題です。
要は、日米首脳会談で台湾の平和に触れるな、との仰せのようです。
中国の前にでると固まったタヌキのようになる韓国と違って、米国はこのようなことを言われれば言われるほど、ホー、やはりそこがツボだったのかと再確認するだけのことです。
だから共同声明で台湾について触れることを、中国への外交的アンサーにするはずです。
市民語でいえば、チャイナ、ウルセーということです。

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読売

趙立堅が言うように、 日米首脳会談のキモは、あくまでも台湾についてどのような表現でその防衛を日米が確認するか、にかかっています。

共同声明のメニューは下図のようにたくさんありますが、今、焦眉の問題は尖閣と台湾しかないのです。
あとはウィグルや香港の人権問題についてどこまで突っ込めるかで、それが明記できればとうぜんワンセットでどう中国を制裁するのかという方法論になっていきます。

メディアの報道がいつも隔靴掻痒なのはこの三つのこと、すなわち①尖閣・台湾・南シナ海の安全、②ウィグル・香港の人権、③対中制裁、といった三つの要素をバラバラに併記してしまうからです。
この三つは別ち難くひとつのテーマであって、気象変動などは合意するもしないも菅政権は、2050年CO2ゼロなどは宣言していますから、今さら争点にはなりません。

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読売

米国はストレートに、尖閣防衛の言及と絡ませて、クアッドの実体化と台湾・南シナ海問題への日本の積極的関与を要求してくるはずです。
米国が言っていることはしごく当然で、尖閣を日米安保第5条の範囲内だということに固執してきた日本に向けて、尖閣の海はどこにつながっているのか、台湾と南シナ海だろう、切り放しちゃダメだ、ということです。

ここなんですよ、日本の今までの限界は。
日本は尖閣に対して、米国にも強く防衛に協力して欲しいと言いつつ、そこから先に一歩も出ようとしなかったわけです。
9条と親中派のしばりが強かったからです。
しかし尖閣の防衛は、中国による東シナ海支配の野望を砕かないともたらされません。
そして中国が尖閣に固執するのは、地下資源とは無関係です。

前々から書いてきているように、中国が尖閣を欲しがる理由は二つです。
ひとつには、尖閣は太平洋への道を拓くための扉に位置し、ふたつには台湾に侵攻する時に軍事的におさえて置かねばならない要衝にも尖閣は位置しているからです。
このふたつの戦略上の理由から、中国は必ず尖閣を我が物にしようとします。
その時には宮古島は極めて危険です。
私はその時期を台湾侵攻の前後か、あるいは同時だと考えています。

米政府の中でも米海軍がこの南シナ海-台湾-尖閣の繋がりをもっともよく理解しています。
ですから、先日中国海軍が空母遼寧を宮古と沖縄の間を通過させて太平洋へ抜けた時、横須賀からイージス艦を急派して、並走させています。
この時、米海軍からはアーレイ・バーク級イージス艦2隻、海自からは護衛艦2隻の合計4隻で、遼寧空母打撃群を追いかけ、その時の写真を米海軍自身がツイートしています(後に国務省から怒られて削除したようですが)。

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撮影された場所はフィリピン海のようで、DDG-89マスティンです。
ふたりの士官が写っていますが、左のCOの帽子をかぶったのが艦長、右のXOが副長です。
艦長なんか足を投げ出して双眼鏡で遼寧をしげしげと眺めていて緊張感ゼロなことから、戦闘配備にはついていないようです。
ただし、こういうすぐ横を並走しているということは、遼寧空母打撃群6隻が作っているはずの輪形陣をなんなく破ってしまったということになります(苦笑)。
たぶん中国海軍に対して、おめーらなんか目ゃないんだよ、この餃子野郎め、とでも毒づいていたのでしょう。
ちなみにどうでもいいですが、「餃子空母」というのは遼寧の愛称です。 

米海軍は中国海軍の力量を試しているので、このようなことは米ソ冷戦期には日常的に行われていました。
この時に、並走されたくらいで射撃管制レーダーを照射したり、艦をぶつけようとしたりすれば、即座に三流海軍と見なされます。
今のところ中国海軍はこの「試験」には乗らないようですが、コリアのようにすぐに逆上してレーダー照射なんかすると偶発戦争になる可能性がありますので、そこそこに。

話を戻します。
日米首脳会談では中国の人権についてどこまで踏み込むかが、もうひとつのキモです。
いままでの菅政権のように、口では批判するがなんの制裁もしないなんてことはありえません。
批判と制裁はワンセットなのです。おつきあい非難でどうにかなる時期じゃないのですよ。
加藤官房長官は「人権に対する制裁は法律にない」なんてバカ言っていますが、韓国に輸出管理規制強化をかけたように、外為法をうまく運用すれば可能です。

米国は、すでにトランプ時代から国防権限法2021を作って、「中国軍に所有・支配されている企業リスト」の拡大強化をしています。
バイデンもこれをそっくり受け継ぎました。
国防権限法2021によって、従来は司法省、CIA、FBI と協議してかけたのですが、この手続きが簡略化されました。
それに従って、指定対象が大幅に拡大し、「軍民融合貢献者」という概念が導入されています。
これにより、人民解放軍系の「民間企業」に対して、米国が先端技術などの輸出禁止処置を取ることができます。
そしてさらに同盟国に対して、同様の輸出管理規制強化をさせようとしています。

台湾もきついが、この輸出管理規制強化も今までのらりくらりでスルーしてきた日本には厳しいはずです。
まちがいなく、中国は怒り狂うでしょうからね。
さらに人権問題では、ウイグルやチベット、香港問題が共同声明に必ず盛り込まれなければなりません。
グローバルマグネツキー法の制定も迫られるはずです。
これもそうとうに日本にとって度胸のいることです。
今、ウイグル綿とトマトがターゲットになっていますが、それだけでは済みません。
更に広範囲な日本企業が打撃を受けるはずです。

カゴメが新疆のトマトの不使用を声明したために報復されるようですが、それは中国市場へのアクセスも制約されることを意味します。
こういう中国進出企業の悲鳴に対して真正面からこたえていかねばなりません。
そのためにはまず菅政権がしっかりとした中国方針を持たねばならないのは自明であって、政権から二階を叩き出し、公明を黙らせないとどうにもならないでしょう。

ところで菅首相は、訪米直前にウォールストリートジャーナルに寄稿しています。
日本ではまったく無視されていますのでやや長文ですが、付録でご紹介しておきます。

 

[付録]
Japan’s Path to Growth and Stability in the Pacific
By Yoshihide Suga  
仮訳
太平洋における日本の成長と安定への道~私たちは、気候変動と高齢化によって引き起こされる問題に取り組んでいます~             
菅義偉 2021年4月14日 17:56

日本は転機に直面しています。パンデミックの後、我々の課題は、成長軌道に戻り、世界経済において強力なリーダーシップの役割を果たすことです。
高齢化と人口減少、セパリズムと一過性の特別な利益による官僚制は、これらの長年にわたる困難な問題に対する解決策を提供し、さらなる成長志向の改革を実施することが、私の政権の成長戦略の中核です。

日本は、自国経済と世界の両方にとって、成長のための新しい原動力を生み出す上で主導権を持たなければなりません。グリーンポリシーとデジタルトランスフォーメーションには特に可能性があります。
気候変動は差し迫った世界的な問題です。私は、経済的制約ではなく、強力で持続可能な成長を生み出す原動力として取り組んでいます。その確信を持って、私は2050年までに日本をカーボンニュートラルにすることを約束しました。
昨年末、私の政府は、洋上風力、水素、その他の技術に対する野心的な目標を示すグリーン成長戦略を発表しました。グリーンプロジェクト、税制優遇、規制改革、国際標準化プログラム、その他の国際協力を支援する2兆円(180億ドル)の基金を含む、民間経済の投資とイノベーションを促進するための様々な政策を動員します。

パンデミックは、日本が政府のサービスをデジタル化するには遅すぎることを明らかにしました。民間産業にも追いつくことがたくさんあります。私の政府は、最先端のデジタル国家になるために大胆に改革を加速します。私はデジタルエージェンシーの創設を発表し、首相に直接報告し、今年の秋に稼働するコントロールポイントを務めました。
このデジタル革命により、私たちは皆をデジタル経済に取り入れていきたいと考えています。高齢化と少子化に直面した最初の国の一つとして、日本は技術を駆使して誰も置き去りにしない社会を作り出します。
そして、ポスト5Gネットワークを見据えて、デジタル技術における競争力を磨き、グローバルデジタル化競争のフロントランナーとして浮上するために、米国と協力することを楽しみにしています。日本は、世界貿易機関(WTO)の電子商取引交渉を通じて、「信頼を持ったデータ自由な流れ」を引き続き推進していきます。

保護主義が世界的に広がる中、日本は自由貿易の旗手としてのリーダーシップを発揮してきました。米国がTPPから離脱した後、環太平洋パートナーシップの包括的かつ進歩的な協定を締結するために11カ国を結集し、日EU経済連携協定(日米)などの協定を締結した。包括的経済連携協定と地域包括的経済連携我々は、WTO改革を含め、自由で公正な経済領域を拡大し、ルールに基づく多国間貿易体制の強化に努め、引き続き努力します。

地域的および世界的な繁栄のためには、自由で自由な秩序、海上安全保障、接続性が不可欠です。我が国は、同じ志を持つ国々との協力を通じて、自由で開かれた中太平洋を守る取り組みを戦略的に進めます。
こうした取り組みを通じて、より強い経済と社会を築くのが、私の政府の使命であり、責任です。強い日本は、米国との良好な協力関係と、インドー太平洋の平和と繁栄の基盤の前提条件です。

今週ワシントンを訪れる予定です。バイデン大統領が初めての外国人指導者ゲストとして私を迎えてくれたことに感謝します。1912年に日本から寄贈され、アメリカ人が熱心に栽培したワシントンの桜は、毎年春に美しく咲きます。
この厳しいパンデミックシーズンに、自由、民主主義、人権、法の支配の普遍的価値を表す同盟を強化し、地域に平和と繁栄をもたらす自由で開かれたインドーパシフィックに向けて両国のリーダーシップを発揮する機会を楽しみにしています。

 

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コメント

 たたきあげの二人の指導者には見事に華がなくて、眠らずに待っていても肩透かしを喰うように感じました。
台湾そのものではなくて、台湾海峡だった点も配慮臭がちょっとしましたし。
強いリーダー像はないのですが、司々にゆだねる政治手法は二人の共通点です。対中政策は長丁場になるので、人権問題にせよ台湾問題にせよ、周囲や下からあがって来る声に沿う方が強固で長続きすると思います。

安全保障に関しても、抑えつつも必要な事はちゃんと合意されていて、今後他の自由主義陣営がとるべき規範や指針として及第点かと思います。
菅総理の「日本の防衛力強化」発言も、大変良いコミットメントでした。
決してドラスティックな内容はありませんでしたが、揺れ続けるアメリカ社会は今後も不確定要因も強く、基礎的な最低ラインが決められた合意は最大の収穫だったと思います。

トランプ前大統領のマッド・マン/ディーラー変わり身戦法と違って、バイデン大統領とならば、とりあえず安全保障で言質頂いて、あとは良くも悪くも中共と経済温存しながら対話して…とか日本側は考えていただろうと思います。
リベラル勢力の、ツボにハマったら教条的で融通が効かなくなる傾向を、さほど考えていなかったんじゃないでしょうか。
バイデン政権が始まってみたら、対中共では、(トランプ前大統領がやったことでも)中共産品への関税は撤廃しないし、中共企業への締め付けは更に強めるし、「航行の自由作戦」はやめないし、クアッドは前進させる。
ジェノサイドをやっている国と認定して非難し制裁する。
アメリカ国内では、(あの)カリフォルニア州議会でシェール掘削(所謂フラッキング)を禁止する法案が先日否決され、バイデン大統領自身も民間企業にシェール掘削を続けさせる方針であることから、(極左の思惑に反して)石油という手持ち資産を諦める気なんか全く無い、つまり中共のEVなんかに好き放題は絶対させないつもり。
アメリカが弱ったら、もしくは弱ったぞチャンスが来た!と中共に思わせたら、多くのアメリカ人が中共人に使われるようになる。
そんなことは許さない、誰が王者かわからせる(わからないなら潰す)、バイデン大統領はそんなことを考えているからこその、対中強硬政策なのじゃないでしょうか。
そして、アメリカが王者であることをわからせるために塞ぐべき穴は、クアッド諸国の経済での中共依存度という弱点です。
尖閣・台湾海峡、自由で開かれた太平洋、それを守る、その上アメリカは経済でも中共に脅かされない方策を実行するけれど、日本は何をするの?
そう言われている気がします。
台湾関係の態度がまだ物足りていない我が国ですが、頑張って付いていくのがその点だけでは、もう済まなくなっているのじゃないでしょうか。
ユニクロ柳井氏が自称「中立」とか言っていられなくなる状況は、外圧でしかやって来ないですかねぇ。
多くの日本人が中共人から使われるようになり、宮古・石垣まで取られないと、日本から腰は上がらないかもしれない…私の中ではずっと前からいつもある暗い考え。
山路さん、本当にごめんなさい。

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