ワクチン接種進展を無視するオリンピック中止論
今、左サイドの人たちはなにがなんでもオリンピックを中止に追い込みたいようで、先日見た週刊誌ポストなんか巻頭からドーンと、「東京五輪はインパール作戦。一億全滅」ってテンション上りまくりのことを絶叫していました。一億全滅だってさ、スゴイね。
メディアは日本政府は一億全滅するのが分かっていて、インパール作戦の牟田口よろしく、イザ進めぇって叫んでいる、という構図を煽りたいみたいです。
しょーもない連中だこと(ため息)。
メディアにかかると、菅さんと小池知事が、どちらか先に中止カードを切るかで舞台裏でバトルしている、という具合になにがなんでも政局化したいようです。
「今の調子でいけば、苦しむ自国民を見殺しにしながら「負け戦」へとつき進む「日本の狂気」を全世界に見せつけるだけになりそうだ。 アスリートやその家族、関係者、そして五輪ファンの方たちには大変申し訳ないが、東京五輪への「逆風」がシャレにならないところまできている」(窪田順生4月29日『大逆風の東京五輪、「中止カード」を先に切るのは菅首相か小池都知事か』)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1d5ee129483d689bbb0b72a6328b50c1dfd71a49
政局化したいのは、小池さんくらいなもんじゃないですかね。
女史の手法は常に「敵を作って自分は悪玉退治のジャンヌダルクに納まる」ことです。
今回はインパール作戦突入を命じる菅政権に対して、国民の安全・安心を大義にして反対の狼煙を上げ、この7月の都議選で大勝し、国政に華麗に転身するくらいのことは考えているかもしれませんね。
新型コロナ: 小池都知事、緊急事態宣言の内容「国と協議中」: 日本経済新聞
その意味で、橋下徹氏がこう言っているのは、小池女史に限っていえばそのとおりでしょう。
「コロナの状況を見ていると出来るのか?とみんな思っている。それが頂点に達したところをとらえて、小池さんはいち早く無理だという発言をされるんじゃないか。そういうのは天才的能力があると思っている」 ( 同上)
天才的かどうかは知りませんが、小池女史がせこいポビュリスト政治家なことは証明済みです。
なんせ「安全安心」などという共産党都議団とまったく同じセリフで、築地移転を1年半も遅らせ、五輪道路の着工を滞らせるなんて不祥事をした人ですからね。
そして終わればチャラッとしているんですから、見上げたものです。
今回もワクチン打っても、「安全だが安心ではない」なんて言いかねません(あー想像できる)。
こういうタイプの政治家は、国民感情のネガティブな感情を増幅してしまいますから、東京五輪について「中止するべきだ」39.2%、「再延期するべきだ」(32.8%)、計72%(4月12日共同通信世論調査) が後ろ向きという空気を敏感に吸い取って、増幅して吐き出します。
そして自分が作った混乱を自分で煽って、混乱を拡げていきます。
神奈川県知事をダマしてまで緊急事態宣言を出せだせと政権をつついたのですが、なぜ宣言をかけるのかについて科学的な証拠を提示しませんでした。
この時期、本来首都の行政官がすべきなのは、国民を落ち着かせることに尽きたはずです。
分かりやすく事実と証拠を提示して、国民を納得させることが、行政官の最低限の努めでした。
少し前ならコロナ病床の増加でしたが、いまは飲食店やイベントをはじめとして、経済をより自由に回すには、結局ワクチンの接種率を上げていくしかないんだ、というコンセンサスを作らねばなりません。
そしてこの現状へのうんざり感を払拭するためにこそワクチン接種なのだ、という筋道を国民に明らかに示さねばなりません。
ワクチン接種への道のりの中で、この宣言があるのだということを周知させる必要があるのです。
ただ漠然と感染者数が増えているから、またまた緊急事態宣言だ、ではダメで、こういう出し方をするから後手後手感が生まれてしまうのです。
この人ときたら、肝心な理詰めの説得の部分を飛ばして、すぐに政局化したがるから困ります。
おおかたこの国民のもやもやとした不満を、五輪開催拒否に向けさせたいんだなんてことが見え透いてしまいます。
自分の仕出かした隔離病棟や無症状者隔離宿泊施設の準備不足・コロナ用の病床の逼迫・偽造数字による世論操作なんていう大チョンボを隠蔽できますからね。
逆に菅氏にとってのメリットはゼロです。
ここまで日程が詰まってきて、聖火リレーをやっているような時期に、中止の要請などIOCに出せるはずもないし、匂わすことすらできないはずです。
そんなことができたのは、せいぜいが去年の夏から秋くらいまでのことで、あの時期なら再延長して24年のパリの代わりに東京が、という選択肢もないわけではなかったでしょうが、今となっては遅すぎます。
今仮に中止にしてしまえば、今までに費やした膨大な予算や人的資源がパーになるばかりか、日本の国家としての信用が大打撃を受けてしまいます。
野党やメディアは、いまや五輪中止にまとまっていますから、これに屈したことになり、菅氏の再選などはもちろん軽く吹き飛び、衆院選も後退するでしょう。
そんなカードを、菅氏が切ると思うほうが異常です。
頭、冷やしなさい。
まず、最大の難点は外国からの観客の来訪によって新たな変異株が侵入することでしたが、すでにこの3月受け入れはしないことに決定していますから、このリスクは排除されます。
「国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)、東京都、東京2020組織委員会、国の5者が2021年3月20日、リモート協議を行い、東京2020大会における海外観客の日本への受け入れ断念で最終合意した。日本側が安全・安心な大会を実現するために海外在住者の受け入れ見送りを報告し、IOC、IPCが了承した」(3月31日朝日)
https://www.travelvoice.jp/20210321-148429
IOCが違約金がらみで中止にウンというわけはありませんし、そもそも今の米国やインドでやろうというなら中止論も現実味を帯びますが、世界主要国で2桁少ない感染状況の日本が止めさせてくれっていっても、通じるはずがありません。
米英の感染拡大は、ワクチン接種でブレーキがかかったものの、今でも決して安全圏内に入ったとはまるでいえないのです。
やっと日本並になれたか、なれないかていどのレベルです。
言い換えれば、英米のようにワクチン開発を国策で資金を大量投入して緊急開発し、看護師以外も打てるようにするなどの規制緩和をしなかったらいまのような驚異的な接種の進展はなかったわけですから、いまでも地獄の一丁目にいたことでしょう。
想像したくもありませんが、英米の国内死亡者はとてつもない数に登り、国内経済は再開できずに失業者が積み上り、いつまでも国境を開くことができないために貿易量が制限され、人の移動も阻まれることになります。
さらに、この外出さえ自由にならずにリモートを強いられるために、人々は分断されて鬱屈した感情の穴蔵に閉じ籠もります。
これがある意味で、一番怖い国民的鬱病の罹患です。
これは日本も英米より軽症だっとはいえ、同じ現象が起きました。
つまり今の時期にワクチンの接種率が低い国は、すべてにおいて後れを取ることになるが故に、ワクチン接種こそがすべての鍵なのです。
オリンピック中止と叫ぶ人たちは、このワクチン接種が開催までどれだけ進むかということを忘れています。
ワクチン実用化大詰め 米ファイザー月内使用申請も: 日本経済新聞
前回も書きましたが、GW明けには大量にワクチンが到着します。
またモデルナのワクチンにも早期に承認が降りて、国内生産も開始されるめどがたっています。
「政府は、米バイオ企業モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの製造販売について、5月21日にも承認する方向で調整に入った。認められれば、米製薬大手ファイザーのワクチンに続き、2例目となる。
国内の臨床試験や流通を担当する武田薬品工業が、3月に厚生労働省に承認を申請していた。政府は医薬品の審査期間を短縮する「特例承認」を適用する。先行審査していた海外の臨床試験データに、国内の臨床試験データを加えて最終的に判断する。(たャ区)
モデルナ製のワクチンについて、政府は2500万人分の供給(計5000万回)を受ける契約を結んでいる。6月までに2000万人分が、7~9月に500万人分が供給される予定になっている」(5月1日読売)
https://news.yahoo.co.jp/articles/041f06ae7a44877733199974f36a4639dbc549fa
日本でコロナワクチンの接種始まる、まずは医療従事者4万人 | nippon.com
また接種体制についても、感染がひどい東京、大阪を念頭にして傾斜接種が行われるようです。
「政府はワクチン接種を迅速化するため、自衛隊の医官や看護官を活用して5月24日から東京と大阪に大規模な集団接種会場を開設する。会場では、米モデルナ製を使用する方針だ。1日1万人規模の接種を目指しており、約3600万人の高齢者の接種を7月末までに終えたい考えだ。
やっと平時の国ニッポンのエンジンがかかってきたようですので、腰が上がるまでは遅いがいったん回りだしたらスゴイわが国の現場力を信用しましょう。
その行方を見てから、オリンピックをやるのやらないのと騒げばいいんじゃないでしょうか。
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東京オリンピックを中止にする選択肢などあり得ませんよね。
あるのは「どのように開催するか?」、だけです。
ゴルフトーナメントやMBLですら順調に開幕しているのに、日本のような国が総力を挙げてする五輪が中止になる要素はありません。
反対を言う人の意見は、何よりワクチン接種状況への見通しを頭に入れていません。
政局に利用したい政党や首長、それと気付かず漠然と「中止」を言うコメンテーターなどの意見におどらされる事にないようにしたいものです。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2021年5月 3日 (月) 08時02分
私は何が何でもやるべきと考えております。スポーツ好きでスポーツから感動をもらった経験のある人々は大勢いるはずです。アスリートの旬の時期は限られています。そこに彼等は全身全霊をかけており、だからこそ我々も感動できるのです。
まさしく「どのように開催するか?」であると思います。制限ありとはいえすでにスポーツでの観客動員も行われました。映画館などはクラスターの発生はありません。それなりにノウハウは積み上げられてきたはずです。今こそ日本の底力をみせる時であり、海外選手・関係者に対する「おもてなし精神」を発揮する時であると私は考えます。どこぞの周辺国みたいに来たくなけりゃ来なきゃいいってなもんです。
執念の復活を果たした競泳の池江選手をバッシングするアホタレ(ヒトデナシと言ってもいい)どもがいるようですが、こんな輩は「一度たりとも見舞い来たこともないくせに文句は言う遠くの親戚」みたいなもんです。
投稿: クラッシャー | 2021年5月 3日 (月) 10時30分
かの国にとっては東京五輪中止は自陣営の勝利なので、強力に攻めてきていますね。変異株の持ち込みだって動機という点で言えばとても怪しいです。
政権は、仰るとおりに小池都知事が手のひら返ししないようにご機嫌取りに必死なのだと思います。
東京五輪の呪縛に苦しめられている状況と思いますが、何とかワクチン接種で乗り切りましょう。閉幕後は過剰な配慮は必要なくなり、むしろ北京五輪を人質に攻勢に転じることが出来るのですから。
投稿: プー | 2021年5月 3日 (月) 13時37分
ワクチンの国外での実績が積まれていても、国内での治験をすっ飛ばさないで行い慎重を期すことは、国会の附帯決議で決められていて
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Futai/kourou95509A0BDB55A3044925862400328414.htm
野党も、マスコミと「街の声」もみんな反対しなかったのだから、「遅い!」とかいう文句は無意味。
(その上、プーさんが先日仰ったように、波を抑えた分治験が進まない。何事にも両面あるものです)
スピード上げれば上げたで「オリンピックありきだ!」って文句つけるのならそれも無意味。
関わる時間は勿体無い。
治験の間に全自治体がロジスティックと接種体制を整えて待ち草臥れたわけでもないし。
というより、所謂「街の声」「世の中の声」とかいわれるものが、行動自粛する人々も「ウェーイ!」な人々も揃って「政府が強い措置を」「政府が強く禁止といえば」なのだそうですから、お上にやってもらわないと自分では何も出来ません考えられませんと言っているわけですね。
「政府の言葉が心に響かない」とかいうのも宜なるかな。
文句は誰でも何でも好きに言えばよろしいが、それと中身が意味あることかどうかは無関係。
でもそれがわからない人にはわからないし、他人のせいにするしかない人にもわからない。
せっかく弾数が揃ってくるならば、時間の空費を避けまくって前に進んだらよろし。
投稿: 宜野湾より | 2021年5月 4日 (火) 01時18分