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2021年10月12日 (火)

高江ヘリパッド紛争、名古屋高裁判決について

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高江ヘリパッド事件にたいして愛知県警が派遣したことを名古高裁で反対運動側勝訴判決が出たようです。
沖タイのまるで闘争そのものに勝ったと言わんばかりの記事です。

沖縄県東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設に愛知県警が機動隊を派遣したのは違法として、隊員の給与など約1億3千万円を当時の県警本部長に賠償させるよう愛知県に求めた住民訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(倉田慎也裁判長)は7日、派遣手続きの違法性を認め、約110万円の賠償を命じた。
 請求棄却の一審判決が変更され、住民側は「逆転勝訴」と評価した。住民側によると、機動隊を派遣した6都府県と派遣された沖縄で住民監査請求や住民訴訟が起きているが、請求が認められたのは初めて。
倉田裁判長は判決理由で、派遣決定が県警本部長の専決で処理された点を問題視。「決定は愛知県公安委員会の実質的意思決定に基づいておらず、違法だと言わざるを得ない」と判断した。派遣隊員の時間外勤務手当分約110万円の損害を当時の愛知県警本部長に賠償させることを愛知県知事に求めた。
 工事が着手された2016年7月22日、現場周辺にあった抗議市民の車両やテントを機動隊員らが撤去した行為は「法的根拠が見当たらない」「違法である可能性が強い」と述べた。沖縄側がそのことを認識しながら派遣を要求したことには「重大な瑕疵(かし)がある」と批判した。
 また、高江周辺で繰り返された警察官による車両検問、抗議行動の撮影は「違法性あるいは相当性については疑問が生じ得る」と疑問視した。
 愛知県警の萩原生之監察官室長は「判決内容を検討した上、今後の対応を決める」とのコメントを出した。沖縄県警は7日中にコメントしなかった」
(沖タイ10月8日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/cd616b77ff4e2fd18ac81054408716c8b42920cf

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機動隊の派遣手続き「違法」 沖縄米軍ヘリパッド工事で高裁判決:朝日

率直な感想をいえば、初めから判決は決まっていたような印象を受けます。
審理以前から裁判官には、この方向に持っていき、ここで落とすという構図があって、事実から遡及するのではなく見込みに沿って証拠を集めたような印象を受けます。
ですから、ひとつひとつ丁寧に当時の高江地区の状況を聴取し、当時高江地区がどのような状況に置かれていたのか、出動した沖縄県警がいかなる苦境に陥ってしまったのか、いかなる理由で全国に応援を求めたのか、その原因はなにかについて完全に捨象されるか、運動側の主張を丸ごと採用してしまっています。
このように法の公平中立性を逸脱し、事実の追及を欠落させ、法律を操って特定の勢力に加担するような裁判官を昔の言葉では「法匪」と呼びます。

さてここで名古屋高裁倉田裁判長が言っていることはふたつあり、ひとつは公安委員会手続き論で、もうひとつは警察が「違法検閲」したということのようです。
まず手続き論ですが、公安委員会を通さずに応援部隊を沖縄県警の応援に送ったのがけしからん、という原告の撃ったりをそのまま踏襲しています。
この議論は前から反対派がよく使ったロジックです。
他都道府県から沖縄県への機動隊派遣に関する質問主意書 仲里利信
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a191015.htm

ここで名古屋高裁が県警を非難しているのは、「専決処分」を県警が使ったことの是非です。
専決処分とは地方自治法の概念です。

「専決処分(せんけつしょぶん)は、本来、議会の議決・決定を経なければならない事柄について、地方公共団体の長が地方自治法(昭和22年法律第67号)の規定に基づいて、議会の議決・決定の前に自ら処理することをいう」(ウィキ)

建前としては愛知県警は地方自治法179条に基づいて公安委員会に可否を問うべきだったのにそれを省いたのはけしからん、と名古屋地裁は言っているのです。

●地方自治法第179条
1 普通地方公共団体の議会が成立しないとき(略)、会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。

今まで、専決権を巡って違法性を問われたケースはいくつかありますが、これらはいずれも自治体首長と議会の関係で起きたもので、県警と公安委員会を巡ってのきたのはたぶん日本で最初だと思われます。
判決は、今回、「公安委員会の実質的意思決定に基づいていない」と言っていますが、その前提として愛知県警が応援に行かねばならないような状況だったのか、それに緊急性があったか否かが問われなければなりません。

下写真は、当時の高江における反対運動をを撮った写真です。
当時過激化した反対運動が高江地区を実力で実効支配していました。
明日にもう少し細かく検証しますが、集団的暴力を振るっていたのは、どちらなのかお分かりになるでしょう。

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出典不明

当時の高江集落のおかれた状況に対して名古屋地裁の判断は丸ごと反対運動側に立っており、まともな法曹が書いたものには読めません。
名古屋地裁にかかると、平和だった高江集落に警官隊が殴り込んで一方的に暴力をふるって流血の修羅場にしたように読めてしまいます。
公平を求められる司法判断にあるまじき偏向で、まっとうな司法判断とはとうてい呼べません。
こんな認識だから、公安委員会の了解という法的建て付けに異常に固執して、毛を吹いて傷を求める見方に陥ります。

そもそも公安委員会の性格自体が、警察活動に対して意志決定をする機関ではありません。
公安委員会とは、このような組織です。

「公安委員会制度は、強い執行力を持つ警察行政について、その政治的中立性を確保し、かつ、運営の独善化を防ぐためには、国民の良識を代表する者が警察の管理を行うことが適切と考えられたため設けられた制度であり、国に 国家公安委員会を置いて警察庁を管理し、都道府県に 都道府県公安委員会を置いて都道府県警察を管理している。また、 国家公安委員会委員長には国務大臣が充てられ、警察の政治的中立性の確保と治安に対する内閣の行政責任の明確化という2つの要請の調和を図っている」
『警察の組織と 公安委員会制度』
https://www.npa.go.jp/hakusyo/h24/honbun/pdf/07_dai1sho.pdf

つまり公安委員会とは、警察活動を「県民の代表が監視する」機関であって、県警が承認をもらわねば動けないような上部機関でもないし、ましてや意志決定をするための組織ではないのです。
実態は私たちが日常的に見ているように、「市民の声」を反映するものではなく、警察機構の一部にすぎません。

「事務局は警察本部庁舎(国家公安委員会も中央合同庁舎第2号館、つまり警察庁)に同居、庶務や事務職員も警察職員なので、制度として中立性や情報の機密が担保されていない。これがために公安委員会に市民からの書類が届く前に都道府県警察職員によって書類の受理遅滞や受理拒否が行われる事態が存在する」(ウィキ)

この「県民の代表が監査する」という表現は自治体公安委員会がよく掲げる理念ですが、教育委員会や農業委員会などに似てGHQの残り香を感じますが、実態は警察の天下り組織か、現職の警察職員が事務局をしているような組織です。
公安委員会がする内容も、デモ申請や免許の受け付けていどにとどまっていて、地裁がいうような県警が緊急に応援に行くような状況の可否を決定するような組織ではありません。

またよくある誤解には、公安委員会と警察を敵対的関係と捉えて、警察が政治的に国に偏らないように監視するのが目的のようにいう人がいますが、それは間違いであって、自治体公安委員会の上部組織である国家公安委員会には国務大臣があてられているように警察機構の一部であり、語弊がある表現ですが、いまやあってもなくてもいいような形骸化した組織にすぎません。

ただし、「公安委員会の権限」の中には建前上「警察庁又は他の都道府県警察に対する警察職員の援助要求」があるために、名古屋地裁はこの権限を拡大解釈して「警察の暴走」に仕立てたようです。
しかし推測ですが、沖縄県警は高江の応援を得るに当たって沖縄県公安委員会を経て国家公安委員会に応援要請をしているはずですから、愛知県公安委員会がなにも知らないはずがありません。
というか、常識的にみれば、国家公安委員会から愛知県警に応援要請が降りて来た場合、これを愛知県公安委員会が拒否できるはずもありません。
だから愛知県警は専決事項として処理したのです。
そのように考えると、仮に応援の可否についての会議を事前に開かなかったといっても、判決がいうような「派遣手続きの違法性」を問われて賠償をせねばならない性格とはとても思えません。

県警はとうぜん上訴するでしょうが、その場合、このような判例があります。

「名古屋高裁昭和55年9月16日判決普通地方公共団体の長がした専決処分に179条1項所定の要件を欠く瑕疵があっても、後に議会の承認があれば右瑕疵は治癒されるとした事例東京高裁平成13年8月27日判決東京都が応訴した訴訟事件に係る和解のすべてを都知事の専決処分とした都議会の議決は、180条1項に違反して無効であるが、この議決が一義的明白に違法であるとはいえないとして、専決処分として和解を成立させた元都知事個人に対する代位請求住民訴訟に基づく損害賠償請求が棄却された事例」(ウィキ)

この平成13年8月の名古屋高裁判決では、前述した179条1項の要件を欠く場合があっても、その後議会の承認があれば「瑕疵は治癒される」としています。
ちなみに、愛知県議会の構成は自民党が過半数を確保していますので、議会が承認さえすれば瑕疵が「治癒」されることも考えられます。

当時の高江の状況については次回に回します。


 

 

 

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コメント

名古屋高等裁判所の倉田慎也裁判長は、本日10月12日付けで定年退官されたようです。

最後だったので、やりたいことをやった感があります。

 10/8の沖タイ・琉球新報とも一面トップの扱いですが、ほとんどの県民や読者の誤解をさそう、いつもの下卑た報道姿勢だと思いました。

と言いますのは、県民にとっては高江に機動隊が派遣された事そのものが違法だったかどうか?にこそ感心があるのであって、原告側(いわゆる市民の連中)の眼目もそこにありました。

しかしながら、その点について地裁・今回の高裁判決いづれとも、原告側の「派遣は必要なかった」との主張は認められていません。
見方を変えれば原告側敗訴です。

一審、二審とも手続きの瑕疵は認めていて、しかし「「違法性」というまではなかった」としたのが一審判決で、「違法性があった」として金員の賠償責任(わずかなものですが)まで認めたのが高裁判決です。

ただし、記事にもあるように「手続き的な瑕疵」というなら、派遣要請の態様は公安をつうじてなされたものです。
この点において判決は「異例、または重要と認められるか否か」の観点に執着しており、二重基準的な判決と考えざるを得ません。

いづれ「権力の行使については抑制的であるべき」との論理からの判決でしょうが、現場の現状がまったく加味されていない判決だったと思います。しかし、この手の裁判にありがちに、いつものように行政側(愛知県警)の主張もまったくの不十分でした。

そんで、現愛知県知事が、あの大村秀章さんときてますんで泣けてき
ますぜ。当の愛知県人に聞いたところでは、「本当は他の人に知事を
まかせてゃいんだけど、対抗馬がおりゃぁーせんでよ」「製造業の県だ
もんで、労組(連合)が強いでね、仕方にゃーでよ」、ということでしたわ。
この裁判に影響が無ければいいんですが・・ 

なんせ、あの「愛知トリエンナーレ」騒動の当人なんで、公道をオキュ
パイする事もゲージュツである、表現の自由だ! とか余計な口出し
をマジでしそうで怖いですわ。その後、逆襲の不正リコール騒動とか
に発展していて、愛知はなかなかオモロイ県ですわ。当知事さんは、
コロナ騒動でもあまり役に立っていないようですが、根強い支持層
があって、ゲルやセクシーのようなキワモノ人気で、なかなか強いん
ですわ。

ホント、影響が無ければいいなぁー

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