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2021年5月14日 (金)

いつも「超法規」でいいのか?

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よくも悪しくも超法規の国です、わが国は。
ワクチン接種に関して首相が、医師法を超越することを承知で、医師、看護師だけに限定せずに、医療関係リソースを全投入するという決断は、いうまでもなく超法規です。
ワクチン接種は医療行為に属しますが、今のペースで医師・看護師だけに限定すれば今年中かかってまだ終わらないかもしれせんからね。
一気に国民の7割に抗体を作って集団免疫を獲得しようとするのがワクチンですから、これでは間尺にあわないわけです。
医師会は後ろ向きで面従腹背の気味がありますから、いつまでも待っていられないと見切りをつけたのでしょう。
看護師会は協力に舵を切ったそうです。
よくNHKが報じる共産党系医療団体・労組などは、あいかわらずオリンピックも含めて接種にも非協力的でしょうが、これでおおむね態勢は整い、7月中に接種の山は超えるはずです。

こういう決断ができる凄みが菅さんだ、と褒めてやりたい気もしますが、緊急時に日本が超法規という方法ですり抜けることが、またもやはっきりしました。
緊急事態宣言にしても先日来同じことを言い続けていますが、政府は議論を回避して8分どころで実行段階に突入してしまうことが、今になって響いてきています。
病床や医療従事者、隔離施設の確保などは自治体が主導し、国は財政支援ですから自治体によってデコボコが生じてしまいました。
移動や外出制限に至っては、憲法が保証する私権の制限に抵触してしまうので、緊急事態条項がなければどうにもなりません。

私はだからこそ政府は勇気をもって発議しろ、と言っています。
これほど分かりやすく憲法論議ができる材料を目の前にしながら、あんなハンチクな緊急事態宣言をするから禍根を残すのです。
まぁ、今の野党やメディアのオリンピック中止論議を見ていると、軍靴の音が聞こえる、あの暗い時代に戻すな、なんていいかねませんからね。
ですから政府も急ぐのだから仕方がない、という気分はよくわかります。
ただしこれでは百年たっても、改憲なんできませんよ。

さて、先日政府は台湾海峡有事に関して対応の類型を出しました。

「台湾は沖縄県の尖閣諸島を含む南西諸島と近く、政府内では、台湾有事から日本への武力攻撃に波及する危険性が懸念されている。
有事が勃発すれば、米軍は台湾防衛のために反撃すると考えられる。この場合、まず想定されるのは、安保関連法の一つである重要影響事態法に基づき、自衛隊が米軍に対して行う燃料補給などの後方支援活動だ。
具体的には、台湾有事が「放置すれば日本への直接の武力攻撃に至るおそれがある」など、日本の平和と安全に重要な影響を与える「重要影響事態」に該当すると認定する必要がある。
事態がさらに悪化した場合、限定的な集団的自衛権に基づいて武力行使による反撃ができる「存立危機事態」に該当する可能性もある。これも安保関連法で可能になった。ただ、自衛隊法は、「日本の存立が脅かされ、国民の生命や権利が根底から覆される明白な危険がある場合」と適用要件を厳しく定めており、政府は慎重に検討するとみられる。
在日米軍基地を含む日本への武力攻撃が発生したか、発生する「明白な危険が切迫している」場合は、政府は「武力攻撃事態」に認定し、個別的自衛権に基づく武力行使で反撃することが可能だ。
これらの三つの事態での自衛隊の出動には、国会の承認が必要となる」(読売4月14日)

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台湾有事」から日本への波及懸念、自衛隊が取り得る行動は複数類型

本気でこんな類型に納まると、菅首相が思っているとしたら、失礼ですが馬鹿です。
菅氏は黒光りするようなリアリストですから、たぶん終わるはずがないのは承知しているはずです。
ですから、いざとなればまたもや得意技となってしまった「緊急時の超法規」で乗り越えようとしているようにみえます。

この有事類型で、もっとも現実離れしているのは、有事が勃発して米軍は台湾防衛のために反撃した場合、安保関連法の「重要影響事態法」を適用して、自衛隊が米軍に対して行う燃料補給などの後方支援活動をするという部分です。

まずはこの重要影響事態法を押えておきます。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000060

●重要影響事態法
第一条 この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「重要影響事態」という。)に際し、合衆国軍隊等に対する後方支援活動等を行うことにより、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与することを中核とする重要影響事態に対処する外国との連携を強化し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。

ではなにができるのかといえばこんなていどのことです。

第3条
 後方支援活動 合衆国軍隊等に対する物品及び役務の提供、便宜の供与その他の支援措置であって、我が国が実施するものをいう。
 捜索救助活動 重要影響事態において行われた戦闘行為によって遭難した戦闘参加者について、その捜索又は救助を行う活動(救助した者の輸送を含む。)であって、我が国が実施するものをいう。

おいおい、です。
日本の平和と独立がおびやかされるような「重要事態」でも、できるのは米軍への燃料などの物品支援や米軍人の救難捜索だけだというのです。
燃料補給と救難捜索で独立が守れりゃ、なんとお得。
岸防衛大臣はわかっているでしょうが、こんな想定はただの絵空事です。

米軍は常日頃は「あいまい戦略」で、台湾を同盟国には位置づけていませんが、有事に関しては台湾関係法を発動します。
ここでいくらバイデンが懐手して傍観していたら米国の同盟重視という言葉はウソだったのか、ということになりますからね。
その場合、欧州と違ってNATOのような集団安保体制がなく、個別に米国をハブにしてできあがっているアジアの安全保障体制は一気に空文化します。

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台湾海峡危機で露呈した米国の本音 曖昧(あいまい)戦略の米国は尖

具体的に考えてみましょう。
中国が台湾を攻撃する場合、絶対的に必要なのは航空優勢です。
空域の支配権がなければ、台湾海峡を押し渡って大量の兵員や装備を台湾に送り込めませんからね。
ですからまず中国が仕掛けてくるのは、航空基地や政治・社会の重要インフラに対する航空攻撃とミサイル攻撃です。
台湾軍は米軍と共同してこれを迎撃することになりますが、問題は自衛隊です。

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上の地理的距離を見て、いや全部台湾域内で終わるさ、日本は米軍の後方支援だけに専念してればいいんだ、なんて考えている関係者はいないでしょう。
私は中国軍は、台湾の東側から侵攻するために与那国や宮古島を押えてくると思っていますし、横須賀から駆けつける空母打撃群を阻止するために尖閣周辺海域で阻止線を張るだろうと考えていますが、この場合はモロにわが国に対する軍事侵攻ですから立派な有事なので、とりえあえず今は置きます。

では、そこまで中国軍がしない場合はどうでしょうか。
台湾空域は、侵攻してくる数百機の中国軍機と台湾・米軍機で溢れます。
自衛隊機は台湾国境すれすれまで進出して戦闘空中哨戒(CAP)を行っていねばなりません。
平時と違って一回一回那覇からスクランブルをかける時間的余裕がないために、常時危険空域スレスレで待機するわけです。

仮に中国軍機が台湾軍機に追尾されて領空侵犯した場合、自衛隊機は平時のように警告をして翼を振って退去を求めるなどはしないでしょう。
紳士的な自衛隊ですから警告くらいはしたいでしょうが、混乱する戦場で、貴機は日本領空を侵しています。ただちに出て行きなさい、などといえるかどうか。

そりゃそうでしょう。
生命を張った空戦機動している時に、いちいち国境線など気にしていられませんし、今の空戦はマッハ1周辺(遷音速)で行われますから、1分間に約18キロも飛んでしまいます。
すると中国軍機は、たちまち尖閣はおろか与那国、宮古の上空に達してしまいます。
逆に、自衛隊機が中国軍機の射撃を受けた場合、その反撃で台湾領空にたちまち入ってしまいます。
また中国軍は、台湾と尖閣諸島などへのミサイル攻撃も大量にするはずで、その迎撃や発射地点への攻撃も実施されるはずです。
こういう状況で、自衛隊は後方支援に専念できたらそのほうが奇跡です。

ついでにいえば、こんな時に「国会承認」を得てから動くなんてありえません。
現代の空戦はコンマ秒刻みなのです。
中国軍機がミサイルを撃ってくる時に、パイロットが、「司令部、これは重要影響事態でしょうか、それとも存立危機事態でしょうか、至急防衛省に頼んで国会で審議してもらって下さい」なんて言えるはずがありません。
すると国会では「軍靴の音が」の皆さんは泣き喚き、山口センセは国会前で絶叫し、どっちにせよ決まるのは数カ月後。その時には終わってるって。
しかし、そういうことを求めたがる国なんです、うちの国は。

ですから、こういう状況では、日本はまたもや伝家の宝刀の超法規をするしかないのです。
そして事後にそれを認める法改正をするというわけですが、いいかげんこのパターンは止めませんかね。

 

 

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コメント

先日の遼寧と打撃郡らしき艦隊や爆撃機の行動を見ると、台湾海峡側だけじゃなく太平洋側からでも「いつでもどっからでも殺れんゾ!」という示威行動ですね。。
先に八重山諸島を抑えに来る可能性も否定できません。

「超法規」と言うと、「よど号」事件が思い出されます。
思えば、日本は、あの頃から何も変わっていないということですね。

台湾有事になった時に一番影響があるのは日本なのですから
その時に「アメリカさんお願いします〜」ではお話になりませんよね。
あくまで対等の立場で共闘しなければ向こうの保守派が黙ってないでしょう。
日本の防衛体制はまだまだ足りないものだらけですが
これまで無防備だったサイバー防衛の強化や重要拠点周辺の土地取得の制限などようやく安全保障に関してまともに向き合うようになってきたのは良い流れだと思います。

多くの国民が今回のコロナ騒動でいかに日本が非常事態に弱い社会だったか身にしみてわかったでしょうし
現実的な「ふつうの国家」に生まれ変わる気運がもっと高まる事を切に願います。

 世界はコロナ禍や中国の脅威に対応するために、強い(大きな)政府や国民国家化に向かっているのが潮流です。
経済第三位の日本はいまだに旧弊にあえいで転換出来ないでいるワケですが、菅総理云々ではなく、ひとえに自民党全体の体質的な問題だと思います。

自民党はこれまで野党に迎合してテキトーに地方分権なんかやってきていて、安倍さんなんかコロナ禍に対処するには「地方の権限増大が必要」などと、責任逃れにさえ見えるトンチンカンな事を言っていました。

こういう以前から硬直化した有様に嫌悪した考え足らずの私なんかが、かつて二大政党制を夢見て民主党に一票投じた間違いを犯しましたが、自民党はそういう国民の失敗のうえに胡坐をかいていると思います。

もっとも危険なのは、こういう時には必ずポピュリズム政治家が支持を受けるようになり、事態をさらに悪化させる事。

この問題は広範に問題の根が深すぎて一口でコメントもしずらいですが、最重要な課題です。

ちなみに、記事冒頭のワクチン接種資格者の拡大は政府決定(実施するかどうかは別)であるにもかかわらず、報道するメディアがありません。まったく、どうかしています。

「勝てば官軍、負ければ賊軍」ってコトバが、よく日本を表していると
思いますわ。法というものを厳密に守らないというか、ウヤムヤに
運用するのがキモになっているというか、旧関東軍も大本営の命令
に背いたので断罪されるかと思いきや、戦果を上げたので褒められた。

そういや現代日本経済の癌になってしまっている正規雇用者の解雇
禁止なんてのも、法的には明文化されていなくて、最高裁の人情的
解釈「(正規の)労働者はカワイソウ」による判例から来ているだけだ
そうです。今日、非正規雇用者をクビにするのならば、それはカワイ
ソウではないという解釈で、現にそれが大々的に行われている。

交通法規なんてのも、厳密に守ると渋滞しまくりになります。テキトー
に個人が、オマワリの目に注意しながら、弾力的に運転しているから
こそ、現実の交通は機能しています。開かずの踏切で完全一旦停止
なんて皆が遵守した日にゃ、もう踏切に飛び込みたくなるってもんで
すわ。

もっと遡れば、「和をもって貴しとなす」と言った人もいて、コレじぁあ
白黒つける厳密な法運営なんてムリですわ。でも、これがこの国の
歴史なんだと思えば、「超法規だぜ!」という菅首相の心中同情しま
すわ。それなら、もう首相をヤメて国家主席に名を改めて、超法規
そのものを法規にして(有事は、オレ様が法律だ!)しまえばいいと
思います。しかし・・リーダーを嫌い、引き摺り降ろすのが好きな国民
性なんで、これもムリかなぁ。

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