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2021年10月29日 (金)

行き過ぎた温暖化対策によって引き起こされた石油危機

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ガソリン価格の歯止めがかかりません。7年ぶりの高騰だそうです。
平常ならバレル60ドルを超えると、自然に相場は頭打ちとなって下がって行くものですが、今回に限ってその気配さえ見えないようです。
原油価格のベンチマーク(指標)価格であるWTIは、10月20日の時点で1バレルあたり82ドルを超え、こちらも同じく14年10月以来となりました。
ちなみにWTIは原油先物相場に頻繁に登場する指標のひとつです。

「ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されているWTIの先物のこと。WTIは英語表記「West Texas Intermediate」の略で、米国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油で、欧州産の北海ブレント、中東産のドバイと並ぶ、原油価格の代表的な指標のひとつ。WTI原油先物は、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、原油価格の指標にとどまらず、世界経済の動向を占う重要な経済指標のひとつにもなっています」(三井住友アッセットマネージメント)

現在のWTI原油先物はこのように推移しています。

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WTI原油-ドル/バレル価格-日中足~5年
https://www.pwalker.jp/wtioil.htm

このまま高騰が続けば、原油価格がバレル当たり100ドルという冗談のような価格に達する勢いです。
その場合、円安為替が続いたとしてもガソリン価格は180円/リットルに達する可能性があるようです。

原油価格の高騰は、いわゆる「悪いインフレ」の典型で、モノが売れて景気がよくなって経済が温まっていく「いいインフレ」ではなく、コスト高でモノの価格がつり上がってインフレとなる「悪いインフレ」に直結します。
このモードに入ってしまうと、投資が妨げられ、経営が苦しくなって生活がいっそう苦しくなり、ボディブローのように日本経済を圧迫します。

これはわが国だけではなく、世界が同時にひっかぶっている状況です。
産油国が増産することで、いままでは解決してきましたが、今回に限って産油国の腰が異様に重いのです。
というのは、産油国はCO2対策がこのまま拡大すると読んでおり、うかつに産油量を上げることにきわめて慎重だからです。
そして化石燃料が悪玉扱いされる世界的流れの中で、石油・天然ガス・石炭の開発投資は急減しています。

OPECプラス参加国の中で実際に増産を行えているのはわずかで、多くの国は過去の設備投資の過小投資の影響で割当て産油量さえままならない状況です。
たとえばナイジェリアやアンゴラは、産油施設の老朽化によって、昨年夏から割当量すら達成できない状況に陥っています。
なおOPECプラスとは、サウジアラビア、イランなどの13カ国が加盟するOPEC(石油輸出国機構)以外の、ロシア、カザフスタン、ナイジェリアなどのOPECに加盟しない10カ国で組織する世界の原油生産の半分強を占める産油国の集団のことです。
中東で唯一生産量を上げられる余裕があるのは、皮肉にもイランだけですが、米国の制裁で輸出が出来ない状況です。

従来は原油高騰時の安全装置が米国のシェールガスでした。
ではその頼みの米国のシェールガスはといえば、少し前までは原油価格が上昇に転じればシェールガスが増産されて、原油高騰に歯止めをかけられていたのですが、このシェールオイルも過少投資によってバブルが弾けて次々に設備を閉じている状況です。

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米シェール主要地区の原油生産量(主要7地区合計) 単位:百万バレル/日量
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/30049

トランプはパリ協定から離脱し、炭鉱を保護してきましたが、バイデン政権になって一転して、化石燃料生産に対して制限を加える動きに出ました。
そのために一斉に原油やシェールガス掘削業者らは化石燃料の先行きは暗いという見通しを立てて、設備投資を控えるようになりました。

「(米国のシェールガス)掘削済井戸数は、リグ(掘削機)を使って掘られた井戸の数、仕上げ済井戸数は、掘られた井戸に対して水と砂と少量の化学物質を高圧で注入したり、坑井の末端を破砕したりする、原油生産を開始するために必要な最終的な作業(仕上げ)が施された井戸の数、です。 これらの井戸の数が増えていないことは、この地区で新規開発が低迷していることを意味します。この点が米シェール全体の原油生産量が減少している、主な要因とみられます」(吉田哲2021年12月21日)https://media.rakuten-sec.net/articles/-/30049

 

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米シェール最主要地区(パーミアン)の掘削済・仕上げ済井戸数と原油価格
同上

このように今、世界で起きているのは、CO2の過激な削減要求による人工的な原油不足なのです。
一方、唯一ロシアだけはこの原油高の状況を大いに楽しんでいます。
彼らからすれば、唯一の輸出品である天然ガスの高騰ほど嬉しい状況はないからです。

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天然ガス高騰 欧州では連日最高値を更新 日本のLNGにも影響必至

欧州で天然ガス価格が歴史的な高騰を続けている。指標価格のオランダTTFは10月6日、1メガワット時当たり150ユーロを超えるなど、2021年初頭の20ユーロから大幅上昇、連日のように最高値の更新を続けている。
 TTFの高騰に伴い、欧州の天然ガス価格に連動した動きを見せる極東アジアLNG(液化天然ガス)のスポット(随時契約)価格も上昇。9月末には過去最高値となる100万BTU(英国熱量単位)当たり34・47ドルを付けた。
 本来であれば、夏の需要期を過ぎて、天然ガス価格やLNG価格は低下する時期にある。しかし、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展などを受けた世界的な景気回復で、特にアジア諸国の天然ガス需要が増加しており、欧州とアジア諸国との間でLNG争奪戦が展開されている」
(岩間剛一 エコノミストオンライン2021年10月18日)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20211026/se1/00m/020/046000c

今までさんざん天然ガス相場の低迷によって国力を落としてきたロシアは、ここでバルブを緩めてなるものか、とうぶん苦しんでおれ消費国め、どんどん高くなれ、とせせら笑っているようです。

また、先日中国の爆買いシリーズで見たように、中国は原油・天然ガスの爆買いをしつつ、自国の石炭消費には上限を設けて炭鉱開発を抑制しています。

コロナからの回復による経済再開によってエネルギー需要は膨らみ、今以上のエネルギー供給不足と電力不足が起きるはずで、中国に深刻なエネルギー不足と電力不足が恒常化する可能性がでてきました。

この国はこのような危機に陥ると、国際社会と協調するのではなく、自分の国だけなんとかなろうとして荒れ狂うのでコワイ。

覚悟せねばならないのは、この原油高が一過性のものではないことです。
原油・天然ガスの高騰の原因がCO2対策にある以上、この高値相場は構造的になるでしょう。
これは一種の合成の誤謬です。
一人一人は 地球環境にやさしくという正しい理想に基づいていても 、それが人類単位で集合するとこのような 原油高を招き人々を苦しめます。
したがって泥沼化し、長期化します。
今は天然ガスを先物取引で押えているので、電気料金に直接の影響はまだ始まったばかりですが、どこまで電気料金に転化しないですむのか見通しは暗いでしょう。

抜本的解決ではありません。強いて言うなら、地球温暖化阻止という行き過ぎた理念と現実の社会との折り合いをつけることです。
てっとり早い対策として「トリガー条項」の発動があります。
これはガソリン平均価格が3カ月間連続で160円/リットルを超えた場合に、揮発油税の上乗せ税率分の25.1 円の課税を停止する法律です。
「トリガー条項」(租税特別措置法第89条「揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例規定の適用停止」)の適用を早急に検討する必要があります。

これは民主党政権の忘れ形見で、2010年に「所得税法等の一部を改正する法律」が成立し、このトリガー条項が盛り込まれました。
しかし実際の適用は、その後の東日本大震災の復興財源確保の名目で震災直後の2011年4月27日から凍結されたままです。
民主党は増税派だったために、震災復興を増税で賄おうとしてこのトリガー条項を封印してしまったわけです。
そんなものは復興国債ですればいいのですが、震災復興時に増税して更に国民を痛めつけるというトンデモ政策をとったしわ寄せがここに来たのです。

やっとこれを思い出したのが国民民主の玉木氏で、街頭演説の際にガソリンの課税停止措置の発動を追加公約とすると発言しました。
この条項の規定には、「東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を停止する」とあるだけで、今の状況は充分それに該当します。
原油高が本格的に景気を直撃する前段の今、そのトリガーを引かないと時期を失することになるでしょう。

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コメント

おらおら、08年の高騰の時に「ガソリン値下げ隊」を名乗って国会内ピケまでやってた連中全員出てこいや!
あの当時の値段まで近づいています。燃費極悪のクルマに乗ってたので、で殆どカラになった時にハイオク満タンにしたら万札で足りないという経験をしました。
一応民主党が政権を取った時にトリガー条項が埋め込まれましたが、震災で凍結したままというね。

今回は「そのうちに下がるだろう」という見通しが全く立ちませんね。
先進国は今後も化石燃料の使用を減らす計画なので、産油国側も増産する気はサラサラありません。
そして原油価格と連動する穀物価格。天候の問題も絡みますけどほぼ追随しますね。
身近では小麦粉や食用油の値上げですが、一番今しわ寄せ来てるのは畜産農家でしょう。

 原油価格を下げるには供給量を増やすしかないですが、足元の価額が上昇していても将来的な利益が見込めない以上、これからも安易に増産はしないだろうとの見方が大勢です。
つまり、増産のための投資は長期的なリターンが少ないとの判断ですが、生産者側の仕掛けもあったと考えるのが自然でしょう。

たとえばバイデン政権は実現可能性が極小でも再エネ方面の予算には大盤振る舞いし、一方で石油・ガス業界には税制や規則で痛めつけています。
世界的にも過剰で現実味のないCO2削減協奏曲が化石燃料業界の立場を排除して来たのが風潮です。
再生可能エネルギーの不可能性にフタをして盛り上げた、化石燃料悪魔化の流れに対する産油国側の挑戦、といった側面が案外強いと思います。

日本の場合、できるだけ早く柔軟にトリガー条項なりを活かして経済や国民生活への影響を緩和するとともに、菅政権時代の誤ったCO2削減目標の修正の機会とした方が良いのではないでしょうか。

生産力の柔軟性が失われている厳しい状況は自分の想像以上でした。

とは言え、WTIがリーマンショック前に147ドルを付けたり、コロナショックでマイナス40ドルになったりという変化を見てきた自分には、82ドルは想定内です。

記事から思うに、金持ち中国と大生産国ロシアが結託すれば、両国大儲けですね。バイデンも黙認、トランプなら許さなかっただろうに。

上がり続けるのは中国の首を絞めるので、いつか大きな売りが出ると思います。
それが、中国のコントロール下なのか、コントロール外なのかで値幅は大きく違ってきます。

トリガー条項の発動は、投機筋に「日本が買い支える」というメッセージを発することになり、更なる上げ要因となるので好ましくないです。
生活・生産に困窮する部門に限って補助するのが良いと思います。

地球温暖化には、どーも眉唾なんですわ。万一のことがあるといけ
ないので、まったく温暖化対策をしなくてもいいとは思っていません
が、「もう後が無い!タイヘンだ、CO2クソくらえー」とヒス起こしてる
現状には、どうだかなぁーと、一歩も二歩も引いてしまいますわ。

私が小学生の頃、夏休みの子供会のラジオ体操の後に、引き続き
ラジオ(NHKですよ)で「もうすぐ小氷河期が来る」という番組があって、
私ら小学生も「寒いんイヤや~」と、夏にもかかわらず恐怖に震えた
思い出があります。『ノストラダムスの大予言』という恐怖映画が
流行った当時、公害とか環境問題が話題となっていました。ローマ
クラブとかが、石油が枯渇するんで、もう経済は成長出来ないという
戯言を広めていたのもこの頃だと思いますわ。1970年代のハナシ
です。

そんな記憶があるので、環境問題というのは、ずいぶんといい加減
なモンだと思っているわけです。前にも書いた『縄文海進』という時
代は、地球が温暖化して海岸線が陸深くに進みました。縄文人や
同時代に生きた世界じゅうの人類が、焼畑農業をやり過ぎたのかと
いうと、そんなわきゃありません、原因は太陽活動らしいです。太陽
は安定して燃えているかというと、結構ムラがあるんだそうで。

なんやら放射脳やコロナ脳と同じ、CO2脳というゼロリスク信者が
湧いているようですわ。麻生さんの言うように、メリットだってあるん
です。私も、住んでる中部日本が南九州ぐらいの気候になるのなら
歓迎です、寒いのは苦手なんで。CO2を拒否するあまり、実生活を
危機にさらすなんて、信者じゃない人類には迷惑千万ですわ。温室
効果ガスを許容しながら、無理しないように(特に途上国じゃ死人が
出る)石油を売買できるような健全な原油マーケットに戻して欲しい。
やっぱ、イデオロギーや大きな政府の規制が入らない自由市場が、
結局のところ、最後に正しい答えを出せるんじゃないかと思います。

その前に、日本は原発稼働させないと、マジでエネルギー危機に
なって詰みますわ。温暖化防止以前の大モンダイです。

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