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2021年10月25日 (月)

中露艦隊の津軽海峡通過と北極海ルートへの野望

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別にここは安全保障関連のブログではないのですが、こうまで挑発されればしかたがありません。
堂々と中露が覇権主義を隠そうともせずに、日本列島を周回していきました。

 防衛省は23日、津軽海峡の通過が初めて確認された中国ロシアの駆逐艦など計10隻が、鹿児島県・佐多岬と種子島間の大隅海峡を通り、東シナ海に向かったと発表した。中露の艦艇が同時に大隅海峡を航行するのが確認されたのは初めて。
 同省統合幕僚監部によると、中国艦5隻とロシア艦5隻は、18日に津軽海峡を通って日本海から太平洋に出た後、太平洋を南下し、伊豆諸島の須美寿島と鳥島の間を通過。22日に大隅海峡を抜けた。領海には侵入しなかった。
 23日午前には、長崎県・男女群島の南南東約130キロの海域で、中国海軍の駆逐艦がヘリコプターの発着艦を実施したため、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して対応した。防衛省は両国の意図などを分析している」
(読売2021年10月23日)

下の写真のように、沿岸から中露艦隊が大きく見えるような狭い海峡を、そこのけそこのけと言わんばかりに航行しています。
国際海峡ですから合法だとはいえ、ずいぶんとなめられたものです。

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中国とロシアは10月14日から17日にかけて日本海で合同軍事演習をしており、 合わせて10隻という大艦隊で日本海から津軽海峡を抜けて太平洋へ出て日本列島沿いに南下し、大隅海峡が東シナ海に抜けていくという堂々たる示威運動です。

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読売

この両国はよその国を挑発をすることは大好きですが、逆の立場になると逆上するという困った君です。

もし米艦が渤海深く進入し、チンタオの海軍基地前の公海上を航行したら逆上して戦闘機くらいは飛ばしそうですし、ロシアなどは前回クリミア半島付近を航行した英国艦艇に対して、血相を変えて戦闘機まで繰り出しましたっけね。
それも一隻であの過剰反応ですから、10隻の大艦隊でやったらどうなるのでしょうか。
いくら公海上だからといって他国の庭先を大艦隊で通過したりすれば偶発紛争になりかねませんが、この両国は日本に限って絶対に反撃してこないことを知っているのでこんなことをするわけです。

さて今回特徴的だったことは、津軽海峡まで中国艦隊が出ばってきて、ロシアと共同艦隊を組んで見せたことです。
これはなにを意味するのでしょうか。いくつか理由があると思います。

まず中国側の利害から考えてみましょう。
ひとつにかんがえられることは、中国にとってこの津軽海峡が国際海峡であるために、ここを抜けて太平洋に進出する新たなルートとして使えることが可能だということです。
かなり遠回りになりますが、日本海を北上し津軽海峡から抜ければ、晴れて「約束の海」である太平洋の深い大海原が待っています。
ですから中国が、この津軽海峡ルートから戦略原潜を太平洋に進出させたいと考えても少しも不思議ではありません。
ただし問題があります。
この津軽海峡こそ、日本がチョークポイントとして歴史的に押えている狭い海峡だということです。
日本は十重二十重の監視網で日夜警戒に当たっていますから、いかなる艦艇であろうと、日本の監視をくぐり抜けて通過することは不可能です。
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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。ロシア連邦軍東方軍管区広報
またこの北方水域は、ロシアが自分の覇権水域と考えている水域です。
ですから、勝手にこの日本海北方水域からオホーツクにかけて、一札入れてから航行しないと、プーチン親分を激怒させることになります。
今、中露共に世界で数少ない準同盟国なのでここでもめごとを起こしたくはないというのが本音でしょう。
だから共同演習という形をとって、プーチン閣下のメンツを立てて日本海から津軽海峡を通していただけたわけです。
本来は、わが国に事前に通知するくらいの国際常識を持てと思いますが、あいにくこの二国に関しては聞く耳を持ちません。

それはさておき、このオホーツク海に面した水域は世界的にみても特殊な海域です。
というのは、この日本海北端からオホーツクにかけては、冷戦期にはソ連の核戦略の大黒柱である「原潜回廊」だったからです。
その名のとおり、米国を標的とする戦略原潜(SSBN)が外洋に出て行く水路がここを通っていました。
これはソ連の後継国家であるロシアになってもまったく変わりません。
ロシア太平洋艦隊の原潜基地のあるペトロパブロフスク・カムチャツキーから出航すると、必ず国後水道を通過せねばなりません。
国後水道は、国後島と択捉島の間にある水道で、水深が最大で484mと深く、冬でも凍結しないため、ウラジオストクを使用するロシア太平洋艦隊、特に戦略原潜の通り道として重要なのです。 
 
ロシア太平洋艦隊の弾道ミサイル原潜艦隊は、オホーツク海のパトロール海域や、ウラジオストクの修繕施設に入るためには、必ず千島列島を通らねばならないのです。
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上図の説明にもあるように、ウラジオストクからオホーツク海や太平洋に出て行こうとすると、宗谷海峡か津軽海峡という日本の国際海峡を通過するしかありませんでした。
しかし、その大部分は冬期には氷結してしまう上、原潜が潜航したまま通航できる海峡となると、北方領土の国後水道などのルートに限られてしまいます。 
ロシアが軍事面で北方領土にこだわる最大の理由は、この国後水道にあります。 
ただし国後水道も冬は凍結するために潜水艦は潜って通過可能でも水上船舶は通れません。
となると、ロシア太平洋艦隊が母港のウラジオストクからオホーツクや太平洋に出るのは、必然的に2つしかルートがなくなることになります。
それが宗谷海峡と津軽海峡という日本が管理するふたつの国際海峡です。
 「ロシアは、船で中国との国境近くにある東部の重要都市ウラジオストクに行くことを望みます。間宮海峡がダメだとなると、北方領土の択捉島と国後島の間を縫って宗谷海峡を通るか、北海道と青森県のあいだ=津軽海峡を通るかしないと……海路がない。自分の国の港に行くのに、日本を横切る必要が出てくるのです」
佐藤優『温暖化に伴う北極海融解でロシアの脅威が露呈する』
https://www.news-postseven.com/archives/20210210_1632415.html?DETAIL&from=imagepage

さて、視点を変えてみましょう。
地球温暖化でひとりほくほくしている国があります。それがロシアです。
佐藤優氏によれば、理由は三つあります。

ひとつめは、北極海の氷がなくなると北極海を大型船が安価で行き来できるようになり、新たな「北極海航路」が開発されるからです。
今まで人類は南回りの航路しかもちませんでしたが、この北回りルートが出来ると、史上初めて北極海経由のルートが拓かれることになります。
2021年3月に、日本の正栄汽船のタンカーがスエズ運河で座礁した際、ロシア国営エネルギー企業ロスアトムはすぐに、スエズ運河航路の代替ルートとして北極海航路を検討すべきだと主張したのは記憶に新しいことです。
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「南回り航路と違って海賊がいない。寒すぎるから。だから保険料が大幅に安くなる。氷の融解を見越して、今ロシアは北極海全部を『うちの大陸棚だ』と言い始めています。国連海洋法条約により、200海里までの大陸棚は沿岸国が排他的権利を持ちます。カナダが警戒を強めて猛反発しています」(佐藤前掲)
気候変動による氷の減少を受けて、ロシア政府は夏以外でも北極海航路を使っての石油や液化天然ガスLNGの輸出を計画し、これまで北極海航路の開発に多額の投資を行ってきました。
今までヨーロッパから世界の成長センターとなっている東アジア経済圏への海運は、スエズ運河を抜けてインド洋、マラッカ海峡を抜けるという南回りルートしか存在しませんでした。
このルートの難点は紅海が常に中東紛争の舞台になること、そしてマラッカ海峡が海賊の巣だったことにあります。
ところが北極海ルートが現実のものとなると、これが一挙に解消されるために保険料が大幅に引き下げられるでしょうし、なにより戦争に影響されないために航路が安定します。

また距離的にも約半分ていどになります。
たとえば東京湾からヨーロッパの物流拠点のハンブルクに海運をかけたとして、南回りルートだと東京→ハンブルク間は約2万㎞ですが、北極海ルートだとわずか1万3千㎞と6割ていどにまで短縮されます。
船便コストが高止まりしている昨今、これは世界の海運会社にとって福音のはずです。
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いままでこれは絵に描いた餅にすぎませんでしたが、近年急速に現実化し始め、北極の氷の減少に伴って、北極海航路がヨーロッパとロシアを結ぶ最短航路として注目され始めました。 
これに最も魅力を感じているのが、当のロシアを別にすれば中国です。
中国は今まで何回も述べているように、沖縄諸島によって太平洋への出口を日本に塞がれています。 

それにしても、日本列島の地政学的位置が絶妙なことがお分かりでしょうか。
南西では中国の太平洋進出を阻み、東北ではロシアの進出をブロックしているのです。
そのうえに米国は横須賀軍港がなくしては国際戦略が成り立ちません。
ですから、米露中の戦略的要衝がすべて日本列島に集中しているというのが、わが国の特徴です。
まぁ、それに気がつかないのが我が国のご愛嬌ですが。

中国にとって、インド海軍が待ち受けるインド洋や、米海軍が目を光らせる南シナを通らない海運ルートが拓けることは非常に魅力的です。
既に中国は2000年代から艦船をオホーツク海方面に進出させはじめ、2012年には北極観測船「雪龍」がカムチャッカ半島南端を通って北極海に進出し、ロシア以外で初の北極点横断を行いました。


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当のロシアは、気候変動による氷の減少を受けて、ロシア政府は夏以外でも北極海航路を使っての石油や液化天然ガスLNGの輸出を計画し、これまで北極海航路の開発に多額の投資を行ってきました。 

そこでふたつめのロシアが北極海の温暖化を喜ぶ理由ですが、それは天然資源にあります。

この周辺が資源の宝庫であることは分かっていましたが、永久凍土に阻まれて開発が手つかずでした。

「ひとつは、厚い氷に覆われていて手が出せなかった地下資源を開発できることです。ロシアの北極海沿岸は天然ガスがザックザク出てくる。特にヤマル半島は宝庫で、石油でいう中東のクウェートやカタールみたいな場所になる可能性があります」(佐藤前掲)
いまからロシアはこの大陸棚の権利を主張し始めており、カナダと紛争になっています。
 中国は北極資源にも強い関心を持っていて、北極海航路の西側の出口であるアイスランドへの進出を進めています。
今後、この北極海航路を中国は海の一帯一路の重要なルートとしてばかりではなく、資源の共同開発にも乗り出すと考えられています。
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読売

そして三つ目が、前述したとおり安全保障上の理由です。

この中露同盟がうまく進展すれば、中国戦略原潜は津軽海峡を抜けずに北方領土の択捉水道を抜けて太平洋に抜けるルートを通ることができるようになるかもしれません。
オホーツク海に出られれば、そこから北に舵をとって北極海水面下に向かい、ロシア戦略原潜と伝統的な巣を共にする可能性もあります。
これらはロシアの容認がなければ絶対に不可能ですから、今回の共同演習はそのための信頼性醸成の一環だと考えられます。
と言っても、中露の友好関係は常に薄氷でガラスの関係なのですが。
とまれこのような背景で起きたのが、今回の中露艦隊の津軽海峡通過です。

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コメント

 孤立する中国は「初の合同巡回航行」(中共報道官)をつうじて、露との結束を誇示したい意図がミエミエです。
しかし、ロシアは中国と軍事同盟を結ぶつもりなどさらさらなく、プーチンは「NATOと違って、ロシアと中国の関係はお互いの利益に基づいている」と言い、その言に対して記者に聞かれた中共報道官は「同盟に勝る関係」と強弁しています。

プーチンは「中国は台湾を攻撃する必要がない」とも言っていて、その意味は、台湾問題で中共とともに軍事行動に出るつもりなどないと宣言したも同義でしょう。

つまり、米中対立現在時点のロシアは最高のポジションについていて、バイデンからは中国と違い一応国際秩序の内側にいると認められ、ノードストリームⅱのお咎めも事実上解除。トランプ時代より厚遇されています。おまけに天然ガス価額も爆あがりで、ホクホクです。
さらに中共から金を搾り取り、日本の軍備拡張をけん制できれば、万々歳と。私的にはこんな動機かな、と思いました。


うーん、中国はともかくロシアの意図がイマイチ分からないんですが···経済制裁で苦境のロシアとしても北極海航路を抑えることで欧州〜アジアの大物流の利権が得られますね。経済的に膨らみすぎた中国と組むのは逆にリスクもあると思うんですけど。

それにしても舐められたものです!
ロシアはソ連時代からオホーツクでの違法操業を見つければ躊躇いなく機関銃で日本漁船を撃って拿捕するのが当たり前。戦前だったら日本海軍がサケマス漁船を護衛したほどだったんですけど。千島列島が日本領でしたし。
日本はどうですか?尖閣諸島周辺や大和堆で北朝鮮や中国の違法操業をいくらやっても海保が「注意を促す」だけ。
北朝鮮の工作船が東シナ海で逃走したのを追って撃沈したのが日本のEEZ外だったとかでマスコミが政府を批判したり、能登沖事件でも「初の防衛出動」した海自を批判的な論評するばかりの言論人だらけでしたね。
あれからずいぶんと経ちますが、現在は中国の軍事力は数十倍に強化されています。毎年二桁パーセントの予算増加ですから。
かつての北朝鮮の工作艦なんてスピード特化のオンボロ偽装漁船なんてのはカワイイもので、今や中国が堂々と艦隊を組んで津軽海峡を渡り太平洋に至り、宮古海峡ではなくわざわざ九州直近の大隅海峡を通ったというのが「沖縄や南西諸島は中国の海だ」という強いメッセージだと思いますけど。
総選挙の時期に合わせたのは偶然では無いでしょう。
ヤバイです。ジワジワと戦狼外交の一環です。

そういえば中国外務報道官のいつもシタリ顔のオバちゃんが昇進したそうですね。。

一方でロシアでは映画「クナシリ」が作られたり。あれ、監督が暗殺されないかと不安なんですけど···。

2021.10.25 相模吾です。
 かわぐちかいじさんの「空母いぶき」=小学館というシリーズ漫画があります。 国防を真正面から題材にしたシリーズで、北極海航路におけるロシアと自衛艦による戦闘、津軽海峡における自衛隊空母艦隊とロシアとの戦闘が、現在進行中です。今日のブログ内容とシンクロしていておもしろいです。 このなかの日本の総理大臣は女性で、現実的、理性的であり決断力もあります。 現実の日本政府にこれだけ腹の据わった政治家がいるのか寂しくなりました。 21世紀も10年経過、これからの日本のありかたを、進路を戦略的に構築していく時期です。

中露の野望を考えつつ、彼らの行動の事実を見て。
小谷哲男氏のツイート
「中ロ艦隊が日本の海峡を通行するのは許せない!という方向で世論が盛り上がらないことを祈る。それでは中国と同じ。国際法上何の問題もない。平時は監視し、有事に封鎖できればいいだけ。むしろ海自も台湾海峡を通りやすくなった。」
「領海には侵入しなかったとあるので、単縦陣で公海部分を抜けたことがわかる。なお、領海であったとしても無害通行であれば問題なし。台湾海峡も真ん中に広い公海部分がある。これからは海自も遠慮なく通るべき。ロシアに対してはピョートル大帝湾まで挨拶に行くべき」

↑あたくしもこのようなことを考えます。
村野氏しかり小谷氏しかり、(マスコミと違って)事実を正確に捉え、真面目に研究して提言する安全保障・軍事・防衛政策研究者の意見が、米国に比して政府に重く見られないの、なんとかなりませんかねぇ。

先ほどの投稿中 21世紀は10年を経過し、、、、は20年の誤りです。
大変失礼いたしました。

私は、中露は日本の衆院選で立民・共産を応援しに来たんだと思い
ますわ。「お前ら、頑張れ!勝った暁には仲良くしてやるからな」と、
秘密の周波数でエールを交わしたんですわ。さっそく静ぉーか県で
成果を出したことに、私は恐怖しています。

なんか凶暴な野獣が、ぐるりと宅のまわりを通り抜けて行ったのに、
日本国内は「そーなんかぁ、で?」とほとんど反応ありません。それ
で管理人さんもムッとして記事にしたんでしょうが、国内は平和ボケ
してるのは確実ですわ。

マジな話、中露は日本の反応を見に来たんじゃないのか?と推測
しますわ。そらプロの現場の自衛官らは、当然色々なデータ取りを
しているハズですが、日本の一般国民の無関心さは中露に元気を
与えたと思いますわ。とにかく現代の戦争やその前の抑止状態の
維持において、当国民の負けん気は国防の基礎体力そのものと
言っていいですわ。ナポレオンが強かったのも、フランス大革命で
主権国民(いちおう)となり、愛国心が芽生えた国民から徴兵された
軍隊は、周辺王政国の傭兵含むヤル気ナイナイ軍隊より、士気が
抜群に高かったためらしい。その意味で腑抜けの日本人は大丈夫
なんか?と。この国内反応の鈍さは、異常ですわ。

なんやら選挙は、ごく近くまで来て応援してくれた中露軍の努力の
かいあって、自民にお灸をすえてやる勢力が伸びそうですわ。岸田
さんはアレなんで頼りにならないし・・ 今度こそお灸をすえるつもり
が、逆にお灸をすえられるハメにならないことを祈るだけですわ。

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