オリピック開会に合わせてチベットに行った習近平
す、すごい、濱田とウルフ!
柔道がこんなに面白いとはおもいませんでした。
試合開始して数秒で寝業とは、すごすぎ。
いや、いままでのコロナ、コロナでクサクサする日常がオリンピックで輝きを取り戻したようです。
オリンピック 柔道 濱田尚里 金メダル 女子78キロ級 | 柔道 | NHKニュース
それを尻目に、ほらほら、やはり出てきた五輪と感染拡大をくっつける煽り。
時事は(「東京五輪に厳しい目」 感染急増で海外メディア」なんて、外国メディアを使ってディスっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bd99881c4c3ef2bc5e1c315de26de2686f4cb16b?tokyo2020
専門家会議なんか「オリンピックの高揚感」を原因に上げています。
おいおい、専門家さんよ、高揚しちゃいかんのか。一般ピープルは部屋に閉じこもって、手酌で酒飲んでりゃ満足なんか、と毒づきたくなります。
統計を踏まえた説得力のある議論を展開できず、こんな国民の「高揚感」すら敵視するような言い方をするようになったら「専門家」もお終いですな。
政府はアストラゼネカを投入するようです。
遅すぎたくらいで、AZなら日本で作っていますから、迅速に接種可能です。
これについては明日書くかもしれません。
黒い雨訴訟の上告断念にしてもそうですが、菅さんは積み残した懸案をどんとん片づけていくつもりのようです。
こういうアグレッブな気持ちになったことは大いに結構。
さて、このオリンピック期間中にも、習近平は大忙しのご様子です。
なんとこの時期にチベットに出かけています。
「訪問は2012年の総書記就任以来初めて。中国軍が進駐しチベットを『解放』したとする1951年から70年に合わせた訪問で、統治の正当性を誇示し、米国などからの人権侵害批判に反論する狙いがあるとみられる。
党トップの総書記の訪問は、90年の江沢民氏以来31年ぶり。習氏は『解放60周年』の11年に国家副主席として訪れたことがある。
中心都市のラサなどを訪問した習氏は『解放から70年で人民の生活は大幅に改善した。中国共産党がなければ、新中国も新チベットもなかったことを実践が証明した。党のチベット政策は完全に正しかった』と自賛。チベット仏教寺院『デプン寺』では、党の指導、社会主義制度、祖国の統一を擁護する寺の取り組みを評価した」(7月24日 時事通信)
中国・習近平 チベットを訪問 2日後に報道 習主席視察西藏林芝
ああ、いやだキナ臭い。
習がチベットに来たのはこれで3回目。98年の最初は福建省知事、2度目は2011年の副首席時代です。
では、なぜこの時期にチベットにでかけたのでしょうか。
たぶんオリンピックの開幕にぶつけておけば、中国国内のニュースはイヤでも習のチベット訪問を1面に持ってきますから、メンツを保てます。
オリンピック開会式には、来ると思われていた孫春蘭副首相(スポーツ行政担当)を訪日させず、選手団長の苟仲文(国家体育総局局長)に格下げすることで、日本に対してのマウンティングした気分になったことでしょう。
また、来年の北京冬季オリンピックをボイコットすると見られる米国・欧州へ先手を打ったとも考えられます。
日本よ、欧米の尻馬に乗ってボイコットするなら、ただじゃおかんぞ、ということです。
日本がボイコットに乗るかどうかは、わかりませんとしかいいようがありません。
二階-公明が権力に居すわっているうちはそうとに難しいでしょうが、米国からも強力な圧力が行くがはずですが、その時に小池がからんでいたらそれで決まり。
今年やった国が来年は反対に回るというのは、ただでさえ難しいですからね。
ところでチベットを選んだのは、ひとつはG7サミットが「対中対策会議」となったことに対する、習なりのリアクションです。
共産党創立100周年がむき出しのプロパガンダだったことに対して、チベット訪問はデモンストレーションです。
いかに内政がうまくいっているのかを、自由主義諸国と党内反習派に見せつけるための政治ショーです。
G7で批判を浴びたのは、南シナ海への露骨な侵略と、香港、ウィグルの奴隷化でした。
ですからこの時期に、中国としてはなにがなんでも「うまくやっている植民地」を見せておく必要があったのです。
変貌するチベット】(下)「脱貧困」奏功も強まる党介入 少数民族優遇
収容所と化したウィグル、民主主義が刈り取られた暗黒の香港と比して、今やチベットは中国の植民地のショールームとなっています。
「習近平指導部が今年末までの実現を目指す「脱貧困」政策ではチベットが最重要の地域。山間部の牧畜民26万人を都市部に移住させ、就業機会も提供した。「経済発展や貧困脱却こそが不満を解消し社会が安定する」と自治区政府当局者。
自治区第2の都市シガツェに新しくできた工場はハダカムギ(青●、●=のぎへんに果)を農民から市場価格より高く買い上げてクッキーなどを製造、就業の場も増やした。ここで働く20代女性は「大学で食品安全検査技術を学んだ。工場が開設されたことで地元で就職できた」と話す。月給は5800元(約9万2300円)で大都市と大差ない。両親は青●(●=のぎへんに果)を工場に売る契約農家という」
【変貌するチベット】(下)「脱貧困」奏功も強まる党介入 少数民族優遇で漢族と軋轢 - SankeiBiz
このように経済発展に力を注ぎ、かたちだけ宗教を保護するふりをして見せたことで、中国は融和的姿勢を見せたと思っています。
一方で漢族を大量移民させることで、チベット族を逆に少数民族化させようとしています。
チベット族は言語を奪われ、宗教を奪われる代わりに腹が一杯になりました。
腹さえくちければ人民は抵抗しない、民主主義なんてコジャレたことをいうのは外国かぶれのインテリだけ。
だから分断しておけばいい。これが中国の人民統治の要諦です。
チベット統治もこの方法を踏襲しています。
流入した貧乏人の漢族よりチベット族をやや待遇をよくしてやることで、彼らがチベット族を敵視するように仕向けました。
チベット族が経済発展の恩恵に預かり、自治政府や警察に取り立てられ、30年前から一人っ子政策が解除されたのに比して、漢族は収入も低く官職につくのも困難です。
彼らが憎むのは、まずチベット族です。
チベット族が少数民族の権利を訴えて立ち上がるとき、それに最も敵対するのが貧乏人の漢族です。
この構図はかつての2009年7月のウルムチ暴動でもあったことですが、ぶつかるのは漢族のならず者とウィグル族で、それが騒乱に拡大すると調停する形をとって武装警察が鎮圧します。
「目撃者らによると、デモ隊は少なくとも1万人に上り、こん棒や刃物などを持ってウルムチ市内を行進。デモ隊の一部は「ウイグル族を襲え」と叫び、ウイグル族の商店を破壊、ウイグル族住民との間で投石も起きた。警官隊はデモ隊を解散させるため催涙ガスを繰り返し発射したが、デモ隊は警察の非常線を一時突破した(時事2009年7月7日)
下の写真はウィグル族を襲撃する漢族です。
関連記事『2009年7月5日、ウルムチで何が起きたのか? 自国民に銃を向けた中国政府』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-fdc3.html
まだチベットではこのようなことは起きていませんが、チベット族が民主化デモを行えば、まず出てくるのはこのような漢族住民だということを頭に置いて下さい。
ウィグルや香港とは違ってチベットでは統治が安定している、ということを内外に示すことができる、と習は考えたのでしょう。
「戦狼」外交による失点続きで世界を敵に回してしまった習にとって、もっとも怖い党内の反習派を押さえ込むには、この内政の安定が鍵なはずです。
ところで、この習のチベット訪問と同時期に、初の米中高官級協議が行われました。
「中国・天津で行われている米中の政府高官協議で中国側は26日、アメリカが中国政府を抑圧していると批判し、制裁や関税を撤廃するよう求めた。
王毅外相は、訪中しているウェンディー・シャーマン国務副長官との協議の中で、米中関係はアメリカが「正しい選択」をするかどうか次第だと述べた。
シャーマン副長官は、アメリカ政府は中国との衝突は望んでいないと話している。
中国はアメリカ政府に対し、ドナルド・トランプ前政権で破壊された米中関係を改善するよう繰り返し求めている。しかしジョー・バイデン米大統領は、人権や制裁などの面では特に、中国に対する厳しい態度を崩していない」(BBC7月21日)
26日、中国・天津で、中国政府と会談を行うシャーマン米国務副長官(左から3人目)=AP 中日新聞
さて習という人物の特徴がなんだかご存じでしょうか。
この男、尊大に振る舞っていますが、今まで外国に行ったことはありません。中国しか知らない胃の中の蛙なのです。
毛沢東もそうでしたが、党内政治で勝ち上がってきただけの人物で、正直、外人が怖い。
外国に行くのはイヤ。外交は国内政治の延長だと思っています。
外交経験もなく、海外の要人とのパイプも知識もまったくなく、国際社会との交流があった政治家はみんな「反腐敗闘争」で粛清してしまったために、いまや残っているのが、楊潔篪(ようけつち)や王毅だけという有り様です。
ほんとうは彼らはがいこくとは揉めたくない。
実は楊潔篪や王毅 彼らはそれが不毛な行為であることを理解してはいるようです。
特に外相の王毅などは、外国メディアがいる時は、面白くもない中国共産党のプロパガンダをがなっても、退出するや手のひらを返したように猫なで声に代わって宥和的になることは有名でした。
彼はひと頃小澤一郎の書生だったという噂がたったくらい日本語がペラペラですし、冗談まじりの会話を自民党幹部と交わしてご機嫌伺いができました。
この東洋的腹芸が効かないのが欧米です。
彼らはブリンケン-楊潔篪会談のように、真正面から議論を挑んできます。
今、欧米政府は、新型コロナの世界的パンデミックを生みだしたのが、他ならぬ「戦う狼」路線だと認識するようになっています。
このふたつは不可分ではないため、中国との交流を遮断し、中国を封じ込め、感染発生とその拡大について責任をとらせようとしています。
それは新型コロナ対策にどどまらず、一帯一路潰しと不可分で行われて来るようになりました。
このような風向きの下で、クイーンエリザベスを中心とする欧州連合艦隊が南シナ海をいままさに通過し、やがて最終寄港地である日本に到着しようとする間際というわけです。
このような状況下で習はチベットに行ったのです。
ということを頭に入れて、話をチベットに戻しましょう。
このような「戦狼」路線が必然的に招いた窮地の習にできることは、いかに支配が安定しているかを内外に見せつけることでした。
そして政治ショーの部隊に選んだのがポタラ宮でした。
習はこのチベット族の聖地で、ダライラマでなく自分を拝ませることで、支配者はいったい誰なのか、おまえらを食わしてやっている主人は誰なのかを目に見える形で明らかにしたかったんでしょう。
ヒトラーのパリ占領のようなもので、実にエグイ。
「ラサにある、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマの居住地だった世界遺産、ポタラ宮などを訪問。少数民族や宗教事情について報告を受け、住民らと交流した」(東京7月23日)
中国・習近平主席、チベット視察 党総書記訪問は30年ぶり:東京新聞
また、チベットの地理的位置はインドとの緩衝地帯です。
版図の最西端に当たり、ヒマラヤ山脈を隔ててインドと国境を接する要衝です。
ここでは去年、銃は使わないものの激しい軍事衝突が起きています。
中国、昨年のインド軍との衝突映像を公開 写真3枚 国際ニュース:AFP
「2020年8月末、インドと中国の緊張関係は、ヒマラヤ山脈の高地での兵士の戦闘につながった。
戦闘は、インドのラダック地方パンゴン湖周辺の係争中の実効支配線沿いで起こり、500人以上の兵士が関与して約3時間続いたと報告されている。
インドは、中国の侵略に対応したものだとし、数日後には特殊作戦部隊がステルス作戦で中国の野営地を押収したと述べた。
この事件は、同じ地域で同様の衝突が起き、インド人兵士20人と中国軍の兵士(人数は不明)が死亡してから2カ月以上が経過した後に起きた。死傷者の数字はまだ報告されていないが、インド人兵士1人が地雷原に入って死亡し、1人が負傷したという」(AFP 2020年3月30日)
驚いたことには、このインド軍部隊には、インドに亡命した多くのチベッタンたちが含まれていたことです。
「それらの兵士はチベット人で構成されるインドの秘密部隊、特別フロンティア部隊(SFF)の一員だった。この件をきっかけに、この秘密部隊は注目を浴びることになった。創設から約60年を経た今、この部隊のメンバーをはじめとする多くのインド在住チベット人が悲願とする「中国への挑戦」を始めている」(AFP前掲)
今回の視察でも、中国南西の四川省県と山岳国境地域とつながる未完成の鉄道の現場を視察したようです。
この鉄道開発の表向きの理由は、チベットの経済発展と観光誘致ですが、もう一つの理由は有事に際して大量の軍隊を院旬でチベット高原に展開するためです。
ロイター通信によると、習が帯同させたのは、中国中央軍事委員会副議長と人民解放軍上級将軍らです。
衣の下のなんとやらというやつでしょう。
習がそんな政治ショーにかまけていたら、河南で人災といわれる大水害が起きてしまいました。
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コメント
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寝技師攻めだるま濱田!凄かったですね!
全部寝技で金メダルって。。
さて、ここぞとばかりに習は動きましたね。王穀はタリバンと会談してアメリカの失敗アピール!
じゃあ大英帝国もソ連もアメリカもどうにも出来なかった蟻地獄アフガンはチャイナにお任せってことで。。これまでどこの覇権国家も支配できなかった魔境は中国にやらせよう。
投稿: 山形 | 2021年7月30日 (金) 06時49分
北朝鮮の農業あたりからずっと読んでいます。いつも内容の濃い記事を上げて頂き、楽しく読ませていただいております。
これからも頑張って下さい。(ただの応援メッセージですのでコメント欄には反映していただかなくてOKです 気の聞いたことは言えないので……)市井の知識人とはあなたのような方なんですね。
投稿: 関西人 | 2021年7月30日 (金) 07時50分
>いや、いままでのコロナ、コロナでクサクサする日常がオリンピックで輝きを取り戻したようです。
ホント、毎日が楽しくなりました。頑張って勝つことが大事であり、これに私たちも勇気をもらいます。コロナ被害が拡大しなければ、なおイイのだが。
>今回の視察でも、中国南西の四川省県と山岳国境地域とつながる未完成の鉄道の現場を視察したようです。
美しいチベットの平原走る列車、イイですね。 しかし、中国さん、いいことばかりではないですよ。あまりに領土を拡大すると、その管理は大変ではないでしょうか。共産党のイデオロギーをみんなが信じられるのか、それは大変なことではないか。
投稿: ueyonabaru | 2021年7月30日 (金) 13時03分
バイデンは何だかパッとしませんね。
この期に及んでも「私は習と最も近い指導者だ」とか、「一緒に旅して、長時間話した」などど、天津の目的が不調に終わった米中首脳会談への調整にあった事を隠そうともしません。
離中を強硬に進める議会や軍、関係行政部門との温度差が著しいです。
もしバイデンがのぞむように米中首脳会談をやったなら、そこが対中融和への潮目となりそうで心配です。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2021年7月30日 (金) 17時30分