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2021年7月 9日 (金)

熱海土石流原因続報

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熱海の斜面崩落の起点と見られる盛り土について新事実が公表されました。

「静岡県は、土石流の起点となった場所をドローンで撮影し、4日に映像を公表した。起点は、熱海市内を流れ逢初(あいぞめ) 川の河口から約2キロ上流にある。
県は2010年以降のデータから、起点付近に開発行為で約5・4万立方メートルの盛り土があったと推定。今回の土石流で、このうち5万立方メートル以上が崩落したとみている。1ヘクタールの土地を5メートルかさ上げするだけの量に当たり、県は「この崩落が土石流を誘発したかは不明だが、被害を甚大化させたと推定される」としている。
専門家からは、崩落した盛り土の安定性を問う声が上がる。東京大の堀田紀文准教授(砂防工学)は「一般的に、盛り土は自然の斜面より崩壊の危険性が高い。今回崩れた盛り土は、水が集まりやすい谷に造成されたため、大雨で著しく不安定になっていた可能性もある」と指摘する。 一方、土石流が複数回発生した可能性もあり、三重大の堤大三教授(砂防工学)は「盛り土よりも下の斜面で先に崩れたり、大雨で浸食されたりして土石流が発生し、盛り土が支えを失って崩れた可能性も否定できない」としている」(読売7月5日)

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1ヘクタールを5mのかさ上げとは唖然となる規模です。
この業者はいわゆる札付きで、今までなんどとなく違法行為を働いていて、県から指導を受けていたそうです。

「今月3日、静岡県熱海市で発生した土石流で、土石流の起点にあったとみられる盛り土は、12年前からの造成工事で土砂が搬入されましたが、静岡県によりますと、届け出よりも開発地域を広げたことや、盛り土に産業廃棄物が混じっていたことが発覚し、盛り土を行った事業者に対し、当時、県と市が是正するよう指導していたことがわかりました。
熱海市伊豆山で起きた土石流で、静岡県は、上流の崩れた盛り土が「被害を甚大化させたとみられる」として、盛り土がされた状況などの調査を進めています」(NHK2021年7月7日)

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NHK

そもそもこの盛り土のある場所は土砂流防保安林ですから、当然伐採や盛り土などの開発行為自体が禁止です。
しかし開発許可なく盛り土がされていたわけです。
監督官庁の静岡県は、なぜかこのページを閉めてしまいました。
意図的に見せなくしたわけではないと思いたいのですが、監督責任が問われている時期だけに、静岡県は梨花に冠を正さずであるべきでしょう。

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静岡県HP

この神奈川県小田原市の業者は当該の土地を取得し、熱海市に造成許可を得た後に、無許可で申請外の地域(しかも土砂流防保安林!)の森林を伐採して盛り土工事を始めたそうです。
そしてそこに産廃の木屑とか土砂をどんどんと投げ込んで造成してしまった、ということのようです。

「7日午後、会見を開いた静岡県の難波喬司 副知事によりますと、平成18年に神奈川県小田原市の不動産業者が土地を取得したあと、平成19年「静岡県土採取等規制条例」に基づいて、1ヘクタール近い土地で造成工事を行う計画を市に届け出たということです。
しかし、無断で開発地域を広げていた林地開発許可違反が発覚したため、県が是正するよう指導し、是正が完了したとして、12年前から土砂が運び込まれるようになりました。
3万6000立方メートル余りの盛り土を行う計画で、平成22年の8月には造成工事がおおむね完了したということです。
その後、盛り土の中に木くずなどの産業廃棄物が混ざっていることがわかり、熱海市と保健所が指導して搬出させたということです」
(NHK7月7日) 

ならば、違法造成が始まった段階で熱海市、ないしは静岡県がどんな「指導」をしたのかが問われてきます。
たぶん、よくて口頭で注意した程度だったと思われます。
こんなことは、本来は警察案件だったはずです。
だってぜんぜん工事を止める様子もなく、産廃を捨てまくっていたのですからね。
こんな行政の「指導」など屁とも思わないのは、この業者が自民系同和団体だったからのようですが、次元が別のテーマなのでそちら方向に私は深入りしません。
ただ、森友問題で解同の影がちらついたように、このような産廃処分や開発には、いつもこんな影が見え隠れすることは確かです。

さて、この盛り土が主犯であることは、もはや疑い得ないことでしょう。
崩落した土砂を検証したところこのようなことがわかりました。

地質学者のA. Ennyu氏のツイートです。
A. Ennyuさん (@r_isotope) / Twitter
熱海の伊豆山周辺は安山岩の山で、山の斜面には岩がゴロゴロ転がっていて、露頭には風化した白茶色の砂や粘土や角礫が見られます。このような岩石で出来た山が崩れたのであれば、土石流にこれらの岩石が含まれるはずです。
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伊豆山周辺は安山岩
ところが7月3日の熱海土石流(泥流)に含まれる物質を観察すると、安山岩質の岩や土砂は含まれず、全く別の種類の石やタイルの破片、コンクリ片等から成ります。これは、土石流で流れた泥は伊豆山の岩石由来ではなく、別の物質であることを示唆します。
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土石流の泥
その土石流は沢の源頭部に盛り土された残土(建設発生土)に由来することは、①露頭(地山)の土、②盛り土(残土)、③土石流の泥を見比べると明白です。つまり、②が崩れて③になりました。
そんなわけで「熱海の土石流で流れた泥は山の岩石に由来する土砂ではなく沢の源頭部に盛られた残土である」という仮説の答えが出ました。次は泥をふるいにかけてどんな石やゴミが出るか調べるとか、泥流が傾斜12度の平斜面をどう滑るかについて検討しますかね」

さて下の写真は和歌山県のものですが、ソーラーパネルの下には防草シートが敷きつめられています。
これは農業などでもハウス周辺に用いられる頑丈で分厚いシートです。

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このシートは草が生い茂るのを防ぐ目的で張られるものですが、斜面でこのような大規模なシートを貼ってしまうと、ただでさえ森林を伐採して保水力が弱まっている土地が、いっそう軟弱化されるだけではなく、排水される雨を逃がす水みちが影響を受けます。
熱海の場合もソーラー施設に防草シートがびっしり敷きつめられていたことが、ドローンで確認されています。
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またドローンから撮影した映像には、ソーラー施設の直下に異様なひび割れ(クラック)が生じているのが観察できます。
これがどのような働きをしたのかは、現地調査を待たねばなりませんが、
関西大学社会安全学部・小山倫史教授はこのように述べています。

「ソーラーパネルが載っている山の崩壊が起きた側のほうですよね。おそらく、崩落に山の斜面が引きずられるように引っ張られて、クラック(亀裂)が入ったというように想像されます。

クラック(亀裂)から水が入るというのが、一番我々が懸念するところで、崩壊が起こって土砂が流出したとはいえ、不安定な土塊がまだ残っていると思いますので、そういった土塊が少量の雨で崩壊するということは考えられます」
【現地報告】続報・熱海大規模土石流 捜索続く 被害甚大化の理由は?新たな崩落の恐れも(読売テレビ)
小山氏は、この亀裂が広がっている部分から雨が流れ込むことで、崩落せずに残った部分の不安定さが増し、新たな崩落が起きる二次災害を警告していますが、この斜面崩落の原因とからみあっている可能性も出てきました。
一方、先ほど崩落した土砂を検証した地質学者A. Ennyu 氏はこれについて
熱海のメガソーラー脇に亀裂とかで昨日テレビに出演していたどっかの大学の人が土砂崩れの影響とかブルーシートで応急処置をとか言ってましたが、これ単に雨水に侵食されて削られた溝で、亀裂ではありません。盛り土崩壊とは何の関係もありません。
という否定的見解を述べています。
私には、どちらが正しいのか断定できる知見をもちません。
いずれにしても行方不明者の創作が急務ですから、その後の現地の専門家による調査を待たねばならないでしょう。

 

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コメント

 直接原因となった当該地が保安林だったとは、ちょっとびっくりです。
私は、自由林だったから事業者が伐採でき、違法に産廃を埋め立てたり盛土出来たりしものだと考えていて、保安林指定しない行政に無作為責任があると考えていました。

一般の人間には保安林の解除はほぼ不可能です。
まして保安林として指定されてあって、それを無視して開発を行うのなら逮捕まで行きます。

県は何らかの理由(政治的な理由か?)で解除の許可をし、そこに何らかの条件を付したものでしょうか。それすらも無視出来ると思ったのは、圧力団体が絡んでいた、というオチか?
いずれにしても、注意だけで放置した県の責任は重大です。

ネットでは土地所有者の名前(登記簿謄本の写真等)も、開発者やソーラー事業者の実名も出てきています。これだけの命が失われておりながら、メディアえはまだのよう。空恐ろしい感じがします。

なお、ギガソーラーの敷地も、盛土をした直接的な原因となった所有者と同一です。ソーラー敷地は保安林指定解除が特例的に可能ですが、これも見直されるべきです。国の再エネ方針はとん挫しますが、危険すぎます。


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