さっさとアストラゼネカを東京に集中投下しろ
ワクチンの接種ペース早めるために、アストラゼネカ(AZ)ワクチンを使うようです。
「英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省は公費接種で原則40歳以上への使用を検討している。30日の厚生科学審議会の分科会で判断する。60歳以上への接種を推奨する案で調整していたが、外国の推奨年齢や安全性に関するデータから、より若い世代への活用も視野に入れる。」(毎日7月29日)
遅いですが、始まっただけでいいとします。
なんといっても、AZは日本でも作っています。これはファイザーにない圧倒的強みです。
ファイザーはいくら契約数量を確保してあっても、日本の接種状況が予想を超えて速かったりすると、たちまち供給の前倒しを要請せねばならなくなってしまいました。
ニューズウィーク
なんてったって、日本に工場があり、既に6000万人分を確保できているのですから、これを使わないてはありません。
日本人の半分が打てるだけのワクチンが、既に国内にありながら使っておらず、にもかかわらず本格的都市封鎖しろなんて馬鹿まで現れるのです。
本末転倒じゃありませんか。防ぐ有効な手段を持っていながら使わず、手を尽くさず、なにが都市封鎖だ。
しかもファイザーのワクチンの供給の障害だった超低温流通(今は緩和してマイナス25度から同15度)がいらず、2度~8度ていどの冷蔵施設で済むのです。
「アストラゼネカは、承認されれば、新型コロナウイルスのワクチンを、国内の製薬会社に委託して6400万人分以上を製造することにしています。
このうち原液は、兵庫県芦屋市に本社がある製薬メーカー「JCRファーマ」が担当し、神戸市内の工場で製造します。
工場では、専用の部屋に、新型コロナウイルスの遺伝子が組み込まれた、ワクチンのもととなる溶液が運び込まれ、培養を進めます%(NHK 2021年2月20日)
下の写真は、日本で製造を請け負っている兵庫県JCRファーマーのプラントですが、この会社は遺伝子治療の実績がある企業のようです。
「JCRファーマの本多裕上席執行役員は、ワクチンの国内生産について「遺伝子治療の研究をしているチームが社内にあり、技術をワクチンや原液製造にいかせるところが、技術的には大きなポイントだと思う。国内でスムーズに生産していきたい」と話していました」(NHK前掲)
日本国内の工場でアストラゼネカ製ワクチンの原液を製造する様子(JCRファーマ提供)
アストラゼネカ製使用当面見送り 年齢など接種対象の限定も検討|
ところが一部に血栓がでたというので、ワクチン消極論が強い厚労省はビビってしまいました。
厚労省が恐れるのは感染拡大ではなく、むしろ後から子宮頸がん訴訟のようなものを起こされることようです。
だから小役人根性はイヤダ。
専門家部会を開いてどうのこうのといいますが、会議の前に方針を定めて、それにあった人選をして「落とし込む」のがいつもの日本の官僚のやり方でじゃないですか。
有効性が確認され、認可も降りているものを、感染拡大が1日全国で1万人を超えた、なんて騒ぐ時にもお蔵入りさせてしまう、何かんがえてるんだか。
つまるところこんなもんは、小役人の我が身かわいさにすぎません。
「厚労省は21日、専門分科会でアストラ製は当面使わない方針を示した。これに対し専門家から「英国でかなりの接種実績があり、効果も確認されている。選択肢として排除すべきでない」との指摘が出た。保管がしやすく、国内で原液が作られているという利点もあり、引き続き使用法を議論する」(東奥新聞62021年5月20日)
実際に英国でアストラゼネカのワクチンを打ったロンドン在住の菅野泰夫氏はこう述べています。
毎日
「英国では5月中旬の時点で、3,300万人にアストラゼネカのワクチンが接種されたが、血栓症を発症したのは309人、うち56人が死亡していることも事実である。ただ足元は、血栓が発症しても対処方法が確立されており、2回目のワクチン接種では死者は出ていない(そもそもコロナ感染時の血栓リスクの方が数十倍高い)。
それ以上に、英国人の多くがコロナ危機を戦時下にたとえ、何とか乗り越えようという点で一致団結している。副反応の懸念が報道されても、危機収束のための唯一の方法として積極的にワクチン接種に向かう人が主流である。
日本でもアストラゼネカワクチンの許認可が下りたため、順次、接種が開始される予定であろう。どこの国でも、接種を受ける時期に供給されているワクチンが優先的に接種されるため、当日アストラゼネカワクチンと判明しても、過度に心配する必要はない。ぜひ思い切ってワクチン接種に踏み切ってほしいものである」(菅野泰夫 ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト) 。
危機において一定のリスクを承知のうえで、それを乗り越えようとする英国、1年半たっても平時の感覚が抜けきらず決断が遅れ続けるわが日本。
たしかに厚労省が危惧するようにAZワクチンによる副反応は発生しています。
ただし100万件で約8件。0.08%です。
これは菅野氏が指摘するように、コロナに罹った場合になる血栓の確率の8倍から10倍です。
[ロンドン 22日 ロイター] - 英医薬品規制当局は22日、英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチン接種者からの深刻な血栓症の報告が168件あったと明らかにした。発症率は100万回の接種当たり7.9件という。
先週は100件報告された。発症率は100万回の接種当たり4.9件だった。
血栓による死亡報告は合計32件。先週は22件だった。ただ、血栓による致死率は22%から19%に低下した」
(ニューズウィーク2021年4月23日)
ワクチン未接種の人がコロナに感染した場合の血栓による死亡率について、オックスフォード大学はこのように発表しています。
[ロンドン 15日 ロイター] - 英オックスフォード大の研究チームは15日、脳内で血栓が生じるリスクは、英アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンの接種よりも、未接種でコロナに感染する場合の方が8-10倍高いとの分析結果を発表した。
米医療データベースに基づく研究で50万人のコロナ患者の脳静脈洞血栓症(CVST)を調べたところ、発症率は100万人当たり39人の計算になったという。一方、欧州医薬品庁(EMA)はアストラゼネカのワクチン接種後の同発症率を100万人に5人としている」(ロイター32021年4月16日)
このようにアストラゼネカワクチンを血栓を理由に使わない理由はもはやなにひとつないのです。
アストラゼネカワクチンは、すでに日本国内でも2021年5月21日に厚生労働省が承認しています。
接種の対象は18歳以上で、日本政府は年内に6000万人分を供給する契約を結んでいて、厚生労働省が承認さえすれば直ちに国内の製造拠点から4500万人分以上が供給される見通しです。
それを使わせなくしているのが、厚労省の政治的判断なのですから、もはや犯罪的といっていいでしょう。
今、このAZワクチンを東京都に集中的に投入して、人心の動揺を押さえ込むべきです。
広く薄く使用するのではなく、1日陽性判定者が3000人を超えたとメディアが臨時ニュースするような東京都に集中的に使用すべきです。
ただし、私は東京都の保健局責任者が言うように、去年の暮れと比較して特段に危機的だとは思っていません。
「東京都内で新型コロナウイルスの感染者数が過去最多の2848人となった27日、都は吉村憲彦福祉保健局長が報道各社に現状を説明した。年末年始の2千人台とは医療提供体制やワクチン接種などで状況が違い、死者が急増することはないと強調。「いたずらに不安をあおることはしていただきたくない都局長は述べた」(
わざわざ東京都の担当官が「いたずらに不安を煽らないでくれ」と注意勧告をしても、「速報!東京都で3千人を超える」などいうテロップをオリンピック中継の間に流すのが、この国のメディアです。
では、東京都の感染状況を押えておきます。
都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト (tokyo.lg.jp)
●東京都陽性者数の推移(2021年7月29日現在) ・・・ 3,865 人
・入院患者数・・・ 3,039 人
・確保病床・・・ 5,967 床(50.9%)
・重症患者数・・・ 81 人
・確保病床・・・ 392 床(20.6%)
一方、東京都のワクチン接種率を見てみましょう。
東京都コロナワクチン接種状況・接種率の最新情報 | NHK特設サイト
まずは一番重症化しやすい65歳以上に対しての接種率です。
●東京都の65歳以上のワクチン接種率
1回目・・83.42%
2回目・・71.94%
つまり高齢者の8割以上は既に1回目の接種を完了させているのです。
これが陽性判定者が3千人超えなどといっても、重症者が少ない理由です。
年代別を見るとこうです。
これを順調と評しちゃいけませんか。
仮に今の感染拡大を大水にたとえれば、一番脆弱な箇所はガッチリ補強されてているということです。
ですから、コロナによる決壊の心配はほぼない、都市封鎖なんてまったくやる必要はないのです。
だから大げさに騒ぐな、と都の吉村保健局長がわざわざ言ったのです。
メディアは、国民が平和に暮らすのを見るのが、ほんとうに嫌いなようです。
しかもこの接種者数は常に2週間ほどズレているので、来週にならないと正しい数字はわかりません。
全国的にみると、控えめにみてもこのような状況だと考えられます。
チャートで見る日本の接種状況 コロナワクチン:日本経済新聞 (nikkei.com)
●国内のワクチン接種率(7月28日現在)
・全国の接種率
・1回接種・・・38.0%
・2回接種・・・27.0%・65歳以上の接種率
・1回目接種・・85.3%
・2回接種・・・27.0%
おそらく来週には1回目接種率40%を超え、2回目も30%を超える勢いです。
おそらく8月中にはアストラゼネカも加わって、一気に5割を突破するはずです。
国民全体の接種率が40%から5%を超えるラインに達すると、感染は激減を開始することは、イスラエルなどの先行事例で分かっています。
日経
「イスラエルのワイツマン科学研究所のエラン・セガル教授も4日、60歳以上で新型コロナ陽性と確認された例が過去3週間で41%減ったとツイッターで報告した。入院した人は31%減、うち重症患者は24%減ったという。
イスラエルでの接種は2020年12月に始まった。優先対象となった60歳以上の8割が接種を受けた。後回しになった若い世代と比べて感染や重症化のケースが顕著に減ったと同氏は指摘する」(日経2021年2月5日 )
このイスラエルの事例研究はデルタ株以前ですが、デルタ株優勢の現在でもイスラエルの新規感染者数はピーク時の5分の1ぐらいに抑えられています。
また死亡者でも、ピーク時は1日100人近く死んでいましたが、この7日間で1人しか発生していません。
アストラゼネカのワクチンの副反応で血栓が出たことが使われない理由ですが、イスラエルも副反応が0.3%でたことが報告されています。
仮に血栓が出ても、対処を誤らねば死亡者が多数でることは、まず考えられません。
「新型コロナウイルスのファイザー製ワクチンをめぐり、イスラエルの保健機構が14日、ワクチン接種には発症を94%減らす効果があるとの研究結果を発表した。未接種の人と比べ、重症化するケースも92%の減少がみられたという。
陽性判定者の92%が、ワクチンを打たない人だという報告もあります」(朝日 2021年2月15日)
また、デルタ株に置き換わっているということですが、先ほどのイスラエルの例を見ると、全体の2回目接種が5割を超えればそれほど大きな脅威にならないと思います。
メディアが過剰に騒ぎ立てることによる心理的動揺を抑えるために、アストラゼネカワクチンを東京都の中年・若年層への集中接種を進めるべきです。
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