変えてはまずいものは、外交・安保やエネルギー関連などで、国の基幹に関わりますから、変えてはいけません。
政権が変わるごとに、日米安保やクアッドを出たり入ったり、中国に抱きついたりされしたらえらいことになりますからね。
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国民、特に青年層に圧倒的不人気なレジ袋有料化などはその典型でしょう。
● 2020年7月1日「小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」(平成18年財務・厚生労働・農林水産・経済産業省令第1号)
2019年12月27日改正、有料化義務付け
◎「レジ袋削減にご協力ください!」(経済産業省)
⇒ https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html
https://www.dinsgr.co.jp/sales/resolution/column/attention/74th/
このように「省令」です。省令は各省庁の大臣が発する命令です。
「内閣が制定する政令よりも効力は低く、法律の円滑な運用をはかるために、各省が所管の行政事務について制定する命令です。大臣が署名して官報で公布されます」(山口和史)
https://say-g.com/cabinet-order-ministerial-ordinance-1264
とうぜん、法律ではないので、罰則もありません。
小泉ジュニアは、ずいぶんとお手軽なものを使ったものです。
やるにしても常識的、かつ伝統的な議員法案の手続きを踏んでやればよかったのです。
まずは自民党の心臓部である専門部会にかけて、河野氏風に言えば「ギャギャー」やってもんでもらい、その結論を政調会長に決済をもらって晴れて幹事長から政府に政府に提案されます。
しっかりした法律ではなくただの命令ですから、インスタントに出来る代わりに、次の大臣がこれは評判悪いから止めようと考えれば、これまた逆もまた真なりで、国会にかける必要がありませんので、簡単に元に戻せてしまいます。
もちろん、ジュニア自身が「これで環境問題に関心がもてただろう」なんて言っているように、実ほとんど環境改善に寄与しない廃プラ対策でした。
この現実にはなんの役にも立たないで、実害がある政策としては火力発電所の輸出規制もあります。
レジ袋はさんざんな評判で、今になってオレが決めたんじゃないと言い出しているそうですが、石炭火力発電所輸出規制のほうは手柄だと勘違いしているようで、まるで困った君です。
「幹部職員へのあいさつで小泉氏は、自身が働き掛けて実現した石炭火力発電の輸出政策見直しなどを挙げ、「開かないと思ったドアが開いた。越えられないと思った壁を越えられた」と強調。「これからも山口新大臣の下で闘いは続く」と職員らを鼓舞した」(時事10月5日)
私はいい歳をした大人が、こういうナルシズムに浸っているのが大嫌いです。
こういう現実の改善には無関係で、むしろ足を引っ張っているのにご当人だけは世界の進歩の先駆けとなっているんだ、みたいな気分は、高校生くらいで終りにしていただきたいものです。
問題提起できれば、国民に実害が生じてもいい、むしろその痛みで覚醒するだろうなんて思うのは、運動家特有の独善的なものですから。
上図をみていただければわかるように、同じ石炭火力発電といってもインドや米中のそれと比較するとCO2排出量が4割も少ないので、日本製火力発電所を輸出することで世界のCO2排出量の大幅削減に貢献できます。
じゃんじゃん輸出することが、日本のCO2削減への貢献なのです。
それを頭から火力発電を悪玉と決めつけて、輸出を規制しようというのですから、若殿ご乱心です。
その上にこの人は父親譲りの原発ゼロですから、手がつけられない。
火力大幅削減、再エネ100%、原子力はゼロ、これが河野氏との共通政策ですから、どこかの過激な環境団体のようです。
今後5年の中国の増加量は、日本の年間排出量に匹敵しますから、日本に貢献できる幅は自ずと明らかなのですが。
話をレジ袋に戻しましょう。
レジ袋も似たようなもので、ジュニアはこれを「海洋プラスチックの削減のためだ」と有料化の理由を言っていました。
たしかに世界の環境運動のトレンドとなっています。
環境運動家はこう述べています。
「欧州などのレジ袋規制の主な原動力となってきたのが、海洋環境でのプラスチック量の削減だ。欧州委員会がレジ袋削減策の提案で示したメモにはこう書かれている。「北海に生息する鳥類の94%の胃袋にプラスチックが入っている。レジ袋についてはアオウミガメやアカウミガメ、オサガメ、クロアシアホウドリ、ネズミイルカなどいくつかのの海洋性生物の絶滅危惧種の胃袋で見つかった」、また全体で、「少なくとも267種が絡まったり、飲み込んだりして海洋ゴミで傷ついていたことがわかっている」(イーズ未来共創フォーラム)
https://www.es-inc.jp/graphs/2014/grh_id005307.html
つまりレジ袋を有料化するのは海洋プラスチックを削減するためだ、ということのようです。
ここで運動家たちは海鳥の94%がプラスチックを胃袋に入れているとか、ウミガメの例などを上げています。ちなみに14年間の漂着個体調査において、プラゴミがで死んだウミガメは発見されていないそうです。
飲みこんでも排泄されてしまうので、ウミガメが絶滅危惧種であることとは無関係です。
詳細な調査を見ねばわかりませんが、プロパガンダのような気がします。
https://www.env.go.jp/press/files/jp/111746.pdf
基本原則として、「3R+Renewable (持続可能な資源)」とあり、「リデュース(削減)」、「リユース(再利用)」、「リサイクル」があるそうです。
このリデュースの項に入っているのが「ワンウェイプラスチックの使用削減(レジ袋有料化義務化等の「価値づけ」)です。
目的はレジ袋削減することで、国民にプラスチックゴミを削減するという啓発価値を与えられるからやるのだ、と自分で言ってしまっています。
この実態調査は毎年なされていて、ジュニアが政策決定した時にも前年度のものがあったはずなのに、読まなかったのでしょうか。
・令和元年度海洋ごみ調査の結果について
●環境省 海洋プラゴミ(総量は2~6万トン)中に占めるプラスチックの種類
・漁網・ロープ・・・41.8%
・ブイ ・・・10.7%
・飲料用ボトル・・・7.3%
・カトラリー(ワンウェイのプラ製フォーク・スプーン・ストロー類)」、レジ袋・・・0.5%と0.4%
プラゴミと一括りにするからわかりにくくなるだけで、海洋におけるプラゴミを分類すれば、圧倒的に多いのは漁業関係の漁網・ロープ、ブイなどで、レジ袋などほとんど無視できるものでしかないことがおわかりでしょう。
しかも北海道から沖縄県にわたる19都府県の海岸で確認されたプラスチックゴミ総計13821個中文字が確認できた廃ポリタンクは7割強(10,038個)。
そのうち、韓国語標記のものが7,989個、中国語表記のものが549個でした。
仮に文字が確認できない廃棄物すべてが日本が捨てたものだとしても、85%は中韓が捨てたものなのです。
ですから、本気で海洋プラゴミ対策をやりたいなら、枝葉末節のレジ袋有料化などをしても無駄で、水産庁から厳しい取り締まりを出すしかないのです。
そして中韓にも、同じような海洋プラゴミ対策を迫ることです。
それをしないで、一番やりやすいところからするから国民に不満が溜まるのです。
では、リユースの実態はどうでしょうか。これも調査されています。
2019年度、リデュース率24.8%、リサイクル率85.8%に ―PETボトルリサイクル推進協議会
●日本のプラスチックの利用率実態調査
日本の廃プラ総量は899万トン(プラスチック資源循環利用協会2016年)中
・2019年廃プラスチック総排出量・・・850万t
・有効利用率 ・・・85%
利用協会はこのように述べています。
「プラスチックを使うことはややもすれば環境に悪いものとみられがちですが、上記のとおり廃プラスチックの有効利用により環境負荷削減に多大な貢献しているということをおわかりいただけるのではないでしょうか」(HP前掲)
ちなみに世界のプラスチックは
・日本のプラスチック包装廃棄物有効利用率・・・84.2%
・世界全体平均 ・・・14%
その結果がこの全世界で数百万トンにものぼる海洋プラ廃棄物の漂流ということになったのです。
このように日本は超がつくようなプラゴミリサイクル優等生なのに、その日本で海洋プラゴミの0.5%に過ぎないレジ袋を有料化する意味が私にはさっぱり理解できません。
私は何度も書いてきていますが、為政者はその政策決定に当たってイエスノーの二分法ではなく、その政策をすることによるベネフィット(利益)とリスクを比較衡量して決定して欲しいと言ってきました。
このレジ袋についていえば、ベネフィットは限りなくゼロです。
海洋ゴミの割合は、無視し得るノイズに等しい0.5%ですから、削減の現実的利益は皆無です。
あえて言えば、レジ袋を使い捨てにすることに国民が意識を向け始めた「価値づけ」くらいなものです。
しかしそれすら、プラゴミのリサイクル回収を徹底する意識を持つことのほうがよほど意味があるはずです。
そんなにレジ袋にこだわりたいのなら、プラスチックからバイオマス素材に変えていくなど環境負荷を低減できる方法はいくらでもあったはずですが、対案を吹っ飛ばしていきなり有料化ですから、国民が腹を立てるのです。
一方、リスク(デメリット)といえばうんざりするほどあります。
スーパーのエコバックはそうとう定着してきましたが、コンビニで弁当ひとつ買うのにエコバックをブラ下げて入る人はいないでしょう。
しかも弁当用のレシ袋(茶色のもの)はよくできていて、底にマチがついていて安定する仕掛けなっています。
あれを迂闊にエコパックに突っ込むと、弁当が縦になってチャンプルーと化します。私、やりました。
またある報道では、万引きが4割も増えたというスーパーの声もあるようです。
またコロナ禍の中で、同じものを使い続けるエコバックのほうが、よほど危険なのではないかという疑問も出てきました。
特にコンビニをよく使う若年層のレジ袋有料化に対する不満は極めて強く、かつて青年層から新しいヒーローと目されていたジュニアの評判は、見るも無残にボロボロです。
冗談半分でレジ袋有料化の見直しを公約に掲げるだけで、次の総選挙は勝ったも同然といわれるほど菅内閣の不評政策でした。
ですから悪いことはいいません、即刻こんな愚劣な「省令」はお止めなさい。
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