河南省大水害・中国の易姓革命のガスは溜まる一方です
今、習近平はまったく余裕ナッシング。
せっかくチベットまで遠路でかけて内政が順調なことを誇示したと思えば、河南省で空前の大水害ですべてが台無しです。
それもこともあろうに共産党100周年ですぞ。
習は、よりによって記念日直後に、河南大水害なんか出しやがって、とそこら中のものを蹴飛ばしたくなったことでありましょう。
なぜなら、唯物論者を自認している習はそう思いたくはないでしょうが、多くの中国人はこれを易姓革命の天命と考えるからです。
易姓革命とは、徳がない指導者が権力に就くとき、天がそれを罰して起こす宮廷革命のことですが、日本人にはご冗談をですが、中国人にとっては冗談事ではありません。
中国は上海のピカピカの摩天楼など見ていてはわかりません。
中国人の大部分が住む世界は、今なお古いザーサイ瓶のようなものなのです。中はドロドロ、底は見えない。
そこでは中国共産党すら土俗宗教化して受け入れられています。
下の写真は先日もご紹介しましたが、今でも地方の農村に行けば、習はご利益を生む「神」として祭られていることを示しています。
その世界ではいまなお個人崇拝が生きており、習は毛沢東と並んで拝まれる土俗的「神」なのです。
「天は己に成り代わって王朝に地上を治めさせるが、徳を失った現在の王朝に天が見切りをつけたとき、革命(天命を革める)が起きるとされた。それを悟って、君主(天子、即ち天の子)が自ら位を譲るのを禅譲、武力によって追放されることを放伐といった」(wiki)
この易姓革命論に従えば、武漢から世界パンデミックを引き起し、河南大水害を引き起こしたような男は「放伐」されねばならないと、天がお命じになるだろうということになります。
河南大水害は今なお死亡者数すら明確にならない様子で(いつものことですが)、南の大水害の死者は公式発表で27日の段階で71人、しかし市民はそんな数はまるで信用していません。
おそらくはほんとうはその10倍、いや100倍の死者が隠蔽されているのではないか、という声のほうが一般的です。
そりゃそうだ。あれだけ水没している農村部が大量に出て、しかも、河南省全体で150県市区で1300万人以上が被災しているっていうのに71人はありえません。
しかもこういう時の中国当局は、中央からそう命じられなくとも自動的に完全な報道統制を敷いてしまいます。
現場を封鎖し、外国メディアには取材を許さず、国内メディアは報道規制をするので、かえって疑惑が拡がっていきます。
惨憺たる現状は昔と違い、今は微博(ツイッター)でたちまち拡散していきます。
武漢のCOVID-19感染爆発の時と同じ構造です。
皮肉にも、一般ピープルは隠すから現れると思います。
権力がひたすら隠蔽しているからこそ、そこにこそ真実があると思うのです。
そして一端ヒトの口の端に登った真実のかけらは、たちまち増殖して奇怪なものに姿を変えていきます。
それは真実そのものではありませんが、真実のまがうことのない一部なのです。
全体主義国家というのは常にそうやって真実を隠す通すことで秩序を維持しようとし、しかし隠すことによってかえって統治者の徳を疑わしめ、易姓革命 のエネルギーをため込んでいくというわけです。
中国、鄭州市の長さ4kmのトンネルが5分で冠水、6000人死亡
この河南省大水害で、人々が目の当たりにしてしまった光景は、上の写真の河南省鄭州市の長さ4kmのトンネルの瞬間的水没です。
わずか5分で冠水し、6000人が死亡という情報が中国のSNSで拡散し、さらには深夜にトレーラーが遺体を運び出している動画も出回りました。
「北京-広州北路トンネルは、鄭州市の南北を貫く交通の要所であり、本線は全長1835メートル、トンネルの高さは6メートルです。 本土メディアによると、7月20日午後、約30万立方メートルの水がトンネルを満タンにし、3時間も経たないうちに浸水した。
「7月20日15時~16時頃、各トンネルの入り口が次々と閉鎖されました」と、鄭州市都市トンネル総合管理保全センターの責任者は語った。 当時、道路は水が溜まり始めており、トンネル内にはまだなかった。 入り口に分離杭、ガードレールを設置し、車両が入るのを防ぎ、LED大画面も「トンネルが閉じている、迂回してください」と合図した。 同時に、雨水の逆流を防ぐために、入口と出口に遮水パネルが設置した」
(ラジオ・フリー・アジア原文中国語)
https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/shehui/xx-07272021131931.html
つまり当局は、水没しかかっているトンネルに大勢の人が車中に閉じ込められていることを知りながら、遮水板で出口を閉じてしまったということになります。
本来は、直ちに優先して人を避難誘導させるべきところを逆に出入り口を封鎖して閉じ込めたら、もはやこれは人災です。
しかも地下鉄すら浸水する状況で運行させて水没させ、当局発表で14名が亡くなっています。
地下鉄が川のように・・・“車両浸水”胸まで水 中国(2021年7月21日
「河南の暴雨は7月16日から始まり、深刻な洪水、冠水を引き起こした。鄭州は20日、1時間あたりの最大降水量、201.9ミリを記録、地下鉄5号線で14人の死者、京広トンネルで6人の死者を出した。
この死者数は遺体が確認されただけの数で、今後も増えるかもしれない。
多くの大衆は、気象当局が十回も赤色警告(レッドアラート)を出しいるにもかかわらず、なぜ鄭州地下鉄が運行を止めなかったのか、トンネルを閉鎖しなかったのか、なぜ学校を強制休校にしなかったのか、会社を強制休業にしなかったのかなどなどと不満に思っている。7月19日の段階で、鄭州市党委員会書記の徐立毅は「重要交通機関は中断できない」と公言していた」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.391 2021年7月29日)
pelicanmemo 様より引用させていただきました。ありがとうございます。
この上の多数の水没した車の残骸がある写真の場所は特定されていて、鄭州市「京広北路トンネル(京广北路隧道)」南側出口です。
この京広北路トンネルは南北に走るバイパス道で、上下3車、計(計6車線)という幅の広いトンネル道路です。
ほぼ約4キロだと推定されます。
ここに車両がぎっしりと渋滞した状態で水没した場合、1車線あたり約500台~600台、それが上下6車線で3000台~3600台となります。
一台につき最低で1名としても3000人~3600人、おそらく1名ということはありえないでしょうから平均2人とするとその倍の6000人~7200人となります。したがって、あながち6000人死亡説はヨタとはいえないわけです。
逆に、中国当局が死亡者6名などというガセを流すものですから、かえって6000人説が信憑性をもってしまうのです。
「河南の独立系メディア人、朱順忠は26日、実名のSNSで中央に鄭州の書記の更迭を洪水対策の責任能力不足を理由に求める呼びかけを開始。そうしなければ「民の憤りは静まらず、亡霊も安らかにならない」と訴えた。この呼びかけに瞬く間に10万人以上のイイネがついたが、この投稿はすぐに削除された」(福島前掲)
こんなことばかりやっているようだから、易姓革命近し、なのかもしれません。
習皇帝に安らかな夜はないようです。
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先月半ばから洪水続きで同流域のダム2箇所決壊!
さらに、吐水口がどんな造りなのか知らんけど、別のダムも決壊しそうになったからと(普通は越流してもダム本体は壊れないです。球磨川水害がそうでした)堤体上部を爆破とかねえ。。中国ならではのメチャクチャ対応をやりながら、習さんはチベット来訪を優先したわけです。
まあ、彼はそういう選択をしたというだけのこと。思惑なんぞ知りませんけど、自国の民なんぞどうでもいいのだと思っての行動だと言われても仕方が無いでしょうね。
緊急事態に対応する部署があって、そちらで対処するのは筋ですけど、かなりイメージは悪いでしょうね。。
投稿: 山形 | 2021年8月 2日 (月) 07時13分
安い人件費で外国から企業を誘致し、2ケタ台のGDP成長率を維持して、
人民元を刷りまくり、無理なインフラ整備をやった。その付けが回ってきたように思います。各地にゴーストタウンを作ったり、相次ぐ大型倒産。企業の爆発事故や鉱山事故。とにかく経済成長のために無理してきた。
結果的に世界に類を見ない超高齢化社会。いつかは破綻するであろうバブル経済。頻発する災害。患者が出ると町ごと封鎖、隔離するコロナ対策。
無理をすると必ずほころびが出ます。
無理なインフラ投資。強引な経済政策、コロナ対策や外交。すべてにほころびが出始めています。国や人口が多い分ほころびを繕うにも莫大な金と時間がかかるでしょう。
投稿: karakuchi | 2021年8月 2日 (月) 21時11分