データーで見る東京都の感染状況について
では、改めて東京都の新規感染状況を見てみましょう。
都は「 東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細」を出しています。
都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト (tokyo.lg.jp)
●東京都の検査人数8,462,7人
陽性率 10.7%●東京都の感染状況
・報告日別による陽性者数の推移
1,387 人(2021年7月20日) 日別値・前日比: +660 人
●モニタリング項目1
・新規陽性者数
1,180.0 人(2021年7月20日)7日間移動平均・前日比: +79.6 人●入院患者数 2,466
・確保病床 5,967 床
・使用率 41%
そして重症者は
モニタリング項目7
・重症患者数 60 人(2021年7月20日)前日比: 0 人
・確保病床 392 床
・使用率 15.3%
新規陽性者は増えていますが、重症者は増えていないことに留意ください。
これは重症化する65歳以上に感染者がまったく増えていないためです。
改めてワクチン接種の進展が重症化をくい止めていることが証明されています。
都の専門家会議の分析では7日平均が131%になったことで、危険と分析しています。
最新のモニタリング項目の分析・総括コメントについて 東京都福祉保健局 (tokyo.lg.jp)
専門家会議は「新規感染者の増加比は継続しており、人の流入や変異株で増加比率が高まると、早期に第3波を迎える」としています。
さて、ここでもうひとつおさえておかねばならないのは、陽性判定者のうち医療従事者と高齢者が占める割合です。
なぜ注目するのかといえば、重症者が感染した場合の致死率が高いことで、医療従事者が重症化すると医療崩壊を引き起こすからです。これも都からオープンデーターがでています。
まずは高齢者から。
65歳以上の高齢者が、陽性判定者に占める割合(赤線)は、今年3月23日には21.9%でしたが、7月6日には約5分の1の4.1%に激減しています。
75歳以上(青線)になるともっと顕著で、同じ期間で見ると13.4%から1.7%と一桁落ちています。
これは下図の新規陽性者の年齢別とも符号します。
圧倒的に多数を占めるのが、上図の10代から30代半ばまでの30.9%、次いで30代半ばから50代半ば(茶色)の18.3%です。
なんども書いてきていますが、この青年から中年にかけての年齢層の死亡率は限りなくゼロです。
稀に30台で死亡者が発生するとメディアは大騒ぎしますが、全体の傾向を見てください。
次に医療体制の要となる医療従事者の割合を見てみましょう。
独自】医療従事者の感染、月525人から47人に激減…「ワクチンの
「東京都内で5月に新型コロナウイルス感染が確認された医療従事者は47人で、今年最も多かった1月の10%以下に減ったことが、読売新聞の調べでわかった。全感染者に占める割合も下がっており、専門家は3月から本格化したワクチン接種の効果とみている。(略)
医療従事者向けのワクチン接種は、2月に全国100の医療機関で先行接種が、3月からはその他の医療機関で優先接種が行われている。国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は「医療従事者が対策に努めていることもあるが、ワクチンの効果が表れていると考えられる」と指摘している」(読売2021年6月13日)
「医療従事者への新型コロナウイルスワクチン接種が滞っている。2月に先行して始まったが、2回接種を終えた完了率は14日時点で35%となり、東京都や神奈川県が28%となるなど都市圏で低い傾向がある。分配の「司令塔」不在で大規模病院でワクチンが滞留するケースも出ており、管理体制の見直しが急務だ」(日経5月10日)
日経
東京都は40~45%にとどまっています。
都は医療従事者へのワクチン接種の加速について至急対策をたてるべきです。
とはいえ医療従事者の新規陽性者全体に占める割合は、5月末から6月初旬あたりで1%を割り込み、直近だと0.5%以下で推移していることがわかります。
これはワクチンの医療従事者への選考接種の効果が現れていることを示しています。
以上を踏まえて、最も危険な年齢層である高齢者に対する東京都のワクチン接種率は下図のような状況です。
以上、オープンデーターから感染状況を見てみました。
このデーターからも、もっとも危険な高齢者の重症化はワクチン接種により有効に阻止されていると思います。
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コメント
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昨日ふゆみさんが少し触れていましたが、東京都も厚労省は違う基準で重症者データをまだ発表しているのですね。
厚労省基準の14日時点では1207床中538床使用で使用率45%です。
どうして一度指摘されていたにも関わらず東京都はいまだに独自基準で一番重要な重症者データを発表し続けているのかわかりません。
厚労省基準が厳し過ぎるのであれば見直す必要がありますし、いずれにせよ放置してはいけない問題だと思います。
投稿: しゅりんちゅ | 2021年7月22日 (木) 07時36分
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/info/kunishihyou.html
都のサイトからしゅりんちゅさんがお書きの国基準に合わせた数字にも、ちゃんと飛べるようにはなっています。21日付けだと51
取り始めた時と同基準データを取り続ける意義はありますが、もうちょいう上の方に全国ルールに沿った表を掲げた方が分かりやすいですよね。。。
医療提供体制⑦-2では重症患者の年代別人数の推移を知る事ができます。
時間がある方は図とともに専門家のコメントの文書も開いて読むと良いです。それほど長くなく具体的な話が書かれています。
国基準との数字の差に留意しつつこのデータを頭の中で更新しながら、ワクチンの今後のニュースや世界で集まりつつある後遺症のケーステイク報道を見ていきたいと思います。
今感染が流行っている40〜50代、ワクチン予約待ちか1回だけの私の周囲では、自分と家族が死ぬイメージではなく、ワクチン無しで罹患した場合の後遺症で仕事を今のペースでバリバリやれなくなるのでは、子どもが健康な大人として将来活躍できなくなるのでは、という不安を持つ人達が多いです。
マスクして寄り道しないでオリンピック観たいのに。でも「デルタ株は軽いからどんどん出歩け」は違うから気をつけながらできらだけ活動しよう、と思ってたりします。
投稿: ふゆみ | 2021年7月22日 (木) 10時17分
指が滑りまくってますねすみません。
21日付けでは51%
気をつけながらできるだけ活動しよう
です。
投稿: ふゆみ | 2021年7月22日 (木) 10時47分
免疫学の第一人者宮坂昌之氏が新型コロナウィルスとワクチンについてわかりやすく解説されています。
「新型コロナ:ワクチン効果で収束へ前進、制圧は「2、3年後」-宮坂昌之・阪大名誉教授」
https://news.yahoo.co.jp/articles/fda94cc56c11eb0362ebe057c532d0b802107c23
8月中旬に新型コロナワクチンについての本も出版されるようなので購入したいと思っています。かなり皮肉のきいた表題ですね。
新型コロナワクチン 本当の「真実」 (講談社現代新書)
宮坂 昌之
https://books.rakuten.co.jp/rb/16820335/?fbclid=IwAR1buGKJUdGk44b0EAjsP8n8famNzuYb6NuhTzinnySZdIGaBb0t2E7GYzY
投稿: クラッシャー | 2021年7月22日 (木) 12時59分
ふゆみさん
ご説明ありがとうございます。
このグラフを見る限り30代以下は基礎疾患がなければ命にかかわることはまずない病気だとわかりますが、かかった時の苦しさや後遺症のリスクなど考えたら接種するに越した事はないのかもしれませんね。
クラッシャーさん
読みごたえのある記事のご紹介ありがとうございます。
特にインフルエンザとは違い新型コロナはウイルス同士がキメラ化する事はなない、ワクチンによる抗体維持期間や3度接種する意味はあるのか?というお話は以前からとても気になっていた部分でしたのでとても参考になりました。
投稿: しゅりんちゅ | 2021年7月22日 (木) 17時35分
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.fnn.jp/articles/amp/203370%3Fusqp%3Dmq331AQIKAGwASCAAgM%253D
これしか記事は見つからなかったのですが、接種希望した医療従事者は6末でほぼ2回打ち終えたとあります。対策は5月以降早急にたてらてたようです。
クラッシャーさんのリンク記事、ボリュームたっぷりでした。3回目接種についても諸説あるのですね。
投稿: ふゆみ | 2021年7月22日 (木) 20時50分
https://news.yahoo.co.jp/articles/a7b94d86fa8dff07b82620b537f801beb68de320
イスラエルの首相は、新規感染者の半数以上がワクチン接種済み、重症者の60%がワクチン接種済み、ファイザーワクチンのデルタ株に対する予防効果は予想より低いと発言してますね。
一方で治療中約6500人のうち重症者は58人と低いレベル。(これはワクチンの効果じゃねーの?)
ちなみに東京都は約11600人(自宅療養や調整中含む)で重症65人(東京ルール)
重症者数はイスラエルと近い。
でも国の基準はこれの約10倍くらい
ワクチン接種が進んでいるイスラエルの何が良くないのか?
マスク着用義務の撤廃後から感染者増加、経済活動再開も増加に拍車をかけているのではないかと。
東京都の年齢別人口ピラミッド(5歳刻み)を見ると44〜49歳が1番多く、次いでその前後の年齢層が多いです。基礎疾患やこの年齢層までワクチン接種が完了すれば、重症や死亡もさらに下がり今以上の効果が期待出来ると思われます。
接種後もワクチンを過信せず、いままで通りのマスク着用や手洗いなどは継続した方がきっと予防につながりますよ。
余談ですが、娘の職場では最近ワクチン接種後の抗体検査を行いまして、コロナ感染歴のある人達はダントツに抗体が多かったそうです。
個人差があり、抗体が少ない人もいます。
ワクチン接種が一段落したら国民の抗体検査をして抗体の少ない人は三回目のワクチン接種をしましょうなんてこともアリじゃないですかね。
投稿: 多摩つこ | 2021年7月22日 (木) 21時23分