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2021年6月

2021年6月30日 (水)

チャイナワクチン、ついたあだ名が「水ワクチン」

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中国の一帯一路とワクチン外交が表裏一体なのはご存じのとおりです。
そりゃ涙ぐましいばかり。
王毅国務委員兼外交部長(外相)は今年1月に、こう述べています。

「 王毅外交部長、「厳冬の世界経済に暖流を注ぐ『一帯一路』協力」
新型コロナ感染症は世界経済に深刻な打撃を与え、「一帯一路」共同建設にもいくつかの困難をもたらした。だが「一帯一路」協力はその歩みを止めるどころか、反対に逆風の中を前進し、新たな進展も得て、力強い強靭性を示した。
2020年に「一帯一路」協力パートナーは新型コロナ感染症の中で支持し合い、団結して新型コロナと闘い、共に発展する「運命の紐帯」を形成した。国際定期貨物列車「中欧班列」は1万本を突破し、輸送量は1~10月ですでに2019年の総量を上回り、各国の新型コロナとの闘いに助力する「鋼鉄の輸送キャラバン」となった」(人民網日本語版 2021年01月04日)

う~ん、一帯一路は「運命の紐帯」、「鋼鉄の輸送キャラバン」ですか、共産党ならではのお言葉が怒濤のように。気合はいってるなぁ。
そしてつい先日6月24日の一帯一路オンライン会議では、習もこう言っています。

「習氏は一帯一路を通じた新型コロナウイルス対応で、国際社会に「自信と力」を与えたと表明。中国外務省によると、出席した王毅国務委員兼外相は中国がワクチンや原料4億回分以上を供与した約90カ国のうち「大半が一帯一路の協力パートナーだ」と指摘した。会合に参加した29カ国の外相らはワクチン協力の推進で一致した」(共同6月24日)

武漢研究所から漏洩したんじゃないかと言われている時期に「国際社会に自信と力を与えた」って言われてもねぇ。
ちなみにこのオンライン会議に出席したのは、中国の公式メディアによると、会議にはアフガン、チリ、コロンビア、インドネシア、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、パキスタン、フィリピン、サウジアラビア、シンガポール、タイ、アラブ首長国連邦、ベトナムなど29カ国の副首相、外相、国連の国際機関代表でした。

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人民網

同じ会議で議長をした王毅は、コロナ流行について一帯一路の一時停止キーは押されていない、むしろ逆風に向かって前進し続けている、いけいけドンドンだと言っています。
ワクチンだけじゃないぞ、中国は一帯一路の関係各国と防疫経験交流会を行い、マスクや防護服、検査試薬、ウイルス検査実験室建設などの寄付や輸出などをしているんだ。
およそ90か国以上に4億回分のワクチンと原液を、多くの一帯一路沿線国パートナーに送ってんだ、すげぇだろ、世界は中国に感謝しているはず、ふんふん(鼻息)、と胸を張ったそうです。

いままではカードローンを組ましてカタを取り上げてきたが、今年の流行りはワクチンだぜ、ワクチン欲しけりゃ言うこと聞きな、ということのようです。

「台湾中正大学戦略国際事務研究所の宋学文教授はラジオ・フリーアジアの取材に対し、中国は各国がコロナパンデミックの影響で経済が衰退し、政治安定に危機的状況まで出ているのを見て、チャンスに乗じようと考えている、と指摘する。
「中国はワクチンを武器としている。以前はインフラ建設の融資と経済貿易物資協力プロジェクトを通じて、各国の経済発展に協力してきた。しかしその目的は単純に経済発展にとどまらず、政治戦略を多く内包している。今は、ワクチンを利用して、同様の作戦にでている」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.368 2021年6月25日)

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中ロのワクチン外交を苦々しく感じているあなたへ:日経バイオテクONLIN

ただし、惜しむらくはこのかんじんなワクチンが効かないのですよ、 お立ち会い。
だって王毅がいくらファイアウォールだなんてリキもうと、マスクや防護服をばらまこうと、かんじんなワクチンがまったくスカ。
たとえば、南米チリはワクチン接種のスピードが速い国の一つでした。
チリの人口1900万人のうち63.3%が1回以上がチャイナワクチンのシノバックの接種を受け、接種を全て終えた割合も50.0%に達しています。
国の人口の63%ですから、まさにチャイナワクチンの治験場そのものだったわけです。

しかしチリの感染者数は減少していません。
最近も1日5000人以上の感染が確認されており、今月8日には7294人もの感染者が出ています。
こんな例は世界中いくらでもあります。
朝鮮日報(6月26日)によれば、こんな状況だとか。

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NYT「中国製ワクチンには効果が無い」と指摘 接種国で感染状況が悪化 

「チリだけではない。モンゴルでも全人口の58.7%が1回以上、さらに52.1%が接種を全て終えたが、人口335万人の国で1日2000人以上の感染者が出ている。人口100万人当たりの感染者数を計算すると世界第2位となる数だ。モンゴルでも中国製ワクチンを使用している。
米国のニューヨーク・タイムズ紙は「中国製ワクチンに依存してきたモンゴル、チリ、セイシェル、バーレーンなど90以上の国ではワクチン接種率が最高で70%に達しているが、今もコロナ感染者数は急増している」と報じた。接種率が高い英国でも感染者は多いが、接種を受けていない若い人が中心という点でこれらの国々とは事情が異なる。
つい先日にはインドネシアでシノバックのワクチン接種を受けた医療関係者350人以上が一気に感染したことも確認された」(朝鮮日報6月26日)

あるいはセーシェルは世界でもっとも人口当たりの接種率が高い国で、シノファームを使っていましたが、いまの惨状はこうです。

「インド洋の島国セーシェルは人口当たりの新型コロナウイルスワクチン接種率が世界のどの国よりも高い。だが感染再燃の抑制がままならず、住民が接種したワクチンの大半を占める中国製ワクチンの効果に対する疑問が強まっている。
セーシェルで唯一のコロナ治療センターにはここ数日、治療を求める患者が殺到し、医療がひっ迫している。115の島で構成されるセーシェルの保健当局によると、感染拡大はこれまでで最悪の状況だ。症状が見られる感染者数は1日当たり300人超に急増し、累計8172人に達した。政府はロックダウン(都市封鎖)の再導入を強いられている。
感染者数は少ないとはいえ、地理的に孤立した人口わずか10万人の小国にとっては桁外れに大きな問題となる。日々の感染率はインドを上回る」(ウォールストリートジャーナル5月11日)

セーシェルは接種率が6割、チリが7割接種してまったく感染拡大が止まらないのですから、とうとうチャイナワクチンについたあだ名が「水ワクチン」。
水を打つのと一緒だってことです。

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中国製の新型コロナウイルスワクチン:低有効性とデータの欠落に加えて

これを隠したいのか、チャイナワクチンはいまだに第3次治験データを出していません。

「ロイター通信の報道によれば、世界保健機関は5月中旬からコロナバックワクチンの評価を開始すると考えられているが、この1週間前に同機関当局が発表したところでは、同機関が科興控股生物技術に要求した情報はまだ未提出の状態である。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、中国医薬集団も第3相臨床試験のデータを提供しておらず、独立系機関による評価が実施されていないことから同社製ワクチンの新型コロナウイルス変異株に対する有効性が不明のままである。
2021年5月に国際的な総合科学雑誌「ネイチャー」誌に掲載された記事には、「2020年初頭から研究者等が新型コロナウイルスワクチンの開発を始めていた中国は、早期に開発に着手した国の1つだが未だに完全な試験結果が発表されていない」と記されている」
(FORUM5月23日)

習の世界で最初に大量のワクチンを製造せよ、の至上命令に従って、「戦時製造」したためにどうやらやるべき治験を大幅に省いたようです。
だから試験記録を出したくても出せないのでしょう。
中国の下請け機関であるWHOですら有効性は79%。これで承認しちゃうかね。
しかしどうやらほんとうは有効性は51%のようです。
有効率がわずか5割だと、個々人の持つ自然抵抗力でCOVID-19に罹らなかったのかよく判らなくなります。

「2021年5月に世界保健機関(WHO)が緊急使用を承認した中国医薬集団のワクチンの有効性は成人で79%と推定されている。同ワクチンは世界保健機関が緊急使用を承認した初の中国製ワクチンであり、現在、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製のコロナバック(CoronaVac)ワクチンの承認も検討されている。臨床試験で示されたコロナバックの有効率は一貫しておらず、1つの研究では有効率がわずか51%という結果となっている」(FORUM前掲)

しかし習同志、グッドニュースもございますゾ。なんとチャイナワクチンには副反応がないのです。

「ただ幸いなことに中国製ワクチンの接種を受けたことで大きな副作用(副反応)が出たというニュースは今のところない。そのため一部のメディアは「中国製ワクチンは副作用もないし効果もない」と評価している」(朝鮮日報前掲)

そりゃそうです。なんせただの水なんだから(爆)。
朝鮮日報が引用したニューヨークタイムスの元記事はこちらです。
"They Relied on Chinese Vaccines. Now They’re Battling Outbreaks".
https://www.nytimes.com/2021/06/22/business/economy/china-vaccines-covid-outbreak.html
抄訳しておきます。

「90カ国以上の国が中国ワクチンを使用したが、これらの国々は未だに感染症と戦っている。
データ追跡プロジェクトOur World in Dataによれば、これらの国のうちセーシェル、チリ、バーレーン、モンゴルでは、人口の50〜68%が中国ワクチンを接種しているにかかわらず、COVID-19の感染が最も深刻な国のトップ10に入っている。
米国ワクチンを接種したイスラエルの1日の新規感染数は現在100万人あたり4.95人にとどまっていて感染拡大は阻止されているが、中国ワクチンを接種したセーシェルでは、100万人あたり716人以上となって約140倍である。
香港大学のウイルス学者であるジン・ドンヤン氏は、「ワクチンが十分に優れたものであれば、このようなパターンは見られないはずだ」と述べた。
また、オーストラリアのフリンダーズ大学医学・公衆衛生学部のニコライ・ペトロフスキー教授は、すべての証拠が揃っている以上、シノファーム社のワクチンが感染を抑制する効果はほとんどないと述べている。
中国ワクチンを擁護する声もある。
モンゴル保健省の緊急時科学諮問グループの主任研究員であるバトバヤル氏は、支那ワクチンは正しい選択だったと述べ、その理由の一つとして死亡率を低く抑えることができたことを挙げている。最近感染が拡大したのは、多くの人がワクチン接種で気が緩んだのと、国の経済再開が早すぎたためとしている。
このモンゴル保健省の意見について、ペトロフスキー教授は、中国ワクチンを接種した人に抗体が上がっておらず無症状の場合、無自覚にキャリアになってしまい、他の人にウイルスを拡散してしまうからだと述べている」

というわけで、鳴り物入りで真っ先に世界にバラ撒いたチャイナワクチン、一帯一路を強化するどころか、中国への怨嗟を増やし、一帯一路がガタつく結果を招いたようです。

しかも頭が痛いことに、中国は自国民に10億回接種したと言っていますから、無条件に受け入れた場合、ぺドロフスキー教授が指摘するように無意識の感染キャリアを入れることにつながりかねません。

なおイタリア新首相のドラギ首相も、中国製ワクチンの有効性に疑問を呈したそうです。
これでイタリアの一帯一路からの脱落は決定的となりました。

いずれにしても、チャイナ・ワクチンを接種した国は、ファイザーなどのワクチンを重ね打ちしたほうがよさそうです。



 

2021年6月29日 (火)

ロシア軍、英国艦艇に発砲

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 「航行の自由作戦」(FONOP) を実施中の英国軍艦に、ロシアが発砲しました。

「ロシア国防省によると、本日11時52分に「ディフェンダー」は黒海の北西部でロシアの国境を越えた。(クリミア半島)フィオレント岬の付近3kmの領海に入った。
領海侵犯が発生した場合の武器の使用について事前に警告されていたが、イギリス艦はこれに反応しなかった。12時6分と12時8分に、ロシア国境警備隊(FSB所属)の巡視船が警告射撃を行った。
午後12時19分、黒海艦隊のSu-24M攻撃機が警告爆撃を行い、駆逐艦の進路上に4発のOFAB-250爆弾を投下した。
午後12時23分、誘導ミサイル駆逐艦ディフェンダーは、黒海艦隊とFSBの国境警備隊の共同行動によりロシア連邦の領海の国境を離れた」
(JSF様による和訳による)
黒海でロシア軍が英駆逐艦に警告爆撃。英側は否定(JSF)

英艦ディフェンダーに急接近するロシアの警備艇  BBCNews/YouT
ニューズウィーク6月24日https://m.newsweekjapan.jp/kimura/2021/06/4-2_4.php 
そしてロシア軍から、撃つゾと脅された英国「ディフンダー」は下のとんがりマストの上に球がかわいい駆逐艦です。
下の写真は無事に黒海を抜けて帰還中のもののようです。

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JSFより引用  英海軍駆逐艦HMS ディフェンダー
ポイントは、このロシア軍が発砲した位置です。
当初の日本の報道ではただ黒海とあったのですが、正確には黒海は黒海でも、クリミア半島突端にあるセヴァストポリ軍港の眼と鼻の先フィオレント岬付近3kmの地点です。
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乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/108446

この位置がわからないと、英海軍がここでナニをしていたのかさっぱりわかりません。
このクリミア半島はウクライナ領です。
だからそれを示すために英国軍艦がわざわざ遠くから来て、その領海を航行して見せたのです。
意味するところは鮮明ですね、英国はクリミア半島のロシア領化は認めていないという意志をロシアに突きつけたわけです。
このクリミア半島は、本来ウクライナの領土でした。
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ロシアのクリミア侵攻は「ヒトラーのズデーテン侵攻」の繰り返し

ところが2014年、ロシアが電撃的に軍隊を送り、いったんはウクライナから分離させてクリミア共和国として独立させた後に、住民投票の形をとって併合してしまいました。
この時、ロシア軍が出撃拠点としたのがセヴァストポリ軍港で、ここだけはロシアは租借していたのです。
ウクライナ紛争については相当数の記事をアップしていますので、検索してみて下さい。

今日はウクライナ紛争には立ち入りませんが、ロシアにとってみればディフェンダーは自国領海内を航行していたと見られるわけです。
しかし英国などの自由主義陣営は、クリミア半島はウクライナ領土であるという前提に立っています。
ですから仮になにかしらの警備行動をとるなら、ウクライナ沿岸警備隊がでてくるべきで、ロシア沿岸警備隊などはそもそも顔を出す資格さえないのです。
これを示すために、HMS ディフェンダーは堂々とセヴァストポリ軍港の鼻先を航行してみせたわけで、これは英国版「航行の自由作戦」(FONOP) で、米国が南シナ海でやっている一連の作戦と全く同じです。
BBCも指摘していましたが、とうぜん英国政府トップのハイレベルな意志決定によっています。
ですから艦長は、いかにロシア軍が大砲をぶっ放そうと、戦闘機を低空飛行させて脅かそうが、決められたルートに沿って淡々と南下してジョンブル魂を見せつけたわけです。

本来なら、ロシアは黙って通過させるべきでした。
しかし英国の釣りにまんまと引っ掛かって、国境警備隊(FSB)巡視船から大砲は撃つわ、戦闘機から爆弾は落とすわと大騒ぎし、しかもその一部始終をBBCに撮られてしまって世界に発信されるという醜態をさらしてしまいました。
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轟音を立てて上空を飛ぶロシアの戦闘機    BBCNews/YouTube NW同上

こちらはロシア軍が発表した戦闘機の照準に入っている英軍艦です。
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ロシアの戦闘機が捉えた英駆逐艦ディフェンダー(ロシア軍が公開)    BBCNews/YouTube
しかも百歩譲ってここがロシア領海だとしても、領海内を他国の軍艦が航行してもそれが危害を加える意図がないとわかっていた場合、航行する権利があります。
いわゆる「無害通航権」です。海洋に関するさまざまなルールについて定める国連海洋法条約(UNCLOS)17条には、危害を加える意図がないと示された軍艦は、いかに他国の軍艦であろうと航行させねばならないことになっています。

もちろんロシア海軍もそれを知っているはずで、2016年6月8日に、わが国尖閣周辺の接続水域を堂々と艦隊で「無害航行」してみせたことがあります。
しかも中国艦隊と同時に航行したおまけつきのエグサです。
これなんぞ、ロシアが通過される立場だったら、大砲撃って、戦闘機飛ばして爆弾落としてといった大人げない歓迎パーティをするのでしょうな。
さて、そのロシアの撃ったはずの大砲と爆弾ですが、いずれも話をロシアが盛っていたことがバレています。
JSF氏は意地悪くこう書いています。

「FSB巡視船は英駆逐艦が水平線付近で豆粒のように小さく見えるほど遠くから射撃しており、発砲している30mm機関砲AK-630では全く届きません。イギリス側が「警告射撃とは認識していない。ロシア艦艇は離れた場所で演習でもしていたのでは?」という反応をしたのは無理もありません。
巡視船の低い視点(海面から高さ10m前後)から見ても水平線までの距離は12kmくらいあります。しかし機関砲の有効射程は数kmしかありません。警告射撃として相手に気付かせるには発砲炎を見せたり海面に機関砲弾を撃ち込んで水柱を上げる必要がありますが、この距離では見えないし届きません。遠くで小さな発砲音がしているくらいしか分からないでしょう」
ロシアが警告射撃の映像を公開。遠すぎて英駆逐艦は気付かず(JSF

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JSF様より引用

爆撃のほうも、された英海軍はされてねぇよ、と言っているようですので、大砲は届かないことを知って撃っただけ、爆弾は落とさず、照準器に入れて見せただけということになります。
ロシア側の公表した警告射撃時の動画では、上の写真のように警備艦艇は空に向かって機関砲の銃身を指向し、かつディフェンダーとの距離も相当離れた状況で発砲していることから、初めから当てる気がなく抑制的な警告射撃だった、オレは紳士だぞ、とも見えます。
ですから、ロシア側も英国との戦闘を望んではいないという政治的ポーズは繕えたことになります。
とはいえ、他国領海で国際法に違反して、外国軍艦を射撃したという事実は残るわけで、ならず者国家であることがまた露になってしまいました。
英国海軍さん、今年中にはこちらに虎の子のHMSクイーンエリザベスを派遣していただけるとのこと。
南シナ海でこの気概をご披露下さい。心よりお待ちしております。

 

2021年6月28日 (月)

西村長官発言 言ってはならない時期に、言ってはならない立場の人間が、言ってはならないことを言った

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6月24日の、宮内庁長官の西村泰彦長官の記者会見発言が世間を騒がせています。

「――東京五輪の開会式や競技観戦の調整状況は。
 関係機関と調整中だ。ただ、五輪を巡る情勢として、天皇陛下は現下の新型コロナウイルスの感染状況を大変ご心配されている。国民の間に不安の声がある中で、ご自身が名誉総裁をお務めになる五輪・パラリンピックの開催が感染拡大に繋がらないか、ご懸念、ご心配であると拝察する。五輪・パラリンピックで感染が拡大するような事態にならないように、組織委員会をはじめ、関係機関が連携して感染防止に万全を期していただきたい。
 ――陛下が五輪パラが感染拡大のきっかけになることを懸念されているのか。
 それは私の拝察だ。陛下は現状を大変心配されている。日々、私が陛下とお話ししている中で肌感覚でそう感じている。
 ――これは陛下のお気持ちか。
 私の受け取り方で、陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはない。そこは誤解がないように」

西村長官という人は警視総監を努め上げて、名誉職として宮内庁長官に天下った人ですが、警察官僚というのはよほどの世間知らずなのか、こんなことを言ったらメディアが、都合よく切り取るに決まっているでしょうに。
この時にも記者達がおおっとばかりどよめいていましたが、こんなおいしい餌を投げてくれてサンキューってなもんです。
あたふたと記事を本社に速報する姿が目に浮かぶようです。
とうぜんのこととして翌日の報道は、「拝察した」という部分を意識的に飛ばして報じました。

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アエラは皇室ジャーナリストの山下晋司氏にこう解説させています。

「宮内庁長官の拝察なので、天皇陛下が直接おっしゃったわけではないが、これが天皇陛下のお気持ちであることは誰も疑わないだろう。(略)推測だが、長官は今回の発言について、事前に官邸の了承を得ていたのではないだろうか。政府、関係機関としては、天皇陛下のご発言ではなく、宮内庁長官の個人的な考えと位置付ければいいし、感染対策においても、今までどおり「感染拡大防止に万全を期してまいります」と言えば済む話だからである。
ただ、多くの情報が集まる天皇陛下が感染拡大を懸念されているということは、現在の対策では不十分だと思っておられるからであり、陛下のこの不安が国民の不安をより大きくする可能性はある」(アエラ6月25日)

「天皇陛下のお気持ちであると誰も疑わない」ですって(笑)。
あたしゃ、疑うよ。
ついでに、ここでアエラは官邸と事前に打ち合わせていたと言っていますが、これもあり得ないと思います。

なぜならこの発言に対して、加藤官房長官は、即日、「長官自身の考え方を述べられたと承知している」とする政府側の見解で応じましたが、なぜここで政府が「あれは個人的見解を言ったにすぎない」と切り捨てたのかといえば、この西村発言は憲法違反の疑いが濃厚だからです。

憲法第3条の国事行為を押えておきましょう。

第三条天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

これはこのように解釈されています。

「本条は、日本国憲法第1条に基づき天皇の地位が象徴とされたことから、天皇が行う行為については内閣が責任を負うものとし、そのために天皇の国事行為が内閣の助言と承認に基づいてなされるべきものであることを明らかにした。天皇が国政に関する権能を有さず、国事行為のみを行うものと規定する第4条とともに象徴天皇制の柱となる規定である。国事行為については、第7条に規定されている」(ウィキ)

護憲と改憲の別なく、天皇の国事に関する全ての行為に対して責任を負うのは政府と解釈されています。
では、西村長官が政府に事前に相談をしたのでしょうか。
加藤官房長官は明快に否定しているところから、しているとは思えません。
オリパラを無事に乗り切ることが焦眉の課題の政府にとって、背中を撃つような西村発言は妨害行為そのもので、そんなことを政府が認めるはずがないからからです。

それをわかってアエラは、わざわざ皇室ジャーナリストに「あの西村発言は事前に政府の承認を受けているんだ」などとどこで聞いてきたのかわからない憶測を言わしたのでしょう。
朝日としては、陛下が五輪中止発言を述べたとすれば、これ以上ない百万の味方のはずですが、同時に憲法違反だということくらいすぐに気がついたはずです。
だから、政府の事前了承を得て、皇室が予防線を張ったという観測を記事にしたかったのでしょうね。

という具合にこの西村発言は、言ってはならない時期に、言ってはならない立場の人間が、言ってはならないことを言ったのです。
 では、いったい西村長官は誰に対して「言った」のでしょうか?
政府や組織委員会でしょうか、国民に向けてでしょうか。
広くは国民一般かもしれませんが、今上陛下はエリザベス女王と違ってこのコロナ禍に一回も励ましのお言葉を発信していないので、そうなると初回がこれでよいのですか、という別の問題が出てきます。

また政府ならば、先ほどから述べているように、明らかな越権行為であって憲法3条の国事行為の逸脱の可能性が濃厚ですし、悪くこじれると憲法1条の象徴天皇規定も揺るがしかねない事態になりかねません。
「悪くこじれる」とは、この西村発言を悪意のある外国メディアが、「皇室、オリンピックにノーをつきつける」というような報道を拡散した場合です。
実際にワシントンポストがやらかしたようですが、このようなことになると、皇室と政府がオリンピックを巡って対立を深めているという憶測を国際社会に呼ぶでしょう。

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いくら警察官僚ボケしている西村長官でも、そのくらいはわかっていると思いたいので、「私の受け取り方で、陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはない。そこは誤解がないように」とか、「拝察した」と言うことで予防線を張ったつもりだったようです。
しかし、こんなことを言うと、別の問題がでてきてしまうことに、なぜ西村さん気がつかないのか。
それは昨今よく話題になった官僚の「忖度」そのものだからです。

あの慎重な性格の今上陛下が、「長官、オリンピックなどできるのでしょうか。中止すべきです」なんて言うことは考えにくいですし、あるいはそれを匂わせるご発言があったとしても、国民は確認のしようがありません。
もし陛下がおっしゃたのなら、今上陛下の天皇としての資質に疑義が生じます。
でないなら、西村長官の主観や想像で勝手に「忖度」したということになります。

例のモリカケ事件時に、「忖度」というあいまいな、いかにも日本的な陰湿な政治風土を想像させる言葉が流行りましたが、これが官僚と政府の間ならともかく(それも大いに問題ですが)、皇室と政府、皇室と国民の間に存在するとなると、別のもっと大きな問題が起きてしまいます。
つまり、皇室は政治的な発言をしたいのだが、できないので宮内庁長官がそれを「忖度」して発言した、ということになってしまうからで、これはそうとうに危険な構図です。
なぜなら、宮内庁長官が勝手に自分の考え方や政治的意志を、「拝察した」という表現で「天皇のお考え」として表明できるという巨大な権力を掌中にできてしまうからです。 
すると一官僚にすぎない宮内庁長官は、天皇というわが国の精神的バックボーンの存在を背景にして、とてつもない政治権力を握ることが可能となってしまいます。

たとえば憲法を例にとってみましょう。
宮内庁長官がこんなことを言ったらどうでしょうか。
「私の拝察だが、陛下は現状の改憲の動きを大変心配されている。日々、私が陛下とお話ししている中で肌感覚でそう感じている」、なんて言えば、その時点で改憲の動きは瞬間凍結してしまうことになってしまいますもんね。

まぁそれは考えすぎだとしても、この西村発言によってなんらかの問題が生じた場合、いったい誰がその政治責任をとるのでしょうか。
宮内庁長官ですか、それとも天皇に助言し責任を負うべき政府なのでしょうか。

ほんとうに馬鹿なことを言いましたね、西村長官。

 

2021年6月27日 (日)

日曜写真館 青田にて白鷺紙の如く飛ぶ

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夕風や水青鷺の脛をうつ 与謝蕪村

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已みがたく雷の空飛ぶ白鷺よ 津田清子

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白鷺を三羽見てまた泳ぎたり 岡井省二

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白鷺の脚花の影水のかげ 鷲谷七菜子

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白鷺の力かましき青田かな 正岡子規

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2021年6月26日 (土)

ワクチンのゼロリスク論とデマ

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ワクチン接種後の接種箇所が痛いという副反応ですが、私の場合3日目ですが、急速に平常に復しています。
まだ触ると少し痛いかな、ていどです。
当初あった頭痛もなくなりました。
ただし人によってバラバラですね。
腫れる人あり、腫れない人あり、2回目のほうひどいという人あり、でもなかったよという人あり。
ただ共通するのは、3,4日で元に戻るということです。

さてワクチンの効果に関しての科学的な結論が出ています。
というのは、国民の半数以上に接種を終わった国々の効果が、科学的に立証され始めてきているからです。
効く、効かない、あーだこーだという主観ではなく、統計学的に結果判定が可能なのです。

米国CDCが、先だって6月7日に研究結果としてワクチンの効果研究をプレスリリースしています。
CDCのプレスリリースです。
CDC COVID-19 Study Shows mRNA Vaccines Reduce Risk of Infection by 91 Percent for Fully Vaccinated People | CDC Online Newsroom | CDC"CDC COVID-19 Study Shows mRNA Vaccines Reduce Risk of Infection by 91 Percent for Fully Vaccinated People
Vaccination Makes Illness Milder, Shorter for the Few Vaccinated People Who Do Get COVID-19"

●CDCによるmRNAワクチンを接種した3,975人(医療従事者・緊急対応要員・最前線の労働者 )のリスク減少割合
・1回接種後の感染リスク・・・81%まで減少
・2回接種後の感染リスク・・・91%まで減少
・ワクチン接種後に感染した人は症状が軽症、ウイルス量が少なく、周囲への感染リスクも低い。

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ご注意頂きたいのは、CDCはゼロリスクになった、ワクチン打てば万々歳だなんて安易なことは言っていないことです。
ワクチンを打っても感染する場合がある、ただしその場合でも重症化したりはしないし、他の周辺の人にウィルスを拡げる確率も低くなるのだ、としていることです。

「いくつかの知見は、完全または部分的に予防接種を受けた後に感染した人は、予防接種を受けていない人と比較して軽度で短い病気を持つ可能性が高いことを示した。
例えば、COVID-19を発症した完全または部分的に予防接種を受けた人々は、平均して病気の合計日数が6日少なく、ベッドで病気の2日が少なかった
彼らはまた、予防接種を受けていない人と比較して、発熱や悪寒などの症状を発症するリスクが約60%低かった。SARS-CoV-2に感染した一部の研究参加者は症状を発症しなかった。
‎他の研究結果は、COVID-19を得た完全または部分的にワクチン接種された人々が他の人にウイルスを広げる可能性が低いかもしれないことを示唆している」(CDCプレスリリース前掲)

おわかりでしょうか、ワクチンはCOVID-19に罹る可能性を低くする、それも2回接種で91%まで低減できる、という確率論の世界なのです。
100%防御できるのではなく、統計的には無視可能なていどにまで下げることが可能だということです。
これが中国ワクチンのように5割を切るようだと、ほとんど個々人の抵抗力との境との見分けがつかなくなってしまいます。
つまりやってもやらなくても、有意な差異はない、ということになるのです。

ここをわからない人たちが、ワクチンデマを発信しています。
よく言われる言い方が、ワクチンを接種しても重症化リスクはゼロではなく、自分の周辺でも実際に苦しんでいる者が出た、だったらリスクがある接種は無意味どころか、かえって危険だからワクチン反対ということになります。

これは確率論を分かっていない人がよくやる、間違った思考方法です。
このワクチンを10年前の福島事故の時の「放射能」や「オスプレイ」、あるいは豊洲移転などに置き換えてみれば、なにかある度に執拗に登場することが判るでしょう。私からすれば、またかいな、ってかんじ。

これは「〇〇が100%の安全を保障していない以上、安心ではない」という言い方をします。
これが「安全であっても、安心ではない」というゼロリスク原理主義です。
これはワーワー言いたい人たちに妙に受ける論法らしいと見えて、万能のロジックみたいに頻繁に登場します。
そして「科学者もリスクがゼロだと言っていないのだ。リスクは残っているぞ。それを無視するのは横暴だ。政府の押しつけだ」ってかんじに展開していきます。

ちょっとお待ちを、科学的に「ゼロリスク」なんてこの世の中に存在しないのですよ。
リスクが99%なくなったとしても1%は残りますから、科学者は聞かれれば正直に「リスクはあります」と答えるでしょうね。
この言葉尻を捉えて「リスクはある」としてしまうと、わからなくなります。
なぜなら確率が1割以下なら、統計学的には有意ではないので、安全であると判定します。
つまり統計的に低い数値は、無視してかまわない無意味なノイズにすぎないのです。

日本のCOVID-19の死亡者は、世界でも極めて少ないレベルでした。
木村盛世氏はこれを「さざ波」と評し、高橋洋一氏がその表現を用いたところ大炎上しました。
私も高橋氏擁護論を出したために類焼しましたっけね(苦笑)。
その時に、高橋氏のバッシャーらが言ったのは、「コロナで苦しむ人をさざ波と呼ぶのか」という言い方でした。
感染した人のことなど一言も言っておらず、ただ日本は国際的に見て感染者が少ない部類です、と言っただけのことです。

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マクロよりミクロ。世界や社会全体ではなく、ひたすらこだわるのは自分だけ。
これがゼロリスク論です。
統計的にいかに死亡者が少なかろうと、当人からみれば100%の不幸には違いありません。
しかしそれでも確率論的にはあくまでもミニマムであって、当人とその周辺にとってだけ100%なのです。
こういう言い方をすると冷たい奴だといわれそうですが、思考の向きが逆なのです。

ワクチンで言えば、接種しても罹るリスクが9%残っていても、マクロ的には「安全」だと判定します。
しかし自分にだけミクロ的に引きつける人にかかると、それは「100%安心出来ない」ということになります。
だから9%ではなく100%だというのです。

安心はあなただけのもの、100人いれば100様あるものなのに、自分の価値観と主観だけでバサバサと切っていいんでしょうか。
ところが、センチメンタルなメディアはこういう「叫び続ける不安な少数者」をもちあげるのが大好きです。
放射能では、子どもに鼻血が出ようもんなら、「放射能が子どもを蝕んでいる。ガンになるぞ」と叫ぶ人をわざわざ見つけ出して(だいたいが運動家ですから見つけるのは簡単ですが)、福島事故は終わらないという記事を書いたりしました。
その鼻血が出た子どもが、数千万分の1の確率にすぎず、しかも原因も特定できないというのに、ハナから「叫び続ける不安な少数者」に寄り添って、その視点からしか見ようとしないのです。
なぜかといえば、政府を攻撃することがメディアの仕事だと勘違いしているからにすぎませんが 。

しかし公共政策をそんな個々の人の価値観で動してはいけません。
その昔、美濃部という人が東京都知事だった時、「ひとりの人が反対ならば橋をかけてはならない」という迷言を言って共産党などのタニマチたちに大受けしたことがあります。
つまり反対運動が起きれば、公共工事は全部中止だということになります。
なに言ってんでしょうか、この人。
公共政策は万人の最大幸福を追及するものですから、マクロ的な利益が確かならばせにゃならぬのです。

ワクチンならば、マクロ的に見て安全か否かを判定するべきです。
これがなんども私が取り上げている比較衡量という考え方です。
これはやることの利益(ベネフィット)とリスクを秤にかけて軽重を計って、ゴーサインを出すかどうか決める方法です。

ワクチンを打つ利益とリスクを秤にかけてみれば、得られる利益ははっきりしています。
感染の拡大防止と重症者の軽減、医療機関の崩壊の予防です。
リスクは起きる可能性がある副反応が極めて強い場合です。
アナフィラキシーショックなどが出る場合もありえます。
しかしその確率は少ないし、充分な医療支援があれば重症化するケースは極めて稀です。
だから、ワクチンは打つべきだし、打たなければにほんの感染は止まりません。

ところが不安を言う人に限って、世の中の不幸情報を一身に集めてしまうとみえて、ネットからワクチンを打ったら血栓になったとか、遺伝子が勝手に組み換えられた、台湾では日本から供与されたワクチンでバタバタ死亡者が出たなんて、怪しげなニュースを拾ってきて怯えています。
台湾の死亡者説に至っては、まったくの100%混じり気のない悪質なデマであることが分かっています。
ま、ソースがあの日刊ゲンダイですからね。
「台湾に送ったワクチンで大量死」報道の真相/台湾に関するフェイクニュースの見分け方と台湾理解

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なんつうどッ派手なシャッツだ。
河野太郎氏がワクチン接種 控えた人への差別防止も呼び掛け | 毎日新聞

ワクチンデマについて、ワクチン担当大臣の河野太郎氏の的確な反論が氏の「ごまめのはぎしり」にアップされています。
河野さんの記事は歯切れがよくて、おもしろいのでご一読をお勧めします。
                                                              
  2021.06.2 ワクチンデマについて | 衆議院議員 河野太郎公式サイト (taro.org)

河野氏は、ワクチンデマの出所は世界で12箇所で、ここから日本に流入してきていると言っています。

「ワクチンに関する偽情報やデマを監視している団体によると、TwitterとFacebookにあるワクチン関連のそういった誤った情報の65%はわずか12の個人と団体が引き起こしていることが確認されています。(略)
日本で流布されるデマは、当初、海外で発信され、しばらくして日本にたどり着いたものが多くなっています 」(河野前掲)

中には医者にもかかわらずデマに加担する者もいるようです。

「中には医師免許を持っているにもかかわらず、デマを流す人もいます。
ワクチンデマを流す目的は、一、ワクチンを批判して、自分の出版物やオリジナル商品に注目を引き寄せて、お金を稼ぐ、二、科学よりも自分の信奉するイデオロギーに基づいて主張する、三、過去に誤ったことを発言したために抜け出せなくなっている、四、自分に注目を集めたい、ということが大きいと言われています」(河野前掲)

今回のCOVID19でめだったのは、メディアに出ていいかげんなことを専門外の医療関係者がしゃべり散らし、それをなんの検証もせずにメディアが面白おかしく拡散したことです。
このことで日本人は1億総不安症に罹ってしまいました。

具体的なデマとしては、ワクチンの治験でネズミが2年で死んだなどという、ちょっと真面目に考えればわかりそうなものもあるようです。
おいおい、ネズミは寿命が2年なんですよ(爆)。

「実験用のネズミの寿命がそもそも2年程度ですから、ワクチンを接種した人間が100年で全て死んだといっているのに等しいことになります」(河野前掲)

タチが悪いのは、ワクチン接種により不妊が起きる、という放射能の時にもあった女性の母性を刺激するデマです。
放射能デマでも、微量のセシウム134が体内に蓄積し、不妊や奇形児の原因となるという風評が流れました。
いわゆる低線量被爆説ですが、これを主張していた人たちは「事故以前はゼロベクレルだったのだから、食品基準値もゼロベクレルにしろ」などという始末です。
あの~、宇宙や地殻から放射される自然放射線があるんでゼロなんかありえないんですけどなどと言うと「東電のイヌめ」と蔑まれたものでした(遠い目)。
このようなデリケートな母性を利用して子供の健康や妊娠に引っかけるというデマは、効果的だと思っているせいか頻繁に用いられました。
今回もまた類似のデマが出ています。

「これまでのワクチンで、不妊が起きたことはありません。今回のコロナワクチンでも、不妊が起きるという科学的な根拠は全くありません。(略)
卵巣にコロナワクチンの成分が大量に蓄積する。
ワクチンの成分が体内でどう拡散するかを調べるために、放射性同位体を付加したワクチンをマウスに接種してみたところ、総放射能回収率は肝臓で最も高く18%となり、脾臓では1.0%以下、副腎では0.11%以下、卵巣では0.095%以下と、肝臓と比較して著しく低くなり、ピークも48時間でした。
単にごく微量が卵巣に一時的に分布したということであり、蓄積というのは明らかな誤りです。
アメリカで行われた3958人の妊婦を対象とした研究で、流産や早産、先天奇形が起こりやすいということがないことも確認されています」
(河野前掲)

ワクチン接種で遺伝子が組み換えられる、というものもあるようです。
これはファイザーなどのワクチンが従来なかったmRNAワクチンだったからですが、これもデマです。

「mRNAワクチンが遺伝子に組み込まれる可能性はありません。ヒトの遺伝情報はDNAの形で細胞の核の中に保存されています。
mRNAは細胞の核に入ることができません。
仮に、mRNAが細胞の核に入ったとしてもRNAをDNAに変換できませんし、それをヒトのDNAに組み込むこともできません。(略)
mRNAは半日から数日で分解され、ワクチンにより作られるスパイク蛋白も約2週間以内でほとんどがなくなります。
mRNAワクチンが遺伝子に組み込まれることはありません」(河野前掲)

後は、治験が終わっていないので安全性が確認されていない、というのもウソ。
mRNAワクチンも、基礎研究、動物実験、治験が省略されることなく実施され、リスクを上回る臨床的に意味のある有効性が確認されています。

というように、ワクチン危険説は根拠のない風評にすぎません。
風評に踊らされずに、積極的にワクチン接種に協力しましょう。
それがコロナ鬱病から回復する最短の道です。

 

 

2021年6月25日 (金)

習近平にとっての董経緯亡命の衝撃度

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おとといワクチン接種に行ってきました。
いやー、英国みたいに街歩く若い奴をつかまえて「おい、きみ映画券やるから、一発打って行かないか」なんてかんじじゃゼンゼンないですね。
予約の20分ほど前に会場に着いてのですが、もう相当数の人が列を作っていました。
そのあとが大変。接種券受け付けで書類を確認し、その後予診に必要な投薬記録を確認するテーブルに進み、また待機。
予診に進むと、医師からいろいろ問診を受けて接種していいですよ、となるとまた待機。
これでやっと接種本番に辿り着くというわけです。
そして打った後は副反応をみるために15分の待機。
締めて時間にして1時間ってところかな。

医師もスタッフの人も感じがいいんですが、クソ丁寧というか、クソまじめというか、こりゃ国民性ですかね。
これで英国スタイルは無理だわ。

副反応は出ました。
当日から接種した左腕の箇所が痛い。頭痛がする。
人によっては発熱もあるそうですが、1日たってもまだ痛い。
頭痛を伴う人もいるようですが、市販の頭痛薬をつかってもよいとのこと。
ただし、医師に相談して下さい。

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とまれ1日100万回を超えたそうで、年配者も半数(一度目)は接種したとのこと。
ケツが上がるまでは時間がかかっても、いったん決まって始まると世界一速い我が国らしい。
東京都は1日の新規感染者発表の際に65歳以上の感染者数も併記してくれているので助かりますが、この1週間は新規感染者数の全体に対する割合が14%から4%に激減しました。
既に効果が出始めているかもしれません。

もうひとがんばりです。

                                                                               ~~~~~

さて昨日からの続きです。
あくまでも亡命説がほんとうならですが、真実だったという仮定にたって進めていきます。
完全なフェークだという可能性も捨てきれませんが、私たちには調べようがありません。
ただこのようなことが噂されること自体、習近平体制が内部で瓦解を始めている兆候であることはまちがいないことです。

習近平にとっては青天の霹靂だったはずです。こともあろうに超限戦の秘密を握る董経緯が、膨大な証拠を携えて米国に逃亡してしまったのですから。
もしCOVID-19パンデミックの原因が武漢研究所であり、しかもそれがただの漏洩ではなく生物兵器だったという内部資料が出た場合、中国が受ける打撃は建国以来最大のものになるはずです。
習政権の崩壊にとどまらず、共産党支配自体が大きく揺らぐものとなるでしょう。
しかもこともあろうに、7月1日には建党100周年の節目に当たるというのに。

習の主敵は米国ではありません。
習が憎む最大の敵は、米国ではなく共産党内部の反対派です。
米国は習を殺しませんが、党内反対派は彼の皇帝の地位を脅かし、隙さえあればようしゃなく引きずり降ろすからです。
いったい何回彼は反対派から暗殺されかかったことか。
そして習も反腐敗闘争の名目で、いかにバサバサと反対派狩りをしてきたことか。

自由亜州はこう書いています。

「中国共産党は、常に内部裏切り者を「最も危険な敵」と見なしている‎。(略)
‎‎中国規律委員会は、100人以上の地方および省の高官が海外に行くことを禁止された「4つの規制と3つの防衛」を実施した」
(自由亜州前掲)

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自由亜州

実のところ、かなり知られている事実ですが、中国の官僚が習の反腐敗闘争の手を逃れて相次いで亡命しており、自由亜州が言うように、政府幹部の外国旅行を禁じています。
しかし官僚たちは、師弟を米国に留学させ、あわよくば永住権のひとつでもとらせて、大金を抱えて自分も逃げる足掛かりにしようとしています。
この董なども娘の董董揚はカリフォルニア大学に留学していましたが、共に姿を消したと言われています。
そもそも習の娘も米国留学しているのですから、しまらない話です。

「米国の元外交官で、「中共スパイ工作:インテリジェンス入門」の著者の一人であるマチュウ・ジェイムズ・ブラジルがラジオフリーアジアの取材を受けて語ったところによれば、中国が公式のこのような方法で、このタイミングで、海外の噂を打ち消そうとしているのが「非常に面白い」といい、かえって疑惑は深まったという。
「もし、私が中国当局の中の人だったら、董経緯の座談会の写真を添付するし、董経緯の娘の董揚の声明もつける。噂ではこの父娘両方ともが米国に亡命したという」。
米国のインテリジェンス界隈のニュースに特化して報道するマルチメディアサイト「スパイトーク」の特約編集員でもあるマチュウは、中国になにかさらに隠したい真相があるのではないか、とほのめかせている。
さらに言えば、中国の情報は不透明であり、国家安全やインテリジェンス関連を担う官僚に関する情報はほとんど知られていないのだ」(自由亜州前掲)

さて董経緯はどういう人物なのでしょうか、改めて確認しておきます。
看中国によれば、ただの官僚ではなく、習の「握り拳」のような人物です。

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「中国法学会公式サイトによると、董経緯(男性)は1963年11月生まれで、中国共産党員、大学院学歴は理学修士である。現在、国家安全部党委員会副部長を務めている。かつて、河北省国家安全部党委員会書記・部長、国家安全部党委員会政治部主任、中共「 第十八次全国代表大会 」、「 第十九次全国代表大会 」代表、第13回全国政治協商委員を歴任した。また、中国法学会の副会長の一人でもある」(看中国6月20日)

共産国家において公安部門は極めて重要なセクションです。
公安部門はほとんど無限の権力を与えられ、国内のみならず党内の「敵」を嗅ぎつけ、摘発し処断します。
中国なら董経緯が副部長をしていた国家安全部、旧ソ連ならKGB、北朝鮮なら社会保衛部などがそれに当たります。
共産党の歴代支配者たちは、公安部門に最も自らに忠実で、実力がある者を就けてきました。
そこで習がヘッドハントしたのが、この董経緯だったようです。

董経緯は、 習近平の信頼が厚く、彼の指示で国家安全部ナンバー2の地位につけたといわれています。
パリのインテリジェンス・オンラインサイトによれば、董経緯と習近平の密接な関係は、彼が河北省国家安全庁庁長時代、現地で習近平の安全を守るSPを育成したところから始まっているそうです。
ここで習に見いだされた董は、一気に中央へと駆け上がることになりました。
当時の国家安全部は、習の政治的ライバルである曽慶紅、周永康の牙城で反習派の拠点を成していました。

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曽慶紅: 日本経済新聞

習は董経緯を使って曽、周を失脚させたのち、後釜に彼を据えたようです。

「中共建党百年を控え、社会の安定を維持するだけでなく、政治の安定も中国共産党内では極めて重要な筆頭任務だ。このタイミングで、習近平と親密な関係にある国家安全部官僚の裏切りと亡命は、現在ニューヨーク市立大学政治学部教授の夏明の「ゴキブリ理論」(1一人いたら、その背後30人はいる)で説明するとすると、習近平の高圧的管理コントロールの元で、突出しており、中共党内の各々の人が危険を感じ、安全感がない、ということだろう、という。つまり、一人の裏切り者がいれば、少なくともその30倍は内通者がいる。
「中国の目下の最大の問題は、中国のエリート層にある種の分裂が起きていることだ…。習近平と習近平周辺の人たちも安全感がなく、どれほどの人間が背後で自分たちを陥れようとしているかわからず、一部の人は習近平が自分を疑うのやめさせるために、別の人を密告したり、噂を流したりして、何が本当で何がウソか、わからない状況だ」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.365 2021年6月21日)

そればかりではなく、董経緯は対外諜報網と防諜の責任者でした。

「ニューヨークタイムズによれば、2010年から2012年の間、中国当局は、米国が中国内に配置した多くの情報ネットワークをかたっぱしから潰していった。時には、中国当局機関の建物内で米国の諜報員協力者を射殺するようなことまでして、徹底的に殺害し、CIAが中国に張り巡らしていた情報ネットワークはほぼ全滅状態となった、という。
米国の中国における情報網が破られたことは、、CIA自体が中国側に浸透を受けていたいことと関係がある。2019年5月、元CIA局員のケビン・パトリック・マルロイは中国のために諜報活動を行っていたことで逮捕、起訴され、懲役20年の刑を受けた。同年11月、李振成(ジェリー・リー)は中国に機密情報を提供しようと企んでいたことを認めて、懲役19年の刑を受けた。
台湾海峡間のスパイ対スパイ合戦は、1990年代の台湾海峡危機のころが最も知られる。時の台湾総統李登輝が「中共が発射した唖巴弾(口のきけない爆弾)」がある、と語り、中共スパイへの注意を促したことがある。
台湾軍情報局に潜入していた中共スパイの李志豪は、解放軍少将の劉連昆ら裏切り者ののリスト情報を中国に送り、劉連昆は1999年に死刑にされ、その息子は懲役15年の判決を受けたほか、200人の解放軍将官が取り調べをうけて30人以上が懲役刑に処さされた」」
(福島前掲)

今回、董経緯はDIAを頼んで亡命しました。CIAは蚊帳の外です。
その理由は、おそらくCIA内部には中国側スパイ網が存在することを、スパイキャッチャーだった董経緯が知っていたからです。
大統領選の時のそCIAの不審な動きが暴露されかかりましたが、とまれ董経緯が持って逃げた情報によって、現在CIAは大掃除を受けているところのはずです。

 

※今日は記事が重複した部分が何カ所かでました。申し訳ありません。



2021年6月24日 (木)

董経緯亡命はバイデン政権の対中強硬路線へのきっかけか

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董経緯亡命の続報です。
あいかわらず真相は闇の中なのですが、この間精力的に武漢研究所起源説を追ってきたニューズウィークが記事に組んでいます。

「<中国国家安全部の副部長の亡命が本当なら、アメリカに亡命した最高位の中国人になる。それも新型コロナウイルスが人為的に作られた証拠を携えているという>
中国共産党の最高幹部の一人がアメリカに亡命したという未確認情報が立て続けに報じられ、関心を集めている。しかもこの人物は、いわゆる新型コロナウイルス人工説を裏付ける、中国にとって不利な機密情報を持ち出したというのだ。
アメリカの保守系ニュース解説サイト「レッドスター」と、諜報業界のニュースレター「スパイトーク」は、アメリカに亡命した高官の正体として、中国国家安全部副部長という要職にある董経緯の名を挙げた。
中国政府は董(57)に関する噂についてまだ正式にコメントしていないが、米政府筋は本誌に、この話は「絶対に真実ではない」と語った。一方、中国のインターネット・コミュニティのなかには、董の居所を疑う声もある」(ニューズウィーク6月23日)

内容的にはこのブログでも既報のものばかりですが、米国政府が「絶対真実ではない」というのが、中国政府にかかるのか、董経緯の亡命が真実ではないといっているのかよくわかりません。たぶん後者でしょう。

私は亡命が事実だという仮説に立って話を進めていきます。
あくまでも仮説ですのでお含みおき下さい。

さて中国側の反応が出始めています。
これがなかなか傑作なのです。
報じているのは米国の自由亜州 という中国語系SNSです。

「中国メディアは6月18日、国家安全保障担当副大臣の董経緯(ドン・ジンウェイ)が同日朝、反スパイシンポジウムを主催し、最近海外に亡命したとの噂を打ち破ったと報じた。 一部の米国の専門家は、100年の党大会の前夜に、すべての安定を維持するために、中国共産党が噂を「興味深い」で方法で解決するためにはまだ不十分だと考えている。 中国当局の亡命は、常に焦点となり得る。‎
‎国家安全保障省は、スパイと「内部犯」と「裏金主」の両方を逮捕する必要があると指摘した。 中央政治法委員会のWeChatパブリック番号「長安剣」は、上記のニュースを公表するために率先して、特に注目を集めたシンポジウムは、ドン・ジンウェイが議長を務めたと述べた」
(2021年6月21日 自由亜州  原文中国語『
中共国安高层现身破叛逃传闻 美专家质疑』)
https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/junshiwaijiao/rc-06182021095909.html‎

この会議の中で董経緯はこう言ったことになっています。

「董経緯が議長となった会議の内容を詳しくみてみると、目下国外のスパイ情報機関と各種の敵対勢力の党内浸透と機密窃取活動が明らかにエスカレートしている、という。国家安全部機関は、さらに、反スパイ「人民戦争」と戦うために、社会全体のパワーをよりよく組織的に動員すべきである、と呼び掛けた」(自由亜州前掲)

言ったとされることは平凡で、いかにも当局者がいいそうなことにすぎませんが、問題は中国が「長安剣」というツイッターに、中央政法委員会系オフィシャルアカウントを使って、今話題になっている董経緯の名前を出して反スパイ座談会の司会をさせたという意味です。
この亡命説が根も葉もなければ、沈黙すればよいのです。
ただの官僚ではなく、習の懐刀で、いつもは表に顔を出さないスパイの親玉なんですからね。
つまり共産党中央は、7月1日に迫る建党100周年記念大会前に、中国共産党のすべてが安定している、董のような高官が亡命することなどありえないと言いたいようです。

ほー、面白い。これだけムキになって否定されるとひねくれ者の私など、そんなに隠したいことなら真実なのか、と思ってしまいます。
なぜそのようにムキになるのでしょうか、逆にその真意を知りたいくらいです。

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楊潔篪-ブリンケン会談 米中、人権・経済巡り激突 外交トップ、初の直接会談|【西日本新聞

楊潔篪が米中外交責任者直接対話において、ブリンケンに董経緯の返還を要求したというのは眉唾ですが(共産国家が高官の亡命を認めることなど絶対にあり得ませんから)、むしろ返還うんぬんよりもこの直接対話があったのが3月だという時期に注目してください。
以後、ブリンケンは、いやバイデンは外交は皮肉にもあれほど批判してきたトランプ路線、すなわち対中強硬路線を突っ走り始めます。
思えば、EU・NATOを反中包囲網に組み込んだのもこの3月でした。

そう見てくると、対中宥和路線を取と思われていたバイデン政権が、この3月を境に大きく転換したのがお判りになると思います。
そしてさらに追い打ちをかけるように、ワシントンポストなどの米国大手メディアが武漢研究所起源説を公然と報道を開始したのもこ時期からです。
それを受けて、バイデンがパンデミックの起源の再調査を命じたのがこの5月です。

なにか決定的に米国を硬化させる情報が、この3月以前のどこかの時期にもたらされたと考えると分かりやすくなります。
この董経緯亡命が起きたとされる時期はいつだったのか、それが重要です。
先日紹介したRed Stateによれば、それは今年の2月中旬に発生しています。
つまりブリケン-楊会談の一カ月前なのです。

董経緯が持ち込んだ情報は、彼の高いランクから考えて極めて危険なものであると想像できます。
董の国安部責任者という立場は、超限戦の指揮官、ないしはそれを熟知する立場の人物でした。
とうぜんこのCOVID-19パンデミックの正体がなにかを物語るものが含まれていたとしても、いささかも不思議ではありません。

それは今まで武漢研究所起源説を、ただのトランプの陰謀論だと一蹴してきたバイデンを震え上がらせるに充分な破壊力を持っていたはずです。
董はそれ以前からなんらかの接触を米国インテリジェンス機関ともっていた可能性があります。
いきなり亡命するという線もなくはありませんが、以前から米国の二重スパイだったとしても不思議はないからです。
なにかしらのことで発覚し、尻に火がついて亡命したのがこの2月だったということです。

ですからトランプやポンペオは、董経緯情報を知り得ていたと思います。
それがポンペオがいう、武漢研究所起源説には3mの高さの証拠があると胸を張る言葉の裏づけのような気がします。
ただこの証拠を開示すれば、その時点で董経緯の正体が発覚し、その生命はなかったはずです。
米国は中国共産党中枢の、しかも諜報係トップという貴重極まる「資産」を失うことになります。
だから情報ソースの隠匿のために、決定的証拠を開示できなかったのです。
ブリンケン-楊潔篪会談の感想をFOXに求められて、ポンペオはなまぬるい、なぜ武漢研究所起源説をぶつけなかったのだと怒っていましたが、それは3月には既に董経緯が亡命して米国の安全な懐に確保されていたからです。

とまれこのような流れがあって、バイデンはトランプの外交路線に追随する決意を固めたのかもしれません。
そう考えると、今までわからなかったことのパーツが、ピタピタと平仄があって組み合わされてきます。

たぶんこの董経緯情報はファイブアイズはもとより、NATOにも提供されていると思われます。
だから、今まで対中宥和に傾きがちな独仏などのEUですら、対中強硬方針に転換することを納得せざるを得なかったのかもしれません。
日本に対しても、おそらくなんらかの情報提供はあったでしょうが、なんとも言えません。
日本は機密情報の保持に関して、安倍政権時代にそうとうに締めてきていますが、親中派が政権中枢に多く存在する国と目されていますから。

長くなりそうなので、次回に続けます。

 

2021年6月23日 (水)

りんご日報廃刊へ 日本のメディアよ、これがほんとうの言論弾圧だ

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かつてローマはカルタゴを滅ぼしたとき、その地を占領するだけでは飽き足らず、塩を撒いて永遠の不毛の地にしようとしたそうです。
中国の作法もそのとおりでした。
中国は香港という土地から民主主義を根こそぎしただけではなく、この香港の地に永遠に芽生えないように塩を撒きました。
それが今、香港で繰り広げられている事態です。
蘋果(ひんか・りんご)日報が廃刊に追い込まれました。

それを伝える香港ポストです。

「『りんご日報』、23日にも休刊に
創刊26年の『りんご日報』は今週中に休刊するもようだ。6月22日付香港各紙によると、警察は香港版国家安全法の「外国または域外勢力と結託して国家の安全を脅かした罪」で壱伝媒集団(ネクストメディア)と『りんご日報』の幹部5人を逮捕し、関連会社3社の資産1800万ドルを凍結した。壱伝媒集団は職員の給与を支払うことができないため、21日に特区政府保安局に一部資産の凍結解除を要求し、25日がデッドラインとなる。資産凍結が解除されなければ『りんご動新聞』は同日11時59分に運営停止、『りんご日報』は26日の発行を最後に休刊する。政府は関連資産を調査中で、関係者が引き続き法を犯すことを防ぐため資産凍結の解除を認めないとみられる。21日には大部分の職員が辞職を決定したため正常な運営を維持することは難しくなり、『りんご日報』は前倒しで23日に運営を停止する可能性がある。またこれに先駆け「りんご9時半新聞」は21日に放送停止を発表した」(6月22日香港ポスト)

Dahchyka

上の写真は去年8月時のものですが、今回6月17日の家宅捜索はまさに絨毯爆撃のような態をなしました。
蘋果日報(りんご日報)を出版するネクストデジタル本社に500人が入り、徹底的にあらゆる机、あらゆる戸棚、キャビネットをぶちまけて捜索したと言われています。
その際、押収された取材ディスクは実に44枚。
押収といっても、中国の「押収」は立件に必要な証拠物件が見つかれば返却するという司法ルールがないので、押収の名を借りた事実上の没収です。

そもそも自由主義社会においては、新聞社に司法権力がガサ入れすること自体がかんがえられもしないことです。
わが国で新聞社が襲われたのは、2・26のクーデター時に反乱軍に侵入された時くらいで、このような香港警察の捜索自体が異常極まるものです。
今回、当局は詐欺罪が立件容疑のはずですが、大量に取材資料を押収していったことから、おそらく取材メモにある民主活動家の人名や発言などを探していたのだと思われます。

今回は、オーナーのジミー・ライが逮捕されたことだけのことで、それをもって報道機関の財産とライの個人資産すべてを凍結し、家宅捜索で取材資料を大量に持ち去るなどということは、自由主義社会では絶対にありえないことです。
もちろん香港ですらこのようなことはいままでなされたことはなかったし、いかに中国流全体主義が今や香港を濃厚に覆い尽くそうとしていることがわかります。
その意味で、ジミーライの逮捕と、りんご日報の閉鎖は、香港の民主主義が完全に死滅した分水嶺となるはずです。

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ブルームバーク ジミー・ライ

その他りんご日報は、資産230万米ドルが凍結され、財政的に破綻に追い込まれました。
同時に印刷所なども閉鎖に追い込まれるという徹底ぶりです。。
同時に社の幹部5名も逮捕されました。

「業務への影響も大きい。金融ニュースを担当する幹部らが離職し、蘋果日報電子版は22日から金融ニュースの業務を停止、紙面でも23日付から掲載できなくなった。国際ニュースを担当する幹部らも離職した。同紙英語版も業務停止に追い込まれた。
ネットで蘋果日報の動画ニュースを伝える番組の女性キャスターは21日夜、「とても残念ですが、これが最後の放送になります」と説明。「道は険しくても、真実を守るため引き続き職務に当たってほしい」と他のメディアにエールを送り、「香港人の皆さん、ご自愛ください。縁があればまた会いましょう。バイバイ」と番組を終えた」[産経6月22日)

それでも翌日18日付けのりんご日報は、実に50万部を刷り、たちまち売れたようです。
香港市民はりんご日報が白紙であっても買う、と言っているそうです。

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リンゴ日報」発行停止か 25日に最終決定―香港:時事ドットコム

日本のメディア諸兄よ、これが正真正銘の言論弾圧です。
諸君らが官房長官会見で発言を独占しようとして制止されたくらいで「言論弾圧だ」なんて言っているのが、児戯の類だと分かりましたか。
もし日本のメディアが「言論の自由」を謳いたいなら、この一報道機関にすぎないりんご日報の弾圧に対して、彼らを守るために新聞協会や新聞労連が立ち上がることです。
もちろん日本メディアは声明ひとつ上げようとしないでしょうから、彼らが常日頃言っている「報道の自由」「知る権利」とはしょせんそんなていどものなのです。
このりんご日報廃刊のニューさえ伝えたのは1面で載せた産経のみ。朝日、毎日は1面からモリカケ新文書発見です。
この人たちには、ジャーナリズムの矜持というものすらないようです。

とまれ、月末を待たず、りんご日報とネクスト・デジタルの歴史は終わります。
なぜこの時期に中国が大弾圧の鉈を振るったのかといえば、7月1日は香港返還記念日、そして、建党100周年記念行事日で習近平の重要演説が控えているからです。
だから中国共産党と香港当局のヒラメ共は、点数稼ぎに香港に残った唯一の自由のシンポルであるリンゴ日報を壊滅に追い込んだのです。

先だってのコメントに、中国は崩れるふうもない、重い・・・、というご意見がありましたが、お気持ちはわかります。
ただ私からひとつだけ言えることは諦めないこと、悲惨なことに慣れてしまわないこと。
またかと言って見逃さないこと。
私たちのこういった無力感こそが、彼らの糧なのですから。

 

 

 

2021年6月22日 (火)

イスラエルとイラン、同時に強硬派新政権誕生

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イランとイスラエルが同時に新政権をとなりました。
しかも共にバリバリの強硬派が政権を握りました。

「6月13日に、イスラエルの国会に当たるクネセトが総会を開催し、第36代内閣発足を正式に承認した。8党からなる連立政権は、「イェシュ・アティド」のヤイル・ラピッド党首が中心となって交渉を進めてきた。
首相には「ヤミナ」のナフタリ・ベネット党首が就任、4年間の任期の前半2年間を担当するとともに入植地相を兼ねる。ラピッド党首は後半2年間の任期で首相に就任する想定で、前半2年間は副首相と外務相を兼ねる。また、ベニー・ガンツ副首相兼国防相が前政権から引き続き同ポストに就く。アラブ政党として初めて連立政権に加わった「ラアム(アラブリスト連合)」は閣僚を出さなかった。内閣全体で3人の副首相を含む33の閣僚ポストに延べ27人が名を連ね、うち9人が女性閣僚となる」
(JETROビジネス短信 2021年06月16日 )

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アラブニュース

イスラエル新政権は右派のネタニヤフ政権を倒したのですが、たった1議席差だったそうです。
当然のことながら、ベンヤミン・ ネタニヤフが率いるリクードは巨大野党として残り続けます。
ナフタリ・ ベネット新首相からして、ネタニヤフの元側近でしたから、ネタニヤフからすれば手の内はすっかりお見通し。新首相のお手並み拝見、それ次第で倒すということのようです。
中東政界の寝業師はそうそう簡単に権力を手放すはずがありません。

「ネタニヤフ氏は退陣後もリクードの党首に残る意向を示している。リクードは現在、イスラエル議会の4分の1の議席を占めている。
熟練の政治的ストラテジストとして、ネタニヤフ氏は野党の立場から連立政権の弱点を突こうとするだろう。
新首相への批判はすでに始まっている。ネタニヤフ氏はかつての側近だったベネット氏が「100年に一度の詐欺」を働いて左派政府を作り上げ、イスラエルを危機に陥れる可能性があると非難した。
かつての王は、王冠の奪還を諦めていない」(BBC前掲)

12年間のネタニヤフ政権は毀誉褒貶の激しいものでしたが、直接の倒れた原因は長期政権につきものの腐敗です。


「国際舞台での成功とは裏腹に、ネタニヤフ氏の国内での問題は膨らんでいった。
ネタニヤフ氏には現在、賄賂として高価な贈答品を受け取った疑惑や、好意的な記事を書いてもらう代わりに規制上の便宜を図った疑惑などがかけられている
ネタニヤフ氏は全ての疑惑を否定しており、裁判は政治的な魔女狩りだと批判している。(略)
多くのイスラエル国民にとって、ネタニヤフ氏をめぐる法的手続きの長期化と政治の停滞は連動した問題だ。同国では過去2年で4回の総選挙が行われたが、いずれも第一党による政権樹立には至らなかった」(BBC 2021年6月14日)

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BBC ネタニヤフ

とはいえネタニヤフが、12年間も倒れなかったのは、もっと別な理由があります。
BBCはやや皮肉っぽく、「外交面でも、ネタニヤフ氏はイスラエルの顔だった。アメリカの発音の英語を流暢に話し、自国を実際の大きさ以上に押し上げていた」と評しています。


「ある伝記作家は、イスラエルをパレスチナとの長年の紛争という側面だけを通して見ることから、「完全にパラダイム転換させた」ことが、ネタニヤフ氏の功績の主要部分だと指摘している。
「Bibi: The Turbulent Life and Times of Benjamin Netanyahu」の著者アンシェル・プフェッファー氏は、「(パレスチナ問題は)中東の問題全てを解決するカギだと思われていた」と話す。
「それが根底から覆された」
「この紛争解決から最も遠ざかったにも関わらず、(ネタニヤフ氏は)アラブ諸国と4つの合意を交わした。イスラエルは世界各国との関係を改善し、新型コロナウイルス以前は10年にわたって経済成長を続けた」(BBC前掲)

ネタニヤフは、今までのオスロ合意がそうであったように、<イスラエルvsパレスティナ>という狭い視界を大きくこじ開けて、<アラブ世界全体とイスラエルの共存共栄>の道を拓いたのです。
前者のオスロ合意は民主党クリントン政権が主導したものでしたが、後者のアブラハム合意を主導したのがトランプとこのネタニヤフでした。
この画期的な合意は、やれイスラエル寄りだ、「パレスティナ解放の大義を捨てるのか」といわれながらも、新たな中東和平の枠組みとして定着しています。

さて、新たに生まれた新政権ですが、なんと右から左まで全員参加、そのうえラアムというムスリム同胞団系のアラブ人政党も含まれ(閣僚は出さず)、女性閣僚が9人という、朝日新聞が泣いてよろこびそうな多様性全開ぶりです。
とうぜん、主義主張はてんでんばらばら、ムスリム同胞団系政党は国のイスラム化を目指していますし、一方の右派は真性ユダヤ人の国家を目指すというのですから、頭がぐるぐるします。

しかしこれが、ネタニヤフを倒したい一心で連立を組めたのは、ひとえにイスラエルが完全比例代表制をとっているからです。
なにかどこかの国みたいに「反自民」一本で、共産党まで入れる(というか共産党が主唱者ですが)「全野党共闘」みたいですね。
こういう呉越同舟ぶりですから、連立政権の首相は2年間の輪番制(!)、初めの首相は極右派から「ヤミナ」のベネット党首がなることになりました。
かくしてネタニヤフ以上の極右政権となってしまいました。
といっても、私にはとても2年間、このゴッタ煮政権が持つとはおもえませんが。

ネタニヤフより右だと言われるベネット新首相がやった初めの仕事が、ガザ爆撃です。
彼からすれば、なめられないために初めからガツンと、というところでしょうか。

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ベネット新首相 イスラエル新政府に対する新任投票が来週開催|ARAB NEWS

「イスラエル軍は16日、イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザを空爆したと発表した。ガザから発火装置付きの風船がイスラエル領内に飛ばされ、火災が相次いだことへの報復としている。イスラエルでは強硬派の新政権が発足したばかりで、双方の緊張が高まる恐れがある。
イスラエルによる攻撃は5月21日に発効した停戦後初めて。イスラエル軍は16日未明にハマスの軍事施設を標的に空爆を実施した。同軍は「テロ行為が続くなかでは、戦闘を含めたあらゆるシナリオを用意している」と声明を発表し、ガザへのさらなる攻撃の可能性を示唆した。
イスラエルとハマスは11日間に及んだ軍事衝突の末、双方が停戦に合意。ただ、交戦のきっかけとなった聖地エルサレムをめぐる対立などが未解決なうえ、13日にはイスラエルでナフタリ・ベネット首相が率いる新政権が発足。パレスチナでのユダヤ人入植活動を推進し、ネタニヤフ前首相よりも強硬な右派とされる」(日経2021年6月16日)

ガザ地区に対する2日続けて空爆で、その理由はまたもやったらやり返すという応酬から始まっています。

「イスラエルでは、今月13日に12年ぶりの政権交代で発足した連立政権がエルサレムでパレスチナ人が多く暮らす地域での極右支持者の行進を認めたことをきっかけにハマス側が反発を強め、イスラエル南部に向けて発火物を付けた風船を飛ばし、火事が起きています。
これに対しベネット首相が率いる新政権は16日、ガザ地区に停戦後初めてとなる空爆を行い、17日にも北部にある武装勢力の拠点を空爆しました。これまでのところ、空爆によるけが人は報告されていません」(NHK6月19日)

ただし今回の新政権の爆撃は、ハマスが風船爆弾で放火を重ねていることに対する報復措置で、小規模限定的なものです。
大戦末期の日本じゃあるまいに風船爆弾なんか飛ばすハマスもハマスなら、いきなり新政権になっていきなり爆撃から始めるというところが、いかにも「らしい」ところです。
ネタミヤフ政権末期の猛爆と違ってハマスへジャブを撃ち、ハマスはハマスでロケット弾を撃ち尽くしたせいもあってか、愉快犯もどきのテロです。
まぁ、一種の名刺交換会のようなものでしょうか。

ところで、イランでも強硬派が大統領に就任しました。こちらについては簡単に。

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イラン大統領選、保守強硬派のライシ師が当選 - BBCニュース

「中東、偶発衝突の懸念 イラン大統領に強硬派ライシ師
イランの次期大統領に反米の保守強硬派として知られるライシ師が就任することが決まった。超大国の米国が中東への関与を低下させようとする中で、イランと対立するイスラエルでも今月13日に首相が交代し、地域の政治の予見性は大きく下がっている。米国が制裁対象としてきたライシ師の大統領就任で、偶発的な衝突のリスクは一段と増しそうだ」(日経6月10日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB186J20Y1A610C2000000

中東各国がアブラハム合意へと足並みを揃えて行く中で、締め上げられていくイランはとうとうテロの指導者と目されてきたイブラヒム・ライシを大統領にしてしまったようです。
ライシは黒ターバンを身につけていることから、ハメイニ師に継ぐ3代目指導者の地位を約束されているといわれています。

「ライシ師はシーア派の最高位アヤトラの称号こそ持っていないが、イスラムの預言者ムハンマドの血筋であることを象徴する黒のターバンを身に着けている。初代最高指導者のホメイニ氏、2代目のハメネイ師も共に黒ターバンだ。「82歳という高齢のハメネイ師がライシ師を自分の後継者の3代目最高指導者に決め、その布石として大統領にさせたのではないか」(ベイルート筋)というのが一般的な見方だろう」(佐々木伸 6月20日wedge)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/23314

ライシは、「革命の処刑人」として頭角を現し、反米強硬派として知られた存在です。
アムネスティはライシの当選発表後、直ちに「この人は人道に反する罪を犯した疑いが強い、調査すべきだ」と声明を発表、イスラエルの首相や外相は「虐殺者」「残虐な吊るし人(ハングマンhangman)」などとライシを呼んで非難しました。
どうして「ハングマン」と呼ばれるかというと、ライシが捕まえた反体制派の人々をクレーンで縛り首にしたからです。
このライシのクレーン縛り首はいまでも続けられています。

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イランで13人が絞首刑に、公開処刑も

「ライシ師を有名にしたのがこの革命法廷の検事時代だ。1988年のこの当時、イラン・イラク戦争が終結を迎え、敵国イラクの支援を受けていた反体制派ムジャヒディン・ハルクの活動家に厳しい判決が相次いでいた。同師は反体制派に次々に死刑判決を下した“死の委員会”のメンバーだったといわれている。 
本人はメンバーだったことを認めてはいないが、2カ月間で約5000人に死刑が言い渡された。反体制派は3万人が処刑されたと主張している。しかも適切な裁判手続きを経ないケースが相当数あったといわれ、イラン史に残る「暗黒の集団処刑」と指摘されている。80年代初め、ライシ師はハメネイ師に近いイスラム導師の娘と結婚した」(佐々木前掲)

ライシによって、イランがかろうじて維持してきた宗教指導者と世俗的権力という二重支配構造が崩壊し、宗教指導者が一元的に支配する国に純化していくようです。
そして最高指導者が直接指揮する革命防衛隊が更に強化されることになります。

このようにイスラエルには脆弱な右派政権が誕生し、一方イランにもイスラエルを海に追い落とすことを信念にする政権が生まれました。
そして本来この二国を衝突しないように強くコントロールすべき米国が、トランプのアブラハム合意を壊したいはずのバイデンですから、なんともかとも。

 

 

2021年6月21日 (月)

COVID -19情報を持って中国安全保障部副部長、米国に亡命か

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未確認情報ですが、中国の安全保障省(インテリジェンス)の高官が、COVID19の情報を持って米国に亡命したそうです。
ソースはDAILT BEASTの記事です、似たような情報は台湾系SASに複数存在しています。
DAILT BEASTの記事は、短くこのような事実を伝えています。

「中国語の反共産主義メディアとツイッターは今週、ドン・ジンウェイ国家安全保障担当副部長が2月中旬に亡命し、娘のドン・ヤンと共に香港から米国に飛んだという噂で騒がれている。
ドン・ジンウェイは、COVID-19パンデミックの起源に関するバイデン政権の姿勢を変えた武漢ウイルス学研究所に関する米国の情報を与えたと思われる。
ドンは、中国の国家安全保障省(MSS)の長年の役人であり、国安武とも呼ばれていた。彼の公的に入手可能な経歴は、彼が2018年4月に副部長に昇進して以来、中国における同省の対諜報活動、すなわちスパイ捕獲の責任を負ったことを示している。もしその話が本当なら、ドンは中華人民共和国の歴史の中で最高レベルの脱北者になるだろう」
"Rumors of U.S. Secretly Harboring Top China Official Swirl"
https://www.thedailybeast.com/rumors-of-us-secretly-harboring-top-china-official-dong-jingwei-swirl

亡命したと噂されているのは董経緯(董经纬)国家安全保障省副部長(vice minister of state security MSS副大臣)で、その在米の娘も一緒に亡命したと報じられています。
情報の信頼性はなんともいえませんが、ほんとうなら今までの武漢研究所起源説を決定づけるものとしての期待が高まることになります。
ただし、このような事件にはかならずインテリジェンス機関の介在がありますから、中国側のディスインフォメーション(偽情報)ということも充分ありますので、注意して見守る必要があります。
また内容に関しても、このような可能性があるていどで収めて、鵜呑みにしないで下さい。

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董经纬叛逃的消息来源原来是他?爆料者澳洲小蒋提供了消息来源。 - YouTube

もう少し詳しい情報としては、Red Stateのような情報もあります。
 Jennifer Van Laar | Jun 17, 2021
"BREAKING: Chinese Defector's Identity Confirmed, Was Top Counterintelligence Official"
https://redstate.com/jenvanlaar/2021/06/17/breaking-chinese-defector-confirmed-as-top-counterintelligence-official-n398374

このRed State情報はさらに詳細に伝えていますので、整理して抄録しておきます。
脱北者は董経緯(Dong Jingwei) で、この人物は西側にも顔が知られている国家安全保障省副部長です。

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董经纬“讲话”辟谣出逃?与习近平密切关系曝光| 中共国安部| 副部长

董経緯は、中国において対諜報活動を担当しており、上の経歴から見ると、2018年4月に副部長に昇進して、中国における防諜活動、すなわちスパイキャッチャーの責任者だったようです。
仮に亡命が事実なら、は中国始まって以来、最高ランクの亡命者となります。

旧冷戦期にはこのような事例はいくつかあります。
冷戦時代にはMI6の大幹部キム・フィルビーがソ連に亡命し、逆にソ連KGB中将だったゲンリフ・リュシコフは米国へ逃亡しています。
このように各国情報機関は、双方ともに相手の懐に手を入れあっていることはよく知られていますが、今回のように米中が南シナ海や香港、ウィグル、そしてCOVID-19と争点が尽きない時期の亡命は衝撃的です。

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さて董は、今年2月中旬、カリフォルニア州の大学に学ぶ娘のドン・ヤンを訪問するために渡米しました。
香港を経由したという報道もあります。
もちろんこれは表向きの口実で、衝動的に亡命などできないはずですから、かなり前の時期から米国情報筋と接触があったはずです。
董は、カリフォルニアに到着すると、DIA(国防情報局・国防総省系列の情報機関)当局者に連絡し、自分の持っている情報を伝えて亡命計画を相談しました。
となると残る妻や子供は間違いなく重罪で収容所行きですが(リュシコフの家族は死刑にされています)、彼としては留学中の娘だけは救いたいとかんがえたのかもしれません。

おそらく現在はDIAのセーフハウス(安全な隠れ場所) で保護していると推測されますが、一般的には、情報を完全に出しきったと見極められた時点で、新たな名前と経歴を与えられて密かに市民社会に溶け込むことを許されます。

この董を巡って、2021年3月の米中外交サミットにおいて楊潔篪(ようけつち)が直接ブリンケンに引き渡しを要求したと言われていますが、ブリンケンはそのような男は知らないと答えたそうです。
ブリンケンが本当に知らなかったとは思えませんので、拒否したということでしょう。

董が提供したとみられる情報は、中国軍の特殊兵器システム、中国軍の武漢ウイルス研究所の運営実態とCOVID-19の起源が含まれていると言われています。
もしこれが真実なら、今まで積み重ねられてきた状況証拠と科学的証拠に加えて、中国政府内部情報が加わり、その質次第ではこれがほんとうのチェックメイトとなる可能性がでてきました。

または米国へのCOVID-19の侵入経路は今まで謎とされてきましたが、このような情報もあります。
Washington Free Beacon earlier this week によれば、396人もの中国国民は、米国の法執行当局がCOVID-19パンデミックの開始時に渡航禁止が命じられる前に、渡航制限を掛けられる前に駆け込み入国していたそうです。
"Feds Investigating Chinese Spies’ Return to US Ahead of COVID Travel Ban"

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 ワシントン・フリービーコン

おそらくはこの中国人インバウンド渡航者の中に、相当数のウィルスキャリヤーがいたと思われます。
そして憶測ですが、中国当局が意図的に留学生に仕込んだ「ウィルス時限爆弾」を中国がパンデミックになる前に米国に送り込んだとしてもなんら不思議がありません。
米国は世界で最も厳しい中国渡航制限を敷いた国ですが、その前に中国人学生らによってウィルスが持ち込まれていたというわけです。
このような場合、生物兵器説の可能性も濃厚になります。

なお、董のテラバイトデータには、米国内の中国の資産、すなわちスパイ網の情報があると言われ、米国政府、政治家、研究所、あるいは軍関連の中の情報提供者網があぶり出されることになります。
また董情報には、 ハンターバンデン関連の情報もかなり含まれているという噂もあって、それがバイデンによる意図的隠蔽につながる危険性も存在しています。
この董情報がいつまで待っても表面に出てこない場合、その可能性が濃厚でしょう。

 

2021年6月20日 (日)

日曜写真館 こんなふうにひと老いゆくか蘭の花

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むせび泣くあまりに高き蘭の香に 渡辺恭子

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   われ等みな名もなき山の蘭の花 会津八一

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宮大工老いては蘭を愛しけり 野村喜舟

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祭なり若者が来て蘭を嗅ぐ 中山純子

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星空も生者の側に蘭溢れ 花谷和子

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人賤しく蘭の價を論じけり 蘭 正岡子規

 

2021年6月19日 (土)

誰がウィグル人権決議を止めたのか

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もうこんな与党なら、いらないのではないでしょうか。
中国政府によるウイグル・ジェノサイドに対する非難の声は、今や世界的な拡がりを見せており、国内的にも理解が得られていることです。
G7でもそれははっきりと確認されたことであって、遠い欧州ですら英仏独が艦隊を派遣しようという時代です。
中国は人類全体にとって極めて危険な脅威に成長したという認識は、いまや世界の共通認識なのです。
大昔のパンダ外交で湧いた時代ならばともかく、今のような時期に非難決議一本すら通せないなら「自由民主」という看板を降ろすことです。
いや、文明国の看板など降ろしてしまえ。

今回の国会の人権非難決議には、常に必ずゴネる立憲や共産党すら賛成に回りました。
しかしご承知のように、決議案は廃案となりました。
では誰が潰したのか。
自民党の中枢と公明党が反対したからです。
立憲と共産が賛成した人権議案を、自民党と公明党が反対して葬るとは絶句します。

名指ししましょう。
自民党で非難決議を止めたのは、二階、そして林幹雄(もとお)でした。
林は自民党幹事長代理兼自民党選対委員長代理で、大下英治氏から「二階の懐刀」「自民党の大番頭」と呼ばれている男です。

この経過を桜井よし子氏が明らかにしています。
今週の月曜日、ウイグル議連会長の古屋圭司氏、政調会長の下村博文、南モンゴル議連から高市早苗、そして事務局的に動いていた長尾敬議員らが、二階、森山国対委員長らのところに説得に回ったそうです。
その場で二階はいったん判ったとサインを仕掛けたのを止めたのが、この林幹雄でした。

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二階と林 www.nhk.or.jp

有本香氏によれば、その場で林は「こういうのには興味がない」と言って署名を拒否したといい、二階はそれに引きずられました。

「下村氏の説明を聴いた二階氏が承認のサインをしようとペンを手に取ろうとしたその瞬間、「ちょっと待ってください」と止めたのが、林氏だった。二階氏の中国詣でにも随行している人だ。林氏は来月に迫った東京都議選で、いかに公明党と連携するかを語りながら承認を渋り、最後の最後、「こういうの(ウイグル問題)、あんまり興味ないんだ」と言い放ったという」(有本香ZAKZAK)

二階は有名すぎるほど有名な親中派ですが、同時に日和見で自民という世間を渡ってきた人物ですから、大勢には逆らえないと考えたのでしょうが、林は違ったようです。

そもそも議案を通すために奔走したひとりの長尾にいわせれば、「本来、国会決議採択で必要のない手続きが、対中人権侵害非難決議の場合は、特別に必要になる、節目毎にこの繰り返し」だったそうです。
実際、以前のミャンマー非難決議はかんたんな党内手続きで決済されたそうですが、対中となると次元が違うようです。

「目撃した議員によると、ミャンマーに関する決議は、ミャンマー議連の会長を務める自民党の逢沢一郎衆院議員が、本会議場で幹部らの承認サインを集めて回るという、いとも簡単な手続きで「サッと出された」そうだ。
 中国への非難決議で求められた外交部会での承認という「党内手続き」も、相手がミャンマーだと必要ないらしい。自民党のご都合主義に鼻白む」(有本前掲)

つまり、中国を刺激しそうな議案になると必ず忖度する党執行部の意向が強く働き、今回のように議案そのものが潰されるか、換骨奪胎されるめに合う、というわけです。
自民党三役のうち、政調会長の下村は決議推進派、総務会長の佐藤勉は中立、そして骨ガラミの親中派が二階、更に確信犯的親中派がその側近の幹事長代理の林です。

彼らが忖度するのは、中国自身というよりむしろ財界の意志でしょう。
財界は14億の市場という幻想に深く囚われています。
中国経済なくしては日本の輸出産業が成り立たない、中国を怒らせたら弾きだされる、ということのようです。

そう思うのは勝手ですが、しかし彼らが「真の中国の友人」ならば、今の狂ったような習近平の暴走は世界から孤立するだけではなく、中国国民にとってもなにひとつ益がないと忠告すべきでしょう。
南シナ海を領土化し、人工島要塞に立て籠もって米国と戦争することのどこに中国国民の利益があるでしょうか。
東シナ海で尖閣を奪取することになんの利益があるのか。
台湾に侵攻し、自由主義陣営全部を敵にまわしたいのでしょうか。
頭に血が昇ったような彼らに、それを冷静にたしなめることすらできずに、暴走を容認するとは到底まともな「友人」のすることではありません。

菅総裁がウィグル決議に反対するとは思えませんが、党内統制ができない事態に立ち至っているということも事実のようです。
菅は党内で基盤を持たない無派閥で、唯一安倍が率いる細田派と麻生派の支持を受けて成立しています。
だからといえばそれっきりですが、このようなことが続くと、菅政権が二階や林にとっていかに「軽い御輿」なのか分かってしまいます。
対立候補があまりにも弱いので、次回の総裁選挙も菅が勝利するでしょうが、日本は弱い指導力しか持たない首相を頂き続けることになりそうです。
好むと好まざるとに関わらず、中国と対決する陣形を作らねばならない時代に不幸なことです。

ところで、もうひとつの頑強に抵抗した親中勢力があります。
国会決議は全会一致が原則ですから、一党の反対でも廃案となります。
日本ウイグル議連会長の古屋圭司議員は公明党が反対したとはっきり書いています。

「今日は、朝に外交部会合同会議を開催して自民党として改めて新疆ウイグル、チベット等の人権侵害についての国会決議を政調会として決定した。私からは4つの議員連盟を代表して経緯を説明。
これで公明党を除く全党が了解したが結果として国会決議は上程されない。G7でも共同声明に盛り込まれた人権侵害。普遍的な価値観である人権侵害を許さないという立法府としての意志を決議するのは当然だ。しかし残念だが国会決議は基本的に全ての政党の了解が必要というルールが存在するのだ。多くの同志議員の決議に向けての努力には敬意を表したい」(フェースブック6月15日)
https://m.facebook.com/furuyakeiji/posts/2334427983354284

自民党は二階と林という党中枢でしたが、唯一党全体として決議に反対したのは公明党、なかでも公明党代表の山口那津男です。

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このウィグル弾圧に対して、公明党の支持母体である創価学会員からも、「なぜ採択に消極的なのか」という声は強く上がっており、常日頃「平和と人権の党」という金看板どおり決議案を推進すべきだという声もあったようですが、この声を封殺し、姑息にも「時間が足りない」という理由で採択を引き延ばして葬り去ったのは、この山口でした。

もういいかげん自民党は、こんな宗教政党と手を切る潮時ではないでしょうか。
見ていてうんざりします。
かつて石原慎太郎がこう言ったことを、改めて思い出す人も多かったことでしょう。

「この問題を乗り越えない限りこの国は再生しない」。日本維新の会の石原慎太郎共同代表は初の党首討論で憲法改正の必要性を訴えた。
「必ず公明党はあなた方の足手まといになる」と語り「失礼だ」とヤジが飛ぶと「君らも反省しろよ」と与党席をにらんだ。場内で聞いていた公明党の山口那津男代表は終了後「他の政党をあげつらうのは見識が問われる」と批判した」
(日経2013年4月18日)
 

石原が予言してから8年。この問題は今や自民党の宿痾と化してしまいました。
もはや切除するしかないでしょう。

 

2021年6月18日 (金)

ニューズウィークがスクープ 武漢研究所でのコウモリ大量飼育が発覚

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16日、ニューズウィーク最新号が武漢起源説のスクープを出しました。
『コロナ研究所流出説を裏付けるコウモリ動画』』
サマンサ・ロック 2021年6月16日
"Wuhan Lab Video Appearing to Show Bats in Cages Fuels Speculation About Pandemic 0rigins"
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/06/post-96519_1.php

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このスクープは、武漢研究所がCOVID-19を作っていたことを明確に指し示す「証拠」を提示しています。
それはこの研究所内で飼育されていた1万数千匹と言われる大量のコウモリの映像が出たのです。

この映像証拠は、私たちもユーチューブで見ることができます。
6月13日夜、スカイニュース・オーストラリアによって放映され、その後、米国のユーチューブにもアプロードされています。
https://www.youtube.com/watch?v=ANRs4DojOek&feature=emb_imp_woyt

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NW

この動画には、武漢研究所内でケージに入った大量のコウモリが映っており、素手でコウモリに餌をやるシーンや、防護服グループがコウモリを追いかけたり、見学者たちの帽子に止まったり、時には噛みつく様子まで撮影されています。
石正麗らしい女性の声が、「噛まれても大丈夫だから」という声まで収録されています。
それにしても想像はしていましたが、コウモリが自由に室内を飛んでヒトに噛みつくとは・・・、実験動物の管理体制の甘さに驚かされます。
これではウィルスがいくら漏れだしても、わからなくて当然です。
なおこれと別系統で、2017年12月に放映された中国中央電子台の武漢研究所でのコウモリを扱う実験風景も漏洩しています。
そこでは手袋を破ってコウモリにかまれる風景まででているようです。
米紙ニューヨーク・ポストは28日(現地時間)、WIVの研究者が手袋やマスクなどの保護具を着用せずにコウモリとその排せつ物を扱う様子が映る中国中央テレビの映像を公開した。
2017年12月29日に中国で放映されたこの映像で、半袖・半ズボン姿の研究者たちは、手袋以外は保護具を着用しないまま、感染性が高いコウモリの排せつ物を採取した。
同研究室で一部の研究者は手袋を着用しないままコウモリの研究サンプルを受け渡しした。研究室の中で一般的な衣類を着て、頭に保護具をつけていない姿も映像にある。
この映像で、ある科学者は「コウモリが手袋をかみ切って私をかんだ」「針でジャブ(jab)をもらった気分だ」と言っている。この映像にはコウモリにかまれた部分がひどく腫れている写真も登場する。
映像で、研究者たちが素手でコウモリを扱う姿が出ると、番組司会者は「負傷の危険性は依然として存在している」「研究者たちは現場調査前、狂犬病の予防注射を受けた」と説明した」 (ニューズウィーク2021年6月16日)
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この映像は中国科学院の作ったものらしく(現在は削除されています)、『武漢ウイルス学研究所武漢P4研究所の建設と研究チーム、中国科学院』というタイトルの10分間の動画の一部と考えられています。
削除された映像を突き止めたのは、「新型コロナウイルス感染症に関する分散型の急進的な匿名の調査チーム」の頭文字を取って「DRASTIC(ドラスティック)」と名乗る60人ほどの集団です。
DRASTICは、武漢研究所の文書、画像、実験室データから成る詳細な情報を収集し、『武漢研究所、コウモリ研究、バイオセーフティ』と題された144ページの報告書にまとめ、4月に科学者・研究者向けのソーシャル・ネットワーク・サービス、リサーチゲートに掲載しています。

私もDRASTICの名は知っていましたが、内容を見たのは初めてです。
DRASTICが武漢研究所起源説にたどり着いたのは、RaTG13がCOVID19と深い関わりがあることを突き止めてからです。
RaTG13の遺伝子配列が、石正麗が何年間も前に発表した論文に記されていた遺伝子コードの一部と完璧に一致したのです。
そしてこの遺伝子コードは、武漢研究所が雲南省のコウモリから発見したウィルスのものでした。

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上の図(読売)は自然起源説をとるものですが、RaTG13が雲南の鉱山からでたウィルスとほぼ同一だということまでは書いていますが、RaTG13を採取したのが武漢研究所の石正麗であり、それを持ち帰ってなんらかの改変を加えたことは記されていません。
DRASTICは、石正麗グループの2つの論文に含まれる詳細情報を過去の複数情報と結びつけて、RaTG13は雲南省の墨江ハニ族自治権にある鉱山の坑道で発見されたウィルスだと見つけ出しました。
この雲南省の鉱山では、2012年にコウモリの糞を除去していた6人が肺炎を発症し、そのうち3人が死亡していました。
DRASTICは、これがヒトが新型コロナウィルスの始祖ウィルス(恐らくRaTG13かそれに類似したウィルス)に感染した初めての症例だったのではないかと考えたわけです。

この雲南省の鉱山についてのルポを、ウォールストリートジャーナルが掲載していますので、そちらもご覧下さい。

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雲南省墨江ハニ族自治権にある鉱山入り口
武漢のウイルス流出疑惑、焦点は廃銅山(前編) - WSJ

「WSJの記者はマウンテンバイクで銅山にたどり着いたが、その後警察に拘束され、約5時間にわたって尋問された。携帯電話で撮影した銅山の写真も警察に削除された。村の住民は、銅山のことを外部の者に話してはならないと地元役人にくぎを刺されたと記者に語った。 付近の村の住民が避難した様子も、鉱山で最近調査が行われた痕跡もなかった。銅山の入り口には近づけないほど植物が生い茂っていた」
(WSJ 5月26日)

実は、このような遠回しの推論を経なくても、本来ならば武漢研究所はウェブサイトを持っているはずで、そのデータベース上には未発表のものも含め、これまでに収集したウイルスの全データが掲載されていましたが、なんとこれは完全削除されて真っ白です。
この武漢研究所のデーターベース削除について石正麗は、2021年1月、すなわちパンデミックの発生後に研究所がサーバー攻撃にあったために閉鎖した、と説明していました。

しかしDRASTIC(ドラスティック)は、既にこの削除されたのが2019年9月12日だと突き止めていました。
研究所のサイトがハッキングされるようになったのはパンデミックが爆発した後のことで、この半年以上前の時期に石正麗らはなんらかの目的で「指紋」を消す隠蔽工作を開始していたことになります。
ちなみに、石グループの隠蔽工作が始まったとみられる2019年8月から9月という時期は、中国が不活化ワワチンを製造したとみられる時期と重なっていることにご注意下さい。
そしてこの2019年11月に研究所から3人の感染者が出たのです。

さて、この公開された動画でスカイニュース・オートラリアは、重要な指摘をしています。

「スカイニュースは、新型コロナウイルスの発生前に施設内に生きたコウモリがいたことを研究室内の当局者が知っていたことを指摘、そして新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の起源を調査した世界保健機関(WHO)の報告書は「コウモリが武漢ウイルス学研究所で飼われていたことに言及しなかった」と説明した。
「この動画は、私たちが最初からパンデミックの起源について聞かされてきたことの多くが中国による虚偽情報であり、それがその後、武漢ウイルス研究所と協力関係を続けてきて、中立ではない立場の多くの人々によって広められたことを示している」と、スカイニュースの司会者シャリ・マークソンは後にFOXニュースのタッカー・カールソンに語った。
「武漢ウイルス研究所は、生きたコウモリをケージに入れていた。この事実によって、研究所流出説を『陰謀』だとしたWHOのメンバーの主張は否定される」」(NW前掲)

スカイニュースは、WHO武漢調査団の報告書がまったく虚偽だったことを暴いたのです。

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ピーター・ダザック WHO国際調査団、メンバー1人が武漢研究所に近い関係

この団長格だったのは、こともあろうに石正麗らと共同研究していたウィルス学者で、別名「コウモリ男」と呼ばれたピーター・ダザックです。
そもそもこんな利害を深く共有する人物を選ぶこと自体が常識はずれで、このWHO調査団の中立性・客観性に疑問が出て当然ですが、WHOはこういう人選をして恥じない機関だということがよくわかります。
この調査団の真の目的は、それはさまざまな証拠を調べ上げて原因を科学的に特定することではなく、証拠を隠滅し偽りの結論で塗り固めて世界を騙すことだったのです。
ダザックは調査団が、武漢研究所でウィルスサンプルや医療記録をだすように要求すらしなかったと言っています。

ダザックは、武漢研究所起源説を陰謀論者と決めつけた張本人でした。
彼は2020年12月にこのようにツイートしています。

「現場で収集されたウイルスの遺伝子解析のために武漢研究所にコウモリが送られたという事実はない。それが現在の研究のやり方だ。私たちはコウモリのサンプルを収集し、研究所に送る。コウモリは捕獲した場所で解放する」
「私は15年間この仕事に従事してきたし、武漢研究所と協力してきた。研究所には生きたコウモリは絶対にいない」
研究室にコウモリがいると主張するのは陰謀論だ」(NW前掲)

それどころか、1万匹を超える大量のコウモリが不感研究所内に飼われていたということで、ダザックが意図的に虚偽の情報を語り、WHO調査団を自然起源説という間違った方向へ誘導していたことがバレてしまいました。
もちろん、ダザックは武漢研究所がなにをする場所か熟知しており、そこで大量のコウモリが飼育されていたからこそ、ここにカネを送金し続けていたのですが。

こんな履歴を持つ人物が、世界で最大のコウモリ由来のウィルスを収集している研究所のすぐそばで、「未知のコロナウィルス」がパンデミックを起こしたことをなんの疑問にも感じないというほうが奇怪です。
ところが、ダザックはすかさず武漢研究所との関わりを強く否定し、ダザックの影響下にある26人もの科学者と連名で2020219日、医学誌ランセットに「新型コロナウィルス感染が自然な発生源を持たないことを示唆する陰謀論を、私達は断固として非難する」と宣言しました。
情報自由法の請求記録から、ダザックが研究所流出説を潰すための公開書簡を主導したことが分かっており、彼は書簡の草案を作成し仲間の科学者たちに署名させて、それが幅広い見解を示すものに見えるように画策したこともわかっています。

この科学者の共同宣言は非常にインパクトがあり、ついせんだってまでは「世界の科学者の総意」のように報じられていました。
当初から研究所が怪しいと考えていたのは、リベラル系ではニューズウィークなどごくわずかで、他にはトランプ支持を打ち出していたFOXだけという有り様でした。
日本では、いまだ99%のメディアが「報道しない自由」のぬるま湯に首まで浸っていますが、いつまでそうやっていられることやら。
ニューズウィークはやや誇らしげにこう書いています。

「新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)は中国・武漢の研究所から手違いでウイルスが流出して引き起こされた──これはつい最近までオルト・ライト(新右翼)的な陰謀論としておおむね無視されてきた主張だ。
ワシントン・ポストは2020年初め、「専門家が何度もその誤りを証明した陰謀論を、執拗に蒸し返している」として、トム・コットン上院議員を批判。CNNは「陰謀論や誤情報を信じている友人や家族を説得する方法」を伝え、ニューヨーク・タイムズも「非主流の説」扱いをし、公共放送のNPRも「研究所の事故で流出したという説は虚偽だと証明されている」と述べるなど、アメリカの他の主要メディアもおおむねこの説を否定していた。
そうした中で、本誌は例外的に2020年4月、武漢ウイルス研究所(WIV)はウイルスの病原性や感染性を強める「機能獲得型」研究を行なっており、ここから流出した可能性も否定できないと報道した。同様の報道を行なったのは、左派系雑誌のマザー・ジョーンズに加え、ビジネス・インサイダー、ニューヨーク・ポスト、FOXニュースと、ごく少数のメディアだけだ。

ニューズウィークは正直に書いていますが、米国メディアが武漢研究所起源説を陰謀論と決めつけたのは、たんにトランプがそれを主張したからです。
なにがなんでもトランプを頭のおかしい独裁者、極右と印象づけたかった米国リベラルメディアは、中身を検証しようともせずに陰謀論のレッテルを貼って封印してしまったというわけてす。
バイデン政権は、トランプ時代に始められた国務省の起源調査を今年3月で打ち切っています。

さてこの本職のメディア以上の目ざましい働きをしたドラスティックは、この武漢研究所におけるこうもり飼育が現実に映像でさらされたことを武漢研究所起源説の決定的証拠と考えているようです。

「ダザックは何度も嘘をつき、武漢ウイルス研究所はWHOに真実を伝えず、WHOは事実を尋ねなかった。ドラスティックはこうした情報をひとつひとつ掘り出さなければならなかった。このビデオは、武漢ウイルス学研究所が生きたコウモリを飼っていたという、われわれのこれまでの主張を証明する最終的な証拠だ」と、ドラスティックは本誌に語った」(NW前掲)

私は、チェックメートを宣言するにはまだ早いと思っています。
今回のコウモリ動画の発見は、ダザックに決定的打撃を与えたはずですが、まだ当人の証言がないからです。
ダザックの外堀が埋められたのは確かですが、ダザックが知ることのすべてを語れば、これがほんとうのチェックメートです。
そうなれば、中国がいかに白ばくれようと、耳を傾ける者などいないはずですから。

 

2021年6月17日 (木)

中国原発で放射線漏れの疑い

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米国CNNが、広東省・台山原発で事故があり、周辺の放射線量が高まっていると報道しました。

中国原発で放射線漏れか 米報道、ガス放出と仏電力
【広州、パリ=共同】米CNNテレビは14日、中国広東省台山市の台山原発から放射性物質漏れが起き、周辺地域の放射線量が高まっていると、建設と運転に協力するフランスの原子炉製造会社「フラマトム」が訴えていると報じた。問題解決のためにバイデン米政権に技術協力を求めているという。
フランスメディアによると、フラマトムの親会社フランス電力(EDF)は14日、原子炉格納容器内で「希ガスの濃度が上昇している」と通知を受けたと発表し「既知の現象」だと指摘。さらに同原発を運転する中国側企業が放射性希ガスを大気中に放出したと明らかにした。中国当局の規制範囲内だとしている。
CNNが入手した米政府へのフラマトムの文書などによると、中国当局は原発の運転停止を避けるため、周辺地域の放射線量に関する安全基準の上限を調整しており、フラマトムは既にフランスの安全基準を超えていると訴えている」(CNN6月14日)

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台山原発 ロイター

台山原発は中国とフランスの合弁企業が建設したもので、今回はフランス側の発表ですが、中国側は例によって完全否定しています。
あの「戦狼」報道官はこう言っています。

「中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は15日の記者会見で、広東省にある台山原子力発電所から放射性物質が漏れて周辺地域で放射線量が高まっている恐れがあるという米メディアの報道について「環境や公衆の健康に影響する出来事は発生していない」と強調した」(産経6月15日)

同じことを言うにしても、領土問題じゃないのですから、周辺地域の空中線量などの各種環境データーなどを一緒にださないと説得力がありません。
こんなふうに情報開示をしないで、頭から全否定するのは中国のもはや定番的習性と化していて、去年の武漢株の時も一貫してそうでした。
武漢株の場合、実際は裏で強権的に情報隠蔽工作をしていたわけですが、こういう隠蔽体質を改めない限り、なにをいってもマトモに受け取ってもらえません。
といっても情報統制は、支配体制と骨がらみになっている体質ですから無理でしょうが。

ただし前もってお断りしておきますが、この台山原発が大事故になる可能性は少ないと考えられます。
というのは、ここでもですか、とため息をつきたくなりますが、この台山原発
はフランスのフラマトム社が全面協力している原発だからです。
フランスが供与したのは欧州型の第3世代新型加圧水型炉(EPR)ですので、いきなりポッカーンという大事故に発展する可能性は少ないでしょう。

「台山原発1期工事(中国初の第3世代原子炉「EPR」)の建設が、順調に進められている。台山原発の建設に関するすべての活動は、中国国家核安全局の厳しい監督管理を受けている。このほど広東省台山市赤渓鎮に位置する台山原発1期工事の現場を取材したところ、建設工事に関する各事業が着実に推進され、安全と質が適切にコントロールされており、試験作業がすでに全面的にスタートされていた。人民日報が伝えた。
原子炉の安全性をさらに高めるため、台山原発は二種類の重大改善措置を実施した。まず二重安全シェルターにより原子炉の冷却システムを保護した。安全シェルターの内側のシェルターの厚さは1.3メートル、外側のシェルターの厚さは1.8メートル。次に原子炉の圧力容器の底部に溶けた炉心を収集する装置を設置した。これは世界の原発産業で最も信頼性の高い安全技術である」(SciencePortal China   2013年09月16日 )

これが中国だけなら信じるに値しないのですが、フランスがかんでいるので6~8掛けていどで信じていいでしょう。
ネットの一部にあるように、風下地域は危ないとか、日本も危ないというのは行き過ぎですが、周辺住民が警戒を必要とするレベルのようです。

「だがCNNによれば、フラマトムが米エネルギー省に送った6月8日付の書簡には、「同原発にも一般市民にも、放射性物質に関する差し迫った脅威がある。フラマトムとしては同原発を正常運転に復帰させるために、必要な技術データと支援を送る許可を至急要請する」と書かれていた。
また書簡には、中国が引き上げた放射線量の許容限度はフランスの基準を超えているが、それがアメリカの基準を超えるものかどうかは不明だとも書かれていた」
(ニューズウィーク2021年6月15日China's Nuclear Leak Denial Evokes Chernobyl as Plant Insists It's Safe)

ランス原子力当局によれば、燃料棒になんらかの事故が起きて、放射性希ガスが漏れだし、「周辺住民に差し迫った脅威」が生じたということのようです。

「「運転する中国側企業は「原発と周辺地域の(放射線量の)データは正常だ」との声明を発表した。
フィガロ紙などによると、燃料棒に問題があり放射性希ガスが出ているとみられる。フランスでの場合、原子炉を停止し、問題の燃料棒を取り出す必要がある。国際原子力機関(IAEA)は、現段階では放射線事故が起きたことを示すものはないとの見方を示した。
EDFは中国側企業に対し、臨時取締役会を開き、全てのデータと必要な決定を示すよう求めたという。
CNNによると、米国家安全保障会議(NSC)が先週、会議を開き対応を協議した。複数の当局者は「現状では重大な脅威はない」との判断をCNNに対して示したという」(CNN前掲)

そもそもこの中国の基準値自体が、製造元のフランスの基準を中国が引き上げて設定したものです。
このような不透明な「中国化」は、中国が外国技術を輸入する時に度々してきたもので、外国技術をデッドコピーした上で、肝心な運用ソフトを改竄してしまいます。
かつて日本からパクった新幹線技術では車両技術だけを抜き出して、その運用システムを「中国化」した結果、信号系統が事故を起こして衝突するという大事故に発展しました。

かつて中国原発を視察した細野豪志氏はこうツイートしています。

「目立たないが気がかりな報道。3.11の後、原発事故担当大臣として、中国の原発(大亜湾原子力発電所)を視察した。日本の国会議員として始めて。気になったのは運転に関わる人材の層の薄さ。急速に原発を増やしたため、日本と比較して経験の浅い運転員が当直長をしていた。中国の原発は注視が必要」 

今回の場合、おそらく「中国化」したためにユルユルな基準値すら上回る放射性物質が希ガスとして空間に流出したと思われます。
憂鬱になるのは、その原因が特定できないことです。
原子力大国として自らも高い対処能力を持っているはずのフランス原子力当局が、あえて恥を忍んで米国の(たぶん米国原子力規制委員会だと思われますが)に技術支援を要請しているというのが引っ掛かります。
それほどまでに、やっかいな事故か、あるいは中国側が製造元のフランスにすら情報開示を拒んでいるのかもしれません。

さて中国は、かつて経済発展を支えるために大規模な原発増産計画を立て、100基以上の原発の設置を進めています。
この原発増産計画は、CO2対策やEV増産によっていっそう加速しています。
そのうえに、同時に中国はフランスなどから得た原発技術を利用して、その輸出を目指しており、これが一帯一路戦略の重要な一部になっています。
この台山原発事故が深刻な性格だと、この一帯一路にも響いて来ることになります。

下図は中国の原発状況です。赤い色が建設中で、世界一の原発ラッシュ国だとわかります。

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これらの原発は、原発の冷却水の確保と、いったん事故があっても海上に放出できるためにすべて沿岸に面しています。

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この原発建設を推進したのは西側諸国、特にフランスでした。
武漢研究所にP4技術を与え、石正麗などにウィルス研究を教授したのもフランスでしたが、この原子力分野において、フランスは長年に渡って中国の後押しをしてきました。

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CNN

上の写真は2013年時の台山原発建設風景ですが、左の人物はフランス電力会社の子会社であるフラマトム社の技術者のようです。
フランス電力会社(EDF)とフラマトム社は、この台山原発に限らず、中国の原発増設の構想から建設、運用開始、そして運転の一部まで一貫して支援してきました。

「中国とフランスのエネルギー協力には長い歴史がある。中国広核集団はフランス電力会社(EDF)、フラマトムなどの提携先と良好な協力関係を維持してきた。
賀氏は、「当社は30年以上前、EDFやフラマトムなどと協力し、広東省の大亜湾原発を建設し、中国本土における商用原子炉ゼロの歴史にピリオドを打った。当社は21世紀に入ると再びEDFと協力し、フランスのEPR(欧州加圧水型炉)第3世代原発技術を活用した台山原発を建設した。双方の共同の努力により、台山原発1号機は2018年12月に稼働開始し、世界初のEPR原子炉になった」と述べた。
 中国とフランスの原子力エネルギー協力は近年、新たな1ページを開いた。習近平国家主席と英国のキャメロン首相(当時)の立会いのもとで、中国広核集団とEDFは2015年10月21日、ヒンクリー・ポイントC原発、ブラッドウェルB原発、サイズウェルC原発の投資契約を結び、世界の原子力発電産業の発展を推進した。賀氏は、「中国とフランスが英国の3大原発プロジェクトを共同建設し、第3国市場を共同開拓し、中仏英協力のフラグシップ・プロジェクトを構築し、双方の協力がさらに深まった」と述べた」(SciencePortal China 2019年9月18日 )

 一見すると、中国は最新の原子力技術を獲得しているように見えます。
しかしその内実は、いわば田舎の成り金が金ピカの豪邸を建てたようなものです。
放射性物質や各種安全設備の基準値は「中国化」で引き下げられ、それを運転する人材も細野氏によればやっつけで促成栽培されたもののようです。
また原発に使われる部品も、質的に問題があるものが平然と使われていたことも分かっています。

中国や韓国では部品にまがいものが多く含まれています。
実際、韓国霊光原発では、ワイロと引き換えにフランス製部品の変わりに偽造品が納品されて、原発停止に追い込まれたことがあります。

「2012年には複数の原発で賄賂と引き換えに、仏アレバ社の製品を元に「偽造」された部品が使われていたことや、中古部品が新品と偽って納入されていたことなどが立て続けに発覚した」(JCASTニュース2013年5月30日)

この台山原発でも、2015年に検査で安全面に不備が見つかっていました。

「フランスの原子力安全局(ASN)はこのほど、フランスの原子力発電所の検査で安全面の不備が見つかったと発表した。同発電所の製造メーカーは、広東省の台山原子力発電所を運営する台山核電合営有限公司にも製品を提供している」(SciencePortal China 2015年04月15日)
仏原発に安全面の不備、中仏合弁の広東省・台山原発に影響は? | SciencePortal China (jst.go.jp)

この記事だけでは詳細が不明ですが、中国が偽造品大国なことは有名ですから、その可能性があります。
このように中国や韓国の原発は表向きは最新鋭を誇っていますが、こういう人材や部品のすそ野といった技術の土台がきわめて危ういのです。

一連の台山原発の事故報道は、なにかチェルノブイリ事故を思い出させます。
1986年、チェルノブイリ原子力発電所で起きた事故の際、ソ連当局は当初事故現場の放射線量に問題はないと事故を全面否定していました。
しかし実際は原子炉が暴走を開始して手がつけられない状況でした。
にもかかわらず、周辺住民に避難通知が出されたのは、事故発生から1日半が経過した後でした。
後にチェルノブイリ事故を分析した国連科学委員会は、この事故が原因で死亡した人の数を50人以下と推定し、その後、放射線被ばくが原因で何千人もの人々が命を落としたと報告しています。

ソ連と中国に共通するのが度し難いまでの情報隠蔽体質だと考えると、この胸騒ぎが杞憂であることを祈ります。
といっても、日本に「汚染水」がどうのと言っていた国ですから、心配ないでしょうが。


 

2021年6月16日 (水)

NATO、中国を安保リスクと認定したのはいいのだけれど

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G7サミットに継いでNATOの首脳会議が開かれました。
ここでも「中国対策会議」の様相を呈しています。

[NATO、中国を安保リスクと認識 軍事的野心に対抗=共同声明
[ 北大西洋条約機構(NATO)は14日、ブリュッセルの本部で首脳会議を開き、中国を西側諸国に対する安全保障上のリスクと認識し、同国の軍事的野心に対抗する姿勢を示す共同声明を採択した。
共同声明は「中国が示している野心的で強引な振る舞いは、規則に基づく国際秩序、および安全保障に対するシステミックな挑戦になっている」と表明。中国の覇権主義と軍事拡大に対抗するようNATO首脳に呼び掛けたバイデン米大統領の外交的な勝利となった。
バイデン大統領は、加盟国が攻撃を受けた場合に他の加盟国が反撃する集団的自衛権の行使を定めるNATO条約第5条について、米国にとり「神聖な義務」と表明。「欧州は米国がここにいることを知っておいてほしい」と述べ、NATO脱退をちらつかせたトランプ前大統領とは一線を画した」(ロイター6月6日)
https://jp.reuters.com/article/nato-summit-idJPKCN2DQ1LY

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NATO、露だけでなく中国を「脅威」に位置付け…宇宙空間も集団的

これは中国の脅威が、今やヨーロッパが自らの庭と考えてきたアフリカや中東欧諸国にまで及んでいることに対しての危機感の現れです。

「NATOのストルテンベルグ事務総長は、バルト海からアフリカに至る地域で中国が軍事的な存在感を拡大させていることは、核抑止力を持つNATOが準備を整えておく必要があることを示しているとし、「中国はわれわれに迫っている。サイバー空間のほか、アフリカでも存在感を増大させているが、これに加え、われわれの重大なインフラに対しても大規模な投資を実施している」とし、「われわれは同盟として、こうした事態に共に対応しなくてはならない」と述べた」(ロイター前掲)

この中国の影響力は広大で、その範囲は一帯一路に参加した諸国で見るとわかりやすいでしょう。

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NATOに加盟していながら、バルト三国、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ブルガリアといった旧東欧諸国、クロアチア、スロベニアなどの中欧諸国、モンテネグロやギリシアなどのバルカン諸国、西欧ではポルトガルと並んでなんとG7メンバーのイタリアまでもが一帯一路に加盟してしまっています。
あげくそのせいかどうか、イタリアの中国人労働者が多く住む地帯がヨーロッパのコロナの発火点になってしまいました。
もっともイタリアは、G7閉幕後、「多国間のルールを守らない専制国家であり、民主主義国家と同じ世界観を共有していない」(日経6月17日)として一帯一路から脱退することを表明したそうです。遅すぎますが、とりあえずパチパチ。

さらに、アフリカの中国影響圏を見てみましょう。

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西尾省二氏による

上図は昨日触れた香港の国家安全維持法(国安法)に対して、日米などが出した批判決議に反対票を投じた国が赤い色です。
これらの国々は、一帯一路を通じて巨額投資が行われた国々で、今や中国経済の強い影響下にあると目される国々です。

アフリカだけに限ってみても、中国が決して孤立していないことがわかります。
えー願いましては、エジプト、エリトリア、ガボン、カメルーン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、コモロ、コンゴ共和国、ザンビア、シエラレオネ、ジブチ、ジンバブエ、スーダン、赤道ギニア、ソマリア、中央アフリカ、トーゴ、ニジェール、ブルンジ、南スーダン、モザンビーク、モーリタニア、モロッコ、レソトのなんと25カ国。
アフリカ諸国は56カ国ですから、半分弱が中国経済圏ということです。

この状況を見る限り、もはやアフリカにおける中国の覇権は完全に確立してしまっていると見るべきでしょう。
これらのアフリカ票を固めているために、国連の主要機関は軒並み中国が押えてしまい、今や国連は中国の下請け機関と化してしまっているのはご承知のとおりです。

それにしてもここまでベタ一色で中国の植民地となるまで、かつて自らの植民地で、かつ今もなお強い影響力を持つと自慢してきた西欧諸国は、一体ナニをやっていたんだと言いたくもなります。
もっともわが国も尖閣が陥落寸前になるまでのほほんとしていたのですから、まぁ言えた義理ではありませんが。
とまれ、習近平が「戦狼」路線で暴走しなければ、気がついてみたら、今頃世界は中国の手に渡っていたのかもしれません。
ありがとう、習近平さん、あなたがいなかったら世界はまだ寝ボケていました。

さて、今回のNATO首脳会議を報じる欧米メディアのトーンは、ベタでウェルカンバック・USAといった調子です。

「バイデン氏はその後、記者会見で、NATO条約第5条が定めている通り、米国のNATO加盟国に対するコミットメントは「揺るぎない」とし、「米国は戻ってきた」と述べた」(ロイター前掲)

なにが戻ってきただ、と言いたくもなります。
中国の脅威を低く見積もって、中国も豊かになれば民主化するという甘い想像をしていたのはバンデンが副大統領だったオバマ時代でした。
そして愚かにも「戦略的忍耐」とやらで中国に歩み寄り、南シナ海全域を中国の領土としてしまっても指一本動かさなかったわけです。
この無為無策・無知無能のオバマ時代の融和策の数々が、中国を世界帝国に押し上げたのです。

では、米国は帰って来たといいますが、なぜトランプはEU・NATOに距離を開けたのでしょうか。
それはトランプがいち早く中国の持つ本質的な危険性に気がつき、安閑としている自由主義陣営に激しく警鐘を鳴らしたからです。
この警鐘に、アレはトランプが極右だからさ、とばかりに無関心を決め込んでいたのがEUでした。
彼らは本音では、南シナ海が主権範囲外であることをいいことに、せっせと中国輸出で稼いでいたので、トランプに邪魔されたくなかったのです。
だから、トランプは安倍氏を唯一の盟友に選んで、EU抜きで中国の差し迫った脅威と戦わざるを得なかったのです。
そのプロセスで生まれたのが、クアッドという同盟に準じるまったく新たなインド・太平洋防衛構想でした。

バイデンはトランプの残した遺産を引き継いで、自分の手柄のように言っているだけにすぎません。
終了後の記者会見で、臆面もなくこんなことを述べたそうです。

「会議にはバイデン米大統領が就任後初めて参加した。終了後の記者会見では「中ロは結束にくさびを打ち込もうとしているが、同盟は強固な礎だ」と強調。米国による集団防衛条項の順守は「固く揺らがない」と断言し、同盟軽視で米欧の亀裂を招いたトランプ前政権からの転換を印象付けた。
米国を中心に民主主義陣営の結束を固め、「専制主義勢力」と見なす中ロに軍事・政治両面で対抗。来年の首脳会議に向け戦略を具体化する。声明では「ルールに基づく国際秩序」の維持へ、日本や韓国、オーストラリアなどアジア太平洋のパートナー国との関係深化も打ち出した」(時事6月15日) 

ほー、「転換を印象づけた」ですか。トランプの先験的な対中政策にただ乗りしているだけのことで、「転換」とは図々しい。
中国を大事なお客さまとしか考えていなかったヨーロッパ諸国に、NATO脱退までほのめかして中国のもたらす危険性を叫んだのは誰だったのでしょうか。
今になってやっとその危険性に目覚めたにもかかわらず、自分のボケぶりを忘れて口を開けばトランプが悪い、トランプが欧州と米国を離反させたんだ、というのはとんだ品下りではありませんか。

EUは、中国がロシアと2015年に地中海で、そして17年にはバルト海で海軍合同演習を実施し、地中海の制海権を握るジブチに空母が寄港できる軍港を作り上げられ、さらには内懐のギリシアの港湾にまで手を延ばされても、まだ泰平の眠りに浸っていたのです。

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中露合同軍事演習「海上連合2017」

そして今や、NATO声明にもあるように、サイバー攻撃によってひんぱんに欧州の軍事技術や知的財産を盗み出され、国家の重要なインフラを攻撃対象にされるまで放置し続けました。

ところがいまでもマクロンは、「米国に頼らないヨーロッパ独自の安全保障体制を」と主張しています。
おいおいいつまでゴーリズム(ドゴール主義)をやっているんだいとおもいますが、2019年8月にはマクロンはロシアに急接近し、プーチンを自身の別荘に招いて独自の外交を始めています。
また今回のG7でも、共同声明の中の文言に「中国を敵対視してはならない」と入れようとしたと伝えられています。
フランス軍は既に中国を第一級の脅威として認識し、東アジアに2隻の軍艦を派遣しています。
つい先だっては、いらだった中国海軍がフランス軍艦を追いかけ回して追突するイヤガラセまで演じています。

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一方、NATO主要国の一角であるトルコに至っては、ロシアと両天秤をかけています。
この間のエルドアンの暴走ぶりは目に余るもので、国内では民主主義をふみにじり、NATOとの事前協議なくシリアに軍事侵攻して、クルド人勢力を攻撃しました。
このクルド人勢力は、NATO軍がシリア領内のテロ組織に対して軍事行動に出た際、これに協力した穏健派の武装勢力であり、NATOとしてはトルコの軍事行動は絶対に認められるものではなかったはずでした。
ところがエルドアンは、自国の都合で越境攻撃までしてしまいました。

このNATOとトルコの離反に目を付けたのがロシアです。
ロシアは、ここがチャンスとばかりにトルコに高性能対空ミサイルS400の売り込みに成功してしまいました。
仰天したのは米国で、当時米国はF35をトルコに売却することを進めていて、こんなロシア製迎撃システムがトルコに入ってしまえば、F35のスティルス能力が白日にさらされてしまいます。
当然、F35の売却にストップをかけたのですが、これにエルドアンは気に食わず、さらにNATO加盟国でありながら、まるで見せつけるように仮想敵国のロシアと蜜月を演じるのですから、これではまるっきり困った君です。

今回もバイデンとエルドアンは直接会談したようですが、双方手応えがあったといいながら、おそらくなんの進展もなかったはずです。
それは米国としては、トルコがロシア製S400ミサイルを撤去しない限り妥協はありえないし、一方トルコとしてみれば既に金を払っているF35のは売却停止措置を解除しないうちには聞く耳をもたないはずだからです。

というわけで、既に中国にすり寄っていった中東欧諸国、乗っ取られかかったバルカン諸国、そしてロシアに走ろうとするトルコ、いつまでも日和見を変えようとしないフランス、今やレームダックとなったメルケル女帝・・・、さっさと見切りをつけてブレグジットしてしまった英国、これがNATOの内情なのです。



2021年6月15日 (火)

周庭さんの釈放と天安門事件32周年

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先日の12日に周庭さんが、香港の懲教所(監獄)から出所しました。
今回は去年8月の保釈自と違って、服役下後に模範囚ということでの釈放のようです。
香港に対して今なお大きな責任を持つ英国BBCはこう伝えています。


「香港で無許可集会を扇動した罪で約7カ月にわたり収監されていた、著名な民主活動家の周庭(アグネス・チョウ、24)氏が12日午前10時頃、香港の刑務所を出所した。
釈放された周氏は支持者や報道陣に迎えられたが、無言で友人の車に乗り込んだ。
支持者は周氏に「加油」(「がんばれ」の意味)と呼びかけた。この表現は、香港の抗議活動で繰り返し使われる掛け声となっている。
当局は周氏が早期に釈放された理由を明らかにしていない。
周氏は12日午後、自身のインスタグラムに一面真っ黒な画像を投稿し、「苦しい半年と20日がようやく終わった」、「痩せて弱々しくなってしまったので、これからゆっくり体を休めたい」などと綴った。
周氏は2019年6月に香港政府の「逃亡犯条例」改定案に抗議し、デモを扇動したとして、2020年12月に禁錮10カ月の実刑判決を受けた。民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏は禁錮13カ月半、林朗彦(アイヴァン・ラム)氏は同7カ月を言い渡された。
黄氏と林氏は現在も収監されている。
別の著名な民主活動家の羅冠聰(ネイサン・ロー)氏は香港からイギリスに亡命した。
2020年6月30日には、香港の中国返還から23年となる7月1日を前に、香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」が施行された。国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託といった犯罪を犯した場合、最高で無期懲役が科される」(BBC6月12日)

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香港民主活動家の周庭氏が出所、「ゆっくり休みたい」 無許可集会扇動 

お疲れさまでした。ほんとうにご苦労様でした。今は自分の健康と家族のことだけを考えて生きて下さい。
彼女は本来なら、今頃は北海道大学で研究生活に入る予定でしたが、去年集会煽動というわけのわからない「罪」で起訴され、服役していました。
ただの集会呼びかけで逮捕服役させられるなら、いかなる国においてもすべての人は罪人となり得ます。
この私も「罪人」です。

アグネスは禁固10か月でしたが、「模範囚」ということで刑期短縮だそうで、涙がでるような「温情」です。
気が重い。
たぶん香港警察は、いや中国当局は、前回の保釈の一件でもそうでしたが、一回「温情」をかけて自由にし、その後直ちに逮捕し収監することを反復する所だからです。
これは人間に一種の拷問に等しい効果を与えます。
ヒトラー暗殺に加わった将軍達を拷問した後に、1日だけ休養と豪華な食事を与えて、翌日また拷問に付したそうです。、
これをされると、人はなまじわずかな光明が見えただけに、その後の絶望は巨大となって、精神が崩壊します。

気をつけて下さい、アグネス。当局は、必ずあなたをまた捕まえに来ますよ。
だから、なんらかの方法で米国か英国のその筋と連絡を取って、亡命されることを強くお勧めします。

さて今までの逮捕は香港行政庁の主権の範囲内でしたが、今回は中国そのものが主体です。
この香港警察さえ、逮捕した女性デモ参加者に対してのレイプ事件や陰惨な収容体制が問題となっており、いったん大陸に移送されれば、人権はおろか、いつ密かに消されても誰にもわからなくなります。

中国は世界で最も「進んだ」弾圧法を持っています。それが国安法です。
この間民主活動家に対して第20条を使っていると推測できます。

●国安法第20条
国家分裂、国家統一破壊の組織、計画、実施に参与したいかなる者も、武力を使用、あるいは武力を使用すると脅したか否かにかかわらず、すなわち犯罪である
一) 香港または中華人民共和国のその他の部分を中国人民共和国から分離させようとすること。
二) 香港または中華人民共和国のその他の部分の法的地位を不当に変更すること。
三)  香港または中華人民共和国の一部を外国統治下に移すこと。
 前項の罪を犯した者は、その主犯、あるいは重大な罪の場合、無期懲役又は十年以上の懲役、積極的に参与した者は三年以上十年以下の懲役に、それ以外は三年以下の懲役、拘留又は行動制限におかれる。

ここで中国は罪状をこう規定しています。
「国家分裂、国家統一破壊の組織、計画、実施」として
①香港または中国の法的地位の変更、②同じく統治を外国に移すこと。
つまり、国際社会と連帯して香港民主化のために立ち上がることは、すべて「外国勢力による香港の地位変更」と解釈されます。

ここで中国当局が、わざわざ「外国勢力」というぼかした表現をしているのはなぜか考えたことがありますか。
それは「外国勢力」という一句を、当局の恣意でいくらでも引き延ばして解釈できる余地を残したいからです。
一般的には外国の情報機関を指しますが、都合によって外国人ジャーナリストや民間人もその対象に含むことが可能です。
たとえば福島香織氏のような民主活動家に密着取材してきたフリージャーナリストや、中国に手厳しいBBCなどの外国メディア、あるいは人権活動家なども「外国勢力」に入ってしまいますから、彼らと接触するだけで国安法違反に問えるというわけです。
一切の取材はさせない、外国人ジャーナリストと接触すれば、それ自体が国安法の起訴対象となる、ということになります。

これは同時に「外国勢力」の側、つまり香港を救いたいと考える民主主義陣営に対しての威嚇でもあります。
お前らが民主活動家と話をしただけでパクってやるぞ、なんだったら移送法を使って大陸に連れていってやろうか、というわけです。

そしてさらに恐るべきは、その逮捕対象を「実施に参与したいかなる者」と規定し、それは「武力を使用、あるいは武力を使用すると脅したか否かにかかわらず、すなわち犯罪である 」としていることです。
つまりデモをしようとしまいと、ましてや勇武派のような実力を用いるか否かに関わらず、一切合切「すべて犯罪」なのです。
背筋が冷たくなります。
これはヒトラーやスターリンが国民を弾圧するために用いた「人民の敵」概念と酷似しています。
独裁者にとって気に食わない奴というだけのことで、その内容を問わず「人民の敵」という罪状で逮捕監禁、ときには極刑に処することができてしまいます。
まさに独裁国家でなければ存在しない、独裁のための悪意の杖です。

この第20条を敷衍すれば、当局が「参与した」と一回考えればすべて「犯罪」とみなされます。
どう「参与」を認定するかは当局のサジ加減ひとつ。この人物を潰したいと思えばいかなる言動でも、いや言動すらなくても逮捕監禁が可能なのです。
周庭ら民主活動家はこのような「法律」で裁かれて、服役しているということを私たちは忘れてはなりません。


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  天安門事件から32年、香港で民主活動家が逮捕 無許可集会めぐり - BBC

なお、周庭を迎えた香港は天安門事件32周年を迎えていましたが、当局は集会を禁止し、民主活動家を逮捕しました。

「中国の民主化運動が軍によって鎮圧され、多数の死者が出た天安門事件から32年を迎えた4日、香港警察は無許可集会を促進したとして、香港の民主活動家の鄒幸彤氏を逮捕した。
鄒氏は、1989年6月4日に起きた中国政府の民主活動家に対する弾圧の犠牲者を追悼する集会を毎年開催する、香港市民支援愛国民主運動連合会で副主席を務める。
今回の逮捕は、香港が新型コロナウイルスの拡大を理由に2年連続で追悼集会を禁止する中で起きた。
香港とマカオは中国領土内で唯一、天安門事件の追悼行事が行える場所だ。(略)今回は、香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維
持法」(国安法)が昨年6月に施行されて以降、初めて迎える記念日となる。
国安法をめぐっては、これまで約100人が同法違反で逮捕されている。
「今年の6月4日は国家安全維持法が施行されてから初めての記念日だ。追悼行事がなくなるのではないかと、多くの人が聞いてくる。私たちは30年以上も粘り強く活動してきたと思う。これは多かれ少なかれ香港人のDNAに組み込まれている」と、鄒氏は逮捕前にBBCの取材で語った。
中国大陸では、当局が天安門事件について遠まわしに言及することさえも禁止している。オンラインではこの弾圧に関するいかなる議論も厳しく検閲される。
台湾は毎年この日を記念して、中国を批判し、真の政治改革を行うよう中国政府に求めている。
台湾の蔡英文総統は自身のフェイスブックページで、「自由と民主主義を誇りに思うすべての台湾人がこの日のことを決して忘れず、嵐にも揺るがず信念を貫くと信じている」と述べた」(BBC6月4日)
https://www.bbc.com/japanese/57354465 

天安門事件追悼集会は、1990年の第1回が15万人が参加し、それから毎年参加人数は減っていましたが、零八憲章の起草により劉暁波が逮捕された年の2009年には再び15万人に増え、以来10万人以上の集会が続いていました。
香港民主化デモが始まった2019年に、18万人にも達していました。
この天安門追悼集会には、中国が民主、自由、人権という国際社会の価値から、あまりに大きく離れてしまったと感じた香港市民の多くが、六四追悼の参加を通じて、民主の大切さを訴えるために集まりました。

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香港市民、禁止令に反し集会決行 天安門事件を追悼 AFP

今年は小規模ながら各々が集まりました。

「今年は支聯会主催の集会は行われなかったが、ビクトリアパークの周辺では、個々に市民がひっそりとろうそくをともして、天安門事件の犠牲者を追悼している姿が見かけられたという。同じ時間にろうそくをともして、香港の民主への道を照らそうと、よびかけられていた。
また香港の非営利団体、六四舞台は4日になる前に、ネットで朗読劇をライブは配信し、89年の民主化運動と天安門事件について紹介していた。1日に配信した「広場に小さな白い花が投げられた」の中で、「もしいつか、天安門広場で犠牲者のために花束をささげることができるなら、私は白い花を一輪書いた紙で紙飛行機をつくり、飛ばしにいこう。」と民主への願いが訴えらえた。
支聯会主席の李卓人は目下、獄中に収監の身だが、収監される前に、獄中でたばこを蝋燭の代わりにともし、哀悼し、「自由花」を歌うという」(福島香織中国趣聞NO.354)

私も微力ですが、自由を求める香港市民と心をひとつにしたいと思います。



2021年6月14日 (月)

やっと御輿が上がったG7

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G7が宣言を出して閉幕しました。

宣言は、中国が軍事的圧力を強める台湾に初めて言及し、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と明記。東・南シナ海で威圧的行動を続ける中国に「深刻な懸念」を示した。東京五輪・パラリンピック開催への菅義偉首相の決意に「支持」を表明した。
サミットは、覇権主義的な行動を強める中国に対し、自由主義陣営として結束して対抗する姿勢を明確にした。閉幕を受け、議長のジョンソン英首相は記者会見し、「G7が民主主義と自由、人権の恩恵を世界に示す必要がある」と表明。菅首相は記者団に「普遍的価値を共有するG7として国際秩序をリードしていきたい」と語った。
日米が重視する台湾海峡の平和と安定は、5月のG7外相会議の共同声明にも明記された。G7内には対中姿勢で温度差もあるが、サミットでは足並みをそろえた。首脳宣言は香港や新疆ウイグル自治区の人権問題にも触れ、中国に「人権と基本的自由を尊重する」よう求めた。
サミットは新型コロナウイルスの世界的な感染拡大も主要議題に取り上げた。途上国などの感染収束を後押しするため、来年中に10億回分のワクチンを提供する方針を打ち出した」(6月13日時事)

五輪にG7首脳がゴーサインをだしましたので、今後いかなる変更もなくなりました。
小池さん、中止カード出し損ないましたね。
G7までの期間が、小池女史が国政のキャスティングボードを握れる数少ないチャンスだったんです。
この人としては、メディアの応援を得て中止カードで世論を集め、五輪に突っ走る政府と、国民の生命と安全を守るアタシ、という構図を作り、さらにはカッコよくこんな政府と五輪なんかやれんわとばかりに、辞表を叩きつけて小池新党を引っさげて衆院選に、という心づもりだったのでしょうが、こうなってしまってはもう遅い。

あ、小池女史なんかどーでもよかったんだっけ、本題に入ります。
G7において中国が重量級のヒールを演じました。
これほど世界の主要国から嫌われた国は、近年ロシアくらいなものです。
そのロシアだけが今の中国にとって、唯一無二の同盟国なんですから悲惨です。
これで中露ヒール連合vs日米英仏独加伊連合、という世界地図の色分けが見事にできあがってしまいました。
※すいません。イタリアを忘れてました。

中国の戦略的失敗です。
習は調子に乗って「中華の夢」を掲げて一帯一路を使い、世界帝国に急激にのし上がろうとしました。
鄧小平のように表面的には協調的に温和にふるまい、長い時間かけて仕掛けられたらダマされたのかもしれませんが、いかんせん10年かそこらで世界帝国になろうというんですから、摩擦を引きおこさないほうがおかしい。
なんせ「戦狼」路線で、噛み付き、殴りつけ、唾を吐き散らすんですから、たまらない。

これだけやれば、味方してくれるのはもはやロシアだけ。
中国は国際社会での深刻な孤立を、もうひとつの嫌われ者国家のロシアと同盟関係になることではねかえそうとしたわけです。
馬鹿なことを。
そんなことをすれば、独仏などの大陸国から中国はロシアと同じならず者国家と認識されてあたりまえです。
歴史的に見ても独仏にとって最大の脅威はロシアであって、今のNATOがあるのも、EUがあるのもいわばロシアがおそろしいからです。

ロシアに較べれば、中国なんぞ遠いから脅威順位が低いし、なんてったって金持ちですから、中国はただのいいお客さんくらいの認識しかなかったのです。
ですから、今まで独仏は自由主義社会の理念なんぞなんのそので、ドイツは自動車を売ることに夢中、フランスなんか中国海軍にレーダーまで売ってきました。
そのためにちょっと前までは自由主義諸国は、日米英の中国の暴虐と戦おうという諸国と、いやいや中国様はいい市場ですから、ぬるくぬるくという独仏に分裂しかかってきました。

その構図を書き換えてしまったのが、中国自身です。
プーチンも習を味方につけたので気が強くなったのか、ウクライナ国境で戦争徴発をしたり、ベラルーシの件でも独裁政権の肩を持つようなことをして、独仏の価値観と相いれないことを平然と繰り返すようになったわけです。

こういう時期に開かれたのが、今回のG7でした。
独仏がやっと中国の正体に気がつき、自由主義連合としての中国に対していく決意を確認したことが最大の成果です。
ですからG7は対中国政策をどうするのか、あらゆる分野で検討されました。

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BBC

まずは中国の一帯一路に対してです。

「イギリス南西部コーンウォールで開催中の主要7カ国(G7)首脳会議で各国は12日、 中低所得のインフラ整備を支援する新構想で合意した。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に対抗する狙い。
アメリカのジョー・バイデン大統領は、同国が支援する「より良い世界再建」(B3W、Build Back Better World)構想について、中国の一帯一路に代わる、より質の高いものにしたいと述べた。
一帯一路構想(BRI)は多くの国で鉄道や道路、港湾の整備に貢献しているが、一部の国に借金を負わせているとの批判が上がっている。
G7首脳は声明で、「価値観に基づいた、高水準で透明性のある」パートナーシップを提供するとした」(BBC6月13日)
https://www.bbc.com/japanese/57450881

このG7で登場したキャッチフレーズが、B3Wです。
なんのこっちゃとおもいますが、Build Back Better Worldのことで、「復興して、いい世界作ろうぜ」くらいの意味です。
何に対して言っているかといえば、もちろん中国が今盛んにやっている属国になればワクチンやるゾ、というワクチン外交に対してで、これに西側諸国が連合して対抗しようというものです。

そしてワクチン供給だけに止まらず、米国が主導する発展途上国に対するインフラ建設支援構想までも背景にあります。

「米ホワイトハウスは6月12日に声明を出し、バイデンとG7の指導者とともに新たなグローバルインフラプロジェクトを打ち出すとした。これは民主国家による主導で、高い基準と価値を備えた透明性のあるインフラ建設パートナーシップ投資計画であり、世界の途上国の40兆元をこえるインフラ建設を支援するもの、という。
2013年以来、中国が提唱した一帯一路により、多くの途上国では鉄道、高速道路、港湾などのインフラ建設投資が行われたが、これは途上国を債務の罠にはめ、中国式植民地主義との批判もあった。
このG7サミットの声明では、価値観を同じくして、高い基準でかつ透明性のあるパートナシップを打ち立てたい、としている。
目下、B3W計画の詳細は明らかにされておらず、融資がどのように行われるかなどは不明。ホワイトハウスの声明では、この計画についてはまもなく発表されるサミットのコミュニケの中でより詳しく明らかにされるという」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.360 2021年6月13日)

現在、発展途上国のインフラ建設において不足している資金は約40兆ドルと言われていますが、中国はこの資金不足に乗じてカードローンよろしくいらないものまで貸し付けて返済不能に追い込み、カタとして空港や港湾などを奪って拠点化する、というヤクザ屋さんのようなまねをしてきました。
これに対して西側諸国が結束して、将来にわたってまずは数千億ドルの投資を投じて、呼び水としようというものです。
いままでの世界銀行とは一線を画した、借り手の側に立った資金供給計画を作ると言っていますが、吝嗇なメルケルはまだ計画の詳細は決められないと言っているそうです。

「北京の一帯一路構想によって、すでに巨額の米ドルが途上国に投じられており、西側民主はこれに対してアクションを取らねばならなかった。
G7高級官僚たちは、西側の価値感が世界で風上を占めることを証明したいと望んでいる。彼らは中国の投資がもたらす代償が高すぎたと考えている。特にウイグル人の強制労働は道徳上きわめて悪辣であり、公平な競争の妨害であり経済上受け入れがたい。
バイデンは、この種の労働搾取行為がグローバルサプライチェーンの中にあってはならないと要求している。米国官僚たちは、これは中国に対抗するためでだけではなく、世界に向けて、一つのポジティブな選択を示すためであると考えている。
しかし、バイデン政府が提唱する新たな計画(B3W)で、西側世界がグローバルなインフラ建設にどれほどの貢献をすべきか、その期限と範囲についての問題はまだ明確にはなっていない。目下、はっきりしている点は、西側の大国の間で、再び、復興に向かってますます強大になっていく中国に対して、現在必要なアクションを取るための決心を下さねばならない、ということだ」(BBC6月13日)

BBCが言うように、代償は高すぎました。
今回のG7の結束が、せめてもう5年早ければウィルグの収容所列島化や香港の奴隷都市化は防げ、南シナ海の要塞化も未完成だったはずです。
また、今回のWHOのコロナ対応をみるまでもなく、主要国際機関の多くが中国支配になることも防げたはずでした。
いまや、アフリカを中心とする発展途上国は、10数年前から数兆ドルともいわれる巨額な資金によって属国化してしまいました。

しかも西側の対応は後手後手で、日米と欧州で分裂していました。
この分裂をいいことに、中国がウィグルでジェノサイド収容所を完成させ、香港の民主主義を暴力で押しつぶし、南シナ海全域を自国領土とするまで、自由主義諸国は傍観していたのです。
遅い、遅すぎると思うのは私だけでしょうか。
しかし遅いと言っても、気がついて共同のアクションをとろうとする姿勢を見せただけで大進歩です。
私としては次の一手で、揃って対中制裁論がでるようだとホンモノだと思います。

あ、そうそう、ムン閣下も行ったそうですが、こんな対中包囲網の相談に呼ばれてちゃって、どう中国様に言い訳するんだろ(苦笑)。

 

2021年6月13日 (日)

日曜写真館 沢も田もあやめの畦となりにけり

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野あやめの 離れては濃く 群れて淡し 水原秋桜子

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やはらかな芦にあやめは咲いてをり 阿波野青畝

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あさまだき草にあやめのこむらさき 日野草城

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あやめ咲くことを思へり厨房に 三橋鷹女

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ふりほどく力見せけりあやめ草 りん女

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幼子のしやがめば消ゆるあやめかな  吉村玲子

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あやめ~白むらさきに心なし 百里

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四辻や匂ひ吹みつあやめの日 高桑闌更

2021年6月12日 (土)

日本から米空母ががいなくなる

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バイデンが、東アジアに展開する唯一の空母ドナルド・レーガンを引っこ抜いてゼロにしてしまうそうです。
日本メディアがまったく報じていませんので、ウォールストリートジャーナルからやや長いですが、引用します。

「横須賀母港の米空母、中東派遣へ アジア展開の空母ゼロに
米国防総省はアジア・太平洋地域に唯一展開している原子力空母「ロナルド・レーガン」を中東に派遣する見通しだ。アフガニスタン駐留米軍の撤退を後方支援する狙いがある。国防当局者が明らかにした。

 横須賀を母港とするレーガンは、今夏にアフガンに向けて出港し、中東地域に最大4カ月配備される予定だ。
 当局者によると、レーガンが中東に派遣されている間、米海軍は少なくとも一定期間、アジア・太平洋地域を空母なしで展開することになる。日本を拠点とする米海軍第7艦隊は、他にも多数の艦船や軍用機を有しているが、唯一の空母の再配置は、ジョー・バイデン大統領が米軍の最優先地域に掲げるアジアから、米軍のリソースを一時的に著しく引き揚げることを意味する。

 バイデン氏は先月、9月11日までに米軍と同盟国による連合軍をアフガニスタンから撤収させる計画を発表。米当局者はこれを受け、アフガンから撤退する間、中東地域の安全を確保するため、空母と空母打撃群を維持する考えを示していた。
 中東で現在展開している空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」は、母港のバージニア州ノーフォークに帰還するため、7月までに出港する必要がある。アイゼンハワーは過去3年に2度配備されており、安全性の観点からこれ以上延長して展開することはできないと当局者は話している。

米海軍はコメントを控えた。 マイク・ギルディ米海軍作戦部長(CNO)は今月、中東での空母展開によって米海軍に大きな負荷がかかっている問題に触れ、バイデン政権が進めているイラン核交渉が再び合意に至り、中東で空母打撃群を展開する必要性が低下することを望むと述べていた。
 バイデン氏はアフガン駐留米軍の撤退計画を発表した演説で、イラン核合意への復帰を目指すことを決めた背景には、アジアに米軍のリソースを振り向ける狙いがあると説明している」(ウォールストリートジャーナル2021年6月12日 太字引用者)
https://jp.wsj.com/articles/u-s-aircraft-carrier-leaving-asia-to-help-with-afghanistan-troop-withdrawal-11622051990

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WSJ

つまり、こういうことのようです。
バイデンは、アフガンから4000名もの兵の完全撤退を目指しています。
その撤退支援ためにドナルド・レーガン空母打撃群が欲しいということのようです。
もちろん空母レーガンだけではなく、打撃群は7隻のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦 と3隻のイージス巡洋艦で成り立っていますので、これらの艦艇もアフガン水域に移動するはずです。
その中には、この間航行の自由作戦の中心で気を吐いていたマスティンなどのイージス艦も入っています。
これによって、南シナ海と東シナ海方面の米海軍は出払うことなります。

おいおいレーガンは極東有事に備えたもの、担当水域が違うじゃないか、と思いますが、本来なら、これは中東海域に派遣されているドワイト・アイゼンハワー空母打撃群が担当するべきです。

しかしなんとアイゼンハワーのほうが、過去2回派遣されていてこれ以上の任務延長ができないので、いったん母港ノーフォークに戻して点検整備をせにゃならん、だからレーガンを回すということです。 
え、なんでこんなにタイトなのとおもうでしょうが、米海軍は世界一の空母保有国ですが内実をみれば、かつての13隻体制が11隻、やがて9隻と順調に減っていきました。

そもそも空母に限らずすべての艦艇は、オンステーション(任務)→休養・整備→訓練とシフトしますから、現実に即時作戦行動できるのは、常に保有数の3分の1です。
ですから米海軍の稼働空母は、せいぜい3隻からよくて4~5隻ていど。
そのうち大西洋から地中海にはロシアへ押さえで3隻程度置いていますから、アジアとペルシャ湾に1隻ずつということになります。
それが今回アフガン撤退という予定外の任務が加わったために、アジア配置のレーガンを引き抜くということになったようです。
かくして米軍の東アジアの海軍力は、一時的にであれ、ほぼゼロになってしまいました。

さてアフガンから兵を抜くという方針自体はトランプ時代に策定されていたものですが、バイデンはそれを就任早々に前倒ししてしまいました。
撤収の理由は、これ以上アフガンに留まっていることに、さすがの米軍も耐えられなったからです。 

アフガン戦争は既に20年間にも及び、米国最長の戦争と化しています。
アフガンにおける兵士の死亡件数は2006年から増加し続け、その93%が米軍の領域で起きています。
2006年から2020年までの期間で、就役中に死亡した米兵の数は実に1万7645人。
米議会調査局のデータによれば、死亡件数の31.8%が不慮の事故、24%が自殺、17.5%が病気やケガによってで、戦闘による死亡は3.2%、2.9%の死亡が「説明しがたい状況での死亡」だそうです。

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この自殺数の多さや、原因が特定できない死亡数の増加がなにを意味するのかといえば、アフガン駐留米軍がかつてのベトナム戦争の悪夢を再現しつつあるということです。
つまり、アフガン米軍は内部崩壊の危機に瀕しているのです。

では、今後米軍なきアフガンはどのようになるのでしょうか。
これもかつての南ベトナムと同じ道をたどらざるをえないでしょう。
かつての北ベトナム軍の代わって、アフガンにはタリバンが戻ってくるのです。
そして意気揚々と狂信的なイスラム原理主義国家を復活させます。
そして世界からテロリストの聖地として崇められ、テロの一大温床に戻ります。
なにひとつ20年前とかわらない状況です。

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BBC 米軍基地の返還

上の写真は米軍基地が撤収にともなって閉鎖され、アフガン軍に移譲する式典のものですが、タリバンはこの基地を使用すると公言しており、たぶんそうなるはずです。
アフガン軍の腐敗のひどさは世界有数で、その腐りっぷりもかつての南ベトナム政府軍以上だとさえ言われています。
軍規は乱れに乱れて軍閥化しており、米国が支給した最新装備はそのままタリバンに横流しされ、米国が補てんしていた兵士の給与は、勤務さえしない兵士の名義へ振り込まれて、将軍どもの私腹を肥やします。

下の写真はタリバン軍ですが、手前の戦闘員など着ている戦闘服から銃器までメイドインUSAのようです。

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BBC タリバン軍

米国議会調査局の報告に出てくる「説明できない死亡」の多くには、アフガン軍兵士による米兵殺害事件も入っています。
米軍はこの戦争に州兵まで投入しましたが、兵士にとってアフガン行きの命令は地獄行きと同義語だったことでしょう。

一方タリバンとの和平交渉はどうなったでしょうか。
米国がいなければ交渉自体にタリバンが乗らなかったことは確かですが、それは裏返していえば、米軍という強大な軍事力がいなければ、直ちに元の状況になるということを示しています。

事実、タリバンの幹部は、こう言っているようです。

「タリバンは、自分たちが勝利したと確信している。ハジ・ヘクマト氏は緑茶を飲みながら、「私たちが戦争に勝ち、アメリカは負けた」と断言した。駐留米軍の完全撤退の期限を、昨年合意された5月1日を超える9月に延ばすとジョー・バイデン米大統領が決定したことに、タリバンの政治指導層は激しく反発している。勢いづいているのは、タリバン側のように思える。
「私たちはあらゆる事態に対応できる」と、ハジ・ヘクマト氏は言う。「和平の準備は完全にできているし、ジハード(聖戦)の準備も完璧にできている」。隣に座っていた司令官も、「ジハードは信心の行為だ。信心はいくらやっても飽きない」と話した」(BBC 2021年4月16日)

タリバンが言うように、「我々が戦争に勝ち、アメリカは負けた'We have won the war, America has lost'のです。
あとはどのように国際社会に悪影響を与えないで撤収するか、という技術的問題が残るだけだったはずですが、ここでバイデンは急ぎました。
段階的とはいいつつ、内実は即時撤退です。

戦争は停戦と決まった時に、もっとも激しくなると言われています。
戦闘意欲をなくして逃げる敵軍の背中を追いかけるほど、楽な戦闘はないからです。
タリバンもこの戦争の鉄則に従って、一気に版図を拡大するでしょう。
一時的にはアフガン軍閥と激しい戦闘になるでしょうが、勢いはとうにタリバンにあります。

だから米軍撤収支援のために航空支援が欲しいということで、ドナルド・レーガン空母打撃群が引き抜かれてしまったのです。
しかしこれは中国にとっては、願ってもない福音となるでしょう。
一時的とはいえ、対中国シフトの空母打撃群がゼロになるのですから。
中国はタリバンに密かに軍事援助を送って、米軍の撤退が長期化し、泥沼化することを支援するかもしれません。
撤退作業が難航すればするほど、中国にとって美味しい状況になるからです。
中国はそのような状況をつくるためなら、タリバンを公式政府として承認してもいい、くらい言いそうです。

元アメリカ海軍准将のマーク・マクガマリー氏らが5月下旬に発表した論文はこのように述べています。

「アフガニスタンの米軍を短期間に全面撤退させるという作戦には当然、海と空からの擁護が欠かせず、中東での空母の存在が必要となるが、そのための空母を西太平洋から動かし、その結果、西太平洋に空母が不在となることは危険だ」
「西太平洋に空母が皆無という状態はアメリカの地域的な海上戦力の低下となり、南シナ海、東シナ海、台湾海峡などでの中国の軍事脅威への抑止力の減少となり、中国を利することになる」
「バイデン政権のアフガニスタンからの米軍全面撤退は本来、中国への米軍全体の抑止態勢の強化という戦略意図を持つのだろうが、皮肉にも先を急ぐ撤退計画と空母の移動で西太平洋に空白が生まれ、対中抑止態勢が弱まることとなる」(古森義久2021年6月11日)

残念ですが、長年の米国の出血を止めるためのアフガン撤収は、中国に誤った信号を送りかねないでしょう。

 

 

2021年6月11日 (金)

武漢研究所起源説を唱える科学者に、これ以上追究するなという脅迫

この1か月、雪崩のように武漢研究所起源説の医学的見解が出てきました。
いまやちょっとした花盛り状態で、ちょっと前までの世界の科学者の総意は自然起源説であるぞよ、というのはなんだったんでしょうか。
実は武漢研究所起源説は、FOXやウォールストリートジャーナルの報道から始まったのではなく、1年前から公的な報告書であがっていました。

「米国エネルギー省傘下の生物防衛研究所の情報部門は、2020年5月27日に提出した機密レポートで、中国の“コウモリコロナウイルスにおける機能獲得(GOF)”研究の過程でウイルスが流出したと結論づけていた。そのレポートの存在を米シンクレア・ブロードキャスト・グループが独自ダネとして5月3日に報じたことから、実験室流出説が改めて注目を浴びるようになった」(福島香織6月10日)

1年前の2020年5月といえば、米国のバンデミックが穏やかな日本型ではなくイタリア型感染爆発だと明らかになった時期です。

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NHK

当時、米国CDCは武漢からの帰国者便を出して、まるで宇宙から帰還者に対するような厳重な隔離監視下に置き、さらに厳しい入国制限をしたのですが、Covid-19は軽々とそれを潜り抜けて米国内で猛威を振るったことは記憶に新しいことです。
この時期に既に米国生物防衛研究所は、このCovid-19の正体が機能獲得研究により人工的に作り出されたモンスターウィルスだと見抜いていたわけです。
なお後述しますが、当時のCDCもおなじような見解を持っていたようです。

現時点で、この機能獲得実験(GOF)こそが、今回のCovid-19の世界的パンデミックを引き起こした「爆弾」であったことが突き止められています。
これを疑う者のほうが、今や陰謀論に染まっていると見なされるほどです。
たとえば、米国臨床バイオ製薬企業アトッサ・セラピューティクス創始者のスティーブン・クウェイとローレンス・バークレー国立研究所の元主席科学者のリチャード・ミュラーは、「新型コロナウイルスは人工的に造られた怪物である」というウォールストリートジャーナル(6月6日)への寄稿でこのように述べています。

「ラボリーク仮説を支持する最も説得力のある理由は、科学にしっかりと基づいている。特に、Covid-19の疾患を担う新規コロナウイルスのCoV-2の遺伝的指紋を考えてみよう。
機能向上研究では、微生物学者は、特別な配列を素地でゲノムにスプライス(重ね継ぎ)をすることで、コロナウイルスの致死性を大幅に高めることができる。これを行うと、操作の痕跡は残らない。
しかし、それはウイルスのスパイク(突起)タンパク質を変更し、ウイルスが遺伝物質を犠牲者の細胞に注入しやすくする。1992年以来、同じ場所に特別なシーケンス(配列)を追加する少なくとも11の別々の実験があった。最終的な結果は常に過給に注入されたウイルスであった」(WSJ前掲原文英文)
https://www.wsj.com/articles/the-science-suggests-a-wuhan-lab-leak-11622995184

人工的に作り出されたウィルスには、特有の「指紋」(フィンガープリント)があるというのです。
下の風刺漫画はWSJからのものですが、人工的ウィルスには特徴的な自然界には絶対にありえない特有の痕跡が残されています。
それはまるで作った者の顔のように奇怪だ、ということです。

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WSJ

人工的ウィルスが作られる目的は、いかにす早く人体に侵入して感染を拡大し、そしていかに多くの人を死亡させるかという致死性を強化するためです。
言い換えれば、この感染力と致死性の異常なまでの強さを持つCovid-19は、その特徴だけで限りなく軍事用生物兵器である可能性が濃厚だということです。

とうぜんこの生物兵器説の可能性を匂わす生物防衛研究所の秘密報告書はホワイトハウスに上げられ、これがトランプやボンペオの我々は武漢研究所起源説の証拠を握っている、という主張となっていきます。
しかし、これを米国科学界やメディアは陰謀論のひとことで片づけ、冷笑しました。

この原因として考えられるのは、トランプがパンデミックに対して素人だったことです。
トランプはマスクすら拒否して、これを推進しようとする大統領主席医療顧問のファウチと正面衝突を繰り返しました。
トランプはロックダウンにも消極的で、経済再開のほうに重きを置いたようです。
一方で、ワクチンのワープスピード作戦を全力で推進し、今の米国のワクチンによる制圧の基礎を作っています。

ワクチンの接種が急激に伸びるにしたがって、米国の感染は見る見るうちに終息へと向かいました。
ただし、その手柄はトランプではなくファウチに授けられました。
わずか3か月前の米国紙は、手放しでファウチを称賛しています。まさに英雄を仰ぐかのようです。

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フォーブス

「この1年の新型コロナウイルスとの闘いにおいて、科学的な厳密性を重視するヴェテランの感染症専門家として歯に衣着せぬ発言を続け、象徴的な存在になった人物がいる。米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)で長年にわたって所長を務めてきたアンソニー・ファウチだ。
ファウチの名前が出てもブーイングしない大多数の米国の人々にとって、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を終息させたいバイデン大統領が彼を新政権の首席医療顧問に任命したのは当然のことだった」(WIRED20213年3月12日)
https://wired.jp/membership/2021/03/12/anthony-fauci-pleads-dont-declare-victory/

あるいは医学部への志願者が増えたことを「ファウチ効果」とまで持ち上げる始末です(笑)。

「ボストン大医学部の入学事務局長は、志願者の増加について「アンソニー・ファウチを見て、また地域社会の医師たちを見て、人々がすごいと褒めそやしている状況と大きく関係しているのではないか」と話す。
NPRによると、大学の入学担当者らの間では、今年の志願者増は「ファウチ効果」と呼ばれている。国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)の指導を通じて若い世代を奮起させた、との見立てだ」(フォーブス2010年12月10日)
https://forbesjapan.com/articles/detail/38669

この「ファウチ効果」で一躍全米のヒーローとなったファウチを、わずか半年後に待ち受けていたのが、この武漢研究所支援報道でした。

「アメリカ政府が武漢ウイルス研究所で行われていたコロナウイルスの機能獲得実験に連邦助成金を出していたとする問題が指摘されていたからだ。米国立衛生研究所の連邦助成金は、ニューヨークにあるエコアライアンスという非営利研究機関を通じて、武漢ウイルス研究所に送られていた。武漢ウイルス研究所は、2014年〜2019年の間、連邦助成金約340万ドルを受け取っていたが、その一部は、コウモリのコロナウイルス研究に当てられていたという。(略)
ところで、エコアライアンスの社長ピーター・ダスザック氏は、2020年2月の科学誌「ランセット」に掲載された、27人の科学者たちが署名した“新型コロナは動物由来で自然発生したものであり、研究所から流出したものではない”とする発表を取りまとめた主要人物である。科学者たちが行ったこの発表が「研究所流出説」はありえないとする見方に大きな影響を与えたと言われている
(飯塚真紀子『「武漢研究所流出説」支持の前CDC所長に“殺しの脅迫” 流出説を追究するなの警告も 米誌調査報道』

この報道に対して、当のファウチは、武漢研究所に送られた連邦助成金は、機能獲得実験には使われていないと公聴会で証言しました。
たしかに直接に武漢研究所に出したわけではありませんが、石正麗の共同研究者だったダザック経由で迂回援助しただけのことで、言い訳にもなりません。

驚いたことには、米国ウィルス科学界に君臨し、トランプと対決したことで一躍英雄となったファウチに忖度する者たちが大量に現れたことです。
それは同調圧力にとどまらず、武漢起源説を唱えた科学者に対しての「殺しの脅迫」にまで発展しました。
それは前CDC所長ロバート・レッドフィールドにも及びます。氏はトランプ政権時のCDC所長を努めています。

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前CDC所長ロバート・レッドフィールド
CNN.co.jp : 前米CDC所長、コロナ起源は中国の研究所と主張

レッドフィールドはCNNのインタビューに答えて、このように述べています。

「レッドフィールド氏はインタビューで「もし私が推測するなら、このウイルスは9、10月のどこかの時点において武漢で感染が始まった」と言及。「これは私個人の感触だ。あくまで意見に過ぎない。今の私は意見を持つことを許されている」と述べた。(略)
レッドフィールド氏は研究所流出説について「他の人はこの説を信じていない。それは構わない。最終的には科学が解明するだろう」と説明。「研究所で扱われている呼吸器病原体が職員に感染するのは珍しいことではない」とも述べた」(CNN2021年3月27日)

この発言に対しての反応が「脅迫」という型で跳ね返ってきます。

「3月には、前CDC(米疾病対策センター)所長で、ウイルス学者でもあるロバート・レッドフィールド氏がCNNのインタビューで「研究所から流出したと思う」と発言し、大きな波紋を呼んだ。
そのレッドフィールド氏が、CNNで問題の発言をした後、「殺しの脅迫」を受けていたことを、米誌「ヴァニティー・フェア」が報じている。
レッドフィールド氏は同誌でこう話している。
「私は脅され、村八分にされました。別の仮説(研究所流出説のこと)を提示したからです。政治家から脅されると思っていました。科学界から脅しが来るとは思っていなかった」
レッドフィールド氏は、著名な科学者たちから“殺しの脅迫”メールが殺到したこと、メールの中には前の友人からのものもあったことなどを同誌で明かしている。メールの中には「枯死しろ」というものもあったという。
科学界から「殺しの脅迫」が来たのは、科学者たちが「動物由来の自然発生説」の立場を取り、「研究所流出説」は陰謀論として否定しているからだろうか」(飯塚前掲)

レッドフィールドは、感染症対策の司令塔であるCDC 前所長という要職にいた人物ですから、彼が武漢研究所説を指示したことに衝撃を受けた者らが、多くいたのでしょう。
しかもそれも政治家だけではなく、科学界だというところが、この問題を複雑にしています。

ヴァニティー・フェアは、数ヶ月にわたって、40人以上の関係者にインタビューし、内部メモや会議議事録を得たりするなどの調査報道をして発表したのですが、その中には、元国務省高官トーマス・ディナンノの内部メモが残っていました。
そこにはこうあります。

「2つの局のスタッフが、新型コロナの起源調査を追求するな、追求し続けたら“パンドラの箱”を開けることになると警告した」
また、元国務省高官たちによると「研究所流出説を調査していたグループのメンバーたちは、繰り返し、“パンドラの箱”を開けないよう警告されていた」という。そのため、ディナンノ氏は「警告は隠蔽の匂いがした。関わらないことにした」と同誌に話している。
それは、当時、国務省で新型コロナの起源調査を行っていたデビッド・アシャー氏の発言が示唆している。同氏は「連邦政府内では、機能獲得実験をめぐる重大な官僚主義があることがすぐに明らかになる」と話していたという。
また、国務省バイオロジカル政策スタッフのディレクターであるクリストファー・パーク氏も、同誌が入手した会議議事録の中で、高官たちに、機能獲得実験におけるアメリカ政府の役割を指摘しないよう忠告していたという。
米国務省内では、新型コロナの起源調査にあたり、危険視されている機能獲得実験と関係がある可能性がある「研究所流出説」を追究するのはご法度という空気が流れていたわけである」(飯塚前掲)

国務省内には、ポンペオの指示とは無縁に「武漢研究所起源説を追及してはならない」という同調圧力が濃厚に存在していたようです。
これはトランプ政権末期に、大統領選挙に対する外国勢力の影響などの調査を命じられたインテリジェンス機関が、まったく無しの礫でろくに仕事をしなかったことを思い出していただければ、納得されるでしょう。
米国の官僚組織には、彼らの古傷や怠慢の調査をしたくないのです。

同じように米国科学界にも、しかも重鎮クラスに、ファウチやダザックと連座して武漢研究所を助成する手助けをした人物が複数がいたと想像できます。
彼らは、まるでマフィアのように「沈黙の掟」を守り、それを冒す科学者を排除しようとしたようです。

なお、いまや堕ちた英雄となってしまった当のファウチは、中国の初期感染者9名の医療記録を開示しろという反面、こんなことを言っています。

「パンデミックの起源を見つけることは、中国にとっても利益になることです。オープンになって協力する姿勢が明らかに求められています。協力を得るには、一つには、非難しないことです。非難は、中国をいっそう後ずさりさせるだけだと思います」(MSNBCのインタビュー )

ファウチが中国に医療記録の開示を求めたことを妙に評価する声もあがりましたが、中国のことをなにも分かっていないのですね。
科学者として公平な態度だというわけですが、ファウチは中国との共同研究を最低でも5年間続けた人物ですから、中国当局の極度の隠蔽体質を知らないはずがありません。
中国が北京の国家保健委員会の金庫に、重要なデーターやウィルスサンプルなどを全国からすべてかき集めて、一括で管理していることくらい分かっているはずです。

ですから、中国は絶対にファウチがいうように「オープンで協力」することなどありえません。
つまりただのポーズにすぎず、中国と連携して感染対策をやりたいバイデンの姿勢を手助けしたにすぎません。
ファウチがほんとうに言いたいことは、「中国に重要な証拠を出させるためには、中国を怒らせるような追及は止めろ」という後段の部分なのです。

 

 

2021年6月10日 (木)

初めから無理筋だった自称「元徴用工」裁判終わる

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正直、どうでもいいニュースですが、気分転換に。
韓国ソウル地裁が、自称「元徴用工」に対して「敗訴」の決定を下したそうです。
「日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者と遺族85人が日本製鉄(旧新日鉄住金)、日産化学、三菱重工業など日本企業16社を相手取り損害賠償を求めた訴訟でソウル中央地裁が7日、訴えを却下したことについて、原告側は「大法院(最高裁)判決に反する」として即時控訴する意向を明らかにした。
却下は訴訟要件を満たしていない場合に、審理を行わず下す決定だ。原告敗訴と同じといえる。
原告の訴訟代理人を務めるカン・ギル弁護士は報道陣に対し「詳しい内容は判決文を見なければならないが、きょうの判決はこれまでの大法院の判例とは正反対で、非常に不当だ」と述べた。(聯合6月7日)
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正確にいえば「敗訴」という中身の判断を避けて、訴訟自体を退けたという類のものです。
このスタイルはこの4月に出た元慰安婦らが日本政府を訴えた裁判判決の、「国際法で主権免除論があるからあきらめてね」という判決に似ていますが、今回は民間企業相手なのでどうなるかとは思っていましたが、結局落ち着くところに落ち着いたってかんじ。
実際にいくら原告寄りの判決を出しまくっても無駄なんです。
大元の現金化なんかできっこありませんから。
いえいえ国際情勢に鑑みてなんて高級なことではなくて、技術的問題です。
頭のゆるい日本のメディアは「現金化はいつか」なんて年中言ってましたが、そもそもできるわけがないのです。
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徴用工訴訟の韓国最高裁判決:日韓関係への深刻な脅威 | nippon.com

大法院が賠償を命じた日本企業2社(日本製鉄と三菱重工)、高裁レベルで賠償と決まった日本企業1社(不二越)の3社に対し、自称「元徴用工」ら原告側が差し押さえられると称しているのは、実は当該企業の韓国における資産にすぎません。
しかもその内容たるや、なんだと思いますか?
ただの商標権や一部の特許権といった知的財産権ですから、誰がそんなものを買うんだってことですよ。
賠償で取り上げた三菱重工の商標つけて、奪った特許で作ったバッチモンのひとつでも売りますか、という話です。
当時私は深読みしてしまって、すでに商標権などに買い手がついているとすら思っていました。
弁護団が密かに闇市場で三菱重工の商標と特許を売りさばいていて、買い手がついたのかとね。
しかしそんな物好きはいなかったんですな、残念。
しかも日本製鉄と不二越は合弁会社ですから、合弁した韓国会社のサイドが賛成するはずもありません。
合弁した韓国企業は商圏まで含めて利益共同体ですから、商標権売られたら目もあてられませんから。

三菱重工は今回のこともあって韓国市場に嫌気が指して現在撤退中。
他の日経企業もカントリーリスクの多いこんな国は、と撤退中。
ぜひ韓国人従業員の皆さんにこの裁判のご意見もお聞きしたいもんです。

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元徴用工判決に元駐韓大使「韓国に何かあったときに助けようという意識

というわけで、いくら差し押さえても売れませんから、しょせんどこまで行ってもただの政治ショーにすぎないのです。
私が原告団弁護団なら、一番押えやすい資産から食っていくでしょう。
いちばん手っとり早いのは、売り掛けを押さえてしまうことです。
これなら判決を持って買掛金を持つ取引先に乗り込んで、以後原告団の口座に入金しろと話をつければいいだけのことです。
あるいは、倉庫の在庫を棚卸させて、それを売りさばくことだって可能だったはずです
それなのにそれなのに、あーそれなのに、なんで一番難しい商標権や特許権などに手をつけて大騒ぎするのか。
だから本気度ゼロだと日本側に見抜かれてしまうのです。

いったん政治的プロパガンダだと見抜かれたら最後、もう交渉にもなりませんから、日本側はやるならどうぞ、しかしやったら日韓基本条約の一方的廃棄と見なして大使召還、信用状取り消しくらいでは済みませんから、と言ってきました。
これでムン閣下は動くに動けなくなりました。
ムン閣下は、今までどおり泣く子は餅を一個多く貰えるとおもっていたのです。
必ず日本の親韓派議員が蠢いて外務省に圧力をかけ、日本側が「大人の判断」をして妥協してくるだろうと。
安倍氏と日本の世論を甘く見ていましたね。

日本側は一切妥協することなくつっぱねて、時間がたてばたつほどこの大法院判決の化けの皮がはがれました。
極めて政治的判決であって、現実化不可能だとね。
そういうことを見定めて、今回の裁判長は「売却が極めて難しい資産ばかりである」という意見を述べているわけです。

さて、それにしてもヘンな感じですね。
今回は外国政府を訴えることができないというわけではないので、本来ならソウル地裁の上級審である大法院(最高裁)の判例に従って、日本企業は粛々と賠償を支払えというべきなのに、ここでなんで下級審がひっくり返しっちゃうの。
それを今になって、今回の判決で「原告勝訴であっても、判決によって強制執行することは権利の濫用に値する」と訴訟要件を満たしていないと裁判長が言うに至っては、ハンギョレじゃなくとも怒ろうというものです。
「7日、ソウル中央地裁が強制労働被害者たちの損害賠償訴訟を却下したことは、日帝の不法行為に責任を問うことができないという内容だけでなく、最高裁の全員合議体の判決に逆らったという点でも注目される。特に、日本企業に対する強制執行が行われれば、日本はもちろん米国との関係も損なわれかねないとして、極めて異例の“司法外的”判断まで示し、法曹界からは非常識的だという批判の声もあがっている」(ハンギョレ6月8日)
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韓国大法院(最高裁)「徴用工判決」判決 ―― 核心は日本帝国主義の朝鮮
う~ん、だからナニって感想しか出ません。
韓国の司法は日本の司法制度のコピーですから、こうなってあたりまえのことで、そもそも大法院に政治圧力をかけて、あんな馬鹿な判決を出させたこと自体が間違いだったのです。
初めのボタンをかけちがえると、最後までおかしくなるというたとえどおりです。
初めに政治的無茶をしたために、ありもしない自称「徴用工」という幻を国民に与えて、勝手にひとり相撲をとったあげくひとりで土俵下にころがり落ちたのですから、まるでエア相撲。 

あげく日韓関係は永久氷河期に突入し、首脳会談はおろか外務大臣級会談すら開かれないありさまです。
やらなくてもちっとも困らないことが、日本国民にも分かってしまいました。
そればかりではなく、諸外国にも韓国が既に中国陣営に片足突っ込んでいるコウモリ国家だとバレてしまいました。
信用ならん、あんな国。これがクアッド諸国の韓国への視線です。
したがって韓国はクアッドにお声もかからず、今さらTPPに入りたいなんていっても門前払い。
米国に行ってワクチンをくれぇと言っても、在韓米軍に見合った韓国軍の数しか貰えずさんざん。
少しは分かりましたか、ムン閣下。
結局は、なんのかんのと言っても、国民感情が外交関係の基本なのですよ。
いくら崇高な国際戦略があろうと、国民感情に背いてはできません。
だから日本は台湾には温かい友情を抱いても、韓国には冷やかな気分しか持てなくなりました。
台湾へのワクチン支援で、安倍氏が秘密作戦をやれたのも、国民感情が後押ししていたからです。
日本の国民感情がここまで背中を向けてしまった今、これを解きほぐすには壊したエネルギーの数倍はかかるでしょうね。
おとなしい日本人をこういう気分にさせると、簡単にそれじゃあ日韓友好に切り換えますか、ってわけにはいかないのですよ。
そちらもここまで焚きつけた反日感情の収拾がつかないでしょうから、結局双方ともにこのまま氷河期のままで、ということです。
それがいい、それが幸せです。
それにしてもムン閣下の反日ひとり相撲は高いものにつきましたね。

2021年6月 9日 (水)

武漢株生物兵器説と超限戦

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今回の武漢株が生物兵器ではないか、と考える説が出始めています。

「豪紙オーストラリアンも前日の8日、米国務省が昨年入手した15年に人民解放軍の科学者らが作成したとされる文書の内容を報じたが、その内容は驚くべきものである。その文書には「生物兵器を使用して最大の被害を引き起こす理想的な条件」が縷々説明されており、その目的は「このような攻撃で病院での治療を必要とする患者を急増させ、敵の医療体系を崩壊する」ことである。
まさに新型コロナウイルスのパンデミックにより西側諸国で起きた惨事を彷彿とさせるものだが、文書の執筆者には「第1次世界大戦は化学戦争、第2次世界大戦は核戦争なら、第3次世界大戦は明らかにバイオ戦争となる」とする恐ろしい戦略的認識がある」(藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

ここでオーストラリアン紙が入手した中国内部文の考え方こそ、「超限戦」と呼ばれる中国特有の軍事思想のことです。
超限戦とは、従来の古典的武器、たとえば航空機や大砲、軍艦などにばかり頼るのではなく、積極的にサイバー戦争や生物兵器を位置づけていこうとする戦略思想です。

この超限戦の考え方は、既に中国で20年以上前に現れています。

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喬良人民解放軍国防大学教授・空軍少将 解放軍將領:文統台灣無望武統不可輕率急進| 國際| 新頭殼Newtalk

喬良人民解放軍国防大学教授・空軍少将が『超限戦』(邦訳あり)としてまとめています。
その一節にはこのような文章があります。

「超限戦」は人民解放軍の新戦略で、これからの戦争は「戦争と非戦争、軍事と非軍事のすべての境界がなくなる」「戦争の主体も戦場も手段もあらゆる限界・限定を超えた戦争」であるとして貿易戦、金融戦、新テロ戦、生態戦、心理戦、密輸戦、メディア戦、麻薬戦、ハッカー戦、資源戦、経済援助戦、法律戦等々これらの戦法を組み合わせ無限大の方法で戦うべきであるとしている」(長谷川忠 『政府・企業等の情報保全の現状と対策 』)
http://www.jpsn.org/lecture/5779/

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つまり軍事をミリタリーに限定せずに、政治・経済・文化・法律その他あらゆる要素を総合して構築しようという考えです。
喬少将はこう述べています。

人類に幸福をもたらすものはすべて、人類に災難をもたらすものでもある。言い換えれば、今日の世界で、兵器にならないものなど何一つないこのことは、われわれの兵器に対する認識の上で、すべての境界を打ち破るよう求めている。技術の発展が兵器の種類を増やす努力をしている時期こそ、思想上の突破によって一挙に兵器庫の扉を開けることができる。われわれから見ると、人為的に操作された株価の暴落、コンピューターへのウイルスの侵入、敵国の為替レートの異常変動、インターネットに暴露された敵国首脳のスキャンダルなど、すべて兵器の新概念の列に加えられる」(喬良『超限戦』)

「人類に幸福をもたらすものは、人類に災厄をもたらす」ですか。まさに武漢研究所の石正麗などの所業そのものですね。
つまりはやっていいことと悪いこと境界は存在しない、今まで武器にならないと思ってきたあらゆるものが兵器になるのだ、反則上等、ルールなんぞ糞食らえ、勝つことだけが目的だ、というのですから、そのすさまじい毒気に圧倒されます。

こういった危ない台詞は、えてして戦争中に登場し、実際に敵味方共々毒ガスを撒いたり、偽札を刷ったりしてはいます。
しかし、それはあくまでも頭に血が登っている戦時の話です。
ですから戦争が終結して平時に戻れば、戦争においてもやって悪いことを条約で制限しようとします。
今なお有効な戦時国際法であるハーグ陸戦条約などがそうです。

しかし中国の「超限戦」の概念は、なんと平時も含んでいるのですから驚きます。
今回も自然発生説を唱えた人のなかには、生物兵器禁止条約があるからとしたり顔で言っていた人がいますが、人がいいのもいいかげんにしていただきたい。
中国には戦時と平時の境がなく、したがって条約、非条約の境もなく、やっていいここと悪いことの境もない国なのです。
実際、この『超限戦』が世に出て、しかもそれを人民解放軍が公然と口にし始めた時、一国の正規軍がここまでやるのか、と西側軍事関係者を愕然とさせたそうです。

喬が上げた一例は、ハッカーによるサイバー攻撃でした。
サイバー攻撃はいまやまったく「通常兵器」と化して、日常的に行われています。
つい三日も、米国の食肉大手がサイバー攻撃を受けて、一時米国の食肉市場が大混乱に陥りました。
また原油パイプラインにも攻撃が掛けられています。
これらは、もうひとつの「超限戦」好き国家であるロシアの手によるものとされていますが、中国からのサイパー攻撃の激しさは有名です。

そして喬が説くもうひとつの「超限戦」の切り札は生物兵器、つまり新型ウィルスによるパンデミック攻撃だったのです。

「言うまでもなく、人為的に作った地震、津波、災害をもたらす気候、あるいは亜音波、新生物・化学兵器などは新概念の兵器で、通常言うところの兵器と大きな違いがある。しかし、これらの兵器もやはり軍事、軍人、武器商人とかかわる、直接的な殺傷を目的とする兵器だ。こうした意味から言うと、これらの兵器は、兵器のメカニズムを変え、殺傷力や破壊力を何倍にも拡大した、非伝統的な兵器にすぎない」(喬良前掲)

ここで書かれた「新生物」というのが、新たに人工的に作り出されたウィルスのことなのはいうまでもありません。
現実に、中国国防大学は、人民解放軍が発行している「軍事戦略の科学」2017年版の中で、「特定の遺伝子を使用した攻撃」という新たな種類の生物戦争に言及しています。

「国際評価戦略センター(バージニア州)のリチャード・フィッシャーは本誌に対して、「未来の戦争においては、中国が(標的を絞って手を加えた)コロナウイルスやその他の病原体を使って、特定の民族グループ、年齢グループや国を攻撃することも予想される」と述べた。
フィッシャーは、2020年に世界の多くの地域がパンデミックで大きな打撃を受けたことは、生物兵器が効果的な兵器だという考え方を裏づけていると指摘する。「超限戦(際限なき戦争)」を信条に掲げる中国軍は、国家を、さらには文明さえをも殺しかねない生物兵器を使用することに、良心の呵責を覚えることはないだろう。次のパンデミックが起きた時、生き残るのは中国だけかもしれない」(2021年6月1日 ニューズウィーク )

このような生物兵器すら使用する、しかも平時においても解禁するという発想は、全体主義国家でなければ到底不可能なことです。
民主主義国家において、そのよう条約やぶりは必ず発覚しますし、議会やメディアの攻撃に曝され、政権が吹き飛びます。
情報が極限まで国家によって統制可能な全体主義国家でなければ、できないことなのです。

英紙デイリー・メールは9日、「米国務省が対外秘としている報告書のなかには「武漢ウイルス研究所の研究員を含む中国の科学者は、2015年からコロナウイルスの軍事的可能性に関する研究を開始した」と記載されている」と報じました。
Sスパイクを操作し、人間のACE2受容体と結合できるようにして実験した事は既に2015年に『Naturre』誌で大論争になっていたのです。

新型コロナは既に2019年11月下旬には武漢で発生していましたが、それを告発した医師はデマの散布として拘束されてしまいました。
この状況を見て、まっさきに武漢にきたのが人民解放軍の生物戦担当官の陳薇少将でした。
陳少将が生物兵器であるとまで考えているのかどうかはわかりません。
陳は生物兵器をブロックする側であって、製造する側ではないからです。
しかし間違いなく、この武漢パンデミンクが自然発生したものではなく、人為的拡散されたと考えたことでしょう。
なぜなら、このような低毒性でありながら感染力が強い新しいタイプの生物兵器こそ、他ならぬ武漢ラボで研究していた超限戦用生物兵器だからです。20210205oyt1i50077t

武漢研究所からのウイルス流出疑惑、中国紙「WHOの調査メンバーは

武漢ウイルス研究所の袁志明室長は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道に対して「真っ赤な嘘」だと否定しました。
では、嘘と主張するならば、なにが自然界のコウモリとヒトを媒介したのか説明せねばなりません。

「ウォルター・リード陸軍研究所ウイルス感染症部門の元研究室長で微生物学者のショーン・リンは、本誌に対して、これまで誰も新型コロナウイルスの保有宿主を見つけることができておらず、動物からヒトへの感染経路も特定できていないと説明した。
「コウモリ、センザンコウ、ミンクやネコをはじめ、これまでどの動物の検体からも、新型コロナウイルスの始祖ウイルス(元凶となったウイルス)は特定されていない」と彼は指摘し、こう続けた。「始祖ウイルスも、ウイルスをヒトにうつした動物も特定されていないということは、新型コロナウイルス感染症が動物原性感染症だとする説には依然、重要な証拠が欠けていることを意味する。
動物からヒトに感染したことを裏づける証拠がないという事実は、新型コロナウイルスが施設で生み出された可能性を示唆しており、その施設として最も考えられるのが武漢ウイルス研究所だ。3人の研究者が体調を崩したという報道のほかにも、ウイルスが同研究所から流出したことを示唆する複数の兆候がある」(ニューズウィーク前掲) )

このウォールストリートジャーナルの報道をきっかけに、今や武漢研究所起源説は欧米の新型コロナウィルス発生に対してのメーンストリームの考え方にまで成長しました。

「たとえば同研究所は、1500株以上のコロナウイルスを保管しており、危険な機能獲得実験(特定の病原体の致死性もしくは感染力を高める実験)を行っていた。安全対策には不備があったし、新型コロナの最初の感染例が報告された場所のすぐ近くにある。ちなみに最初の感染例は、武漢の生鮮市場とは何のつながりもない。同感染症の「動物由来説」を信じる人々が、生鮮市場が感染源だと指摘しがちなだけだ」(NW前掲)

今や米国大手メディアのほぼすべてが何らかの形でこの起源説に同意しており、あいもかわらず「報道しない自由」のぬるま湯で昼寝しているのは、わが国のメディアくらいなものです。
本来は中国の犯罪の可能性をあいまいにしておきたかったバイデン政権ですら、90日以内に調査結果を持ってくるようにインテリジェンス機関に命じました。
しかしバイデンはトランプと違って新型コロナウイルス危機について、可能な限り中国と協力すべきだと考えているスタンスに立っています。
このスタンスに立つ限り米国政府の調査もまた、あいまいに消えていく可能性が濃厚です。

「新型コロナウイルス感染症が動物原性感染症(つまり動物からヒトに感染した病気)であり、中国政府が国際社会と共にそれを封じ込めるために最大限の努力をしてきたのであれば、中国と協力するのは適切な策だろう。しかしながら、同ウイルスが中国の研究所に保管されていた――もっと言えば生物兵器だった――もので、中国がその起源を隠そうとしたのであれば、彼らとの協力は論外だ」(ニューズウィーク前掲)

このように考えてくると、なぜ中国政府がこれほどまでに武漢研究所に残されたさまざまな「指紋」を消し去ろうとしたのか納得がいきます。
たとえば中国の国家衛生健康委員会は2020年1月3日、武漢の複数の当局(および中国国内にある全ての病院や研究施設)に対して、新型コロナウイルスの検体を廃棄するよう指示していました。
その隠蔽指令文書にはこうあります。

「国家衛生健康委員会弁公庁 2020年1月3日
6 の通知が発出される以前に、すでに関連する医療衛生機構で関連する病例の生物サンプルを取得している機構及び個人は、そのサンプルを直ちに隠蔽、あるいは国家が指定する機構に送って保存保管し、関連する実験活動や実験結果を適切に保存する」
(正論2月『中国の隠蔽指示文書全文』)

この中国政府の意図は、ただの隠蔽だけに止まらず、新型コロナウィルスのサンプルを、国家が独占してしまうことを意味しています。
これはこの通知1にあるように、「死亡患者の死体組織・臓器等」まで含んでいる徹底さです。

前述しましたが、この2020年1月下旬の発生初期から、武漢研究所の指揮を直接執っていたのが、研究所上部機関の中国軍事科学院軍事医学研究所の陳薇少将でした。

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新型コロナワクチン」中国人民解放軍が世界に先駆けて開発した背景

陳薇少将の使命は防疫に見せかけていましたが、当時北京がなにに力を入れていたのかを見れば自ずとその使命が理解できます。
第1に、隠蔽工作です。

中国の当局者たちは、長期間に渡って国際社会に武漢ウイルスのサンプルをわたすのを拒んできました。
なぜでしょうか?もし自然界のこうもりからヒトに感染されたというなら、むしろ国際的な研究の協力を仰ぐべきでしょうに。
これを一般的な共産国家の隠蔽体質でとらえるべきではありません。
自由主義陣営に武漢ウィルスの遺伝子情報を入手され、遺伝子配列を調査されることが不都合だったからです。

中国当局は、2020年1月に独自にデータを公表した上海の勇敢な研究者たちを処罰し、国際社会に警告を発しようとした者たちを監禁しました。
「武漢エイト」と呼ばれる8人の医師は当局から拘束され、口止めを命じられました。
これもなぜでしょうか。自然が起源なら、むしろ積極的に研究者や市民に協力を求めるべきではありませんか。

そしてもうひとつの陳薇少将の任務はワクチン製造です。

「今年は、中国軍の生物兵器防衛研究の第一人者である陳薇(チン ウェイ)少将(54歳、中国工程院院士、中国軍事医学研究院バイオテクノロジー研究所の所長)がメインキャストを務め、2月26日にすでに新型コロナウイルスのワクチンが製造されたと証言した。同発言はネットの反響を呼んだ。
中国公式メディアによると、陳薇は『学期最初の授業』で、彼女が研究していた新型コロナウイルスの遺伝子組み換えワクチンは2月26日に生産されたことと、たまたま彼女の誕生日だったことを語った」(看中国2020年9月7日) 

長谷川幸洋氏は、 国産ワクチンの開発を進めている大阪大学大学院の森下竜一教授から聞いた話として、中国製のワクチンは既に2019年8月頃に製造が開始されていなければおかしいという説を紹介しています。

「不活化ワクチン」と言われ、生のウイルスを弱毒化してつくる旧来の製造法に基づいている。ウイルスの不活化に成功し、かつ効果と安全性を確認するには、何カ月もかかる。一方で、中国は20年6月、第2段階の臨床試験に入ったことを公表していた。
そうだとすると、中国は開発期間から逆算して、「19年8月からワクチンの開発研究を始めていないと、つじつまが合わない」というのだ。
言い換えると、中国は武漢で流行が始まった19年11月には、すでに新型コロナの正体を特定していた。「これは、あのウイルスだ!」と分かっていたのである。そうでなければ、20年6月に、第2段階の臨床試験にこぎつけられるわけがないからだ。 
なぜ、そんな芸当が可能になったか、と言えば、早い段階から新型コロナの研究が進んでいたからだろう。そんな研究ができるのは、武漢の研究所をおいて他にない。
森下教授に以上の話を説明した研究者は「中国は感染実態を世界に隠した一方で、実は馬脚を現していた」と苦笑していた、という」(長谷川幸洋 )

このように整理できるでしょう。
1次世界大戦は化学戦争、第2次世界大戦は核戦争なら、第3次世界大戦は明らかにバイオ戦争となる」という戦争観を持ち、それを具体的に「超限戦」という戦略に落としこみ、かつ、生物兵器を作る計画がを持ち、その準備を着々と積み上げ、その結果、COVID-19に遺伝子配列が酷似したウィルスを、人民解放軍傘下の武漢研究所で作っていたことまでがわかっており、その武漢から世界的パンデミックが発生したということになります。
つまり実際に「やった」という「自白」だけが欠落しているにすぎません。
果たしてこれが偶然でしょうか?

かといって中国が自ら「自白」することは考えられませんし、自浄能力という概念そのものがなく、しかも厳重な情報隠蔽を敷いている以上、真実は状況証拠と西側社会で得られた科学的解析を、ひとつひとつ丹念に積み上げていく先にしか見つからないのは確かです。
ただし光明がないわけでもありません。
中国はこれだけ大規模な「超限戦」に手を染めてしまったために、うかつにも「指紋」をそこら中に着けまくってしまいました。
やがて「指紋」が特定され、新型コロナが生物兵器であったという結論がでても、なんの驚きもありません。
中国がいつまでも逃げきれるとおもったら大間違いです。

 

2021年6月 8日 (火)

「愛される中国」だとさ

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なんどか言ってきていますが、中国は分かりやすい国です。
イケイケの時は居丈高になって「戦狼」と化しますが、いったん分が悪いとみるとみるみるうちにシュワシュワ~と縮こまって「愛される中国」(笑)などと言い始めます。
強いものには媚び、弱いと見ると嵩にかかって脅しつけ、やりたい放題をしますが、形勢不利とみるといきなり媚態を示します。

5月31日の中国共産党中央政治局が召集した第30回集団学習会で、習近平は対外プロパガンダ関係者に向けてこんなことを言っています。

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習主席、「愛される」中国外交を指示 友好国増やすため(BBC News

「習近平はこの勉強会で「大外宣の宣伝力が力不足だ」と指摘する一方で、戦狼風格外交がもたらした反面効果に不満を示し、次のように語った。
「よく注意して話の語調(言葉遣いやトーン)をよくして、たとえ 自信たっぷりにみせても、謙遜と謙虚であり、信頼され、愛され、敬われる中国イメージを形成するよう努力せよ。簡単にいえば、相手が理解できるようにしっかり説明せよ」と語った」(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.352 2021年6月2日)

なにをいまさら。世界中を敵にまわしておいてよー言ってけつかる、です。
この習の「愛される中国になれ」の演説対象は、外交部、メディア、孔子学院、在外公館職員、統一戦線部関係者らでしょうが、今までのように言いたい放題だとかえってひどいことになるので、言葉を慎めということなのでしょう。 

しかしちょっとお待ちを。そもそも誰が「戦狼」どもをけしかけていたのでしょうか?
習さん、あんたでしょうが。あなたがけしかけて言わしたんじゃありませんか。
下っぱはがち習皇帝がお喜びになるだろうと思って、健気に「検挙でなく、信頼されず、敬われない」中国のイメージを日々奮闘努力して作っていたのに、よもや皇帝陛下がこんなこと仰せになるなんて、習様ヒドイ(涙)。
陛下が、なめられたらアカンでぇ、なめくさること言う奴ぁ、ドタマかち割ってやらんかい、って仰せになるから、私どもは日々罵倒語の訓練にいそしんできたのでございますよ。

その言い分は一理あります。
たとえば、いらばん有名な「戦狼」といえは、外交部の趙立堅報道官にとどめをさしますが、この男はまるで河内の三下ヤクザまがいの口を叩くので有名でした。

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趙立堅報道官

外務省のスポークスマンでありながら、外交的修辞をまったく習わなかったと見えて言いたい放題。
かつては南シナ海で中国の主張が退けられれば、言ったセリフが「こんなもん紙くずだ」ですから、そうとうなもんです。
日本の外務省なら、言った相手が国際司法裁判所なんですから、へへぇと承って「厳粛に受け止めます」って言うでしょうな。
それを、ヤクザが裁判所の決定を破り捨てて、なんじゃこんなもんただの紙キレやんけ、とイキがるのですから、処置なし。

最近ならば、趙は新型コロナウイルスの発生源は、思い込まれているような湖北省武漢市ではなく、米軍が持ち込んだ可能性があるということを無根拠に言っていました。
実はこの米軍持ち込み説も、共産党指導部が言っていたことなので、この男はそれを忖度しただけのことです。
しかしそれにしても稚拙です。百歩ゆずって米軍持ち込み説が正しくても、普通の国の普通の外交官なら、証拠を積み上げてから口にするでしょう。
それも初めは学者やメディアにリークして、アドバルーンを上げさせて様子を見てからにしますがね。
それを思いつきで米国にケンカを売ってしまうんですから、毛沢東同志の「敵が怒れば怒るほどわれわれは正しいのだ」というお言葉を思い出した次第です。

最近なら、ファイブアイズ(米英豪加ニュージーランド)の五つの目をつぶしてやる、と言ってみたりしましたが、今の時期そんな放言をすれば、かえってファイブアイズのインテリジェンス機関が意地になって武漢起源説を洗い直すことになるんですが、いいのかな。
まぁ言わなくてもそうなったんですが、それを当の中国がけしかけてどうするという大人の常識です。
ついでに、米日印豪ニュージーランドのインド太平洋五か国など、まとめて面倒見てやるぜ、とまで言ってしまえば、かえって結束しますよね

趙以外の外交部も似たようなもんで、こともあろうにフランスの中国大使が、フランス学者のアントニオ・ボンダツをつかまえて「ちんぴら」と呼ぶ事件も発生しました。

「3月23日 AFP】在仏中国大使館が同国の台湾政策に批判的なフランス人研究者を「チンピラ」、「荒らし」と非難しており、仏外務省は22日、研究者らへの侮辱や脅迫を含む「受け入れ難い発言」だとして、中国大使を呼び出すと明らかにした。
仏議員団による台湾訪問計画を中国大使館が阻止しようとする中、今回非難の的になったのは、シンクタン
戦略研究財団(Foundation for Strategic Research)」で中国研究を専門とするアントワーヌ・ボンダズ氏。
中国大使館は19日、ボンダズ氏を「チンピラ」だと非難し、他の研究者や仏議員から批判を受けたが、21日には「研究者やメディアの一員のふりをして中国を激しく攻撃する」人々は「狂ったハイエナ」だとツイッター(Twitterに投稿。「中国外交が、攻撃されてもおとなしい『子羊』のようになることを望んでいる人々がいる。(だが)そういう時代は完全に終わった」と記した」(3月21日AFP 9

これなど言ったのが、フランスにおいて中国を人格的に表象しているはずの駐仏大使ですから、フランス政府も怒るより呆れたことでしょう。
ブラジル・リオデジャネイロの総領事など、ツイッターでカナダのトルドー首相の写真を張り付けて、米国の走狗、ごく潰し、とまで書き込んじゃったんですから、カナダから大使召還で報復されても文句はいえません。

「ただ、これは外交官たちに責任があるのではなく、習近平の意向であったと思われていた。外交官は役人であり、自分たちが出世するために、習近平に気に入られようと、こうした戦狼ぶりを競うように演じているうちにエスカレートしていったとみられている。
さらに重要なのは、「中国の物語と声をグローバルに表現して、地域ごとに表現し、大衆ごとに表現せよ」「交遊を広げ、団結と多数の支持を勝ち取り、国際世論朋友圏に知中派の友人を絶えず拡大していくように」という要請を受けたことだ。これまでさんざんケンカを売ってきたのに、いまさら謙虚になって仲良くしてください、といえるのか。
習近平はこの問題は深刻である、との認識を示し、「主たる責任を負う同志たちは自分たちでしっかり掌握してやれ」と指示した。「党と国家の尊厳イメージを維持せよ」と命じた。
かつてフランス週刊誌の北京特派員であった高潔(ウルスラ・ゴーチエル)はツイッターで、「習近平は戦狼外交官に向かって笛を吹いて、静かに!言葉使いをよくして、自信を開放しても謙虚であれ、と命じた」とコメント。「でも中国の駐フランス大使館はアントニオ・ボンダツに謝罪したの?」とも」(福島前掲)

さて習が、いまさらのように「愛される中国」なんて言い始めたのには理由があります。
武漢研究所起源説が浮上し、またたくまに自由主義陣営共通の認識へと育ってきたからです。

中国は米国をなめていました。
とっくに中国政府は武漢研究所を閉鎖してしまったし、証拠となるウィルスや資料はとうに現場から引き上げて、中国国家衛生健康委員会に隠蔽し終わっていました。
パンデミックの原因となった新型ウィルスを作った石正麗などの研究員も、全員軟禁し終わっています。
そのうえご丁寧にも、WHOに共同研究者のピーター・ダザックを突っ込ませた国際調査団なるものをデッチ上げさせて、あらかじめできていた「人工の可能性は低い」という結論まで出させたのですから、これでオシマイ、手抜かりなしと思っていたのでしょう。

米国はファウチという地雷を抱えているので、よもや自分で自分の恥部を明らかにするはずがないとでも思っていたのでしょうか、このあたりが習が根本的に自由主義社会の恐ろしさを知らないアサハカなところです。
ところが習にとって衝撃だったのは、今月に入って凄まじい勢いで米英の大手メディアが競い合うようにして武漢研究所起源説の調査報道を出し始めたことです。
今まで保守系のFOXだけが荒野に咲く一本のチューリップといった風情でしたが、ウォールストリートジャーナル、ワシントンポスト、そしてとうとうCNNまでもが日々競い合うようにして新事実を掘り出しています。
習からすれば、あれだけ十重二十重に隠蔽しておいたのに、よもや米国から崩れるのか、といったところでしょう。

これについては、私も消化しきれないほどなので、おっつけご紹介していきます。
特に「カナダ人ニュース」さんからの情報など、整理が追いつかないぞ(笑)。
ともかくいったん陰謀論で詰まっていた河の堰が壊れると、怒濤のような情報の波が待っていたというわけです。
だからせめてこれ以上嫌われないようにしよう、ということですが、遅かったですね。

 

2021年6月 7日 (月)

中国のワクチン外交と戦った日台連帯

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日米がワクチン外交で連携して反撃を開始しました。
第1弾は台湾でした。台湾はこれまで新型コロナウイルスの押さえ込みに成功してきましたが、厳しい入国制限をくぐり抜けて侵入した変異株の影響もあって、5月中旬から感染が拡大していました。
また中国の露骨な妨害によって、ドイツ企業からのワクチン調達ができませんでした。

中国は台湾のワクチン獲得を妨害しつつ、中国のワクチン供給をもちかけ、さらには大陸に住む台湾人にチャイナワクチンの接種をして分断を図ろうとしていました。

「新型コロナ変異株が、厳しい検疫をぬって入り込んでしまった台湾を舞台に中国のワクチン外交の攻防が激しい。中国は上海復星製薬が代理製造するファイザー・ビオンテックのワクチンを提供しようと台湾に持ちかけているが、台湾は政治的意図を警戒してこれを拒否。だが、台湾の有名歌手、蕭敬騰がすでに中国でワクチン接種したことが暴露され、台湾世論にも動揺が走っている。
台湾同胞証を持つ台湾人は中国でワクチン接種ができる。また中国が海外で「春苗行動」と銘うって、在外台湾人にもワクチン接種を積極的に行っている。中国はこの「ワクチン統一戦線」で、台湾世論を取り込もうという作戦のようだ。
中国は4月に、大陸に居住する台湾人の希望者にワクチン接種を優先的に開始。台湾居民居住証と中国の医療機関の保障証、居住登録証があれば接種を受けられる」(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.355 2021年6月6日)

この台湾の苦境を救ったのが日本でした。

「菅義偉政権下で、首相官邸や各省庁の官僚が人道支援や恩返しの気持ちから、残業をし驚くべき短時間で、実現にこぎつけたという。すべてが「内密」に行われたので、中国外交部の妨害や牽制も、すでに実現のめどが立ち、メディアを通じて世論に公表されたあとだった」(福島前掲)

4日午後、台湾に日本からのワクチンが到着し、大歓迎を受けました。

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日本からのワクチン、台湾到着 蔡政権が歓迎、謝意相次ぐ

「(台北中央社)日本が台湾に無償提供した新型コロナウイルスワクチンは4日午後、桃園国際空港に到着した。台湾の安全保障部門の高官は4日、ワクチン寄贈が実現するまでの「10日間の静かな作戦」の内幕を明らかにした。この計画は蔡英文(さいえいぶん)政権の「最高機密」と位置付けられ、法律面の交渉から地域情勢の把握まで、台日双方の協力と米国の静かな後押しによって「不可能な任務」を成し遂げた。
ワクチン寄贈計画は5月24日、謝長廷(しゃちょうてい)台北駐日経済文化代表処代表(大使に相当)が米国のヤング駐日臨時代理大使と安倍晋三政権下で首相補佐官を務めた薗浦健太郎氏を公邸に招いて開いた懇親会に始まる。
その席では新型コロナに関する問題が話し合われ、薗浦氏から「日本のアストラゼネカワクチン台湾に提供可能だ」との提言があった。ヤング氏もこの意見に賛同し、「台日米」3者間においてひとまずの合意が得られた。その後には煩雑な法律と政治上の問題の処理が待ち構えていた」(フォーカスタイワン6月4日)
https://japan.cna.com.tw/news/apol/202106040008.aspx#.YLvttlO-cro.twitter

この台湾サイドの報道を読むと、ワクチン供与が中国との緊張した状況下で極秘に準備され、官邸とわずかの人間だけで遂行されたものだとわかります。
日本側は安倍氏と岸防衛相が主導し、米国のヤング臨時大使をかませた形で謝長廷(しゃちょうてい)台湾「駐日大使」と練り上げた極秘のオペレーションだったようです。
たらたらと根回ししていたら、二階や公明がなんと言うか分かり切っていますし、その情報をいち早く中国サイドに流すことでしょうからね。
情報が漏れた場合、極めて危険で、中国が輸送機を撃墜する可能性すらありました。
ですから受け入れ側の台湾も、密かに軍を準備させたそうですから、日航機が台北に降り立つまでさぞかしハラハラしたことでしょう。

「蔡総統は謝氏から報告を受けると、「内密に、全力で目標達成」を最高原則として、即座に安全保障や外交部門に総動員を指示した。長年にわたり対日関係を築いてきた頼清徳(らいせいとく)副総統はすぐさまルートを通じて日本の重要人物に連絡を取り、日本からの支援に期待を示し、好意的な反応を得た。総統就任前から米国や日本との関係を安定的に築いていた蔡総統は自ら、古くからの友人らに国際電話を掛けて意見交換を行った。得られた反応はどれも全く同じで「日本は東日本大震災時の台湾からの援助、そして昨年のマスク提供にずっと感謝していて、この恩はもちろん心に留めている。必ず力を尽くし、早急に台湾へのワクチン提供を実現させる」というものだった。
菅義偉政権の重要メンバーの見解や役割についても駐日代表処を通じて即座に把握した。首相官邸や各省庁の官僚が人道支援や恩返しの気持ちから、残業をしてまで短時間でこの困難な任務を達成しようとしていたことは、台湾側を温かい気持ちにさせた」(フォーカスタイワン前掲)

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交流協会に花束続々 ワクチン供与「ありがとう日本」―台湾:時事ドットコム

台北市の「台北101」では4日夜、特別ライティングが実施されました。
国際戦略なんか放っといて、ほんとうに素直にいい話だなぁ。
国と国がこういう素朴な友情で結ばれることが大事なんです。

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蔡総統はこのようなツイートをしています。
ほんとうに彼女の温かい心が伝わるもので、思わずほろりとします。
困った時の友は本当の友です。東日本大震災の時あれほど助けてくれた台湾に、わずかですが恩返しのまねごとができたことを、私も日本人のひとりとして嬉しく思います。

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頼清徳副総統 の言葉。氏は次期総統のトップ候補です。

「降りしきる雨の中、私たちは慎重にワクチンを運んでいます。間もなく台湾の人々に接種できるでしょう。台湾が困難に直面したとき、日本は勇敢に手を差しのべてくれました。私達の友情は揺るぎないもので、第三者の妨げは受けません。日本の感染状況も早く終息することを願っています 」

どうしてこうも台湾の人たちは、こうも私たちの心をうつ言葉をいえるのでしょうか。

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ワクチンを載せた日航機に対し、雨が降りしきる中、深々とお辞儀をされる台北駐日経済文化代表処の謝長廷駐日代表。
謝氏はこの台湾ワクチン輸送作戦の台湾側キイパーソンでした。

台湾外交部のジョセフ・ウー外交部長。

「外交部長として、個人的な感情を公にするべきではない。しかし、日本から送られてきたワクチン、そしてその事に沸き立つ台湾の人々の感情を思うと……。
ああ、なんという事だ。I LOVE JAPAN」

このように台湾の人々は、日本人以上に日本人らしい人たちです。

台湾の次は、台湾に並んで中国との最前線に位置するベトナムです。

「自民党の佐藤正久外交部会長は5日のBSテレ東番組で、新型コロナウイルスワクチンについて政府がベトナムへの提供を調整していると明らかにした。「ベトナムとも調整を始めた。良い流れができ始めている」と述べた。
ベトナムはこれまで感染を抑制していたが、4月から感染者数が急増した。ワクチンの調達が遅れており、日本に支援を求めていた。
日本から海外への提供は124万回分を無償供給した台湾に続く2例目となる。ベトナムに提供するのは台湾と同じアストラゼネカ製になる見通しだ」(日経6月5日)

続いて、他の東南アジア諸国や、中東、太平洋の島しょ国などへの支援の検討にも入っています。
ベトナムは、今までチャイナ・ワクチンを拒否してきました。
この時期に、チャイナ・ワクチンをもらうことは、政治的隷従を意味するとベトナム人はよく知っているからです。
しかし感染状況の急激な悪化を受けて、涙を呑んでシノファームワクチンの承認に踏み切ったところでした。
これに素早く反応したのが菅氏でした。

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菅義偉首相がベトナムとインドネシアを初訪問国に選んだ理由とは

「菅義偉首相は5月11日、ベトナムのグエン・スアン・フック国家主席と電話会談し、「ベトナムは自由で開かれたインド太平洋を実現する上で重要なパートナーだ」と語っていた」(日経前掲)

この5月中旬の時点で、日本の対応が遅れれば、ベトナムもチャイナ・ワクチンに飲みこまれてしまう可能性があったわけです。
そして官邸は、台湾とベトナムを念頭に、ワクチン援助プロジェクトを前倒しにしていきます。

「日本は米ファイザーと米モデルナのワクチンで約2.4億回分(約1.2億人分)を確保した。英アストラゼネカとも1.2億回分の供給契約を結んだ。アストラゼネカ製は5月に薬事承認した。
政府は国民全員分のワクチンを確保したと判断し、アストラゼネカのワクチンは公的接種の対象から当面外す。国内接種で必要な分を上回るワクチンは海外支援に活用する。首相は3000万回分を海外に供給する方針を示している」(日経前掲) 

ひさしぶりに日本外交が振り抜いたバットの快音を聞いた思いです。

 

2021年6月 6日 (日)

日曜写真館 あぢさゐや なぜか悲しき この命

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紫陽花の 藍をとばして 雨あがる 阿部みどり女

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紫陽花に もの音とては なかりけり 富安風生  

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紫陽花の 夕の藍に 羽織りけり  阿部みどり女

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あぢさゐの 藍のやうやく 濃かりけり 久保田万太郎

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紫陽花に 雫あつめて 朝日かな 加賀千代女

 

2021年6月 5日 (土)

武漢研究所への流れ

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アンソニー・ファウチのメールがなんと800本も情報公開法で開示されたようで、米国では一斉にその分析が行われています。
ま、うちの国はまるで別世界ですがね。
かなり以前の時期(おそらく新型コロナの感染があきらかになる前)から、ファウチは「進化論にしたがって自然界からヒトにジャンプしたもの」でないことを知っていたようです。
さらなる解析が待たれます。

さて、この武漢研究所(「武漢ウィルスラボ」の表記から、一般的な呼称に統一しました)がやっていた実験のキモは、機能獲得研究(Gain of function research・GOF )です。
機能獲得とは遺伝子操作することで、従来の遺伝子構造を変化させ、これまではみられない新しい機能(ゲイン)を獲得することです。
ひとことでいえば、人工的に新型ウィルスを作成することであって、今回の世界的パンデミックでわかったように、この研究によって得られるメリットはゼロに等しい研究です。
これに携わった科学者たちは、病原性、伝染性、抗原性を高めるような変異を起こすことで、あらかじめワクチンを開発しておける、と言っています。

なるほどこの言い分の一部は当たっているかもしれません。
なぜなら、通常日本では治験期間を含めて4年でできればよいとさえ言われるワクチン製造をわずか半年たらずで作ってしまった中国をみると、たしかにあらかじめその伝染性や抗原生を知り得ていることが大きなアドバンテージだとはいえます。
ただしその対価として、1億7100万人が感染し、少なくとも371万人(2021年3月現在)が死亡しましたが。

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新型ウイルス、中国「研究所流出」説の排除には「さらなる調査必要

つまり中国がかくも早くワクチンを製造しえたのは、機能獲得実験の結果を既に知っていたからで、中国は直ちにウィルス解析を行い、武漢研究所からの漏洩だと気がつき、ワクチンの「戦時製造」をシノバックなどに命じたわけです。
さらにはころんでもタダ起きないとばかりに、素早くワクチンを製造し、またたくまに増産をかけて戦略物資化して、外交上の武器にしてしまいました。
なんのことはないマッチポンプです。

あるいは、もうひとつの可能性としてウィルス兵器説もあります。
このウィルスの機能獲得研究は、いったん軍事転用されれば、正体不明、発生源不明で、敵国に大打撃を与えられる究極の大量破壊兵器です。
核兵器などという実際に使えない兵器より、はるかに「実用的」で「安価」、使い勝手のいい兵器なのです。
果たして中国がこの機能獲得研究をウィルス兵器にしたかどうかは現時点では不明ですが、武漢研究所は人民解放軍系統の施設であり、中国において民生と軍用の境が存在しないことを考えると、否定するに足る証拠を中国に見せてもらわねばなりません。

一方、とうぜんですが、ウイルス学者たちはこの機能獲得研究の危険性を誰よりもよく知っていました。
ですから、石正麗らが、2015年11月に『ネイチャー・メディシン』誌に機能獲得研究の成果を発表したとき、ただちに『遺伝子組み換えをされたコウモリウィルスの危険な研究で議論を呼んだ』と批判するデクラン・バトラーの批判論文が『ネイチャー』誌に掲載されました。
バトラーは『ネイチャー』誌の老練な記者で、そこで彼は、SARSウィルスを人間の受容体に結合できるように操作することは許されない、万が一研究施設からウィルスが漏洩したら、だれもそれを追跡できない、と実験そのものをあってはならないことだと強く非難しています。
そしてこの危惧は、不幸にも的中したのです。

一方、この新種のウイルスを作った時に与えられる巨大な「名誉」と権威、それによって得られる膨大な研究費は、大きな甘いケーキに群がる蟻のようなものでした。
名誉欲と金銭欲があまりにも魅力的なので、米国でも、機能獲得実験をするものが現れました。

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フェレット

その端緒はフェレットでした。フェレットはヨーロッパケナガイタチという種から作られた家畜で、ペットや実験動物として飼われています。
2010年オランダのエラスムス医療センターの研究者達は、一匹のフェレットから別のフェレットにインフルエンザウイルスを注入し続ける事で、ウイルスがエアロゾル飛沫によって空気感染していくことを突き止めました
これに着目したのが、米国のアンソニー・ファウチやピーター・ダザックなどのウィルス学者たちでした。

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アンソニー・ファウチ博士「この国は真実を言ってくれる人物を必要

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WHO、武漢の調査終了 「行きたい場所へ全て行けた」ダザック  

ダザックのニックネームは「バットマン」(コウモリ男)で、彼は2010年に、SARSのコウモリ起源を最初に発見した事で、大きな名声を得ています。
ダザックは、SARSの起源がコウモリである事を、中国の市場の1匹のジャコウネコ(ハクビシン)によって立証しました。
以来、ダザックのチームは、コウモリのサンプルを収集するために、人里離れたジャングルのあちこちの洞窟に実際に行っていて、その過程で中国の「バットレディ」こと石正麗と共同研究することになったようです。
これが、コウモリからウィルスを取り出し、別のコウモリにうつすことを反復することで、変異を起こさせて新種のSARSウィルスを作り出す機能獲得研究だったのです。

「そのアイデアは、1つのウイルスを取り出すためにこれらのフェレットで行われた事を実験室で反復し、より強力さと威力を持たせるためにその遺伝子コードを操作するというもので、そのウイルスが新たな機能を獲得する事からその名称が来ている。
私達がもし、最も感染力が強く致死性の高いウイルスを実験室内で自ら設計できるなら、実際の大流行という惨事が起きる事なく治療法やワクチンの見通しを得る事ができるという、「機能獲得ウイルス研究」は将来の大きな有望性を一部の人々には示していた。
「機能獲得研究」の原動力となった信念とは、「敵を知る事で戦いに備えられる」という崇高なものだった。米国の国立アレルギー感染症研究所 (NIAID) からの助成で数年にわたり、「機能獲得ウイルス研究」は世界各地で行われて来た。
そして、「機能獲得ウイルス研究」における主要な研究所の一つが中国にあった。それは世界中が知るところとなった武漢ウイルス研究所だ」
(FOXニュース2021年1月25日)
PART 1 of @SteveHiltonx's special investigation into the origins of the coronavirus#NextRevFNC pic.twitter.com/8iQvhH8sr9— The Next Revolution (@NextRevFNC) January 25, 2021 

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オバマ政権下における武漢ウイルス研究所へ資金援助が発覚・ファウチ  クリックすると大きくなります。

2014年、オバマ政権は米国内の機能獲得研究を漏洩の可能性が高いとして禁止しつつ、一方でファウチの主導によって国立衛生研究所(NIH)から武漢研究所に370万ドルの資金提供しました。
この時に、ファウチが使った方法は、いったんダザックが主宰するエコヘルス研究所を資金をトンネルさせて、その共同研究者だった石正麗グループに迂回献金する方法でした。
以後5年間資金提供は続けられ、2019年に完了しています。
そしてこの年11月に、武漢研究所から3名の最初の感染者が生まれて、入院し、それからわずか1か月足らずで最初の一般人の感染が確認され、2020年1月から武漢でパンデミックが爆発し、世界へと拡散していき大惨事に発展することはご承知のとおりです。

 

 

 

2021年6月 4日 (金)

切り取られた尾身発言

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尾身会長の発言で波紋を呼んでいるそうです。
朝日は欣喜雀躍の態で、こう報じています。

「東京五輪をめぐり、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が3日に「パンデミックの所でやるのは普通ではない」と発言したことが、与野党に波紋を広げている。
尾身氏は2日にも国会で、「普通は(五輪開催は)ない。このパンデミック(世界的大流行)で」と指摘。「そもそも五輪をこういう状況のなかで何のためにやるのか。それがないと、一般の人は協力しようと思わない」と注文をつけていた。  
与党内には受け止めの温度差が見られる。公明党の北側一雄・中央幹事会会長は「ご指摘はその通り。菅首相は五輪の意義を国民に改めて説明していただきたい」と語った。一方、自民幹部は「ちょっと言葉が過ぎる。(尾身氏は)それ(開催)を決める立場にない」とし、「(首相は五輪を)やると言っている。それ以上でも以下でもない」と不快感をにじませた。  野党側は尾身氏の発言を評価。共産党の志位和夫委員長は「大変重要な発言だ。目をつぶったまま国民を崖から突き落とすようなやり方は容認できない」と政府を批判する。国民民主党の玉木雄一郎代表も「感染拡大の可能性が高いなかで(五輪を)開くことは考えられないのは当然だ」と述べた」(朝日6月3日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/6713595110e5220a51a380185dc2aa0dcb296033

例によって、朝日と共産党が狂喜していますね(苦笑)。
では、朝日が報じるように尾身氏はヤメロといったのでしょうか。この尾身氏の発言の「普通でない」発言全体はこうです。

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五輪開催なら「縮小と管理強化を」尾身会長

「政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は2日の衆院厚生労働委員会に出席し、東京オリンピック開催について、「今の状況で普通は(開催は)ないが、やるということなら、開催規模をできるだけ小さくし、管理体制をできるだけ強化するのが主催する人の義務だ」と主張。その上で、「こういう状況の中でいったい何のためにやるのか目的が明らかになっていない」と述べ、開催する場合は感染予防に向けた政府による丁寧な説明が必要だとの認識を示した」(毎日6月3日)

な~んだ、常識的な発言じゃないですか。うろたえるんじゃないよ。
尾身氏が中止論者なのは知られた事実ですが、この国会での発言はやるなら小規模できっちり締めてやれ、と言っているだけのことです。
いいですか朝日さん、尾身さんが「今の状況で普通はない」のは、百も承知、二百も合点のことです。
特に専門家でなくとも、皆そう思っています。政府もそう考えているし、国民もそう思っています。
だからこそ、「やるということなら、開催規模をできるだけ小さくし、管理体制をできるだけ強化するのが主催する人の義務だ」とその条件をつけたんじゃありませんかね。
ま、これも専門家に言ってもらわなくとも、フツーの常識的見解なんですが。
朝日はその冒頭の自分の中止論に聞こえる部分だけを、都合よく切り取ったのです。

これが高橋参与もやられた「切り取り」歪曲報道の手口です。
原始的な方法ですが、ほとんど人は新聞の小見出ししか見ないので、これでだまされます。
この朝日の記事の小見出しは、「尾身氏「普通はない」発言、自民幹部反発「言葉過ぎる」と、まるで、尾身発言に自民党が反発しているかのように読めてしまいます。
そこに、「オリンピックボランティア1万人辞退」なんて畳み込まれると、もういけません、強硬開催などけしからん、命を守れぇ、って方向にイヤでも誘導されることになります。
不安を煽って国民がうろたえると、こんなに国民は不安に怯えているんだと政府を攻撃する、何百回やったら気が済むんだこの新聞社。

そういえば高橋氏の場合、世界的感染状況から日本の死者数を見れば「さざ波」だ、と言っただけのことです。
そりゃそうだ2桁ちがいますからね。しかしこの「さざ波」部分だけを切り取られて、死んだ人は「さざ波」で死んだのか、苦しんでいる飲食店は「さざ波」で苦しんでいるのかとメディアは大宴会をしました。
それに乗じて、立憲などは高橋参与を参考人招致するまで、基地周辺調査法案の審議拒否したんですから、いやはや。
くだらないことで煽るメディア、それに乗じて審議拒否する野党という典型的構図です。

この尾身発言だって、今の状況でやることにはデメリットはあるとしながらも、「やるということなら、開催規模をできるだけ小さくし、管理体制をできるだけ強化するのが主催する人の義務だ 」 という条件をつけて発言しているわけで、なんだそんなことは防疫の専門家としては当たり前のことじゃないですか。
今、感染予防の見地に立てば、開催することにはデメリットがあるのは当然です。
それに尾身氏にいまさら言われなくとも、小規模化し管理強化するのは政府方針です。

この時期なんの対策もしないで外国からの人の流入を認めることには当然リスクが伴いますし、開催会場の管理も厳重にせねばなりません。
たとえば今までのように、入国を許した外国人に対して公共交通機関を使うことの「お願い」とか、自主隔離の「要請」ではだめなことは分かり切っています。
こういう善意に期待する「お願い」だけでは、五輪開催は厳しいのは当然で、いままで政府がやってきた手ぬるい緊急事態宣言的手法ではダメだということが改めてわかったというだけのことです。

まだまだ甘いというならばそのとおりです。
去年の時点ではこんなものでしたからね。

 「政府は二十三日、来夏に延期された東京五輪・パラリンピックに向け、新型コロナウイルス対策を検討する調整会議の第二回会合を首相官邸で開催した。入国を原則拒否している国・地域の選手らも、出国前や日本入国時のウイルス検査での陰性証明や感染防止対策を条件に、特例で受け入れる方針を確認。通常は待機が必要となる入国後十四日間も、行動管理やスマートフォンのアプリ活用などにより感染防止策を取れば、練習や大会参加を認めることで一致した。
 国内移動は原則として専用車を利用し、航空機、新幹線など公共交通機関はやむを得ない場合に限定。行動管理に違反した場合の措置を国際オリンピック委員会(IOC)や国際競技連盟(IF)と協議してルール化する」(中日2020年9月20日)

たとえば、陰性証明などいくらでも間違いがでるのは知られた事実ですし、検査やってその日に感染してしまうこともありえます。
今の段階でこれが決定的対策といえるのは、中国ワクチンを除いたワクチン接種を2回受けているかどうかに尽きます。
特に、脱走して行方不明者が出した経験がある諸国には、中国ワクチンがはびこっていますから要注意です。
中国ワクチンなど打たないほうがまし。打ったものの効果がまったくなく、感染拡大に歯止めがかからない諸国ばかりです。
こちらの組織委員会が指定するワクチンを、指定する回数しっかり打ったという証拠の提示が求められます。

行動管理もスマホのアプリが役にたたない事例もでているわけで、顔認証をとりいれると言っていますが、今回は「中国流」を一定取り入れないとうまくいかないでしょう。
小規模化は、尾身氏にいわれるまでもなく当然。
従来型のフルスペックの開催などありえないなど、政府はよくわかっているはずです。
オープンタイプの競技場の場合、朝日と毎日が主催者やってる甲子園のノウハウを提供たらいいのです。

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オンライン取材や生演奏禁止…コロナ禍で対策さまざま 選抜高校野球閉幕

たとえば既に開催済みの甲子園春の大会(主催毎日新聞社)はこんなかんじです。

「開幕前に出場32校の選手やチーム関係者ら約1000人と大会運営に携わるスタッフ約250人がPCR検査を受け、1回戦を勝ち上がった16校の関係者は再度検査した。観客の入場券は前売りのみの全席指定で、アルプス席は学校関係者だけ入場できるようにした。
報道陣も大会期間中は選手や監督への対面取材は制限され、球場で生で試合を見ながら試合後はオンラインでの共同インタビュー取材などに限られた」(毎日21年4月21日)

う~ん役に立ちそう。
選手管理は、東京新聞から中日ドラゴンズの実施例を教えてもらいましょう。
ドラゴンズは感染者を出して活動休止に追い込まれたのでいい勉強になります。
こういう時期は、なまじの成功例より失敗例のほうが大事なんです。
あるいは閉鎖型会場では、毎日が後援する大相撲でやった方法をご教示願えればよいのです。
このように新聞社だけに限っても、各種の競技会やイベントの経験があるのですから、いきなり中止、中止と叫ぶ前に少しは知恵を出し合う気になったらいかが。

なお、尾身氏がなにを言おうと、政府の五輪方針にとって「聞き置いた」だけのことです。
聞き流すことはしないでしょうが、かと言って尾身氏が決定する立場にいるわけでもありません。
尾身氏が会長しているのはあくまでも感染分科会であって、それは数ある政府諮問組織のひとつでしかありません。
とうぜんコロナ禍の中では重要視されていますが、政府の上にそびえているわけではありません。
諮問組織以上でも以下でもないわけで、政府方針はこの感染症分科会の意見も聞き、組織委員会や各種政府機関、おっと忘れそうですが主催都市の東京都の意見も拝聴しながらトータルに意志決定する立場です。

ですから、朝日のように尾身会長がヤメロと言ったという言葉だけを切り取って、中止論を煽るのはいかがなものでしょうか。

 

 

2021年6月 3日 (木)

資料 デイリーメイル・武漢ウィルスは「人工的に作られた」詳報

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英国のアンガス・ダルグレイス教授とノルウェーのウイルス学者バーガー・ソーレンセン博士による、新型コロナウイルスが人工的に作られた徴候(“indicative of purposive manipulation")を示す証拠について、デイリーメイル記事前半を可能なかぎり原文で転載します。
あくまでも私的資料ですので留意下さい。
主観をはさまないために機械翻訳を使用し、意味が不明な部分には編集を加えてあります。
DailyMail.com
https://www.dailymail.co.uk/news/article-9629563/Chinese-scientists-created-COVID-19-lab-tried-cover-tracks-new-study-claims.html

                                                                   ~~~~~

独占報道:COVID-19は「信頼できる自然の祖先を持っていない」
それが自然にコウモリから生じたように見えるように中国の科学者がレトロエンジニアリングで自分の痕跡を隠そうとした。

•衝撃的なこの研究は、研究者が実験室での操作からしか生じることができないといわれていてたCOVID-19サンプルで「独特な指紋」を発見したと主張しています
•DailyMail.com、英国のアンガス・ダルグリッシュ教授とノルウェーの科学者バーガー・ソレンセン博士が執筆した新しい22ページの論文を、生物物理学発見の四半期レビューに提出しました。
•この研究は、中国の科学者が武漢研究所で機能獲得変異実験の利益プロジェクトに取り組んでいる期間にCOVID-19ウイルスを作成したことを示唆する証拠があることを示しています。
•米国で一時的に非合法化された機能獲得変異研究は、人間に対する潜在的な影響を研究するために、自然発生ウイルスをより感染性に変えることを含んでいました。

論文によると、中国の科学者は、中国の洞窟のコウモリに見られる天然コロナウイルスの「バックボーン」を取り出し、それに新しい「スパイク」(突起)をスプライス(重ね継ぎ)し、致命的で非常に伝染性の高いCOVID-19に変異させました
•COVID-19は「信頼できる自然の祖先を持たない」と結論づけた研究者はまた、科学者が彼らのトラック(痕跡)を隠すためにウイルスのバージョンを※リバースエンジニアリングしたと信じています
※訳注 リバースエンジニアリング(逆行工学) 出荷された製品を入手して分解や解析などを行い、その動作原理や製造方法、設計や構造、仕様の詳細、構成要素などを明らかにすること。

このような主張は、中国の研究室でのデータの隠蔽と意図的汚染によって、主張することができていないか、消息不明になりました。
•最近まで、ほとんどのウィルス専門家は、ウイルスの起源は動物から人間に侵入した自然感染以外の何ものでもないと強く否定していました。
•今週初め、アンソニー・ファウチ博士は武漢ウイルス学研究所の米国資金を擁護し、60万ドルの助成金は機能獲得変異研究のために承認されなかったと述べた。

衝撃的な新しい研究は、中国の科学者が武漢の研究室でCOVID-19を作成し、その後、それがコウモリから自然に進化したように見えるようにウイルスのリバースエンジニアリングバージョンによって自分の痕跡を隠そうとしたと主張しています。

論文の著者である英国のアンガス・ダルグリッシュ教授とノルウェーの科学者バーガー・ソレンセン博士は、彼らが1年間「中国におけるレトロエンジニアリングの原始的な証拠」を持っていたが、学者や主要なジャーナルによって無視されたと書きました。 

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ダルグリッシュはロンドンのセントジョージ大学で腫瘍学の教授をしており、診断された患者を治療し、数ヶ月間投薬を行うことを可能にするために、最初のHIVワクチンを作成する画期的な功績でよく知られています。

ウイルス学者のソレンセンは、Biovacc-19と呼ばれるコロナウイルスワクチン候補を開発した製薬会社Immunorの議長です。ダルグリッシュはまた、会社の株式オプションを持っています。

DailyMail.com が独占的に入手し、数日中に出版のために提出されたジャーナル記事は、専門家の大半が最近までCOVID-19の起源を動物から人間に侵入した自然感染以外の何物でも否定していたため、科学界の間で波紋を呼びました。

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COVID-19パンデミックの起源に関するこの新しい研究は、研究者が実験室での操作からしか生じることができないというこのウイルスのサンプルに「独特の指紋」('unique fingerprints' ) を発見しました 
それは中国の武漢ウイルス学研究所(上写真)から漏洩したという説を指しています。
昨年、ワクチンを作ろうとしてCOVID-19サンプルを分析している時、ダルグリッシュとソレンセンは、実験室での操作からしか生じることができないと言うウイルスの「独特の指紋」を発見しました。
訳注 下図の赤いアミノ酸配列が「指紋」部分。

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彼らは、彼らの発見を公表しようとしましたが、ウイルスがコウモリや他の動物から人間に自然に感染したことを断固として主張していた当時の主要な科学雑誌によって拒絶されたと述べています。
訳注・当時、石正麗グループの共同研究者であったピーター・ダザックは、この拒否した科学誌の論文選考にあたっていた。

元MI6チーフのリチャード・ディアラブ卿が、科学者の理論を調査すべきだと公に発言したとしても、この考えはフェイクニュースとして却下されました。
1年以上後、一流の学者、政治家、メディアはついに反撃し、COVID-19が中国の武漢ウイルス学研究所から脱出した可能性を考え始めました 。この武漢研究所の実験は、人間への潜在的な影響を研究するために、感染性を高めるためにウイルスを操作することを含む研究でした。

今週、ジョー・バイデン大統領は、ラボ事故説を含むウイルスの起源を再検討するよう情報コミュニティに命じました。
この発表は、2019年11月に武漢研究所の複数の研究者が病気で入院したと主張し、これまで公表されていなかった情報報告書がホワイトハウスに提出されたことが明らかになりました。この文書は今週、ウォール・ストリート・ジャーナルによって明らかになりました。
訳注 ウォールストリートジャーナル『中国・湖北省の武漢ウイルス研究所ウイルス流出疑惑、焦点は廃銅山』
https://jp.wsj.com/articles/the-wuhan-lab-leak-question-a-disused-chinese-mine-takes-center-stage-11621996405

また米国の保健当局は、武漢研究所における危険な実験に資金を提供したとして炎上しています。
訳注 この保健当局とは、ファウチが所長をつとめる国立衛生研究所(NIH)のこと。

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DailyMail.com は、22 ページの資料を独占的に入手しました。


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この中で、研究者は、2002年から2019年の間に武漢の研究所で行われた実験について、数か月にわたる「法医学的分析」を説明しています。
論文に含まれる「GenBank」(米国政府の遺伝子データバンク) の表には、さまざまなコロナウイルス株がリストされており、収集された日付と遺伝子バンクに提出された時期が記載されています。

コロナウイルスの1つの図は、2人の科学者によって識別された6つの「指紋」を示しています。
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論文に含まれる「GenBank」テーブルには、収集された日付と遺伝子バンクに提出されたさまざまなコロナウイルス株が記載されており、いくつかの年の遅れを示しています。
以下、興味深い記事がつづきますが、とりあえずここまでとします。興味がある方はぜひお読み下さい。
こういった重要な情報をまったくといっていいほど報じようとせずに、五輪中止を叫ぶ日本のメディアがいかにズレているかわかるでしょう。

 

2021年6月 2日 (水)

もうひとりの重要人物・ピーター・ダザック

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今や一気に武漢ウィルスラボからの漏洩説が溢れ返っています。
いままでのトンデモ扱いが嘘のようで、いまや英米ではメーンストリームの認識にすら発展しました。
あいかわらず、見えません見えませんを決め込んでいるどこかの国のメディアとは大違いです。

なんのことはないメディアは、たんに「トランプが言った」からしゃかりきに否定してみせていただけのことで、科学的根拠なんぞなかったのです。
今までだって、心ある英米の研究者は、武漢ウィルスラボ(WIV)漏洩説を唱えていたのですが、ガン無視。
香港大学公共衛生学部のウイルス科学者で、米国に亡命した閻麗夢(イェン・リーモン)の内部告発も、同じく葬られました。
つい半月まで、武漢ラボ漏洩説は、ポリコレ狩りの対象だったんですから、変われば変わるもんです。
その理由は、「憎いトランプが言ったから」という身も蓋もない話だったようで、このタブーの重石を取ってくれたバイデンに感謝せねばなりませんな(苦笑)。

皮肉はこれまでとして、私たちも中国政府は絶対に認めないからいくら追及しても無駄だ、という無力感から自由になりましょう。
ここまで多くの米英のメディアや科学者が一斉に科学的証拠を提示して武漢ラボ漏洩説を唱え始めれば、認めないのは容疑者ひとりだけという状況をつくりだすことができます。
傍証や状況証拠だけではなく、ウィルスに人為的改変を加えた痕跡を科学者が発見しはじめています。
英国とノルウェーの科学者は、この改変の証拠となる「指紋」を発見しました。

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「英国の日刊紙デイリー・メイル電子版28日の特種報道で、近く発行される生物物理学の季刊誌Quarterly Review of Biophysics Discoveryに掲載される学術論文を事前に入手し「中国がコロナウイルスを造った」と伝えた。
論文の筆者は、ロンドンのセント・ジョージ大学で腫瘍学専科のアンガス・ダルグライシュ教授とノルウェーの製薬会社イミュノール社の会長で生物学者でもあるビルゲール・ソレンセン博士の二人で、研究の発端はイミュノール社で新型コロナウイルスのワクチンを開発するために、ウイルスを調べ始めたところ、ウイルスが人工的に改ざんされた痕跡(フィンガープリント)を発見したことだったという」
(木村太郎NON FAKE NEWS 5月31日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8b36470ee15dcbe2899f76571ee3d820aa9bb39c

中国の武漢ウィルスラボの研究のほとんどは、米国では禁止されている遺伝子操作を使って性質の異なるウイルスを作り出すことでした。
石正麗らのグループがとった手法はこうです。

「二人は、中国の研究者が中国の洞窟で捕らえたコウモリからそのウイルスの「バックボーン」と呼ばれる部分を別のスパイクに接着させ、より致死性が高く感染力の強いウイルスを造ったと考える。
そのウイルスのスパイクからは4種のアミノ酸の列が見つかったが、こうした構造は自然界のウイルスには見られないことで、人工的なウイルスであることを裏付けるものだとソレンセン博士は言う」(木村前掲)

このウィルスのスパイク(突起)からは、4つのアミノ酸配列が発見され、それらはまるで蛍光ペンで塗ったように光り輝いて見え、光ったのは電荷を帯びていたからだそうです。
いうまでもなく、これら4ツのアミノ酸配列は自然界には存在しないものです。
論文公表前ですので、今の時点ではここまでしか情報がありませんが、また分かり次第お伝えします。
このように次々と武漢ウィルスラボからの漏洩を証言する証拠が固まってきているようです。

さて、今日はファウチと石正麗を結ぶピーター・ダザックという人物から始めましょう。
おそらくファウチとダザックは、かなりの部分まで石正麗の研究内容を知り得ている立場にあり、今回の新型コロナウィルスを誰が作り出したのか知っています。

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このダザックという男は英国人動物学者で人獣共通感染症研究者です。
この人獣共通感染症というのがキイワードですので、ここから押えておきます。
ヒトと自然界の動物は、先日来からお話しているように、「種の壁」を超えて感染をうつすことはできません。
「一つの鍵穴に一つの鍵」と言い表されているように、ウィルスは自分の宿主が特定されているからです。
しかしなんからの原因で、「種の壁」を通過するケースがわずかですが、生まれています。

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 https://www.ayyoshi.com/%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%83%A2%E3%83%AA%E3%81%A8%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87/
自然界のコウモリウィルス

病原体は基本的には宿主を選んで生存しています。そして宿主どおしでも、動物は森に住むもの、人は人里に住むものと明確に分かれていたのです。ところが乱開発や土地開発で今までなかった接触がおきて、新しい病原体を生む原因となってしまったのです」 (国立国際医療センター研究所の切替照雄研究部長)

このように今までは、自然界のコウモリのウィルスが乱開発などの原因でヒトと濃厚接触して新たなウィルスを生んだとされていました。
ただ、この仮説が成立するには中間宿主の存在が必要です。
いきなりコウモリのコロナウィルスがヒトに侵入するのではなく、なんらかの中間的な哺乳類、たとえば豚などを経由してヒトに感染を拡げる仕組みです。

これが今回の新型コロナでは見つからないのです。
そもそも発生源とされた武漢海鮮市場ではコウモリは売られていませんでしたし、新型コロナウィルスを持つとされるキクガシラコウモリは武漢から遠く離れた雲南などにしか生息していないのです。

すると残る可能性は、誰かがキクガシラコウモリを大量に捕獲して飼育し、なんらかの遺伝子改変実験をして、ヒトに感染可能な新型ウィルスを作ったとしかかんがえられなくなります。
いうまでもなく、「誰か」とは武漢ウィルスラボの石正麗らであり、「なんらかの」方法とは機能獲得変異実験です。
彼らは、この方法でいっそうヒトに感染しやすく、しかも毒性の高い人工ウィルスを作り出したのです。

そしてこの悪魔の実験に資金を与えていたのが、アンソニー・ファウチでした。
ファウチは国立衛生研究所(NIH)所長で、米国を代表するウィルス学者です。歴代の大統領の保健政策の顧問を努めてきました。
トランプと大喧嘩したせいかどうか、バイデンでも再任されています。

このファウチに対しての追及の刃は、共和党上院ランド・ポール議員の5月13日の公聴会でこうファウチに問い質したところから始まります。

「国立衛生研究所(NIH)は蝙蝠からウイルスを人為的に取り出す実験をしている武漢ウィルスラボに資金提供したのではないか」

これに対するファウチの答弁はこうです。

「NIHは武漢ウィルスラボによる『人間が造ったスーパーウイルスの機能研究』(機能獲得型)に資金を提供したことはなく、蝙蝠のウイルスの遺伝子解析WIVで実施するエコヘルスアライアンスに助成金を授与した。私は中国人が何をしたか説明できないが、中国で何が起こったのか更なる調査に完全に賛成する」

ファウチは「中国人がなにをしたか説明できない」などととぼけていますが、もちろん知っています。
FOXニュースの『ネクスト・レボリューション』の新型コロナウイルス「研究所流出説」によれば、このファウチのNIAIDのために武漢研究所が行った作業は、2017年の助成プロジェクトの発表論文に詳しく説明されています。
ピーター・ダザックと石正麗はこの「中間報告」の共同執筆者で、そこにはこう述べられています。

「単一個体のフンのサンプルから、更に新型のSARS関連コロナウイルスRs4874の培養に私達は成功した。(中略)WIV1をバックボーンとする感染性細菌人工染色体 (BAC) のクローン群と、8種類の異なるコウモリSARS関連コロナウイルス由来のS遺伝子変異体を私達は構築した。(中略)Rs4231とRs7327の感染性クローンのみが変異後にベロ6細胞における細胞変性効果に至った」
(胡犇、ピーター・ダザック、石正麗 PLoS Pathogens誌2017年11月30日)

つまり彼等は、実験室でヒトの細胞をそれらに感染させ、自作の人工ウイルスが機能的ウイルスとして自己複製できる事を示したというわけです。

この機能獲得変異実験が2014年に米国内で禁じられたために、ファウチは外国に委託することにしました。
その時に相談したのがダザックです。
ファウチは、直接に武漢ウィルスラボに資金提供せずにダザックの会社であるエコヘルス・アライアンスを迂回して資金提供をしました。
このダザックは、武漢ウィルスラボになんらかの利害関係を持ち、石正麗とも懇意の仲でした。
ダザック自身も加わって、石グループの機能獲得変異実験をしたわけです。

ちなみにダザックは、WHOの武漢調査団に利害関係者でありながら、シレっとして加わっています。

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ダザックは、調査団員としてこう述べていました。

「米国の動物学者、ピーター・ダザック氏はAP通信の取材に対し、調査団が訪問したい場所や面会したい人のリストを事前に中国側に提供していたとし、いずれも拒否されなかったと述べた。米国のトランプ前政権がウイルス流出疑惑を唱えた武漢ウイルス研究所への訪問では「洞察に満ちた質問をすることができ、(中国側の)重要人物がみな出席した」とも語った」(テレ朝2月6日)

「洞察に満ちた質問」ね(爆笑)。
また、ダザックは漏洩説陰謀論の科学者サイドの主唱者でした。
昨年2月18日、27人の専門家は、国際医学誌「ランセット」に声明を発表し、武漢ウイルスラボからの漏洩説はただの陰謀論にすぎず、なんの科学的根拠もないと断じる声明をだしましたか、その音頭取りをしたのがこのダザックです。
まさに鉄仮面。毛皮つき心臓の持ち主です。こんな武漢ラボの利害関係者を調査団に入れてしまうWHOが、いかにパンダハガーの巣窟なのか知れようというもんです。

米メディア「USAトゥデイ」などの昨年の報道によると、米国立衛生研究所(NIH)は2015年以降、コウモリ由来コロナウイルスの研究のために、このダザックのエコ・ヘルス・アライアンスに370万ドル(約3億8702万円)の助成金を提供しています。
このダザックの会社は、過去、武漢ウイルス研究所と共同で研究を行い、米政府が出資した370万ドルの一部が同研究所に流れています。

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FOX

これが彼らがやった機能獲得変異実験の「輝かしい成果」だというわけです。
堕落した科学者と、いかなる悪魔の所業であろうとも国家目的遂行のためには厭わない国との合作、これが新型コロナ・武漢株なのです。

 

 

 

2021年6月 1日 (火)

どうやって、コウモリのコロナウィルスをヒトに感染できるようにしたのか?

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昨日からの続きです。日本を除く世界のメディアが一斉に武漢ラボ発生説を報じ始めました。
今まで武漢から発生したので「武漢株」と呼ぶことすら、中国に忖度してダメだったのですから、まったく現金なもんです。
やがて大統領選挙についても、そのような時期が必ず訪れるんじゃないでしょうか(笑)。

それはさておき、とうぶんの間、私は「武漢株」とは表記する場合がありますが、「武漢肺炎」とは呼ばないと思います。
「武漢株」が、当事国が嫌がっているから無礼だとする意見もありますが、とうに「イギリス株」や「インド株」と普通に報じているではありませんか。インドもいやがってますがね。
しかし、「武漢肺炎」と呼ぶのは、明らかに人為的に製造された人工的ウィルスがなんらかの理由で世界に拡散した、という「結論」を先に立ててしまっています。

私は武漢株が人工説に作られたものであって、武漢のいずれかの研究所からなんらかの理由で漏洩したと考えていますが、それはあくまでも仮説にすぎません。
仮説は仮説であって、それを否定する材料が出た場合、仮説を修正することにやぶさかではありません。
私が知りたいのは真実であって、中国を攻撃する燃料ではないからです。

話を戻します。
現時点でわかっている石正麗グループの動向を、時系列に沿って見てみましょう。
まずその前に石正麗という人物について補足を少々。

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中国のコウモリ研究者、トランプ氏に謝罪要求-武漢研究所の関連否定

●石正麗(石正丽・Shi Zhengli) の経歴
1964年5月に河南省西夏県で生まれ。
免疫学者。人獣共通感染症研究者。中国ウィルス研究の第一人者。
1987年、武漢大学を卒業し、遺伝学の学士号を取得。
1990年に中国科学アカデミー(CAS)の武漢ウイルス研究所(WIV)で修士号を取得。
2000年にはフランスのモンペリエ第2大学で博士号を取得。フランス語に堪能。

フランスは世界的なウィルス研究のメッカであって、石はここで学び、フランスのウィルス技術を中国に持ち帰ります。
このフランスが、中国に懇願されて共同で建設したのが、P4施設を持った武漢ウィルスラボでした。
当時中国はP4施設を作る能力がなかったためですが、フランス政府は軍事転用を危惧して反対するウィルス学界を説き伏せて推進しました。
しかし案の定、共同とは名ばかりで、フランスはすぐに外され、気がついてみれば人民解放軍系統に組み込まれていました。
なんのことはない、フランスはP4施設技術だけを吸い取られただけで終わったのです。
軍事と民生の壁がまったく存在しない中国に、ウィルス兵器製造の技術を供与してしまったのですから、フランスの罪は重いといえます。

石正麗がこの建設にどのような働きをしたのか不明ですが、彼女はフランスウィルス学界とパイプを持っていたので、なんらかの働きをしたとかんがえるのが自然です。

さて、石正麗はフランスから帰国すると、武漢ウイルス学研究所(WIV)の新興感染症センターの責任者となりました。
ここはSARSなどのコロナウィルスを研究する組織です。

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中国科学院武漢ウイルス研究所(公式サイトから)

武漢ウィルスラボの新興感染症センターの責任者となってからを時系列で追います。
2005年、石正麗らのチームは、コウモリがSARSとよく似たコロナウイルスの自然の貯蔵庫であることを発見しました。
コロナウィルスとコウモリの関係について、少し説明します。

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肖波濤  新型コロナウィルスの発生源は武漢にある研究所だと中国の教授が公表

昨日紹介した、華南理工大学・生物科学与工程学院教授の肖波濤教授は『コロナウィルス起源の可能性』の中でこう述べています。
ちなみに、肖はこの武漢ウィルスラボでも研究した経験も持っており、この肖も現在行方不明です。

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「新型コロナウィルスは、キクガシラコウモリを宿主とするコロナウィルスと遺伝子配列が類似しており、このコロナウィルスを持つコウモリは武漢から900キロ離れた雲南省と浙江省にしか生息せず、武漢に飛来することは不可能である。
海鮮市場でも売られておらず食習慣はない。
海鮮市場から280メートル離れた武漢疾病予防管理センターは、この2年間でコウモリを湖北省から450匹保革し、DNAとRNA配列の研究を行った。
ここから出た実験に使われた廃棄物がコロナウィルスの温床であった可能性がある。
海鮮市場から12キロ離れた武漢ウィルスラボも同様の研究をしている。同研究所はキクガシラコウモリがSARSの大流行を2002年~03年にかけて引き起こしたと報告した。
新型コロナが、キクガシラコウモリから中間宿主を経て、ヒトに伝染した可能性よりも、この2箇所の実験室からウィルスが漏洩した可能性のほうが高い」(門田隆将『疫病2020』)

 

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キクガシラコウモリ

実はこの肖波濤の衝撃的論文が発表されるわずか3日前に石正麗は『ネイチャー』に、『感染症・中国に出現した新型コロナウィルスの分析』として武漢の患者ウィルスを解析した論文を発表しています。

「解析された患者の7人中6人は海鮮市場野従業員で、7人中5人のウィルス検体の遺伝子配列は同一だった。
そしてその79.5%がSARSコロナウィルスの遺伝子配列と同じで、さらにこのウィルスの遺伝子配列は、コウモリコロナウィルスと全ゲノムレベルにおいて96%同一であった。
よって、新型コロナウィルスの発生源がコウモリである可能性は非常に高い
研究チームは、このウィルスを「シンガタコロナウィルス2019(2019-Cov)と名付けた。SARSウィルスと同じ経路で、ACE2細胞受容体によって細胞に侵入する」(石正麗前掲)

しかしコウモリがコロナウィルスを持っていても、それがそのまま人間の細胞に侵入することはありません。
その理由は、「種の壁」があるからで、ヒトのウィルスはヒトにしかうつりませんし、逆に動物のウィルスもヒトには侵入できません。
ウィルスには特定の宿主が定まっているからです
しかし、現実にはコウモリのコロナウィルスがヒトに侵入しました。では、どうやって侵入できたのでしょうか?
その秘密が、石の論文にもある「ACE-2受容体」と呼ばれるものです。

やや専門的ですが、ここがキモなのでこのACE-2受容体についても説明します。ああいかん、ゼンゼン話が進まない。
ACE-2受容体とは下図下側にある気道細胞の上にある口を開けた突起物のことです。
これは侵入してきたコロナウィルスと結合して、体内に侵入させ感染を引き起こします。
たしかにコウモリのコロナウィルスはそのままでは、ブロックされてしまうのですが、石正麗らはSARSウィルスの表面に「Sスパイク」と呼ばれる野球のスパイクのような突起物を作って、ヒトの細胞にしがみついて侵入できるように遺伝子組み換え操作をしたのです。

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新型コロナウイルス感染初期のウイルス侵入過程を阻止、効率的感染阻害

この方法で、石グループはコウモリのコロナィルスをヒトに感染する方法を見つけだしました。
彼らは、動物とヒトのウィルスの「種の壁」を乗り越える最後の門を破壊する新たなウィルス、すなわち新型コロナウィルスを製造してしまったのです。

石が論文で新型コロナがコウモリのコロナウィルスとその遺伝子配列が96%一致すると認めながら、ではなぜこれほどまでの世界的パンデミックを引き起こしたのか疑問に思わなかったほうが異常です。
石は、新型コロナのような人獣共通感染症が起きるための条件が、中間宿主が存在するか、あるいはウィルスになんらかの改変が加えられているかのいずれかしかないことを知っていたはずです。
なぜなら、自分は十数年に渡ってまさにその「種の壁」を乗り越えるための遺伝子改変の研究をしてきたのですから。

そしてこの「種の障壁」を乗り越えるためにされたのが機能獲得変異研究であって、それを武漢ウィルスラボに委託し、5年間に渡って資金を提供し続けたのがアンソニー・ファウチとピーター・ラザックでした。
次回はここから話を進めます。

 

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