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2021年8月18日 (水)

スリーピージョーはやっぱりスリーピーだった

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バイデンはまだのんびりと夏休みをとっています。のんきなもんです。
カブール空港では、かつてのサイゴン空港のように、脱出を求める人が群がり大混乱しています。
空港内部も大混乱、空港外には唯一の脱出路となった空港に入れない人たちが空港の壁をよじ登って滑走路にまで進入しようとして、警備の米軍から威嚇射撃を受ける始末です。
米軍輸送機にしがみつき、空から落ちた人まででる騒ぎです。

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カブール空港で大混乱 タリバンを逃れようと飛行機にしがみつく人たち

米国に協力してきた人々や自由を求める人たちは、残れば処刑される危険があるために必死です。
そんなときに、タリバンが対空ミサイルを中国に要求したというニュースが流れました。

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www.fnn.jp

「タリバンは、9月にアフガニスタンから米軍が完全に撤退する前に、中国から中距離地対空ミサイル(SAM)の供給を得るために必死だ。アフガニスタンのタリバン共同創設者ムラー・アブドゥル・ガーニ・バラダ(別名ムラー・バラダー)は、水曜日に天津で開かれた代表団レベルの会合で、中国の王毅外相の前にSAMを手に入れたいという願望を出した。
タリバン代表団は、タリバンからバラダと中国側のイが率いる代表団間会議中に中国からSAMを要求した」と彼らは言った」(パイオニア2021年8月1日 )
タリバンは中国から空中ミサイルを求める (dailypioneer.com)

そんなもんを、今タリバンが手にしたら、脱出する民間機や軍用機の首ねっこを握られることになります。
タリバンがもう脱出は認めないと思えば、対空ミサイルを一発撃てばいいだけなのですから。
かつてのソ連軍が、米国が供与したスティンガー対空ミサイルで敗北に追い込まれたことをお忘れなきように。

私はこの7月のタリバン-中国会談で、中国は今後の支援だけではなく、タリバンのカブール進撃を容認したと考えています。
よく専門家は、カブール政権が腐敗していたとか、政府軍の将軍が腐り切っていたなどといいますが、それは今に始まったことではありません。
この20年間一度としてクリーンだった時期などなかったのですから、なぜ今になって一気に崩壊したのかという理由にはなりません。
一気に崩壊したのは、8月中の撤退スケジュールに固執する大統領がいたこと、バイデンならばなんの報復も受けずにカブール占領を果たせるという読みがあり、かつそれを精神的物的に後押しする中国という後ろ楯が存在したからです。

今や米国にとって軟着陸するチャンスは完全に失われました。
ひたすら損害を小さくするダメージコントロールの時期です。
米国が道義的に最優先するべきは、自分の国の民間人や政府関係者の脱出もさることながら、米国に協力してきたアフガン人を国外脱出させることです。
同盟国か破れたら、さっさと見捨てて「夜逃げのように」逃げた。
これでは、その後の米国の信用に関わります。
かつてのベトナムにおける敗北は米国に大きな威信の低下を招きましたが、可能な限り米国協力者を脱出させ、その後に米国内に引き受けしたことで多少なりとも救われています。

すべての国境検問所をタリバンが押さえたために、残るはカブールからの空路だけとなってしまいました。
アフガンは内陸国ですから、この空港の安全と空路の確保が生命線です。
今、米軍は緊急展開していますが、一国でやるべきことではありません。
なぜなら、一国でやってしまえば、その後もまた一国で背負わねばならないからです。
こういうときこそバイデンが大好きな「同盟」の力を使わない手はありません。

そのためには、米国は大統領自らが声を上げて、アフガン治安維持に出兵したNATO諸国(ISAF)と連携して、大空輸作戦を展開すべきです。
必要なことは、自由主義陣営が共同でアフガンの民主政府崩壊の後始末を支援したという実績なのです。
同じ理由で、今後大量に発生するとみられるアフガン難民についても、いままでのシリアなどと違って等閑視できないはずです
とうぜん、米国内にもアフガン難民を大量に引き受けねばなりません。

フランスのマクロン大統領は16日のテレビ演説で、アフガニスタンの不安化で「欧州に向けて大量に移民が流出する危険がある」と述べ、対応の必要性を訴えた。欧州各国は、アフガンでの活動を支えた通訳、協力者の亡命受け入れを進める一方、2015年にシリア内戦で経験した移民危機の再来を警戒している。
マクロン氏は、「アフガンにはテロ集団がおり、不安な状況を利用しようとしている」と警告。大量移民は犯罪の温床になりうると指摘し、「欧州だけでは結果を引き受けられない」と国際社会の協調を求めた」(産経8月17日)
EU、難民問題協議へ アフガンめぐり危機再来警戒(産経新聞) - Yahoo!ニュース 

空港と空路の安全確保、避難民の保護と脱出支援、その輸送、そして難民の今後の処置まで含めて包括的に緊急の討議をせねばなりません。
これは国務長官や国防長官に任せきりにしていいことではなく、この地域全体の今後を決定する重大なことです。
そのために米国が主導してボスト・カブール陥落の構想を打ち出さねばならないのですが、こんな時に夏休みもないものです。
まさにスリーピージョーそのもの。

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タリバンが米中の力関係を逆転させる(遠藤誉)

そもそも米国インテリジェンス機関はかなり前から、予想を超えた速度でタリバンが進撃するとホワイトハウスに警告を鳴らしていました。

米軍撤退が進むアフガニスタンをめぐり、ロイター通信などは11日、反政府勢力タリバーンが90日以内に首都カブールを陥落させる恐れがあるとの米情報機関の見立てを報じた。情勢は悪化する一方だが、バイデン政権は8月末までの撤退方針を変えない姿勢を改めて示した」(朝日8月12日)
アフガン首都「90日以内」に陥落か 米情報機関見立て:朝日新聞デジタル (asahi.com)

バイデンは聞く耳を持たず、予定通りの撤収に固執しました。 
18日まで夏休みで戻らないと公言していたそうで、サキ報道官も夏休み中でした。

国防総省のカービー報道官は11日、「治安状況の悪化には留意している」としつつも、予定通り8月末の期限に向けて撤退を進める意向を示した。バイデン大統領も10日、撤退方針に変更があるかを問われると「ノー」と否定し、「私は決断を後悔していない」と判断を変えるつもりがないことを強調した」(朝日前掲)

それが今回の混乱を招いたことは、ブリンケンも認めています。

「米国のブリンケン国務長官は、CNNの番組に出演し、アフガニスタンの反政府勢力タリバーンによる首都カブールへの進攻について、アフガン軍が自国を防衛することができなかったという事実を目の当たりにしていると述べ、「このことが起きたのは、我々が想定したよりも早かった」と述べた」(CNN 2021年8月16日)

予想よりもはるかに早くタリバンがカブールに入城するという警告を情報機関から受け取っても無視し、対応策を立てないまま呆然と状況を追認したあげく、米国を信じたアフガンの人々を置き去りにしようとしている、情けないにもほどがあります。
バイデンはたりばんを過小評価していました。

「バイデン大統領は先月「タリバンは北ベトナム軍ではない。(両者は)能力という意味で比べ物にならない。アフガニスタンのアメリカ大使館の屋上から、人々がヘリコプターで運び出されるのを目にするような状況にはならないだろう。まったく比較にならない」と、タリバンの能力を完全に過小評価していたから最悪だ。自分が起こり得ないと断言していた状況が展開したのだ。しかも、自分たちの想定をはるかに上回る速度で、だ」(朝か香織浴衣8月17日)
アフガン・首都陥落を招いたバイデン政権の大罪【朝香豊の日本再興原論 No64】 - Daily WiLL Online

バイデンが精力的にやっているのは、唯一自分は悪くないという言い訳だけです。

「バイデン米大統領は16日、混乱を受けて批判が強まる中、自身の決定の正当性を訴え、米軍にアフガンの内戦で延々と戦いを続けさせるか、トランプ前大統領が交渉した撤退の合意を実行するか選択しなければならなかったと主張。
国外に脱出したアフガン政府指導部のほか、タリバンと積極的に戦わなかった同国軍を非難した」(ニューズウィーク8月17日)
アフガン空港、死者が出る混乱 バイデン氏は撤退の正当性主張|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 

悪いのはトランプ、負けたのはアフガン政府軍が弱かったからというわけで、そんなことを今さら言ってなにになるのでしょうかね。
現職大統領はあなた、そして今やるべきことは、ひとえに危機管理なのです。
ところがスリーピージョーときたら言い訳だけすると、またバカンスに戻ってしまったのですから、なんともかとも本当に眠い奴。

トランプから「最悪の事態を引き継いだ」とバイデンは言っていますが、そうでしょうか。
トランプも確かに撤退を決定していましたが、それをいかに軟着陸させるのかに心を砕いていました。

「8月14日、バイデン大統領は「私は(大統領)就任に際し、タリバンを軍事的に最強の状態にした前任者の取引を引き継いだ」と述べ、この事態の責任をトランプ前大統領になすりつけたが、これはあまりにもひどい話だ。
 たしかに、米軍のアフガニスタンからの撤退を決めたのは、トランプ前大統領である。だが、トランプ前大統領はタリバンのリーダーであるハイバトゥラ・アクンザダに対して、「もし合意を守らなかったら、どの国も経験したことがないほどの打撃を与えてやる」と警告していた。そしてタリバンが初めて合意を破った時には、その脅しを実行に移して懲罰的な空爆も行っている。それ以来、タリバンはトランプ政権に恐れをなして、米兵は一人たりとも殺されなくなったのは有名な話だ」(朝香織前掲)

おそらくトランプならば、タリバンと幾重にも合意を重ねて縛った上で、その担保として厳重な軍事的備えを残したまま粛々と撤収したことでしょう。

「トランプ前大統領は米軍撤退を決めた後も、バグラム空軍基地に米軍の戦闘機と軍用ドローンをそのまま残し、タリバンの動きを監視するために用いていた。ならず者たちに対して軍事的な脅しが必要であることを、トランプ前大統領は理解していたのである」(朝香前掲)

夜逃げのように撤退してしまった、どこぞの大統領とは違います。
中国が大口を開けて笑っているでしょう。
中国は明瞭に理解したはずです。こいつは使えない。だから誰よりも頼もしい味方だ、と。
それにしても部下たちが懸命のダメージコントロールをしている真っ最中に、またプールサイドに戻る大統領がいるとは。

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アフガン空港、死者が出る混乱 バイデン氏は撤退の正当性主張 ...

さすがのバイデン贔屓のCNNも批判しています。

「戦争終了時に展開するこの大混乱のシーンは、ベトナム戦争終結時の1975年にサイゴンが陥落した際の風景を想起させる。 バイデン氏が今年初めに撤退を検討した際に悩まされたシーンであり、今後バイデン氏につきまとうのは確実とみられる。
すでに一部の議員からは政権に対して、どうして情報機関が現地の状況についてこれほどまでに判断を誤ったのかや、米国人や味方の避難に関するもっとしっかりとした危機管理計画が定められていなかった理由について、より多くの情報を求める声が出ている。 米国を支援したアフガン人の通訳の避難などにも質問が飛んでいる。
バイデン氏はキャンプデービッドでもワシントンと同様の報告を受けられるが、危機の際にワシントンを離れている大統領の見え方を気にする当局者もいる」(CNN 2021年8月16日)

かくして今回の一件は、バイデン政権の危機管理能力の欠落を象徴するものとなりました。
やはりこの人物は大統領の椅子などに座らせてはならなかった人物だったようです。

 

 

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コメント

ifの話しをしても仕方がないのですが、トランプだったらどうしたのかなぁと思います。

またCNNが少々苛立っているようですが、きっと、それを嘲る人たちもでて、それに対しての反発とか、不毛なやりとりが始まるのかもとか懸念します。

この事態の直前に「自分の興味のない人の命は軽い」と指摘して、非難轟々された方がいましたが、現実、アフガンの人たちの命は軽く扱われているわけで、避難轟々した人たちはそれについてはほとんど黙っているのを見るのと同じ気持ちです。

現地で携帯対空ミサイルがいつ飛んでくるかわからない中、行き来されているパイロットの勇気には頭が下がります。

一方でタリバンも、見る限りかつてほど過激な雰囲気では今の所見えません。

元政府高官らの米軍を苛立たせた戦争犯罪報道なんか見ると、もしかしたら見せかけの民主主義よりタリバンの方がまともな統治をするんではないかと淡い期待も寄せます。

きっとバイデンもそう願っているのでしょうけれど。年も年だけに塞翁が馬の気分なのやも。

個人的にはバイデンだろうがトランプだろうが結果はさして変わってないと思っています。
米軍が撤退を決定した時ガニ政権はほぼ蚊帳の外状態でしたし、その最後も国民を守る事もなく密かに国外へトンズラするという有り様をみればいかにこの政権が国を守る気が無かったかを証明しています。
下手に道路整備を行ったおかげで侵攻が早まった可能性もあります。

いまのところタリバンは国際的に自治を認めてもらうために表面上ではイイ子ちゃんを演じる必要があるので、その間に米国関係者をはじめ逃げたい人はさっさと逃げましょうというところでしょうか。
(おそらく猶予は長くても1ヶ月くらいだとおもわれます)
一部の金持ちや帰る国がある人はともかく一般のアフガニスタン国民は逃げた所で難民化するのは確実なので彼らをどう受け入れるかを話し合っている間にタイムリミットが来て悲惨な結末になりそうですが。

8月16日付ニューヨーク・ポストによると。
https://nypost.com/2021/08/16/taliban-leader-was-freed-from-guantanamo-in-2014-swap-by-obama/

長記事の前半を一部訳・引用開始〜
2014年にオバマ-バイデン政権が、1名のアメリカ陸軍脱走兵の身柄と引き換えに、5名のタリバン指導者をグアンタナモから解放した時から、アフガンで問題は起きると保証されていたようなもの
実際、解放された彼らは先日のカブール略奪をやってのけられた
彼らは解放直後からアフガンに戻ってアメリカと戦うことを公言していたが、オバマ-バイデン政権は諜報機関が上げる報告に耳目を塞いだ
あの時解放された者たちはついにはタリバンの代表者として西欧諸国に認められ、そのうちの一人は、今年初めに行われたアメリカ軍撤退の最終条件交渉のテーブルにいた
あのアフガンの政治体制変換の首謀者は、解放するには危険すぎる者とペンタゴンが分類したにもかかわらず、あの時オバマ-バイデン政権が解放した者であった
グアンタナモで自責や更生をなんら示さなかった者をどうして信じるのか。
アメリカが撤退すればアフガンで問題を起こさないという約束が破られたことは、カンダハルやカブールが示している
〜一部訳・引用終了

これは、足掛け7年にわたる無能の証なのか、何か裏があるということなのか。
かくして、CNNによれば、只今バイデン政権内で責任押し付け合いの内輪揉め中だと。
https://www.cnn.com/2021/08/17/politics/biden-afghanistan-blame-shifting/index.html

揉めるのは悪いことではないです。
が、揉め方カタの付け方によっては、弱りゆく合衆国。
やり過ぎて最後は自分でダメになるのを選ぶ中共の話とは別に、それはそれで惨状です。
どんな政治体制であれ、世界は集団安全保障無しには立ち行かないのですから、我が国我が身を振り返って、同盟を尊重しながら自分でしっかり立てないと、騙し騙され、梯子を外し外され、'You go,we go'=「一蓮托生」する価値判断を見誤る確率が上がるなぁと考えます。

 バイデンは批判をかわすためにトランプがした「2020年合意を保護に出来なかった」として言い訳していますが、彼は問題を決定的に取り違えています。
アフガンからの撤退は米国民のコンセンサスがあっての事で、それとは別に今回のドタバタが生じた事がバイデンの行政無能から生じたバイデンの政治責任です。

トランプは四つの条件を付けながら、その進捗を互いに確認しつつ2021年5月末までに撤退すると合意したのです。バイデンは撤退するかどうか期限を越えて決めかねていたゆえに、トランプ政権が合意した条件を相互に確認したり、省みることも一切なく期限を延長してタリバン側の不信を買い、あげくに無条件撤退としてしまいました。
ゆえにアルカイダがアフガンで復権した場合、バイデンの責任は重いでしょう。

また、段階を踏みながらせずに撤退が唐突であった事が、どれだけ混乱を招いたか。その事によってバイデンの米国に期待した民主派のアフガン国民が切り捨てられ、彼らの今後の運命に暗い影を落とす事になりました。

件のバイデン会見のあった時点で、未脱出のアフガン在米国人はまだ一万人以上ありました。にもかかわらず、会見を切り上げた直後にまた山荘でのバカンスに戻るなどは、とても民主主義のリーダーたる米国の大統領のする事ではありません。

保護に出来なかった。 ×

反故に出来なかった 〇

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