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2021年7月12日 (月)

習近平の中国共産党100周年記念演説を原文で読む その2

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土曜日に一回アップした記事の後半です。大幅に加筆いたしました。
加筆すればするほど書かねばならないことが山積しているのに気がつき、われながら仕方ないこれでいったんは打ち切るか、という気分です。
この中国共産党史は、今の中国がなぜこのような「異形の大国」になってしまったのかを知る上で大変に重要ですので、そのうちシリーズでゆっくりやってみたいと思っています。
それにしても今回このテーマを取り上げると、中国共産党関係史料の9割までが、中国共産党の眼からのみの視点に沿っていることに、あらためて驚かされました。
特に学界関係はひどい。
日本側証言も、戦争がからむと完全に贖罪一色で、メディアは「反戦・親中」の方向からしか証言を採集してきません。
自然、出来上がるものは、中国共産党礼賛、毛沢東マンセイというものばかりです。
これでは中国共産党100周年に対して、「困難な時期を乗り切った偉大な党」などと平気でオベンチャラを言う日本の政治家が出て当然だ、と感じた次第です。

というわけで、今回は生煮えですので、ご勘弁下さい。

                                              ~~~~

承前

習がいう「解放戦争」とやらは、日本軍相手でヘロヘロになっていた国民党軍を、満を持して台湾に追い出した内戦にすぎません。
当時「八路軍」(第8軍団ていどの意味です)と呼ばれていた共産党軍は、日本軍とはまったく戦おうともせずにひたすら逃げ回って勢力温存し、「その後」に備えました。
これについてはこちらの記事をお読み下さい。
※関連記事『戦争中に何もしなかった中国共産党軍 ケーススタディ平型関大捷』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-b7ff.html

そもそも日中戦争は、延安に逃げ込んでいた共産党を救い、連合国からの援助をもたらす福音だったのです。
毛沢東は「オレたちが勝ったのは日本のおかげ」と常日頃口にしていたそうです。
日中戦争なくしては、共産党は権力を握るどころか、国民党の討伐の本格化によって崖っぷちに追い込まれていました。
単に国民党軍による包囲網が狭まっただけではなく、1930年の江西紅軍1万人処刑事件にみられるような粛清の嵐が原因でした。
たぶん日中戦争が勃発しなければ、1930年代の末には延安の辺境で山賊として消滅していたはずです。

1944年4月から12月にかけて実施された本日本軍50万人に及ぶ大陸打通作戦は、作戦自体は成功したものの、結果としてはまったく無意味に終わりました。
目標は桂林のB29基地壊滅だったのですが、作戦終了時には、すでにサイパンから東京空襲がなされてしまっていたからです。
しかし、蒋介石の率いる国民党軍を追い散らしながら南下したために、蒋介石軍の受けた損害は巨大でした。
一説で約60万もの国民党が全滅したために、連合国軍中最弱の中国国民党軍勢力を叩くという目的には成功しました。
副次的には、米国はこの弱いくせに援助ばかり欲しがる国民党軍に愛想を尽かし始めていました。

一方、この大陸打通作戦により、華北の国民党軍は一掃され、ここに大きな軍事的空白が生じました。
その隙間を縫って共産党軍は、華北に軍事的拠点を置くことに成功しました。
日本が敗勢に追い込まれた1945年頃には、共産党軍の温存した兵力は127万に達し、元々日本軍が手薄だった華中にも浸透しました。

この時点になると、米国は国民党を見限るようになります。
いくら支援でカネと軍事物資を与えてもザルのように横流ししてしまい(その一部は共産党軍に渡りますが)、私腹を肥やすことになったからです。
そして同時期に、アグネス・スメドレーやエドガー・スノーなどの共産党員ジャーナリストによる、「毛沢東はコミュニストではなく、清廉質朴な民族主義者だ」という宣伝が米国内に浸透していきます。
これも巧妙に仕掛けられた世論操作でしたが、米国はその支援の軸足をやがて国民党から共産党軍に置くようになります。
たとえば華中では米軍と共産党軍との間に、緊密な情報網の構築がなされ、米軍上陸時の共同作戦のために軍事物資の提供が行われたほどです。
この米国の国民党切り捨て・共産支援のスタンスは、日本の敗戦後も継続され、米国の国共内戦における共産党の勝利の背景になっていきます。

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上の写真は、終戦直後の1945年8月に撮られた延安時代の毛沢東のものですが、前列左から朱徳、張治中(国民党)、イヴァン・イートン大佐、後列右に小さくなっているのが毛沢東で、その横にいるのが顔は見えませんがハーレー駐華米国大使です。
毛沢東が米軍将校の後ろで縮こまっているのが笑えます。
このように日中戦争が起きることによって、滅亡寸前の共産党は首の皮一枚で救われることになったのです。
ある意味、共産中国を作ったのは、日本と米国なのです。
まるで、今の「GDP世界2位」のモンスターを作ってしまったのが、これもまた日米であるように。

それが習の意識の中では、こういうことになってしまうのですから、失笑します。

「中国共産党と中国人民の勇敢で強固な奮闘をもって中国人民は立ち上がり、中華民族が搾取され、辱めを受けていた時代は過ぎ去ったことを世界に厳かに宣言する」

わ、はは、なにをおっしゃるウサギさん、共産党は少しも抗日戦争で戦わなかったし、むしろ当時の中国の正規軍たる国民党軍が日本軍に敗退し続けることを喜んでいました。
そして外国によって「辱めを受ける」どころか、勝たせたのは米国ではありませんか。

共産党が戦ったのは、あくまでも同胞たる中国人だけであって、中国共産党の歴史とは他の中国人同胞を迫害し、粛清し続けた歴史なのです。
これだけ権力を取るまでに人を殺しまくった集団は世界にもありません。
権力を握ってから粛清しまくったのはソ連も一緒ですが、中国共産党は取る過程で敵味方の区別なく殺戮しまくったのですから、なんとも凄まじい。
それが習にかかると、こういうふうに表現されます。

「歴史を教訓とし、未来を切り開くには、人類運命共同体の構築を絶えず推進しなければならない。
中華民族は平和、和睦、調和を5000年以上に渡って追求し、継承してきた。中華民族の血には、他人を侵略し、覇権を追求する遺伝子はない。
中国共産党は人類の将来の運命に心を配り、世界のすべての先進的な力と協力して前進する。中国は常に世界平和の建設者であり、世界の発展の貢献者であり、国際秩序の擁護者である」

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www.newsweekjapan.jp

「世界平和の創造者」で、「中華民族の血には他人を侵略し、覇権を追求する遺伝子はない」、ってアキサミヨー、どの口が言うかね。
中国ほど露骨に他国を侵略し、南シナ海を要塞化し、少数民族を奴隷化した国はありませんでした。
中国共産党が持っている遺伝子とは、富んだ者を殺して盗んだ匪賊の血。
そしてその体内に残るのは、党内粛清で屍の山を築いた遺伝子です。
大躍進政策、文革と、中国人同胞を数千万人単位で殺しまくり、その遺伝子がいまや世界の覇権を求めて、世界に向かっています。
それが一帯一路です。

しかし今や世界第二位の経済大国だ、文句あっか、ふんふんと、と習は大いばり。鼻息が荒いこと荒いこと。

「閉鎖や半閉鎖から全方位開放への歴史的転換を、生産力が相対的に遅れていた状況から経済の総量で世界第2位に躍り出る歴史的突破を、人民の生活で衣食が不足していた状況から総体として小康社会を、さらに全面的に小康社会に向かう歴史的な飛躍をそれぞれ実現した」
中華民族の偉大な復興の実現のため、新しい活力にあふれた体制上の保障と急速発展の物質的条件を提供した。中国共産党と中国人民は勇敢で強固な奮闘をもって世界に厳かに宣言する。改革開放こそが現代中国の前途と運命を決める鍵となる一手であり、中国が大股で時代に追いついたのだ」

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ww.nishinippon.co.jp

習はよく知っているはずですが、鄧小平路線を否定し、鄧を粛清した毛沢東の頃に戻ろうとしているのが、この習です。

「歴史を鑑として、未来を切り開くには、中国人民が団結して美しい生活のために奮闘しなければならない。江山(天下)は人民であり、人民は江山である。江山を勝ち取り、江山を守るのは、人民の心を守るということだ。中国共産党は人民に根ざし、血液は人民にあり、力量も人民にある」
「中国共産党は常に最も広範な人民の根本的な利益を代表し、人民と苦楽をともにして一致団結し、生死を共にし、自らのいかなる特殊な利益もなく、いかなる利害集団、いかなる利権団体、いかなる特権階級の利益も代表しない。中国共産党と国民を分割して対立させようとするいかなる企ても、絶対に思いのままにならない。9500万人以上の中国共産党員も、14億人余りの中国人民も許さない」

聞くほうが恥ずかしいような美辞麗句ですが、共産党が「人民と苦楽をともにして一致団結し、生死を共にし、自らのいかなる特殊な利益もなく、いかなる利害集団、いかなる利権団体、いかなる特権階級の利益も代表しない」ですって。
共産党が代表しているのは一握りの9500万人の党員の富と特権だけ。
ダイヤモンドを散りばめたスマホを持ち、フェラーリに乗って、愛人を数十人囲うことが、共産党員の「江山を守る」ことです。
その一部の共産党員という絶対富者を守る体制を維持するために、デジタル監視網で国民を監視し、いささかの異論も許さない社会を作ったのです。
それがどのようなものかは、ウィグルと香港の人々がもっともよく知っているはずです。
世界最悪最強の全体主義国家、それが中国です。

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特別リポート:中国習近平の「強軍戦略」、米国の優位脅かす | Reuters

そして詰まるところは、独裁を擁護し、全体主義を守るための軍隊がこの国の大黒柱です。

「新しい道のりでは、新時代の党の強大な軍隊の思想を全面的に貫く。新時代の軍事戦略の指針を堅持し、人民解放軍に対する党の絶対的な指導力を維持し、中国の特色ある強大な軍隊の道を歩み続ける。
政治建軍、改革強軍、科技(科学技術)強軍、人材強軍、法に基づき統治された軍隊を全面的に推進、人民解放軍を世界一流の軍隊へと建設する。より強力な能力と防御するための信頼性の高い手段で人民解放軍を建設すれば、国家主権、安全、発展の利益を守ることができる」

中国にあっては、政府は軍隊であり、軍隊は共産党なのです。
世界最大の私兵集団、それが人民解放軍、いや今様の「紅軍」です。
「政権は銃口から生まれる」といって暴力で政権を握り、軍隊を使って国内をまとめ上げ、そして今や世界の覇権を軍隊の力で握れ、それが習の言う「政治建軍」の意味で、このあたりはまったく山賊時代の共産党「紅軍」となんら変わりません。

こういうブラッディ・チャイナに100周年だといって祝辞を贈る者もいるのですから、ため息しか出ません。

 

 

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コメント

河野の親父さんとか、かつて「談話」とやらで日韓関係に決定的なヒビを入れた人とか菅政権の足を引っ張ってばかりの二階とか···全く理解に苦しみます。

中国も韓国も「過去の歴史を学ばなければその国の未来は無い!」んだそうですが、それこそ歴史を徹底的に修整して誤った道に踏み込んでるのはあちら様方ですよねえ。。

遠藤誉氏によれば、毛沢東は死ぬまで、抗日戦勝記念を祝ったことがなかったという。
そりゃそうですね、建国の父は当然、日本軍に勝ったのは中共軍ではないことをよく知っているんだもの。
キンペたんには信奉したい毛と、したくない毛があるんですかね。
ご参考
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/08/post-3859.php

高齢のせいか式典には現れなかった江沢民はかつて、抗日戦勝を祝う場で、紅旗の中にはソ連やアメリカやイギリスなどの友人たちの血の跡が刻まれている、とスピーチしたそうな。
あの赤の成分にアメリカやイギリスが含まれた歴史は、この先キャンセルされるのかしら。

中国共産党が持っている遺伝子とは、富んだ者を殺して盗んだ匪賊の血。
同意します。そして今度は自分たちが狙われる立場です。
だからこそ、幹部はいつでも逃げ出そうとしている。

 中国共産党も日本共産党と同じで、出自はコミンテルンです。
そうした歴史的事実も習近平によって塗り替えられつつあり、毛沢東というよりも金正日に近い印象を受けます。

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