• 20250123-031626
  • 20250123-033832
  • 20250123-045507
  • 20250122-034332
  • 20250122-034624
  • 20250121-022941
  • 20250121-025750
  • 20250119-145554
  • 20250119-142345
  • 20250119-142345_20250119150101

« 日曜写真館 ひとかどに祭太鼓の打てるなり | トップページ | WHO武漢調査は中国の強要だった、調査団長の証言 »

2021年8月30日 (月)

なぜ、アフガン邦人救出は「失敗」したのか?

040
まずはアフガン情勢から。本日のテーマは波線の下からです。
米国がISIS-Kの拠点を攻撃したようです。
アフガニスタン・カブール空港への攻撃の脅威が続く中、米中央軍司令部は日本時間28日午前、アフガニスタン国内の過激派勢力「イスラム国(IS)」系組織「IS-K」の「計画者」をドローンで攻撃し、標的を殺害したと発表した。
米中央軍司令部は米東部時間27日夜(日本時間28日午前)、「地平線を越える対テロ作戦をIS-Kの計画者に実施した」と声明を発表。「無人空爆はアフガニスタンのナンガルハール州で行われた。初期の兆候によると、我々は標的を殺害した。市民の被害の報告は得ていない」としている。
ロイター通信は当局筋の話として、中東から出発した「リーパー」ドローンが標的となった「ISーK」の関係者を攻撃したと伝えた。別のIS関係者と車に乗っていたところを爆撃し、2人とも死亡したという」(BBC8 月24日)
この米軍が攻撃したナンガルハール州はアフガン東部でパキスタン国境付近の地域で、今までタリバンの制圧地域と見られていましたが、ISIS-Kも勢力を延ばしていました。


Vum7e3hk

この国境周辺地域は、ISIS-KのKに当たるホライソンを含む、彼らの理念的サンクチュアリ(聖域)です。

52614ea7

ドローンMQ-9を使ったようですが、この目標指示をするために、特殊部隊ユニットが現地に送り込まれているはずで、おそらく複数のユニットが潜入していると見られます。

もちろん、こんなことではISIS-Kは壊滅しませんし、痛くもかゆくもないでしょう。
むしろ米国が向かい合ってくれた、と喜んでいるかもしれません。
やったほうがやらないよりややマシなていどで、撤退計画全体がまちがっているのです。
このような最悪の事態が到来した以上、撤退は一時棚上げにして、一定数の駐留軍を再配置せねばなりませんが、それもカブール市内のタリバンを単独で駆逐せねばならず、ニッチもサッチも行かない状態です。
やりようがないので、無人機でISIS-Kを狙い撃ちするという方法を続けていますが、ならばせめて拠点だった空軍基地だけでも撤収せねばよかったのです。

タリバンがISIS-Kの戦闘員を拘束したという報道も出ており、たぶん全面的なシハード派内部の本格的内部抗争に発展しそうな勢いで、当面この趨勢をみるしかないでしょう。

なお英仏軍も撤退策戦を終了しましたが、まだかなりの数の英仏人、あるいは避難資格を持つアフガン人が残されているようです。

「英国のベン・ウォレス国防相は27日、英メディアに、近く終了する見通しの英国の退避作戦で、アフガニスタンから救出できない人が最大で1250人に上ることを明らかにした。
 内訳は、通訳などで雇用したアフガン人協力者ら800~1100人、英国人が100~150人。ただ、一部は希望してアフガンにとどまっているという。
 英政府は、アフガン人らにビザ発給の手続きなどをしていた空港近くの拠点をすでに閉鎖した。手続きを終えて空港内で待機中の人を国外退避させた後、全ての軍部隊を撤収させる方針だ」(読売8月28日)

まだ多くの外国人と保護対象のアフガン人が残された現状で、到底あと数日で完了するとは思えませんので、ここ数日の米国の動きが注目されます。

                                                  ~~~~~

さて、今回、自衛隊のオペレーションは1名の救出だけに終わってしまいました。
私は、尽力された自衛隊関係者には深い敬意を抱きますが、あえてこれを「失敗」と評します。
失敗の原因はいくつか考えられます。

元海自海将伊藤俊幸氏は、その理由のひとつとして、現地日本大使館の任務放棄をあげています。
今回私たちを呆れさせたのは、現地大使館が避難を求める邦人を置いて、大使以下英軍輸送機で自分たちだけでさっさと逃げてしまったことです。
たぶん本省からの撤退命令が入っていて、その期限どおりに出国せざるを得なかったという言い訳は用意されているでしょうが、本筋を間違えています。

どこで間違えているのか。それは国家は自国民を保護するのが最大の責務だからです。
さまざまな国家機関や自治体が救援に動くことができる国内と違って、海外における戦争や大規模災害にあって、邦人は国家機関しか頼るものがありません。
この任務を担うのが現地大使館です。その大使館が真っ先に逃げ出しては話になりません。

韓国の事例を見ます。
韓国は日本に勝ったと言って喜んでいますが(いちいち日本を引き合いにだすんじゃねぇと思いますが)、、たしかに日本は1名、韓国は380名を避難させることに成功しました。

「韓国政府は道義的責任を全うするために現地人職員と家族の韓国入国を推進してきた」と話した。このうち大多数は職業訓練院や病院などにおける医師やIT専門家、通訳者など専門人材に該当するというのが外交部の説明だ。
彼らの移送のために、16日、カタールに一時撤収していた在アフガン韓国大使館職員は22日、再びアフガン・カブール空港に移動して事前作業に入った。
同時に彼らが無事にカブール空港に到着して移送を開始できるように米国など現地友好国との協議を継続してきた。これに関連して崔次官は「軍輸送機は8月23日、中間寄着地であるパキスタンイスラマバードに到着し、8月24日からカブールとイスラマバードを往復してアフガン人を移送した」と明らかにした」(中央8月25日)

https://news.yahoo.co.jp/articles/22ec05b7983f4542ac4492388da0c15a366f0b1a

韓国軍輸送機がカブールに入ったのは8月23日、わが国は24日ですから、そこに大きな違いはありません。
違いが出たのが現地大使館です。
韓国も16日に、外国輸送機を使ってカタールに大使館員を避難させていました。

たぶんここまでは韓国も日本も同じです。
違うのはここからです。韓国は一回カタールに避難させていた大使館員をカブールに呼び戻し、避難作業にあたらせました。
現地において政権が事実上崩壊しているような事態においてはより危険度が高く、時々刻々状態は悪化するわけですから、その対応の指揮をとるべき司令部が必要で、それが大使館です。

今回なら、アフガン政府がいち早く大統領共々逃亡して消滅するという信じがたい状況で、いわば無政府状態でした。
タリバンが市内各所に勝手に検問所を作ったり、政府関係者や外国協力者を家捜をしている状況で、邦人が頼るべきは外交特権を持つ大使館と職員しかいないのは自明でした。
にもかかわらず、大使館が外国に設置されているのは邦人保護のためであるというう大目的を忘れて、日本大使館員は17日には自分だけ逃げたというわけです。
結局、本来邦人保護のためにあるわけではないJICAが、その任務を全部背負って奮闘しました。
JICA職員が邦人と現地スタップの名簿を作り、ひとりひとり安否を問い合わせ、事務所に集合させ、避難誘導して輸送機に乗せわけです。
この無様を通り越して゛人間としての品位すら疑われる岡田隆大使以下12名の大使館員については、帰国次第しっかりと国民の指弾を受けて頂きましょう。

むしろ問題は自衛隊です。
自衛隊は海外活動において、外務省と緊密に連携することを求められています。
先日、「コブラゴールド」という多国間共同訓練がありましたが、目的の一つに海外紛争時の自国民保護があげられていました。
まさにただ今現在アフガンで起きている状況にどんぴしゃの訓練ですが、その時には在タイ日本大使館と自衛隊が緊密に連携しています。

139259590648545601226

陸上自衛隊の海外「邦人救出」訓練 タイで軍事演習 コブラ・ゴールド

上の写真で避難民役をやっているのが、アジアや中東、アフリカ各地から集められた120名の大使館員たちです。
たぶんアフガン大使館からも行ったんじゃないですか。なにを学んだのやら。
今回、このコブラゴールド演習が想定したよりはるかに深刻な事態がアフガンで起きたわけです。

コブラゴールドでは、大規模地震が起きたという想定でしたが、政府と現地の軍隊は機能を停止しておらず、自衛隊と緊密な協力関係を作ることができました。
一方アフガンでは、これらの前提がすべてないない尽くしでした。
当該の相手国政府たるアフガン政府がない、協力すべきアフガン軍は雲散霧消、そして苦笑することにはわが日本大使館もない、ときています。
するとどうなるのでしょうか。

まず、ハードルは国内にありました。
自衛隊は海外派遣される場合、外務省の要請という御墨付きがいります。
海外派遣が無条件の武力行使につながらないように厳格な要件が定められているからです。
これが先日も記事にしましたが、自衛隊法84条です。

  1.  当該外国の領域の当該保護措置を行う場所において、当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たつており、かつ、戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう)が行われることがないと認められること。
  2.  自衛隊が当該保護措置(武器の使用を含む。)を行うことについて、当該外国の同意があること。
  3.  予想される危険に対応して当該保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うための部隊等と第一号に規定する当該外国の権限ある当局との間の連携及び協力が確保されると見込まれること。

つまり、自衛隊は邦人避難に当たって、①戦闘行為が起きていないこと、②当該国政府の了解③当該国との連携がなければダメだということになります。
すると、このアフガンなどは全部当てはまりません。
①戦闘は起きており、②当該国政府などどこにもなく、したがって③「当該国の了解と連携」などとりたくても取れないからです。
霞が関官僚に聞けば、自衛隊による邦人救出はできましぇん、外国軍の輸送機に乗って勝手に逃げてくださいませ、でオシマイです。
これが今の日本です。

そこで当初政府が考えたのは民間チャーター機でした。

「イスラム原理主義勢力タリバンが実権を掌握したアフガニスタンに残る邦人らの国外退避をめぐり、日本政府は8月上旬から輸送に向けた準備を始めていた。当初は、海外の民間航空機をチャーターして18日にも首都カブール入りさせ、邦人らを運び出す計画だった。ところが、タリバンが各地の主要都市を制圧していくスピードが想定以上に速く、15日にはカブールが陥落した。民間機から自衛隊機の派遣へと作戦変更を余儀なくされた。
政府が自衛隊機の派遣を正式に決めたのは23日だ。同日午前に開いた国家安全保障会議(NSC)での協議をふまえ、岸信夫防衛相が自衛隊に輸送機の派遣を命令した」(産経8月29日)
アフガン退避、民間機から作戦変更 想定以上にタリバン制圧早く(産経新聞)

しかし、崩壊のスピードがはるかに速く断念。
ここで首相と防衛大臣が、責任はオレが取る、これは緊急避難だ、自衛隊機を出せ、と考えたのでしょうね。(そう国民にストレートに言えば支持率が上がるのに)
これが欧米各国より避難機を送ったのが、10日も遅れた最大の原因でした。

次に戦闘の有無については、そもそも危険があるから自衛隊を送るわけです。
より危険だから自衛隊を送るのに、戦闘があるなしを条件にすること自体がナンセンスです。
これはかつてのPKO5原則の流れですが、本来であれば、現地において政権が事実上崩壊しているような事態においてこそ、在外邦人保護が必要であり、そのために自衛隊は訓練を重ねているにもかかわらず、「戦闘がない」を派遣条件にすること自体がズレきっています。

また、各地で大量虐殺を働いてきたタリバンが支配するカブールに派遣する以上、自衛のための武器を携行させねばなりません。
避難する列に襲撃を受けて、おもむろに憲法9条を印籠から取り出し、控えおろ、平和憲法であるぞ、頭が高い、と言ってもパーンと撃たれるだけのことだからです。
しかし自衛隊に自衛用の武器を持たせねば、といっても障害はいくつもあります。
まずこの邦人避難の場合、その武器使用は田上嘉一弁護士(陸上自衛隊三等予備陸佐)によれば、このようなことになります。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tagamiyoshikazu/20210827-00255199

「国民の権利・自由を制限する規制行政(侵害行政)とは異なるため、多くの国において軍隊が実力を行使する行動については法律等で規制を行っておらず、この点が軍隊と警察などの行政機関との根本的な差異となります。
自衛隊の行動には、防衛出動以外にも治安出動や海上警備行動といった警察権の行使としての行動もあるため、その手続・要件・効果などについては法律で規定する必要がありますが、在外邦人保護や在外邦人輸送については、国際法に則って行えば足りるので、国内法で規定しなくても構わないということも十分考えられるのです」(田上前掲)

田上氏は国内と違って海外の邦人保護には国内法を適用することはおかしく、国際法の既定でかまわないとしています。
まったく正論ですが、現実にはこのような割り切り方をせずに、国内の時の政局で決めてしまった5原則やら3原則を持ち出して縛っています。
するととうなるのでしょうか。中途半端になるのです。
今回の1名の邦人だけしか救出出来なかったのは、退避を求める人たちが空港に着いておらず、退避希望者を運び出すことはできなかったためです。
避難を希望する邦人の多くは、空港外の市内のJICA事務所に集まっていましたが、そこまで自衛隊が救出の手を差し伸べることができなかったのです。

「政府は現地で車両を手配し、輸送対象者らの検問突破を試みたが、26日にはカブール空港付近で自爆テロが起きるなど、空港周辺の治安は悪化していった」(産経前掲)

ここで再びなぜかを問いましょう。

それは自衛隊法84条の4の「当該輸送を安全に実施することができると認める」ことが求められるからです。
さらにそれを政治決断で乗り越えたとしても、今度は隊員の武器使用要件が警察官職務執行法第7条に準用されている現実にぶつかります。
正当防衛、緊急避難に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならないとされていることから、派遣隊員が適宜適切に武器使用が出来ず、自身や保護している邦人等を不必要な危険に曝しかねません。
そもそも自衛隊法84条の3には「邦人救出」が明示されていないために、大使館やJICA事務所に避難して動きがとれない人たちがいたとしても、助けに行くことができないのです。
あくまでも「空港に自力でたどり着いた人」だけが救助対象となるにすぎません。

そのため、今回のように奇跡的にあの避難民で塞がれた道路をくぐり抜けて空港にたどりついた人だけを自衛隊輸送機に乗せることができるわけで、空港までのもっとも危険な道程の保護を自衛隊はすることができませんでした。
もちろん自衛隊は外務省と違って、その能力も気概も装備も備えています。
避難誘導隊も設置され輸送用の特殊専用車両もオーストラリアから購入済みです。
しかし今回は部隊は出ましたが、この輸送専用車は投入されませんでした。
なぜなら、自衛隊はカブール市内に行くことをあらかじめ禁じられていたからです。

Sty2002290017f3

自衛隊が邦人保護訓練 タイ中部、米軍と連携確認

私は、この問題を憲法改正論議と絡めるべきではないと思っています。
もちろん占領軍憲法がその源なのは明らかですが、改憲を待っていては国民が死ぬからです。
今後、このアフガン事件に似たことが世界各地で起きるでしょう。
それはテロリズムがタリバンのアフガン制圧で、間違いなく上げ潮期に入ってしまったからです。
ISISは蘇り、各地でテロを働き、その都度大量の避難民が出ます。
不安定そのものの韓国だって、いつどうなるのかわかりません。
鈴置氏が予言するような韓国政府崩壊などになった場合、どうやって邦人を救出するのでしょうか、その救出対象は数万人ですから。
あるいは台湾に中国か進攻したら・・・。

今回のことを教訓にしましょう。

 

※ かき氷に飽きたので、記事のデザインを変えました。

 

 

                                                  

« 日曜写真館 ひとかどに祭太鼓の打てるなり | トップページ | WHO武漢調査は中国の強要だった、調査団長の証言 »

コメント

情報を再整理しておくと、
政府の退避想定数は、邦人数人と、日本大使館で働いていたアフガン人職員ら最大計約500人。
FNNによると27日以降現地に残っている日本人は即日退避を望まない数人。
現代によると(記事内容の是非は横に置いて)6人日本人がまだ居る。(ペシャワール会に日本人が今居ればおそらくこの中にカウント)
であれば、
> 避難を希望する邦人の多くは、空港外の市内のJICA事務所に集まっていましたが、そこまで自衛隊が救出の手を差し伸べることができなかった
というよりは、
バスに乗って避難を始めた退避希望者の大多数が現地スタッフだと思われます。
現地から退避を希望する日本人が、JICAのしんがり数名を残して出国したタイミングで大使館は引いたと想像します。「邦人保護」が大使館の役割だから役目を果たした、と線を引いた。そこから先は自衛隊?って事?
そういう法や行政の建てつけで、
JICAの個人力と人情に丸投げして500人のアフガン人を守らせている現状が間違っています。
現場で顔を見て対応してたら、東電の吉田所長気質の人達だったりしたら、置いて帰れないですよ。
ではどう建てつけを変えるべきか。
紛争が見込まれる地域の大使館には自衛隊から武官を出向させて常駐させ、現地協力者の保護も含めて初動から当たらせる。
コマンドの上下関係もしっかり決めておきお見合い状態にさせない。
思いつくのはこんな感じでしょうか。

中韓や東南アジア諸国で同様の動乱が起きた場合、ストレートに帰国する組以外に残りたい邦人、出たい現地人、が婚姻関係も含めてごった煮になりますので、難題ではありますが、起きていない時に線を引いてくれれば企業や出向者はルール内で行動できるので、経済重視で土台無理な甘いラインは引かないで欲しいと個人的に思います。

 どうも良く分からいのは、邦人・協力者問わずの「現地残留希望者」の実態です。報道でもその肝心な部分が欠如しています。
海外の邦人保護は言うまでもなく、外務省第一の重要任務です。

8/18の自民党外交部会での外務省の説明(レジュメ記載)では、8/17の外務省職員の英軍機によるドバイへの退避について、「アフガニスタンに在留している全ての邦人に個別に意思確認して」、「個別の国際機関・組織に所属している等、個々の事情で残留している方とも意思疎通し」ているので、外務省が在留邦人他を見捨てた事にならないという前提ばなしです。

そうであっても事態は刻一刻と変わるので、脱出希望者が新たに出る可能性がある。その場合は外務省としては8/18時点での考え方として、自分らと同じように同盟国や友好国に頼る方針を強調しています。

しかし、邦人とその現地協力者の数は500人あまり。
そこでそのMAXに対応可能なように、茂木大臣から岸大臣へ要請し、国家安全保障会議をへ、ようやく24日に自衛隊機派遣という事になった。
とまぁ、そういう筋書きです。

しかし、そのような外務省の説明には無理があります。
たとえ自らの身がどうなってもアフガンに残りたい人は仕方ありませんが、外務省職員でさえ早々に退避判断せざるを得ない状況の中、JICAやごく少数を除く国際協力機関勤務の残留邦人が存在する事の意味が分かりません。

特にJICA職員の残留はタリバン政権になっても、引き続き同様の協力をすることを予めコミットしている事になるし、生命と引き換えにして既存の利権に引きずられているようにも見えます。
もっと言えば、広い意味で「人質」として残留させることを容認しているような印象が拭えません。
現地協力者の「見捨て」は言わずもがな、です。

実態は、
引用 〉「退避を求める人たちが空港に着いておらず、退避希望者を運び出すことはできなかった」、「避難を希望する邦人の多くは、空港外の市内のJICA事務所に集まっていましたが、そこまで自衛隊が救出の手を差し伸べることができなかった」と、産経の記事や海外メディアから伝わって来る状況からして、そのように言うより仕方のないものと思います。

なべて外務省都合のスジ書きを主要マスコミも垂れ流し、それを信じ込んでいると何もわからなくなります。


なるほど、では山路さんは6人以外に沢山の日本人がカブールに待機して脱出誘導を待ちながら絶望感に打ちひしがれているのを外務省が隠蔽しているとお考えなのでしょうか。
ない話ではないとは、思います。
でも日本にいる縁者がいずれ黙ってはいないでしょうから、それは政権交代級の大失態となりますね。

ふゆみさん、山路さん。
私は外務省との一件についてはこの記事のテーマにはしていません。
いかんせん、情報が少なすぎます。

現時点でわかっているのは、大使館がカブール空港までの移動手段を確保していなかったことです。
今回は韓国政府のやり方が正しいのです。韓国は25日の段階で、国民と関係者390人全員を出国させましたが、いち早く韓国政府は日本と違っておかしな法的縛りがないぶん直ちに軍輸送機と特殊部隊を現地に向かわせました。
同時期に、現地大使館員は米軍と交渉し、米軍が押さえていたバス6台を別けてもらい、それに米軍人を楯として同上を依頼し、350人を乗せて空港まで運んでいます。
米軍を通したのは、米国 がタリバンと合意を結んでいたことを知っていたからです。

一方、日本大使館は情報収拾を怠り、米軍との共同行動をしませんでした。
当時、カブールで唯一頼りになるのは、同盟国の米国しかいなかったにもかかわらず、です。
そして米軍がカブールでタリバンと撤退に関する協定を結んでいたことを知りませんでした。
タリバンは31日までは米軍を攻撃しないという協定を結んでおり、それを知らなかったら話にもなりません。
要するに、大使館の情報収集が甘かったのです。

だから状況もわからず、やっと出したバスも空港直前で自爆テロが起きて引き返したようです。
米軍と情報の共有をし、今年大では避難バスに同乗を求めること、これが最大のポイントでしたが、それをしなかったのです。
誰が留まり、誰が避難するということも事前に押えていませんでした。
たとえば、故中村哲氏関係者は留まることは確実ですし、JICAも一部は残留するつもりでしたが、それらの人と退避希望者を分別できていたのかはなはだ怪しいものです。当日になってあたふたした印象です。
結果として、大使館員だけ先に逃げるかっこうになったのですが、それはあくまでも結果で、そもそもしっかりした邦人避難のマニュアルがなかったのかとおもうほど稚拙です。
ここまでダメだと、日頃なにをしていたんだと思いたくもなります。

韓国が避難できたのは、日頃からの連絡網の構築、避難訓練、集合場所の確認、米軍との連絡体制の構築などができていたからです。
初めて韓国を褒めた気がしますが、今回は見事でした。
外務省はこれら全部ができていないのですから、失敗して当然です。

失態は確かですが、菅政権だから失敗したのではなく、このような危機管理ができない大使館機能と外務省に大きな問題があるのです。
一気に政権交代うんぬんまで先走らないで下さい。どうせ立憲はこここをついてきますから、こちらまでそれに相乗りすることはありません。

今は冷静に、なぜ自衛隊の救出作戦がうまくいかなかったかについてかんがえましょう。
そしてそれと関連づけて大使館は有事においてどうすべきなのか、そこを考えたほうが建設的です。
現状で台湾有事、韓国有事にはとうてい耐えられない、というのが私の危機感です。
共有して頂ければ幸いです。

> 大使館は有事においてどうすべきなのか、そこを考えたほうが建設的
>現状で台湾有事、韓国有事に耐えられない
同意します。
ですので私は前のコメントに書きましたが、
まずは武官の派遣を増やす事を望みます。
部隊を呼ぶタイミングを早めたい。
青書や白書にトピックが挙がっているような国などへ、有事が起きる前に武官を入れて同盟国軍と情報共有を現地でして初動の歩調を合わせられるようにして欲しいと思っています。
伊藤提督が番組で話していた彼が出向していた時のようなケースにして、武官に権限を追加してやる。
集団安全保障と人道行為と邦人保護をお役所的に縦割りして横を民間に放り外国頼みにするのはこれきりにしたいです。
法改正せずに業務整理ですぐやれるのではないかと思います。

8/1付けのpdf資料によると1名ずつ武官が中東各国に派遣されています。彼らのボリュームを増やすなり大使館との有事前からの連携をもっと密に機動的に改善出来るはずです。

 ふゆみさん、そう食いつかないでくださいよ。(笑)
そもそも我々は在留邦人が何人かも詳らかにわからずにいて、協力者を希望者として全員残留させる事の外務省説明の矛盾を感じなきゃいけないでしょう?

逆にふゆみさんは記事中の、〉「退避を求める人たちが空港に着いておらず、退避希望者を運び出すことはできなかった」、「避難を希望する邦人の多くは、空港外の市内のJICA事務所に集まっていましたが、そこまで自衛隊が救出の手を差し伸べることができなかった」と、言う点が事実かどうかについてどうお考えでしょ?

そういう事実が全くないとすれば、おおむね「失敗はない(自衛隊による救出作戦は失敗していない)」という事にもなりますから、外務省発表のとおりで良く、したがってブログ主様が反省点として踏み込んでも無意味みたいになるんじゃないですか?

 ちょっと脱線してしまって申し訳ないです。
少し前にバイデン政権がタリバンに、脱出したい米国民と協力者の名簿を渡していた事が報道され批判されていましたね。バイデンはそれを否定も肯定もしていません。

 それはある意味においてタリバンを信頼したような行為になるわけですが、そうした部分が外務省にもあって、「日本人やその協力者が傷つけられることはない」という想定でもしていたのかな? とあくまで想像もしてみました。
ただ、それだと先に退避した事とつじつまが合わなくなるのですが。

https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2021C121.html
こういう注意喚起とともに重ねて邦人希望者は出国していると外務省がいう以上、邦人数はこれをベースに私は考えます。
しかし邦人脱出は当たり前で今回のコマンド成功は現地協力者をどれだけ救えるかです。
だから失敗だと考え改善を求めます。
救ったアフガニスタン人をどこに下ろすのかも含めて茂木外相は中東を回って確認していたとは思います。
各国武官達も逐次報告を上げていつでもGOできる準備はしていたはずです。
でもギリギリ間に合わないかも!というタイミングまで待たずに米軍サポートなどのチャンスを韓国のように活かす権限がなかったことが失敗の一因ではないでしょうか。

 私はやはり、外務省の情勢判断ミスだと思います。
それは、米国のそれにならっていたか、依存しすぎていたゆえだと思いました。

韓国同様にバスを20数台連ねて数百人を空港に向かわせながら、26日の空港付近テロで引き返さざるを得なくなりました。(NHKサイトより)
韓国と日本の差はニ日の遅れなので、実質はないように思えます。けれど、欧州諸国も韓国も26日までには任務を終えています。

韓国も欧州諸国も判断は決して米国べったりではなく、韓国には持ち前の機転と敏律さがありました。

日本は当初、「空港までは自前で来てもらう他ない」としていましたが、バス二十数台の手配が可能だったのです。大使館職員がいないぶん、現地情報に疎くならざるを得なかった面も否めないと思います。

2021.8.30 相模吾です。 カブールの早すぎた陥落と、自爆テロが1日早かったことが失敗の原因です。
そして現地大使館が責められるべきは邦人、現地協力者とその家族をカブール陥落時に退避させなかったことだと思います。6月25日にはアフガニスタン全土にテロによる危険レベル4(渡航禁止、即時避難)を発出しておきながら、本省に対して救出要請を出していない。 現地情勢を一番理解してなかったと言われてもしかたない。
 根本的な対策は、国民保護のためなら自衛隊投入をためらわず、全力で支援することと、自衛隊が活動しやすい環境、法整備を直ちにすることだと思います。
アフガンの第2弾はあり得ます。また尖閣では堂々と領海侵犯されていても日本人の意識が自分の身の回りにしか届かない。我々自身が問題だとおもいます。

日本人関係者が、カブール空港までたどり着けなかったのは、自爆テロのせいだけですかね。途中タリバンの検問もあったんですよね。毎日情報が変わりますが昨日になって、タリバンは外国人と他国が渡航を許可したアフガニスタン人については全員の出国を認めると約束した。
ということは、日本人関係者もカブール空港までは行ける。確かにカブール空港は混乱していますが、もし日本人関係者がカブール空港までたどり着いたとして、パキスタンのイスラマバードで待機している自衛隊機はカブール空港まで来てくれるのでしょうか。戦闘地域だから無理なのでしょうか。日本の企業は世界中に社員を派遣しています。今回のような問題はまたどこかで起こります。自国民を救えない自衛隊法はちょっと問題です。難しい条文は抜きにして、海外で命の危険のある日本人を助け出す。安倍総理が改正した安保法案にもそのことは触れていますが、何か消化不良を起こします。

外務省がダメなのは、戦後日本のエリート育成が失敗
しているからで、なにも外務省の大使閣下の連中だけ
が無能なのでは無いですわ。民間企業の海外派遣の
社員も、この頃は韓国や中国の企業にヤラれていて、
苦戦してますわ。

まず、現地の人達と深く親交を結ぶような人材は少な
くて、せまい日本人社会で「早く、日本に帰りてー」と過
ごしている人達が多いのだそう。受験ベンキョーで偉く
なったんで、正解の無い、カット&トライで正解を紡ぎ出
していくような作業は大の苦手ですわ。また、外部チー
ムとの連携作業も下手です、日本人の常識?が通じ
ないガイジンは苦手だから。

それで今回も、あのタイタニックジョークをリアルに演じ
てしまった。他国の皆んなの行動を見てマネしようとして
たら、当然のように最後になってしまい、時間切れにな
ってしまった‥ もちろん、こんな事は外務省やアフガン
の大使館の連中は、絶対にゲロしないでしょうが。

下級国民の私の、いつものルサンチマンであればいい
のですが、本当に日本国を背負っている人達がこんな
体たらくなら、ホント情けないですわ。結果としてたった
1名しか脱出できなかったのは事実だし。ヤクニン得意
の省令とかでも作って、自衛隊を安全で早く効果的に
他国で運用できるよう、改善して欲しいですわ。日本人
は本当にイタイ目に合わないと変われない。コロナでも、
コロナ病床増に1年半ほどかかってて、まだモメてる。

結局、今現在、帰りたくても帰れない邦人て、何人か残っているのでしょうか?

その情報もないのでしょうか?

田中さん。今アフガンに残る邦人は元々タリバンと友好関係にあるとされているペシャワールの会関係と、政府援助関連のJICAのスタッフ数人と見られています。
大部分は外国軍輸送機で退避しているはずです。
残った人たちは自発的に残っていると推測されます。

むしろ問題は日本に協力してきたアフガン現地の人数百名です。
その人たちを含めて政府は「500人規模」と見ていたようです。
彼らの情報も届いていませんが、まだ現地にいると思われます。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 日曜写真館 ひとかどに祭太鼓の打てるなり | トップページ | WHO武漢調査は中国の強要だった、調査団長の証言 »