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2021年6月17日 (木)

中国原発で放射線漏れの疑い

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米国CNNが、広東省・台山原発で事故があり、周辺の放射線量が高まっていると報道しました。

中国原発で放射線漏れか 米報道、ガス放出と仏電力
【広州、パリ=共同】米CNNテレビは14日、中国広東省台山市の台山原発から放射性物質漏れが起き、周辺地域の放射線量が高まっていると、建設と運転に協力するフランスの原子炉製造会社「フラマトム」が訴えていると報じた。問題解決のためにバイデン米政権に技術協力を求めているという。
フランスメディアによると、フラマトムの親会社フランス電力(EDF)は14日、原子炉格納容器内で「希ガスの濃度が上昇している」と通知を受けたと発表し「既知の現象」だと指摘。さらに同原発を運転する中国側企業が放射性希ガスを大気中に放出したと明らかにした。中国当局の規制範囲内だとしている。
CNNが入手した米政府へのフラマトムの文書などによると、中国当局は原発の運転停止を避けるため、周辺地域の放射線量に関する安全基準の上限を調整しており、フラマトムは既にフランスの安全基準を超えていると訴えている」(CNN6月14日)

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台山原発 ロイター

台山原発は中国とフランスの合弁企業が建設したもので、今回はフランス側の発表ですが、中国側は例によって完全否定しています。
あの「戦狼」報道官はこう言っています。

「中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は15日の記者会見で、広東省にある台山原子力発電所から放射性物質が漏れて周辺地域で放射線量が高まっている恐れがあるという米メディアの報道について「環境や公衆の健康に影響する出来事は発生していない」と強調した」(産経6月15日)

同じことを言うにしても、領土問題じゃないのですから、周辺地域の空中線量などの各種環境データーなどを一緒にださないと説得力がありません。
こんなふうに情報開示をしないで、頭から全否定するのは中国のもはや定番的習性と化していて、去年の武漢株の時も一貫してそうでした。
武漢株の場合、実際は裏で強権的に情報隠蔽工作をしていたわけですが、こういう隠蔽体質を改めない限り、なにをいってもマトモに受け取ってもらえません。
といっても情報統制は、支配体制と骨がらみになっている体質ですから無理でしょうが。

ただし前もってお断りしておきますが、この台山原発が大事故になる可能性は少ないと考えられます。
というのは、ここでもですか、とため息をつきたくなりますが、この台山原発
はフランスのフラマトム社が全面協力している原発だからです。
フランスが供与したのは欧州型の第3世代新型加圧水型炉(EPR)ですので、いきなりポッカーンという大事故に発展する可能性は少ないでしょう。

「台山原発1期工事(中国初の第3世代原子炉「EPR」)の建設が、順調に進められている。台山原発の建設に関するすべての活動は、中国国家核安全局の厳しい監督管理を受けている。このほど広東省台山市赤渓鎮に位置する台山原発1期工事の現場を取材したところ、建設工事に関する各事業が着実に推進され、安全と質が適切にコントロールされており、試験作業がすでに全面的にスタートされていた。人民日報が伝えた。
原子炉の安全性をさらに高めるため、台山原発は二種類の重大改善措置を実施した。まず二重安全シェルターにより原子炉の冷却システムを保護した。安全シェルターの内側のシェルターの厚さは1.3メートル、外側のシェルターの厚さは1.8メートル。次に原子炉の圧力容器の底部に溶けた炉心を収集する装置を設置した。これは世界の原発産業で最も信頼性の高い安全技術である」(SciencePortal China   2013年09月16日 )

これが中国だけなら信じるに値しないのですが、フランスがかんでいるので6~8掛けていどで信じていいでしょう。
ネットの一部にあるように、風下地域は危ないとか、日本も危ないというのは行き過ぎですが、周辺住民が警戒を必要とするレベルのようです。

「だがCNNによれば、フラマトムが米エネルギー省に送った6月8日付の書簡には、「同原発にも一般市民にも、放射性物質に関する差し迫った脅威がある。フラマトムとしては同原発を正常運転に復帰させるために、必要な技術データと支援を送る許可を至急要請する」と書かれていた。
また書簡には、中国が引き上げた放射線量の許容限度はフランスの基準を超えているが、それがアメリカの基準を超えるものかどうかは不明だとも書かれていた」
(ニューズウィーク2021年6月15日China's Nuclear Leak Denial Evokes Chernobyl as Plant Insists It's Safe)

ランス原子力当局によれば、燃料棒になんらかの事故が起きて、放射性希ガスが漏れだし、「周辺住民に差し迫った脅威」が生じたということのようです。

「「運転する中国側企業は「原発と周辺地域の(放射線量の)データは正常だ」との声明を発表した。
フィガロ紙などによると、燃料棒に問題があり放射性希ガスが出ているとみられる。フランスでの場合、原子炉を停止し、問題の燃料棒を取り出す必要がある。国際原子力機関(IAEA)は、現段階では放射線事故が起きたことを示すものはないとの見方を示した。
EDFは中国側企業に対し、臨時取締役会を開き、全てのデータと必要な決定を示すよう求めたという。
CNNによると、米国家安全保障会議(NSC)が先週、会議を開き対応を協議した。複数の当局者は「現状では重大な脅威はない」との判断をCNNに対して示したという」(CNN前掲)

そもそもこの中国の基準値自体が、製造元のフランスの基準を中国が引き上げて設定したものです。
このような不透明な「中国化」は、中国が外国技術を輸入する時に度々してきたもので、外国技術をデッドコピーした上で、肝心な運用ソフトを改竄してしまいます。
かつて日本からパクった新幹線技術では車両技術だけを抜き出して、その運用システムを「中国化」した結果、信号系統が事故を起こして衝突するという大事故に発展しました。

かつて中国原発を視察した細野豪志氏はこうツイートしています。

「目立たないが気がかりな報道。3.11の後、原発事故担当大臣として、中国の原発(大亜湾原子力発電所)を視察した。日本の国会議員として始めて。気になったのは運転に関わる人材の層の薄さ。急速に原発を増やしたため、日本と比較して経験の浅い運転員が当直長をしていた。中国の原発は注視が必要」 

今回の場合、おそらく「中国化」したためにユルユルな基準値すら上回る放射性物質が希ガスとして空間に流出したと思われます。
憂鬱になるのは、その原因が特定できないことです。
原子力大国として自らも高い対処能力を持っているはずのフランス原子力当局が、あえて恥を忍んで米国の(たぶん米国原子力規制委員会だと思われますが)に技術支援を要請しているというのが引っ掛かります。
それほどまでに、やっかいな事故か、あるいは中国側が製造元のフランスにすら情報開示を拒んでいるのかもしれません。

さて中国は、かつて経済発展を支えるために大規模な原発増産計画を立て、100基以上の原発の設置を進めています。
この原発増産計画は、CO2対策やEV増産によっていっそう加速しています。
そのうえに、同時に中国はフランスなどから得た原発技術を利用して、その輸出を目指しており、これが一帯一路戦略の重要な一部になっています。
この台山原発事故が深刻な性格だと、この一帯一路にも響いて来ることになります。

下図は中国の原発状況です。赤い色が建設中で、世界一の原発ラッシュ国だとわかります。

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これらの原発は、原発の冷却水の確保と、いったん事故があっても海上に放出できるためにすべて沿岸に面しています。

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この原発建設を推進したのは西側諸国、特にフランスでした。
武漢研究所にP4技術を与え、石正麗などにウィルス研究を教授したのもフランスでしたが、この原子力分野において、フランスは長年に渡って中国の後押しをしてきました。

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CNN

上の写真は2013年時の台山原発建設風景ですが、左の人物はフランス電力会社の子会社であるフラマトム社の技術者のようです。
フランス電力会社(EDF)とフラマトム社は、この台山原発に限らず、中国の原発増設の構想から建設、運用開始、そして運転の一部まで一貫して支援してきました。

「中国とフランスのエネルギー協力には長い歴史がある。中国広核集団はフランス電力会社(EDF)、フラマトムなどの提携先と良好な協力関係を維持してきた。
賀氏は、「当社は30年以上前、EDFやフラマトムなどと協力し、広東省の大亜湾原発を建設し、中国本土における商用原子炉ゼロの歴史にピリオドを打った。当社は21世紀に入ると再びEDFと協力し、フランスのEPR(欧州加圧水型炉)第3世代原発技術を活用した台山原発を建設した。双方の共同の努力により、台山原発1号機は2018年12月に稼働開始し、世界初のEPR原子炉になった」と述べた。
 中国とフランスの原子力エネルギー協力は近年、新たな1ページを開いた。習近平国家主席と英国のキャメロン首相(当時)の立会いのもとで、中国広核集団とEDFは2015年10月21日、ヒンクリー・ポイントC原発、ブラッドウェルB原発、サイズウェルC原発の投資契約を結び、世界の原子力発電産業の発展を推進した。賀氏は、「中国とフランスが英国の3大原発プロジェクトを共同建設し、第3国市場を共同開拓し、中仏英協力のフラグシップ・プロジェクトを構築し、双方の協力がさらに深まった」と述べた」(SciencePortal China 2019年9月18日 )

 一見すると、中国は最新の原子力技術を獲得しているように見えます。
しかしその内実は、いわば田舎の成り金が金ピカの豪邸を建てたようなものです。
放射性物質や各種安全設備の基準値は「中国化」で引き下げられ、それを運転する人材も細野氏によればやっつけで促成栽培されたもののようです。
また原発に使われる部品も、質的に問題があるものが平然と使われていたことも分かっています。

中国や韓国では部品にまがいものが多く含まれています。
実際、韓国霊光原発では、ワイロと引き換えにフランス製部品の変わりに偽造品が納品されて、原発停止に追い込まれたことがあります。

「2012年には複数の原発で賄賂と引き換えに、仏アレバ社の製品を元に「偽造」された部品が使われていたことや、中古部品が新品と偽って納入されていたことなどが立て続けに発覚した」(JCASTニュース2013年5月30日)

この台山原発でも、2015年に検査で安全面に不備が見つかっていました。

「フランスの原子力安全局(ASN)はこのほど、フランスの原子力発電所の検査で安全面の不備が見つかったと発表した。同発電所の製造メーカーは、広東省の台山原子力発電所を運営する台山核電合営有限公司にも製品を提供している」(SciencePortal China 2015年04月15日)
仏原発に安全面の不備、中仏合弁の広東省・台山原発に影響は? | SciencePortal China (jst.go.jp)

この記事だけでは詳細が不明ですが、中国が偽造品大国なことは有名ですから、その可能性があります。
このように中国や韓国の原発は表向きは最新鋭を誇っていますが、こういう人材や部品のすそ野といった技術の土台がきわめて危ういのです。

一連の台山原発の事故報道は、なにかチェルノブイリ事故を思い出させます。
1986年、チェルノブイリ原子力発電所で起きた事故の際、ソ連当局は当初事故現場の放射線量に問題はないと事故を全面否定していました。
しかし実際は原子炉が暴走を開始して手がつけられない状況でした。
にもかかわらず、周辺住民に避難通知が出されたのは、事故発生から1日半が経過した後でした。
後にチェルノブイリ事故を分析した国連科学委員会は、この事故が原因で死亡した人の数を50人以下と推定し、その後、放射線被ばくが原因で何千人もの人々が命を落としたと報告しています。

ソ連と中国に共通するのが度し難いまでの情報隠蔽体質だと考えると、この胸騒ぎが杞憂であることを祈ります。
といっても、日本に「汚染水」がどうのと言っていた国ですから、心配ないでしょうが。


 

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コメント

もうこれから数百年間、大中華帝国と付き合わないといけないんだ
という事を前提に、あらゆるモノを考えないといけないんだなぁーと、
タメ息が出ますわ。私の生涯の期間、中共はあるし無くなる可能性
はごく低くて、私は中共よりずっと早くオシマイになりそうです。

おそらく欧米諸国は、時間がかかるにせよ、中共が自ら民主化する
のはそう遠くはない。なぜなら、科学や経済が発展すれば、人間が
自由を求めるのは、あのマズローさんの欲求段階説などによって証
明されていると、楽観していたからですわ。でも考えてみれば、日本
だって、旧体制を米国にコテンパンにされてムリやり民主化されたん
だし。東アジア圏は少なくとも伝統的に一神教でないので、集団主義
の規範が神のような存在となり、その中での序列が人生の目的とな
ってしまうかのようです。

それが大昔からの伝統だとすれば、中共は大発展すれども、かつて
隆盛した過去の数多の大帝国のように、個人の自由は顧みられも
せずに中央の権力のみが突出して、個人はそれに我先にと従順の
意を示して体制の中での己の既得権益を守ることに汲々とする現在
の中国人の姿(あの、狼気取りの外交官を含め)は、ごく自然なもの
なのかも知れませんわ。だとしたら、中共は中短期では不滅です。

放射能がモレた?のなら、日本ならすったもんだの大騒ぎ確定です
が、中共支配の国では「モンダイないよ、黙れ、捕まえるぞ!」で済
みます。後から「あっ、実はモレてたわ、で、文句ある?」と、シレっと
してりゃいい。それが、中国の伝統国家なんですわ。これからも覚悟
してお付き合いして下さい、ここ数百年間を生きる日本人の皆さん。
私は長くて、平均寿命までのあと四半世紀ほどを頑張りますわ。もう、
博多行きを命ぜられた鎌倉時代の雑兵のような気分です・・

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