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2021年5月

2021年5月31日 (月)

進むワクチン接種とウィルス漏洩説

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まず簡単にワクチンの進捗状況をみていきましょう。
メディアは神戸市でミス接種があったのどうのこうのと枝葉末節のミスだけを報じていますが、無視しましょう。
性格がねじ曲がってディスることしかできないメディアに惑わされずに、大きな流れをつかんで下さい。

接種情報は、NHK「日本国内のワクチン接種状況副反応の情報」サイトに集約されています。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/progress/

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接種率でみると、既に11%に達しています。

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土日も休まずに打てる体制が整いつつありますし、打ち手の職種も拡大し、今日の週明けから各都道府県で大規模接種会場が一斉に立ち上がっていくようです。
横浜市は6月6日から予約枠を9万2千人分に拡大し、東京都も千葉県も本格化し、関西では大阪の大規模接種会場に京都府民を受け入れて拡大する予定です。
地方都市では、広島県福山市、岐阜県岐阜市も大規模会場を設置します。
この大規模会場の設置運営はワクチン接種を加速化する決め手なので、ここで得られたノウハウは、1741の基礎的自治体の市町村と共有化されていくはずです。

このように日本は接種開始こそ遅れましたが、日本人特有の計画を立てる時には慎重すぎて遅れてしまうが、しかしいったんシステムが決まって開始されるや恐ろしい勢いで現場力がフル回転する、という伝統的展開となりました。
この勢いだと、7月末の高齢者のワクチン接種完了目標は達成できるでしょう。
国は最もリスクの高い高齢者施設や85歳以上の高齢者への接種を先行しており、6月中には完了するでしょうから、一気に重症者・死者が激減するはずです。

このペースなら、そう遠くない時期に目標の1日100万回を達成できるでしょう。
すると単純計算ならば50日で5000万人ということですから、7月中旬には集団免疫が効果を現し始める4割に達してしまいます。
もちろん楽観的読みですが、おそらく7月中旬前後には目立って死亡数が激減し、回復したという実感が国民に行き渡るはずです。
ちょうど五輪開始前後ですので、ギリギリ間に合ったってところですか。
気分としては開会式前日まで、突貫工事やっているって雰囲気ですが、ま、前回の時も似たようなもんでしたよ(笑)。

さて、新型コロナ人工説について、もう少し考えていくことにしましょう。
今回浮上した人工説が興味深いのは、キイパーソンに、米国側からアンソニー・ファウチと中国側からは石正麗という、共に双方の国のウィルス研究のトップクラスの研究者間の秘密の繋がりがわかったことです。

ファウチは、ニューヨーク・タイムズ紙によれば「感染症に関する米国の第一人者」です。
国立アレルギー感染症研究所 (NIAID) 所長であり、6代に渡って政権の顧問を努め、今はバイデン政権の主席医療顧問に任命されています。
この人物か今米国を揺るがしている人工説の発生源ですが、別稿で検証することにします。

そしてこの人物と水面下でつながっていたのが、武漢ウイルス研究所の主任研究員である石正麗です。
石は、2017年には「中国のコウモリが運ぶ重要なウイルスに関する研究」論文があり、ウイルスの感染の専門家です。 

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武漢ウイルス研究所の主任研究員・石正麗
彼女の専門はSARSとコウモリの関係についてですが、上の写真は2018年11月14日、上海交通大学において、『コウモリのコロナウイルス(冠状病毒)と異種間感染に関する研究』)と題する基調講演をしたときのもので、コウモリから動物へコロナウイルスが感染することについて講演したといわれています。
新型コロナウィルスは、学術名称としてSARS-CoV-2と呼ばれているように、症状はちがいますが同じコロナウィルス類のSARSの近似種です。
そしてこのSARSと
とコウモリの関係について研究していた人物がこの石正麗なのです。あだ名は「バットレディ」。
SARSに似たウイルスであるSHC014-CoVの病気の可能性を調べます。SHC014-CoVは、中国の馬蹄コウモリの集団で流行しています。逆遺伝学解析システムを使って、マウスに適応したSARSコロナウイルス(SARS-CoV)の基幹に、コウモリのコロナウイルス(SHC014)のスパイクを発現させたキメラウイルスを生成し特徴付けました。その結果は、ヒトの気道細胞で効率的に複製がなされ、伝染病と同等の力を達成できることを示しています」(2015年科学誌ネイチャー掲載の石正麗研究員らの論文
"A SARS-like cluster of circulating bat coronaviruses shows potential for human emergence" (循環コウモリコロナウイルスのSARSのようなクラスターは、人間の出現の可能性を示す」)
  https://www.nature.com/articles/nm.3985
この国際論文で石正麗は、SARSのウィルス類に馬蹄コウモリから採取されたウィルスを加えると、キメラが誕生し、伝染病を引き起こすと堂々と書いています。
したがって私たちからみれば、この馬蹄コウモリがどこで発見され、どこの研究所で飼育され、どうやって機能を強化されたのかを追えばよいことになります。

まずこの馬蹄コウモリウィルスが初めに発見されたのは、2012年の春、墨江自治県のトングアンの町の近くにある廃銅鉱山でした。
正体不明の肺炎にかかった坑夫が死に、その原因が坑道内の馬蹄コウモリの糞を吸い込んだことがわかりました。
そしてこれに強い関心をもったのが、武漢ウィルスラボの石正麗らのグループでした。
彼らは、さっそくこの馬蹄コウモリの糞とコウモリを取り寄せ、そこからウイルスを分離しRaTG13と名付けて、飼育していきます。
もちろんただ飼い馴らしただけではなく、感染力を強めたり致死力を強めていったのです。
この強化する過程で、それに協力し、資金提供したのが、アンソニー・ファウチでした。
当然石正麗らの研究の成果は、スポンサーのファウチに渡っていたはずです。
だから、ファウチが知らないはずがないのです。
スポンサーが研究結果を知らされないはずがありませんからね。
ですからファウチは、この新型コロナと武漢ラボのRaTG13ウィルスの近似率が96%だということも当然知っていたはずです。
それはさておき、石らは多くの馬蹄コウモリを集めて飼育しますが、その場所は、時任兼作 『失踪した中国人研究者の「消されたコロナ論文」衝撃の全訳』によればこのように推測できます。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71310?imp=0

この新型コロナウィルスの漏洩についての論文を執筆したのは、広東省広州市にある華南理工大学・生物科学与工程学院教授の肖波濤教授らのグループで、2020年2月6日、研究者向けサイト「リサーチゲート」に投稿しました。
ちなみにこの論文は即座に消され、執筆者グループら全員が行方不明となっています。
これは石らの武漢ラボ関係者も同じで、彼らは根こそぎ行方不明です。
全体主義国家で、当局の意図に反すると地上から消えてしまうようです(ブルブル)。

ところで肖はこの中で、当時発生源とされた海鮮市場の周辺をスクリーニングした結果、コウモリコロナウイルスの研究を行っている2つの研究所を特定したとして市場から280メートル以内に、武漢疾病管理予防センター(WHCDC)と武漢ウィルスラボ の二つをあげています。
位置関係を見てみましょう。
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興味深いのは、海鮮市場が空中写真上端の②、そしてその東側に隣接するのが③湖北省ウイルス病工学技術研究センター(WHCDC 湖北省病毒疾病工程技術研究中心)、そして手前④にあるのがいわゆる武漢ラボです。
まず当初発生源と目されていた海鮮市場ですが、コウモリは売られておらず、食べる習慣もなかったことがわかっていますから、除外してよいでしょう。
肖 はこう書いています。

「WHCDCは研究の目的で所内に数々の動物を飼育していたが、そのうちの1つは病原体の収集と識別に特化したものであった。ある研究では、湖北省で中型コウモリを含む155匹のコウモリが捕獲され、また他の450匹のコウモリは浙江省で捕獲されていたこともわかった。ある収集の専門家が、論文の貢献度表記の中でそう記している。
さらにこの専門家が収集していたのがウイルスであったことが、2017年と2019年に全国的な新聞やウェブサイトで報じられている。そのなかでこの専門家は、かつてコウモリに襲われ、コウモリの血が皮膚についたと述べていた。感染の危険性が著しく高いことを知っていた専門家は、自ら14日間の隔離措置を取った。コウモリの尿を被った別の事故の際にも同じように隔離措置を講じたという。ダニが寄生しているコウモリの捕獲で脅威にさらされたことがかつてあった、とも述べていた。
(こうして)捕獲された動物には手術が施され、組織サンプルがDNAおよびRNAの抽出とシーケンシング(塩基配列の解明)のために採取されたという。組織サンプルと汚染された廃棄物が病原体の供給源だった。これらは、海鮮市場からわずか280メートルほどのところに存在したのである」(肖波濤 前掲)

ここで注意願いたいのは、肖が名指しているのは武漢ウィルスラボではなく、もう一つのWHCDC のほうだということてす。
そこで改めて、石正麗の連絡先を確認してみましょう。

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中国科学院武汉病毒研究所HP
肖が漏洩源として指摘しているのがP4施設がある④の武漢ウィルスラボではなく、その本部である湖北省ウイルス病工学技術研究センター(WHCDC )ですが、石のプロフィールの4行目を見ると連絡先としてこちらのほうが記されているのがわかります。
つまり、石正麗はこちらのWHCDC が実際の職場だったとわかります。

憶測の域を出ませんが、こちらのWHCDC の施設からなんらかの原因で新型コロナウィルスが漏洩したと考えられます。
そうかんがえるとつじつまが合うのは、環球時報などが妙に自信満々に武漢ウィルスラボからの漏洩はないと言い、証拠を撤去した後だとはいえ武漢ラボのほうは調査団に見せているからです。
あの国の極端な秘密主義を知っているだけに、なにか匂うと思っていましたが、もう一方のWHCDC からの漏洩なら、あちらはP4もなくいっそうありえそうではあります 。
実は、中国はウィルス研究に使った実験動物に逃げられたり(農業大学事件)、不活化が不徹底だったために、2004年にはSARSの終息宣言後であるにかかわらず、北京にある中国疾病予防管理センター(中華疾病预防控制中心)からSARSのウイルスを漏洩させ、9例(内死亡1例)の患者を発生させたりしています。
この武漢ラボの関係者が複数名異常を訴えて入院したのが、2019年11月でした。
この初めの患者が出る数カ月前からおそらくウィルスが漏洩し始めていたと思われます。
そしてこの石正麗が所属する武漢ウィルスラボに、2014年から、感染力と毒性を強化する機能獲得変異実験を依頼して5年間資金を渡していたのが、アンソニーファルチだったわけです。
この男に関しては次回に続けます。
 

2021年5月30日 (日)

日曜写真館 泳ぎ方いろんな魚がせいぞろい

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やわらかくきっぷちぎられ水族館 長岡裕一郎

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海亀が頭を上げて見る走り梅雨  上野さち子

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えんそくだ さかなを見よう 水ぞくかん 小学3年生

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秋ははて酸素ぶくぶく水族館 櫂未知子

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遠足は 水族館が たのしみだ 小学3年生

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水ぞこに座りて咲きぬ水中花  矢内涼人

 

2021年5月29日 (土)

緊急事態宣言は万能な対策ではない

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国が自治体の懇請に負けて、緊急事態宣言はが再延長になるそうです。
よく勘違いされていますが、国は自治体からの要請を受けて了承を与えるだけのものですから、念のため。
先日来書いて来ているように、諸外国のように、初めから国が国の責任において緊急事態を宣言して、国家機関を総動員してする「戒厳令」ではありませんから。
あくまでも日本版緊急事態宣言とは、自治体が強制力なしに市民にお願いするだけの、なんちゃって緊急事態宣言なのです。
いわば、たるんでんじゃねぇぞ、と喝を入れる以上ではありません。

しかもこれではオリンピック直前、下手をすると発令中に競技をするということになりかねません。
国外から五輪選手を8万人入れる、海外メディアを大量に受け入れる、来てもこなくてもいい五輪貴族たちを入国させるなら、百貨店を閉めさせるというのは道理に合いません。
私は五輪はかつては延期論、いまは覚悟を決めてやるしかない論者ですが、こんな精神論的緊急事態宣言とバーターでやるようなものとは思えません。

いつまでやっているのでしょうか。果たして、実際効果が上がっているのでしょうか?
その効果がないとはいいませんが、限定的なものに止まっています。
少なくとも百貨店を閉めさせたり、市民に夜間酒を提供できなくして、いっそう厭戦気分を増加させるに見合ったものには思えません。
効果よるベネフィットより、それによって国民が受けるイライラ的気分、経済損失のリスクのほうが大きい気がします。

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廣井悠准教授 jinjibu.jp

そもそも緊急事態宣言には、限定的効用しかなかったと東大都市防災学 廣井悠准教授が指摘しています。
千字で語るコロナ論|都市防災学 廣井 悠|コロナ禍と東大。 | 東京大学 (u-tokyo.ac.jp)

廣井氏の調査によれば、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が出た後に通勤・通学を控えている人は28%にとどまるとの調査結果が出ています。

「調査は今月15~16日、先行して宣言の対象となった東京、大阪などの7都府県を含む11都道府県の2261人にインターネットで実施した。
7都府県では、宣言が出た7日の翌週に90%以上が何らかの外出自粛を行っていた。具体的には食事や社交、娯楽などの自粛が69%と最も多く、次いで買い物自粛が45%。通勤・通学の自粛は28%で最も少なかった」(廣井前掲)

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また廣井氏は、緊急事態宣言自体の外出抑制効果は限定的だとしています。

「全国の実効再生産数のピークは緊急事態宣言前であったことも含め、2020年前半の新規感染者数減少は緊急事態宣言単独の効果というよりも、宣言前に人々のリスク意識向上等で既に多くの外出自粛がなされており(ただし通勤目的は宣言がそれなりに外出抑制を促し)それが持続していったこと、さらには発生早期より行われているクラスター対策や「新しい生活様式」実践等の総合的効果とみたほうが正確かもしれない。
つまり緊急事態宣言はそれのみで感染拡大を抑える万能な対策では必ずしもなく、国民のリスク意識向上等を伴う必要があること、他国とは異なり、宣言による便益評価も困難であることが示唆された(廣井前掲)

廣井氏は、「宣言」自体が効果を上げたというのではなく、さまざまなクラスター対策や三密防止・手洗いキャンペーンなどの総合的効果によって感染拡大が一定抑制されたのではないかと見ています。
しかしその一方で、国民の家計や経済に多大な悪影響を与えました。

「緊急事態宣言による外出制限は、わが国の経済・家計にも多くの影響を与えたものと推察される。災害が社会の脆弱な階層にとりわけ大きな影響を与えてきた事実が、災害研究では広く知られている」(廣井前掲)

この廣井氏の調査は、去年3月のまだ緊急事態宣言という言葉が初々しい頃にされたものですが、いまや多くの国民にとって宣言は手垢のついた出し殻状態です。
自治体首長の皆さん、もういいかげん緊急事態宣言にしがみつくのは止めて、ワクチンに集中したらいかがでしょうか。
まぁ、緊急事態宣言を要請しておいて、その期間中に東京に不要不急の「基地ハンタイ」請願で来るっていう、どこかの首長は論外ですけど。

 

 

2021年5月28日 (金)

武漢研究所流出説再び浮上

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緊急事態宣言の効果について地味に書く予定でしたが、こんなニュースが飛び込んできたので、先にこちらからいくことにします。
米国リベラルメディアが、新型コロナの発生源を武漢研究所とする人為説に方向転換を開始したようです。
今のところ米国メディアは、武漢ラボ流出説と自然感染説が半分半分といったところです。
この流れを受けて、いままで人為説陰謀論に乗ってトランプを叩いていたバイデンも、武漢ラボ流出説の再調査を命じました。

「ホワイトハウスは26日に、大統領が情報機関にウイルスの起源調査を徹底し、90日以内に報告するように命じた、と発表した。中国大使館は27日、「世界各地の機密をもつ生物実験室を徹底的に調査することを支持する」と反論。
米国中央情報局などが、新型コロナの起源について実験室漏洩説を重く見ていることが、シンクレアブロードキャスティンググループやWSJなどが報じはじめ、米議会でも情報公開を求める動きが出いている中、ついにバイデン大統領が情報機関に対して徹底調査を命じた。米情報機関が目下握っているいくつかの情報は、中国の実験室起源説を示唆するものがある、とみられている。
在米中国大使館としては「政治の火遊びだ」と強く抗議している」
(ウォールストリートジャーナル中国版2021年5月25日 )

いったいどういう顔をしていいものやら。だから言ったろう、ってかんじ。
WSJは先日、去年の暮れに武漢ラボの研究員2名が新型コロナだと思われる症状で診察に訪れたということを書いていたわけですが、私から見れば取り上げる価値もない報道でした。
前政権まではそんなことなど常識の範疇で、ポンペオは中国で最初に新型コロナの感染例が発生したのは、公式に中国政府が認めた以前の2019年夏からで、しかもその初めの患者たちは武漢ウィルスラボの関係者だったと指摘しています。
その時に陰謀論だ、知性のかけらもない、と寄ってたかって人為説を葬ってきたのは一体どこの誰だったのか。

武漢ウィルスラボでは、遺伝子情報が新型コロナと96%以上も合致するRaTG13ウィルスの研究をおこなっていました。
このRaTG13ウィルスというのが、自然界にいるコウモリの糞から採集されて、それを持ち帰って培養し、「手なずけ」ていたのが、この武漢ウィルスラボの石正麗主任研究員なのです。

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石正麗 WSJ

「2012年の春、墨江自治県のトングアンの町の近くにある廃銅鉱山でコウモリの糞を掃除している3人の鉱山労働者が致命的な肺炎を発症した。
鉱山労働者から収集された血清サンプルは、武漢ウイルス研究所に送られ、石正麗とそのグループによって、エボラウイルス、ニパウイルス、およびコウモリSARSr-CoVRp3についてテストされ。サンプルは陰性だった。
彼ら武漢ウィルスラボの研究者たちは、感染の考えられる原因を発見するために、さまざまな動物(コウモリ、ラット、トガリネズミなど)を採掘洞窟内およびその周辺でサンプリングした。
石正麗と彼女のグループは、洞窟内のコウモリの糞サンプルから、2012年から2015年の間に293の多様なコロナウイルス(大部分はアルファコロナウイルス)を分離した。
2013年にRhinolophusaffinisのコウモリの糞から収集されたサンプルの1つは、コウモリのコロナウイルスRaTG13でした。系統名は、起源のコウモリの種、地理的位置、および収集された年に由来している」
https://en.wikipedia.org/wiki/RaTG13

「中国政府系の武漢ウイルス研究所は2013年、この町の鉱山に生息するコウモリから、新型コロナと遺伝情報が96%一致するコロナウイルス「RaTG13」を分離している」(読売2021年1月23日)

 

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武漢ウィルスラボ WSJ

当時のポンペオの発言です。

「ポンペオは15日に「調査団の重要な仕事への支援」を表明し、「2019年の研究所内の活動」について調査を求める声明を発表した。
「アメリカ政府は、最初とされる感染確認例より前の2019年秋の時点で、WIV内に新型コロナウイルス感染症および一般的な季節性疾病のどちらとも一致する症状を呈した研究者が複数存在していたと信じるに足る理由がある」と、ポンペオは語った。
「これは、WIVのスタッフと研究員には、新型コロナウイルスまたはSARS(重症急性呼吸器症候群)関連ウイルスの感染はなかったというWIV上級研究員石正麗(シー・ジェンリー)の公式発表の信頼性に疑問を投げかけるものだ」
(ニューズウィーク2012年1月18日)
米国務長官「武漢研究所の複数の研究員がコロナともとれる病気にかかっていた」と、WHOの現地調査を後押し(ニューズウィーク日本版) 

今になって新型コロナウイルスの起源に関する米国の報道が急に変わり始めた理由は、ただひとつです。
トランプがもういないからです。
米国のリベラルメディアは、トランプを大統領選で絶対に勝たせないために神聖同盟を結んでいました。
彼らはトランプは反知性主義の白人至上主義者だとくさしてきたので、トランプが武漢ラボ説を唱えた時にもミソモクソも一緒にして葬ってしまったのです。
本来は科学的知見で判断すべきことが、政治的ポリコレと化していたわけで、反知性主義は一体どっちなんだい、といいたくもなります。
当時は(といっても半年前にすぎませんが)、武漢ラボ説を唱えただけで、極右陰謀論者とレッテルを張られるような空気が充満していましたもんね。

ところが、トランプがいなくなって重しが取れてみると、新型コロナウイルスが武漢市街でコウモリから人に感染したという従来の動物原性感染説の科学的論拠が怪しくなってしまいました。
いくら探しても、武漢の市街地でコウモリからヒトへ感染がうつった証拠がまったく出てこないのです。
そのうえに、WHOの調査団までが、武漢市街地説を否定してしまい、中国は外国からの冷凍海産物が原因だったなどととぼけたことを言い出す始末です。
困ったのは、今まで人工説を頭から否定していた科学者たちで、彼らは新たな調査が必要だとする科学者18名の書簡を米科学誌『サイエンス』5月14日号で発表しています。

米国の保健専門家らも、新型コロナウイルスの実験室からの流出の可能性を唱え始めました。
FOXニュースは、ホワイトハウス首席医学顧問のアンソニー・ファウチ米国立アレルギー感染症研究所長が、11日にあるメディアの行事で新型コロナウイルスの自然発生の可能性に「確信がない」と話したと伝えました。
ファウチは、この日の行事で、「ウイルスが動物を通じて人に感染したという調査結果があるが、別の可能性もある」ともした。その上で「中国でどんなことがあったのか私たちは能力が許す限り継続調査しなければならない」と述べ、さらに18日の上院聴聞会でも「コロナウイルス起源を確認する調査に完全に賛成する」という立場を明らかにしています。
つまり、ファウチも動物由来説は根拠が揺らいでいるので、調べ直してくれということのようです。

実はこのファウチは、2020年1月下旬、新型コロナウイルスのパンデミックに対処するためトランプの下に設立された「ホワイトハウス・コロナウイルス・タスクフォース」のリーダー格で、都市封鎖などを強く主張し、経済を重視するトランプと激しく対立した経歴の持ち主です。
またファルチは、強く武漢ラボ流出説を否定してきました。

ところがここになって、このファルチの危ない過去が明らかになってきています。
FOXが2021年1月26日に報じた概要はこうです。

ファウチが所長をつとめる米国国立アレルギー感染症研究所 (NIAID)が、2014年、ウイルスの病原性や感染性の増強(機能獲得変異研究)を伴うコウモリコロナウイルスの研究を、武漢ウイルスラボに委託研究を外注していました。
これは、コウモリSARSウイルス等を使って行う実験で、なにせウィルスを強く変異させてしまうために米国内では危険すぎて実施できないために武漢ラボに外注したようです。
当然、多額の謝礼が支払われていたようです。

機能獲得変異研究について簡単に説明します。
これは実験室で反復し、より強力さと威力を持たせるように遺伝子コードを操作し、ウイルスが新たな機能を獲得する研究です。
このことによって、感染力が極めて強く、致死性の高いウイルスを実験室内で自由に設計でき、あらかじめ実際の流行前に治療法やワクチンを作っておくことが可能です。

この実験は一度誤ると感染力が強く、しかも致死性の高い新種のウィルスを作ってしまい、万が一流出すると大惨事になります。
なにせここで作り出された新型ウィルスは、自然界にあるものではなく、強力に感染し致死率が高くなるように人工的に作られた悪魔だからです。
転用すればウィルス兵器として絶大な効果を発揮することは、この1年間を見ればわかるでしょう。
敵対国において、大量の人を殺し、経済を壊滅に追い込み、社会に前代未聞の混乱を与え、しかも軍事力まで崩壊させることが可能なことは証明されました。
しかも仕掛けた自分の国は、あらかじめワクチンを用意し、対策を立てているので傷は至って軽症で、世界で最も早く立ち直り、感染流行後のヘゲモニーを握ることができますから、こたえられません。
しかもそれを誰も人為的攻撃だとは思わないときていますから、悪魔の兵器としてこれ以上のモノを想像するが難しいほどです。

このウィルス機能獲得実験が一度間違えると極めて危険なウィルス兵器開発になることを危惧してオバマ政権は、2014年、連邦研究施設における機能性獲得実験の米国内における実験を禁止します。

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NIAID所長アンソニー・ファウチ

しかし、これに強く抵抗した推進派がいました。米国感染症界の第一人者でありNIAID所長のアンソニー・ファウチです。
NIAIDは最初の機能性獲得実験をしたラボで、当時、彼はこの研究が「冒す価値がある危険」であり、「重要な情報と本質の理解は、潜在的に危険なウイルスの実験室での生成から得られるだろう」と主張する論説記事を、ワシントンポスト紙(2011年12月30) に共同寄稿しています。

そしてファウチは、国内で禁じられたウィルス機能獲得変異実験を武漢ラボに多額の費用負担で委託しました。
助成金欄には、ファウチ委託プロジェクトの番号「R01 AI110964」がある。これが資金の流れです。
※以下のFOX関連はRed Fox FOXニュースによる。

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ここには武漢ラボの新発伝染病部の石正麗が共著している13本の論文が掲載されています。

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たとえば論文のうちの1つは、プロジェクトのほぼ中間である2017年11月30日に発表されたもので、「コウモリSARS関連コロナウイルスの豊富な遺伝子プールの発見が、SARSコロナウイルスの起源に新たな理解を提供する」という論文で、著者は胡犇、ピーター・ダザック、石正麗などです。

FOXは、ウイルスの起源を調査する国際タスクフォースのチーフで、先日武漢入りしたWHOの調査団にも参加し、研究所流出説を強力に否定しているファウチその人が、2014年に武漢ウイルス研究所にウイルス改造研究を外注し共同研究を行なっていた張本人だということを指摘しています。
ファウチは、武漢から新型コロナが発生したと聞いた時に背筋が凍ったはずで、それを口をぬぐってシラっと武漢ラボとは無関係だと言い続けてきたわけです。
科学者とも思えない恥知らずです。

米食品医薬品局(FDA)元局長のスコット・ゴットリーブは、SARSや中東呼吸器症候群(MERS)の事例と新型コロナウイルスを比較した場合、前二者のウィルスが発生後1年ほどでウイルス起源動物を把握できたのに対して、いまだ新型コロナウィルスの起源がわからないということのおかしさを指摘しています。
ゴットリーブも、この日CNBCとのインタビューで、WHOの調査報告は信用できないとし、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から流出したという状況証拠が増加している、としています。

今回の一件でなにか新しい証拠が登場したわけではありません。
決定的物証が出ないかぎり、中国は死んでも武漢ラボ流出説を否定するでしょう。
というか物証がでようと、「こんなもんは紙くずだ」と言うことができる国です。
そんなことを認めれば、中国は世界史上稀に見る極悪非道国家だということになってしまい、一体いくらの賠償金を支払ったらいいのかわからなくなります。

ただし、ここでファルチと武漢ラボの繋がりがあきらかになったことは収穫でした。
今の時点ではファルチと武漢フボのつながりだけが新事実であるにすぎません。
米国リベラルのポリコレ脳がすこしでもクリアになることを望みますが、無理ってもんでしょう。
とまれファルチを偽証罪つき公聴会に召還し、厳しくその線を洗えばまたなにか新事実が出てくる可能性があります。

これでいったんは陰謀論で片づけられていた武漢ラボ流出説が、再燃したことだけは確かです。
今後、新型コロナ問題は、ワクチン接種によって主要国は年内に収束に向かうと思われます。
感染が止まると、再び浮上するのが、「いったい誰がこの新型コロナウィルスを発生させたのだ」、という「戦争責任」追及が始まるのです。
膨大な死者、甚大な経済的社会的損失。失われた命と財貨。

たぶん日本のメディアや野党は、一切を政権追及に転化しようとするでしょうが、ごまかされてはいけません。
ほんとうの真犯人は、口をぬぐっただけではなく、ポストコロナの世界を支配したいと考えています。
そんな中国の野望は阻止せねばなりません。
そのために重要なことは、新型コロナウィルスが人工的に作られたものか、自然由来のものかを明らかにする、その一点に尽きます。
前者なら中国は世界から強く指弾されねばなりませんし、後者ならもっとも早く制圧に成功した国として名誉を受ける資格さえあります。
天と地の差ですが、一時は中国の思惑どおりWHO調査団まで使った自然由来説は、ほぼ勝利をつかみかかっていました。
人工説はトランプの極右的妄想でかたづずけられ、トランプと共に葬られようとしていました。
言論統制すら敷かれて、フェースブックなどでは人工説を唱えることすら発信できませんでした。
しかしいまや流れは変わりました。

科学的証拠が発見できないために、その主唱者だったメディアや科学者たちすらにも大きな動揺が始まっているのは、前述のとおりです。
一方人工説ですが、あいかわらず決定的証拠はありません。そこが致命的な弱点であることはあいかわらずです。
しかし追及は大きく前進しました。
人工的に作られたウィルスなら、誰がどこでなんのために作ったのか、を明らかにせねばなりません。
今回、その目的と手段について知り得る最も有力な証人であるファルチというキイパーソンの存在が浮かび上がりました。

中国は人工的に作った足跡を消すために武漢ラボを閉鎖し、石正麗などの研究員たちの行方もわからなくなってしまいました。
また、武漢ラボや病院に採取されていたウィルスサンプルは、一切合切が北京の当局に集められて隠匿されています。
これで完全に証拠隠滅は終わった、そう中国は安堵したはずです。
全体主義がまかり通る国内相手だけなら、これで永遠の闇に沈んだはずですから。
ところが外国はそのかかぎりではありませんでした。
自由主義社会では、さまざまな証拠がアーカイブとして残り、証人も抹殺できない社会なのです。

中国はよもや外国の、それも敵国である米国のアーカイブからファルチと武漢ラボとの提携関係が浮かび上がり、機能獲得変異実験の名目で米国から中国にカネが渡っていたなどとは思いもよらなかったはずです。
追及は振り出しに戻り、より深まりました。
本当の悪魔をあぶり出さねばなりません。

 

 

 

2021年5月27日 (木)

厳格リストで見る新型コロナ対応

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高橋洋一氏がツイートして、メディアが言葉尻だけを切り取って、まったくスルーしてしまったグラフがこれです。

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Oxford Stringency Index クリックすると大きくなります。

これは新型コロナ対応において、政府が民間に対して発動したstringency Indexと呼ばれるものです。
いまのところ訳語はなく、直訳すれば政府が民間にかけることができる政策の「厳格リスト」といったもので、17の項目ごとにスコアをつけていき、それを加算したものです。
日本は見てわかるようにグラフ中のボトムにあり、非常に緩い対策しかとっていないことがわかります。
表現については高橋氏も大いに反省しているようですが、「屁のようなもの」であることは疑いようがありません。

これはオックスフォード大学が作ったもので、151ヵ国を対象として、政府が取った政策措置の厳格さを17項目についてスコア化したものです。

・Oxford Stringency Indexの内訳
・8つの指標・・・学校閉鎖や移動制限などの封じ込めおよび閉鎖の政策に関する情報
・4つの指標・・・市民への所得支援や対外援助の提供などの経済政策に関する情報
・5つの指標・・・新型コロナの検査体制や医療への緊急投資などの保健システム政策に関する情報

・スコアの高い国・・・インド、サウジアラビア、南アフリカなど19ヵ国。平均97.1。
・日本の直近値・・・56.2

評価項目は、学校閉鎖や職場閉鎖、都市封鎖などの閉鎖政策、所得支援などの支援政策、検査体制や医療への財政支援などの医療支援です。
いうまでもなく、これを発動する主体は国家(政府)です。
日本は、ご承知のように「緊急事態宣言」という世界共通の用語を使っているので紛らわしいですが、宣言主体も執行するのも自治体、管理も自治体というように、国は自治体から要請があれば宣言を認めたり、財政的支援をすることが「できる」という後方支援に止まりました。

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新型コロナの緊急事態宣言、各国はどう動いているか

この世界の平均値の推移を見てみましょう。
もっとも厳しいフコアがでているのはグラフ左から2番目の2020年4月28日時点で主要国の多くは90~100に到達し、世界のスコアの平均値は82.1でした。
その後もそのまま高いスコアで推移し、グラフ右側の2021年5月に至っても60を切っていません。

日本がそれなりに「高い」スコアをもらっていられるのは、行動規制の厳しさ故ではなく、政府が予備費を10兆円積み上げたような手厚い所得支援政策などの支援政策があったためです。

では、なぜ日本はこのように感染拡大で、諸外国並の厳しい行動制限をとれなかったのでしょうか。
それは憲法に緊急事態において、国民や企業・団体に対しての外出規制や営業規制などの行動規制や、民間病院に新型コロナ専用病床を設置するように命じる項目がないからです。
念のためにいえば、憲法は「緊急事態法を作ってはならない」と禁じてでいるのではなく、文字通り欠落して「ない」のです。
戦争は「あってはならない」から軍隊は「持てない」という9条解釈と同じ流れで、緊急事態は「起てはならない」から緊急権限を国家に「与えてはならない」のであって、考えたり発言したり「してもならない」のです。

本来、憲法で国家緊急権の根拠となる原則を定め、基本法、個別法の三重構造とする多重構造で対応せねばならないのに対して、わが国はこの大元になる憲法に緊急事態が想定されていないために、その都度国会を招集して個別に法律を作って特別措置法で対処せねばなりませんでした。

今回の場合、新型インフルエンザ等対策特別措置法を作って対応しましたが、憲法第22条の「営業の自由」「移動の自由」の侵害にあたるという野党とメディアに配慮して、議論そのものを政府があらかじめ回避してしまいました。
政府が緊急事態宣言で私権制限ができるという解釈を打ち出せば、憲法審査会にすら出席しない立憲・共産が、緊急事態条項の準備だと解釈することが確実だったからです。

第二十二条何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

もちろん憲法にも「公共の福祉に反しない限り」という限定が設けてあるので、議論の余地はあったはずですが、そのような解釈をすればしたで、憲法学者たちは感染拡大は公共の福祉ではない、といいだすに決まっていますので、緊急時にはこんな神学論争をする時間の余裕はないと判断したのでしょう。
それにしても、こんな感染拡大を前にして議論すらできないとは、不毛なことよ。
高橋氏発言の切りとられ方をみると、朝日や毎日や立憲がなにを言いそうかはおおかた想像がつきますからね。

では、諸外国の緊急事態条項をおさえておきましょう。
※国立国会図書館 調査と情報 『COVID-19 と緊急事態宣言・行動規制措置』
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11499114_po_1100.pdf?contentNo=1

●各国の緊急事態条項
 ①憲法の緊急事態に関する規定によると考えられる国・・・イタリア、スイス、スペイン
②憲法に緊急事態に関する規定はあるが、今回の対応については法律の規定によると考えられる国・・・中国、フランス、ドイツ、韓国、インド
③憲法によらず国が緊急事態において強い権限を持つ国・・・米国、英国
④憲法に緊急事態条項がなく、個別の法律で対応した国・・・日本

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イタリアいち早く緊急事態宣言、でも拡大防止できず 米は自治体に強制

①の憲法に緊急事態条項がある例として、イタリアをとってみます。

「イタリア政府は、2020 年1 月31 日、国内で初めて感染者(中国人旅行者2 名)が確認されたことを受け、閣議決定で6 か月間の緊急事態を宣言した。この宣言は、災害防護法典(2018 年立法命令第1号)3第7 条及び第24 条の規定に基づくものである。
これらの規定によれば、緊急事態は、関係する州等の要請を受け、又は同意を得て、首相の求めに応じた閣議により宣言される。緊急事態の期間は12 か月以内とされ、12 か月以内の範囲で延長可能である(同法典第24 条第3 項)。
2020 年2 月23 日、政府は北イタリアでの感染者の急増を受け、感染区域において、域外への移動禁止、商業活動の停止等の措置を可能にする緊急法律命令を制定した5(国立国会図書館前掲)

イタリア政府は「災害防護法典」に則って6カ月間(延長可能)の緊急事態を宣言し、全国での移動禁止(移動するに際しては許可証を発行)、商業活動は薬局、食料品店を除いて全面停止、学校は全面休校、などの緊急法律命令を出しました。

②の憲法に緊急事態条項があるが、別の法律を運用した例としてフランスを見ます。

「フランス政府は、「COVID-19 ウイルスの拡散対策のために移動を規制する2020 年3 月16 日のデクレ」35(政令に相当)により、外出を原則として禁止する措置を講じた(生活必需品の購入、自宅周辺での短時間の運動等の例外を除く。)。この措置は、公衆衛生法典36L.第3131-1 条の規定に基づくものである。
同条の規定によれば、衛生担当相等は、緊急措置を必要とする深刻な衛生上の、特に感染症の流行の脅威が生じた場合には、公衆衛生のための措置を講じることができる。
その後、「COVID-19 の流行に対処するための緊急事態に関する2020 年3 月23 日の法律第2020-290 号」37(以下「2020 年3 月23 日の法律」という。)が制定されて公衆衛生法典が改正され、衛生緊急事態の章(L.第3131-12 条からL.第3131-20 条まで)の追加等が行われた」(国立国会図書館前掲)

フランスが取った措置はイタリア並の厳しい移動制限でしたが、法的根拠は公衆衛生法典で、これは感染拡大につれて衛生緊急事態条項を追加して運用されました。
これができたのは憲法の緊急事態条項がバックにあったからです。

③の憲法にないケースとして、米国を取り上げます。

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トランプ米大統領、国家非常事態宣言 新型ウイルス対策に500億ドル支出

「アメリカ政府は、2020 年3 月13 日、大統領は国家緊急事態を宣言し58、国家緊急事態におけるメディケア(高齢者等向け公的医療保険)等の要件緩和について定める2002 年社会保障法第1135 条(42 U.S.C.§1320b-5)の規定の適用を指示した。これは、1976 年国家緊急事態法第201 条及び第301 条(50U.S.C. §1621, §1631)59の規定に基づくものである。
同法のこれらの規定によれば、大統領は、緊急時に特別の権限の行使を大統領に認める法律に従って国家緊急事態を宣言することができ、その際に適用する法律の規定を指定する(今回は2002 年社会保障法第1135 条を指定)。
大統領は同日、1988 年ロバート・スタフォード災害救助及び緊急事態支援法第501 条第b 項(42 U.S.C. §5191)60に規定する緊急事態が存在するとの判断も示した。同項の規定によれば、大統領は、連邦が責任を負うべき緊急事態が存在すると判断する場合には、連邦の機関に州・地方政府(州、郡、市等の政府)への支援を指示することができる。
アメリカ合衆国憲法では、憲法によって連邦に委任されず、又は州に対して禁止されていない権限は、各州又は人民に留保されている(修正第10 条)。連邦による支援が行われているものの、今回の事態への対応は、一次的には州・地方政府において行われている」(国立国会図書館前掲)

米国では、大統領は国家緊急事態を宣言できますが、基本的な状況判断とその私権の制限は州政府に任されています。
これは大統領選挙でさんざん私たち日本人を驚かせた、大統領と州の権限の関係の複雑さによっています。
大統領は、一見強い独裁的権限を持つようにみえますが、実は大統領令でしかそれを行使できません。
議会の判断が優先し、大統領ができるのは拒否権だけです。
ですから、今回の感染拡大に対しても、ワクチンを緊急に作るなどの措置をとることはできても、各州の移動制限・営業規制は州政府が判断しました。
その結果、民主党系知事と共和党系知事で激しく対応に差が出ました。

④の憲法に緊急事態条項がなく、個別法で対応した国が日本です。

「2020 年4 月7 日、内閣総理大臣は、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態が発生した旨を宣言した。この宣言は、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24 年法律第31 号)第32 条第1 項の規定に基づくものである。同項の規定によれば、新型インフルエンザ等対策本部長(内閣総理大臣)は、新型インフルエンザ等緊急事態が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態宣言をし、国会に報告するものとされている。
なお、同法は2020年3 月に改正されており(同月13 日公布、翌日施行)、これにより新型コロナウイルス感染症を暫定的に(2021 年1 月31 日まで)新型インフルエンザ等とみなし、同法に基づく措置を実施することが可能となっている。
都道府県知事は、同法第45 条の規定に基づき、新型インフルエンザ等緊急事態において、外出自粛等の要請、施設の使用停止等の要請・指示等を行うことができる。
今回、各知事が同条等の規定に基づき外出自粛の要請等を行い、例えば東京都知事は、2020 年4 月10 日、外出自粛、施設の使用停止等を要請した。なお、同法の罰則(第76 条から第78 条まで)は、医薬品等の特定物資の隠匿等及び立入検査の拒否等に対してのみ設けられている(それぞれ、6 月以下の懲役又は30 万円以下の罰金、30 万円以下の罰金)」(国立国会図書館前掲)

日本が一定の罰則を設けているのは医薬品の隠匿、立ち入り調査拒否などに対してのみで、私たちがいやっというほど経験したように緊急事態宣言とは名ばかりで、国民を鬱病にする効果しかありませんでした。

長くなりましたので、次回に続けます。

 

2021年5月26日 (水)

非常事態宣言は効かない、ワクチン接種に全力を上げろ

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ワクチン接種率は40%を超えたあたりで、1日あたり感染者数が劇的に下がっていくことが分かっています。
米国と英国、イスラエルの直近感染者数の下がり方は顕著です。
イスラエルは感染が世界で最も猖獗を極めた国でしたが、ネタニヤフ首相は60歳以上が4割接種した時点で、目に見えて感染が止まったと述べています。

「「ワクチンの直接的な効果だ」。イスラエルのネタニヤフ首相は4日の閣議で「過去16日間で60歳以上のうち重症で入院した人は26%減り(陽性と)確認された例は約45%減った」と強調した。
同国のワイツマン科学研究所のエラン・セガル教授も4日、60歳以上で新型コロナ陽性と確認された例が過去3週間で41%減ったとツイッターで報告した。入院した人は31%減、うち重症患者は24%減ったという。
イスラエルでの接種は2020年12月に始まった。優先対象となった60歳以上の8割が接種を受けた。後回しになった若い世代と比べて感染や重症化のケースが顕著に減ったと同氏は指摘する」(日経2月5日)

このワイツマン科学研究所のエラン・セガル教授らの研究は、ふたつのグループに別けて検証しています。
・60歳以上(高齢者)
・59歳以下(若年者)

この二つのグループにおいて、ワクチン接種開始後の昨年12月下旬以降の感染状況を比較すると、高齢者グループのほうが感染者数や重症者数、入院者数の減り方が著しいことがわかりました。

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朝日 イスラエルの1日当たりの感染者数の推移

上図は1日当たりの感染者数の推移を示すグラフですが、グラフ左に3回目ロックダウンと記してありますが、抑制効果がまったくなかったことが明らかです。
このことは非常事態宣言にだけ執拗なこだわりを見せる首長は心すべきです。
ロックダウンでは感染拡大は止まらないのです。

初めて有意な感染減少が見られたのはグラフ中央の緑字で記されたワクチン開始からです。
ワクチン接種を境にして、若年者(オレンジ)と比べ、高齢者(青)は減少傾向が顕著になりました。
2月2日時点の感染状況を3週間前と比べた場合、以下のような結果がでています。

・高齢者グループ・・・1日当たりの入院者数が31%減
・若年者グループ・・・5%増加

このイスラエルの経験から見ると、今わが国で盛んに非常事態宣言を6月まで延ばすという議論をしていますが、ナンセンスです。
非常事態宣言、しかもそれも諸外国のそれと違って単なる自粛要請にすぎず、いくら延ばしても効果は限定的であって、経済に与える被害のみが大きくなるだけにすぎません。
いかに早く国民全体で60%以上の接種率に到達し、集団免疫を獲得するかにかかっているのです。
政府、自治体はこのワクチン接種にすべての力を傾注すべき時なのであって、非常事態宣言対応に力を分散させるべきではありません。

むしろこの非常事態宣言こそが、国民に厭戦気分を強く植えつけている元凶であることは明らかで、いったい夜間に酒類を提供することを禁じてどれだけの効果が上がるというのでしょうか。
特に自治体は、こんなことの取り締まりに精を出すのなら、接種を一人でも早く進めるための努力に傾注すべきです。
たとえば、ITに弱い高齢者が歩いていける場所に地域ごとの予約窓口を作る試みは既に自治体によって開始されていますが、こういう徹底した高齢者に対するフォローに大幅に人員を割くべきです。

そのような自治体の努力があるのかないのか、ワクチン接種状況でも遅い自治体と順調に進行している自治体に二分化しつつあります。
ワクチン接種の現在の進捗状況は、いくつかのサイトから一覧できます。

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5月23日現在はこのような接種率になっています。
これはNHKの出している数字ですが、1回目と2回目が混在しているのは、まだ1回目だけの自治体と2回目に進んでいる自治体の違いがあるからのようです。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/inoculation_pref/


・北海道・東北

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山形県が10%の大台に乗せたに対して、北海道は4.46%とその半分以下のペースです。
感染拡大がひどいとされる北海道には、更に奮闘してもらわねばなりません。
ただし1回目です。

・関東・甲信越

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2回目ですが、ほとんどドングリの背比べ状態ですが、もっとも進んでいるのが山梨県の1.28%で、東京都は知事のパーフォーマンスのわりには下位グループに入ってしまっています。
知事が五輪ヤメロと叫んだ茨城県も、下から二番目です。

・東海・北陸

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ここも2回目です。石川県が健闘しています。

・近畿

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 1回目です。近畿は全体に大変に接種が進んだブロックです。すべての自治体が健闘しており、特に和歌山県は全国でもトップの17.47%です。
二大大規模感染地域といわれる大阪府も、東京都の0.14%とは比較にならない4.58%です。

・中国

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1回目です。この中国ブロックも高い接種率で健闘しています。特に山口県は全国トップクラスです。

 ・四国

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1回目です。四国も健闘しています。特に高知県は光ります。

・九州・沖縄

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1回目です。この九州・沖縄地方も健闘が見られるブロックで、特に宮崎県ががんばっています。

全国トップクラスの自治体は日経サイトで見ると
※日経 チャートで見る日本の接種状況 コロナワクチン
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-japan-vaccine-status/

・和歌山県 17.47%
・山口県 14.28%
・高知県 12.04%

高知県は予約でミソをつけましたが、それでも3位と奮闘しています。

逆に遅れているのは、なぜか関東地域で、惨憺たるものです。
中部では、愛知県もひどい。
特に悪いのが、栃木、千葉、埼玉、茨城です。しっかりしてほしいものです。
東京都は自衛隊の大規模接種があるのでその効果に期待したいものです。
自粛パトロールなんてする暇があるなら、接種のほうに人を回してほしいものです、小池知事。

沖縄はまずまずの進捗状況ですので、なんとか乗り切って頂きたいと思います。
行けないとおもうとかえってモーレツに沖縄に行きたい!

今の接種の進捗スピードは

・平日・・・40万~50万人
・休日・・・10万人
・計・・・270万人/週

目標として政府が掲げているのは、1日100万人、週で700万人です。
目標値の8掛けとしても、500万人/週のペースでやらないとだめです。 
米国おいても、接種当初と比較してどんどん加速度がついて接種回数は増えて行く傾向があります。

「米国では当初英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」によると接種ペースは加速している。1日当たりの接種回数(7日移動平均)は7日時点で144万回。1週間前と比べて12万回増えた」(日経2月9日)

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新型コロナ: コロナワクチン、米人口の1割が接種 3200万人: 日本経済新聞

とまれ目標に近づくためには、今の倍以上の速度で接種をしないと厳しいわけで、休日が平日の5分の1というは言語道断。
6割接種達成まで休日などないと思って下さい。
薬剤師、緊急救命士、臨床技師や薬剤師に至るまで根こそぎ動員して、財政的手当ても充分につけてやって下さい。
まさに今接種に当たっている人々は、国と社会を守っている最前線で戦う人たちなのですから。

 

2021年5月25日 (火)

高橋洋一内閣参与辞任のくだらなさ

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なんだかねぇ、というかんじです。
高橋洋一氏が内閣参与を辞任しました。

「政府は24日、高橋洋一・嘉悦大教授が内閣官房参与を同日付で辞任したと発表した。高橋氏は新型コロナウイルスに関する自身のツイッターへの書き込みが2度にわたって批判を受けており、引責辞任となる。
菅首相は東京都内で記者団に、「これ以上迷惑をかけられないということで辞任された。大変反省されていた」と明らかにした。
高橋氏は今月9日、日本と各国の感染者数を比較したグラフを示し、「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」と投稿した。21日には緊急宣言を「『屁みたいな』もの」と表現し、その後、「戒厳令でもなく行動制限は弱い」と修正した」(読売5月24日)

なんかくだらなすぎて、コメントをつける気力もわきません。
高橋氏が「反省していた」と菅さんは言っていますが、氏としてはこれ以上メディアに好餌を与えて政権に迷惑をかけるのは不本意だ、というだけのことです。
氏はこの間、まったく主張を変えていませんし、変える必要もないことでした。

氏の「さざ波」発言は客観的事実を述べただけであって、なんら引責辞任するような内容ではありませんでした。これについては既に書いているので触れません。
関連記事 『「さざ波」でなにが違う?』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-239f6d.html

もう論じるのもイヤですが、今回メディアから叩かれた、日本の緊急事態宣言は「屁のようなもの」というのは、どこが間違っているのでしょうか。
これも何度も書いていますが、本来は緊急事態宣言は国が出すもの。
世界は日本を唯一の例外として、国が発令し、国がコントロールし、国が責任を取りきる仕組みになっています。
これができなかったのは、憲法の私権の制限ができる緊急事態条項が欠落していたからです。
そのために、日本の緊急事態宣言は諸外国のメディアから嘲笑されたように、権限を自治体に丸投げしていまいました。
それも強制権限のない「お願い」ですから、渡された自治体も困ったことでしょう。

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一方、上の一覧表でわかるように、諸外国が取ったのは罰則付の都市封鎖。まさに戒厳令です。
台湾なんぞが外出しただけで、17万の罰金をとられたとか。
自治体の自粛警察のパトロールくらいのわが国とは天と地の差です。
自粛警察には警察権がありませんから、自治体がやった気になれるだけのことです。

このように日本が緊急事態宣言でできたのは、外出自粛命令ではなく「お願い」でこれを高橋氏は「屁のようなもの」と評したわけです。
このどこが間違いですか。そのとおりじゃないでしょうか。
バッシングした者たちは、ここでも国際社会の中に日本の対策を見ようとしないから、言葉尻をとらえて揚げ足とりに奔走するのです。
そしてまじめにかんがえないので、どんどん馬鹿になっていくというわけです。

たぶんバッシングしたい連中に言わせれば、国民がこんなに苦しんでいるのに、と言いたいのしょうが、それはダラダラやるから長引くだけのことです。
私は緊急事態宣言に対して懐疑的ですが(その効果についての科学的根拠に乏しいので)、しかしもしやるならやるで私権の制限をかけた完全なロックダウンを短期間運用するしかないと思っています。
そのくらい緊急事態宣言というのは、本来劇薬なんですから、短期間で決めるしかないのです。
それを効かないもんだから延長、再延長とやって、かえって傷が深くなり、国民の厭戦気分が濃厚になり、結局政府への信頼が揺らぐことになります。

また、自治体首長にゲタを預けたために、矛盾が吹き出しました。
泉明石市長と吉村大阪市長とのやりとりは、そのへんをよく現していました。

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吉村知事「逃げずに議論を」 酷評の明石市長に反論 コロナ対策の私権

「兵庫県明石市の泉房穂市長は26日の記者会見で、大阪府の吉村洋文知事が、新型コロナウイルスの感染抑制のため個人の自由を制限する法整備を求めたことに「病床が確保できていないのに、私権制限はやってはいけない。政治家の責任放棄で、失格だ」と酷評した。 吉村氏は23日、現行制度では十分対応できないとして、より強い措置を取れるように「個人の自由に義務を課す法令が必要だ」と述べた。
 泉氏は「知事がやるべき仕事は、まず病床の確保」と強調。病床が不足する各地の状況を「確保に約1年間努力をしてこなかった知事のせいだ」と述べ「吉村知事は有害だ。辞めてほしい」と手厳しく批判した。
兵庫県内の入院患者の病床使用率は77・6%となっており、井戸敏三知事についても「無能だ」と切り捨てた」(産経4月26日)

泉市長は半分は正しいことを言っています。
泉氏にいわせると、1年以上時間があったくせに隔離病床すら満足に確保してないで、更に高次元の私権制限なんか口にするとは片腹痛い、というわけです。
なるほどそのとおりで、今なお小池知事あたりが「病床占有率9割」などと恥ずかしげもなく言っているのを聞くと、まさにそのとおりではあります。
自治体のコロナ相談窓口に適正な人員を増員しないために、電話が繋がらない自治体などゴロゴロあります。
接種予約のPC受け付けですぐにダウンしたりしては、何やってんだい、という気にも住民としてはなって当たり前です。
これもいい知恵を出して乗り切った自治体も多く、首長の能力差がはっきりでました。

ただし隔離病床の確保が難航したのは、地元医師会との調整がはかどらなかったからです。
医師会は本能的と言っていいほど、同業者が地域でふえることを嫌います。
加計事件では、はしなくも獣医師会が文部省とつるんで長きに渡って獣医師を増員させない取り決めをしていたことが明らかになっています
医師会は、自治体から要請されていた隔離病床増加についても、そのためだけに隔離設備や専門人員を配置せねばならないために消極的でした。
接種問題でも医師法を楯にして打ち手を拡大することに医師会は反対したあげく、最後は菅氏に超法規で押さえ込まれてしまいました。
ちなみにこういう既存の既得権益者と対決するときに、小池女史のように善悪構図を作ってパーフォーマンスせずに、無言でプレスをかけるのが、いかにも菅さんらしい。
ただ、もう少し国民受けしないと誤解受けちゃいますよ。

それはさておき、これは菅さんが首相だからできたのだとも言えます。
医療業界のような積年の既得権益の山を、自治体首長の決断で断ち切れたかといえば、どうなんでしょうか、首長の決意次第としかいいようがありません。
このように今のコロナ対策の仕組みでは、すべてが首長の決断と能力に依存している側面があるのです。
その意味で、吉村市長が「こんなお願い緊急事態宣言じゃどうもならへん、もっと私権制限できるようにせんか」と言いたくなるのはわかるのです。

つまり、今の緊急事態宣言では国にとっては隔靴掻痒、自治体にとっても隔靴掻痒。
どちらにとってもあいまいで、どちらにとっても「屁のようなもの」となってしまっています。
たぶん高橋参与が言いたかったのは、たぶんこのことでしょうが、そういう議論に行き着く前の前の前の「気分」で葬られてしまいました。
まったく不毛な言論統制です。日本版のポリコレです。

高橋氏は、こう述懐しています。

「ネット上の発言を解析すると、賛意もかなりあったが、一部は、筆者の前後のツイートなどはまったく読まずに「さざ波」とは死者を軽んじていると決めつけ、それが拡散されていた。中には、グラフを死者数と勘違いしているものもあった。
一部マスコミも、ネット上の一部の意見をことさらに強調して、感情に訴えるモノがあった。例えば、5月10日の朝日新聞〈「日本はさざ波、五輪中止とか笑」内閣参与の投稿に批判〉だ」(現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83186?page=2

その朝日の5月10日記事をあたってみると

「このツイートに対し、「ウチの母親も『この程度のさざ波』の中で亡くなったんですよ」「一人ひとりの命が失われていくことに対し、笑笑って…人の命をなんだと思ってるのですか」などの批判的なコメントが相次いだ」

朝日はまったく元の高橋氏の発言をおさえずに取材しているのがわかります。
別のテレビ局も、こんな飲食店主の言葉を報じています。

「飲食店だけでなく、今回コロナで生活を失った我々国民にどれだけ失礼な発言かと思います。
この1年何も変わってないわけですよね。
去年以上にやはり売り上げも下がってますし、影響力のある方です。そのように言われてしまいますと、非常に腹立たしい思いです」FNN5月24日)

初めから取材者は、「さざ波」と「笑笑」だけを切り取って、被害がひどそうな人を探し出して取材しています。
すくなくともメディアを名乗るなら元オリジナルの高橋発言を見てから取材に取りかかるべきなのに、逆に初めから「欲しい反応の絵」があって、それに合わせて取材するのです。
大部分の人が高橋氏のユーチューブを見ていないでしょうから、おもしろいように火をつけてまわれるという寸法です。
メディアは一種の愉快犯なのでしょうか。

今、メディアが作り出したい国民の「気分」はこんなかんじです。

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対応は遅れ遅れ、ワクチンもないクスリもない、竹ヤリで戦えというのか、オリンピックが来たら国民は死滅するぞ、政治の責任だ、ってとこかな。
そう煽っている時に、高橋氏のような醒めた眼を持つ奴は邪魔だから抹殺してやる、ということです。

立憲枝野氏は「お辞めになったから済む話ではない。とんでもない人にアドバイザーになってもらっていた首相の見識が問われる」そうです。
とんでもない人ね、あんたが言うかね。(苦笑)

まぁ高橋さんからすれば、給料は一円ももらっていないし、公用車も使わない、部屋もない、ただなにか聞かれたら電話で答えるていどの参与なんて肩書はむしろ邪魔だから、さっさと脱ぎ捨てたというところでしょう。
なにか自分が言うたびに、立憲が鬼の首をとったように参考人招致だなんてやられたら、研究者としてはたまったもんじゃありませんもんね。

これで菅氏は、歯に衣をきせないで直言できる懐刀を失うことになってしまいました。
もったいないことです。

 

 

2021年5月24日 (月)

小池知事とメディアが煽る嘘

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ファクトチェックイニシャチブ(FIJ)の楊井人文氏が、メディアの「大阪で1日50名死亡」という報道について検証しています。
今年になって、東京都絡みで2月、4月、5月の3回。
次いで大阪の4回目です。

今回は「1日50人死亡者」が出たという報道です。ギョっとなるでしょう。
ただし、大阪の場合、吉村市長も松井知事も無関係です。

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 柳井氏による

これは小池氏がやった病床数の偽造ではなく、完全なトリックを使った報道手法です。
やり方は簡単。判ると馬鹿馬鹿しくなります。
「1日50人」と報じると、1日で50人死んだのかと錯覚しますが、そうではなく「その日までに亡くなった患者の累計数」なのです。
ほんとうの大阪の死亡者数推移はこのようなものです。

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柳井氏「コロナ禍検証プロジェクト」作成

上図の大阪府の公表数字をみればわかるように、4月中はおおよそ1名で多い時でも6名、5月になって3名から9名、そして16日に一気に増えて16名でした。
どこにも「1日50名」などという数字はありません。
しかしメディアはこれを単純に加算していって49名(50名)と報じるわけです。
一に日一桁だったのが5月6日に16人に増えました、と報じていればいいものを、いきなり「1日50人」と話を盛るわけです。

もちろんメディアはこれが無意味な煽りだとわかっていますから、巧妙に「発表」という言い方を添えて逃げています。
後から批判されれば、いや5月7日にはそう合計数で発表されている、言い方が悪かっただけだ、というわけです。
一般の視聴者はまず絶対にこのカラクリに気がつきませんから、そうか大阪はヒドイことになっているのだ、1日に50人も死んだんだって、という受け止め方をします。
こういうのをメディアの印象操作といいます。

ところで、これだけ東京都に間違った発信が多いことが集中していると、ただの偶然ではなく小池女史という特異な政治家の体質とも無縁とは思えません。
小池女史の政治家としての特徴は、菅さんと真逆。つまり、とことん目立ちたがり屋のパーフォマンス大好きな政治家です。
女史の政治の師匠は小泉パパですから、国民大衆をもののわからない連中と見下しているところがあります。
理屈ではなく感情に訴え、短いワンフレーズで訴える、敵を作って自分を民衆の先頭に立つ自由の女神に見立てる。

セルフイメージはきっと下のドラクロワみたいなかんじかな。小池女史が妙に共産党と相性がいいのは、やたらとこういう構図を作りたがるからなんですよ。
豊洲移転問題なんか、えぐいくらいこれで押しまくりましたが、気の毒も失敗し、無意味に1年半遅らせただけでしたが。

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ただこういうことを、習い性にしてしまうと依存症になるようです。
なんせ連日連夜、昼から夜までテレビに出っぱなし、という政治家にとってまたとない特典つきですしね。

さて具体的に見てみましょう。
まず2月の時は、病床使用率が逼迫して病床使用率がなんと100%を超えた、これは医療崩壊だぁ、というのが小池氏の主張でした。
ぎょっ100%を超える、ならば病院は病人を廊下に寝かせているに違いない、医療崩壊が始まっているんだぁ、ということになりました。

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上の写真は柳井氏がアップした2021年2月19日放送のテレビ朝日「報道ステーション」のものですが、堂々と「東京都病床使用率100%」と放映していますが、もちろん間違いです。
同時期の重症者用病床数については、厚労省が集計していますが、東京都はなぜか独自基準で集計しているために、2倍から3倍多くでてしまうのです。

東京都は懲りることなく、4月には入院患者数を2668人と発表し、「そのうち宿泊療養198人」と発表し、それを受けてNHKも「自宅療養者を含む」と注記しつつ「病床使用率は131%」というありえない数字を流していました。

そして3回目は5月で、同じような大本営発表で危機を煽っています。

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「新型コロナウイルスに対応する医療体制について、NHKで全国の都道府県に聞いたところ、東京都を除く、すべての道府県で、入院患者の数が確保できている病床数の8割を下回り、病床がひっ迫する状況が緩和されてきていることが分かりました」
(NHK5月12日)

全国で病床数が緩和されているのに、東京都だけ高い病床占有率で占有率90%だというのです。 
テレビ各局が、早速これに飛びついて東京の医療崩壊の危機を煽ったことはいうまでもありません。
ほんと、よほど懲りない人だね。

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柳井氏

では実態はどうであったかといえば

「東京都が修正発表した情報に基づき算定すると、5月7日時点での病床使用率は約50%、12日時点で約43%となり、NHKが報道した時点で「8割超」ではなく「5割未満」であった。厚労省も、東京都の発表が不正確であったと認めている」 (柳井前掲)

悪いことには、小池女史はこういうことが発覚しても、平気の平左なんですよ。
それはなまじ謝ってしまうと、自分のパーフォーマンスが水の泡になるからです。
だからこの盛った数字で政府に非常事態宣言をださせるという「成果」を勝ち取るまで続けます。
医療は逼迫し崩壊寸前である、と危機を過剰に煽ることで、政府に緊急事態宣言を出させるのが目的だからです。

「東京都は、昨年春の緊急事態宣言中にも、病床確保数を正確に発表せず、極めて逼迫しているかのような発表を繰り返して、延長の流れを作った」(柳井前掲)

そしてこの小池知事が出した偽情報を増幅して拡散するのがメディアです。
煽り体質や政局好きが女史と似ていますから、この仕掛けに安易に便乗しました。
彼らにかかると、今の日本は実は医療崩壊寸前で、政府が真実を隠している、こんな時期に政権延命のためのオリンピックは絶対反対だぁ、なんていう「気分」が醸成されるというわけです。

メディアさん、いいかげんこんなまねは止めてくれませんか。
小池氏のような腹に一物ある首長と、日本が危機になればなるほど嬉しいメディアの共作です。
そうまでして、この人らはどのような空気を作っていきたいのでしょう。

 

 

2021年5月23日 (日)

日曜写真館 広庭の牡丹や天の一方に

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ふさ~と朝影ふくむぼたんかな 寥松 


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雨そゝぐ光の音の牡丹かな  渡辺水巴

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いたづらに牡丹の花の崩れけり 正岡子規

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牡丹の句百句作れば死ぬもよし 原 石鼎

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風だちて花悩ましき牡丹かな  高橋淡路女

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低く居て富貴をたもつ牡丹哉  炭 太祇

 

2021年5月22日 (土)

パレスティナに現実的指導者はいないのか?

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ハマスとイスラエルが停戦合意をしました。双方にとって予定どおりです。

「【イスタンブール時事】イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは20日、停戦で合意した。
停戦は21日午前2時(日本時間同8時)に発効した。10日夜に始まった交戦では、ガザで高層ビルを含む多くの建物が破壊される一方、イスラエル国内でも大きな被害が出た。合意は双方の無条件での攻撃停止をうたうが、イスラエル首相府は「作戦が今後どうなるかは現場での状況次第」と表明しており、合意を順守できるかが当面の焦点となる」(時事5月21日)

ハマスはロケット弾発射基地の大部分を破壊され、トンネル網も壊滅しました。
イランから供与されて備蓄してきた4000発のロケット弾は打ち尽くしたはずで、彼らに継戦能力はありません。
しかしひさしぶりに「パレスティナ解放」の大義の旗を振って、国際社会からも気の毒な犠牲者として扱われたので、満足すべき「戦果」だったはずです

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ガザ停戦仲介 中東の大国エジプトの際立つ貢献 - 産経

上の写真でガザの住民の喜びぶりをみるとまるで勝ったようですが、国際社会はおろかアラブ世界ですら忘れられたような存在になりかかったパレスティナにとってはなるほど「勝利」なのかもしれません。

またイスラエルもその報復の目的をとりあえず達成したので、米国がエジプトに依頼した和平提案の顔を立てたのです。
これ以上報復攻撃を続けるたり、地上軍を侵攻させたりすればEUまで敵にしてしまいますからね。
また地上軍をガザに入れるなどエスカレーションさせれば、かえって政情不安のイスラエル国内のほうが分裂しかねません。
こういった判断があって、イスラエルも軍事目的は達したことだし、潮時と考えたのでしょう。

当然、双方共に反省はまったくありませんから、また同じようなことが繰り返されます。
一時ガザ地区で拠点を失ったハマスも、またロケット弾をイランやシリアから密輸してテロを実行するでしょう。
ハマスを使っているイランが諦めないかぎり、無限にこのようなことは続きます。

ただ、このようなテロを引き金にした報復合戦の時だけ「被害者」として思い出してもらえるようでは、いつまでも終りがありません。
現実的解決を考えないと、またこのような悲劇は再生産されることでしょう。

今回の衝突の遠因には、アラブ諸国のパレスチナ人問題への関心の薄れにあります。
今回もブリンケンの要請で調停に乗り出したのは、ハマスなどのイスラム過激派に対して批判的なエジプトのシーシー大統領でした。
かつては、常日頃利害の違いで対立し続けてきたアラブ諸国が、唯一手を握れるテーマが「パレスチナの大義」でしたから、一致団結して強い言葉でイスラエルを批判し、支援を増加させたはずです。

パレスティナ問題が「アラブの大義」でいるうちは、パレスティナ各派はイスラエルと戦っているふりさえ続けさえすれば、膨大な支援をえることができました。
たまにアリバイ作りでテロをしてみせればお褒めに預かってカネを貰えるのですから、腐っていって当然です。
しかしやがてパレスティナ自治政府に居すわったPLOは戦うふりすら嫌うようになり、送られてくる援助を血縁で独占するようになります。
この腐敗の頂点にいるとされているのがアッバス大統領で、彼への反発がハマスへの支持につながっている始末です。

今回ハマスがテロに走った原因の一つが、アッバスが自治政府選挙を勝手に延期したことです。
本来、とうに任期切れだったにもかかわらず、アッパスは選挙をなんやかんやと言い逃れして延期し続けてきました。
アッバスに替わって指導者になろうと立候補しているのが、マルワン・バルグーティです。

「バルクーティは、元ファタハ武装勢力の司令官で、2004年にイスラエルでテロリストとして有罪判決を受け、その後5つの終身刑に服している。だがバルグーティ氏は今でも人気の高いカリスマ的な指導者であり、アッバース氏と決別することで、パレスチナの政治を変え、アッバース氏に代わって大統領の座に就く可能性もある」(アラブニュース2021年1月4日)
https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_36938/

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マルワン・バルクーティ

バルクーティは、元はアッバスと同じファタハの幹部でしたが、文官出身のアッバスと違って軍事部門の司令官で、イスラエルと血みどろの闘争をした経歴の持ち主です。
今はイスラエルに捕まって収監されていますが、立候補の意志を示したために、ハマスが支持に回ってアッバスを脅かしています。

このように見てくると、今回のハマスのイスラエル攻撃の隠された真の狙いは、アッバスの追い落としだとわかるでしょう。
イスラエルに4000発ものロケット弾攻撃を仕掛け、その報復で200名もの死亡者を出す事態は、アッバスをのっぴきならない状況に追い込みました。
アッバスがこでイスラエルとの武闘を再開すると表明しなければ、更に過激な武闘派であるバルクーティ司令官に政権を譲ることになってしまうからです。

ハマスのテロは、多くのそれが同じように国内向けの宣伝です。この辺は北朝鮮の弾道弾発射と同じ発想です。
現実にどれだけイスラエルに打撃を与えるかではなく、パレスティナ住民に流血の被害を出すことで国際社会を味方につけ、更に日和見を決め込んでいたアッバスを追い詰めることが目的なのです。

ただし、アッバスに武闘を現実に再開できるかとなると別の話で、とうにそんなモノ騒がせなことをやる覇気もなければ、仮にヤケのヤンパチでやったとしても更にパレスティナがひどい状況になるのは、さすがのアッバスもよくわかっているはずです。
そもそも仮にアッバスが武闘を再開しても、それを支援してくれる国は、今やイランとシリアというならず者国家だけなのですから。

ハマスを支援するイラン革命防衛隊の思惑は、穏健派のローハニ大統領を苦しい立場に追い込み、さらにハマスとのパイプを顕示することで米国から核合意への妥協を引き出すことです。
ハマスという鉄砲弾を操ることで、中東への政治力を維持し続け、ユダヤ人追放の永久闘争をすることで、アブラハム合意に打撃を与えることがイランの目的です。

バイデンはアブラハム合意を継承して、さらに中東の安定化を目指すと言っていません。
それどころかイランに対しては核合意を復活させるという誤ったシグナルを送り、宥和姿勢に転換するかのような姿勢すら見せてしまいました。
イランはすでに兵器級濃縮を開始しているのですから、ここで毅然とした対応をしないかぎり、そう遠くない将来、イランは核保有国になります。
すると「中東の北朝鮮」が生まれてしまうことになり、もはや手がつけられないことになります。
にもかかわらずバイデンの腰は引けています。
このあいまいさを見て、イランはハマスを使ってバイデンの対応を見定めようとしたのでしょう。

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アラブ首長国連邦とバーレーンがイスラエルとアブラハム合意に調印

このようなイランの焦りを生み出したのが、トランプが進めたアブラハム合意と核合意の廃棄でした。
このアブラハム合意の目的は、端的に徹底したイラン包囲網を作ることにあります。
もしトランプによってこのアブラハム合意が更に深化していたならば、否応なくパレスティナ自治政府までもこの中東安定化の枠組みに参加せざるを得なかったはずです。

そのためにパレスティナとイスラエルは、双方共に妥協が必要です。
パレスティナはテロリスト容認を放棄し、イスラエルを国家として認めねばなりません。
一方、イスラエルもまたパレスティナを国家として認め、ヨルダン川西岸への入植や、東エルサレムに対する過剰な介入政策を放棄すべきです。
こうしてイスラエルとパレスティナは通常の国交を結んだ「普通の二国間関係」になるわけですが、当然、双方ともに国内の強い反発に遭遇するでしょう。
東エルサレムなどについては簡単な妥協はむりかもしれませんが、妥協が難しいことはペンディングしてでも、相互承認へと進むべきです。
こうする以外、恒久的中東和平はありえません。

パレスティナの悲劇とは、とりもなおさずこのような現実的判断を下せる指導者が欠落してきたことによります。
金権腐敗かテロリストかの二択ではどうにもなりません。
この不毛な構図から生まれたのが、よく言われる「報復の連鎖」です。
とっくに「ユダヤ人を海に追い落とす」などということは空論だとわかっているくせに、テロを仕掛けては十倍返しの報復に合い、憎しみをたぎらせてはまたテロに走る、という悪循環を断つには現実主義的な指導者の決断によって解決に持ち込むしかなかったはずです。

アブラハム合意は、必然的にパレスティナ問題の最終解決のとば口になりえたはずでした。


2021年5月21日 (金)

経験したことのない有事に立ち向かっている日本

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今回の予約問題について慶應義塾特別招聘教授でIT会社社長の夏野剛氏は、遅れているのは政府ではなく、ITの常識を知らないメディアのほうだと述べています。

「1日あたり40万人まで来ているが、これを1日あたり100万人まで伸ばさないといけないので、政府はあらゆる手を打っている。問題は、責任者を明確にして、時間が無いという今の状況に対して最も効果的な仕様を作るということが大事だ。そのためには、どこで割り切るか、という話になる。
大規模接種センターの接種券番号の発行は地方自治体が行う以上、防衛省には情報が無い。もし今回のシステム上で接種券番号を照合しようとすれば、東京なら23区それぞれのデータベースに接続し、情報を突合しなければならない。
しかしそれをやろうとすれば、システム開発は1カ月では終わらなかっただろう。一方、お金が儲かるなどのメリットがなければシステムのハックなんて誰もやらない。仮に架空の番号で予約を取ったとしても、接種会場に行った時には接種券を見せなければならず、受け付けてはもらえないわけで、わざわざこの仕組みを悪用するのは、“愉快犯”でしかないということだ」(5月20日
ABEMA TIMES】

私も素人ですが、似た感想を持っています。
このようなワクチンを巡る煮詰まった状況の中で、メディアと野党の状況オンチがさらけ出された事件だったということにすぎません。
政府はここで時間をロスしないで、先に進むべきです。

さていい機会なので、現況の新型コロナに対する対応について整理してみます。

まず第1に、前提認識として、感染拡大はワクチン接種によってしか止めることができないという厳然たる事実です。
ワクチンが感染拡大を止める決定的力になることは、英米、イスラエルといった感染拡大国の事例で既に何度も実証されています。
だからやるやらないではなく、いかに早くワクチン接種を完遂せること、これが国家としての責務です。

第2に、すでにワクチンは充分に備蓄されつつあります。
4月までは日本は製造国の米英自身の感染拡大阻止を先行したために、供給は限られていましたが、5月以降は大量に輸入がなされています。

「政府によると、ファイザー製のワクチンは5月の大型連休明け以降、毎週1000万回分ずつ供給される予定で、6月末までに1億回分を自治体に配布する計画。5月10日の週には優先接種対象の医療従事者が2回接種できる量の、6月末までには高齢者が2回接種できる量の配布を完了するとしています」
(AnswersNews5月17日)
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/20139/

これによって7月中に、もっとも危険であると言われている高齢者の接種を完了する予定です。
また、再開が遅れている経済も緊急事態宣言がいらなくなりますから、コロナ以前の姿に戻すことが可能となります。

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なお、メディアが煽るワクチンの副反応ですが、実態はこうです。

「5月2日までにアナフィラキシーが疑われる症例が664件報告されていますが、このうち国際分類に照らしてアナフィラキシーに該当すると判断されたのは107件。接種100万回あたりの発生件数は28件です。疑い例も含め、ほとんどの症例が治療により軽快しています」(AnswersNews 前掲)

100万人当たり24件、しかも報告された事例はすべて軽症であって、治療によりすぐに完治したようです。

そこで第3に、今、焦眉の課題は必然的に「誰がどうやってワクチンを打つのか」の一点にかかっているといっても過言ではありません。
政府がもっとも苦慮しているのは、この接種問題です。

「ワクチンの供給は順次行われることから、政府は(1)国立病院機構などの医療従事者への先行接種=4万人(2)それ以外の医療機関の医療従事者=約480万人(3)65歳以上の高齢者=約3600万人(4)高齢者以外で基礎疾患のある人=約1030万人・高齢者施設などの職員=約200万人――の順に接種を進めることにしています」(AnswersNews 前掲)

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ところが、ここで大きな問題に突き当たりました。
これだけ大規模な接種をわずか2カ月でやった経験が日本にはないのです。
しかも、予防注射を打てる資格を持つのは、医師法第14条によって医師と看護師だけに限定されています。
また、労働者派遣法によって減速禁止されている看護師弟派遣も認めたり、歯科医師にもワクチン接種を禁じてきました。

「接種を担う医師・看護師は不足しています。厚労省の調査によると、接種会場の医師・看護師が「充足している」としているのは半数以下にとどまっていて、人手不足が接種拡大の足かせとなっています。政府は、労働者派遣法でへき地以外では原則禁止されている医療機関への看護師の派遣を、新型コロナワクチン接種に限って容認。歯科医師による接種も認める方針です。自治体からは、医学生や薬剤師にも接種を認めるよう求める声も上がっています」(AnswersNews前掲)

このような従来の医療業界の既存の縄張りがネックとなっている状況に対して、菅氏はここで一気に歯科医師、薬剤師、医学生といった医療関係者にまで対象を拡げて、打ち手を増やそうとしました。

相は18日、日本歯科医師会の堀憲郎会長と首相官邸で会い、新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、打ち手不足を補うために歯科医師の協力を要請した。堀氏は、全国各地の歯科医師会に対する調査の結果、14県で自治体から歯科医師の派遣について相談を受けたと説明。その上で「全面的に協力する」と応じた」(時事5月18日)

もちろん超法規ですが、菅氏はそれを百も承知で歯科医師会に協力を求め、さらには東京・大阪などの感染拡大が特にひどく、しかも人口が多い地域に対しては大規模接種会場を設け、そこに集中的に自衛隊の医官、看護官を投入しました。

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大規模接種の準備進む 自衛隊医官ら「完遂する」- 名古屋テレビ【メ ...

「自衛隊が運営し、東京と大阪に24日に開設する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターの予約受け付けは17日開始される。自治体と自衛隊などを合わせて、政府目標の「1日100万回接種」に成功すれば、国民に我慢を強いる緊急事態宣言が今秋には不要になるとの試算もある。
自衛隊を動員した大規模接種センターの設置計画は、菅義偉首相の特命を受けて1月下旬から動き出していたという。中国共産党政権の軍事的覇権拡大を見据えた「国防」業務もこなしながら、自衛隊は人類を脅かすウイルスの制圧も目指す」(5月17日ZAKZAK)
https://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/210517/lif21051720000030-n1.html

自衛隊から医官が約50人、看護官ら約130人投入されますが、状況次第では更に増えるかもしれません。
自衛隊医療関係者だけでこの数ですので、ワクチン保管・輸送などの支援業務に当たる自衛隊員はその数倍が舞台裏で動いているはずです。
このようにしてやろうとしているのが、「1日100万人接種作戦」です。

菅氏は防衛大臣にこう訓示しています。

「菅首相は27日午前、岸防衛相に対し、東京の会場で自衛隊の医官や看護官らが会場の設置や運営にあたるとともに、大阪の会場でも適切な支援を行うよう指示した。首相は「自衛隊は我が国の最後のとりでで、新型コロナ対策という国家の危機管理上、重要な課題に対して役割を十分果たしてもらいたい」と強調した」(読売4月27日)

菅氏が言うように、自衛隊は国民を守る最後の砦です。
これを投入する重みを菅氏は充分に知った上で踏み切ったわけです。

そしてもうひとつの接種の障壁は、受け付け体制でした。
それは接種規模が、今まで経験したことのない膨大なものだったためです。
65歳以上の高齢者だけで約3600万人、高齢者以外で基礎疾患のある人が1030万人、齢者施設などの職員が約200万人ですから、約5千万人、実に日本の人口の約半分弱を占めます。
日本の人口の半分の人間に、混乱なく接種を受けさせる、という前代未聞の難事に日本は挑戦しているのです。
実際に接種受け付けで混乱は起きていますが、メディアが騒ぎ立てるほどのものではなく、順調に1日35万人程度に接種を開始しています。

このように見てくると、新型コロナは感染だけではなく、日本の中にある「見えない壁」を暴き立てたともいえるのでしょう。
こういう時期に、朝日と毎日の偽計報道が生まれたということを改めて再確認してください。

まさに満員の映画館で火事だ、と叫ぶよう行為ではありませんか。よく恥ずかしくないものです。
これが正当化できるかどうか、常識で判断してください。
メディアさん、不安を煽ったり、くさしたりするだけが仕事じゃないでしょうに。

 

※お断り  夏野氏の見解を冒頭に追加挿入しました。

 

 

 

2021年5月20日 (木)

朝日、毎日による偽計業務妨害テロ

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今日は、このハマスのテロがアブラハム合意について明確な方針を出さないバイデン政権の隙を狙ったものだ、ということを書こうと考えていたのですが、接種予約をめぐって「テロ」が日本で起きたために、先にそちらを優先します。

メディアがこのコロナ禍において、一貫して煽りに徹していたことはご承知のとおりです。
いわく、安倍がやったのはマスク1枚、PCR検査をしないのは感染拡大を隠したいからだ、感染してもベッドがなくて死んだ、ワクチンは世界100位、オリンピックをしたら死ぬぞ、これがメディアの言い散らしてきたことです。
しかしさすがに、自ら手を下して新型コロナウィルスをばらまくということまではしませんでした。
あたりまえですが、メディアはあくまでも報道媒体であって、実際に事件を作ってしまってはシャレにならないからです。
それをやったらただのテロ組織で、二度と「社会の公器」なんて気取れなくなりますからね。

その禁忌を破る「テロ」を、朝日と毎日が揃ってやってしまいました。
その「戦果」を、毎日はこのように報じています。

「大規模接種ウェブ予約 架空の数字で登録可 券番号も、年齢も
東京23区と大阪市の住民を対象に17日始まった新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け大規模集団接種のウェブ予約で、実際の接種券に記載されていない架空の数字を入力しても予約ができることを、毎日新聞記者が複数の数字で確認した。予約の対象は65歳以上だが、65歳未満となる生年月日を入力しても予約できることも確認。架空の数字を使って予約枠を「占拠」することもできるとみられ、予約システムの信頼性が問われそうだ」
(
https://mainichi.jp/articles/20210517/k00/00m/040/165000c 

この毎日の記事には、実際に接種券番号に架空の番号「1234567890」を打ち込んでいるのが、毎日自身の貼付写真で確認できます。

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大規模接種ウェブ予約 架空の数字で登録可 券番号も、年齢も | 毎日新聞

悪びれもせずに、毎日新聞の記者がやったと、むしろ得意げに書いています。

「記者が防衛省のウェブサイトから、架空の市区町村コードに加え、架空の接種券番号の10桁の数字を入力すると、手順が進んで接種会場と時間帯の指定ができ、予約が完了した」(毎日前掲)

とりあえずこの予約はキャンセルしたとは書いてありますが、嫌いな奴にいやがらせで出前を100人前頼んでやったが、取り消したからいいんだろというリクツで、おいおいこんなことをすること自体が立派な反社会的行為、それも馬鹿しかやらない愉快犯だと気がついていないようです。

ちなみにこの朝日と毎日のやった架空予約は、偽計業務妨害罪が成立する案件です。

「刑法233条は、「偽計を用いて人の業務を妨害した」者を偽計業務妨害罪として処罰するとしています。偽計(ぎけい)とは、人を欺いたりあるいは他人の勘違いや不知を利用する違法な行為をいいます。業務とは、人が社会生活を維持する上で、反復・継続して従事する仕事のことをいいます。 嫌がらせをするために100個を注文していることから、受け取る意思も代金を支払う意思も持っていません。にもかかわらず、偽名を使って注文し実際に存在する者の注文であると勘違いさせて、架空の住所に配達させています。 したがって、偽計業務妨害罪として処罰されることになります」

朝日はこのように弁明しているようです。

「この点について事前に防衛省とシステムの委託先の会社に見解を求めましたが、明確な回答は得られませんでした。取材過程における予約は情報に基づいて真偽を確かめるために必要不可欠な確認行為であり、記事にある通り、確認後にキャンセルしております。2021年5月19日 株式会社 朝日新聞出版」

取り消せばいいのだろう、という言い訳は通用せず、「他人の勘違いや不知を利用する違法な行為」であり、接種する意志も会場に行く意志も持っていないことから違法性が明らかです。
後述しますが、防衛省が偽計業務妨害罪として法的措置を取る気ならできるということです。

また「システム会社に問い合わせたが明確な回答がなかった」といっていますが、馬鹿ですか。
システム会社のどこに問い合わせたのかは知りませんが、その場で返答しなければならない義理はありません。
常識的には、このような重大な事案は相手の回答を待って、それと併記の形でするものですが、よもやすぐに記事で公開するとはこの会社も思わなかっようです。
どうやら、朝日は問い合わせた相手の答えも待たずに記事にしてしまえ、と教えているようです。

そして呆れたことに、この毎日の接種妨害テロに朝日も乗りました。
朝日新聞系のAERA.dotは、同じく17日付でこんな記事も掲載しています。
掲載日ややった内容まで一緒なのはご愛嬌で、よもや朝日と毎日があらかじめ企んでいたか、脳みその内容が一緒だったのでしょうね。
朝日はこの「テロ」をなんのために仕掛けるのか、目的まで書いています。

「菅首相が掲げた「1日100万人接種」を達成すべく、1日1万人の高齢者が接種できるという触れ込みで準備が始まった大規模接種東京センター。
予約が始まった直後、「ワクチン予約に大変な欠陥が見つかった。システムのセキュリティが機能していない」(防衛省関係者)という情報が飛び込んできた。どういうことなのか?」(アエラ・ドット5月17日)
https://dot.asahi.com/dot/2021051700045.html?page=1

接種システムにセキュリティホールがありはしないか、というわけですが、そういう問題意識を持つのはメディアの自由です。
たとえば、東京都の火災通報システムにセキュリティ上の問題がありはしないかと考えて取材することは結構ですが、ここでそれを確認するために実際に100件火災通報をしたらこれは反社会的行為・偽計業務妨害罪です。
考えること、取材することと、実際に手を下すのは、まったく次元が違うのです。

朝日はご丁寧に、この偽計業務妨害の手順まで図入りで得々と説明しています。
アエラ・ドットの方は、市区町村コード「555555」、接種券番号「4444444444」、生年月日「1954年1月1日」で、「念のため、もう一度、予約をしてみた」ところ、この架空予約でも「5月30日16時30分からの枠」を抑えることができてしまった」と書いています。

その上で、このシステム運営会社は竹中平蔵氏のものだ、などと見当違いのことまで書いて、この予約システムを受註できたのは竹中氏と菅氏が「盟友」だからで、疑惑の糸でつながっているからだ、と匂わせています。
まるで菅氏が「盟友」の竹中氏に金儲けさせるために採用したと誘導しているわけで、この言い方、モリカケの時にさんざん聞いたよなぁ。

「防衛省ホームページに掲載されている予約システムの最下部にはシステムの運営会社として「マーソ株式会社」(Copyright © MRSO Inc. ALL RIGHTS RESERVED.)と記されていた。同社の経営顧問には菅首相の盟友、竹中平蔵氏が名を連ねていた」(アエラ前掲)

では、ここで入社試験を受けていただきましょう。
ある新聞社をあなたが受験したとします。試験官がこう尋ねたとしましょう。
「キミが今社会的に逼迫しているある公的システムの欠陥を見つけたとしよう。その時、キミはそれをどのように記事にするかね?」
「ハイ、そのシステムの欠陥に忍び込んでさんざん荒し回り、ガソリンを撒いて、相手が慌てふためく姿を記事にしてやります。うっひゃっひゃ、面白い記事になりますぜ」

おお、なんという素晴らしい企画力と行動力を持つ若者だ、として即採用するのが朝日と毎日です。
フツーの民間会社でこんな危ないことを言ったら、ブラックリストで同業に回覧されてしまいます。
朝日と毎日は、やっていいことと悪いことのけじめもつかないようです。

本来、そのような欠陥があることがわかった場合、このようにすべきです。

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IPAの公式動画 

脆弱性を突く手口、IPA「見つけたらまず開発者やIPA窓口に報告して」 ワクチン予約システムの欠陥巡り
脆弱性情報は、開発者が脆弱性を直すために必要な情報である一方で、攻撃に悪用される恐れがある情報でもある。このためIPAは「発見時は開発者に報告し、極秘事項にすること」とし、「報告せずに、脆弱性の存在をネット上にいきなり公開することは絶対に行ってはいけない」としている。また、攻撃者と疑われる可能性があることから「善意であっても必要以上に調査しないこと」ともしている」(IPA5月18日)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2105/18/news145.html?fbclid=IwAR1fnVJV7U_sgBGPYPQeRL4sD7V0oMb-k_I4he4nnbXjx1-8lItuzeqWUVU

それが社会的に大きな混乱を与えることならば、それを公にするより先にまず知らせろ、発見しても極秘にしろ、というわけです。
あまりに常識的なことで、新聞倫理といった高尚な理念ではなく、社会人モラルの範疇です。
朝日・毎日の記者には、ここから教えないとダメなようです。

「予約システムの欠陥を巡っては、AERA dot.の記者が17日に公開した記事の中で、でたらめな番号を予約システムのフォームに入力しても予約が取れてしまうことを、実際のシステムで確かめたと記載。記事に具体的な手口があったことから「架空予約を誘導している」と報道に疑問を呈する声も上がった。 この他、データベースを不正に操作する攻撃手法である「SQLインジェクション」が予約システムに対して可能という情報も流れたことから、脆弱性など欠陥を第三者が見つけた際の取り扱いについてネット上で議論が起きていた」(IPA前掲)

もちろん直接の被害を受けた防衛省は直ちに抗議声明を出しました。

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まず、岸信夫防衛大臣が、自身のツイッターで次のように抗議しました。

「自衛隊大規模接種センター予約の報道について。
今回、朝日新聞出版AERAドット及び毎日新聞の記者が不正な手段により予約を実施した行為は、本来のワクチン接種を希望する65歳以上の方の接種機会を奪い、貴重なワクチンそのものが無駄になりかねない極めて悪質な行為です」
— 岸信夫 (@KishiNobuo) May 17, 2021

当然すぎるほど当然の抗議で、一日百万人を目標に奮闘している自衛官を後ろから殴るような行為に、大臣が黙っていたらそれこそ自衛官の士気にかかわります。
実際に、朝日・毎日かやった架空予約をそそのかすことによって、現実に予約番号をデタラメに打つ者や、オークションに出展しようとする愉快犯が生まれたとも聞きます。
まぁ実際にやっても、会場で正規に発行されたカードと照合されるので、使えないんですがね。

そして正式にこのような抗議を出しています。

「両社には防衛省から厳重に抗議いたします。不正な手段でのワクチン接種の予約は、本当に希望する方の機会を喪失し、ワクチンが無駄になりかねないと同時に、この国難ともいうべき状況で懸命に対応にあたる部隊の士気を下げ、現場の混乱を招くことにも繋がります。
「本センターの予約システムで、不正な手段による虚偽予約を完全に防止する為には、全市長区町村が管理する接種券番号を含む個人情報を予め防衛省が把握し、予約番号と照合する必要があり、実施まで短期間等の観点から困難かつ、全国民の個人情報を防衛省が把握する事は適切でないと判断いたしました」

緊急、かつ重大な国家的危機を乗り切るために、防衛省は与えられた短い時間で予約システムを作らねばならなかったわけで、照合系統などにセキュリティホールがあることを知りつつ実施したようです。
それを面白おかしくテロって記事にするわけで、職業倫理以前の社会人としての素養に大きく欠けると言われてもしかたがありません。
朝日は自分で「KY」という傷をサンゴにつけて「こんなひどいことをする人がいて、ボクは哀しい」というキャンペーンをやって自爆した時から少しも変わっていないのですね。

 

 

2021年5月19日 (水)

気がついてみれば「パレスティナ解放」をいうのはハマスとイランだけ

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今回のハマスとイスラエルの応酬について、もう少し考えていきましょう。

もっともよくある報道のパターンは、無差別に空爆するイスラエル軍と虐殺され続けるパレスティナ住民の悲劇という切り取り方ですが、この見方はアラブ贔屓しかいない日本の中東屋の定番のようなもので、これではなんの説明にもなっていません。
このような見方では、イスラエルを暴虐国家として批判するだけですべてを説明してしまうために、今回の仕掛けたのがハマスの側で、しかも長期間のロケット弾の備蓄があって始められた大規模テロだということを、意識的に見落としています。

また5月15日が「ナクバ(惨事)の日」と言って、1948年にイスラエルが独立した時に生じたパレスティナ難民の苦行の開始の日に合わせて、パレスティナ側が攻撃をしたのだ、という見方もよくされます。
5月13日がちょうど4月13日から始まった1カ月間のラマダン(断食月)明けだったので、宗教的感情が高まっていたので、ユダヤ教国家に対して攻撃をしかけたのだ、という説です。
宗教対立で説明しだすと、イスラエル独立、いやもっと過去のディアスポラまで遡らないといけませんから、解決不可能ということになります。

「報復の連鎖」も同じで、これではなにも言ったことにはなりませんが、なんとなくわかったような気分になってしまいます。
イスラエルは建国以来世界のどの国よりもテロを受け続けた国ですし、かつては民族絶滅の危機をくぐってきているのですから、テロに対しては厳しい対応を続けるでしょう。

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もちろん宗教との関連はあるでしょうが、イスラム原理主義過激派がラマダン期間中にテロを実施することなど珍しくありません。
2016年7月に起きた、バングラデシュの首都ダッカのレストランにおける日本人を標的にしたテロでは日本人7人を含む20人が殺されましたが、犯人はISで 、ラマダンの期間中でした。
殺された日本人は途上国支援に来ていた人たちで、イスラエルとはなんの関係もなく、まきぞいを食った現地人はすべてムスリムでした。

つまりイスラム原理主義過激派にとって、宗教期間であろうとなかろうと、ムスリム同胞であろうとなかろうと無関係にテロを実施する存在なのです。
あえて関係あるとすれば、それは「宗教を利用できる」からにすぎません。
ですから、むしろ今回のハマスの攻撃の理由から宗教的要素はあえてはずして見たほうがよくみえるのではないでしょうか。

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見よ、これが、ハマスのロケット弾だ

メディアの今回の事件の背景の説明で、なぜか触れられていないのはこの時期がパレスティナにとっても、イスラエルにとっても「政治の季節」だったことです。
パレスティナ側にとってこの時期は、なんと15年も自治政府に居すわっていたマフムード・アッバス議長が、5月下旬予定の自治評議会選挙をまた延期した時期にあたります。

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アッバス議長:5月総選挙延期を表明へ 2021.4.28 – オリーブ山通信  

「パレスチナ自治政府のアッバス議長は、1月15日に、15年ぶりとなる自治政府議会の総選挙とそれに続いて議長選挙を行うと発表。以降、アッバス議長自身のファタハからも若手ライバルが2人、ハマスも含め約25のグループが立候補し、政権交代の可能性が出始めている。
この選挙にはパレスチナ市民も大きな関心を寄せており、有権者の92%(約250万人)が、投票に参加すると表明していた。
しかし世論調査での最大議席獲得政党は、ガザのハマスが代表する政党で、アッバス議長は過半数に届かないという結果になっている。このため、アッバス議長は28日、選挙を延期すると発表した」(オリーブ山通信 石堂ゆみ 2021年4月21日)

アッバスは、イスラエルの承認が得られなかったと他人ごとのように言っていますが、イスラエル外交当局はそれを否定しています。
本当の理由はアッバスが負けそうだからです。
アッバスの腐敗はパレスティナ住民で知らぬ者とてない状況で、ハマスが政権を取る絶好の機会を先延ばしてしまったことに対してハマスは怒り狂っていました。

「アッバス議長の任期は、本来なら2009年までであったが、ハマスとの合意が得られないことから選挙が行えず、選挙は何度も試みたものの、一回も議長交代がないまま、今に至るという状態にある。
しかし、今では、パレスチナ自治政府が腐敗していることに異論を唱えるパレスチナ人はいない。また、アッバス議長が15年も議長を続けて、今や86歳と高齢になっていることから、市民の間には、政府の改革、刷新を求める声が非常に大きくなっている」(石堂前掲)

ハマスにとってもうひとつ予想外だったのは、湾岸中東諸国がこの自治評議会選挙にまったく関心を示さなかったことです。
今までパレスティナ解放の旗印を「アラブの大義」として位置づけていましたが、この大義は完全に過去のものになっています。
アラブ諸国のUAE、バーレーン、スーダンが、次々にイスラエルの存在を認めて、「アブラハム合意」を締結し、サウジも近々これに加わると見られていました。

数々の利害対立を起こしてきたアラブ諸国も、こと「パレスチナ人問題」となると結束し、イスラエルを批判し、パレスティナ「解放」組織を支援してきた歴史があります。
多大なパレスチナへの経済的支援、軍事支援をしてきたのは、「パレスティナ解放」が唯一の汎アラブ主義を維持するテーマだったからです。

しかしこの汎アラブ主義は、今や「アブラハム合意」によって逆転し、むしろイスラエルとの平和共存による中東地域の経済発展をつくろうという流れに替わりました。

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アブラハム合意 - Wikipedia

「アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンは、2020年9月15日に米国が橋渡ししたイスラエルとのアブラハム合意共同宣言に署名したアラブ諸国の2カ国です。
イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエル・バーレーン関係の正常化は、イスラエルに利益をもたらし、パレスチナ人をさらに去った取引として扱う批判者と、混在した反応を受けた。
2020年8月に関係正常化計画が発表されて以来、パレスチナ人自身が不支持と非難を表明して厳しい関係を示してきた。パレスチナ人はこの取引を「パレスチナ人の闘争の裏切り」と呼んだ。
しかし、イスラエルと米国は、他のアラブ諸国と政治的ロビー活動を続けています。2020年10月23日、スーダンはイスラエルとの外交関係の再構築に合意した3番目のアラブ諸国となり、トランプはスーダンをテロ支援国のリストから削除した。
ポンペオによると、彼の党は二国家解決、すなわちパレスチナとイスラエルが互いに共存するという考えに基づいて中東和平計画を実行した」
(2020年10月29日voi)

たとえば、サウジの若き皇太子にとって、かびの生えたような「アラブの大義」というような手垢のついた理念は足かせにこそなれ、なんの政治的価値もありません。
むしろ21世紀に生き残るためには経済大国・技術立国のイスラエルを積極的に戦略パートナーに選ぶ流れは、トランプの提案がなくとも別の形で実現したことでしょう。
その状況の変化を敏感に読んで、「アブラハム合意」という素晴らしいネーミングで包括的和平案を提案したトランプという政治家は並大抵ではありません。
いまやサウジは、アブラハム合意にこそ未参加ですが、イスラエルと軍事情報交換を行う関係を持っています。
軍事情報のやりとりをする仲なのですから、「パレスティナ解放」など夢幻です。

この背景には、イスラエルが無視することのできない巨大な科学技術国家に成長してしまったことが上げられます。
たとえば今、サルマン・サウジ皇太子は、今までの石油依存経済から脱却しようと模索しています。
その中心プロジェクトが、アカバ湾の科学技術都市NEOMです。

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「2017年10月、モハメド・ビン・サルマン皇太子は、世界の究極のスマートシティとしてNEOMの建設計画を発表しました。
サウジアラビア、ヨルダン、エジプトに広がる10,230平方マイルの土地(シンガポール37個分)に建設され、NEOMは世界で最も急速に成長する産業のハイテクハブになります。その戦略的な立地は、紅海、アカバ湾、スエズ運河の貿易ルートを利用するように設計されており、新しくキング・サルマン橋を建設し、サウジアラビアとエジプト間を直接つなぎます。
その名前にも、NEOMの野望が込められています。ギリシャ語で「新」を表すネオ、アラビア語で「未来」を表すmostaqbalに由来しているのです」
(アブドラ・ラティフ・ジャミール2018年8月12日)
https://www.alj.com/ja/perspective/saudi-arabia-ready-lead-world-smart-city-development/

つまり今や、「パレスティナ解放」の外堀は完全に埋められしまい、「アラブの大義」は過去の遺物と化していたのです。
このような状況を反映したのが、パレスティナ自治政府の選挙にアラブ諸国がまったく無関心を決め込む、という事態でした。
かつての「パレスティナ解放闘争」華やかなりし頃には、アッバスの出身母体のPLO(パレスティナ解放機構)には、アラブ諸国がこぞって資金援助を申し出て、各派にパトロンとしてついたものですが、いまやその影すらありません。
かくしてポツンと取り残されたのは、イランとハマスのような過激派だけとなってしまったのです。

これに激しく危機感を持ち、鋭く反発したのがハマスでした。

「これはパレスチナ人たちが、忘れられるという流れである」(石堂前掲)

この忘れられそうなハマスが、イランの後押しでパレスティナの「政治の季節」に仕掛けたのがこのテロ攻撃だったのです。

長くなりましたので次回に続けますが、パレスティナとイスラエルを取り囲む状況は激変しているのであって、今までのような「パレスティナVSイスラエル」という古臭い構図で見ていてはなにも見えないのです。


 

2021年5月18日 (火)

ガザ地区空爆、ハマスの思惑を考えないとわからない

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ハマスがイスラエルにロケット弾攻撃を仕掛けました。
いままでもハマスはさんざんやってきたのですが、今回様相が異なるのは、準備を重ねた千発を超える飽和攻撃だったことです。
名にし負うイスラエルのアイアンドームも、多くの打ち漏らしを出して死傷者を出しました。
その名も鉄のドームと名付けられたこのロケット弾対応ミサイルディフェンスは、いままで見事に市街地への着弾を防いできました。
今までかろうじて危うい平和を保ってこれたのも、このアイアンドームがあればこその話で、その都度今回のような大規模な報復攻撃をしていれば、やがて本格的な戦争に発展してしまいます。

ですから、今回、イスラエルがパレスティナ側に200名を超える死者を出すような過剰とも思える報復に踏み切ったのは、いかに今回のロケット弾飽和攻撃を深刻な脅威とイスラエルが受け止めたかを示しています。

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日経 

「パレスチナは15日、1948年のイスラエル建国で約70万人が難民になった「ナクバ(大惨事)」の日を迎えた。イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに空爆を続けるなか、ヨルダン川西岸では14日、抗議するパレスチナ人がイスラエル部隊と衝突した。パレスチナ全土に広がった衝突のさらなる悪化が懸念される。
ガザへの空爆は15日も続き、AP通信やカタールの衛星テレビ局アルジャズィーラの支局が入居するビルが破壊された。AFP通信によると未明の空爆で難民キャンプの一家10人が死亡した。イスラエルでは同日、ガザから撃ち込まれたロケット弾のため中部テルアビブ郊外で1人が死亡した」(日経5月15日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1538B0V10C21A5000000/

イスラエルの空爆によってAP通信が入っていたビルまでが破壊され、イスラエルは国際社会からも厳しい批判を浴びています。
西側報道もイスラエル批判一色といった様子で、西欧各国ではパレスティナ連帯デモも始まったようです。

では、ここで改めて問いたいのですが、この紛争のきっかけはなんだったのでしょうか?
いうまでもなく、ハマスによるロケット弾攻撃がきっかけです。ここは大事なことですから押えておいて下さい。
どうして多数の死傷者が出たのでしょうか?
このハマスという純然たるテロリスト集団が、無差別テロを働いたことによるイスラエルの反撃で、パレスティナ側にも死傷者が出たからです。
逆ではありません。イスラエルの空爆がきっかけではないのです。

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では、ハマスの狙いはなんでしょうか?
それはパレスティナ住民に死傷者を大量に出すことです。
えっ、と思いますか。ハマスはパレスティナ解放組織なんだから同じ民族が死ぬことを目標にするはずがないと思われるかもしれませんね。
残念ですが、そういう甘い同胞意識は彼らには通用しません。

ハマスは、とうの昔に私たち日本人が考えがちな「パレスティナ解放組織」ではなく、イスラエルを抹殺することを自己目的化しているテロ集団です。
高橋和雄氏などは、ハマスはテロ団体ではない医療活動もやっている、なんて言っていますが、ならばISだって医療活動も教育もやっている「平和団体」でしたね(苦笑)。
それも今やパレスティナ人の組織ですらなく、イランから資金や武器弾薬を供給された下請け組織となっていることは公然の事実です。
イランでハマスに指令を与えているのが、イラン革命防衛隊です。
ですから、今回のハマスのロケット弾攻撃にゴーサインを出したのは他ならぬイランであり、今回のもうひとりの主役がこの国なのです。

イランはこの間のトランプの中東外交の成功によって、次々にアラブ諸国がイスラエルと国交を開いていく流れに強烈な孤立感を持ちました。
2020年8月にはUAEが、そして9月にはバーレンもイララエルと国交を結ぶことに合意しました。
ユダヤ民族とアラブ民族は同じアブラハムを父祖と仰いでいることから、この合意は「アブラハム合意」と名付けられました。
そして、父祖アブラハムにたちもどって、今後友好関係を持つことが謳われます。

1945年の独立以来、イスラエルの念願は、アラブ諸国がイスラエルを国として認め、中東諸国の一員として安定した関係が築くことでした。
しかし不幸にも、アラブ諸国との間に4回もの中東戦争が繰り返されましたが、1979年にはエジプトと、94年にはヨルダンと和平が実現します。
それから26年間、中東諸国ではイスラエルと国交を結ぶ国が現れなかった不毛な状況を大きく変えたのが、この「アブラハム合意」だったのです。

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イスラエル、UAEとバーレーンとの国交樹立に署名:朝日

おそらくトランプ政権が継続していたら、湾岸の盟主であるサウジまでもがイスラエルと国交を回復したでしょう。
既にサウジはイスラエル民間機の上空通過を認めており、さらに石油依存経済から脱却するために、アカバ湾沿いにエジプトやヨルダンとともに科学技術都市建設を企画しています。
これにせかいで有数の科学技術力をもつイスラエルの参加を求めており、いまやイスラエルは中東諸国にとって「海に追い落とす」どころか、なくてはならない戦略パートナとなっているのです。

ですから、今や海に追い落とせと叫んでいるような国は、イラン一国だけになってしまいました。
バイデン登場によって遅れることになりますが、イスラエルは悲願であった周辺国との和平をなし遂げる一歩手前まできていたのです。

その現実がよく現れたのが、今回、ハマスがテロ攻撃に踏み切った直接の原因となったパレスチナ暫定自治政府の選挙でした。
5月下旬の選挙は延期されましたが、延期の理由はアッバス議長の不人気です。
暫定自治政府選挙が15年ぶりであることからもわかるように、アッバスの権力独占によって自治政府の腐敗ぶりはひどく、多くのパレスティナ住民から乖離した組織となっています。
そのためにアッパスは選挙で負けるのがイヤなので、強引に延期をしたといわれています。

またハマスに危機感を持たせたのは、この自治政府選挙に周辺のアラブ諸国が無関心だったことです。
ありていに言えば、周辺のアラブ諸国は、もうパレスチナ問題には関心がない、手を出さないという態度を取り始めました。
今までなら、自治政府首班を自国に有利な人物を据えようと各国は争ってカネをばらまく地下工作を繰りひろげたものですが、今回はまるっきりの無風。

周辺国にとって、もうパレスティナ、パレスティナと騒いでくれるな、ここまでしっかりと出来上がってしまったイスラエルを地中海に追い落とすなんぞ夢想だ、もう「アラブの大義」という時代はとっくに終わっているだ、というのが本音なのです。
今やアラブ諸国の大勢は、イスラエルとの和平を進め、協力関係を築いた方が、自国のためにも中東全体の安定のためにも、そしてゆくゆくはそれがパレスティナのためにもなる、という流れが生まれていたわけです。

このイスラエルとの和平の流れに強烈な危機意識をもったのが、ハマスでした。
中東和平が完成すれば、ハマスは存立理由を失い、さらにはその後ろ楯のイランは完全に浮き上がります。
このイスラエルとの和平を絶対に妨害するというのが、ハマスとイランの固い意志でした。

ハマスは今攻撃を仕掛ければ、イスラエルの政情不安定につけ込んで一気に中東情勢を流動化できると踏みました。
ますムスリムの聖地東パレスティナでイスラエル警察当局と騒動を引き起し、ネタニエフ政権を挑発しました。
そこで登場するのが、ハマスが営々と作り上げてきた地下ミサイル発射基地網です。
ハマスはガザ地区を要塞化し、各所にトンネルを掘り、ビルや学校、病院にロケット弾発射基地を据えました。

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ハマスがテロ基地を学校・病院にテロ基地に置いた理由は、イスラエルに空爆されれば、女性や子供が死傷するからです。
民間人を「人間の楯」にするだけではなく、殺されることによってイスラエルを批判できます。
意図的に民間人を巻き込んで被害を拡大し、これを国際社会にアピールすることでイスラエルに不利な状況を作りだす、それがハマスとイランの目的なのです。

今回の空爆の特徴は、450発のミサイルをロケット弾発射基地のトンネルとビルに集中させたことです。
バンカーバスターという地中貫通爆弾も用いられて、徹底的にテロ拠点を潰すつもりのようです。
もちろん、イスラエル側もハマスの民間人巻き込み作戦をよくわかっていますから、事前に徹底したインテリジェンスを行って、テロ拠点を洗い出し、精密なマップを作って、爆撃に際しても事前通告をしています。

「イスラエル軍はガザ地区にあるビルをこの4日間でいくつも破壊していますが、空爆するだいたい10分前に、そのビルの所有者に電話して避難を勧告します。イスラエル軍としては、民間人を攻撃していないという体裁をつくるためです。
 空爆にあたっては、まず軽い衝撃を与えます(rock-knockといいます)。その後、一瞬にして、きれいに崩壊させます。
 それくらい、ガザ地区の内情は、イスラエル軍は徹底して把握しています。誰がビルの所有者か、その電話番号と現在位置、ビルの構造と破壊に必要な爆薬の量までわかっています。衛星とかドローンとかの偵察だけではなく、ガザ地区内にパレスティナ人の協力者がたくさんいて、情報を送り続けています。
 戦力からいえば、イスラエル軍とパレスティナ側では、ライオンとネズミくらい差があります。
 パレスティナ人の側としては、死者数がイスラエルとパレスティナで1:10くらいなら攻撃は大成功といえます。そのために、ガザ地区での地上戦、市街戦に持ち込むのが、戦略上は有効という発想になります。」(塩崎悠輝 静岡県立大学国際関係学部 准教授)

塩崎氏がいうように、ハマス側はガザ地区にイスラエル軍地上部隊を入れて、市街戦を展開し、また多くの死傷者を出すことを目論んでいたようですが、イスラエルはそのてに乗らないようです。


 

2021年5月17日 (月)

忘れられたトランプのワクチンワープスピード作戦

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つい先だっての5月5日、バイデンがワクチンの知的特許権を放棄を支持すると言いだして物議をかもし出しました。

「[ワシントン 5日 ロイター] - バイデン米大統領は5日、世界貿易機関(WTO)で提案された新型コロナウイルスワクチン特許の一時放棄を支持すると表明した。100を超える国のほか、米民主党議員からも特許放棄を求める声が高まっていた。
バイデン氏はホワイトハウスでのスピーチ後、記者団から特許放棄を支持するのかと聞かれ、「きょう話をするつもりだ」と述べた。
通商代表部(USTR)のタイ代表は、バイデン氏の発言後に声明を出し、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)対応で各国を支援するため、バイデン政権として特定の知的財産権を一時放棄する措置を支持すると表明した。
タイ氏は、特許放棄に向けてWTOで文書を通じた交渉に参加するとしたが、交渉には時間がかかるとも述べた。WTOの決定には全加盟国の承認が必要になる」(ロイター5月5日)

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このバイデンの知的特許権放棄は、途上国などへの大量支援を念頭においているように見えますが、実際にはUSTR(米通商代表部)とWTOとの交渉を経ねばなりませんから、かなりの時間を要します。
知的財産権放棄を言っても、実行されるのがいつになるのか見当がつかないのです。
そのうえ、そもそも肝心の特許権を放棄させられるファイザーなどの製薬会社や日本の製薬業界はいち早く反対に回り、独自ワクチンを開発していたドイツのメルケルも反対の意志を示しています。 

その理由は、巨額投資をして作ったワクチンがただ同然で配布されてはたまらんという理由以外に、仮に特許を開放した場合にワクチン製造に必要な多種多様な材料が入手できず、悪貨が良貨を駆逐することを恐れています。
これはハッキリ言って、中国にコア技術を盗まれたくないからです。
中国は、この英米のワクチン特許をコピーして、トンデモワクチンを作って売りさばくのが目に見えています。

「日本製薬工業協会は7日、バイデン米政権が新型コロナウイルスワクチンの特許権の一時放棄を支持したことに反対するとの声明を発表した。中山譲治会長(第一三共常勤顧問)はワクチン生産には技術的な課題が多く、「知財の放棄によって生産拡大や供給が可能になるわけではない」とコメントした。
ワクチンはバイオ医薬品の一種で、量産には設備に加えて生産技術や人材が必要となる。中山会長は「知財を放棄しても同等のものができる保証はなく、品質が確保されていなかったり、効果が不十分だったりするワクチンが流通する可能性がある」と懸念を示した。
さらに原材料や容器などの資材が不足しており、「原材料・資材の不足に拍車をかけ、これまで以上に供給網が分散・混乱し、一層の供給遅延などが発生する可能性を憂慮する」とした」(日経5月7日)

ここで注意していただきたいのは、国家予算を投入されたてワクチン開発を推進した米国と、されなかったか、されても少なかった日欧は違うことです。
特許権放棄といっても、あくまでそれはトランプ政権時のワクチン政策の恩恵を受けた米国製薬会社だけですので念のため。

一方、確実にワクチン接種における先進国と途上国の格差が拡がっています。
欧米諸国では新型ウイルス流行に伴う制限措置の緩和が進む一方、途上国では感染者が急増し、ワクチン接種も進んでいないのは事実です。
こうした状況下で、富裕国クラブでワクチンを囲い込むのか、途上国の貧民にも分けろという声が生まれています。

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AFP

特にバイデンの支持基盤の米国のリベラル層がフリーワクチン運動を拡げているようです。
こういう途上国の怨嗟の声に便乗したのが中国で、中国は「新型コロナ原産国」であることなどどこ吹く風とばかりに、救世主然としてワクチンを配りまくっています。
ただし、肝心なワクチンの有効性のほうはさっぱりで、シノバックは50%を切ると言われ、チャイナ・クワクチンを国民にほぼ完全に接種し終えたはずのセーシェルの感染拡大は止らないようです。

「現在の予測に基づくと、世界全体に十分な量のワクチンは2024年まで行き渡らない」。米デューク大は10月末に公表した調査で、シビアな分析結果を明らかにした。原因は先進国と途上国の格差にある。 先進国は既に合計22億回分を確保済み。その大半を米、英、欧州連合(EU)、カナダ、日本の5カ国・地域が占めている。インドやブラジルなどの新興国も対応を急ぐが、途上国が独自で確保した例は確認できていない」(時事20年11月14日)

 

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読売

ところで、私たちは製薬会社がいうように巨額投資があっていち早くワクチンが供給開始になったと思いがちですが、それは半分真実、半分は話を盛っています。
というのは私たちが考えるほど、先に述べたように米国のワクチンは開発コストがかかっていないからです。
米国のワクチンは、トランプ政権における「オペレーション・ワープスピード」で巨額の国費を投入されて、開発にこぎつけたものだからです。
開発コストとは、開発期間に要した人件費、設備費、材料費、さらにはリスクなどを含むもので、量産時のコストとは違います。
ですから、今回のワクチンはさぞかし巨額の資金投入があったのかと思えますが、必ずしもそうではありません。

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www.businessinsider.jp

トランプは去年5月の時点で、いち早く「オペレーション・ワープスピード」(OWS)をまとめ上げ、180置くドルという巨費をワクチン開発に投入しました。
やや長いですが、日本ではいまだにトランプが感染拡大させたとされているようなので、引用しておきます。

「ドナルド・トランプ元大統領は、2020 年 5 月 15 日にワープスピード作戦 (OWS) を正式に発表しました。OWSは、COVID-19ワクチン、治療薬、診断の開発、製造、流通を加速するためのより広範な戦略の一環として、「2021年1月までに利用可能な初期用量で3億回の安全で効果的なワクチンを生産し、提供する」と課された180億ドルのビジネス政府と軍事パートナーシップとして構成されました。
OWSの最も革新的な特徴は、結果に関係なく、臨床試験を受けている大量のワクチンタイプの政府の購入でした(ファイザーとモデルナからの早期購入でそれぞれ20億ドルと4億8300万ドルなど)。
OWSは、臨床試験、製造、物流を順次ではなく並列で行うことを求めました。複数のワクチンタイプの追求は、可能な限り多くの承認されたワクチンタイプを保証するために、プログラムに弾力性を構築しました。(現在、251種類のワクチンが開発中です)。
約 10 か月後の OWS の結果は次のようになります。
2020年12月11日、食品医薬品局(FDA)は、ファイザーが「16歳以上の個人におけるコロナウイルス病2019(COVID-19)の予防」のために製造したワクチンを緊急使用承認(EUA)に承認し、モダナのワクチンの承認は7日後に続きました。
最初のアメリカ人は、FDAがファイザーワクチンを承認したわずか4日後の2020年12月15日に予防接種を受けました」
(原文英文 "Getting the facts right on Operation Warp Speed"
https://thehill.com/opinion/white-house/544175

このOWS計画のすごいのは、平時の開発→臨床試験→製造→物流という一連の流れを同時に進めることで、それにかかる開発から物流までの期間を大幅に圧縮してしまったことです。
このトランプの野心的な計画に対して、反トランプメディアは激しくバッシングしました。
ニューヨークタイムズは「全く新規なワクチン開発に関する我々の記録は少なくとも4年で、市民や経済がソーシャルディスタンスを許容できるより長い時間だ」(20年4月20日)と頭から否定的でした。

彼ら米国左翼メディアが言うとおり、平時と同じように4年間もかけてチンタラやっていたならば、今頃どうなっていたか、かんがえるのも愚かです。
今、バイデンが得意気に感染拡大を制圧したといわんばかりのセリフは、このトランプ゚のOWS計画によって驚くべき速度で大量に供給されたワクチン接種によるものだということを、きれいさっぱり忘れています。

なおOWS計画で,製薬会社に提供された開発資金は以下です。

●OWSの提供した開発資金
・ファイザー・・・政府資金は19億5千万ドル。mRNAワクチンの投与目標は20年末までに1億回、21年末までに12億回超。
・モデルナ・・・7月に3万人規模のmRNAワクチンの後期フェーズ臨床開始発表。政府資金は10億ドル。21年以降に年間約5億回~最大10億回の投与を予定。
・アストラゼネカ・・・オックスフォード大との共同開発に米政府は12億ドル提供。風邪ウイルスの弱毒化バージョンを使った組換えウイルスベクターワクチン。
・ノバックス・・・7月に米政府が16億ドル投下。8~9月に中期試験、10月にフェーズ3試験、21年1月までに1億回投与予定。

このように製薬各社は巨額の資金注入によって開発コストをセーブしているのですから、今や製造・物流コストのみでコストを判断すべきなのです。
ファイザーの主張のように製造技術がなかったり、ワクチン材料をあつめられない途上国が多いのは事実ですから、日本やヨーロッパのように高い製薬技術を有する国がライセンス生産し、その一定額をライセンス料として放棄をした会社に支払う方法も可能なはずです。

このように考えてくると、今はびこっている粗悪な中国ワクチンを駆逐し、有効性の高い米国ワクチンに置き換えていくためにも、このバイデンの知的財産放棄提案自体は検討しておいても損はありません。

 

 

2021年5月16日 (日)

日曜写真館 張りつめて蒼き孤高の鉄線花

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おのが名を偽らず咲き鉄線花 鷹羽狩行

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つつましき夏のはじめや鉄線花 森澄雄

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まことその名のごときひと鉄線花 鷹羽狩行

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鉄線花馬蹄の音のさしかかる 中村汀女

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鉄線花に紫衣の紫憑きにけり 後藤比奈夫

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挫折後の藍あざやかなクレマチス 佐藤鬼房

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鉄線の花の平らに空広し 高浜年尾

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2021年5月15日 (土)

いかにも日本的な、あまりに日本的な

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ワクチンの効果について、イスラエルを見てみましょう。
イスラエルは世界で最も早い速度でワクチン接種をした国として知られています。
なんせネタニヤフ首相みずからが「集団免疫に向けた世界の実験室」と自称したというのですから、こんなことを菅さんが言ったら、さぞかし野党とメディアは「国民をモルモットにするのか」と大バッシングだろうな(笑)。

イスラエルは去年4月で、100万人当たりの死亡者数が9.9人、同じく感染者数が1152人でした。
当時の日本が、100万人当たりの死亡者数が0.9人、感染者数が44人ですから2桁違います。
まさに大型台風級の感染拡大に見舞われたことがわかります。

イスラエル政府の打った手は、ワクチンの早期接種、迅速、かつ接種の徹底化でした。 
なんと去年12月中旬から接種が始まっており、2020年末時点で既に接種率が約34%で、これは同時期にワクチン接種を開始した英米より大きく先行しているペースです。
下図をみると、ワクチン生産国の米英を凌ぐ接種速度の迅速さに驚きます。


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金融市場NOW

ワクチン接種の結果は速やかに現れました。
下図はワクチンと感染拡大の相関をみたものですが、去年12月のワクチン接種開始と共に感染拡大は止まったことがわかります。 

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更にその後も劇的に新規感染が減少に転じています。

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イスラエルは周囲を敵対国に囲まれている国で、人口は日本の10分の1以下という小国です。
そして常に先日のハマスのロケット弾攻撃に見られるように、平時と有事の境がありません。
ですから、このような大規模な感染拡大に対しては、直ちに有事対応に移行することが可能です。

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イスラエル、100万人超が新型ウイルスワクチンを接種 世界1位の接種率

常に「平時の国」のどこかの国とはえらい違いです。
日本は、平時から有事に移行することを憲法によって禁じられている世界唯一の国ですからね。
とはいえ、その「常に有事」のイスラエルですら、他国より厳しい行動制限をかけたにもかかわらず、感染拡大の勢いは接種開始の去年12月まで止まらなかったわけですから、逆にいえば行動制限だけでは感染拡大に歯止めがかからないということです。
ヨーロッパ各地の都市封鎖をみても、ロックダウン一本では防ぎきれないことを教訓化すべきでしょう。
まして日本は行動制限のお願い一本で乗り切ろうとしたのですから、ハナから無理ってもんです。

いちいち較べるのもなんですが、東京高裁判決でワクチン悪玉論を定着させ、予防接種法で義務化を努力義務にまで格下げしてしまったわが国との差がここにも出ています
この反ワクチン運動を煽ったのが、朝日などの左翼メディアだったことは記憶にとどめておいて下さい。。
そのような支配的空気に負けて厚労省が、初めから腰が引けていたこともクチン遅れの原因の一角にはあります。

また先日記事にしたように、日本の場合、せっかくワクチンを必要充分に確保し接種にこぎつけても、接種を行う人的リソースが不足しました。
海外のように歯科医師や医学生、薬剤師などの一定の訓練を受けた人に接種を認めるためには、医師法が障壁になったのです。
医師法にも緊急事態条項が存在しないのです。
さらに、「入院できずに死んだ」といわれる事件が発生したのは、隔離ベッドの不足が原因でした。
ベッド数自体は世界有数に確保しながら、2類感染症の隔離施設が不足しました。

●主要国の病床数(人口1,000人当たり)
・日本・・・13.0床(第1位)
・ドイツ8.0床・
・フランス5.9床
・イタリア3.1床
・米国2.9床
・英国2.5床

痴本は世界一の100万人当たりの病床数を持っていますから、これで病床数が不足する道理がありません。
しかしこの十分な病床数も、コロナ対応となると様相が一変します。

●日本の新型コロナ体対応可能な病床数・・・28000床(4%)

どうしてこうもコロナ対応病床が少ないのでしょうか。
一つに考えられるのは、医師会がかならずしも病床確保に積極的ではないことです。
医師会はすべての医師の代表のように思われていますが、民間病院の医師の利益代表組織でしかありません。

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彼らは、感染初期にクラスター対策が不十分で感染拡大を引き起こした事例が頻発し、メディアに叩かれたことに懲りたようです。
実際に、かなりの割合の民間病院ではコロナ患者の受け入れを事実上拒んでおり、一部ではいつもより暇な病院さえでたほどです。
今回のコロナ感染において、医療関係者の献身的な診療には尊敬あたわざるものがありますが、一部の医師会関係者の非協力ぶりには呆れます。

隔離病床数を増やす努力は、緊急事態宣言の法的立てつけでは一義的には自治体首長にありますが、彼らも公立病院までしか権限をもたず、ここでも民間病院に対する「お願い」・協力要請となっています。
民間病院は各地医師会が利益代表ですが、彼らはコロナ患者を収容する隔離ベッドを置くと病院経営に負担になるばかりか、来院者が減ることを警戒して非協力的でした。

一方国はといえば、補正予算を10兆円積み上げて財源を確保してみても、自治体からの申請が少ないために使い残す始末でした。
厚労省が財政支援するには、自治体と医師会のどちらかが財政支援の要請をせねばならなかったからです。
無症状者のための隔離ホテルも一緒で、東京都や沖縄県では確保することを忘れていたようです。
こういうことが重なって、「入院できなかったために亡くなった」ということが起きたようです。

つまりなんのことはない、国は申請が自治体や医師会からあがらないので動けず、自治体は公立病院しか権限がなく、医師会の民間病院は動きたがらない、という三すくみ状態となってしまっていたわけです。
このような中で、医師会と自治体はひたすら矛先が、自分に向かわないように緊急事態宣言を発令することが国の権限であるかのように言いたて、果ては茨城県知事のように「五輪を必ずやらなきゃいけないということではない。状況によっては中止や再延期の判断もあり得る 」などとバカを言い出す首長すらを始めています。
そもそも開催都市でもない茨城県がやるやらないと言う資格がないし、茨城県の感染状況は中止を軽々に言うような危機的状況ではありません。
何をえらそうに、一票返せ、大井川め。

とまれこのようなわけで、ワクチン接種は遅れ、ベッド数の確保にも支障をきたしているというわけです。

ただし、このような停滞した対策の進展状況を、菅首相は超法規も辞せずという政治力を使って臨んだために打開されつつあります。
いったんシテスムさえできれば、現場力は世界一のわが国ですから、なんとかなると信じたいものです。
それにしても、いかにも日本的な、あまりに日本的な話です。

 

 

2021年5月14日 (金)

いつも「超法規」でいいのか?

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よくも悪しくも超法規の国です、わが国は。
ワクチン接種に関して首相が、医師法を超越することを承知で、医師、看護師だけに限定せずに、医療関係リソースを全投入するという決断は、いうまでもなく超法規です。
ワクチン接種は医療行為に属しますが、今のペースで医師・看護師だけに限定すれば今年中かかってまだ終わらないかもしれせんからね。
一気に国民の7割に抗体を作って集団免疫を獲得しようとするのがワクチンですから、これでは間尺にあわないわけです。
医師会は後ろ向きで面従腹背の気味がありますから、いつまでも待っていられないと見切りをつけたのでしょう。
看護師会は協力に舵を切ったそうです。
よくNHKが報じる共産党系医療団体・労組などは、あいかわらずオリンピックも含めて接種にも非協力的でしょうが、これでおおむね態勢は整い、7月中に接種の山は超えるはずです。

こういう決断ができる凄みが菅さんだ、と褒めてやりたい気もしますが、緊急時に日本が超法規という方法ですり抜けることが、またもやはっきりしました。
緊急事態宣言にしても先日来同じことを言い続けていますが、政府は議論を回避して8分どころで実行段階に突入してしまうことが、今になって響いてきています。
病床や医療従事者、隔離施設の確保などは自治体が主導し、国は財政支援ですから自治体によってデコボコが生じてしまいました。
移動や外出制限に至っては、憲法が保証する私権の制限に抵触してしまうので、緊急事態条項がなければどうにもなりません。

私はだからこそ政府は勇気をもって発議しろ、と言っています。
これほど分かりやすく憲法論議ができる材料を目の前にしながら、あんなハンチクな緊急事態宣言をするから禍根を残すのです。
まぁ、今の野党やメディアのオリンピック中止論議を見ていると、軍靴の音が聞こえる、あの暗い時代に戻すな、なんていいかねませんからね。
ですから政府も急ぐのだから仕方がない、という気分はよくわかります。
ただしこれでは百年たっても、改憲なんできませんよ。

さて、先日政府は台湾海峡有事に関して対応の類型を出しました。

「台湾は沖縄県の尖閣諸島を含む南西諸島と近く、政府内では、台湾有事から日本への武力攻撃に波及する危険性が懸念されている。
有事が勃発すれば、米軍は台湾防衛のために反撃すると考えられる。この場合、まず想定されるのは、安保関連法の一つである重要影響事態法に基づき、自衛隊が米軍に対して行う燃料補給などの後方支援活動だ。
具体的には、台湾有事が「放置すれば日本への直接の武力攻撃に至るおそれがある」など、日本の平和と安全に重要な影響を与える「重要影響事態」に該当すると認定する必要がある。
事態がさらに悪化した場合、限定的な集団的自衛権に基づいて武力行使による反撃ができる「存立危機事態」に該当する可能性もある。これも安保関連法で可能になった。ただ、自衛隊法は、「日本の存立が脅かされ、国民の生命や権利が根底から覆される明白な危険がある場合」と適用要件を厳しく定めており、政府は慎重に検討するとみられる。
在日米軍基地を含む日本への武力攻撃が発生したか、発生する「明白な危険が切迫している」場合は、政府は「武力攻撃事態」に認定し、個別的自衛権に基づく武力行使で反撃することが可能だ。
これらの三つの事態での自衛隊の出動には、国会の承認が必要となる」(読売4月14日)

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台湾有事」から日本への波及懸念、自衛隊が取り得る行動は複数類型

本気でこんな類型に納まると、菅首相が思っているとしたら、失礼ですが馬鹿です。
菅氏は黒光りするようなリアリストですから、たぶん終わるはずがないのは承知しているはずです。
ですから、いざとなればまたもや得意技となってしまった「緊急時の超法規」で乗り越えようとしているようにみえます。

この有事類型で、もっとも現実離れしているのは、有事が勃発して米軍は台湾防衛のために反撃した場合、安保関連法の「重要影響事態法」を適用して、自衛隊が米軍に対して行う燃料補給などの後方支援活動をするという部分です。

まずはこの重要影響事態法を押えておきます。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000060

●重要影響事態法
第一条 この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「重要影響事態」という。)に際し、合衆国軍隊等に対する後方支援活動等を行うことにより、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与することを中核とする重要影響事態に対処する外国との連携を強化し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。

ではなにができるのかといえばこんなていどのことです。

第3条
 後方支援活動 合衆国軍隊等に対する物品及び役務の提供、便宜の供与その他の支援措置であって、我が国が実施するものをいう。
 捜索救助活動 重要影響事態において行われた戦闘行為によって遭難した戦闘参加者について、その捜索又は救助を行う活動(救助した者の輸送を含む。)であって、我が国が実施するものをいう。

おいおい、です。
日本の平和と独立がおびやかされるような「重要事態」でも、できるのは米軍への燃料などの物品支援や米軍人の救難捜索だけだというのです。
燃料補給と救難捜索で独立が守れりゃ、なんとお得。
岸防衛大臣はわかっているでしょうが、こんな想定はただの絵空事です。

米軍は常日頃は「あいまい戦略」で、台湾を同盟国には位置づけていませんが、有事に関しては台湾関係法を発動します。
ここでいくらバイデンが懐手して傍観していたら米国の同盟重視という言葉はウソだったのか、ということになりますからね。
その場合、欧州と違ってNATOのような集団安保体制がなく、個別に米国をハブにしてできあがっているアジアの安全保障体制は一気に空文化します。

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台湾海峡危機で露呈した米国の本音 曖昧(あいまい)戦略の米国は尖

具体的に考えてみましょう。
中国が台湾を攻撃する場合、絶対的に必要なのは航空優勢です。
空域の支配権がなければ、台湾海峡を押し渡って大量の兵員や装備を台湾に送り込めませんからね。
ですからまず中国が仕掛けてくるのは、航空基地や政治・社会の重要インフラに対する航空攻撃とミサイル攻撃です。
台湾軍は米軍と共同してこれを迎撃することになりますが、問題は自衛隊です。

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上の地理的距離を見て、いや全部台湾域内で終わるさ、日本は米軍の後方支援だけに専念してればいいんだ、なんて考えている関係者はいないでしょう。
私は中国軍は、台湾の東側から侵攻するために与那国や宮古島を押えてくると思っていますし、横須賀から駆けつける空母打撃群を阻止するために尖閣周辺海域で阻止線を張るだろうと考えていますが、この場合はモロにわが国に対する軍事侵攻ですから立派な有事なので、とりえあえず今は置きます。

では、そこまで中国軍がしない場合はどうでしょうか。
台湾空域は、侵攻してくる数百機の中国軍機と台湾・米軍機で溢れます。
自衛隊機は台湾国境すれすれまで進出して戦闘空中哨戒(CAP)を行っていねばなりません。
平時と違って一回一回那覇からスクランブルをかける時間的余裕がないために、常時危険空域スレスレで待機するわけです。

仮に中国軍機が台湾軍機に追尾されて領空侵犯した場合、自衛隊機は平時のように警告をして翼を振って退去を求めるなどはしないでしょう。
紳士的な自衛隊ですから警告くらいはしたいでしょうが、混乱する戦場で、貴機は日本領空を侵しています。ただちに出て行きなさい、などといえるかどうか。

そりゃそうでしょう。
生命を張った空戦機動している時に、いちいち国境線など気にしていられませんし、今の空戦はマッハ1周辺(遷音速)で行われますから、1分間に約18キロも飛んでしまいます。
すると中国軍機は、たちまち尖閣はおろか与那国、宮古の上空に達してしまいます。
逆に、自衛隊機が中国軍機の射撃を受けた場合、その反撃で台湾領空にたちまち入ってしまいます。
また中国軍は、台湾と尖閣諸島などへのミサイル攻撃も大量にするはずで、その迎撃や発射地点への攻撃も実施されるはずです。
こういう状況で、自衛隊は後方支援に専念できたらそのほうが奇跡です。

ついでにいえば、こんな時に「国会承認」を得てから動くなんてありえません。
現代の空戦はコンマ秒刻みなのです。
中国軍機がミサイルを撃ってくる時に、パイロットが、「司令部、これは重要影響事態でしょうか、それとも存立危機事態でしょうか、至急防衛省に頼んで国会で審議してもらって下さい」なんて言えるはずがありません。
すると国会では「軍靴の音が」の皆さんは泣き喚き、山口センセは国会前で絶叫し、どっちにせよ決まるのは数カ月後。その時には終わってるって。
しかし、そういうことを求めたがる国なんです、うちの国は。

ですから、こういう状況では、日本はまたもや伝家の宝刀の超法規をするしかないのです。
そして事後にそれを認める法改正をするというわけですが、いいかげんこのパターンは止めませんかね。

 

 

2021年5月13日 (木)

「さざ波」でなにが違う?

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高橋洋一氏の「さざ波」と「笑笑」が炎上しているそうです。
ああ、くだらねぇ。
たぶんメディアは高橋氏を叩くことで、立憲とつるんで彼を任命した菅政権の任命責任までもっていくなんて生臭いことを企んでいたんでしょうが、相手が悪かったですね。
高橋氏は理路に生きる人です。
そんなタイプの人が、簡単にそこらの陣笠議員のように、メディアから批判されればすぐに腰砕けになって、「不適切な言い方でした。深くお詫び申し上げます」なんていうタマだと考えているから、逆ねじを食らうのです。
彼を負かしたいんだったら、等量の反論データを持っていくこと。それ以外勝つ方法はありません。

それを言うに事欠いて、「笑笑」と書いたのは「死者への冒涜だ」なんて、バッカじゃないか。
高橋氏が数字で論理展開しているときに、妙に情緒的なことを言って揚げ足をとっても、それこそ「笑笑」になります。

高橋氏の喧嘩を買うわけじゃありませんが、私の主張とも重なる部分があるので見ていくことにします。
高橋氏が「日本の感染はさざ波ていどだ」と言ったのは、正確にいえば「世界の感染状況と比較すればさざ波ていど」なのです。
なぜ世界の感染と較べる必要があるかといえば、五輪という国際大会をするにふさわしい国かどうかを問われているのですから、世界と比較するのは当然です。

今の日本が、たとえばインドや米国、英国なら中止したほうがいいでしょう。
なぜなら、これらの国はあまりに大規模な感染拡大をしてしまいましたから、いまだ万全とは言い難いのです。
では日本はといえは、そもそも感染状況の規模自体が桁違いでした。

これは100万あたりの死亡者数で見ます。
グラフの一番上が日本です。桁がちがうのがわかるはずです。

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1年前の2020年4月11日の感染者と100万当たりの死亡者数のグラフですが、日本は20位以内にも入らず27位です。
不謹慎なたとえかもしれませんが、地区大会落ちです。

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藻谷浩介氏「人口当たり死者数」で見る新型コロナ | 藻谷浩介の世界

なぜ「100万人あたりの死亡数」が重要かといえば、数量を比較する場合、分母を揃えるのが統計の見方のイロハだからです。
人口が日本の3倍ちかい米国や、逆に半分ていどの韓国と死亡者数で較べらたら、大国のほうが実態より多くでてしまうでしょう。
ですから、100万人あたりに砕いて揃えるのです。

次によくある感染状況を見る数字のトリックで使われたのが、死亡率です。
一見死亡者数と似ているので、PCRを感染者発見のサーベイランスに使えという人たちは、ドイツや韓国の死亡率を根拠にして、日本が韓国の3.5倍高いということを言っていました。
死亡率は分母が感染者数、分子が死亡数で見ますから、韓国と違ってサーベイランスのためにPCR検査を利用しなかった日本は陽性者数の全体数が抑えられますから、死亡率の分母が少なくなって死亡率は上がります。
一方韓国はポピュリストの国らしく盛大にPCR検査をしたために、陽性(3割は偽陽性ですが)の分母が増えた結果、死亡率は相対的に減少して見えるという錯覚です。

また感染者数もよく使われる指標ですが、これだけを見てもわかりません。
感染の中には軽傷者・無症状者が大多数を占め、彼らも2類指定感染症ですから入院隔離する必要があります。
すると入院数がやたらと増えますが、実態はピンピンしている人たちで病床が半分埋まってしまっているのです。
感染者数は、全体の感染の増減をみるためには有効ですが、無症状→軽症→重症→死亡者という動態で見ねば意味がありません。
だから100万人あたりの死亡者数というのが、夾雑物を除いたもっともリアルな数字なのです。

それで見ると、現在の日本はワクチンを打って劇的に改善した英国の少し上ていどにすぎません。
つまり、ワクチンがほぼ国民に行き渡りつつある英国は、やっと日本並にまで落ち着いたということです。
日本を「さざ波」と呼ぶのなら、英米の感染状況は「台風」でした。
こういう国「さざ波国」が、五輪中止など言い出したら、「台風国」から笑い者になるよ、高橋氏が言ったのはそういう意味です。

この高橋バッシングを見ると、典型的な日本メディアのドメスティック根性が露わになって憂鬱になります。
世界的パンデミックの中でも、いつも見るのは自国内だけ。
それも面白おかしくセンセーショナルに叫び立てないと視聴率が取れないようで、テレビなどこの1年どこを回しても緊急事態宣言一色。
番組の途中でも平気で、「ニュース速報・東京では新規感染者数が〇〇人でました」なんてやるんですから、頭のネジが飛んだんですか。
それともそんなに感染が増えるのが嬉しいんでしょうか。
視聴率が落ちて広告収入が激減し、放送局の財政が赤字転落して、自分の首を締めているっていうのにね。
自業自得・因果応報・盛者必滅。メディアはこのコロナで没落産業となりました。

少し視点を世界に拡げれば、日本は立ち位置がみえるはずです。
日本はよく凌いでいるほうです。
細かい失敗は数ありますが、取った政策はおおむね正解でした。
初期のPCR検査抑制政策は正解で、あれがなければ、日本ですら医療崩壊が現実味を帯びたはずです。
おーい、最近はとんとお座敷がかからないみたいだが、岡田晴江女史、どうしているんだーい。懺悔録でも書いているんかい(わけないよな)。
しかしこの初期の一定の成功に安住して、次の第3波、第4波のための法や制度改革に向けられなかったために、今苦労しています。

ワクチンの大規模接種がいよいよ始まります。
政府の集計では、7月いっぱいで8割の自治体が65才以上の接種を完了するようです。
英米やイスラエルなどの先行事例を見ると、ワクチンは決定打たり得ます。
たぶんこれで一気に終息に向かうはずです。

 

2021年5月12日 (水)

第1波を凌いだ後に「熱い湯」を入れるべきだった

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国民には政府のコロナ対策が後手後手で手遅れになっている、という気分があるようです。
なまぬるい、遅い、というところでしょうか。
だから五輪のせいだとメディアと野党が煽ると、そうかやっぱり五輪なんかやるから限りある医療ソースが持っていかれてしまうんだぁ、とかんがえます。
五輪か、国民の生命か、ってことになります。
先日も外国人選手の患者が先か国民が先か、なんて答えようがないことを聞いた立憲のバカ議員がいましたね。(例のアノ人ですが)
首相が外国人選手だなんて答弁すれば、もう大喜びだったんでしょうがね。
首相がはぐらかした答えをすれば(アレはわざとですよ)、そらみろ首相は錯乱している、政府はもう統治能力を失っているんだ、なんていいだすんですから、はれほれ。

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上の広告は大手新聞各紙に出たものですが、ワクチンもないクスリもない、竹ヤリで戦えというのか、とアジっています(苦笑)。
コロナ細胞を日の丸に見立てて、なんて悪趣味。
ワクチンが遅れたのは、米英の製薬会社が日本より2桁多い死亡者を出してしまった自分の国の接種を優先したからです。
日本が感染拡大を抑えられた結果が、今のワクチンの遅れを招いたといえないこともないのです。

クスリがないに至っては、特効薬がたった2年できるはずがありません。
製薬会社の研究員は、勤務している間に一回くらい新薬を作れたら僥倖だってことを知らないみたい。
それにどーでもいいですが、この写真は竹槍ヤリではなく薙刀だそうです。
えてしてこういう手合いが、五輪中止を叫びます。

私は五輪とコロナ対策は同じことであって、かえって加速化するのだと主張してきました。
ただし、この国民のイライラには仕方がない面もあるのです。
それは日本のコロナ対応は欧米と較べると遥かに手ぬるいために、メリハリがなくグダグダだからどうしても後手後手に見えてしまうのです。
そのために、「政府の対応の遅れ」というメディアの煽りに乗ってしまいがちです。

たとえば、今でている緊急事態宣言はナンチャッテ緊急事態宣言であることは、とっくに国民も分かっています。
言葉が仰々しいだけのことで、ただの「お願い」にすぎません。
こんなナンチャッテの形になったのは、私権の制限が憲法に引っかかる可能性があるからです。

私は、緊急事態宣言を出すならヨーロッパ型でするべきだと当初から考えていました。
つまり国家主導による私権の制限です。

たとえば、罰則既定つき外出制限や店舗営業の制限はあたりまえ。
医療機器、設備・施設薬品などの、食品などの生活必需品の統制までするべきでした。
さらには隔離病床数の指定、無症状者隔離宿泊施設の確保にいたるまで、徹底した国家主導で遂行されるべきでした。

しかし、国会を早く通すためなのか、このような私権の制限を伴う措置は消え、日本型緊急事態法で強制性があるのは、医療施設のための土地建物の収容、医薬品・食料の保管命令の2つくらいなものでした。
今の飲食店の営業時間の制限、酒類の提供もすべて要請であって、命令ではありませんでした。
そのために、東京都や沖縄県のように無症状者用隔離ホテルを確保し忘れたりする自治体がうまれてしまい、それが病床数を圧迫することになりました。

もっとも重要な市民の外出禁止については、罰則既定すらありませんから、メディアが宣言前より増えたの減ったのと監視しているだけのことです。
こういうあいまいさが、国民の相互監視するような「自粛警察」なんてものを生み出すのです。

下の写真は、フランスの緊急事態宣言の初期の風景ですが、まるで戒厳令よろしく自動小銃を持ったポリスが警戒にあたっています。

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AFP

フランス北部ルトゥケで、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置としてカフェの閉鎖を監督する警察官とのことですが、このようにフランスは「不要不急の公共場」を閉鎖し、警察によってそれを守らせています。

各国比較を読売が出しているのでみてみましょう。

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読売

日本の非常事態宣言を上の一覧で見ると、いかにいいかげんなものかお分かりいただけるかと思います。
ヨーロッパでは外出は食料品買い出しと散歩以外は全部禁止ですが、わが国は「外出自粛」、「施設使用自粛」、「イベント自粛」でしかなく、いままでの「お願い」の化粧直しして法的根拠を与えた程度のことでしかないからです。

しかし結果として、日本では良いのか悪いのか、これで済んでしまいました。
下図は去年3月から4月の第1波の頃ですが、日本は初期のコロナウィルスの来襲をほぼ完全にブロックしています。

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それが今になるとジリジリと欧高日低の構図が崩れてきています。

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込み入っているので見にくいですが、日本は表の中ほどの英国のやや上に位置しています。
つまり、日本は初期において「なぜか」見事にブロックできていたが、去年暮れから今年にかけて苦戦を強いられているわけです。
初期にうまくいったことに対して、先日来紹介しているワクチン学者の峰宗太郎氏はこう言っています。

「感染症の対策の視点から言えば、生ぬるい、というか、怠慢のそしりは免れない部分があるのではないかと。それでも拡大がこの程度で収まっているのは、3密を避ける、マスクをして手を洗う、外出・外食を控える、といった、当初からの対策である基本予防策と、それをちゃんと守って努力してきた人々の力、さらには島国という幸運な条件があるゆえだと思います」
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/042600218/

では一方、ここまで強い国家の権限による私権の制限をした国々がうまくいったかといえば、違いました。
米国CDC(疾病対策予防センター)は、自由主義圏で最も強い権限を与えられており、その実力は世界一と自他ともに許していた機関でしたが、初期には惨憺たる失敗を演じてしまいました。
米国がメタメタなのはご承知のとおりです。
同じ惨状を呈した英国BBC(2月23日)から「ひとつの国で計50万人が1年と少しで亡くなったことになる。これは、第1次世界大戦と第2次世界大戦とヴェトナム戦争で亡くなったアメリカの戦死者の総数を超える」などと、やぁご同輩、あんたの国もひでぇもんだな、といった書き方をされる始末です。

その原因は日本の成功した方法と逆をしたからです。
日本がとったのは、病院が検査によるリソース枯渇に陥らないために、あえてPCR検査を制限しました。
メディアと野党は、それを検査をさせないのは、真実を暴かれるのがこわいからだなどと連日ガナっていましたね。
ちなみにPCR制限は五輪をするためだ、みんな五輪が悪いんだ、なんていう五輪悪玉論はこの時期からぼちぼち登場し始めます。
まぁ結果としては、メディアの言うことに耳を貸していたら、とっくに医療崩壊を起こしていたはずです。
まったく反省の色もありませんけどね。

それは米国を見ればよく分かるでしょう。

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CNN

「日本よりもずっと強力な制度、リソースがあったのですが、国内の「検査して隔離」を求める声が大きすぎてそちらにばかりに力を振り向けたこともあり、大変な惨事になってしまった。広報の内容にも3密回避・人の密集を防ごう、はあまり力点が置かれていなかったですし、換気などについても触れ出すのは遅かったですね。なにより原理原則の、「げ」である、「感染は人の接触で起こる」というところへの意識の向け方が弱すぎました」(峰前掲)

検査と隔離で医療リソースを崩壊させてしまったために、米国は看護師不足と病床不足に陥り、軍の病院船まで投入しようとしたほどです。
それがやっと落ち着いたのは、ワクチ接種が現実に行われてからのことです。

では日本は第1波をしのいだ後に何をすべきだったのでしょうか?
峰氏はこの第1波と第2波の間に訪れた小康期間に、その後に備えての制度的な強化を計るべきだったとしています。

「個々の戦いを批判的に振り返るのも大切ですが、私は、「緊急事態宣言」という、お願いベース以上の強い方策(もちろん補償も含めて)を打てる環境整備、これをこの「小康」を得てかせいだ時期に用意できなかったことが、大きな失策ではないかと思います。
手持ちの対策で時間をかせいでいる間に、風呂に熱いお湯を入れる、強いブレーキを踏むための準備をすべきだった。
感染者が再び増えた際にどこの組織がどう動くか、そのために必要な制度は何か、国際対応、水際対策はどうするのか、といった、行政・政治面ではほとんど何もしなかったと思います」(峰前掲)

峰氏の表現を借りれば、「ぬるい風呂に熱い湯を注ぐ」必要がありました。
それはひとつに、緊急事態宣言の世界標準化です。
自治体に丸投げせずに、国家が責任をもってコロナ対応の司令塔になることです。
たとえば、緊急事態宣言にもうたわれている外出制限や医療リソースの提供なども、自治体管理から国が管理できる制度的仕組みを変更せねばなりませんでした。
仮に現行憲法の議論になろうとも、国家主導型宣言を模索すべきでした。

また第2に、ワクチン接種についても、歯科医、獣医、薬剤師まで含めた総動員体制で臨める制度を、国が作る必要があったと思います。
国産ワクチン開発に対して、去年の早い段階で国産ワクチンを早期に開発するために強力な手だてをとらねばなりませんでした。
日本のワクチン開発は、反ワクチン運動によって大きく阻害されてきました。
それを決定づけたのは予防注射反対運動が起こした訴訟で、92年に東京高裁が国の賠償を染命じる判決を出したことです。
この判決の同年にこのワクチン無用論に同調するかのように、反ワクチン運動が要求してきた予防接種法が改正され、接種は従来の義務から「努力義務」に格下げになってしまったことが決定的でした。

日経『新型コロナ・ 必然だったワクチン敗戦 不作為30年、民のはしご外す』によれば、インフルエンザワクチンを開発しようとしていたバイオ企業のUMNファーマーは認可を拒否されて100億円の開発費を失いました。
治験が副反応をおそれるあまり極めてタイトになったからです。
現行の制度では、新ワクチンの治験には4年以上かかり、しかも通らないと言われています。
そして、その後に朝日が執拗に続けた反子宮頸ガンワクチンキャンペーンによって、日本ではワクチンを作らせない風土が生まれてしまいました。
これで日本の製薬会社にワクチンを作れ、というほうが無理です。
現況では日本企業ではわずかの数の製薬会社が細々と研究をしているにすぎないまで縮小ししていきました。
かつての、世界で最先端を誇ったワクチン技術は、この十数年の空白期でほとんど失われ、日本はワクチン不毛地帯と化してしまったのです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL024HX0S1A400C2000000

ここまてワクチン製造を痛めつけておいて、急にコロナだからといってすぐに作れといってもどだい無理な相談です。
ワクチンが遅い、ワクチン後進国だ、政府の怠慢を許すな、と言っている左翼の人たちやメディアは、かつて自分ら反ワクチンの旗を振っていたことを思い出すのですね。あなた方がワクチンを作れなくしたのです。

だからこそ、国は今こそ予防接種法を改訂して、義務化するための法改正が必要です。
また、失われつつある日本ワクチンの技術を蘇らせる強い財政的支援も必要でしょう。
おそらく反ワクチン論にしがみついているメディアは大騒ぎするのは目に見えていますが、現にワクチン無かりせば今世界は地獄だったことを訴えるべきです。

これらのことは、逃げないで国が前面に出てやらねばならなければならないことなのです。

 

 

2021年5月11日 (火)

五輪反対論の「漠然たる不安」について

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HN「コメントする気はなかった」さんからのコメントにお答えしておきます。
コメント欄にも書いたのですが、ある意味、この「漠たる不安」とでもいうものが五輪反対論のコアになっているような気がしてきたので、別角度から再度取り上げます。

この「コメントする気が」さんが、なにを言いたいのか、実は大変に分かりにくく、論旨を何回読んでも首をひねってしまいました。
しかしどうやらこれが氏の言いたかったことのようです。

「そもそも、安全・安心にオリンピックが出来るという「安全・安心」の基準とはどこなのでしょうか?
現在、緊急事態宣言で、多くの飲食店や劇場などに営業するなと言いながら、オリンピックは安全だ、安心だという意味が良くわかりません」

「そもそも安全安心」という立て方自体が間違っています。
私は小池女史が、豊洲移転問題時に「安全安心」と言い出した時に、こりゃダメだ、為政者がなんであるのかわかっていてい、と思った記憶があります。
「安全」という科学の概念はあります。
いくとおりもの項目で基準を設けて、それに合致するかどうかを見るわけです。
ですから、「安全」を基準にするなら基準はありえます。

しかし「安心」には基準はありません。
それは個々人の内面にあるものですから、百人いれば百人それぞれが違って当然です。
そんな百人百通りのものに唯一の基準など作りようがないじ ゃないですか。

このようにまったく違った概念なのに、並列させて平気でいるのが「安全・安心」論なのです。
だから実際は、安全の皮をかぶった安心大事論者にすぎない場合が大部分です。

たとえば福島事故後の食品基準で、100ベクレル平均に定めたことがありましたが、明らかにやりすぎでした。
なぜなら、事故直後の食品基準値は一定の高さで設定しなければ過剰な規制になってしまうからです。
チェルノブイリのベラルーシでは実に13年間かけて徐々に下げていったものを、日本はたった1年後に実施してしまったのです。

当時の民主党政権は、国民の「安心」の声に負けて、平時のヨーロッパの食品基準値よりも低く設定したからです。
その結果生まれたのは、前代未聞の大規模、かつ収拾不能な風評被害でした。
小売店はすべての東日本の食品に計測を求め、産地はひとつひとつの農産物を手で計るという気の遠くなるような難行苦行が続きました。
そして多くの農産物、海産物が廃棄されたわけです。
これが2011年に現実に起きた史上最悪といわれる風評被害です。

今回の五輪中止は6割に達しますが、これも安心論による一種の風評被害だと私は思っています。

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東京五輪「中止」59%、「開催」39%…読売世論調査 : 世論調査

メディアは、コロナが止まらないのではないか、市民生活が元に戻らないのではないか、ワクチンが来ないのではないか、緊急事態がそのまま社会に定着するのではないか、遊ぶことも居酒屋にも行けず自宅軟禁の生活が続くのではないかなどといった、「漠たる不安」を煽っています。
少し情報力を持てば、ワクチンはこの数カ月以内にそうとうの範囲まで進み、それによって社会生活が急激に回復することは、見えてきているはずです。
野党などはこの「爆足る不安」をむしろ喜んで、一致団結してコロナを制圧して五輪を迎えようというのではなく、煽りに便乗して政局化しようとします。
おお、なんてさもしいブチハイエナみたいな連中だこと。

立憲の枝野氏はこんなことを言っています。

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枝野氏、五輪中止求める 「もう判断の先送りできない」 - 東京

立憲民主党枝野幸男代表は10日の衆院予算委員会東京五輪パラリンピックの開催について、「不可能と言ってもいい」との見解を示した。
 枝野氏は「私も見てみたい。奇跡的にここから感染が抑制できて、開催できることを期待している」とした上で、「今の日本の感染状況と、ここから3、4カ月の想定の中で、国民の命と健康を守ることとオリンピック・パラリンピックの開催を両立させることは不可能と言っててもいいんじゃないかと残念ながら言わざるを得ない。もう判断の先送りはできないタイミングだ」(朝日5月10日)

いつもながら、国民の不安を煽るしか能がない連中で、朝日も一緒に煽るなら、高校野球を中止してからにするんですな。

それはさておき、今のように迷う時期に必要なことは、比較衡量というリスク管理の手法です。
比較衡量とは、あることが起きてやるべきかやらざるべきか迷った場合に、どう考えるのかというツールです。
簡単にいえは、一つのリスクを取ることによって生まれるリスクが、することによってより大きくなるかどうか、で較べてみようという判定法です。
別な言い方をすれば、ひとつのことで得られるベネフィト(得)と、そのリスク(危険)のどちらが大きいのか、ひとつてんびん秤に乗せてみようという方法です。

たとえば福島事故の時に、除染基準を民主党政権は1ミリシーベルトという平時の基準値を当てはめましたが、そのことによって10年たっても元の居住地に帰還できずに、移住先で数千人の人が亡くなられているわけです。
家族はバラバラになり、仕事を失い、精神的、社会的に追い詰められ、結局そのストレスによってガンを患ったのです。
つまり、放射能による健康リスクと移住によるリスクの、どちらのほうが大きかったのか、という比較をしてみると、移住による帰還不能の事態のほうがより大きなリスクであったことがわかっています。
ならば、当時の国民の中にあった、かならずしも科学的根拠があるとはいえない放射能に対する「漠たる不安」を蒙を啓くことこそが、政府がするべきことだったと分かります。

話を戻しましょう。
放射能に対する「漠たる不安」も、豊洲に対する「漠たる不安」も、そして今回の五輪に対する「漠たる不安」も、みな根っこは同じこの「安心」から始まっています。
五輪に比較衡量を用いるならば、実施することによって得られるベネフィットと、やることによるリスクのどちらが大きいのか、較べてみるといいと思います。
やらないことによるベネフィットは、「国民の不安」が減ったというていどのことで、中止したからといってコロナはなくなるわけでもなんでもありません。

中止派は今の国民に広く偏在する不安心理や、緊急事態宣言によるうっぷんに便乗しているだけで、ワクチン接種の進行を度外視しています。
政府が、7月までには目鼻がつくと口酸っぱくなるほど説いても、聞く耳を持ちません。
まるで五輪をすると感染爆発するような空気を作ろうとしているかのようです。

しかしちょっとち考えれば判りそうなもんですが、五輪と感染拡大とはなんの因果関係もありません。
開催方式については、この2年間さんざんコロナ禍の中で関係者が頭を絞って運営方法を考え抜いてきているわけで、スタジアムがクラスター発生の原因になったという事例はなかったはずです。
唯一不安が残る外国からの客は来ないことになっていますし、外国選手団は派遣国が国威をかけて厳重に管理してくるはずですから心配いりません。

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一人ひとり行動変容を」 感染防止へ住民に訴え―小池都知事・緊急事態

ところで、私も非常事態宣言に対して批判的です。
ただしそれ自体ではなく、これを国が管理しなかったことに対してです。
むしろ非常事態宣言が問題にされるべきは、国がきちんと基準を統一せずに、個々の自治体に丸投げしてしまったことです。
国が国の責任において国単位でかけるべき性格のものを、その判断と実行主体を地方自治体に丸投げしてしまったために、自治体の能力によって大きく差が出てしまいました。

これは与党の改憲項目に非常事態法が入っているために、コロナで国が主体となることに対して野党の反対が予想されたために、実施を急いでいた政府があらかじめ紛争の種を取り除いてしまったからです。
そのためにワクチン接種ひとつにしても、スムーズに実施を開始した優秀な自治体と、何をやっているんだというボケ自治体に色分けされてしまいました。

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新型コロナ ワクチン先行接種始まる|愛媛新聞ONLINE

これも本来なら、国が主導して、①ワクチンの確保、②予約システムの構築、③接種といった流れを一括して、システム設計し、指導すべきでした。
ところがここでも自治体に丸投げしたために、能力の落差が出ました。
スムーズに予約できた自治体がある反面、電話がダウンしたり、PCや携帯からアクセスできない自治体が多く出ました。
こんなていどでシステムダウンしてどうするんですか。
アクセス集中するのは予測可能でしたし、民間のゲームやコンサートなどではこのていどは日常茶飯事です。

給付金にしても、役人が一枚一枚手で集計して確認作業をするために、遅れた自治体も多く出ました。
これは年金消失問題で露呈したように、自治労が頑迷にデジタル化に反対し続けてきたツケを、いまになって国民が払わされているのです。
国がやっとこのデジタル化の遅れを深刻に受け止め始めた所に起きたのがコロナでしたから、対応がズレズレになりました。
マイナンバー推進が不徹底のまま、各種のコロナ対策給付金や接種予約問題が湧きだしてしまったわけです。

国は一生懸命にワクチンを確保して、自治体に送ることまではできても、その後は自治体任せです。
その自治体ときたら優秀あり、ボケありですから・・・(ため息)。
神戸市のように歯医者でも打てる、講習で一般人ボランティアでも接種の打ち手になれるというくらいしなければ、いつになっても1億2千万人の接種は進みませんよ。
こういう本来国が前面に立つべき時期に裏方に回ってしまったのです。
もう一回このコロナ禍を経て、国のあり方をかんがえてみる必要があるでしょう。

しかしこういうことがあっても、今の情勢はワクチン接種が行き届く前段であって、オリンピックがこれを加速する役割を果たすことはうたがいえません。
また目の飛び出るような巨額の違約金が発生するだけではなく、中止になどすれば国際社会において日本の地位が低下するのは避けられません。
したがってあえてテンビン秤にかけるまでもなく、オリンピックはベネフィットのほうがはるかに大きく、リスクはミニマムですから、絶対にやるべきなのです。

このようなことを考えると、「コメントする気」さんがいうように、「安全、安心なオリンピックのために、根拠も曖昧なまま、緊急事態宣言を繰り返しているのであるなら、まさにオリンピック利権を守って、国民を捨てているとすら思えます」という言い方、はあらぬ方向を叩いています。
緊急事態宣言に対する怒りはごもっともですが、それと五輪はなんの関係もありません。
宣言に対する怒りを、筋違いの五輪に向けているだけのことです。

また「緊急事態による経済損失」といいますが、これと五輪中止による違約金発生とを同列に並べるのは無理です。
だってゼンゼン別次元ですから。
五輪をやることによってコロナ対策が加速するポジティブな効果は見込めますが、中止論者が言うような「国民の生命を危険にさらす」ようなマイナスの効果はありません。

枝野氏がいうような「並行して開催不可能」どころか、ワクチン接種が一定ひろがった開催時期にはまったく可能です。
このような議論は、ワクチンがいきわたらず、いつまでも国民が放置されているというメディアの煽りが原因で発生していますから、あるていど行き渡った数カ月後には雲散霧消しているはずです。
今の気分で先行きを決しないこと。

「庶民にとって大事なのは、たかだか数週間のお祭りごとではなく、日々の生活」というのも、よく意味がわかりません。
五輪は国家的、かつ国際的に極めて重要な祭典ですから、「たかだか数週間のお祭りごと」ではありませんし、「それをぶち壊しておいて、オリンピックを祝う気持ちになどなれる筈がないではない」なんて言われても、そりゃあなたの勝手です。
結局、あなたが言っていることは、オレは祝えないという個人の思い以上でも以下でもないのです。
個人の思いを他者に伝えるためには、それなりにロジックとファクト&エビデンス(事実と証拠)を積み上げて納得してもらわねばなりませんが、あなたはそれを省いてしまったので、なにを言いたいのかわからなくなってしまったのです。

それ故、私をズレていると決めつけ(多少そのけはありますがね)、「生活基盤が農業なのか商業なのかによるのかもしれない」などと、言わずもがなの一節で締めてしまったのです。

 

2021年5月10日 (月)

五輪開催とコロナ対策は矛盾しない

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オリンピック反対を「運動」にしたい人たちがいるようです。
昨日はとうとうデモまでしたとか。

「東京オリンピック開催に反対する有志による抗議デモが9日、メイン会場である国立競技場(東京都新宿区)の前で始まった。参加者は「生活を守れ」や「医療が優先」などとシュプレヒコールを上げながら「東京五輪反対」を訴えた。  国立競技場では陸上競技のテスト大会が開催されており、競技場からのアナウンスや音楽が聞こえる中、参加者はマイクを通じて思いを述べた。  欧米や韓国などのメディアも取材に訪れて関係者をインタビューする姿があり、海外からの関心の高さをうかがわせた。(毎日5月10日)

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五輪は中止だ」新国立競技場周辺でデモ

なんでも、「国民の7、8割がもう五輪は無理だと思っている。誰のため、何のためにやるのか? おカネや政治が理由なら本当にやめてほしい」(東スポ5月10日)と話したそうです。
たぶんかつて安保法制などの時に国会前に繰り出した人たちが、新しいガソリンを見つけたってことでしょう。
実際に、この連中は「共謀罪ハンタイ、辺野古ハンタイ」と叫んでいた人らです。
ちなみに立憲は共産党に歩調を合わせて反対のようで、泉政調会長が国会質問で中止と発言しています。
それにしても、オリンピックに反対すれば票になると思っている立憲がスゴイ。

しかしなにを今さら、日本に選択肢はないんですよ。
私は1年前から東京五輪はそうとうに難しいが、いまは回避できない以上やるしかない、と言い続けてきました。
※関連記事『東京オリンピックはやると決めたらやる』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-a449ae.html

この反対派の女性は「カネや政治のためにやるのか」なんて言っていますが、いったいいくら日本はこの時点で開催放棄したらムシリとられると思っているのか、わかって言っているんでしょうかね?
去年3月に私はこう書いています。

「だいじなことをわすれちゃいませんか、仮に出来ないとした場合、どこがその費用負担をすると考えているのでしょうか。
日本なんですよ。いや、正確には「言い出した者」が払うのです。
日本が「無理ですから中止はよして延期してください」なんて言おうもんなら、ハイその請求書は日本に届けますからね、ということになります。
反対にIOCが「こりゃ無理だ」と言い出せば、IOCに請求書が回ります。
いや、ちゃうちゃう中止じゃなくて延期だからといっても同じです。
延期しても、たとえば米国のテレビ会社がガッチリ払って押えている膨大な放映権料を払うのは、「言い出した者」が全額負担するのです」

カネ、カネって汚いもののように言いますが、現実にいま中止すればどれだけ違約金を取られるのかわかっているのでしょうか。
放映権料は既にIOCが受け取ってポッポに入れ、それだけで1200億円です。
さらにスポンサー企業から膨大なカネを受けとっていますから、これだけで「目もくらむような」巨額に達するはずです。
これに違約金を数倍乗せて(たぶん3倍は常識ですが)請求してきますから、一説3兆円規模と言われています。

スポーツ関連の法的問題弁護士の早川吉尚氏はこう述べています。

「日本が中止を決定した場合、待っているのは多額の損害賠償金だ。五輪関連の法的問題やスポーツ法に精通する早川吉尚弁護士(52)は「IOCと開催都市契約を交わしているのはあくまで東京都であり、日本(国)ではない。東京都が義務を履行しないと決定した場合は、損害賠償責任を果たさなければならない」と話す。
「開催都市契約書」には中止した場合の賠償金額などの記載がないことから一部では「支払わなくていい」との指摘もあるが、早川氏は「契約書に特別な条項がなくても、契約上の債務不履行があれば賠償責任は発生する。契約とはそういうもの」と断言した。
 その額は計り知れない。IOCはすでに米テレビ局NBCから五輪の複数大会分の放映権料をまとめて受け取っており、東京大会分は約1200億円にも上る。
 早川氏は「少なくとも放映権料分の損害は東京都に賠償責任が発生することになるだろう」とした上で、IOCがスポンサーに対して返金義務や損害賠償義務を負うケースにも言及。「究極的には東京都が(IOCに代わり)賠償責任を負わざるを得なくなる可能性がある。(最終的に)目もくらむほどの金額の賠償責任を負うことになる可能性が高い」と結論づけた。(東スポ5月10日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0ed6f4c0eececdcec31db5af1c0a8138a6ab275

ハンタイする人は、IOCの開催都市条約を読んだことがおありでしょうか。これがトンデモの不平等条約なのです。
ここには明瞭に中止ないしは延期した場合に、誰が責任を負うのか記してあります。

●五輪開催都市契約
 東京都オリンピック・パラリンピック準備局(Adobe PDF)
https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/taikaijyunbi/taikai/hcc/index.html
●開催都市契約2020
9
IOC に対する請求の補償と権利放棄
a)
開催都市、 NOC 、および OCOG による補償: 開催都市、 NOC 、および OCOG は、 IOC 、IOC テレビジョン・アンド・マーケティング・サービス SA ((※注 IOC の子会社) 、第 54 条 a 項にて詳細が定められるオリンピック放送機構 OBO 、およびその役員、メンバー、理事、従業員、コンサルタント、代理人、弁護士、受託者 IOC 、各国の国内オリンピック委員会、およびオリンピック 大会組織委員会の スポンサー、サプライヤー、ライセンシー、および放送機関などとその他の代表者 以下、「 IOC 被補償者 」という を、以下の事項に起因して、直接または間接を問わず、 IOC または IOC 被補償者 が被るすべての損害、申し立て、訴訟、損失、費用、支出 外部弁護士の報酬と費用を含む 、および/またはあらゆる性質の責任 人または財産への被害を含む これには、 IOC または IOC 被補償者 が第三者 オリンピックのスポンサー、サプライヤー、ライセンシー、放送機関などを含むが、これらには限定されない に支 払うべきすべての費用、収益の喪失および損害賠償を含む 以下、総称して「 本件申し立て 」という から、常に補償し、防御し、かつ害が及ばないようにし、また免責する。

これを読んでまだなんの賠償も来ない、「ぼったくり男爵」の異名を持つIOCのバッハがニコニコ笑ってしょうがないでしょう、と言ってくれると思ったなら、あなたは天使です。
IOCには免責特権があります。
つまり、スポンサーなどから損害賠償を請求された場合、IOCは一切の責任を逃れ、日本側が賠償金を負担しなくてはなりません。
完全にIOC優位の片務的な契約なのです
よくもまぁこんなもんを、JOCと東京都(当時猪瀬知事)が呑んでしまったもんです。
こんなもんを結んでしまったら、その時点で負けです。

そもそも中止について、当該国のオリンピック組織委員会に裁量権はありません。
あくまでもJOCjとIOCが「協議できる」だけのことで、それも戦争や内乱などの「予測できない不当な困難」が起きた場合にかぎられます。

五輪開催都市契約 71
●予測できない、または不当な困難
本契約の条項により、
OC OG に影響する本契約の締結日には予見できなかった不当な困難が生じた場合、 OCOG はその状況において合理的な変更を考慮するように IOC に要求できる。 ただし 、当該変更が、 本 大会または IOC の何れに対しても悪影響を与えず、さらに当該変更が、 IOC の行使する裁量に委ねられることを条件とする。 IOC は、当該変更につき考慮、同意または対応する義務を負わないことが理解され同意されてい
る。

「不当な困難」とは、まさに今の新型コロナの世界的感染爆発などが該当するでしょうが、この場合IOCに当該国オリンピック委員会に「変更を要求できる」ことはできますが、IOCに「同意する義務はない」としています。
どこまでも責任を追わないIOCの無責任体質は「不当な困難」の時期にも一貫しているのです。
もちろんそれで生じる損害賠償請求については、前述どおり開催都市契約9項に則りIOCは免責されるのはいうまでもありません。

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この開催都市契約を読む限り、日本には打つ手はありません。
中止などは論外で、延期をIOCと協議して延期してもらうことは可能ですが、相手が契約書を振り回して免責を叫ぶと、日本の負けは必然で、金銭的損害賠償やその他もろもろの不利益は一切合切日本が被ることなります。
おまけに戦後最大級の恐れが出たコロナ不況、そしてわが国のみがオリンピック延期をかぶるとなると、もうメも当てられません。
国民の士気は落ちまくり、復興にも大きな陰りを落とします。
中止だ、勝った勝ったといっているのは、メディアと左翼の皆さんだけです。

それにしてもこのハンタイ派の人らの言うことに従って中止した場合、3兆円と想定される巨額賠償金を誰が払うんでしょうか。
一義的には主催都市の東京都が払うべきでしょうが、さすが裕福な東京都でも耐えきれません。
そんなことをすれば、コロナの補償を払う財源が一気に枯渇しますから、小池女史が払うはずがありません。
東京都が返上を言い出したら都が払うことになりかねないから、小池女史は、政府に中止を言わせたがっているのです。

その場合、結局、政府が払うことになるでしょう。財源はなんです。もちろん税金です。
賠償金以外の後始末で1兆円くらい持っていなければならないでしょうから、暫定予算でも組むしかありません。
「貧乏人のために中止しろ」なんて言っていますが、結局貧乏人の私たちが払うのですよ。

コロナ対策か五輪か、国民の安全か、ゼニカネか、という立て方の二分法がそもそもオカシイのです。
五輪運営するには、いま以上の速度で国民に対するワクチン接種を進めねばなりません。
いま、政府が大規模会場で接種する人を拡大してワクチンをしようとしているのは、もちろん国民の健康と安全のためですが、同時にそれぬきで東京五輪開催などありえないことを政府がよくわかっているからです。
感染初期に緩かった入国制限も、今は隔日の感があるほど強化され、それは大会期間中も継続されるはずです。
うんざりさせられる緊急事態宣言のたびたびの延期も、感染を制圧できていない都市での開催などありえないからです。

五輪とコロナ制圧は矛盾することではなく、やることはまったく一緒なのです。
ですから五輪かコロナ対策かではなく、五輪対策もコロナもやることは同じ。
いやむしろ五輪でコロナ対策は加速されこそすれ、減速することはないのです。

 

2021年5月 9日 (日)

日曜写真館 全力で立つ空びんに薔薇の花

254

薔薇園の逢魔が時や風の止む 稲岡達子

195

思ひ出を重ねて赤き薔薇を見る 稲畑汀子

261

イギリスの神経質な白薔薇 能城檀

066

制服の少年まぶし薔薇の門 江頭信子

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散るもあり蕾もありて薔薇の園 笠原フミ

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一本の薔薇を挿したる不安かな 山尾玉藻

2021年5月 8日 (土)

米国の顔を立てただけの日韓外相会談

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バイデンになって一番心配されたのは、同盟関係の修復を名目にして、せっかくいいかんじに仕上がってきた日韓関係をいじりまわされるのではないか、ということです。
ご承知のように、日本と韓国は目下順調にデカップリング・プロセスの最終行程に入っています。
日本は韓国が反日に固執し続けるかぎりは、一切の外交関係を断つつもりでいます。
ただそのように言わないだけのことで、言えば激烈にワーワー言うだけでは済まずに、米国に泣きついて介入を求め、日米関係まできしむとやっかいですから黙っているだけのことです。
もし日米関係の枠がなければ、日本はもっとすっきりと大使引き上げくらいには踏み切っていたはずですからね。

ましてや今の外相は、輸出規制管理強化で韓国のあざとい裏切りの手口を熟知している茂木氏ですから、なおさらのことでしょう。
茂木氏は韓国の手の内を知り尽くしています。
日本の立場は「戦略的シカト」で、ムン政権が続くかぎり日本から見れば「韓国などとという国はない」のです。
まぁ、勝手にひとり相撲をやっていろ、というところですかね。

そのシカトの徹底ぶりは、韓国大使は日本に来てもかんじんなカウンターパートである外相と面談することすら拒否されており、日韓会談は開かれる様子もありませんでした。いったいなにしに来ているんでしょうか?
ちなみに、うちの国の駐韓大使も同じ境遇のようです。

その理由は

「茂木氏がこれまで、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相との電話会談さえ受けなかったのは「韓国が解決策を示さない中で外相同士が原則を言い合っても意味がない」との考えからだ。ただ、5日の日米韓外相会談後には、ブリンケン氏の顔を立てるように鄭氏との個別会談に臨んだ。約20分間の初顔合わせは、想定通り平行線をたどった」(産経5月6日)
https://www.sankei.com/politics/news/210506/plt2105060022-n1.html

つまり、もう出先の外交官でどうなるという段階じゃなくなっちゃったんですね。

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日韓外相会談」の発表でも微妙に食い違う外務省(日本)と外交部(韓国

その日本が韓国との外相会談を受けたので驚いた方もいるでしょうが、なんの顔を合わせてもニコリともしませんでした。

「ロンドンで1年3か月ぶりに開催された日韓外相会談は「史上最悪の日韓関係」と言われている現況を反映し、とげとげしく、冷やかなものであったと、韓国のメディアでは報じられている。
 韓国の外相が今年2月に前任の康京和氏から鄭義溶氏に替わっての初の会談だったが、茂木敏充と鄭義溶外相は初対面にもかかわらず、握手はおろか、肘合わせ挨拶もしなかった。また、公式会談であるにもかかわらず会場には国旗も掲げられていなかった。
 配信された写真をみると、両長官は硬い表情で正面を見つめ、記念写真でも強張った姿勢でポーズを取っていた。会談時間も短く、僅か20分で終了した。こうしたことから事前に十分に協議した上での会談ではなく即席の会談であったことが伺い知れる」(辺真一5月7日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/pyonjiniru/20210507-00236676/

日韓友好をひたすら願う辺氏の情けなそうな顔が目に浮かびますが、会場には国旗すらなくやっつけの会談だったことがわかります。
所要時間20分ですから、通訳の行って帰ってで半分消えますら正味10分にすぎません。何話せって言うんでしょうか(笑)。
同時期にあった日英外相会談は2時間半。しかもブレークタイムには立ち話で意見交換までしています。
当然外相級会談であるべき事前の事務方の詰めもありませんから、共同声明はおろか発表内容すら食い違っている始末です。

辺氏がピックアップした日韓外相会談の発表の相違点を見ておきましょう。

●日韓外相会談の発表の相違点
総論
・日本側発表
「両外相は北朝鮮への対応を始め、地域の安定にとって日韓・日米韓協力が重要であることを改めて確認するとともに、両国間の懸案を含む2国間関係について意見交換を行った」
・韓国側発表
「 北東アジアと世界の平和と繁栄のため緊密に協力する必要性に共感し、韓日関係を未来志向で発展させることに意を同じくした」
●慰安婦問題について。
・日本側発表
「日本の一貫した立場に基づき、改めて韓国側に適切な措置を講ずることを強く求めるとともに、旧朝鮮半島出身労働者問題に関し、現金化は絶対に避けなければならないとして韓国側が日本側にとって受入れ可能な解決策を早期に示すよう改めて強く求めた」
・韓国側発表
日本側の主張である「適切て処置を講ずること」や「現金化は絶対に避けなければならない」の発言は削除。
韓国側の「日本側の正しい歴史認識なくして過去史の問題が解決しないことを強調し、慰安婦及び強制動員被害者関連の韓国側の立場を説明した」のみ強調。
●福島処理水の海洋放出について
・日本側発表
「ALPS処理水に関し、今後とも必要な情報提供等を継続していく旨述べた上で、最近の韓国政府の対外発信に懸念を表明した」
・韓国側発表
「福島原発汚染水の放流決定が周辺国との十分な事前協議もなく行われたことに深い憂慮と共に反対の立場を明確に伝えた」
「汚染水の放流は韓国国民の健康と安全、さらに海洋環境に潜在的脅威を及ぼすとして(この問題には)非常に慎重にアプローチすべきであると強調した」
●北朝鮮問題
・日本側発表
「北朝鮮問題での日韓の協力の重要性が確認された」
・韓国側発表
「北朝鮮問題については朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着に実質的な進展をもたらすため(日韓は)協力する」

とまぁ、こんなかんじで、韓国は「未来志向の関係で日本から同意を取り付けた」と演出したかったようですが、日本は淡々と約束を守れ、処理水放出で嘘を国際社会に言い散らすな、と釘を押しただけのことのようです。
日韓の未来志向ですか、もはやブラックジョーク。

こんな無意味かつ無内容な外相会談をしたのは、ひとえにブリンケンの顔を立てたからです。

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日米外相会談、北の非核化へ連携で一致…米は拉致問題即時解決へ協力

「北朝鮮政策の内容に加え、同盟国の結束を重視する米国が日韓の仲裁役を買って出ることも懸念材料として浮上した。ブリンケン氏はオバマ政権の国務副長官として日米韓の協議を主導した経験もあるだけに、非核化という大局のため日本に妥協を迫る可能性も否定できなかった。 ただ、慰安婦問題やいわゆる徴用工問題で国際法や日韓合意をほごにする韓国に対し、日本が譲れる余地はない。
 茂木氏は機先を制した。就任直後のブリンケン氏との電話会談や3月の対面会談で「安全保障に影響が出ないよう3カ国の連携はしっかりやる。その代わり韓国との問題は日本に任せてほしい」と繰り返し念を押した。外務省幹部は「米国は日本の立場を理解している。こちらが困ることは言ってこない」と語る」(産経前掲)

ブリンケンはオバマの頃にケリーの下で、国務副長官として日韓関係の修復をした経験があります。
いわゆる慰安婦合意ですが、2015年に北の非核化の為に三カ国連携は不可欠だから、日本は折れろと言ったのが、他ならぬこのブリンケンだと伝えられています。
ケリーのほうは、韓国政府にいつまで歴史にこだわっているんだ、と机を叩いて妥協を迫ったとか。

ですから、その慰安婦合意を韓国が一方的に瓦解させたことも、しっかりわかっていなければ嘘というものです。
いやホント、二国間でやらずに米国をかませてよかったとつくづく思いますよ。日韓二国でやったら目も当てられない。
日本は完全履行したにもかかわらず、平気で嘘をつく、約束を破る、そしてそれをすべてこちらの非であるかのように外国に触れて回るんですから、たまったもんじゃない。

さて今後ですが、日本は建前上はブリンケンに茂木氏が言ったように「安全保障に影響が出ないよう3カ国の連携はしっかりやる」ふりはするでしょう。
形骸化していようと、いまだGSOMIAは生きていますから、細い糸電話くらいは日韓で通じているとはいえるのです。
ただし、ムン閣下は、いかなる意味でも北を非核化させる気はなく、むしろ北の核を完成してもらって南の戦略原潜に搭載したいくらいに思っているのは明らかです。
そしてその核ミサイルの標的は東京です。
つまり、韓国はもう既に寝返っている裏切り者国家なのです。

こうした状況を踏まえるならば、日本が日米韓三カ国連携をやると言うのは、まだ韓国のほんとうの正体をわかっていない米国さんの顔をたてただけのことで、積極的に壊しにいく気はありませんよ、というだけのことです。
トランプはその鋭い直感で韓国の正体を見破っていましたが、ジジはおろかブリンケンすらわかっているのかいないのか。
ですから、わが国としては、全体主義との戦いのほんとうの最前線が既に朝鮮半島から台湾海峡と尖閣に移ったことをむしろ米国にはっきりと認識させねばなりません。

まぁ、ジジも気がつき始めてはいるようで、ワクチン・スワップ(なんじゃこれ)を結びたいと言ってきた韓国をにべもなくこう突っぱねています。

「(国務省プライス報道官は)ワクチン供与はカナダ、メキシコとQuadと協議中だ――。伝染病が流入しやすい隣国と、中国包囲網たるQuadに参加する日豪印を優先する、とプライス報道官は明言した。ワクチン外交が安全保障政策の一環であるとの姿勢を隠さなくなったのです」(鈴置高史5月6日)
「韓国へのワクチン供給は後回し」と公言した米国務省 バイデンがQuadから逃げ回る文在寅にお灸 | デイリー新潮

でしょうな。

2021年5月 7日 (金)

「チーム日英」結成される

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日英同盟(Japan-Anglo Alliance ) が事実上締結されました。
もちろん、正式にはなんらかの条約を締結し、議会の承認を経てからのことですが、枠組みは出来上がっていると見るべきです。
ウェルカンバック、ブリテン!
かつて日本は英国と同盟を結ぶことで国際社会に参加し、そしてこれに反対した米国によって戦争への道を歩むことになりました。
日本は日英同盟と共に勃興し、その終了とともに地獄に落ちたのです。
岡崎久彦氏が草葉の陰でうれし泣きしていることでしょう。

 「ロンドン 3日 ロイター] - 英国を訪問中の茂木敏充外相は3日、ラーブ英外相と戦略対話を行い、貿易や安全保障面での連携強化で一致した。
ラーブ外相は、アジア海域への英空母派遣に触れ、アジア地域へのコミットメントを強調。また、英国の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への参加に対する日本の支持に謝意を示した。
外務省の声明によると、両外相はさらに「経済安全保障、先端技術、医療、科学など、共通の利益かつ専門知識を共有できる分野での連携強化」についても意見交換した」(5月4日ロイター)

なんと2時間半に渡る長時間会談だったようで、儀礼的なものではなくそうとうに気合の入った意見交換があったようです。

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日英外相が会談 貿易交渉や香港情勢で連携確認 - 産経

外務省から要点について、プレスリリースがでています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/we/gb/page4_005313.html

●日英戦略対話 外務省プレスリリース
・ラーブ外相から、英空母打撃群の日本寄港を含むインド太平洋地域派遣について説明があり、茂木大臣から、英空母打撃群のインド太平洋地域への展開は英国の同地域へのコミットメントを象徴するものであり、同空母打撃群の日本寄港を歓迎する旨述べました。 

・両大臣は、防衛装備・技術協力やサイバーセキュリティを含む経済安全保障についても意見交換を行いました。 

・ラーブ外相から英国のTPP11加入申請について言及したのに対し、茂木大臣から改めて歓迎する旨述べました。 

・両大臣は、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及び弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄の実現に向け、安保理決議の完全な履行が不可欠であることを改めて確認しました。また、茂木大臣から、拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を求め、ラーブ外相から支持を得ました。 

・両大臣は、新型コロナ対応におけるWHOを含む多国間主義の重要性及びWHOによる検証・改革の重要性を改めて確認しました。茂木大臣から、日本が6月にGaviと共催予定の「COVAXワクチン・サミット」に向けて英国の協力を求め、ラーブ外相から支持を得ました。

 スゴイですね。TPP加盟からコロナ、サイバーセキュリティ、北の核と拉致から中国の人権と軍事膨張、そして目玉はやはりQE空母打撃群の日本寄港です。
ほぼすべての日英の案件が話合われた濃いものとなりました。
李克強あいてにケチをつけた茂木さんですが、英語はネイティブ並ですし、あのクールなスタイルは英国と相性がよかったことでしょう。
首脳級の会談は、会談そのものは事前に9割9分事務方が詰めて文書化しているものです。

ですから、ほんとうに重要な話は、むしろふたりしか聞いていないコーヒーブレークの立話の時にさりげなく行われます。
なんせ通訳も入れませんし、ノンレコードですから、そうとうに危ないことも言い合う場合があるそうです。
ワイン片手にこちらのほんとうに言いたいことをジョークまじりでしゃべることができたら、外相合格。
ヨーロッパの首脳レベルは、携帯で意見交換しているのですから、そのくらいできないと日本は国際社会からおいてきぼりになります。
安倍さんの強みの秘密はここにもあったのです。

それはさておき、この時期、ラーブ外相はG7外相サミットのホスト国として目の回るような忙しさだったはずですから、ここで2時間半も時間を割くということの重要さを、私たち日本人も感じるべきです。
つまり、英国にとっての主賓はわが国だったのです。

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G7、5月3日から英で外相会議 2年ぶり対面形式: 日本経済新聞

更にこの日英会談と同時に、G7外相サミットも開かれています。
G7サミットの前哨戦となるG7外相会談は首脳によるG7サミットの下準備で、これで決まったことがそのまま使われることになります。
今回の外相サミットのテーマは、一にかかって中国ロシアの脅威に自由主義陣営が厳しく対処すことでしたが、こちらに関してはまだまだ煮詰まってはいません。

たしかに中国に関しては名指しで人権侵害問題に強く言及し、「われわれは恣意的かつ威圧的な経済政策や慣行に直面する中で、世界経済の体制強化に向け共同で取り組んでいく」と宣言し、台湾が世界保健機関(WHO)の年次総会や世界保健総会に参加することに支持を表明したことは一歩前進です。
また、中国のなりふりかまわぬ台湾海峡の行動を、「緊張激化につながり得る一方的な行動」としました。 
これは日米共同声明とほぼ同じ文言であり、たぶん日米英が入れることを要求し、欧州がそれを共有したのでしょう。

外相サミットの焦点は、あくまでも台湾の扱いに尽きたはずです。
いままで中国をワンチャイナとする国際合意がガッチリ作られて、そのうえチャイナマネー欲しさが加わって、台湾は国際政治の孤児でしたから、WHO総会に招聘するというのはいいのですが、ではそれで肝心の台湾防衛にG7が合意できたかといえば微妙です。

これは外相サミットが、台湾海峡の緊張を深めている中国を批判しつつも、「両岸の緊張」という表現に止めていることでわかります。
「両岸」とは、日米共同宣言にも使われた表現でしたが、これは大陸と台湾をひとつとして見るというニュアンスがあります。
つまり、これは中国の主張する「一つの中国」(ワンチャイナ)を前提とした表現なのです。
台湾を正しく認知し、相応の外交関係を復活させない限り、台湾防衛は絵に描いた餅になりかねません。
つまり「地図にない国」である台湾を守るということになってしまいます。

このワンチャイナに対してわが国も腰が大いに引けています。
わが国は台湾有事は日本有事であるとして、「重要影響事態」に指定するとしていますが、まだ個別的自衛権の枠内で対処しようとしています。
これは台湾と正当な外交関係が存在しないためで、本来は台湾と相互防衛協定を結んで共に対処すべきなのです。
それが台湾-与那国-宮古-沖縄まで含んだ大きな地域防衛に必要なはずです。
ところが、それが今の日本にはできません。

米国からして、台湾関係法があるので有事には支援することは間違いありませんが、ストレートだったトランプに対してバイデンはあいかわらず「戦略的曖昧さは大事だ」などと言っています。

「米ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)でアジア政策を統括するキャンベル・インド太平洋調整官は4日、米国が台湾防衛の意思を明確にすれば「重大な不都合」が生じると述べ、従来の「戦略的曖昧さ」を維持すべきだと主張した。
 キャンベル氏はオンラインイベントで、米中双方には台湾問題で現状を維持することがそれぞれの利益にかなっているという認識があると指摘。「(従来の方針を転換して)戦略的鮮明性を打ち出せば、幾つかの重大な不都合が生じる」と語った」(ロイター5月5日)

これも同じことで、台湾と国交を結べば、中国が「神聖不可侵な領土を犯された」として台湾侵攻に走るのではないか、ということを恐れています。
だから、現状維持でなぁなぁにしておこうという「大人の知恵」で対処し続けてきたのですが、これが今の中国に通用するかです。
たぶん、もうむりです。もう中国は一線を超えてしまったのです。
トランプは次の一手として台湾との国交回復をし、同時に台湾への米軍配置も検討したはずでした。
それをバイデンは、また元のオバマ時代に戻してしまったのです。

そしてさらにEUに至っては、もっと利害関係が薄い分、距離を開けているというのが実際です。

「【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)のオンライン外相会合は19日、EU共通のインド太平洋戦略を策定する方針で合意した。総括文書で、EUの利益を守るため、この地域の「戦略を定め、存在感や行動を強化する」狙いを表明した。
 総括文書は、中国の海外進出を念頭に、「法の支配」を守る重要性を強調。インド太平洋での安全保障や防衛について、地域のパートナー国との協力を進める意欲を示し、サイバー攻撃やテロ、組織犯罪などの課題を挙げた。
また、英仏に続いてドイツ、オランダが今夏、インド太平洋にフリゲート艦派遣を計画していることを踏まえ、EU加盟国が「インド太平洋に艦船を派遣することの重要性」を確認。「航行の自由」の原則を維持し、海洋安保への監視を行うことの意義を明記した。人権問題や地球温暖化対策、貿易をめぐる地域協力の推進も打ち出した。
総括文書は、中国についての直接の言及を最小限にとどめ、「多国間協調」を打ち出す内容になった。EUではハンガリーやギリシャなどが中国との経済協力を重視しており、中国を刺激することを嫌ったためとみられる。EU戦略の具体策については、ボレル外交安全保障上級代表が9月、文書で提案する見通し」(産経4月19日)

EUは仏独が艦隊派遣をするなど、ひと頃の無関心状態からやっと抜け出したようですが、昨日の記事でもふれましたがEU内には中国の一帯一路とワクチン外交によって中東欧やギリシアなどの親中国諸国が多数生まれてしまっています。
彼らはEU市場だけが魅力でついてきているだけで、中国を刺激するのだけは避けたいというのが本音です。
だから、EUあるいはNATOとしてはなかなかまとまらず、仏独の単独参加になってしまったようです。
EUでは昨年までに、フランスやドイツ、オランダがインド太平洋戦略を発表し、EU共通の戦略については、来年前半にEU議長国となるフランスが策定に強い意欲を示しているのでまだわかりませんが、いずれにしても親中派諸国との綱引きになることでしょう。
というわけでなかなかスキッといきませんが、日英がしっかりしていればバイデンも着いてこざるをえないし、日米英が結束すればフランスもまた従うと思い定めましょう。
とまれ「チーム日英」ができたのは大きいことです。
まずは日本がシャッキリすること。それが第一です。
※「日英同盟締結」はオーバーだったので、「日英チーム」に改題しました。

2021年5月 6日 (木)

世界を飲み込む有効率5割の中国ワクチン

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中国ワクチンを大量に受け入れたブラジルでは、こんなお笑いの一幕があったそうです。

「ブラジル経済のかじ取りを一手に握るゲジス経済相は27日の閣僚会合で、録画されていることに気付かず、中国が新型コロナウイルスを「発明した」と主張した上で、中国製ワクチンは米国製よりも劣っているとこぼした。 発言は各メディアを通じて拡散。 ワクチンを中国に頼る政府は火消しに躍起となっている」
(時事4月28日)

おお、「中国が発明した」ですか。言っちゃいましたね。
どうしてこんなことをブラジルの大臣が言うのかといえば、要は効かないからです(笑)。
中国製ワクチンの有効性が低すぎることは、実は中国CDC自身が認めています。

中国疾病管理センターのガオ・フー局長は、中西部の成都市で開かれたカンファレンスの場で、新型コロナウイルスに対するワクチンの有効性が低いとの認識を示した。フー氏は「現行のワクチンがあまり高い有効率を有していない問題を改善してゆく」と発言した。
現在のワクチンは高い有効率を持っていない。予防接種プロセスに異なる技術ラインの異なるワクチンを使用すべきかどうか検討中である゛と述べている」(AP4 月11日抜粋)

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中国の新型ウイルスワクチン、分かっていることは? - BBCニュース

中国CDC(←米国CDCのネーミングのパクリですが)すら低い有効率を認め、他の技術に置き換えることを検討しているわけです。
実際に、ファイザーやアストラゼネカが90%以上の有効率を示す臨床データーがあるのに対して、中国ワクチンは50%から、良くて70%の有効率を持つにすぎないようです。

「一方で中国では現在、集団接種用に5種類のワクチンを使用しており、各製造元は有効率を50%から79%と公称している。香港ヘラルド紙はファイザー製ワクチンの感染予防面での有効率が97%となっているのに対し、中国シノバック製は50.4%であったとの数字を伝え、有効率の低さを問題視している」(ニューズウィーク4月21日)

メーカー公称で50%なんですから、いったい実体はどんだけなんだよ、とつっこみたくなります。
ブラジルの研究チームによる有効性の臨床データーもでていて、これがなんと50.38%という箸にも棒にもかからない数値だったことに、ブラジル当局が仰天しました。
これならビタミン注射でもしたほうがまし。

「ブラジルの研究チームは12日、中国バイオ医薬品会社の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発する新型コロナウイルス予防ワクチンを巡り、後期臨床試験(治験)で示された有効性が50.38%だったと発表した。従来の発表からは30ポイント近く低い数値となった。シノバックのワクチンを巡っては、治験の透明性に対する懸念が強まっていた」(ォールストリートジャーナル1月21日)
https://jp.wsj.com/articles/SB11810575344700754897204587217793363360110

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ニューズウィーク ブラジルにおける中国ワクチン接種風景    

ところが中国ときたら、めげることなく既に大量に世界に中国ワクチンを供給してしまっているうえに、有効率が50.4%と報告されたシノバックに至っては増産のために工場を大規模拡張しているようです。


「シノヴァクの会長は中国国営メディアCGTNの取材で、新たに建設した敷地面積2万平方メートルの新工場で、毎年3億回分のワクチンを生産すると説明した。
他のワクチンと同様、シノヴァクのものも2回の接種が必要なため、1年に1億5000万人にワクチンを供給できる計算になる。これは中国の人口の10%強にあたる」(BBC1月15日)
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-55657280


中国はワクチン外交を国策化しています。

「アナリストらは、中国がこれらのワクチンでワクチン外交の競争に勝とうとしているとみている。習近平国家主席は先に、アフリカ大陸に20億ドル、中南米諸国に10億円のワクチン融資を行うと発表したと報じられた。ただし、どのような契約内容になるかは明らかになっていない。
MERICSのアナリスト、ジェイコブ・マーデル氏はABCニュースの取材で、「中国政府は確実に(中略)この救命技術から商業的・外交的利益を得ようとするだろう」と語った。
「中国はこれらの国が心底ほしい物を持っているし、ワクチン供給を慈善活動として印象付けようとするだろう」

特に中国が狙ったのは、中東欧諸国や南米、アフリカでした。

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ウォールストリートジャーナル  中国からベオグラードに到着したワクチンを迎えるセルビアのブチッチ大統領(1月16日)

「欧州連合(EU)が新型コロナウイルスワクチンの調達につまずき、欧米のワクチンメーカーが生産障害に直面する中、一部の欧州諸国は中国のワクチンに頼ろうとしている。そうした動きは、コロナ禍と闘う上で信頼できる同士として売り込もうとしている中国にとって、欧州での影響力を強める追い風となる可能性がある」(WSJ2月16日)

ワクチンという武器を用いて中国がやろうとしているのは、EUの分断です。
この交渉は中国政府が一元管理しており、商談の席に登場するのも製薬企業ではなく中国政府の役人でした。

「アナリストは、中国はそれにより、米国と影響力を競っている地域で優位に立てる可能性があるとみている。
欧州の当局者によると、中国側はワクチンメーカーではなく、政府が欧州の買い手との交渉を主導している」(WSJ前掲)

EU加盟27カ国分のワクチンを調達する役割を担うEUは、これまでにドイツ、米国、英国で開発された3種類のワクチンを承認していましたが、購入契約の締結や接種の承認に後れを取っている隙を狙うかのように中国がすり寄りワクチン供給の約束を取り付けました。
このことにより、ヨーロッパは国力が弱い諸国から次々に中国に陥落していくことになりました。

「ハンガリーは先月、EU加盟国として初めて個別にシノファームのワクチンを承認し、2月から4月までに500万回分を接種する計画に着手した。チェコも同じような計画を検討している。EU域外でも、セルビアが欧州で初めて中国のワクチンを使い始めたほか、モンテネグロと北マケドニアも2月中に中国製ワクチンの接種を始める計画だ。 一部欧州諸国の当局者によると、中国は契約締結後数日以内に100万回分のワクチンを当初分として出荷できるとしている。それに対し、欧米メーカーによる供給開始は契約後数カ月かかり、欧州では出荷も遅れている」(WSJ前掲)

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中国はワクチンを外交的武器に使うために、国内向けを意図的に遅らせて、外国に優先的に供給しています。
このへんは全体主義国家でなければ不可能なことで、自国の14億の民を放っていわば飢餓輸出をしようというのですから、民主主義国でそんなことをしたら次の選挙で倒れます。

「米国やEU諸国がまず自国民へのワクチン接種に全力を挙げているのとは異なり、中国はワクチンを世界に広く供給する考えを示唆していた。習近平国家主席は昨年5月、ワクチンを「世界の公共財」にすると語っていた」(WSJ前掲)

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いうまでもなく中国が国内向けを遅らせ、国外に盛大にバラ撒いたのは、ワクチン外交というと聞こえがいいですが、こっちの水は甘いぞ、ウェルカム一帯一路のためです。
すでに中国の植民地になりかかっているアフリカは軒並みチュウゴクワクチンに制圧されましたし、かねがねベネズエラのように食指を延ばしてきた中南米地域にも積極的なワクチン供給をしています。
特に南米の大国ブラジルが、中国ワクチンの城下に組み込まれたことは、コロナ後にも大きな政治的影響を残すはずです。

もちろん中国は慈善事業で無料配布しているわけではなく、法外な価格で売りさばいていることが分かっています。
なんと欧米ワクチンのモデルナが3700円見当なので2倍弱です。

「中国製ワクチンの価格は明らかになっていないが、BBCの取材班は今年初め、浙江省義烏市での接種事業で、注射1回が約400元(約6400円)だったことを確認している」(BBC前掲)

このように中国は、自由主義陣営を分断し、中華共栄圏に組み込む外交的武器としてワクチンを使っているだけではなく、しっかりと巨富を懐にしました。
ワクチンはひと粒で二度おいしい商売でだったわけです。

「アナリストらは、中国がこれらのワクチンでワクチン外交の競争に勝とうとしているとみている。 習近平国家主席は先に、アフリカ大陸に20億ドル、中南米諸国に10億円のワクチン融資を行うと発表したと報じられた。 ただし、どのような契約内容になるかは明らかになっていない。 MERICSのアナリスト、ジェイコブ・マーデル氏はABCニュースの取材で、「中国政府は確実に(中略)この救命技術から商業的・外交的利益を得ようとするだろう」と語った」(BBC前掲)

もちろん中国は外交ウェポンとしてのワクチンであることを自覚していますから、欧米のものをディスる情報を流しています。
それがEUで発覚し大問題に発展しました。
このディスインフォメーション作戦にはロシアも加わって、ならず者連合を形成している構図は、ここも一緒のようです。


「欧州連合(EU)は28日に公表した報告書で、ロシアと中国が政府系メディアなどを通じ、新型コロナウイルスの欧米製ワクチンやEUのワクチン戦略への信頼を損ねるための「偽情報」を発信していると指摘した。
自国製ワクチンを提供し世界各国への影響力を高めようとするロシアと中国の「ワクチン外交」に「情報操作が組み合わされている」と分析。 警戒感を強めている。
報告書は昨年12月からの動向が対象。 欧米製ワクチンの副反応について事実をゆがめて扇動的に報じるなどした偽情報が、ソーシャルメディア上でさまざまな言語で拡散しているという。
ロシアに関しては、ワクチン絡みの偽情報を1月以降に100件以上確認。 EUの欧州医薬品庁(EMA)を標的にし、ロシア製ワクチン承認を「全力で遅らせようとしている」と批判する報道もあったほか、ロシア政府高官もEUへの「敵対的な発信」を行っているとした。
中国は欧米のワクチン「囲い込み」などを非難しつつ、自国製ワクチンの入手しやすさを強調。 途上国やEU加盟を目指す西バルカン地域により適したワクチンだと主張しているという」(時事4月29日)

このように一気に世界を制覇するように見えた中国ワクチンは、肝心な有効性に大きな黄色信号が灯り、その政治的意図が露になろうとしています。

 

2021年5月 5日 (水)

ワクチンの効果についてのよくある誤解について

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オリンピックをやるな、という論調が出てきています。これが左サイドからなら特に目新しくもないのですが、保守系の論客まで口にするとなると、あれあれというかんじです。
長谷川幸洋氏が、先日のニッポン放送の飯田浩司のOK! Cozy up!でこんなことを言っていました。
バッハ会長の来日で、感染拡大に歯止めがかからない日本側と中止の相談があるはずだ。ワクチンがあるという意見もあるが、接種が遅れているうえに、自分の知り合いでも接種したが感染してしまった人も知っているから、解決にはならない。中止すべきだ。
大意、こんなところです。耳で聞いただけですので、不正確な点はご容赦を。

ふー、あんたもかい、長谷川さん。
ひとことでいえば、ワクチンに対する無知です。
長谷川氏は言及していませんでしたが、これにきっと変異株が出てきているから、今のワクチンでは効かないという不安論もつけ加えておきましょうか。

長谷川氏はワクチンについて根本的に考え違いしているのです。彼はワクチンを特効薬かなにかと混同しているのではないでしょうか。
ワクチンははゼロリスクにするための特効薬ではなく、限りなく感染を抑制するためのものでしかありません。
ですから特効薬が登場するまでの期間は、ワクチンで感染拡大を阻止することで時間稼ぎをして特効薬の登場を待たねばならないのです。
※「時間稼ぎ」という表現は代用品というニュアンスがあるので削除しました。

長谷川氏は、オレの知り合いは打ったが効かなかったなどとひどく経験主義的なことを言っていますが、馬鹿ですか。
ワクチンに対する素人考えの典型でしかありません。
いいでしょうか、ワクチンは確率論なのです。ここが大事です。
ですから、いかなるワクチンも一定の「効かない人」が生まれてしまいます。
検査は白か黒か、効くか効かないかの二分法ワールドではなく、罹る確率を減らしていく性格のものなのです。

イスラエルは、現在世界でも一番ワクチン接種が進んでいる国で、国民の半数がファイザー製のワクチンを接種しています。
イスラエルは報告書の中で、ワクチンの有効率が95%という結果だったと述べています。
有効率95%という意味は、未接種者のうち100人に症状がでているのに対して、接種者では、5人にしか症状が出ていないということです。

では長谷川氏流にいえば、5人出たからワクチンなんか無意味だ、ということでしょうか。
違いますね。95人が感染しなければ、それは集団免疫が生まれたということになります。
集団の70%が免疫を持つと集団免疫を獲得したと考えますが、多くの人が抗体を持つことでウイルスは生きていく宿主を失っていきます。
するとウイルスは、人の身体がないと生きていけませんから、必然的に衰退していくわけです。

また新型コロナはコロナ類のウィルスでインフルエンザの親戚です。
軽症のうちは風邪に似た症状で、発熱などの症状が出ますが、重症化すると死亡率が高まっていくことがわかっています。
ですから、重症化率を減らすことが、死亡率を下げる決め手なのです。
ワクチンはこの重症化に対しても効果があります。

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新型コロナワクチンQ&A/広報たるみず4月号

鹿児島大学院大石充教授は上のグラフから、「ワクチンを接種した人は、抗体ができる21日目(接種から3週間後)を境にほとんど症状が出ていないことが分かります。これは、重症化を抑えられているということです」と述べています。

また一定の割合で生じる副反応について大石教授は心配するなと説明しています。

「副反応とは、「痛み」や「腫れ」、次いで「熱・咳が出る」反応です。また、じんましんなどの「アナフィラキシー」や、血圧低下や意識障害を引き起こす「アナフィラキシーショック」などもあります。しかし、これらの症状は、適切な処置を行うことで、大事に至ることはありません。
接種会場となる医療機関等では、それらの処置を行うための環境を整えていますので、過度な心配はされずに、インフルエンザのワクチンと同じようなイメージを持っていただいたらいいと思います」(広報たるみ)
http://www.city.tarumizu.lg.jp/kenko/kurashi/kenko/yobo/covid_2.html

また変異株が登場して感染拡大をしているというワイドショーが流布する不安について、免疫学者の峰宗太郎氏はそれもワクチンが決め手だと述べています。

「mRNAワクチンの有効性は論文で確認されましたし、我々がとるべき予防手段はこれまでとまったく変わりません。前にもお話ししましたけれど、ウイルスは「何もしなくても、そこら辺の空間で勝手に変異する」わけではないですよね。
増殖するときに変わる、つまり「子どもが生まれる」ときに変異が起こるのですが、その増殖はどこで起きますか。
ヒトの細胞の中でしたよね。
ということは、ウイルスにやっかいな変異を起こさせないためにはどうすればいいですか?
感染者を減らせば、変異が起きることも抑えられるのです。増えるときにしか変異できないのだから、増やす機会を減らせばいい。
つまり、「変異ウイルスだ、ワクチンが効かないかも」と騒ぐのではなく、 「ワクチンで感染者を抑えれば、変異も自然に起こりにくくなる」と理解するのが正しいんですよ」(峰宗太郎)
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/042600218/

ウィルスに変異株が出るのは当たり前で、ウィルス学者は当然だとしていますが、だから古いタイプのワクチンは効かないのではなく、変異を起こさせないためにあらかじめ体内に免疫を作っておけばよいだけのことです。

そして繰り返しますが、ワクチンは確率論であって、リスクをゼロにするものではないのです。
長谷川氏のように、誰それは打ったが効かないから意味がないというのは、ワクチンにゼロリスクを要求している発想なのです。

ワクチンは確保されていますから、GW明けから大規模な接種が全国で行われるようになるはずです。
長谷川さん、オリンピック中止論にワクチン無効論を重ねあわせるのは、タチが悪いですよ。

 

 

2021年5月 4日 (火)

「よくできている」日本国憲法

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 いきなりですが、私は日本国憲法というのはそれなりによくできたもんだと思っています。
GHQのタイピストのねぇちゃんまで動員して即席で作ったにしては、上出来です。
いうまでもありませんが、日本国憲法はメイドインUSAです。
特に秘密でもなんでもなく、バイデンすら「核を持てないように憲法をつくったんだ」なんて言っています。

の写真は、ミシガン大学アジア図書館に残されていた、GHQ案を執筆したアルフレッド・R・ハッシー中佐のメモです。
これが後に第9条と呼ばれるようになりました。

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これはマッカーサー・ノートといわれる憲法原案の一部で、ここにはArticle1(第1条)としてこう書かれています。


●GHQ案
Chapter II Renunciation of War
Article VIII War as a sovereign right of the nation is abolished. The threat or use of force is forever renounced as a means for settling disputes with any other nation.
No army, navy, air force, or other war potential will ever be authorized and no rights of belligerency will ever be conferred upon the State.

国権の発動たる戦争は、廃止する。武力による威嚇または武力の行使は、他国間との紛争を解決する手段としては、永久に放棄する。
陸軍、海軍、空軍その他の戦力は、決して認められることはなく、また交戦権も、国家に対して与えられることがない。

ね、まんま憲法9条そのままでしょう。いちおう比較のためにジャパンバージョンも並べておきます。

●憲法第9条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

ここでGHQがやりたかったことは、占領統治体制の永続化です。
ズッと米国に頼らねば生きて行けない日本を作ろうとしたわけです。
当時の米国も、やがて軍事占領を終了して「独立」させねばならないことくらい分かっていましたから、日本に主権を回復させた後でも日本の戦後の国体を縛ろうとしたのです。

ここで米国が日本政府の名前で出させた憲法は、ひとことでいえば、米国なしでなにか考えるんじゃねぇぞ、ということです。
すべてその発想でできています。
日本は日本国家の大元である(国体といってもいいですが)天皇の地位を守るために、すべてを捨ててしまいました。
戦争の放棄、交戦権否認、戦力不所持などは、米国の軍隊がなければありえないものでした。
つまり、日本は人類の高貴な理想たる「戦争の放棄」というロマン主義に酔うためには、日本国中に在日米軍を受け入れねばならなかったわけです。
なんのこたぁない、表向きは戦争放棄だなんだといいながら、世界最大の軍隊を受け入れ、その世界戦略の一部になることで戦力の不所持ができたのです。

これってそうとうに嘘っぽくありませんか。日本人の困った時の得意技、本音と建前の二重底です。
表面では「戦争を知らない日本人」を演じながら、実は米国に多くの基地を貸し出して、それを国の守りの根幹の中にビルトインしているんですから、したたかというかズルイというか。

やや乱暴な言い方をすれば、この二重底構造をスッキリ本音と建前を一つにして作り直せというのが改憲派で、スッキリ自衛隊はなくせ、米軍は出て行けというのが護憲派です。
もっぱらこの9条を舞台にして半世紀以上喧々ガクガクの戦いが繰り広げられてきました。
私自身は前者に近いものの、実際には無理だとかんがえていました。

しかし、ちょっと待てよ、憲法9条だけを見ないで、憲法全体をよく観察するとスゴイ構造になっているということに気がついたのが、篠田英朗外語大教授でした。
篠田氏は、平和構築学と言ってPKOなどの国際平和活動を研究されていた方ですが、彼の新釈憲法学は実に面白いものでした。
まず篠田氏は戦争放棄という概念が、戦後憲法の専売特許くらいに吹聴してきた護憲派に対して、こう冷やかに切って捨てます。

「戦争放棄は日本国憲法が初めて宣言したものではなく、日本はすでに1928年不戦条約に加入したときから、自衛権行使以外の戦争の放棄を宣言していた。日本が新奇な戦争放棄の理念を導入したわけではない」(篠田英朗 『ほんとうの憲法』)

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 逆に日本は戦前、「国境の実力による変更」をしてしまったために、自らこの条約を破ってしまったわけです。
先の大戦は自衛権では説明しきれないもので、植民地解放理念を接ぎ木しました。
保守派は後者を崇高な理念として、それで大東亜戦争すべてが説明できるとしますが、私はそうは思いません。
今の目で見れば、当時の日本がやったことは「国境線の実力による変更」と「国際法への挑戦」だからです。

したがって篠田氏は冷厳に戦後憲法は、国際法遵守への復帰だとします。

「日本が国際法を破って侵略行為を繰り返したために、日本に国際法を遵守させるために導入したのが日本国憲法だ」(篠田同上)

ここで大東亜戦争が侵略か否かに拘泥しないで下さい。
大事なことは、いかなる理由によろうとも、当時の日本が戦前の国際社会と国際法の枠組みに挑戦したということであって、植民地が解放されたのはその結果でしかありません。

さて国際社会は、戦前のような国際秩序の崩壊がおきないようなスタビライザーを仕込みました。
それが国連憲章にある集団的自衛権です。

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国際連合憲章 | 国連広報センター

「第2次世界大戦後、国際法体系は、国産検証の成立によって、戦争違法化の流れをさらに強化した。その動きと表裏一体の関係にあるのが、集団安全保障である。集団安全保障の補てん策として設定されたのが、個別的・集団的自衛権である」(篠田同上)

日本国憲法はこの国連憲章に対応しています。
意外に思われるかもしれませんが、9条1項の戦争放棄は国連憲章2条4項の武力行使の一般的禁止と照応しています。

●国連憲章2条4項
すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/unch.htm

国連憲は冒頭の第1条1項に、領土保全と政治的独立」に対する「武力による威嚇」を禁じると言っているわけで、日本国憲法が「世界で唯一の平和憲法」だなんて、ただのナルシズムです。

憲法前文が、この国連憲章第2条4項と同じ「平和思想」で書かれていることに注目下さい。

●憲法前文(抜粋)
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

ここで憲法前文が言っているのは、護憲派好みの寝ぼけた平和主義ではなく、「国境線の実力による変更」、すなわち侵略行為に対して「平和を維持」し、独裁政権による民族絶滅政策などの「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去することを努め」ることで、「国際社会の名誉ある地位を占めたい」と宣言しているのです。

憲法前文が、憲法全体の理念を語るものだとするなら、これを指針にして9条も読み解かれねばならないのです。
ですから、日本が放棄したのはあくまでも侵略としての軍事力であって、自衛権としての防衛力はむろんのこと、さらには「専制と隷従、圧迫と偏狭」に対して戦う国際社会と協調して共に戦う軍事力はまったく否定されるどころか、むしろ「名誉ある地位を占めたいと思う」とまで言い切っているのです。

これは国連憲章の第1条1項の「目的」に対応します。

●国連憲章第1条1項
国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。

3月28日、虐殺を続けるミャンマー国軍に対して山崎統合幕僚長が各国の軍トッ プと共同声明をだしています。
その内容の一部にはこうあります。

およそプロフェッショナルな軍隊は、行動の国際基準に従うべきであり、自らの国民を害するのではなく保護する責任を有する。

これは画期的な自衛隊自らの宣言です。
いままで自衛隊は国際法上の「プロフェショナルな軍隊」として、各国軍隊のトップと連名で共同声明を出すことによって「専制と隷従、圧迫と偏狭」に対して戦う国際社会と協調して共に戦う「名誉ある地位を占めたい」という立場を鮮明にしました。

このように見てくると、私は実に日本国憲法は「よくできている」と思うわけです。
極論すれば、このままでも改憲せずに充分にやっていけるとさえ思っているくらいですが(異論はあるでしょうが)、いかんせん一般的にはわかりにくい上に、護憲派の神話的解釈がはびこっているために、若干の手直しは必要かなとは思います。
ですから、改憲といってもそのまま9条を残してもなんらかまいませんし、それに自衛隊を書き加え、さらに緊急事態条項を添えればよい、という安倍加憲案は考え抜かれたものだと思います。

 

2021年5月 3日 (月)

ワクチン接種進展を無視するオリンピック中止論

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今、左サイドの人たちはなにがなんでもオリンピックを中止に追い込みたいようで、先日見た週刊誌ポストなんか巻頭からドーンと、「東京五輪はインパール作戦。一億全滅」ってテンション上りまくりのことを絶叫していました。一億全滅だってさ、スゴイね。
メディアは日本政府は一億全滅するのが分かっていて、インパール作戦の牟田口よろしく、イザ進めぇって叫んでいる、という構図を煽りたいみたいです。
しょーもない連中だこと(ため息)。
メディアにかかると、菅さんと小池知事が、どちらか先に中止カードを切るかで舞台裏でバトルしている、という具合になにがなんでも政局化したいようです。

「今の調子でいけば、苦しむ自国民を見殺しにしながら「負け戦」へとつき進む「日本の狂気」を全世界に見せつけるだけになりそうだ。  アスリートやその家族、関係者、そして五輪ファンの方たちには大変申し訳ないが、東京五輪への「逆風」がシャレにならないところまできている」(窪田順生4月29日『大逆風の東京五輪、「中止カード」を先に切るのは菅首相か小池都知事か』)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1d5ee129483d689bbb0b72a6328b50c1dfd71a49

政局化したいのは、小池さんくらいなもんじゃないですかね。
女史の手法は常に「敵を作って自分は悪玉退治のジャンヌダルクに納まる」ことです。
今回はインパール作戦突入を命じる菅政権に対して、国民の安全・安心を大義にして反対の狼煙を上げ、この7月の都議選で大勝し、国政に華麗に転身するくらいのことは考えているかもしれませんね。

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新型コロナ: 小池都知事、緊急事態宣言の内容「国と協議中」: 日本経済新聞

その意味で、橋下徹氏がこう言っているのは、小池女史に限っていえばそのとおりでしょう。

「コロナの状況を見ていると出来るのか?とみんな思っている。それが頂点に達したところをとらえて、小池さんはいち早く無理だという発言をされるんじゃないか。そういうのは天才的能力があると思っている」 ( 同上)

天才的かどうかは知りませんが、小池女史がせこいポビュリスト政治家なことは証明済みです。
なんせ「安全安心」などという共産党都議団とまったく同じセリフで、築地移転を1年半も遅らせ、五輪道路の着工を滞らせるなんて不祥事をした人ですからね。
そして終わればチャラッとしているんですから、見上げたものです。
今回もワクチン打っても、「安全だが安心ではない」なんて言いかねません(あー想像できる)。
こういうタイプの政治家は、国民感情のネガティブな感情を増幅してしまいますから、東京五輪について「中止するべきだ」39.2%、「再延期するべきだ」(32.8%)、計72%(4月12日共同通信世論調査) が後ろ向きという空気を敏感に吸い取って、増幅して吐き出します。
そして自分が作った混乱を自分で煽って、混乱を拡げていきます。

神奈川県知事をダマしてまで緊急事態宣言を出せだせと政権をつついたのですが、なぜ宣言をかけるのかについて科学的な証拠を提示しませんでした。
この時期、本来首都の行政官がすべきなのは、国民を落ち着かせることに尽きたはずです。
分かりやすく事実と証拠を提示して、国民を納得させることが、行政官の最低限の努めでした。
少し前ならコロナ病床の増加でしたが、いまは飲食店やイベントをはじめとして、経済をより自由に回すには、結局ワクチンの接種率を上げていくしかないんだ、というコンセンサスを作らねばなりません。

そしてこの現状へのうんざり感を払拭するためにこそワクチン接種なのだ、という筋道を国民に明らかに示さねばなりません。
ワクチン接種への道のりの中で、この宣言があるのだということを周知させる必要があるのです。
ただ漠然と感染者数が増えているから、またまた緊急事態宣言だ、ではダメで、こういう出し方をするから後手後手感が生まれてしまうのです。

この人ときたら、肝心な理詰めの説得の部分を飛ばして、すぐに政局化したがるから困ります。
おおかたこの国民のもやもやとした不満を、五輪開催拒否に向けさせたいんだなんてことが見え透いてしまいます。
自分の仕出かした隔離病棟や無症状者隔離宿泊施設の準備不足・コロナ用の病床の逼迫・偽造数字による世論操作なんていう大チョンボを隠蔽できますからね。

逆に菅氏にとってのメリットはゼロです。
ここまで日程が詰まってきて、聖火リレーをやっているような時期に、中止の要請などIOCに出せるはずもないし、匂わすことすらできないはずです。
そんなことができたのは、せいぜいが去年の夏から秋くらいまでのことで、あの時期なら再延長して24年のパリの代わりに東京が、という選択肢もないわけではなかったでしょうが、今となっては遅すぎます。
今仮に中止にしてしまえば、今までに費やした膨大な予算や人的資源がパーになるばかりか、日本の国家としての信用が大打撃を受けてしまいます。
野党やメディアは、いまや五輪中止にまとまっていますから、これに屈したことになり、菅氏の再選などはもちろん軽く吹き飛び、衆院選も後退するでしょう。
そんなカードを、菅氏が切ると思うほうが異常です。

頭、冷やしなさい。
まず、最大の難点は外国からの観客の来訪によって新たな変異株が侵入することでしたが、すでにこの3月受け入れはしないことに決定していますから、このリスクは排除されます。

「国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)、東京都、東京2020組織委員会、国の5者が2021年3月20日、リモート協議を行い、東京2020大会における海外観客の日本への受け入れ断念で最終合意した。日本側が安全・安心な大会を実現するために海外在住者の受け入れ見送りを報告し、IOC、IPCが了承した」(3月31日朝日)
https://www.travelvoice.jp/20210321-148429

IOCが違約金がらみで中止にウンというわけはありませんし、そもそも今の米国やインドでやろうというなら中止論も現実味を帯びますが、世界主要国で2桁少ない感染状況の日本が止めさせてくれっていっても、通じるはずがありません。

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峰宗太郎 クリックすると大きくなります。出所Our World in Data

米英の感染拡大は、ワクチン接種でブレーキがかかったものの、今でも決して安全圏内に入ったとはまるでいえないのです。
やっと日本並になれたか、なれないかていどのレベルです。
言い換えれば、英米のようにワクチン開発を国策で資金を大量投入して緊急開発し、看護師以外も打てるようにするなどの規制緩和をしなかったらいまのような驚異的な接種の進展はなかったわけですから、いまでも地獄の一丁目にいたことでしょう。

想像したくもありませんが、英米の国内死亡者はとてつもない数に登り、国内経済は再開できずに失業者が積み上り、いつまでも国境を開くことができないために貿易量が制限され、人の移動も阻まれることになります。
さらに、この外出さえ自由にならずにリモートを強いられるために、人々は分断されて鬱屈した感情の穴蔵に閉じ籠もります。
これがある意味で、一番怖い国民的鬱病の罹患です。
これは日本も英米より軽症だっとはいえ、同じ現象が起きました。

つまり今の時期にワクチンの接種率が低い国は、すべてにおいて後れを取ることになるが故に、ワクチン接種こそがすべての鍵なのです。
オリンピック中止と叫ぶ人たちは、このワクチン接種が開催までどれだけ進むかということを忘れています。

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ワクチン実用化大詰め 米ファイザー月内使用申請も: 日本経済新聞

前回も書きましたが、GW明けには大量にワクチンが到着します。
またモデルナのワクチンにも早期に承認が降りて、国内生産も開始されるめどがたっています。

「政府は、米バイオ企業モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの製造販売について、5月21日にも承認する方向で調整に入った。認められれば、米製薬大手ファイザーのワクチンに続き、2例目となる。
 国内の臨床試験や流通を担当する武田薬品工業が、3月に厚生労働省に承認を申請していた。政府は医薬品の審査期間を短縮する「特例承認」を適用する。先行審査していた海外の臨床試験データに、国内の臨床試験データを加えて最終的に判断する。(たャ区)
モデルナ製のワクチンについて、政府は2500万人分の供給(計5000万回)を受ける契約を結んでいる。6月までに2000万人分が、7~9月に500万人分が供給される予定になっている」(5月1日読売)
https://news.yahoo.co.jp/articles/041f06ae7a44877733199974f36a4639dbc549fa

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日本でコロナワクチンの接種始まる、まずは医療従事者4万人 | nippon.com

また接種体制についても、感染がひどい東京、大阪を念頭にして傾斜接種が行われるようです。

「政府はワクチン接種を迅速化するため、自衛隊の医官や看護官を活用して5月24日から東京と大阪に大規模な集団接種会場を開設する。会場では、米モデルナ製を使用する方針だ。1日1万人規模の接種を目指しており、約3600万人の高齢者の接種を7月末までに終えたい考えだ。

やっと平時の国ニッポンのエンジンがかかってきたようですので、腰が上がるまでは遅いがいったん回りだしたらスゴイわが国の現場力を信用しましょう。
その行方を見てから、オリンピックをやるのやらないのと騒げばいいんじゃないでしょうか。

 

2021年5月 2日 (日)

日曜写真館 これが今注目のマスティンです

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これが今東シナ海と南シナ海で、中国と張り合っているDDG-89マスティンです。

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マスティンは横須賀を事実上の母港にしています。今や世界で一番忙しい軍港になっています。

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笑い顔がキュートな水兵さん。乗員380名ですが、女性が大変に多いのに驚きます。

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見上げる城のような艦橋構造物。イージス艦特有の重厚さで、圧倒されます。

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右に白く見える楯状のものがイージス艦の象徴AN/ SPY-1D(V) 多機能レーダーです。

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見学は、艦尾からヘリ格納庫に入って、この狭い通路を経てブリッジにたどり着きます。

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MKMk.45 mod.4 5インチ単装砲です。ラッキールーシーという名前がついているそうです。

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 こちらが主力武装のMk.41 mod.7 VLS(ミサイル垂直発射装置) 。96セル装備されています。

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いつになっても変わらない海軍。海軍は暖簾の古さが自慢です。

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中国空母遼寧の輪形陣を軽く破って、すぐ脇を航行するマスティン。ブリッグス艦長はのんびり。
つい先日は揚子江河口付近まで出ばったとか。今、一番中国から憎まれているのがこのマスティンです。

 

 

2021年5月 1日 (土)

GW明けから6月にかけてワクチン接種はメドが立ちます

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今日は珍しく新型コロナについて考えてみます。もう書きたくなかったのですよ。
皆さんもそうだと思いますが、辟易しているのですよ、この私も。なんせ2年目ですからね。
よもや今年の花見もGWも、こんなお通夜みたいな春が二回続くとはおもわなんだ。
小池女史は夜には灯火管制するとか。
メディアはせっせと「ワクチン後進国」なんて煽っています。
いつものことですが、この連中は国民の不幸が嬉しくて嬉しくてたまらないようです。
国民の不幸はメディアの蜜。

さて今後ですが、このままは推移するはずがありません。
そもそも、わが国のワクチン接種が遅れ遅れになっている原因はなんなのでしょうか?
わが国が新型コロナを世界各国で飛び抜け防いでこれたから、製薬会社から後回しにされたのです。
だいたい3カ月遅れです。

現在ファイザーは日本に大量の在庫を出してくれています。
なんせ首相がファイザーのトップと直談判したのですからね。
こんな成果をなんで報道しないんだとおもいますが、メディアにとって国民にとっていいニュースはバッドニュースだからでしょうかね。

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峰宗太郎

河野さんがくどいほど言っていますが、ブツは押えてあるのです。
これれだけ感染が少ないのに、ファイザーの出荷実績はイギリスと日本が圧倒的だそうです。
今まで域内があまりにひどいので出し渋っていたEUも日本向けの承認に踏み切りましたから、欧州で感染再爆発なんてことにならない限り、GW開けから週に1000万回分ずつ入ってきます。
さらに、5月中にはモデルナとアストラゼネカのワクチンも承認され、アストラゼネカのほうは国内生産も開始されます。
そうなれば一気に接種が拡がります。

一方接種体制ですが、当初は予防接種法に縛られて看護師しか打てなかったのですが、間口を拡げる規制緩和を急いでいます。
既に薬剤師が接種することが可能となりましたし、自衛隊も協力するといわれています。
すぐに政府はオリンピックのために急いでいるだけだ、なんて斜め読みする者がでますが、いいじゃないですか、それで早まれば。
とまれGW明けから6月一杯でワクチン接種の目鼻がつくはずです。

さて、メディアは言いたがりませんが、わが国は感染者数も死亡者数も桁違いに低いのです。

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NIPPON.com

米国や英国、インドとは天と地の違いです。
特にインドはクアッドとして国際的な救援を準備すべき段階で、このままでは中国ワクチンにすがりかねません。
ワクチン接種が完了したと伝えられるイスラエルさえ日本並になったていどです。
だから製薬会社は日本向けの順番を遅らせて、自国向けに集中したのです。
いわば優等生だから緊急度が低いと思われて、後まわしにされちゃったのです。

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特に米国の受けた傷は大きいものでした。

「ひとつの国で計50万人が1年と少しで亡くなったことになる。これは、第1次世界大戦と第2次世界大戦とヴェトナム戦争で亡くなったアメリカの戦死者の総数を超える」(BBC2月23日)

しかし米国はカウント8のダウンをいったん喫しながらも再び立ち上がり、一気に挽回を開始します。
英国もそうですから、この辺のアングロサクソンの強さには脱帽します。
在米のウィルス学者の峰宗太郎氏はこう述べています。

「感染抑制に「大失敗」した米国、英国がここにきて「大逆転」とも言えるような様相を見せているのも、初期の戦いで失敗したことが効いているのかもしれません。
どちらも「最初はぼろぼろだけど、後から圧倒的に勝つ」という戦い方をした国ですよね。
大失敗はしているんですが、諦めず、「最終的に勝てばいい」という、腹の据わり方というのを感じます。会社もそうじゃないかと思いますが、戦略があって、トップが本気で指導力を発揮して、国民の側に危機意識があると、状況は一変するんですね。
 トランプ大統領の時はなかなか接種が進まなかった(政権交代時で約1600万回)のに、バイデン政権になって「就任後100日以内に1億回接種」と宣言して、あっという間に達成したので「2億回」に繰り上げて、そして、92日目に2億回達成ですからね」
(峰宗太郎 『 GW明けに状況急変? ワクチン接種の「知らないと不都合な真実』)
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/042600218/

バイデンが100日以内に2億回ワクチン接種できたのは、トランプが下地を作っていたから可能だったにすぎませんから念のため。
とはいえ、峰先生の指摘はなるほどなと思います。
英米は初動で大失敗をして感染を拡げて死亡者を大量に出してしまったから、ワクチン政策を国を上げて推進したわけです。
それに対してうちの国は、初動で武漢発の第1波を抑え込むことに成功し、第2波もそこそこに乗り切ってしまいました。
去年の秋前の状況です。当時、私はこれで8合目まで登ったと考えていました。

「最初の分科会、専門家の委員会が世界に先駆けて「3密回避」、混雑した環境での飛沫感染を避けることが感染拡大防止に重要だ、という、経験と情報が積み上がってきた現時点から考えても正しい対策を見い出し、それを広めるという判断を行い、それに沿って対策が行われたこと、島国である程度閉鎖ができる環境であったこと、そしてなにより日本人の国民性などが幸いして、ある程度以上人との接触を自粛できたこと。これらが重なって、昨年の夏の第2波までを軽い被害で乗り切ることができました」(峰前掲)

ところがここで日本はいかにも日本人らしい失敗をします。
戦争もパンデミックも一緒です。
大戦では緒戦の勝利で喜びすぎて、その後の段階を構想しなかったためにエライ目にあいました。
勝った時に次の段階を構想して準備しないのです。

「個々の戦いを批判的に振り返るのも大切ですが、私は、「緊急事態宣言」という、お願いベース以上の強い方策(もちろん補償も含めて)を打てる環境整備、これをこの「小康」を得てかせいだ時期に用意できなかったことが、大きな失策ではないかと思います。
手持ちの対策で時間をかせいでいる間に、風呂に熱いお湯を入れる、強いブレーキを踏むための準備をすべきだった。
感染者が再び増えた際にどこの組織がどう動くか、そのために必要な制度は何か、国際対応、水際対策はどうするのか、といった、行政・政治面ではほとんど何もしなかったと思います」(峰前掲)

政府は緊急事態宣言という名前は強面で諸外国と一緒ですが、ズっとゆるやかな強制力を伴わない「お願い」で済ましました。
これは野党が憲法の緊急事態事項反対の含みもあって前例を作らせないつもりなのを見越して、政府が「自粛」してしまったからです。
また宣言の主体はあくまでも自治体首長なので、権限を丸投げされた自治体によって遅れが出ました。
ポーとしている某首長は、この時期に隔離病棟を増やしたり、看護師を根こそぎ動員することをせずにパンデミックにしてしまいました。
困った時の自衛隊頼みで、いつもはいじめ抜いていたのに救援要請する始末です。

そして科学的因果関係が立証されていないマンボーや自粛、緊急事態宣言でなんとかしようと思ったわけです。
自分がデタラメな病床数や患者数を出しておいて、緊急事態宣言発令しろと政府に迫ってた某首長もいましたよね。
最後にはデパート締めろ、外飲み禁止、自粛警察まで出す始末ですから、よーやるよ、なぜもっと前にできることをやっておかないんでしょう。
宣言を出すように政府に迫れば、悪いのは政府、一生懸命にやっているのは自治体というふうに見えますからね。

こんななんじゃら宣言などは、しょせんウィルスに対する堤防でしかありません。
根本的にウィルスを抑え込んだのではなく、感染を拡がるのを抑えただけですから、国民の負担といらだちを増やすだけです。
根本的には、国民の大多数が分かっているように、ワクチンを打ったなきゃ終わりません。
ですから、今自治体がするべきは、接種体制の準備と接種会場の確保、会場に行けないひとのための援護措置、その周知体制なのです。

しかし禍福はあざなえる縄の如しとはよく言ったもんで、この感染激発国の諸外国と比較して遅れたことにもいいことはありました。
反ワクチン運動が拡がらなかったことです。
一部の政府のやることにはすべて反対の皆さんは、ここで反ワクチン運動をブチ上げて政府を叩いてやろうと手ぐすね引いていました。
その目論見はワクチンが遅れたために滑りました。
根強い反ワクチン運動があったヨーロッパでも同じで、不発だったようです。

「欧州連合(EU)は28日に公表した報告書で、ロシアと中国のメディアが西側諸国の新型コロナウイルスワクチンに対する不信感を広めるために組織的に偽情報を流布しているとの見解を示した。
報告書によると、両国の国営メディアが昨年12月から4月にかけて、ワクチンの安全性に関する懸念を扇情的に伝えるフェイクニュースを複数の言語でオンライン上に流し、欧州におけるワクチン接種と死亡例との間に根拠のない関連性を持たせ、ロシア製および中国製のワクチンが優れていると示したという。
ロシアと中国はEU側の主張を否定している」(ロイター4月28日)

やっぱり反ワクチンのデマを流していた背景には、あのインチキワクチンを世界にバラ撒きたい中国がいたようです。
日本の場合、反ワクチン運動の出だしで、メディアはワクチンが遅れているのは政府の怠惰だぁという方向にそれてしまいました。
立憲なんて、総辞職したら枝野党首を戴いた臨時革命政府(違ったっけ)を樹立するんだなんてブチ上げていましたもんね(笑)。
こんなタコばかり言っているなら、選挙では共産党といっそ合体して立憲共産党にしちゃったら。

とまれ私たちはイライラすると自然抵抗力をなくすので、心穏やかに生きていきましょうね。

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