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2021年11月

2021年11月30日 (火)

なぜだかわからない、韓国感染再拡大

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正直、どうしてこうなるのかわかりません。
韓国の感染再拡大のことです。

現在、韓国は深刻な医療崩壊の危機に遭遇しています。
感染者が1日3000人から4000人、重症者、死者も急増した結果、最悪の医療崩壊に直面しています。
保健福祉部の中央事故収拾本部によると、首都圏(ソウル市、京畿道、仁川市)は2021年11月26日午前0時の時点で、新型コロナウイルスの感染が確認されて入院を24時間以上待っている人が1310人に上るそうです。

下図は2020年1月から2021年11月現在までの韓国の感染者数推移を見たものです。

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ニッセイ基礎研究所
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=69457?site=nli

上図の右から3番目が2021年10月25日ですが、韓国政府はこの時点で規制解除をおこなっています。
この時点ではグラフでわかるように、1日の新規感染者数は依然1,500~2,200人に達していたわけですが、ワクチンの接種完了率が70%を超えたということを理由にして、経済活動を優先させる方向に舵を切り、11月1日から第1段階の行動制限緩和策を実施しました。

その結果、感染は再拡大してしまい、一気に過去最多だった前日(940人)から1日で370人急増し、初めて1000人の大台に乗ってしまいました。
新規感染者数の増加で空き病床がゼロになりつつあります。

問題はそのタイミングです。
まだ感染が収まり切っておらず、全国に大きなクラスターが点在する中でやってしまいました。

一方日本の感染者数推移をみてみましょう。
東京都の11月29日現在のものですが、新規陽性者数は14人で韓国とは2桁違います。
都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト (tokyo.lg.jp)
日本がこの状況で規制を段階的に緩めていることに留意してください。

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朝日

韓国自身も原因がわからずに頭を掻きむしっているようで、中央日報はG20で防疫強度指数が最低ランクになったと叫んでいます。
こういう時にもまず外国と比較しないと落ち着かないのは、さすがではあります。
そんなことより国民のことを心配しろよ、と思いますが、まずは外国の視線なのね。

「韓国政府が推進している段階的日常回復(ウィズコロナ・with covid19・コロナと共存)が過度に防疫基準を低くしたという主張が出ている。韓国の防疫強度が主要20カ国・地域(G20)のうち厳格度指数(Stringency Index)で最下位水準という海外の研究結果が発表されながらだ。
11日(現地時間)、英国オックスフォード大学が発表した新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)厳格度指数をみると、韓国は100点満点中39.35点だ(11月8日集計)。G20のうち韓国より低いのはメキシコ(35.19点)・スロベニア(36.11点)だけだ。中央防疫対策本部によると、この日0時を基準として重篤患者は473人であることが分かった」(中央日報2021年11月12日)

この厳格度指数という聞き慣れない言葉は英国のオックスフォードが作ったコロナ対応の厳しさを判定する指数です。
https://diamond.jp/articles/-/238329?page=2

●厳格度指数
  (1)学校閉鎖
 (2)職場閉鎖
 (3)公共イベントの中止
 (4)集会に対する規制
 (5)公共交通の閉鎖
 (6)外出の自粛要請
 (7)国内の移動制限
 (8)海外への渡航制限
 (9)国民への啓蒙活動

以上の項目について0~100までの数値で現し、風致が大きいほうが厳格だということになります。

・要請か拘束義務か
・効力の範囲が地域か全国か

ちなみに厳格指数ランキングはこのようになっています。

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●厳格指数
1位・・・キューバ、エルサルバドル、ホンジュラス、クウェート(以上同率100)
5位・・・コンゴ、ドミニカ

G7諸国では60位くらいから130位台です。

・59位・・・フランス83.46
・107位・・・イタリア67.78
・109・・・ドイツ68.26
・108位・・・米国68.41
・135位・・・日本53.30

厳しいと思っていた韓国は日本の下で140位46.16、中国は121位で64.44でした。
わが国はあれだけなんちゃって非常事態宣言なので最下位かと思ったのですが、思いの外普通でした。やや意外。
実はこの厳格度ランキングをみると、上位にくるのはことごとく民主国家とは言い難い国家ばかりが名を連ねています。
そうなのです、厳格指数は民主主義が成熟した国と相反関係にあるのです。
独裁国家のほうが締めやすいということです。

もうひとつのランキングである「民主主義指数」(英国エコノミスト誌)で、さきほどの厳格指数のトップの国々を見てみましょう。

●民主主義指数
・キューバ:2.84(143位)
・エルサルバドル:6.15(同率71位)
・ホンジュラス:5.42(同率89位)
・クウェート:3.93(同率114位)
・コンゴ共和国:3.11(同率134位)
・ドミニカ共和国:6.54(同率60位)

話を韓国に戻します。
韓国は日本より下だからと言って、そうがっかりすることはありません。
問題はランキングなどではなく、韓国が感染をぶり返してしまっている原因です。

「前日460人でコロナ流行後最多を記録したが、一日で更新してさらに13人増えた。新規感染者は2520人増加して累積38万8351人を記録した。前日の死亡者は21人で累積死亡者数は3033人になった。(略)
(厳格度指数が)低いからといって防疫が全面的に失敗したとみることは難しいが、韓国の指数はウィズコロナ施行後8点ほど落ちた。漸進的なウィズコロナを施行中のシンガポール(44.44点)や防疫措置をほぼ解除した英国(41.20点)と比較すると韓国の防疫レベルが一瞬で落ちたという分析だ」
(中央前掲)

中央日報はその原因が、防疫緩和を急ぎすぎたからだ、としています。

「韓国防疫当局は今月1日から首都圏10人、非首都圏12人まで私的な集まりを許容している。レストランやカフェは24時間営業することができる。遊興施設は夜12時まで運営する代わりに防疫パス(接種証明・陰性確認制)を適用中だ。(略)
専門家は大規模流行を防ぐためには防疫緩和を徐々に進めなければなければならないと強調する。疾病管理本部長を務めた翰林(ハンリム)大学聖心(ソンシム)病院呼吸器内科の鄭ギ碩(チョン・ギソク)教授は「防疫を緩和すれば感染者が再び増えるのは当然だ」とし「季節的な状況を考慮して徐々に防疫規則を緩和する取り組みが必要だ」と話した」(中央前掲)

うーん、「防疫を緩めると感染者が再び増える」ですか、そうかな。
日本も規制緩和をしていますが、感染者数は増えるどころか減少し続けています。
日本は総人口に対する感染率は1.4%程度。
一方韓国は人口比に換算すると0.8%で、そう大きな差はなく、むしろ韓国のほうが優秀です。

ワクチン接種率も70%台中盤で日本とほぼ同じです。
韓国の11月23日現在のワクチン接種率は1回目が82.4%、2回目が79.1%で、日本の78.6%と76.4%を上回っています。
さらに、3回目の接種(ブースター接種)率も4.1%に達しています。日本は3回目は手つかずです。
しかし韓国はブレークスルーしてしまいました。

厳格度もほぼ一緒、接種率も同格、人口あたりの感染率も一緒。
違うといえば、せいぜいが韓国が初期にアストラゼネガのワクチンなどを複数多用したことです。

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同上

「新型コロナワクチンの確保に出遅れた韓国政府は、今年の2月3日にファイザー社製のワクチンを特例承認(正式に承認されるまでには医療従事者に限って接種が行われた。正式承認は3月5日)し、その後2月10日にはアストラゼネカ社製のワクチンを、続いて4月7日にはヤンセンファーマ社製のワクチンを、そして5月21日にはモデルナ社製のワクチンを次々と承認した。
その結果、2月26日から始まった新型コロナワクチンの接種は高齢者を対象にアストラゼネカ社製のワクチンが接種されることになった。
その後、ファイザー社製やモデルナ社製の供給が増えたことにより、アストラゼネカ社やヤンセンファーマ社製の接種は大きく減少したものの、11月23日時点の1次接種者のうちアストラゼネカ社製やヤンセンファーマ社製のワクチンを接種した人はそれぞれ11,116,361人(26.3%)と1,497,303人(3.5%)に達し、全体の約30%を占めている」
(ニッセイ基礎研究所生活研究部金明中)
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=69457?site=nli
https://www.newsweekjapan.jp/kim_m/2021/11/4000.php

日本が6月まで出遅れた原因は、ファイザーが確保できるまで待ったことが一因にありましたが、韓国は入手できるものから打っていったようです。
当時ムン閣下の慌てぶりは伝わってきており、入手できるものから手当たり次第に使っていったようです。
2月からアストラゼネカ、4月からヤンセンファーマ、5月からモデルナ、続いてファイザーと4社のワクチンを混合で打っています。
たぶん1回目と2回目が違うものだったことは頻繁に起きたと思われますが、これも決定的な間違いとも思えません。
こういう打ち方を「交互接種」、あるいは「異種混合」というそうですが、厚労省も一定の条件ではそれを認めています。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0095.html

ただ韓国がこれだけ大きなブレークスルー感染を出してしまったことから、この混合接種が原因の一角にあったことは否定しきれません。
また接種した時期が日本より早く2月位に高齢者接種を始めているために、効力が切れた可能性はあるかもしれません。
韓国で目立つのは、高齢者のブレークスルー感染だからです。

マスクに関しては、結構ちゃんとしているようです。
マスクの効用についてWHOはこんなことを言っています。


「新型ウイルスが流行して以来、世界保健機関(WHO)の公式アドバイスは明快だ。マスクを着用すべき人は、あくまでも2種類のみ。症状のある患者と、新型ウイルスに感染した疑いのある人をケアする人だ。
このほかは誰も、マスクを着ける必要はない。これにはいくつかの理由がある。ひとつに、マスクはウイルス防御としては不十分だとされているからだ。現時
点での研究では、飛まつの拡散や汚染表面との接触によって、新型ウイルスに感染する。なので、マスクが防御として役に立つのは、感染者があなたの顔の近くでくしゃみやせきをしたときだけだ。だからこそ専門家は、せっけんを使ったこまめな手洗いの方がずっと効果的だとしている」(BBC2020年3月26日) 

欧米ではマスク反対運動があるほど拒否感が強いようですが、アジア圏はおおむねマスク着用には忌避感はないようです。
日本人などマスクが好きなくらい。(私は嫌いですけど)

韓国はこの再感染拡大を受けて、マスクももっと締めるということで、とうとう罰金制を導入しました。

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「韓国では、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、13日から公共の場でマスクを着用していない人から日本円でおよそ1万円を徴収することになり、首都ソウルでは、市の職員が通行人にマスクの着用を呼びかけました」(NHK2020年11月13日 写真も)

後の可能性としては気温でしょうか。

「韓国の気温が日本より低い点だ。新規感染者が最も多く発生しているソウルの今年10月と11月の平均最低気温はそれぞれ0.5度と1.3度で、同じ時期の東京の平均最低気温15.2度と8.3度を大きく下回る。韓国では昨年も気温が下がる11月中旬から新規感染者が増加しはじめ、クリスマスに新規感染者数がピークに達した経験がある。今後日本でも気温が下がるにつれて、新規感染者数が増えるのではないかと心配である」(ニッセイ基礎研究所前掲)

確かに韓国のほうが日本より寒いのですが、温かい沖縄も感染爆発していますし、規制解除した北海道などは韓国とそう違わない気温ですが感染再拡大は見られていませんから決定的理由にはならないような気がします。
ただし、今後となると、ウィルスが好む乾燥して気温が低い季節に入るために警戒は必要ですが。
というわけで理屈の上では、韓国でこんなに感染が拡がる理由がわかりません。

とはいえ、現実に再拡大のテンポは早く、韓国の医療崩壊が現実のものとなっています。
いままでムン政権が言ってきた「ウィズコロナで一日新規感染者が5000人まで増えても安定した医療の対応が可能だ」と言ってきたにもかかわらず、新規感染者数が1日に3000-4000人台なのにもかかわらず、医療崩壊をおこしてしまっています。
また、重症化率も政府の予想値をはるかに上回る状況のようで、死亡者の増加も始まっています。

ただ指導者のキャラは大きく違いましたね。
菅首相はメディアの総バッシングにあいながら黙々とワクチンを確保し続け、それを国民に確実に打つ体制を構築していったのですが、ムン閣下は少し成功すると「K防疫は世界一だ」、なんて胸を張っていましたね。

「韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は10日、就任3年を迎えて大統領府で演説した。韓国が成功している新型コロナウイルス感染症の流行抑制について、「防疫で世界をリードする国となった。危機を新しいチャンスと発展の動力にしたい」と訴えた。(略)
文氏は、韓国の感染症対策を英語の国名コリアの頭文字を冠して「K防疫」と呼び、「世界の標準になった。韓国の国家としての地位と誇りが高まっている」と語った」(朝日2020年5月10日)

まだ終わっていないのにこんな「世界一」宣言をするから、再拡大した今はボロボロに言われるのです。あたりまえだつうの。
いつものことですが、韓国はシャンパンを早く抜きすぎたのです。

それはさておき、韓国のこととなると皮肉に見る人も多いでしょうが、ウィズコロナの反面教師としたほうがよいのは確かです。
その意味で、日本は韓国をほんとうに見習わねばなりません。

 

 

2021年11月29日 (月)

南アフリカで新型コロナウイルス変異株が出現

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コロナに新たな株が出ました。
南アフリカで発見され、またたくまに空路でオランダに運ばれ、27日には、英国、ドイツ、イタリアの保健当局が南ア渡航者が「オミクロン株」に感染していることがわかったと発表しました。
すでにこれまでに南アフリカ、ボツワナ、香港、ベルギー、イスラエルでも見つかっています。

これに対応して、米国、EU、カナダ、英国、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ブラジルなども、南アと周辺国対象の渡航制限を表明しています。
日本も松野官房長官が、南アフリカやその周辺のボツワナなど合わせて6か国を対象に、27日午前0時から水際対策を強化することを発表しました。

やや長いですが、読売の記事にこれまでの経緯がまとまっていますので、アップしておきます。
ご承知の方は、読み飛ばされても結構です。

「【ジュネーブ=森井雄一、ヨハネスブルク=深沢亮爾】世界保健機関(WHO)は26日、南アフリカなどで検出された新型コロナウイルスの新たな変異株をギリシャ文字にちなんだ「オミクロン株」と命名し、警戒度が最も高い分類の「懸念される変異株(VOC)」に指定した。変異によって感染力がさらに強まったとの見方もあり、日本や米国など各国が水際対策などでの警戒レベルを高めている。
 ロイター通信によると、英国のサジド・ジャビド保健相は27日、英国でオミクロン株の感染者2人が確認されたと明らかにした。2人はアフリカ南部への渡航に関連していたという。これにより、オミクロン株による感染確認は、26日に発表されたベルギー、南アフリカと隣国のボツワナ、イスラエル、香港に加えて計6か国・地域となった。
 26日には、南アからオランダ・アムステルダムに到着した航空機2便の乗客約600人のうち、計61人に新型コロナ感染が確認された。保健当局がオミクロン株によるものかどうか調べている。ドイツとチェコでも、疑い例が出ている。
 WHOが南アから感染報告を初めて受けたのは24日で、検体の採取は9日だった。WHOは26日、感染の拡散状況を把握するためとして、各国に監視態勢の強化や感染者やクラスター(感染集団)などについて速やかな報告を求めた。
 各国では26日、南アと周辺国を対象とした渡航制限の動きが急速に広がった。米政府は、南アとボツワナなど計8か国からの渡航を29日から制限すると発表した。バイデン大統領は声明で、渡航制限は「(オミクロン株について)更なる情報が得られるまでの予防的措置だ」と説明した。
 欧州連合(EU)加盟国も26日、南アなどからの渡航制限を行うことで合意した。カナダや英国、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ブラジルなども南アと周辺国対象の渡航制限を相次いで表明している。
 オミクロン株の表面の突起状の部分には数多くの変異が見られ、WHOはインド由来の「デルタ株」などこれまでの変異株と比べても、再感染のリスクが高まっている可能性があると指摘した。感染力や重症化の度合い、ワクチンの効力や治療法への影響などについての評価は、さらに数週間程度かかるとしている
VOCには、デルタ株も指定されていた。新型コロナウイルスの変異株としては、今回で5株目となる」(読売11月28日)
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20211127-OYT1T50205/

VOC(Variant of Concern)とは、最も警戒レベルが高い「懸念される変異型」のことですが、重体化するかどうか、感染力などの詳細は不明です。

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オミクロン 今分かっていること

ちなみに「オミクロン」はギリシア語小文字Oのことで、発見された14回番目のCOVID1-19ウィルの変異株という意味です。
順番からいえば、一つ前のクサイ(XI)になるはずでしたが、なぜかひとつ飛びました。
習(XI)と表記が同じだからだから忖度したんだろうとかなんとか、まぁどちらでもいいですが、WHOはそういうことをすぐいわれるだけの実績があるのが哀しい。

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今のところ決定的な情報はなく、状況証拠だけだということをご承知おき下さい。
まず後述するように南アではデルタ株から置き換わっていることから、更に強い感染力を持った可能性があります。
ウィルスは非常に素早く変異を繰り返すので、オミクロン株もすでに30回以上も枝分かれして変異をしており、従来の株と較べて感染力は強いと思われます。

ただし今までとおなじくPCR検査で検出可能で、対処方法もワクチンが有効であることは共通しています。
すでにファイザーは、共同でワクチンの治験を2週間以内に開始すると発表しました。
メッセンジャーRNA型ワクチンは開発速度が早いために、そう遠くない時期(100日くらい)にワクチンが完成すると考えられています。

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京都新聞

「[フランクフルト 26日 ロイター] - 独バイオ企業のビオンテックは26日、南アフリカで検出された新型コロナウイルスの新変異株について、米ファイザーと共同開発したワクチンが有効であるか判断するためのデータが2週間以内に得られるとの見通しを示した。(略)
モデルナも声明で、オミクロン株に対する追加接種(ブースター接種)用ワクチンの開発を進めていると表明。既存のワクチンの高用量での投与のほか、複数の変異株に対応できるよう設計されたワクチン候補の試験を進めているとした」
(ロイター11月26日)
https://jp.reuters.com/article/healthcoronavirus-variant-biontech-idJPL4N2SH3P8

ところで南アで見つかった経緯ですが、11月14日以降に採取されたサンプルからも検出され、ハウテン州という地域で多くの症例が見つかりました。

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新変異株「オミクロン」 再感染リスクはデルタ以上|テレ朝news

このハウテン州における11月12日から20日までの間に検査された77例の検体全てが、このオミクロン株による感染者だったようです。
ハウテン州はこれまでデルタ株が拡大していた地域で、学校を中心として若者の間で多く拡がっていました。
現在検査されている検体の半数以上がオミクロン株であることから、南ア保健省はすでにハウテン州ではこのオミクロン株がデルタ株に置き換わったとみています。

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南アフリカ共和国における変異株の検出される割合の推移 同上

南アフリカの人口は約6000万人に登るアフリカの大国のひとつですが、ワクチンの接種率はわずか2割です。

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新型コロナ ワクチン配布、2割止まり COVAX、デルタ株で確保進まず

上図の毎日の資料はなぜか日本の接種率がやたらと低く表示されいますが、日本は全体で2回目終了が76.53%、65歳以上では91.34%で、欧米より頭ひとつでています。
また日本の新規感染者数は一桁で、いまや世界屈指の感染が制御できている国となっていますので、念のため。
首相官邸ウェブサイト『新型コロナワクチンについて

問題は、アフリカのワクチン不足の状況が変わらないことです。
そのために、南部アフリカが変異株発生の温床と化してしまっています。

「世界保健機関(WHO)などが主導する新型コロナウイルスワクチンの世界的な配布枠組み「COVAX(コバックス)」が苦境に立たされている。当初は7月までに途上国を中心に8億7000万回分を配布する計画だったが、実際の供給量はその2割にとどまる。COVAXへの依存度が高いアフリカでは深刻なワクチン不足が続いている」(毎日2021年8月7日)

「【ブラザビルAFP時事】世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局のモエティ事務局長は16日、アフリカでの新型コロナウイルスのワクチン接種完了率について、WHOが年末までの目標としている40%を大幅に下回り、17%にとどまるとの見通しを示した。
<新型コロナ> 世界各国のワクチン接種状況
 モエティ氏は記者会見で「信じ難いほどの不平等とワクチン出荷の深刻な遅れで、アフリカはワクチンに耐性を持つ変異株の培養地となる恐れがある」と指摘した上で「世界全体が振り出しに戻りかねない」と警告。「富裕国が(途上国向けの国際的なワクチン調達枠組みの)COVAX(コバックス)をマーケットから締め出す限り、アフリカはワクチン接種目標を達成できない」と訴えた」(時事2021年9月17日)

この徴候はすでに明らかになってきており、それは経済の壊滅と歩調を合わせてアフリカを襲っているのは事実です。
南アではロックアウトにより経済は壊滅状態で、南アの通勤鉄道路線34路線で運行可能なのはわずか7路線にすぎず、経済インフラは崩壊寸前のようです。
このような国家破綻の中で、ワクチン未接種が約4800万人もいるわけで、ここが窮乏とコロナの温床となっていることは想像に難くありません。
そういう中で、デルタ株がオミクロンに置き換わったようです。
WHOのアフリカ事務局長のモエティが警告を発しているように、このままいけば、アフリカが「耐性を獲得した変異株の培養地」となりかねません。

そこまではいいのですが、このようなWHOアフリカ事務局長のような言い方は、毎日新聞のように「先進国が途上国のワクチンを奪ったから途上国が苦しんでいる」的な論調につながりかねません。
たぶん毎日は、この南ア新株をリベラル左翼の持論であるグローバルノース(北の富める国々)批判というこの人たちのイデオロギーにくっつけたいのでしょう。

しかし現実には、感染爆発したのはアメリカとヨーロッパ、アジアであってアフリカではありませんでした。
下図は感染者数の推移を見たものです。
感染爆発が起きたのが、欧米とアジアだとわかるはずです。
現時点でも、ヨーロッパも再拡大しています。
2021年6月15日現在の世界の感染状況です。
https://www.forth.go.jp/topics/20210618_00001.html

・英国の新規感染者数・・・46,825人(人口10万人あたり69.0人)
・ロシア                  ・・・82,250人(56.4人)

アフリカの新規感染者数
・南アフリカ・・・47,934人(80.8人)
・ザンビア・・・10,792人(58.7人)

続いてその推移です。

感染拡大初期の2020年4月30日現在の世界の感染状況です。
米国やヨーロッパは感染爆発を起こしていましたが、アフリカは20位にも入っていません。

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2020年4月30日の世界の感染状況

2021年になっても、アフリカは欧米アジアよりも低い感染水準でした。

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2021年6月13日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移
新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告

このようにアフリカの感染爆発は今まで欧米やアジアと比較して低く押えられてきており、感染が世界を一巡し接種率が低い間隙をぬって南アで新株が生まれたとも考えられます。
現在、アフリカ、特に南アでワクチンが不足しているのは事実としても、アフリカの感染が低く押えられていたためにワクチンが遅れたのです。
北の先進国が南の発展途上国のワクチンを「奪った」わけではありません。
欧米が自国を優先したのは、毎日数万人規模で新規感染者がでるという大火災になっていたからにすぎません。

それをWHOが言うと、そもそもCOVID-19を世界に拡散したのは、中国に忖度するあまり初動を致命的に遅らせたWHOの責任はどうなるのでしょうか。
無能の代名詞だったWHOがそれを言いだすと、責任転化としか聞こえないのですが。
すぐに南北問題イデオロギーに短絡させず、WHOにできることを粛々とやりなさい。
私には、まだ原因解明も、かんじんのオミクロンの性格もわからないうちから、ここぞと南北格差論に結びつける論調には、なんだかなぁと言うかんじです。

一方でこのような情報もありますので付記しておきます。

「南アフリカ医師会のアンジェリーク・クッツェー会長はBBCに、南アフリカで確認された症例の症状は軽いものがほとんどだが、変異株に対する調査はまだ初期段階にあると述べた。
「患者の主な訴えは、体の痛みや強い倦怠感だ。高齢者ではなく若者に見られる(中略)これは、病院に直行して入院するような患者たちの話ではない」とクッツェー医師は話した」(BBC11月28日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1da47a151e33540f23826c41070860d6f94f708f

クッシェー会長の言によるなら、伝染力は強力だが感染力は若年層に集中しており、より弱毒化している可能性もあるために重体化の例は少ないともとれます。
いずれにしても続報が待たれます。

 

2021年11月28日 (日)

日曜写真館 山茶花の 風を殺して 咲ききって

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山茶花(さざんか)の散って 地明かり ほむらあかり 伊丹三樹彦

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山茶花の 咲いても 散っても まくれない 伊丹三樹彦

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山茶花に ほうほうの声憚らず 伊丹三樹彦

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山茶花に 陽のうつろいの 永座り 伊丹三樹彦

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山茶花に 娶らず逝きし子規のこと 伊丹三樹彦

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山茶花に指折るは 亡き友の数 伊丹三樹彦

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山茶花の散りざま 一つ一つ違う 伊丹三樹彦

 

2021年11月27日 (土)

ドイツ 新政権、核兵器禁止条約へ参加

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ドイツの新政権が、核兵器禁止条約会議にオブザーバー参加するそうです。やれやれ。
朝日と毎日、NHKが報じましたが、まるで核兵器禁止条約への参加を拒んでいる日本が世界の孤児のような書きっぷりです。

「9月のドイツ総選挙で第1党となった中道左派・社会民主党など3党は24日、新たな連立政権樹立で合意した。12月上旬にも社民党のオラフ・ショルツ副首相兼財務相(63)が正式に新首相に選出される。連立合意文書には、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加が盛り込まれた。参加表明は主要7カ国(G7)で初。同様に米国の「核の傘」に依存し、オブザーバー参加に慎重な日本への圧力にもなりそうだ。(略)
3党はこのほか、石炭火力発電所を2038年までに全廃するとしたメルケル政権の決定について、「理想的には30年」に前倒しすると表明。気候変動対策と経済政策を担う省庁の新設も盛り込まれた」(毎日2021年11月26日)
ドイツ新政権「核軍縮に主導的役割」 核禁条約オブザーバー参加へ | 毎日新聞 (mainichi.jp)

左派政権となるやいなや、非核と脱原発と大麻のフルセットです。
あまりの「らしさ」にため息が出ます。

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NHK

なかなかメルケル後継政権ができなかったために、このドイツ新政権は、赤(ドイツ社会民主同)と緑(緑の党)と黄色(自由民主党)をかき混ぜたような気色の悪い色の連合政権となりました。
3党が合意した連立協定は177頁にもおよぶ膨大なもので、「自由、正義、持続可能性の為の同盟」と称しています。
連立合意の柱は、お約束の再生可能なエネルギーの拡大、またも出ました最低賃金の引き上げが並び、そして合意の中には成人への大麻解禁、そしてこの核兵器禁止条約への参加が入っています。

それにしても大麻解禁ですか・・・。
ドイツを麻薬天国のオランダのようにする気らしい。
ヨーロッパ中から麻薬に群がるマフィアが集まってたいへんなことになりますよ。

緑の党が入った以上、環境保護はトップ課題で2045年までにカーボンニュートラルを達成するために、30年に石炭を段階的に廃止するするそうです。
このへんは米国民主党も言っていることなので、特に驚きはありません。

やや驚いたのは、安全保障の分野に左派色を強く出したことです。
欧米では、内政には左派色を出しても、外国と関わりのある外交・安全保障の分野は前政権から引き継ぐのが暗黙の掟ですが、ドイツ左派政権は違うようです。
それが核兵器禁止条約への参加です。
今はオブザーバー参加と言っていますが、時間をおかずに条約に本格参加することでしょう。

国内で大麻を合法化しようと、石炭を廃止に追い込もうと、馬鹿だなぁと思いはするもののドイツの国内問題にすぎませんが、NATOという集団安保体制の中の重要な一角を占めるドイツがこのようなことに走ることは、たいへんな迷惑を地域に与えるでしょう。
毒にもクスリにもならないどころか、真の核軍縮の道を妨害し、 世界の核バランスを崩壊させる危険性があるからです。

しかもタイミングが最悪です。
現在のヨーロッパ情勢は、ロシアがウクライナに進攻の気配を見せ、高い緊張下にあります。

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ロシア軍がウクライナ侵攻検討か、米が欧州同盟国に警告

ロシアがウクライナに再び手をだそうとしているのは、ウクライナがNATOに加盟したことを、直接の脅威と判断しているからです。
ロシアは、「これ以上国境を接する国がNATOに加盟することを容認できない」と主張していますが、欧米はロシアの意向を無視してウクライナとジョージア(旧グルジア)との関係強化に乗り出しています。
NATOは9月末にウクライナと合同で大規模な軍事演習「RAPIDTRIDENT 2021」を実施し、米国のオースティン国防長官は10月にジョージアを訪問して2ヶ国間の安全保障協定を締結するなど着々と関係強化を進めようとしています。

このような動きに反発してロシアはベラルーシとの国境に近いエリニァの郊外に戦車、装甲車、自走砲など含む地上部隊を集結させ、NATO加盟国の軍が演習を終えて帰国するタイミングを狙い南下を開始しました。
いまもなお、首都キエフに近いウクライナ北部の国境沿いに推定9万人の兵力を展開させていると見られています。

既に米国の情報機関を統括するヘインズ国家情報長官は、NATO加盟国に対してロシアのウクライナ侵攻に関する可能性を警告したと報じられ、米国の政府関係者は米メディアの取材に対して「天候にも左右されるが、西側諸国の介入がなければ数週間の内にロシアのウクライナ侵攻が開始される可能性がある」としています。
早ければ、12月にもロシアのウクライナ進攻が現実になるかもしれません。
米情報機関は、今回は前回と違って、「ロシア軍は実際に首都キエフもしくはウクライナ東部ドンバス地方への侵攻準備である可能性が高い」と警告しています。

一方イラク、シリア、イエメンなどからの数千人単位の難民がベラルーシ経由でEU域内に入国しようとポーランド国境に殺到しています。
これはドイツに越境したいからです。
ドイツが狙われるのは、メルケルが難民に大甘なことを知っているからですが、それに輪をかけた大甘の左翼政権が誕生したのですから、減ることはないでしょう。

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ドイツで越境者拘束が急増、「難民危機」再来の懸念…経由する

これは自然に起きたものではなく、ロシアやベラルーシが意図的に誘導した結果で、ウクライナに進攻した場合、NATOの対応を分散させて遅らせるためだと言われています。

【モスクワ=小野田雄一】ロシアがウクライナとの国境付近に9万人とされる大規模な軍部隊を集結させ、一帯での軍事的緊張が高まっている。北大西洋条約機構(NATO)は、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切る恐れもあるとみて警戒を強めている。露専門家は軍の動きについて、NATOによるウクライナ支援に対抗する示威行動ではないかと分析している。
ウクライナ国防省は11月2日、同国国境に近い露西部スモレンスク州に9万人規模の露軍部隊が集められていると発表。ブリンケン米国務長官やNATOのストルテンベルグ事務総長も今月中旬、ロシアの「異常な兵力増強」を指摘した。
米ブルームバーグ通信は21日、米情報機関がロシアの侵攻ルートを想定した地図を同盟国と共有したと報道。米軍事メディア「ミリタリー・タイムズ」も同日、「ロシアは来年1~2月の侵攻を準備している」とするウクライナ軍情報部門トップの見解を伝えた」(産経11月27日)

ロシアは核兵器禁止条約をNATO分断に利用しようとしており、まんまと新政権はそれに乗ったということになります。
こういう情勢下で、NATOの主軸であるドイツを左翼連合政権に手渡してしまったメルケルの不手際が改めて問われることになります。
いずれにしても、ロシアがウクライナに進攻した場合、いかなる対応をとるのかが、新政権の最初の試金石となります。

さて、よもや左翼新政権のお歴々が知らなかったということはないはずですが、実はドイツはとっくに「核武装」しています。
それがニュークリアシェアリングです。
これは米国の許可の下にNATO各国軍が核兵器を保有し、有事においては当該国がそれを使用するシステムのことです。
ですから、このニュークリアシェアリングの協定に基づいて、ドイツ国内には核兵器が保管されており、ドイツ連邦空軍が核攻撃を遂行します。

もちろん、有事の際も、一国はもちろん、NATO全体が了承しても、米国が拒否権を行使できます。
下図は核兵器の拡散状況を示す図ですが、赤が核保有国、青色がNPT加盟国、そしてオレンジ色がニュークリアシェアリング国です。
ドイツがオレンジ色に塗られていることにご注目下さい。

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核兵器拡散状況 Wikipedia

ニュークリアシェアリング国が核兵器禁止条約に入るの入らないのと言っても、なにをおっしゃるウサギさん、もうとっくに準核保有国じゃないですか。
上図に核兵器禁止条約締結国をかぶせてみましょう。

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NHK

なんのことはない、核兵器禁止条約締結国と言っても、元々核兵器とは無関係な国々ばかりにすぎないことがお分かりになるでしょう。
ありていにいえば、核の脅威を与える国が存在しない幸せな諸国ばかりです。
このような国がいくら核兵器禁止する、と言ったところで現実の効果はゼロです。
いわばよく自治体の役場の前に建っている「非核宣言都市」の看板みたいなものです。
その自治体が密かに核兵器のひとつももっているなら有意義でしょうが、わきゃないのでただの絵空事です。
ただ嫌なのは、こんな看板を立てた当人たち(共産統系「平和団体」ですが)は、自分が世界の非核化に役立っていると勘違いしていることです。
核兵器禁止条約も、この「非核宣伝都市」とイイ勝負です。

言うのも愚かですが、核兵器を本気で禁止するためには、核保有国が核軍縮をするしかありません。
特にいかなる核軍縮の枠組みにも入ろうとしない国である中国を参加させねばなりません。

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世界の核兵器保有数(2019年1月時点) | 国際平和拠点ひろしま

新START(新戦略兵器削減条約)にすら入らない中国の参加なき核兵器禁止条約など、ほんとうの核兵器全廃への道を閉ざす有害無益な存在にすぎません。
上図の国際平和拠点ひろしまが作成した図では公表された50発としていますが、これは米国防総省の300発の6分の1にすぎません。
どうしてこう大きな差がでるのかといえば、米露は相互査察によって確認された正確な数字であるのに対して、中国の数は中国の公表数字でしかないからです。
つまり核軍縮するための基礎数字自体が、中国においては闇の中です。

こんな保有核の数すら不明な国が隣にいて、しかもその国はわが国を標的にしている以上、わが国が核兵器禁止条約などというお遊びに参加することは絶対にありえません。
数百発の中国の核ミサイルで狙われているわが国と、のほほんとしていられる国とは本質的に違うのです。
※関連記事『中国は新戦略兵器削減条約に参加しろ』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2021/11/post-6084ae.html

とまれドイツ新政権におかれましては、新たに自国で核兵器を開発する必要がない以上、そんなに核兵器禁止条約に入りたければ、とっととドイツ国内から核兵器を撤去させることから始めて下さい。
ちなみに新政権はご承知のことと思いますが、ドイツはロシアの核ミサイルの最優先攻撃目標ですので念のため。
ドイツがNATO主要国である以上、他の加盟国からどのような批判を受けるか知ることです。

ただし、ショルツ政権の名誉のために付け加えると、欧米左翼は人権には等しく厳しい対応をしめします。
中国や北朝鮮の人権は見て見ぬふりをするどこかの国のリベラルとは違って、中国の人権や香港の民主主義弾圧については厳しい批判を加えています。
また、台湾の国際機関参加を後押しするそうです。
この点、メルケルや岸田よりよほどましです。

2021年11月26日 (金)

デニー知事不承認、二度目はみじめな笑劇として

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沖縄県が、また国の辺野古移設建設の一部変更に対して不承認としたそうです。
まだ「新基地」なんて書いているのですか、この新聞。
正確には、危険な都市部から撤去して、安全な地域への縮小移設です。
さすがに本土の左翼メディアも、こんな表現は使いませんよ。

「米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡って、沖縄防衛局が県に申請していた埋め立て予定地の大浦湾にある軟弱地盤改良工事など設計変更について、沖縄県は24日までに不承認とする方針を固めた。玉城デニー知事が25日にも表明する見通し。
 県は不承認の根拠として、埋め立て予定海域の軟弱地盤が最も深い水面下の約90メートルに達する地点について、直接試験したデータを採用していない問題点などを挙げる方針だ。
 沖縄防衛局は県の不承認を無効化しようと、行政不服審査法に基づく審査請求など対抗措置を取るとみられる。その後、県は対抗措置の違法性を訴え、法廷闘争に移行する見通しだ」(琉球新報11月24日)
 沖縄県、辺野古新基地の設計変更不承認へ 知事きょうにも表明 - 琉球新報

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沖縄・辺野古埋め立て 政府の計画変更 玉城県知事が不承認の方針|TBS NEWS

お約束の歌舞伎です。イヨーっと眼をむいて大見得を切ってみせただけのことです。
残念ですが、客席はシラけ切って弁当などつついていますがね。
だって、本気でやる気がありませんから。

反対してみせないと、支持団体から叱られるからやっている感を出しているだけだと誰も知っています。
かつて翁長氏のように、最高裁まで争ってやろうなんて気はさらさらありません。
第一、そんなことをしたら、どれだけカネがかかるかわからないようなこのコロナ復興期に損なことくらい、利に聡いデニー氏もわかっています。

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玉城・沖縄知事、政府の設計変更を不承認へ 辺野古移設めぐり:朝日

一方、受ける本土政府はといえば、かつての翁長氏と違って、まったくデニー知事など相手にしていません。
そもそも本土政府は、口とは裏腹にまったく急いではいないのです。
政府はとうに20年代の完成を捨てていますから、淡々ダラダラと工事を進めればいいだけのことです。
裁判沙汰の蒸し返しは起きるでしょうが、そんなことはみっちりと翁長時代にやって免疫対処療法が確立しています。

これが米国がさっさと移転先を作ってくれ、とせかしているなら話は別ですが、ところが米軍は普天間に居続けるのがベストだと思っています。
今の普天間飛行場には必要なすべての施設が揃っていますし、あんな海岸ぷちに中途半端なものを作られるより、長い滑走路がある内陸の今の場所のほうがなんぼかましです。
軍事的に移設する合理性がまったくなかったのですから、当然です。
ですから、政府はやってる感があるくらいに進めばよいのであって、まったく焦っていません。
言ってはナンですが、左翼陣営が頑強に対決案件にしてしまったために、引くに引けないアリバイ工事のようなものなのです。
台湾有事が叫ばれている状況で、その最前線基地を引っ越ししてどうしますか。
つまり反対する側も本気ではなく、受ける本土政府も上の空、米軍は我関せず、という三すくみの狭間に落ちてしまったのがこの移設問題というわけです。

ところで私は思い出すともなく、翁長前知事を思い出してしまいました。

「ヘーゲルはどこかで、すべての偉大な世界史的な事実と世界史的人物はいわば二度現れる、と述べている。彼はこう付け加えるのを忘れた。一度目は偉大な悲劇として、二度目はみじめな笑劇として」(マルクス『ブリュメールの18日』 )

「歴史上偉大な人物」かどうか知りませんが、少なくとも最初に国を相手どって移設計画の不承認をした故翁長氏には、一種の「凄み」のようなものがあったのは事実です。
私は徹頭徹尾、翁長氏の批判者でしたが、この矛盾の塊のような翁長雄志という人物に「惹かれる」ものがあります。
沖縄の矛盾そのものを体現していたように見えたからです。
骨の髄まで利権にまみれてきた地方政治家が、知事になりそこねた怒りと失望のあまり左翼陣営に寝返り、ありとあらぬる奸智を駆使してかつての味方を撃つ姿は壮絶ですらありました。
ですから、私はほとんど1年以上に渡って、ほぼ毎日腰を据えて翁長氏を真正面から批判したものです。
翁長氏の突然の死に際しては、喪失感さえありました。

今のデニー氏など、逆立ちしてもそんな迫力はありません。
日なたのコーラです。気が抜けてうすら甘いだけ。
あの耐え難い軽さはどうにかならないのでしょうか。

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それはさておき、翁長氏が承認取消をした時にでき上がった構図は、呆れるほど極度に単純化されたものでした。
「米国に追随し横暴な政府」が悪玉、英雄翁長知事と「戦う沖縄民衆」が正義という陳腐な図式です。 
まるで勧善懲悪の時代劇さながらで、
昔懐かしき「抑圧者vs被抑圧者」というマルクス主義史観が、ことこの沖縄ではまだ生きているのです。 
本土メディアはNHKから民放まで全部このパターンで報道しました。

では、どうして本土メディアは翁長氏をここまで英雄視したのでしょうか。
それは移設の指揮官である翁長氏が、あろうことか立場を逆転させた衝撃があったからです。

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沖縄と沖縄人の誇りのために闘った政治家・翁長雄志氏 その生きざまを

当時の翁長氏は、仲井真氏の右腕でした。
仲井真氏の後継者は衆目の一致するところ翁長氏以外ありえませんでした。 
なぜなら翁長氏
こそが、2006年に稲嶺知事の下で始まった辺野古移設現行案の沖縄側の責任者だったからです。  
当時の翁長氏の発言が残っています。

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「飛行場移設について、解決に向けての作業が大詰めに来ていることがこれでうかがわれます。よって、県議会においても、普天間飛行場の返還について1日も早く実現させるべき県議会の意志を示すものであります」 (平成11年(1999年)の第6回県議会定例会)

実務と細かい各方面との妥協を取り付けたのは、調整能力に長けた翁長氏でした。 
第2期仲井真知事の選対責任者も彼でしたし、県連幹事長として仲井真県政の右腕を務めていたのも余人ならぬ翁長氏です。
つまりは辺野古移設問題の裏の裏まで知り尽くしていたのが、他ならぬこの翁長氏だったのです。
たぶんここで奇妙人が出現しなければ、翁長氏はそのまま島の保守のボスとして君臨することが約束されていたはずです。

この奇妙人こそ鳩山元首相でした。

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  newspicks.com  

彼の掲げた「最低でも県外」という方針は無残に失敗したのですが、挫折したが故に異様な夢を県民に与えてしまいました。
それは移設阻止が実現可能性があるのかもしれない、という淡い空想です。
彼が与えた日米同盟への打撃は、速やかに修復されましたが、最も深い影響はこの空想が根強く県民の心に染み込んでしまったことです。

この後、自民党も仲井真氏も移設容認を口にすることすら不可能になります。
仲井真氏がとったのは徹底したあいまい戦術でした。
本音は容認であるにもかかわらず、本土政府には「移設反対」の建前だけしゃべって、どんどん政府にチップを積み上げさせるのです。
民主党政権に対して「この問題を収拾したければ色をつけろ。さもないと移設なんかできないぞ」と凄んで見せたわけで、いわば瀬戸際戦術です。
この時、本土とのダーティな交渉をしたのも翁長氏でした。

この車輪の両輪のような両人の関係に亀裂が生じたのは、仲井真氏が本来の主張通りの移設容認を埋め立て承認によって明らかにした時から始まります。 

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この時に起きた沖縄マスコミや、本土メディア、テレビなどのバッシングは凄まじいものでした。  
「裏切り者」「公約違反」といった罵詈雑言が連日沖縄マスコミの紙面を埋め尽くし、承認会見の翌日の沖タイ紙面など「金で沖縄を売った」です。
当時の沖タイや琉新は、新聞なんて可愛いものじゃありません。実に6面を潰して仲井真批判一色でした。

仲井真氏の容認路線は、仲井真県政の既定路線であったわけで、鳩山氏によるねじれを元に修正したにすぎなかっただけですが、裏切り者と指弾されました。
仲井真氏は、移設承認会見を前にして過度な重圧のために病んでいき、75歳という高齢と脳梗塞、急性胆嚢炎という病歴は、彼がなにを背負ってきたのか、なにに対して責任を取ろうとしたのかかがわかります。
3期目は誰が見ても不可能でした。

この時です、翁長氏が裏切りを決意したのは。
彼はこのまま移設反対の旗を掲げてあいまい戦術を続け、徹底的に本土から見返りをむしり取るべきだと考えました。
それをするのは仲井真氏から禅譲を受けた自分だと信じていました。
しかしそうはなりませんでした。
ありとあらゆる妥協のメニューは始まったばかりで、どうしてここで手打ちするのか、しかもそのために四面楚歌になったじゃないか、馬鹿め、これが翁長氏の内心だったのかもしれません。

いったん裏切りを決めた翁長氏は「見事」でした。
今まで仲井真氏の右腕でであったことなどすっかり忘れたかのように、仲井真氏をリンチする者たちの輪に入って、「それ吊るせ、奴をもっと高く吊るせ!」と叫んでいるのです。
 
吐き気のする光景でした。正義の名の下に、病み上がりの知事を連日のように県議会に呼びつけて糾弾するのが続くのですから。まさにリンチ。

そしてここで知事を守るべき自民党県連まで寝返りの環に加わりました。
当時の自民沖縄県連や国会議員は、県民の「県外移設」という同調圧力に耐えきれなかったのです。
特に翁長親衛隊とでもいうべき那覇市自民党市議団の
新風会は、翁長氏の指揮の基に、保守陣営を強力に切り崩していきます。
当時を知る自民党議員は、「自民党というだけで悪玉扱いだった」と回顧しています。 

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そして翁長氏は一躍島の英雄として念願の知事となり、移設反対闘争を継続するのですが、その少し前に彼が言った言葉が残っています。

「振興策を利益誘導だというなら、お互い覚悟を決めましょうよ。沖縄に経済援助なんかいらない。税制の優遇措置もなくしてください。そのかわり、基地は返してください。国土の面積0.6%の沖縄で在日米軍基地の74%を引き受ける必要は、さらさらない。いったい沖縄が日本に甘えているんですか。それとも日本が沖縄に甘えているんですか」
(朝日2012年11月24日)
http://www.geocities.jp/oohira181/onaga_okinawa.htm

今聞いても、惚れ惚れするような啖呵です。
今のデニー氏にはとてもじゃないが、こんな台詞は言えないでしょうし、言ったとしても一笑に付されるだけのことです。
権力の泥にもっともまみれてきた翁長氏が言ったからこそ迫力があったです。
それにしても、よもや翁長氏の口から「沖縄に経済援助なんかいらない。優遇措置も失くしてください」という言葉を聞くとは思いもしませんでした。
だって翁長氏がしてきたことは、一貫して基地を交渉材料にして、いかに本土政府を自動現金支払機にするかという駆け引きでしたからね。
彼の那覇市長としてやった実績は、那覇軍港移設に伴う港湾整備や、那覇空港拡張といった大規模工事でしたが、これは「新基地」ではないのでしょうか。
この予算を出したのは沖縄県だったとでもいうのでしょうか。
翁長氏
自慢の首里正殿の復旧すら全部本土政府がやったことで、県はおんぶにダッコだったために、管理不充分で燃やしてしまいました。

とまれ、翁長氏には「カネなんかいらない」と言うだけの「凄み」がありました。
そして彼の背後には、奇妙人の見させてくれた「夢」があったのです。
今、それらすべてがありません。

承認を巡ってはすったもんたの末に最高裁まで行った承認問題も確定判決が出ています。
ですから行政的手続きとしては、もうこれ以上どうにもなりません。
そしてなにより、島民がシラけきっています。
全野党共闘のモデルだった「オール沖縄」は脱退が相次ぎ、今や名ばかりです。
先日の衆院選では、共産党がむき出しになっていることを嫌われて2選挙区を落としました。

こんな中で承認拒否と言えばなんとなく勇ましそうですが、昔の熱はミジンも残っていません。
翁長氏が辿ったような道は辿りたくても辿れないのは、「オール沖縄」ですらよくわかっているはずです。

このようにただの二度目の「みじめな笑劇」にすぎないのです。

 

2021年11月25日 (木)

トランプの置き土産、パウエル再任の意味

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世界が注目していた米国FRB議長に、ジェローム・パウエルが再任されました。

「バイデン米大統領は連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長にパウエル現議長を再指名し、ブレイナード理事を副議長に昇格させる人事を行った。米国が約30年ぶりの高インフレに見舞われ、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長引く中で、金融当局の一貫性を重視した。
ホワイトハウスが22日に人事を発表した。バイデン政権は、米経済がコロナ禍から抜け出すのに尽力してきたパウエル氏に報いると同時に、消費者物価の急上昇から景気回復を守る任務を同氏に委ねた。
また、前任の大統領が起用したFRB議長を続投させるという慣例の復活も、今回の人事は意味する。共和党員であるパウエル氏については、上院での承認が円滑に進む公算が大きい。ただ、民主党進歩派は失望しているかもしれない。パウエル氏は1期目の指名公聴会では賛成84票、反対13票で承認された」
(ブルームバーク2021年11月22日)

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ジェローム・パウエル議長
バイデン米大統領、FRB議長にパウエル氏を再任(CNN.co.j

FRBは米国の中央銀行で、金融政策の司令塔です。
FRB議長の金融政策のさじ加減一つで、世界経済が大きく左右されるといっても過言ではありません。
そしてこのFRB議長という要職にトランプが選んだのが、パウエルでした。
パウエルは生粋のリパブリカン(共和党員)で、グリーンニューディールや大規模な財政支出に否定的な態度を示していました。

ですからとうぜんのこととしてグリーンニューディールを主張する民主党左派からは強い反対の声が上がっていたために、バイデンの態度が注目されたわけです。
公聴会の結果は、賛成84票 反対13票という結果で、民主党内の勢力図そのままが投影されてしまいました。
民主党左派は、声は大きいものの議会全体では13%、民主党内では3割ていどの勢力だということがわかってしまいました。

ただし現在の米国下院は定数435で  民主党 (221) 共和党 (213)とわずか8議席の差で拮抗している状態にあり、対決法案が出た場合、キャスティグボートを握るのはこの民主党左派となる可能性があります。
ですから少数派であっても大きな発言力を持っていたわけで、バイデンは本来は中間派でありながら、左派の主張を大きく取り入れた予算案を作りました。

ところが先日記事にしたとおり、この予算案は左派の奮闘努力のかいもなくグリーンニューディールの部分は切り分けられて後回しにされてしまいました。
ここで大勢は決まってしまい、パウエル再任の道が大きく拓けたわけです。 
パウエルがやってきたのは、0~4%程度のマイルドなインフレを意図的に実現するための金融緩和政策でした。
このリフレ政策は主要国の金融政策のゴールデン・スタンダードとなり、わが国の安倍-黒田がとった金融政策の原型です。

よくアベノミクスについて常識はずれというようなことを言う人がいますが、とんでもないデマです。
これこそ世界の中央銀行が景気拡大のためにどこもやっていることで、その総本山がFRB議長のパウエルでした。

今回、問題を複雑にしたのは、コロナ後の経済情勢に予想を超えたことが起きたことです。
なんと米国のインフレが6%にまで高進してしまったのです。
しかも景気過熱によるインフレ高進ではなく、原材料・人件費高騰によるコストプッシュ型インフレですから始末に悪い。
景気が温まってインフレが高進するなら、教科書どおり段階的金融引き締め(テーパリング)をして冷やせばよいのですか、原料コスト圧迫型だとそういうわけにはいかないからです。

「パウエル議長の2期目は、1期目とは大きく異なるものになる。経済は回復しつつあるが、インフレは高進し、新型コロナ感染件数は高止まりしている。サプライチェーンの制約も強い不透明感につながっている。
 こうした状況は、パウエル議長の主導で米金融当局が2020年に公表した新たな戦略に課題を突き付けている。
この戦略の下、当局は従来ペース以上の景気拡大を容認し、それによって雇用と賃金を押し上げることを狙っていた。特に、社会的に取り残された労働者や少数派に恩恵が及ぶことを意図していた。
しかし物価の高騰を受け、米金融当局の引き締め策が後手に回っており、昨年打ち出した金融政策の新たなフレームワークが現在の環境にそぐわなくなっているとの批判も招いている」(ブルームバーク前掲)

米国の場合、コロナ失業に対する手当てが過剰すぎて、職に戻らなくなった労働者が増えて労働力不足になり、コロナで痛んだサプライチェーンによる部品供給の停滞、そして極めつけはカーボンニュートラルによる原油高が追い打ちをかけました。
供給不足によって米国のインフレ率はみるみる6%超え、数字だけ見ればとうに金融引き締めのブレーキをかけねばならない時期なことは明らかでした。

実際、パウエルもこんなことが起きる前までは、金融緩和のアクセルから足を離すからねという金融引き締め(テーパリング)信号を何度か市場に送り続けていたのですが、現在のインフレ高進はあくまでも原材料の上昇に寄るものです。
金利を上げてしまったら、一気に実体経済まで打撃を与えてしまいかねません。
だから、だましだまし、景気動向を冷静に観察しながら、市場と会話しつつ金融政策を操作できる老練なパウエルが再任されたわけです。
まことに賢明な人選でした。
金融タカ派といわれる金融引き締め派が議長になっていたら、たいへんなことになっていました。

さて、パウエルが渋いプレゼントを米国民にしていたことが、先日わかりました。
それはなんと、パウエルはカーボンニュートラルによって衰退を宿命づけられたかに見えたエネルギー部門へ救済の手を差し伸べていたのです。

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WSJ

「石燃料へ資金流入が加速、FRBコロナ救済策で
石油・ガス企業の社債発行が過去最高、FRBの利下げと社債買い入れ追い風に
環境にやさしい政策を推進する非営利の研究・ロビー活動団体ポジティブ・マネーのシニアエコノミスト、デービッド・バーメス氏は「化石燃料部門は長期的に衰退していることが分かっていたが、今はコロナ前より強くなっている」と述べた。
調査会社ディールロジックのデータによると、2020年に石油・ガス企業が発行した社債は過去最高の1988億ドル(約22兆6600億円) と、2013年に記録したそれまでの最高を372億ドル上回った。同セクターの債券発行額は20年間の平均の2倍以上となった。エネルギー価格が上昇している2021年も、発行額は引き続き増加している。
バーメス氏は「各社が生産を拡大したり、買収したりし、それが排出量の増加につながっていると言っても過言ではない」と話した。
FRBは2020年、財務省と納税者の資金に支えられた融資プログラムを立ち上げた。社債を購入するための二つの資金枠と、中小企業への直接融資用の信用枠が設置された。」(ウォールストリートジャーナル2021年11月22 日)
化石燃料へ資金流入が加速、FRBコロナ救済策で - WSJ

パウエルは、エネルギー産業への投資を促すための融資プログラムを作っていました。
この救済策は、石油・ガス産業の社債と中小の掘削業者への直接融資からできていて、再建発行額ベースでこの20年平均の2倍に達する大規模なものでした。
これによって石油・ガス企業が得た資金は過去最大の22兆6600億円に昇りました。
このパウエルの救済策で、今までジャンク債扱いだった石油・ガス関連企業は一気に蘇りました。

「FRBが行動を起こしてから数カ月で、ジャンク(投資不適格)級のエネルギー企業の借り入れコスト(国債との利回り差、いわゆるスプレッドで測定)は、過去最高から過去最低へと大きく振れた。
グリーン・アルファ・アドバイザーズのガービン・ジャブッシュ最高投資責任者(CIO)は、石油・ガス企業の社債はコロナ前には特に高リスクとみなされていたが、FRBの措置によって「通常であれば高リスク企業につきまとう危険性が全て取り除かれた」と話す。「FRBが後ろ盾についたことで、誰もがそうした債券にとびついた」という」(WSJ前掲)

またパウエル救済策を呼び水にして米国大手銀行も追随し、エネルギー企業に大規模な融資を行いました。

「米銀JPモルガン・チェースやシティグループ、ドイツ銀行など金融機関の幹部は、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の今月末の開幕に備えているが、その銀行業界は、グリーンプロジェクト向けとほぼ同額の資金を化石燃料関連事業に提供する手助けを今も続けている。
ブルームバーグの集計データによれば、金融機関は今年だけで石油・天然ガス・石炭セクター向けに総額4590億ドル(約52兆円)相当の社債発行と融資のアレンジを行った」
(ブルームバーク)

このFRBの融資と社債、そして銀行からの融資も含めると、実に4590億ドル(52兆円)もの巨額資金が石油・ガス企業に一気に流れ込んだと見られています。

現在の異常な原油高の原因は、本質的にはカーボンニュートラルという悪い夢に人類が囚われてしまったことにありますが、直接的には30年代で化石燃料廃止というCOPの方針によって、産油国やエネルギー産業が石油事業に投資することを止めてしまったことにあります。
そりゃそうでしょう。あと10数年後には化石燃料全廃という流れを作ってしまえば、そこに投資しようという奇特な人はいませんものね。

石油市場は、「石油の死」を予感してまるでお葬式状態でした。
石油関連株はジャンク債送りとなり、新規投資は途絶えていました。

「現在の石油市場のムードは、まるで「石油の死」を確信したかのような悲観さで満ち溢れています。
石油・ガス企業の株価は3月にOPEC減産合意決裂とCOVID-19の拡大で暴落したあと6月初めまで反発しましたが、その後現在まで下落が続き、3月の大底に迫る水準にあります。
一方、再生可能エネルギー銘柄はコロナショックから現在まで強い上昇傾向を継続しており、過去1年のリターンはナスダック総合指数を上回ります。
1928年から90年以上にわたりダウ工業株30種採用銘柄であったエクソン・モービルは今年8月をもって採用から外されました。
石油メジャーのBPは9月、化石燃料の需要が今後長期的に大幅に減少し、再生可能エネルギーシフトが大幅に進むことを予測するレポートを公表し、エコノミスト誌やフィナンシャル・タイムズは再エネシフトが今後急速に進むとの印象を与える大々的な記事を載せました。
石油の需要は二度と元には戻らず、再生可能エネルギーが化石燃料の市場を奪って独占するという雰囲気が蔓延しています」
(2020年10月12日『「ピークオイル」は需要減ではなく老朽化・投資不足による供給減を指すことになる』)
「ピークオイル」は需要減ではなく老朽化・投資不足による供給減を指すことになる (avocado-fes-thought.com)

そのために新たな原油掘削はことごとく中止となり、既存の掘削井戸すら老朽化で運転停止に追い込まれ、存続もままならない状況に追いやられていました。原油の供給量不足はここから来ています。
下図は石油掘削井戸(リグ)の稼働数推移です。

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「シェールエネルギーは一つの油井から採掘できる原油量が少なく、生産量を増やすためには次々と新しい油井を掘る必要があるため、設備投資の低迷が続くとそう時間が経たないうちに生産量は減っていってしまいます。
カナダのリグ稼働数は7月に大底を打ち、COVID-19拡大前の水準に戻りつつあります。
しかし米国のリグ稼働数は今年8月に大底に達した後、多少の回復はしたもののいまだに大底付近にあることに変わりありません。少なくとも今年いっぱいは生産量が大きく回復することはありません」(同上 図も同じ)

ですから、いくらバイデンが産油国に増産をするように頭を下げてもガン無視され、米国内の石油・ガス・シェール業者からすらなにを今さらと言われてしまったのです。

このような状況を変えるには、エネルギー業界への投資を再活性化するしかありません。
民間の投資が低調ならば、国が替わってカネを出さねばならなかったはずですが、グリーンニューディールを唱えて大統領の椅子に座ったバイデンにできるはずもなく、パウエルが替わってそれを静かに実行していたのです。

前述のようにパウエルFRBは融資の後ろ楯となるだけではなく、中小経営の苦しい業者に直接融資をしました。
これらの資金は欠乏しかかった運転資金の補填だけに止まらず、新たな油田やガス田、シェールガスの開発、老朽化した設備の更新などに充てられていることでしょう。
燃え盛っていた石油高の業火は、ここで一服するかもしれません。

バイデンが石油の国家備蓄放出を各国に促していますが、国家備蓄放出といってもたった3日分ですから、バイデンのやってる感を見せるためのポーズにすぎませんから、効果が限定的なことは初めからわかりきっています。
世界各国も協調して備蓄放出をするようです。

そんな彌縫策よりバイデンがするべきは、カーボンニュートラルからの離脱です。ま、彼には200%むり。
トランプなら初めからノーカーボンなどという罠にはまらなかったでしょうが。

というわけで、こんな備蓄放出などというショボイ政策より、はるかに原油高に効くのは、パウエルのこのエネルギー部門への救済政策なはずです。
備蓄放出すら言われてするようなもっとショボイ政府もありますが、どうにかなりませんか、岸田氏のこの鈍さ。
とまれ、トランプの置き土産であるパウエルが、民を救ういい仕事をしてくれました。


 

2021年11月24日 (水)

日本は自由主義陣営の外交的ボイコットに連携を

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中国というところは、よく人が失踪する土地のようです。
有名な失踪事件としては、中国に批判的な本を出したとして銅鑼湾書店主が、「何者」かによって拉致されたことがあります。

「香港で拉致され中国本土で8カ月にわたり拘束されていた「銅鑼湾書店」の林栄基店長(61)は16日夜、香港で会見し、自殺しないよう歯ブラシも自由に使えなかったなど、24時間の監視下にあった拘束状況を赤裸々に語った。
香港で中国政府に批判的な本を扱う「銅鑼湾書店」の店長など関係者5人が昨年10月以降、相次ぎ失踪。親会社の桂民海氏はまだ拘束中だ。事件は中国が香港の表現の自由に介入している証拠だと、香港で強い危機感をもって注目された。
林氏は昨年10月24日、恋人に会うためいつものように広東省に渡ったところ、深圳市で拘束されたという。翌朝、手錠と目隠しをされた状態で電車で東部の寧波市に連行され、そこで3月まで拘束され尋問された」(BBC2016年6月17日)
https://www.bbc.com/japanese/36557277

では、この香港の民主派書店関係者5名の拉致を実行したのは誰だったのでしょうか。

「林氏は確かなことは分からないが、自分は政府の「特別捜査チーム」に拘束されていたと話した。動かすには中央政府幹部の承認が必要な政府横断的な特別精鋭組織で、その成立は文化大革命までさかのぼるという。当時は毛沢東と対立して失脚した劉少奇など、中国共産党幹部の捜査に使われたとされる」(BBC前掲)

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銅鑼湾書店 林栄基
書店店長の「平凡な香港人」が語る自由の重み | 中国・台湾 | 東洋

林氏を拘束し、軟禁し脅迫したのは共産党中央の承認を得た特別チームだったと、林は見ているようです。
実は、このような失踪者は中国で大勢存在します。
その中で群を抜いて多いのがウイグルと香港で、この数年多くが忽然と姿を消しています。
ウィグル族の失踪は、その全貌すらつかめぬほど膨大な数に登ります。
その多くは、その後何年も連絡もつかないまま、闇に消えてしまったケースが多く、民主派弁護士の高智晟氏のように生死すら不明のケースも多数存在します。

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高智晟弁護士、行方不明になって4年 妻「生死を問わず諦めない

「中国の著名人権弁護士である高智晟氏が失踪してから4年が経過した。米国で亡命生活を送っている妻の耿和さんは、13日の声明で、夫は良心を貫く弁護士であり、生死にかかわらず中国共産党(以下、中共)に夫の所在確認を求め続けると述べている。
ツイッターで公開されたこの声明の中で、耿さんは、夫が拉致されてから4年間音信不通で、夫が生きているという情報もなかったという。「この16年間、私たち家族は世界で最も暗く、最も恥知らずな政権である中共によって引き裂かれてきた」と語った」(大紀元2021年8月17日)

また昨今では民主化活動家に限らず、、中国共産党政府の気に食わない者、あるいは不利なことをしそうな者は片端から「失踪」しています。
武漢ウィルス研究所の主任研究員で、COVID19の謎を最も知り得る立場にあった主任研究員の石正麗も忽然と姿を消したままとなっています。
石の場合、無事だという言葉は伝えられているもののその姿を現しませんし、他の研究所の研究員の消息もつかめていません。

重慶現地で新型肺炎流行の中心地からの悲惨な映像を発信していた方斌と民主派ジャーナリストの陳秋実は、拉致されて行方不明になっていました。

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陳秋実 中国・武漢で行方不明になったジャーナリスト、「国の監視下に」 友人が明かす - BBCニュース

「2人は姿を消す前に、武漢で何十本もの動画を撮影してインターネットに流した。新型肺炎流行の中心地からの悲惨な映像だ。病院の外に続く長い列、衰弱している患者、悲しむ家族たち――。
その映像が特に衝撃的だったのは、それが中国の内側から発せられたものだったからだ。中国では政権を少し批判しただけの内容でも、すぐにインターネットから削除され、それを公開した者はたいてい罰せられる」(東経2020年2月22日)

2018年には有名女優の一人、ファン・ビンビン(范冰冰)が約4カ月にわたって行方をくらまし、安否が危ぶまれ、この失踪も中国共産党大物王岐山国家副主席との関係だとされています。

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中国の女優ファン・ビンビンと王岐山国家副主席

「デイリー・メールによると、マイルス・クウォック(Miles Kwok)という名前でも知られる郭文貴氏は2017年、少なくとも2本の動画をインターネットにアップし、ファン・ビンビンさんが長きにわたって王国家副主席と不倫関係にあると告発した。郭氏はまた、ファンさんが賄賂を渡すことで、経済的な恩恵を受けていたと指摘したという」(ビジネスインサイダー2018年9月7日)

この失踪は中国政府からエンターテインメント業界全体に対して示された、「警告」だと考えられています。

また財界でも、昨年、中国の電子商取引大手アリババ・グループの創業者で富豪のジャック・マー(馬雲)が、3カ月近く消息不明になっています。

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ジャック・マーだけではない、中国から「消えた富豪」たち

マーの場合、習の第2文革路線による経済界への締めつけの生贄とされたと見られています。
マーは政府当局の経済運営に対して批判しており、拉致はこれに対する「警告」だというわけです。
この他にも失踪した富豪はかなりいるようです。

「マー以外にも、中国共産党を批判して公の場からしばらく姿を消したビリオネアは複数存在する。2015年12月には、大手コングロマリット「復星国際(Fosun International)」の創業者兼会長である郭広昌(Guo Guangchang)が消息を絶ち、ソーシャルメディアには、郭が上海の空港で警察に連行されたという目撃談が投稿された」(フォーブス2021年1月9日)

彼ら失踪者に共通するのは共産党を批判するか、共産党の暗部を知ってしまってそれを社会的に告発しようとした、あるいは当局の方針と異なったことです。
彼らは数カ月後にはどこからともなく姿を現しますが、以後はアリババのマーのように拉致の脅迫に屈してひどくおとなしくなってしまうようです。

今回、失踪した彭帥(ほう・すい)さんは、共産党の大物である張高麗元副首相と不倫関係にあったとツイッターに投稿した後、姿を消しました。
このような多くの無辜の人たちの拉致失踪事件の流れのなかで、今回の事件を見ねばなりません。

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中国でテニス選手の彭帥が、元副首相の張高麗から性的暴行を受けたと微 ...

彼女は中国を代表するテニスプイヤーですが、張から性的暴行を受けて、その後に愛人となったと告発していました。
まさにMeTooそのものの事件で、これが事実なら張は強姦、ないしは準強姦罪を問われねばなりません。
このツイートは十数分後に削除され、彭帥さんも失踪してしまいました。
消された彭帥さんのツイート全訳はこちらからどうぞ。
ツイートといってもそうとうな長文で、関係について詳しく書いてあります。
※近藤大介『〈全訳掲載〉中国有名テニス選手が暴露、前副首相との不倫の来歴』
https://news.livedoor.com/article/detail/21138465/

それがなんと突如としてリモートで出現したというのですから、なんともかとも。
それも、今まで彭さんの行方を探していた国際女子テニス連盟との電話会談ではなく、この事件とはまったく無関係なはずのIOCのバッハ会長との間でしたから、さらに紛糾することになります。

「国際オリンピック委員会(IOC)で古参のパウンド委員(カナダ)は、中国共産党最高指導部メンバーだった張高麗(ちょう・こうらい)元副首相と不倫関係にあったと告白した女子テニス選手の彭帥(ほう・すい)さんの安否が懸念されている問題について、IOCが中国に厳しい姿勢で臨む可能性が出てくるとの見解を示した。ロイター通信が19日、伝えた。
来年2月に北京冬季五輪が控える中でスポーツ界でも中国の人権問題に関して、危機意識が高まっている。
パウンド氏は「この件が良識ある方法で早急に解決されなければ、制御不能になるかもしれない」と指摘した上で「五輪の中止にまで(事態が)悪化するとは思えないが、分からない」と述べた」(共同

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IOCバッハ会長が彭帥選手とテレビ電話で無事を確認。北京五輪を控え

このバッハとのリモート会談には疑問が数々あります。
ブルームバークはこのような声を紹介しています。

「中国の女子プロテニス選手、彭帥さんが張高麗元副首相との長年の性的関係を告白してから消息不明になっていた約2週間、国連やホワイトハウス、女子テニス協会、一部の有名スポーツ選手は彭さんの安否に懸念を表明していた。そして、身の安全を主張する中国当局の公式見解には懐疑的だった。
一方、来年2月に北京冬季五輪の開催を控える国際オリンピック委員会(IOC)は違ったようだ。IOCは21日、バッハ会長と彭さんによる約30分間のビデオ通話を行い、中国側の主張を支えた。ビデオ通話にはIOCアスリート委員会のエンマ・テルホ委員長と中国のIOC委員を務める李玲蔚氏も同席した。
しかしIOCは、重要な懸念事項については言及しなかった。なぜ他の人は彭さんと連絡が取れないのか、彭さんは自由に移動できるのか、なぜ自身のソーシャルメディア「微博(ウェイボ)」のアカウントに投稿しないのか、なぜ独立系メディアとは話そうとしないのか、などだ」
(ブルームバーク11月23日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-11-22/R2Z6F3DWLU6B01

まず、彭さんがテレビ会談した相手になぜIOCが選ばれたのでしょうか。
彭さんはテニス選手であって、冬季五輪には無関係なのに,なぜバッハがしゃしゃりでてきたのか解せません。
そうでなくてもこの人物は、東京五輪の際には朝鮮半島南北統一チームをつくらせようと画策し、森会長から拒否されたこともある人物です。
元来政治的な動きが好きなバッハが、冬季五輪の開催国である中国となんらかの意思疎通があって、このテレビ会談を実現させたのは、まず間違いないところです。

「北京五輪開催まで70日余りとなった今、IOCの声明は彭さんの状況についての疑問を増しただけでなく、五輪の経済的な実行可能性を守ることが最優先というIOCに対する評判を裏打ちした格好だ。
米パシフィック大学のジュールズ・ボイコフ教授(政治学)は「IOCは中国との協力については長らく、故意にだまされやすいところを見せてきた」と指摘。五輪に関する著書4冊を執筆した同教授は「IOCは基本的に開催国に敬意を払い過ぎている。中国で起きていることに関する難しい真実を持ち出した市民を消すという長年の実績がある国に対してだ」と語った」(ブルームバーク前掲)

また、環球時報が奇妙な動画をツイートしていますが、不必要に日別を言わせるなと嘘臭いシロモノです。
中国外務省の「戦狼」外交官こと趙立堅はこんなことを言っています。

「【北京時事】中国外務省の趙立堅副報道局長は23日の記者会見で女子プロテニス選手、彭帥さん(35)の状況をめぐり海外で懸念表明などの反応が相次いでいることに対し、「一部の人たちに悪意のある宣伝をやめるよう望む。政治問題化してはならない」と主張した」(時事11月24日)

当然のこととして誰もこんな中国の小細工など信用せずに、かえって中国に対する疑惑を決定づけることになってしまいました。

【ロンドン=板東和正】中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権問題をめぐり、中国政府の制裁対象となった英保守党のイアン・ダンカンスミス元党首が産経新聞のオンライン取材に応じた。同氏は来年2月の北京冬季五輪について「法の支配や人権を支持していない中国に、国際的なスポーツの祭典を(開催する権利を)与えるべきではない」と指摘。日米欧などは北京五輪に首脳や政府使節団を送らない「外交的ボイコット」を連携して実施するべきとの考えを示した。
ダンカンスミス氏は2020年6月、日米欧などの議員らが中国政府による人権侵害などを監視する「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)の設立を主導。IPACの加盟国は欧米を中心に約20カ国にのぼり、米共和党のマルコ・ルビオ上院議員や中谷元・元防衛相ら各国の対中強硬派が参加している」
(産経11月23日)

また、米国はメディアが大きく取り上げ、バイデンも外交的ボイコットの実施を検討していると表明しました。

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米 ペロシ下院議長 北京五輪「外交的ボイコットを」(2021年5月20日

「ジョー・バイデン米大統領は18日、中国・北京で来年2月に開かれる2022年冬季オリンピックを、アメリカが外交的にボイコットすることを検討していると述べた。
外交的ボイコットは、政府関係者をオリンピックに派遣しないことを意味する。
バイデン氏はこの日、メキシコとカナダの首脳らとの協議を前に、「それが今検討していることだ」記者団に語った。
アメリカでは与野党の議員が共に、中国の人権侵害に対する抗議を示すとして、外交的ボイコットを求めている。(略)
米上院では先月、政府代表団の北京冬季五輪への参加のために国務省の予算を使うことを禁止する修正法案を、議員らが提出した。
与党・民主党の最有力者であるナンシー・ペロシ下院議長は、北京冬季五輪の外交的ボイコットを要求している。同五輪に参加する米指導者は「道徳面での権威」を失うだろうとしている。
共和党のトム・コットン上院議員は18日、「集団虐殺オリンピック」の外交的ボイコットでは「弱すぎるし、遅すぎる」と主張。すべての選手や関係者、米スポンサー企業らを含めた完全なボイコットが必要だとした。
ドナルド・トランプ前大統領の政権で国連大使を務めたニッキー・ヘイリー氏も、全面的なボイコットを呼びかけている 」
(BBC2021年11月19日)

おそらく英国、欧州連合(EU)などを加えた自由主義陣営各国は、揃って外交的ボイコットを実施すると見られています。
トランプならば外交的ボイコットではなく、全体のボイコットをしていたはずですが、バイデンは腰が引けています。

バイデンは習との直接会談でもこのことを問いたださそうとせず、「古い友人」という不名誉な勲章すらもらってしまいました。
しかし今や、バイデンの思惑を超えて、北京五輪への抗議の声は、国際社会に充満しています。
自由主義国家群は、揃って外交的ボイコット、いやその先の完全ボイコットまで発展しかねない様相です。
なぜならこの彭帥さん事件は、民主主義の根幹にある価値観を問う問題だからです。

中国共産党は、中国共産党政権を批判することは、とりもなおさず中国を批判することだと見なし、中国共産党=中国という姿勢を保ってきました。
その結果、現政権を批判する声は、「反中国」「反民族」というレッテルを張られ、そして時には銅鑼湾書店やこの女子テニス選手のように失踪という目に遭遇してきました。

それにしても、政府の要人に不利なことを発言しただけで失踪してしまう国家で行われる「平和の祭典」とはなんなのでしょうか。
岸田氏と林氏は、この問題が問うている本質がなんなのか、自らに問うてみることです。
王毅は林外相に訪中を要請しましたが、それは自由主義陣営の最も弱い環だと日本が思われているからです。
こんなあからさまな分断工作に乗るほど馬鹿だとは信じたくはありませんが、道は限られています。
かつての自民党のように「中国の古い友人」に戻るのか、毅然として自由主義国の友邦と共に民主主義のために戦うのか、選択肢はふたつしかありません。

 

2021年11月23日 (火)

オールド自民党が蘇ったのか?

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おーい、岸田さーん、そっちへいったらダメだよ~。
今日は、環境運動家と中国の隠微な関係について書くつもりでしたが、こちらを先に。

岸田政権の意識下に眠っていた「オールド自民党」の地金が早くも目を覚まそうとしているようです。
私がここで「オールド自民党の地金」と呼ぶのは、相手国と対立関係に入りそうになると、原則を放棄してズルズルと相手におもねり、国益に反する妥協点を自ら差し出してしまうような外交姿勢です。
自民党は、冷戦期から一貫してこのような強きになびき、弱きに安んじてしまうあいまい外交を得意としてきました。

相手国と対立軸が出来そうになると、自分から相手にすり寄る妥協案を作ってしまい、それをあらかじめ落とし所にするような卑しい習性は、特に中韓相手にいかんなく発揮されましした。
それは初めは贖罪意識から始まり、やがて利権に結びつきました。
特にリベラル左翼が党執行部を握った前世紀最後の10年間は、河野談話など後々禍根を残す妥協を積み上げた結果、かえって中韓に自民は居丈高にふるまえば必ず妥協してくるという誤った認識を与えてしまいました。
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ハーバート・マクマスター 中央
先日、韓国を訪れた元ホワイトハウス国家安全保障補佐官のマクマスターはこう述べたそうです。

「マクマスター氏が軍将軍出身で直説話法に慣れているといっても、元ホワイトハウス高官が韓国政府の北朝鮮へのアプローチ法を公開批判したのは異例だ。
これは任期末の文政府の対北政策に対する米国一般の見解を示しているという観測だ。
マクマスター氏はこの日、「北朝鮮を交渉に参加させるために譲歩し、交渉が進んで挫折感または脱力で成功の見込みがないのに譲歩に譲歩を繰り返したあげく非常に弱い合意に到達する。
北朝鮮は経済的な見返りを取りまとめると同時に合意に違反し、再び挑発→譲歩→合意の違反サイクルを始める」として批判の根拠を説明した」(中央日報2021年10月16日)

このような北への際限のない宥和姿勢をマクマスターは「狂気の沙汰」と呼んだとのこと。
米国人でなければ、こんな率直な物言いはしません。
かつてルトワックは北のミサイルの射程内にソウルがあると言って言を左右する韓国に、「ならばさっさとソウルを引き払って中部に移転させろ」と直言したそうですが、マクマスターもさぞかしウップンが溜まっていたのでしょうね。
韓国が、このような米国人の直言を友情溢れるアドバイスだと感じなければ国を滅ぼします。

同じように「譲歩し、交渉が進んで挫折感または脱力で成功の見込みがないのに譲歩に譲歩を繰り返したあげく非常に弱い合意に到達する」ことを、韓国と中国に対してやってきたのがわが国です。
韓国が日本に対する竹島、慰安婦問題、日本企業への補償請求等々、あらゆる場面で同じことを繰り返し、同じ成果を期待するようになったその理由は日本のこの「狂気の沙汰」の外交姿勢にあるのです。
それにしても、韓国は北にシッポを振り、その北は中国に頭が上がらない、わが国といえはこんな韓国にいいように引き回されて、常に譲歩を繰り返してきたとすると、なんだ日本は東アジアの食物連鎖最下位ではありませんか。

さて、韓国側は岸田政権で、再びこの宥和外交が戻って来ると信じているようです。
韓日議員連盟傘下の「朝鮮通信使委員会」所属の韓国国会議員らは、11月18日に訪日し、東京で日本側の日韓議連に面会し、「日本では岸田文雄内閣が発足し、韓国では来年春に新政権がスタートする」とし「新しい酒は新しい革袋に盛れというが、新政権発足の機会を両国が賢く活用する必要がある」と述べたそうです。
そして日韓議員サッカー大会をするのだとか。もう呆れてものが言えません。
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聯合
「鄭氏は超党派でつくる韓日議員連盟の朝鮮通信使委員会の委員長で、同委に所属する与野党の議員5人を率いて16日から20日の日程で訪日している。
鄭氏が日韓議員連盟の会長代行で元衆院副議長の衛藤征士郎氏に大会の開催を提案したところ、快諾されたという。
 W杯の韓日大会の開会式が行われたソウルワールドカップ競技場と、閉会式が行われた横浜国際競技場を使ってホームアンドアウェー方式により、来年の春と秋の開催を推進するという。
鄭氏は昨年5月から「国会議員サッカー連盟」の会長を務めており、同連盟には現在、与野党の議員60人が所属している」(聯合11月17日)
こんな愚かな「親善」外交が中韓との関係をいっそうこじらせ、日米関係を不安定にさせてしまっていたのは、ご承知のとおりです。
このオールド自民党のDNAは宏池会系に強く温存され、世上では岸田氏も安倍外交からの脱却を狙っているとささやかれていました。
私はといえば、岸田氏については出自で見ずに、是々非々で判断することに決めていましたから、お手並み拝見といったところでした。
まぁ岸田氏は安倍氏の外相として5年外交を支えた人だというのが保険だと思っていたんですがね。
ところが、いきなりやって頂いたようです。
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産経 林芳正外相

たしかにその予兆はありました。
人もあろうに日中議連会長の林芳正氏を外相に据えた段階で、おいおいこんな露骨な中国へのすり寄りをするのかい、と誰しも思ったでしょうが、次に出てきたのが人権法案に対しての消極的、いや有体に言ってやる気ナッシングという岸田氏のこの姿勢でした。
「岸田首相は『日本版マグニツキー法』の制定を当面見送る方針を固めた」「外為法など既存の法律を活用し、資産凍結や入国制限を可能とする方策を検討する。対中外交の選択肢をより多く残しておく狙い」「新法制定で中国を過度に刺激するのを避ける」「岸田政権の姿勢に欧米各国の理解が得られるかも焦点」(共同11月16日)
習を「神」と戴く中国共産党政権による人権弾圧は、100万人以上のウイグル人を強制収容所に送り込み、ウィグル族を抹殺するところまで進行しています。
チベット人やモンゴル人も同じく人権侵害に苦しみ、香港からは自由と民主主義が一掃されました。
欧米が五輪の外交的ボイコットという制裁に踏み切る中、わが国だけが中国擁護に回ったと思われても致し方ないことです。

このフニャニャけた岸田政権と対照的に、時を同じくしてオーストラリアはこのような態度を鮮明にしました。

「【シンガポール=森浩】オーストラリアが台湾有事の際、米国と共同歩調をとる姿勢を示した。豪州は米英と安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設するなど、中国を念頭にインド太平洋地域の安定に関与する姿勢を強めている。
国内には対中融和論もある中、台湾への軍事行動を座視しない姿勢を鮮明にし、中国の動きを牽制(けんせい)した形だ。
ダットン国防相は12日付の地元紙オーストラリアン(電子版)のインタビューで、米国が台湾防衛のために軍を投入した場合、同盟国である豪州がその軍事行動に参加しないことは「考えられない」と述べた。
「高いレベルの準備と、より大きな抑止力を確保する必要がある」とも話し、中国への対抗を念頭に軍備増強を進める意向も示した」(産経2021年11月18日)
豪州、台湾有事なら米国支援 中国を牽制 - 産経ニュース (sankei.com)

方やオーストラリアが、中国が台湾に進攻すれば米軍と共に戦うと明言しているという時に、わが国は外相が中国に友好の旅にご出発ですか。
私は絶望的に呆れました。話が違うじゃないですか、岸田さん。
岸田氏は総裁選で日本版マグニツキー法に賛成する姿勢を示し、人権担当首相補佐官まで設置すると踏み込んだ公約をしていたはずです。
中国に毅然とした態度を取ると言った口がまだ乾かないうちにこれですか。

「人権外交議連の副会長を務める自民党の山田宏参院議員は「日本政府が示すべきは、中国の人権弾圧に対する『明確な姿勢』だ。欧米と共通する『自由』『民主』『人権』といった価値観に基づき、行動しなければならない。共同通信は『外為法など既存の法律を活用して…』と報じていたが、日本には『人権』で横軸を入れてペナルティーを科す法律はない。既存の法律での対応とは似て非なるものだ。中谷氏も補佐官になった以上、法整備に向けて努力してほしい」と強調した」(ZAKZAK11月18日)

人権法の補佐官にいままで人権法議連会長の中谷元氏を当てたときには、私はてっきり今秋国会で通すのだとばかり思っていましたが、その中谷氏もこのザマです。

「第2次内閣発足を受けた10日の記者会見では、新法制定について「超党派の議論も続いている」と明言を避けた。中谷氏も15日のBS日テレ番組で「(新法制定は)簡単にはいかない」と慎重な姿勢を示していた」(ZAKZAK前掲)

はっ、やる気ないね、中谷さん。
「超党派の議論」ウンヌンじゃなくて、林外相、いや岸田首相本人からストップがかかったんじゃありませんか。
なんですって、「対中外交の選択肢をより多く残しておく狙い」ですって、ご冗談を。
人権法こそ、対中、対北外交に「新しい選択肢」を与えるものであって、話が逆です。
結局、本音は「新法制定で中国を過度に刺激するのを避ける」ってことでしょう。
出ましたね、強きに弱く、媚びへつらうという宏池会体質が。

そしてとうとうこんなことを林外相は言い始めました。
「林芳正外相は21日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時30分)に出演し、中国の王毅国務委員兼外相から中国訪問の要請があったことを明らかにした。
18日に電話会談した際に、招待されたという。
具体的な日程については「現段階でまだ何も決まってない」と述べた。
外務省幹部はFNNの取材に林外相の訪中について検討に入ったことを明らかにした」
(FNN11月18日)
林外相は訪中を検討しているということですが、台湾進攻が現実のこととしてあるこの時期に、最初の訪問国に中国を選ぶというのがいかなる外交的シグナルか子供でもわかりそうなものを。
もし仮にこんなことを実行するなら、私はオールド自民党が蘇ったと判断せざるを得なくなります。

 

 

2021年11月22日 (月)

中国を問わないCOPは無意味だ

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今度のCOP26を見ていて、やれやれと思われたのは私だけではないでしょう。
CO2人為説が正しいのかどうかは、とりあえず置きます。そこにこだわると先に進みませんので。
問題は仮に世界宣言を出したとしても、かんじんのこの会議に世界の政府を招集した目的であるCO2は削減できないからです。

理由は知れたこと。
最大のCO2排出国が我関せずでいられるような会議だったからです。
中国は掛け値なしに世界最大のCO2排出国です。
ですから中国がCO2を抑制さえすれば、なにも世界の政府が自国の経済を破壊しかねない取り決めをする必要などそもそもなかったからです。

データーを押えておきましょう。
まず中国は世界のCO2排出量の3分1を占める巨大排出国です。

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トップは中国、世界の3割近く…世界の二酸化炭素排出量の実情を

環境NGOはわずか排出量比率3.2%の日本や、1.2%のオーストラリアに化石大賞を与えて悦に言っていましたが、なにを見てそういっているのやら。
日本がいくら2030年までに26%減らして、そのために日本が常に大停電の脅威にさらされ続けたとしても、世界全体のCO2はこれっぽっちも減らないのです。

そして中国は世界一の石炭依存大国です。
中国のエネルギー源比率((2019年現在)で、石炭は57.7%、発電ベース比率で62.1%です。
これだけ石炭に傾斜したエネルギー源を持つ国は、インドを除いては世界にはありません。

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主要国の一次エネルギー消費構成と自給率|データ集|一般社団法人

上図の黄色が石炭です。中国は下から3番目にあるのでよく見て下さい。
圧倒的に世界一の石炭依存度で、わが国の3倍に達しているのがわかりますね。

またエネルギー消費の増加率においても世界一です。

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世界のエネルギー消費量上位10カ国 堀井伸浩氏による

中国と米国が圧倒的な消費量で、米中のエネルギー消費だけで世界全体の4割を消費しています。

「折れ線で示したのは2000年時点での消費量の合計であるが、棒グラフと比較してみることで、中国の2000年代のエネルギー消費量の急増ぶりが際立っていることが理解できる。中国はこの10年間で、ド イツ以下、2010年時点の世界の第5位から第10位の国々のエネルギー消費量を足し合わせた量とほぼ匹敵するエネルギーの消費を増加させることとなったのである。中国はまさに、この2010年にアメリカを抜いて世界最大のエネルギー消費国となった」
(堀井伸浩『2000年代に進んだ中国エネルギー問題の構造変化』
産業経済論から中国のエネルギー問題の深層を照らす(その1)2000年代に進んだ中国エネルギー問題の構造変化

ちなみにわが国はインドの下で第5位です。
この10年間、先進自由主義諸国はエネルギー低消費型産業構造に転換しましたが、中国はエネルギー大量消費型の産業構造のまま経済成長を続けた結果が、これです。
すでに10年前の2010年には中国は米国を抜いて世界最大のエネルギー大量消費国となっています。

とうぜんのことながら、輝く石炭輸入世界一です。

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中国石炭輸入推移 同上

「近年、更に大きな変化があった。主要エネルギーである石炭についても、中国は輸入を急増させているのだ。
(上図のように)2009年に石炭の輸入量は突如急増し、2010年も引き続き増加している。2 011年には中国の石炭輸入量は1億8240万トンとなり、長年、世界最大の石炭輸入国であった日本の1億7522万トンを上回り、世界最大の石炭輸入国となった」
(堀井前掲) 

ですから、CO2排出問題とは中国問題であり、中国の規制を問わないCOPなどいくら開いても無意味なのです。
オーストラリアが石炭を輸出しているから化石大賞なら、それを買っているほうを問わないでどうなるのでしょうか。
いずれにしても、中国を度外視したCOPなど、たとえ何百回何千回開いても無意味なのです。

ところが、唾を吐きかけられたわが国やオーストラリアと違って、中国の評価は環境NGOにはすこぶるよいようです。
いやそれどころか、こう環境活動家らは中国を褒めたたえています。

「例えばグリーンピースは「持続可能性を優先したことは、世界における中国の遺産を確固としたものにするであろう」と述べた。世界自然保護基金(WWF)は、「習主席が発表した新たな目標は、世界の温暖化対策を一層強化することについての、中国の揺るぎない支持と断固とした措置を反映している」と述べた。天然資源保護評議会(NRDC)のバーバラ・フィナモア氏は『中国は地球を救うか』と題した本を執筆して中国の環境対策を賞賛した」
(パトリシア・アダムス『紅と緑・中国の使える愚か者』
https://www.thegwpf.org/content/uploads/2020/12/Green-reds.pdf

そしてアダムスはこうも述べています。

「環境NGOは中国での活動を許されている。だが共産党政府は、彼らの中国での活動を監視し、コントロールをする権限があり、環境運動が政府への批判や民主化運動に転じることを阻止している。
 環境運動家は、中国が「地球を救うという大義」を掲げさえすれば、南シナ海での中国の侵略や本土での人権侵害に目をつむってしまっている。
諸外国から非難を浴び続けている中国にとって、環境運動家が好意的であり賞賛を惜しまないことは、貴重な外交的得点になっている。環境運動家は、共産党の応援団となっており、その危険性から注意をそらすのに役立ってしまっている。だからこそ、中国は欧米の環境運動家を喜んで受け入れている」(アダムス前掲)

 この中国に大甘どころか、いまや翼賛集団と化した環境NGOが大きな影響力を持っているのがこの気象変動の分野なのです。
これは同じNGOでもアムネスティなど人権運動家が中国国内の活動を禁じられているのとは大きな違いです。
そう考えると、中国が敵視する日本やオーストラリアになぜ化石大賞を送る一方で、中国を礼賛したのかのかそのワケが見えてくるようです。
これについては次回に続けます。

 

2021年11月21日 (日)

日曜写真館 川水は海へ天へと 雷雨へと

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風が沁むから 抱き合う 波止場の突端です 伊丹三樹彦

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繋ぐ 下ろす 担ぐ 運ぶ みな東風の波止場 伊丹三樹彦

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老移民 波止場の寒の水を飲む 伊丹三樹彦

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杖の古老曰く 島を出るため波止場はある 伊丹三樹彦

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目が合うて波止につきくる羽抜鳥 小関 芳江

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上衣棄てた球勢 波止場のミット音 伊丹三樹彦

 

伊丹三樹彦と山頭火にはまっています。
二人とも私のヘボ写真に対応してくれませんので、ひとつお許しを

 

2021年11月20日 (土)

まだ言っているのか、沈むツバル

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連日グラフ漬けですいませんでした。
気象変動はグラフなしでは説明できないもので。
とりあえず今日が最後になります。

私が言いたいことを一言で要約すれば、まだよく分かっていないことに勝手に結論をつけ、あまつさえ世界全体がひとつの方向に走り出すな、ということです。
地球気候システムはほとんど未知の分野であり、研究途上だということは科学者自身が認めていることです。
来週の天気予報もはずすのに、どうして100年後の地球の気候を予測できるのでしょうか。
雲の動きのメカニズムさえ解明しきれていない人類に、そんな能力はありません。

したがってすべて仮説です。それもなんどとなく言ってきたように、仮説には多数あります。
にもかかわらず、なぜかもっとも人類の生活に打撃を与えるCO2人為説という説だけを意図的に取り出して普遍的正義として、世界で脱炭素に走りました。
人類のもっとも古いエネルギー源の一つである石炭を全廃しようというのですから、行き過ぎも度いいところです。
国によって半分以上のエネルギー源を石炭に依存しているというのに、それを取り上げてしまうことがいかに恐ろしいことなのか。

ところで、かつて気象変動の証拠として取り上げられた現象の大部分は、その後の調査で否定されています。
結局、検証に耐えないプロパガンダだったの
です。
そのひとつにツバルがあります。
今回のCOP26でも、温暖化の被害者として登場したのが、またもやこのツバルでした。

石炭や石油などの化石燃料からの脱却が主要議題となる中、産油国のサウジやロシア、石炭産出国オーストラリアなども「針のむしろ」状態だった。国際環境NGO「CAN」は温暖化対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」をCOP26期間中に6回も受賞した豪州を「化石大賞」に選出した。
 水没の危機にある太平洋の島国ツバルのパエニウ財務相は、「ツバルは文字通り沈んでいる。行動が今すぐに必要だ」と涙ながらに各国代表団に訴えた。しかし、温暖化の影響を直接受ける国々の切実な呼び掛けも、こうした主要排出国の行動を大きく変化させるには至らなかった」(時事11月14日)

ツバル外相はひざまで海に漬かって演説をしました。

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「南太平洋の島国ツバルの外務大臣が、膝まで海に浸かりながらスピーチし、気候変動の緊急性を訴えた。
このスピーチは、イギリス・グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)のために、首都フナフティのフォンガファレ島で撮影された。
海抜が低いツバルは、地球温暖化の影響を最も大きく受けている国の一つで、海面上昇による水没の危機にさらされている。
この状況を伝えるために、スーツとネクタイ姿のサイモン・コフェ外相は、ズボンの裾を膝丈までまくり上げた状態で海の中の演台に立ち、各国のリーダーたちに語りかけた」(2021年11月9日ハフィントンポスト 上写真も同じ)
https://news.goo.ne.jp/article/huffingtonpost/world/huffingtonpost-6189c8c2e4b06de3eb79909b.html

さて地球温暖化説を唱えるIPCCは、北極やヒマラヤの氷河が溶けているだけではパンチに欠けると思ったのか、既に海水面上昇で南太平洋の島々が沈下して住めなくなっている、難民が沢山でるぞと叫びました。
この話は、やがてオランダは水没,東京も半分水没、バングラディシュ水没と、どんどんと尾ひれがついて膨らんでいきます。
その最初の人間の住む地域の水没の例としてIPCCが訴えたのが、「沈み行くツバル」でした。

いつの間にかツバルは、地球温暖化の悲劇のシンボルになっていたわけです。今でも環境省のHPには大きくツバルが乗っています。(※欄外に転載しました)
ほんとうに温暖化による海水面上昇によってツバルは沈んでいるのでしょうか?

結論から言いましょう。していません。上がったのは海面ではなく、逆にツバルのほうが珊瑚礁の圧壊で沈んだのです。

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South Pacific Sea Level and Climate Monitoring Project

まずは上図オーストラリア政府のSPSLCMP(南太平洋海面・気候モニタリングプロジェクト)のデーターをご覧頂きたいのですが、ツバルでは1mどころかわずか75㎜の海水面上昇しか計測されていません。
この記録は、ツバル近海のフナフチ環礁で1993年5月から2006年5月までの13年間の記録の累積の総計です。
つまり表の右から2番目のトレンド(傾向)の毎年の観測数値を13年間分足してみると75㎜となったというわけです。

1年間に75㎜だとすると、確かに危険な数字ですが、あくまでも13年間の総計です。1年にすると1㎝にも満たないわけです。
ですから、このデーターの見出しの書き方は、やや誤った印象を私たちに与えてしまいますので、ご注意のほどを。くどいですが13年間のトータルの数字です。

もうひとつグラフを出しましょう。下図はオーストラリア気象庁の公表データかあります。これは1993年からツバルの首都フナフチを測ってきた16年間のデータです。

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どう見ても横ばいです。これを見てどうしてツバル周辺海域で海水面上昇が発生したといえるのでしょうか。 

3枚目にハワイ大学の観測記録を載せておきましょう。下図は1977年から99年までの23年間の計測データですが、上昇は0.9㎜で1㎝にも満たない数値です。 
科学の世界では、複数の公的機関が10年以上の長期で継続して計測したデータが、一致して同じ結論を出した場合にはそれを有意として扱います。

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英文でTuvaluと検索するといくつかの英文の論文にヒットしますが、その中でサリー・バリューナス博士の「ツバルは沈んでいるのか?」という論文をご紹介します。 
この論文はふたつに分けられ、前半でツバルの海水面のデーターを見ています。そして後半はその原因を考えています。
博士は、ポセイドン観測衛星の記録から海水面は約10㎝落ちていると報告しています。
 

また1978年以来の潮位記録から、1997年~98年のエルニーニョ(4年に一回発生します)には約30㎝も潮位が落ちているそうです。 
このようにエルニーニョは、太平洋を取りまく島々の海流や気圧に大きな影響を与えている最大のものです。  
博士は、オーストラリアの潮位観測の責任者であるウオルフガンシェーファーさんの意見も取り上げています。
この中でシェファーさんは「海水面の上昇があるという観測データーはどこにもない」と断言しています。
どう考えても、13年間で最大58㎜、最小で0.9㎜ていどの海面上昇でひとつの島の沈下が引き起こされると 考えるほう無茶ではないでしょうか。 

さて、この1㎝にも満たない海面上昇で、いかに海抜1mのツバルといえど果たして海に沈むでしょうか?
考えるまでもなく、そのようなことはありえません。
ツバル沈降の主要な原因は隆起珊瑚礁の浸食なのです。
沖縄の八重山に行くと、同じ隆起珊瑚礁ですから、少しずつ削られていくのが目でみえる地点がいくつかあります。
これは別に隆起珊瑚礁のみならず、海岸淵の岩場に行ってみれば同じような浸食が見られます。
世界で年間70㎜ていどの浸食を受ける島などザラですから、このていどの島の沈下で沈むツバルのほうが特殊なのです。

ツバル沈降の原因について、大阪学院大学教授で、太平洋諸島地域研究所理事の小林泉先生は以下のように指摘しています。
このミクロネシアを知悉した小林先氏の意見は、私にもしごく妥当に思われます。

①日本より稠密な人口密度が、狭いツバルの、しかももろい隆起珊瑚礁を圧壊している。
②アメリカ型の生活スタイルの定着によりペットボトルなどのゴミの散乱など島の環境破壊が進んでいる。
③滑走路の水没は、かつての米軍のいいかげんな工事のためである。

また、この調査をした南太平洋海面・気候モニタリングプロジェクトのプロジェクト・マネージャーのフィリップ・ハル氏は、このような海水面上昇は10年ではまだ短く、20年以上といった長期の観測が必要であると語っています。
原因として、エルニーニョなどの異常気象を挙げています。

2002年のオーストラリア政府の発表によると、1978年~2001年の期間に、ハワイ大学とAustralian National Tidal Facility (NTF)の共同研究では、データーの欠損を認めつつ、ツバルの首都フナフチ環礁での海面上昇は約1㎜程度であり、危惧する必要はないという意見を出しています。

沈下面積が増えるツバルの皆さんには大変に言いづらいことですが、公平に見て、島民の苦難とは別に、その原因は地球温暖化にはないと思わざるを得ません。
こんなばかなことが起きたのでしょうか。それについて海水面研究の世界的権威であるストックホルム大学メルネル教授はこう言っています。

「第3次、第4次IPCC報告書には海水面上昇の専門家がひとりもいなかった。報告書を書いたのは、現地の観測者ではなく、ただのコンピュータ計算屋があらかじめ決まった南太平洋諸島水没モデルにあわせてモデルを作っただけだ」

なんのことはない、IPCCがもったいぶって出した報告書で、ツバル現地で計測していた人間はおろか、海水面の研究者すらいなかったのです。
まったくひどい話です。このような現場で長年観測をしてきた科学者の知見を無視して、コンピュータのモデル計算だけで済ますという悪しき体質がIPCCの気象屋にはあるようです。
そのために、局地観測者や海洋観測者の中はIPCCに強い不信感を持っている人が多いようです。

たとえば、オーロラ観測の第一人者であるアラスカ大学赤祖父俊一教授、海水面研究の第一人者ストックホルム大学メルネル教授は共に、地球温暖化説の強い批判者です。
IPCCはほんとうにツバルで観測したのではなく、世界の海水面上昇平均0.17mをツバルの標高から引いて騒いできたようです。

IPCCの初めに結論ありきのプロパガンダに使われたのが、ツバル水没なのです。

 

 

 

2021年11月19日 (金)

過去にも度々あった地球温暖化

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もう少し気象変動について続けます。
地球温暖化は特に珍しい現象ではなく、COP26が言うように産業革命から突然始まったわけでもありません。
たとえば、日本の古代縄文期、古代ローマ時代、そして中世など、人類がこの地球上に現れてからもなんどとなく気温上昇をみました。

下のグラフは国立極地研究所の採取したもので、上から過去170年間、中は過去千年間、下は過去4千年間年の温度変化データです。
気象観測データ(赤線)と観測と気候モデルから導出したデータ(黒線)を、氷床コアを使った温度復元データ(青線)と比較
したものです。  

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●国立極地研究所、グリーンランド過去4千年の温度復元(2015年1月

 極地研は上図の結果から、このように述べています。

「気温変動の長期傾向としては、過去4千年間で1.5℃程度の寒冷化傾向を見いだした。
過去十年間(西暦2000年から2010年まで)におけるグリーンランド氷床の頂上付近の平均気温は、過去千年の温度記録のなかで2度起こった特に気温の高い時期に匹敵することが判明した。
なお、それらの高温期は西暦1930-1940年代と西暦1140年代に発生している。
過去4千年間には、現在を上回る温暖期が繰り返し発生していることがわかった。
これらの結果から、最近十年間の平均気温は、過去4千年でみれば自然起源で変動しうる範囲に収まっている」(極地研前掲)

極地研は、「人為起源の温室効果ガスの放出により今後さらに温暖化が進行することが懸念されている」としなからも、過去千年に3回数十年の期間に渡って30度以上の期間があったとしています。
まず中央のグラフをご覧下さい。左から西暦1140年代頃(中世温暖期)、1930~1940年頃、そして現代2000年代の3つです。

さらに上段グラフを見ると、過去4千年まで時間を遡れば、紀元前にはたびたび30度を超える時期が存在しているのがわかります。
また下段グラフはいちばん直近の170年スパンの温度変化ですが、1930年代に30度を超えた期間があるものの1970年代には寒冷化の時期も存在します。

このように見ると、極地研が言うように、「最近十年間の平均気温は、過去4千年でみれば自然起源で変動しうる範囲に収まっている 」というのが正直な事実で、地球の温度は上昇と下降を繰り返しているのです。
決してCOPが警告するように産業革命以降一本調子で上昇し続けているわけではありません。

では、CO2増大と気温上昇には相関関係があるのでしょうか?
そう、確かにあることはあります。
ただし、一般に流布されているように「CO2増大によって気温上昇が起きた」のではなく、その真逆のプロセスによって、ですが。 

今日もグラフばかりで恐縮ですが、次の図をご覧ください。 

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上図の破線がCO2です。実線が気温です。一見パラレルですが、よく見ると面白いことに気がつきませんか。
そうです、CO2の増大は気温上昇した「後」に発現しているのです。
 
この現象はちょうどサイダーを温めるとブクブクと炭酸の泡が出てくるように、海水面の温度上昇により海水に含まれていたCO2が空気中に放出されるからです。 

現在の気温ですとCO2放出が支配的ですが、0.6℃低下するとCO2濃度の上昇は止まるとの説もあります。 
ひとつつけ加えれば、CO2は自然界からも放出されており、人間活動由来なのは、そのうちたかだか3%でしかないのです。 
このように考えると、大気中の質量比0.054%にすぎないCO2が、その6倍もの0.330%の質量比をもち、5.3倍の温暖化効果をもつ水蒸気より温暖化効果があるというのは不自然ではないでしょうか。 

なんらかの原因で地球が温暖化した結果、海水温が上昇し膨大な水蒸気が発生し、それに伴ってCO2も放出されたと考えるのが素直だと思われます。 
また、そのCO2排出量のわずか3%ていどしか人間由来でないとすれば、人間活動由来のCO2「こそ」が地球温暖化の主犯であると決めつけるのは、あまりに飛躍がありすぎるように思えます。 

私は人為的炭酸ガスが増大していることは事実だと考えていますし、それが温暖化の一因となっていることも確かだろうと考えています。
また歯止めのない工業化が自然環境を破壊していることも事実だと思っています。
さらに
現在なにかしらの複合的原因で、地球温暖化が進行する時期に当たっていることも事実だと思います。
ここまではCO2人為説派と一緒です。

ただしここからが違うのですが、地球温暖化の原因と思われるのは、太陽黒点の変化などたぶん片手の指の数では足りないほど存在します。
たとえば、そのうち黒点の変化説はこのようなものです。

太陽の黒点の数はガリレオの時代から観測されています。黒点数と地球の気候に相関があることは以前から知られていました。
黒点数はおよそ11年の周期で変動していますが、17世紀のマウンダ―期とよばれている時代にはほとんど黒点がありませんでした。
下図の縦軸が太陽黒点数で、横軸が気温です。
縦軸が減少すると、気温も低下しているのがわかります。

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太陽黒点数の変動 「気候変動とエネルギー問題」深井有

この時期にはロンドンのテームズ河が冬に凍り、氷の上でスケートをする絵が残されています。19世紀初めにも黒点数の少ないダルトン期があり、それ以降現在まで黒点数は上昇傾向にあります。
黒点数の変動周期と地球の平均気温をプロットしたのが下図で、太陽黒点と地球気温はあきらかな
相関性を示しています。

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黒点数と平均気温の相関  深井前掲

つまり太陽の黒点が減り、その周期が伸びると地球は寒くなり、その反対は暖かくなるのです。
このような太陽黒点と地球気温の研究はいくつかあります。
下図は名古屋大学小川克郎名誉教授による、地球寒冷化を示す観測データです。

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尚業千、菅井径世、小川克郎『過去110年間の地球気温変化とCO2放出及び太陽活動との関係~NASA/GISS気温データベースによる』
Microsoft Word - 小川先生編集.doc (mottainaisociety.org)

 先入観なしにご覧ください。
あきらかに気温、気候の変化は太陽活動と相関しています。
単調な人為的CO2増加では説明が出来ません。
しかしこの太陽黒点の変動だけでも説明しきれず、宇宙線による変動説(スヴェンスマーク説) や地球規模の海流の変化など諸説があります。

頭を冷やしして視野を拡げましょう。
あと20年もたったら、なぜあのとき世界全体が狂ったようにひとつの方向に進んでしまったのか不思議にさえ思うことでしょう。
そして当時多様性、多様性と言いつつ、いかなる多様性も許さなかったのが、この気象変動だと気がつくかも知れません。

 

 

2021年11月18日 (木)

そうとうに怪しい人為的CO2主犯説

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CO2が地球温暖化の主原因だとする定説は、なにから生まれたと思いますか。
なんとこれが金星なのです。
分厚いガスが地表を覆って高温にしていると考えた人らが、そうだ地球温暖化の原因はこの温暖化効果ガスじャないかとひらめいちゃったんですね。
石炭の悲劇はこの瞬間から始まります。

温暖化効果ガスといっても何種類もありますが、そのうちの主犯と見なされたのが炭酸ガスでした。
ここで問題となるのは、この炭酸ガスの発生原因です。
自然由来なのか、それとも人間社会が生み出した経済活動によるものか、その原因によって対処方法が違うからです。

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アゴラ

炭酸ガスは人間活動が作り出したのだとするのが炭酸ガス人為説です。
これがどうしたことか圧倒的に支持されて、いまや誰も疑ってはならない絶対正義となっていることはご承知のとおりです。
今日はこれについて考えてみましょう。

去年、CO2が史上最高値だったのを知っていますか。
なんとコロナの真っ最中で世界経済が最低だったのにかかわらず、CO2だけは出るまくっていたことになります。

「ロンドン(CNN) 二酸化炭素(CO2)をはじめとする大気中の温室効果ガスの濃度は年々上昇を続け、昨年さらに観測史上最高値を更新したことが、世界気象機関(WMO)の新たな報告で明らかになった。
WMOが25日に発表した報告書によると、昨年のCO2濃度は産業革命前の149%を記録した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で新たな排出量は一時的に減少したものの、大気中の濃度が過去10年間、次第に上昇してきた傾向に変化はみられなかった。」(CNN2021.10.27 )
CNN.co.jp : 大気中のCO2濃度、昨年も記録更新 世界気象機関の報告

これを炭酸ガス人為説の間違いの傍証のように言って射る人がいましたが、そうではありません。
こういう時間差が出るのは、CO2が海洋や植物に吸い込まれる自然界の緩衝作用が働いているからです。
植物や自然界がいったんCO2を吸収して一定時間ため込んでから吐き出すのです。

では、いったいどのくらいの時間かかって吸い込まれているのかは大事なポイントです。 
というのは、海洋や植物に吸収されるまでに長い時間がかかるのです。
つまり、今この世界にあるCO2は、ただいま現在のものではなく、過去に由来して蓄積しているのです。
この蓄積期間にも説がいろいろとあるようですが、最短で5年間、長いもので200年間という学者もいるそうです。
 

このCO2が自然界に吸収されるまでの期間を、「滞留時間」と呼びますが、これを最短の5年間ととると、モロに人間の活動によるという証明となります。
 一方200年ととると、人間活動との関係が微妙になります。 
というのは工業化のきっかけとなった産業革命が起きたのが18世紀半ばから19世紀だからで、人為説ならばそこから有意な気温上昇がなければならないはずですが、実は19世紀にはテムズような河が凍るような小氷河期が到来したこともあるのです。
また20世紀にも70年代には寒冷期が来ています。
その頃には氷河期がやってくると人類はおびえていたのをもう忘れたようです。

では、5年~15年間の短期滞留期間説を取るとすれば、CO2が気温上昇の疑惑の真犯人扱いですから、思い出されるのが、CO2と気温上昇がパラレルで上昇するという、マイケル・マンのホッケースティック曲線です。 
これは樹木の年輪の感覚から割り出した仮説です。

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これが地球温暖化を説明するのにつごうがいいことから、炭酸ガス主犯説の科学的根拠とされました。
しかしあいにく、このホッケースティック曲線には大きな誤りがありました。
最大の誤りは、上のグラフの右に見える19世紀以前の気温が単調に横ばいですが、現実の観測記録と大きく異なっています。
また10C世紀~14世紀の中世温暖期は無視され、19世紀の小氷河期もなかったことになっています。

実はそのことはいまやIPCCですら認めているのです。ただし小声ですが。

「だがIPCCの第5次評価報告書(2013年)の示した過去の温度のグラフでは、中世(1000年前後)の温度は、現在とあまり変わらない高さまで上がっている。
政策決定者向け要約
「北半球では、1983年から2012年の30年間は、過去1400年間で最も暖かかった可能性が高い」「幾つかの地域において、中世気候異常(950年から1250年)の内の数十年間は、20世紀末期と同じぐらい暖かかった(高い確信度)」となる。(略)
ホッケースティック曲線の発表の後、古気候を巡った論争が起きて、結局、IPCCはホッケースティック曲線の使用を止め、最新の第5次評価報告書では北半球において中世の温暖期(今のIPCCの言葉では中世気候異常と呼ばれているけれども)が存在したことが明記されている」(『中世は今ぐらい熱かった:IPCCの最新の知見』杉山大志IPCC第6次評価報告統括代表執筆者)

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上図のIPCC(2007) 第4次評価報告書においてはホッケースティック曲線は消滅しています。
つまり20世紀に入って特異な気温上昇が見られたという説は、科学的信憑性が低いとIPCC自身が認めているということになります。

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また上のグラフは、中世温暖期は地球規模で見ても、中世の温暖期は現在よりも暖かかったとする複数の温度再現研究結果をまとめたものです。
中国においても同様の中世温暖期があったことが記録に残っています。

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また、このホッケースティック曲線が衝撃を与えた20世紀からの極端な気温上昇の中にも、下図のように1940年から1980年まで続いた「寒冷期」が存在します。
そういえば思い出しました。1970年当時の世界の気象学会はどんな警鐘を鳴らしていたのでしょうか。「来る小氷河期に備えよ!」でしたっけね(苦笑)。
そのわずか20年後に真逆ですか、まさに「君子ハ豹変ス」の見本ですな。 

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それはさておき、上の地球の気温変化グラフに、下図のCO2の排出量グラフを 重ねてみましょう。1940年~1980年にかけて、大気中のCO2濃度に低下が見られたのでしょうか、下図をご覧ください。

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 一目瞭然ですね。1940年のCO2排出量は50億トン弱、1980年には180億トン弱、つまり3.6倍になっているにもかかわらず、実際には寒冷期が来ているのです。
これをどのように、CO2の増大が地球の気温上昇につながったと整合性をもって説明するのでしょうか。 

下は極地における氷床ボーリングによる二酸化炭素とメタンの資料ですが、左端の現代と2万3千年前を較べれば同じだとわかります。
さらには1万3千年、3万3千年前にも高い時代がみられます。

The Vostok Ice Core: Temperature, CO2 and CH4
http://euanmearns.com/the-vostok-ice-core-temperature-co2-and-ch4/
 

Vostok_temperature_co2

これらをバッサリ切って視野に入れない、いや議論すらさせないでは、あまりに非科学的というもんではありませんか。
にもかかわらずその原因を一面的に人為的炭酸ガスのみに求めていき、経済や社会生活に大きな打撃を与えかねない現在の信仰にも似た風潮には疑問をもたざるをえません。

現在のグリーンファンドなどは巨額な資金を運用しており、いまや世界経済にも影響を与えるまでになっています。彼らの野望とこの人為的炭酸ガス説は無縁とは考えにくいのです。

 

 

2021年11月17日 (水)

地球が熱くても、頭は冷やしておこう

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■お知らせ
明日11月18日(木)0時から12時まで
ニフティのメンテナンスのため閲覧ができなくなりますのでご了承ください。

どうして怖くないのか、そのほうが不思議です。
いいでしょうか、地球気候システムは発展途上の学問で、まだわからないことだらけなのです。
それなのに、いくつもある仮説の中のひとつにしか過ぎないCO2説だけに世界をがんじがらめに縛りつけてしまい、人類の大きなエネルギー源であった石炭まで悪玉視する、危ないとは思いませんか。
すべてをCO2一本だけで説明し、それを強引に世界全体の政策に結び付けようとするのは、暴走ではありませんか。

さて、メディアはまったく取り上げませんが、気象変動についてCO2以外の異説は多く存在します。
そのうち有力な説は太陽の活動で説明したものです。
IPCCは太陽の活動の影響を、二酸化炭素の温室効果の7%ていどと過小評価していますが、温暖化と言うときに太陽の影響を無視してしまうというほうが解せません。地球の「温源」は太陽でしょうに。
これにはいくつかありますので、時間の単位が短いものから並べてみます。

①数十年から100年前後の挙動を論ずる短期的なもの・・・太陽黒点の変化、大西洋数振動、北極振動、太平洋振動など
②1000年規模の動きを見る中期的なもの・・・太陽活動の増減、火山活動など
③数万年サイクルの長期的なもの ・・・地球の自転軸の傾斜角、太陽からの離心率=ミランコビッチ・サイクル

このように気象変動の原因説にはいくつかありますが、この中でいちばん有名なのは、セルビアのミルティン・ミランコビッチが唱えた、その名もミランビッチ・サイクル説です。
これは数万年単位でなぜ地球に氷河期が来て、その後に温暖期(間氷期)が来るのかを、公転軌道と地軸の傾きから説明したものです。
ほとんど世の中で知られていないのでご紹介しておきましょう。

ところで、地球の軌道が楕円だということをご存じでしょうか。 
約10万年の周期で地球は正円になったり、楕円になったりします。 

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地球の地軸にはなぜ傾きがあるの?その理由とは

楕円軌道の時と正円軌道の時はなんと1800万キロも離れているのですから、地球に影響が出ないはずがありません。

実際、楕円の軌道の時は外周が太陽から離れてしまいますから地球は冷えていき、その逆に近づくと温暖化します。 
実は21世紀の地球公転軌道は、太陽に近づいている軌道上を回っていますから温暖化しているというわけです。 

次に、地球は下図のように公転しながら自転軸が変化しています。その傾きは21.5度から24.5度です。

この傾きが大きいと夏が暑くなり、冬は寒くなるといった季節差が激しくなります。
ちなみに現代は23.4度で傾きが大きいほうの時期になりますので、この影響が地球気象の温暖化に影響を及ぼしている可能性があります。
この周期は約4万1000年です。
 

さて、これでお終いかと思ったらもうひとつあって、それが地軸そのものの回転運動です。
コマが首を振るように太陽と月の引力の影響で、自転軸が回転しています。
 
これを歳差(さいさ)運動と呼び、その周期は約2万5800年です。

この3ツの壮大な地球の軌道や自転軸の回転による周期が、地球の気象を決定づけているとかんがえるのが、ミランコビッチの仮説です。
整理しておきましょう。

■ミランコビッチ・サイクルの長い順番から
①約10万年周期の地球公転軌道の離心率の変化
②約4万1千年周期の地軸の傾斜角の変化
③約2万6000年周期の歳差運動

の3つ周期が重なり、互いに影響しあって日射量の周期的変化が生じます。
日射量の極小期が氷河期で、極大期が間氷期(温暖期)というわけです。

ファイル:Milankovitch Variations.png

上図のPrecessionというのが歳差運動のことで、その下のObliquityは自転軸の傾斜角、3番目のEccentricityは公転軌道の離心率です。 
この三つの周期で地球気候が決まるわけですが、それが正しいと立証されたのは、70年代に、海底のボーリング調査によって、採取されたサンプルの有孔類の酸素同位体比からえられた気象変動周期とミランコビッチ周期がぴったりと一致したことによります。
これにより、太陽の日射量と氷河期の成立には強い相関関係があると立証されました。
国立天文台の伊藤孝士氏は、自転軸は傾きが大きければ極地方に入射する日射量は大きくなって氷床は溶けて小さくなり、傾きが小さければ極地方に入射する日射量が減って氷床は成長しやすくなる、と述べています。

この他に地球気候に大きく影響を与えているのは、地球の自転、海流や気圧の変化により約30年前後の周期で大気と海洋が連動して変化する「太平洋振動」などもあり、そのうえに太陽黒点の変動がかぶってきます。
あるいは、太陽から飛来する磁場と北半球の気候を支配する北極振動の影響も見逃せません。
ここでいう「振動」とは、私達が使う地震などの震動ではなく、周期的な海流の方向、風の流れ、温度などの繰り返しのことで、「大西洋数十年規模振動」という言い方をします。

つまり大きな枠組みとして、ミランコビッチ・サイクルのような地球の地球公転軌道の離心率の変化 、地軸の傾斜角の変化、周期の歳差運動が起きて地球の寒冷化と温暖化の周期を定め、それが地球気象の海流や気圧の変化をもたらす太平洋振動という現象を起こし、さらに随時変化する太陽黒点の増減によって地球気象は変動するのかもしれません。

いうまでもありませんが、これらの説は仮説です。
私はIPCCと違って、単独の説によってすべてが説明できるとおもうほど傲慢ではありませんから。

しかもこれらの要因はすべて変数Xです。
大きな気象変動周期はあるものの、太陽黒点のようにその都度随時変化して、気象変動を引き起すものも含まれます。
太平洋振動も北極振動も同じく変数Xですので、専門家の注意深い監視が必要です。

そしてその多くの変数XのなかのひとつにCO2排出量が含まれるのです。
もしCO2説が気象変動の決定的要因ならば、どうして世界がコロナによって経済活動を限りなく減らしていた去年がなぜ史上最大のCO2排出量を記録したたのでしょうか。
どうして人為的二酸化炭素ガスだけが、地球気象の決定要因だと断言するのか、あまりに理解に苦しみます。

環境政策は多様であるべきです。
それは現実が多様であるように、学説も多様であり対策も多用だからです。
それをただひとつの仮説の価値だけを絶対価値として適用するのは、あまりにも愚かではないでしょうか。

 

2021年11月16日 (火)

コップの中の嵐だったCOP26

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グラスゴーでのCOP26が終わりました。

「気候変動対策を協議する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は13日夜(日本時間14日早朝)、石炭の使用をめぐり最後まで交渉を重ねた末、成果文書「グラスゴー気候協定」を採択した。
議長国イギリスが提出した最終合意案には当初、石炭の使用を「段階的に廃止」するという表現が含まれていた。しかし、合意採択を協議する最後の全体会議でインド代表がこれに反対。「まだ開発目標や飢餓削減に取り組まなくてはならない」発展途上国が、石炭使用や化石燃料への助成金を段階的に廃止すると約束するなどできないと主張した。
インドのこの主張を中国も支持し、各国は最終的に「段階的廃止」ではなく「段階的削減」という表現で合意した。これには、多くの関係者や環境活動家が落胆を示している。
イギリスの前ビジネス相でもあるアロク・シャーマCOP26議長は、「この終わり方について、謝ります」と全体会議を前に謝罪。「本当に申し訳ない」と述べた。ただし、合意全体を守るためには、不可欠な対応だったと説明すると、声を詰まらせて涙ぐんだ。この議長の様子に、各国代表は大きな拍手を送った」(BBC 2021年11月14日)

「スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんはツイッターで「COP26は終わった。簡単に要約すると、中身のないおしゃべりだった。だけど本当の仕事は会議場の外で続く。決して諦めない」とコメントした」(時事 2021年11月15日)

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https://www.bbc.com/japanese/video-59278466

議長がなにも泣くこたぁねぇと思いますが、きっと出身国の英国のギリギリの妥協案も蹴られたことがよほど悔しかったのでしょうね。気の毒。

一方、いつも怒っているようなグレタさんは、「中身のないおしゃべり」と決めつけていますが、まぁそのとおり。
「中身がない」のがもっともよく現れたのが、石炭について結局「30年代までの廃止」の合意ができなかったことです。
今回の合意では、富裕国は2030年代、貧困国は40年代に石炭火力発電を廃止するほか、大半の国が国内外の新規石炭発電所への投資を行わないと確約するはずでしたが、土壇場でこれにインドが抵抗しました。

「石炭に依存する途上国や中国の支持を受けたインドが、化石燃料の削減を巡る文言に反発し、表現の修正を要求。これを受け、石炭火力の「段階的廃止(phase out)」ではなく、「段階的削減(phase down)」に向けた努力の加速を各国に要請するという表現に修正された。 削減」(ロイター11月14日)
全エネルギー源の6割弱を石炭に依存しているインドや中国が、石炭火力を廃止できると思う方がヘンです。
しかも中印は合わせて28億人という天文学的な数の国民を抱えて、はい30年代まで主力火力を止めてみせましょう、なんて言える方が無責任です。
最後の最後まで各国の外交的な文言いじりの攻防だったようです。
これが国際政治という奴です。
このCOP26は、メディアはそう呼んでいないので間違う人が出そうですが、シビアな外交交渉です。
各国の利害が錯綜する外交交渉が一発で決まることなど、絶対にありえないからです。

揉めに揉めたのは部分です。

「新たな議長案では、排出抑制対策を講じていない石炭火力について「段階的な廃止に向けた努力を加速する」と、前回の議長案になかった「努力」の文言を入れて表現を弱めた。日本政府関係者によると、これまで反発していた石炭への依存度が高い中国やインドなどに配慮して修正されたとみられ、日本も「許容できる内容になった」という。COPの合意文書で石炭の制限に関する文言が盛り込まれれば極めて異例だ」(読売11月14日)

グレタさんなどのNGOはスッキリ「廃止」と宣言させるのが目的だったのでしょうが、そういう表現をとると日本のような低排出炉に努力している国は報われませんので、この合意から離脱するしかなくなります。
そもそも岸田首相がわざわざ日帰りのようにしてグラスゴーまで飛んで演説したのは、この日本の誇る低排出炉を支援しましょうという申し出だったのですが、底意地の悪いグリーンピースから化石賞などをもらってしまいました。
ホント馬鹿だね、真面目に考えていない。
少し考えれば、今の世界でCO2削減するために最も有効な手段は、日本の低排出炉と置き換えていくことなのにね。
環境NGOはスローガンでしか考えないんですよ。

そこで「廃止」という文言は「排出抑制対策を講じていない石炭火力」となり、さらにはにそれも無理だというので「段階的」が付き、これも難しいので「廃止に向けた努力を加速する」という努力義務にまで「後退」しました。
骨抜きと言えば骨抜き。現実的といえば現実的。
その代わり現実的すぎて、わざわざCOPを開いて世界中から人を集めた意味がなくなりました。
これがグレタさんのいう「無内容」という意味です。

ただし無内容になったおかげで日本にとってやや有利な条件となり、日本の代表団が「これなら飲める」と言っていたのもわかります。
なぜなら、既に日本の石炭火力は世界のどの国よりも「抑制対策」をとっていますし、アンモニアを使用するなどの新技術も続々と登場しているからです。
要するに石炭火力でもCO2バラ撒かなきゃいいんでしょうと言うわけで、10年後までには残存する旧式な火力発電はすべて新型の世界でもっともCO2排出量が少ない炭素低排出炉に置き換えられていくことになります。
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竹原火力発電所



「電源開発(Jパワー)では、老朽化した石炭火力発電所の順次フェードアウトを検討する一方、石炭とともにバイオマスやアンモニアを混焼することで発電効率の向上と低炭素化を図っている。
昨年6月に稼働した最新鋭の竹原火力発電所(広島県)新1号機は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱効率が48%。石炭を微粒子に粉砕して燃やす方式では世界最高水準だという。
「効率を上げることで少ない量の石炭で済み、CO2排出量が少なくなる。石炭の代替のバイオマスなどを入れれば、さらに排出量を減らせる」と同社広報部は説明する(ZAKZAK 2021年11月14日)

「火力発電の効率を向上させる方法のひとつに、発電に使う蒸気を通常よりも高温・高圧にして出力を高める技術がある。「超々臨界圧」と呼ばれるもので、この方法でも従来の石炭火力と比べて発電効率を5ポイントくらい向上させることが可能になる。
竹原発電所の新しい設備は超々臨界圧を採用して、60万kWの発電能力を発揮する一方、CO2排出量を従来よりも10%以上削減できる見込みだ。
石炭に加えてバイオマス燃料を年間に4500トン混焼させてCO2排出量を抑制する。2014年6月の着工を予定していて、6年後の2020年9月に運転を開始する計画である」(スマートジャパン2013年11月19日)
参考 国内発電所向け 超々臨界圧石炭火力発電ボイラを受注 ~国内最高の蒸気温度条件 世界最高水準の石炭火力発電技術~|資源・エネルギー・環境|2015年度|ニュース|株式会社IHI

一方、インドの事情は日本とは異なっています。
インドは低排出炉の技術を持たないうえに、今世界的石炭価格の上昇と供給逼迫のために電力供給がピンチに立たされています。
電気が不足すると即大停電です。
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上図のようにひとつに結ばれた統合送電網を持つヨーロッパなら、どこか別の国の電気を持ってくればいいのですが、アジアはそういうわけにはいきません。
ドイツは脱原発で電力不足を起こすと、原子力大国のフランスから電気を分けてもらっていました。
逆に再エネが電気をつくりすぎると、無理やり周辺国に流して顰蹙を買っていました。
なんのことはない、グレタさんの故郷ヨーロッパでは電気は単なる貿易商品なのです。
ですから、脱炭素で電力不足をきたしても、隣から借りてくればいいわけです。
その意味で脱炭素をいえるのはヨーロッパだけの特権のようなものなので、そんな国境を超えた送電網を持たないアジアとは根本的に違います。
それを忘れて、ベタでヨーロッパ人の理念を(しかも間違った)を押しつけないでいただきたい、そうインド人は考えているはずです。

「インドで電力不足への懸念が高まっている。石炭在庫の減少で火力発電所の半数以上で電力供給が可能な日数が3日を切った。経済再開によるエネルギー需要の急増や石炭価格の上昇が背景にある。中国に続いてインドでも電力不足が深刻化すれば、世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱に拍車をかける恐れがある。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、インドに135ある火力発電所の半数以上で石炭在庫が3日分未満となった。発電所全体では1日時点の石炭在庫は平均4日分と、8月初めの同13日分から大きく減少した。ロイター通信によると、インドでは電源構成に占める石炭火力発電の割合が約7割にのぼる。
需給逼迫の背景にあるのが、世界的な石炭価格の上昇だ。インドでは新型コロナウイルスの感染者が減少したのに伴う経済活動の再開で、エネルギー需要が急増した。
8~9月の電力消費量はコロナ危機前の2019年同時期を上回ったが、価格高騰で石炭の輸入量を絞っていた。政府系の石炭大手コール・インディアが8割を占める安い国産石炭の供給も追いついていない」(日経 2021年10月4日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB040ZW0U1A001C2000000/

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日経
今後、間違いなく石炭と原油の国際価格は高値に貼りついたままとなるでしょう。
COP26で、もし仮にグレタさんらが喜ぶ原案どおりに「30年代までに石炭は廃止」などと決議された場合、以後原油井戸や石炭鉱山に投資するものは皆無となったはずです。
最終決議の「削減」でも同じ。
いつかそのうち誰かがこのCO2悪魔退治論のいかがわしさに気がつかない限り、自ずと石炭・原油生産の先行きは定まってしまったのです。
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ところで、このCOP26にはもうひとつ裏話がありました。
これが開かれたのは、スコットランドのグラスゴーに決まったのは、このスコットランドが英国でもっとも再生可能エネルギーへの切り換えが進んでいる地域だったからです。
英国はここをショーウィンドーにして、環境再先進国をアピールしたかったようです。
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スコットランド・オークニー沖の潮力発電試験機
「スコットランド北部沿岸の島々は再生可能エネルギーへの切り替えを進めている。オークニー沖で潮力発電機の試運転を続けているのは、スタートアップ企業「オービタル・マリン・パワー」だ。
「O2」と名付けた発電機のプロペラを海中の潮流で回転させ、約2000世帯分の電力を生産する。「ここは毎時5億トンの海水が通過しています。(略)
その一つが、英電力大手SSEの再生可能エネルギー子会社SSEリニューアブルズとシェトランド当局の提携事業として進められている巨大な風力発電基地「バイキング・ウインドファームだ。
2023年に操業を開始すれば、103基のタービンで、約47万6000世帯分の電力供給を賄うのに十分な低炭素エネルギーが生産される。同社によると、この風力発電プロジェクトによって毎年50万トンの二酸化炭素(CO2)排出を削減することができ、シェトランドの電力輸出は輸入を上回る見込みだ」(シェトランドニュース2021年10月10日)
https://www.shetnews.co.uk/2021/08/18/sse-confident-viking-wind-farm-will-turn-for-30-years/
と、ここまではすごいぞブリテンなのですが、英国自慢のこの再エネはこの「地球を救うための巨大なイベント」に力を発揮できませんでした。
このグラスゴー会場は100%使用電力100%を、地元スコットランドの風力発電会社グリフィン風力発電からもらう予定だったのですが、残念無念、当日は風が弱かったために風車は回らず、とうとう再エネ使用率たったの5%だったそうです。

はからずも、再エネのむら気を明らかにしてしまったのですが、この屁垂れの再エネをバックアップしたのがあの褐色の憎い奴・石炭火力発電所でした。
なんだCOPを照らしてたのは化石燃料だったのね。
ちなみに、当日以外は強風が吹いて風車が止まっている時間が多かったために出力抑制保証金がこの地域の風力発電会社には配られたそうです。
かんじんの時に回らないくせに、働かないで貰えた金額が8千万。これが再エネの現実です。
でも大丈夫ですよ、グレちゃん、あなたには請求書はいきません。
それを負担するのは、英国の消費者と企業だけですからね。
■お知らせ
11月18日(木)0時から12時まで
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2021年11月15日 (月)

中国がいくらEV車を増やしてもCO2削減にならない

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世界全体が勘違いしていることが進められています。
電気自動車(EV)の推進です。
なぜ勘違いなのでしょうか。
今はCO2主犯説うんぬんは脇に置きましょう。
仮にそうだったとしても、EVが果たして解決になるのかどうか。
おっと、正確な表現じゃなかった。
正しくは「どの国においてもCO2削減のためにEVが意味があるのかどうか」を考えてみましょう。

私がわざわざ「どの国でも」と断ったのは、EVは当然ですがその国の電気を食って動いているからで、とうぜんのこととしてその国ごとに電源事情が違う以上、その国の電源のCO2排出量を問わなければ、EVであろうとなかろうとCO2削減はできていないからです。
至ってあたりまえのことを言ったにすぎませんが、国連や政府はEVによってCO2が削減できると宣伝しています。
確かに一般論としては、EVは排気ガスの点で大きな削減手段になりますが、どの国でもそうだとはいえません。

たとえば、世界最大のEV車生産国は中国なのはご承知のとおりです。
中国は生産量において既に世界一の自動車生産国であり購入国ですが、このEVにおいては頭ひとつ抜けていると評されています。

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ファーウェイの自動運転用頭脳を搭載した北京汽車グループの「極狐(Arcfox)アルファT」(4月19日、上海自動車ショー) REUTERS- NW

「中国のEV販売台数はすでに日本の全自動車販売の6割程度に達するだけでなく、ファーウェイのような通信機器メーカーの参入で「知能ネット化」や標準化もどんどん進んでいる。
中国の電気自動車(EV)産業が昨年後半以来すごい勢いで伸びている。(略)
2021年に入ると、いっそう生産と販売が伸び、1~9月は生産台数が216万台で前年同期に比べて2.85倍というすさまじい増え方である。この勢いで行くと、2021年1年間で300万台を突破しそうだ。
新車販売の5台に1台がEVに
2020年10月に制定された「新エネルギー自動車産業発展計画2021~2035年」では「2025年には、新車販売台数の20%前後をEVとする」ことが目標とされていた。2020年の新車販売に占めるEVの割合は5.4%だったので、遠い目標のように思えたが、2021年1~9月は11.6%、9月だけをとれば17.1%、と目標へぐんぐん近づいている」(丸川知男ニューズウィーク2021年11月11日)
https://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2021/11/ev-3.php

このような中国の熱狂的なEV化は、中国が従来の内燃機関での競争では日独米とは勝負にならないからにすぎませんが、それに習の脱炭素化政策が大きな追い風になっています。

しかしそれがCO2削減に寄与しているかといえば別問題です。
ロイターはこう報じています。

「電気自動車(EV)は地球温暖化と戦うための強力な武器だ。しかし、EVが温室効果ガスの排出量を減らす効果には国ごとに大きなばらつきがあり、ガソリン車よりも排出量が多い場合もあることがデータ分析で明らかになった。
欧州では、EVの販売が世界で最も急速に増えている。だが、調査会社レイディアント・エナジー・グループ(REG)がまとめたデータによると、ポーランドやコソボでは発電システムが石炭に依存しているため、実際の排出量はEVの方が多い」((ロイター11月13日)
https://jp.reuters.com/article/ev-co2-idJPKBN2HW0EE

つまり、その国の電源が石炭に傾いた配分ならば、いくら電力の消費末端をEV化しても意味がない、下手をするとかえって増やす結果になる、ということです。
ヨーロッパでは石炭の依存度が高いのがポーランドで、逆に水力と原子力依存のスイスは最も低い国となります。

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「ガソリン車に対するEVの二酸化炭素(CO2)排出量削減率が最も高いのは、電力を原発と水力で賄っているスイスの100%で、以下ノルウェー(98%)、フランス(96%)、スウェーデン(95%)、オーストリア(93%)となっている」(ロイター前掲)

つまり、スイスのように水力が主力だったり、フランスのように原子力に依存していればCO2削減の優等生になれるわけです。
種明かしすれば、馬鹿馬鹿しい。
日本の水力発電増設に反対したり、原子力を悪玉扱いしたのは、今CO2削減を言っているような人らなんですけどね。

世界でみると、電源構成はこのようになります。

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各国のエネルギー構成  関西電力

上図(灰色が石炭)をみればお分かりになるように、中国は電源の58%という過半数を石炭に依存しています。
どんぐりの背比べなのが、56%のインドです。
ちなみに日本は26%で、世界平均の27%ていどの依存度です。

しかも何回か書いてきたように、日本の石炭火力は世界でもっとも先進的なもので、CO2排出量が抑えられています。

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資源エネルギー庁

しかもCO2排出量におけるEVの圧倒的な優位は崩れつつあります。

「自動車メーカーがエンジンの燃費向上に取り組んだため、EVとガソリン車の排出量の差は近年、縮まっている。EEAのデータによると、欧州で新規登録されたガソリン車の炭素強度(一定の国内総生産を創出するために必要なCO2排出量)は、2006年から16年の間に平均25%減少した」(ロイター前掲)

しかもEVはやや驚いたことには、充電する時間帯によってCO2搬出量が違うようです。

「欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)と欧州環境機関(EEA)が公表したデータによると、太陽光と風力が潤沢な午後に充電すれば、天然ガスや石炭を燃料に発電することが多い夜間よりも削減効果が16-18%高まる。(略)
リチウムイオン電池がフル充電の状態を維持できるのは4時間程度に過ぎず、昼間に太陽光や風力で大量の電力を生み出している国でも、夜間の充電のためにこうした電力を確保するのは難しい」(ロイター前掲)

つまりその国が仮に再生可能エネルギーへの依存度が高い国であった場合、太陽光は夜間は休んでいるために火力が大半のエネルギーを支えているため、結局削減効果は消えてしまうということになります。

また今ヨーロッパでEVが売れているのは、政府の多大な補助金が理由で、その実力によるものではありません。

「欧州におけるEV販売の増加は、政府の補助金や内燃車に対する新たな規制が支えになっている」(ロイター前掲)

ですから、その国の電源比率を見ないとEVによるCO2削減量はわかりません。
前述したように、EVの充電による排出量がガソリン車よりも優位にある国には理由があるのです。
たとえば、スイスは水力発電や原発が主力電源ですし、94%を天然ガスで賄っているモルドバと再エネが46%を占めるアイルランドでは、CO2の排出量はほぼ一緒です。
その理由は天然ガスがCO2が少ないからにすぎません。

逆に、CO2排出量が天然ガスより多い石油、石炭、泥炭の占める比率が高い国々は必然的にCO2排出量も増大します。
というわけで、中国がいかに世界有数のEV生産国になろうと、少しもCO2は減っておらず、日本が得意とする脱炭素の低公害車よりもはるかにCO2をだしていることになります。

というわけて、そもそもその中国のEV車の電源は石炭であり、しかも質の悪い硫黄酸化物の多い低品質の石炭を多く使っていては、EV化はCO2削減にはならないどころか、かえって増加の手助けをしているかもしれません。

 

 

2021年11月14日 (日)

日曜写真館 ゆうぜんとしてほろ酔へば雑草そよぐ

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何を待つ日に日に落葉ふかうなる 山頭火

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ほろほろ ほろびゆく わたくしの秋 山頭火

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うれしいこともかなしいことも草しげる 山頭火

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こんなにうまい水があふれてゐる 山頭火

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何を求める風の中ゆく 山頭火

 

 

2021年11月13日 (土)

第3の「歴史決議」、習近平、「神」となる

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習近平が「神」なったそうです。
中国が六中全会を閉会し、あらかじめ伝わっていたように「歴史決議」をしました。

「中国共産党の第19期中央委員会第6回総会(6中総会)は11日、40年ぶりに「歴史決議」を採択し閉幕した。来年の党大会での習近平総書記(国家主席)の3期目入りがほぼ確実となり、習氏による終身統治に向かう可能性も高まった。
国営新華社通信によれば、中国の進路を変える可能性のある今回の歴史決議は、閉幕後のコミュニケで発表された。歴史決議の採択1945年の毛沢東氏、1981年の鄧小平氏以来3度目で、毛、鄧両氏は同決議を使って息を引き取るまで党内で権勢を振るうことになった。
新華社が伝えたコミュニケによると、党中央委員会は習氏を「核心」とする党を中心に中国が団結するよう呼び掛けるとともに、習氏の政策を実行し、「中華民族の偉大な復興」を実現するよう求めた」(ブルームバーク11月11日)
中国共産党、6中総会で40年ぶり歴史決議-習氏の3期目確実 - Bloomberg

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 ブルームバーク

六中全会の会議日程では、まず政治局が中央委員会に年次報告を行い、建党100周年の重大成果と歴史経験問題について全面的な総括を行い、「党の百年奮闘重大成果と歴史経験に関する中共中央の決議」草案を審議します。
※中国の夢と中国の特色ある社会主義
■中国共産党創立100周年祝賀大会における 習近平総書記の演説全文 中国大使館
https://www.mfa.gov.cn/ce/cejp//jpn/zt/zggcdcl100zn/t1889124.htm

「新華社から6日に発表された長文論評では、習近平が2012年に党中央総書記に就任してから9年の間に中国がなし得た成果を羅列していた。
特筆する成果として、習近平は中共を率いて新時代に突入し、第一の100年の奮闘目標をなし遂げた、すなわち小康社会を全面的に建設したことであり、果敢な新現代化建設綱要を実施し始めたことであり、二つ目の100年目標の新たな道程である民族の全面復興に邁進し始めたということだ、と上げている」
福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.462 2021年11月8日

今回の肝は、もちろん習が念願の「歴史決議」を行い、毛沢東や鄧小平に並ぶ神殿に列せられる「中国共産党の核心」という称号を得て「神」となったことです。
「歴史決議」は共産党の歴史の総括と編纂を行うものであり、それは強い指導者の象徴そのものと見なされています。
ですから、記事にあるように「歴史決議」という金看板をもらったのは「建国の英雄」毛沢東、改革開放で中国を資本主義に舵を切った鄧小平だけでした。

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ニューズウィーク

さて、エドワード・ルトワックは『習近平の精神分析』という一文の中で、このように断った上でこの中華皇帝を分析しています。

「国際政治を研究している学者をもっともいらつかせることのひとつは、"個人の性格が国際政治の大きな動きに影響を与える"という考え方だ。
政治学という分野に携わっている人々は、国際政治を体系的に考えるように訓練されているため、このような"誰かひとりの考えで情勢が決まる"とは考えたがらない。
ところがあいにく"個人の考え"はとても参考になることがある。中国を率いる習近平首席の場合、それが特に当てはまるのだ」
(ルトワック前掲)

ルトワックが指摘する習がそれまでの共産党指導者と大きく異なる体質は、「習は彼らと較べてまったくプラグマチック(実利的)ではない」ことを上げています。
習は「自由化」をまったく信ぜず、頑ななまでに毛沢東を崇拝しているとルトワックは見ています。
それは習が、現実の政治的取引を拒む狂信的な「毛沢東になりたい男」だからだといいます。

他の共産党の指導者は多かれ少なかれ、この中国も時間が立つにつれて西欧的な民主主義をとりいれざるをえないと考えていましたが、この「毛沢東になりたい男」は毛沢東よりも毛沢東主義に則った政策を実効しつつあるようです。
たとえば、毛沢東は、チベットの寺院を紅衛兵に破壊させましたが、チベット族を漢族に変えてしまおうとはしませんでした。
しかしこの男は、チベット人の遊牧生活を完全に否定し、中国の工業化に貢献するような人間に改造させました。
この過程の中で、チベット独自の言語や宗教は禁じられ、漢族への同化が強制されました。

ウィグル族に対しては、更に苛烈な隔離政策が用いられました。
100万人単位の強制収容所を作り、そこで行われているのはイスラム教からの改宗と、ウィグル語の禁止でした。
まさにジェノサイドそのものです。
毛沢東とその後継者たちもここまではしませんでした。、
毛沢東は、スターリンの民族観を受け継いでおり、共産主義国家に抵抗しなければ民族の形はそのままでいいと思っていました。
しかしこの男は違います。14億の国民の徹底した毛沢東主義への改造こそ、共産主義だと考えているのです。
ルトワックはこう述べています。

「習は毛沢東さえ超えられなかった橋を渡ってしまったのである。彼は、まさに毛沢東よりも毛沢東主義に則った政策を実行しつつある。
これは虐待を受けた子どもの行動にほかならない」(ルトワック前掲)

簡単に習の歴史を振り返れば、彼を決定づけたのは思春期に降りかかった文革体験でした。
この時期に青春を送った年齢層は、日本ではポスト団塊世代に属します。
中国では紅衛兵世代の最後の世代にあたります。実は私と同い歳ですので、感覚的に理解できます。
すべての学校は閉鎖され、紅衛兵各派が軍から奪った武器で血なまぐさい殺し合いをしていました。
特に紅衛兵過激派から標的にされたのは、共産党の実務派幹部でした。

下の写真は紅衛兵に連行されている父親の習仲勲ですが、彼は共産党の古参幹部でありながら、投獄されて毛沢東の死後まで実に16年間も牢獄に入れられていました。

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習近平の「鄧小平への復讐」――禁断の華国鋒主席生誕百年記念行事挙行

母親の斉心は、紅衛兵によって引きづり出されてリンチを受け、姉の和平は餓死に追い込まれ、次女の乾平は僻地に下放されました。
そして近平も下放され、厳しい肉体労働の生活で手元にあったのは2冊のゲーテの本だったそうです。
この男は、この辺境の地で共産党によって徹底した毛沢東主義の注入を受けます。

では習はこの不当な仕打ちを憎んだのでしょうか。
いやまったく逆だったのです。

「だが、若いころにこのような仕打ちを受けた人間というのは、自分にひどい仕打ちを与えた人間を、逆に崇め奉るようになる。
これは幼児虐待専門家が認めていく真実だ。たとえ周りの人間がそれに気がついても、虐待を受けている子ども本人は虐待している親のところに居続けたいと思う傾向が強い。
虐待を受けた子どもは、自分の行いが悪かったために親にしつけられていると考え"虐待されるのは自分のせいだ"と思うようになるからだ。自分が正しい行いをすれば許してもらえると思ってしまう」
(ルトワック前掲)

この文革という暴力の嵐を自己形成期に受けた習は、「虐待を受けた子ども」そのままの行動を取るようになります。
それは虐待を与えた「親」である毛沢東を崇拝し、毛沢東に褒められるような行動をとることを意味しました。
つまり「毛沢東を超える毛沢東」になるのが、習の人生の目的なのです。

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では、「毛沢東を超える毛沢東」とはなんでしょうか。それは習が神格化されることです。

「評論家の維辛は、こうした新華社論評は、第20回党大会前に習近平を政治のリーダーとして偉大な歴史的人物のイメージを形成しようするものだとみている。「毛沢東をいわゆる東方の赤い太陽という救世主のイメージを作り、中国を建国した。
今は習近平を中共100年の歴史を継承する歴史的人物、リーダーとしてのイメージを確立しようとしている。彼の歴史性をこの長い一万字以上の文章で形づくり、そのイメージを刻もうとしている」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.462 2021年11月8日

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生徒が教師を告発、芸能人の「推し活」を規制...習近平の「文革

亡命風刺漫画家の辣椒は、今から5年も前にこう指摘していました。

「毛沢東は彼の精神の上の父である。彼は自分をこの国の「所有者」と考えている。けっして「経営者」などではない。この国を自分の家と考えている点が、彼と江沢民・胡錦涛の最大の違いだ」(ニューズウィーク2016年3月9日)
https://www.newsweekjapan.jp/rebelpepper/2016/03/post-22.php

静岡大学教授・楊海英は、自らを「神」の座に置いた上で、習がしようとしているのは、第1に腐敗まみれの資本主義社会を打倒する毛沢東主義革命の輸出だ、と述べています。

「疑いなく、この決議が採択され、第三の歴史決議となるだろう。前回の二つの決議とは完全に異なるところは、インターナショナルな路線闘争の要素がある。前の二つの歴史決議(※毛と鄧を指す)は党内のハイレベルの路線闘争だった。
今回の歴史決議は、党内の路線闘争ではなく、国際上の路線闘争である。強大な中国、中国モデル、中国の特色ある社会主義VS腐敗の資本主義、西側世界との路線闘争のための定義を行うということだ」(福島前掲)

そして第2に、文革の続行です。

「第三の歴史決議は、毛沢東が起こした文化大革命がまだ消失していない、ということを表明している。
文革は実際、中国から消えていない。第二の歴史決議(1981年の十一期六中全会)は、文革を過ちとしたが、反省は徹底はされていなかった。
そして第三の歴史決議が引き出された。第二の歴史決議は毛沢東に一部過ちはあったとしたが、党全体の過ちではなく、個別の指導者の過ちであり、これは歴史決議としては徹底されていない。
だから、我々の新たな認識では、中国から文革は消えていない。第二の歴史決議は実際、なんら意味のないものだった」(福島前掲)

ただし、今までの毛沢東主義革命の輸出と習のそれが異なるのは、毛沢東の革命輸出がイデオロギーの世界輸出であったが、習のやろうとしていることは「社会主義核心価値」と中華的秩序の世界輸出だという点です。
それは価値観戦争であり、資本主義に打ち勝ち中国の正しさを国際社会のニュースタンダードにするという意味です。

その意味で、この「毛沢東を超える毛沢東」になりたい男は、世界に向けて「文革・02」をすることを厳かに宣言したことになります。

 

2021年11月12日 (金)

韓国与党候補、米国よ日本の味方をしたら中国に寝返るぞ

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ムン閣下の余命も残るところあと半年となりました。
共に民主党が指名したイ・ジェミョン(李在明)が面白いことを言っています。
「韓国与党“共に民主党”のイ・ジェミョン(李在明)次期大統領選候補は「日米韓軍事同盟に反対する」と主張し「独島(日本名:竹島)がいつか、日本のトリップワイヤ(Tripwire:わな線・地面に隠したワイヤで兵器などを作動させたりするもの)になり得るとみている」と語った。「日本が過去の帝国主義による植民地問題に対してあいまいな立場をとっている」という点も批判した。
イ候補はきょう(10日)の午前、プレスセンター行なわれた討論会で、“日米韓軍事同盟への賛否”についての質問に「日米韓3角軍事同盟については反対だ。我々は米国と軍事同盟を結んでいる。しかしここに日本が入ることは、非常に慎重に考慮しなければならない」と語った。
つづけて「我々は独島問題を含めた対日関係において何を心配するのか。日本は完全な友邦国なのか。なぜ独島に対して日本は問題提起をするのか。すでに韓国の領土であることは明確だ」とし「今すぐではないが、いつかは(独島が)日本のトリップワイヤになり得るとみている。そのような疑いをもっている」と強調した」( wowkorea11月10日)
https://www.wowkorea.jp/news/korea/2021/1110/10322404.html 
今たけなわの大統領選の与党有力候補が、「日米韓3角軍事同盟については反対だ。我々は米国と軍事同盟を結んでいる。しかしここに日本が入ることは、非常に慎重に考慮しなければならない」と言っているわけです。
この発言は、立憲が安保廃棄・自衛隊否認と言っている共産党と手を組むより過激です。
ムン閣下ご指名の後継与党候補ですからね、なんせ。

では、日本を排除して米韓同盟だけ単独で機能するかといえばしません。
東アジアの「米軍」という存在自体が、在日米軍を策源地として動く構造で出来ている以上、日本が抜けた米韓同盟などありえないからです。
そのことが露になったのは、米国が韓国に日本とのGSOMIAを廃棄することを許さなかったのを見ればお分かりになるでしょう。
日米韓がスムーズに弾道ミサイルなどの情報を米国が集約するためにあるからです。
ですから日本を排除すれば、自動的に消滅していかざるをえません。
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イ・ジェミョン(李在明)

イ・ジェンミンは、三カ国連携に入ってやるならオレ様には条件があるゾ、とばかりに上目線で言っているのが竹島(独島)に対する日本の態度です。
イに言わせると、竹島は「トリップワイヤー」なんだそうです。
「トリップワイヤー」とはちゃんとした外交・軍事用語で、密かに仕掛けられた「罠」のことで、引っ掛かると自動的にチュドーンと爆発する仕掛けのことです。
韓国の米陸軍第2師団の存在がいい例で、かつては38度線とソウルの間に配備され、北が進攻すればイヤでも米軍と戦わねばならなくなるために仕掛けられた「トリップワイヤー」でした。

ということは、竹島に対してのわが国の対応次第で、「日米韓三角軍事同盟」はオシマイだと与党候補が言っていることになります。
わが国の竹島に対しての態度は、仮に立憲が政権を取ろうと不変なので、これは日米韓連携から脱退するということを言ったに等しいと解釈すべきでしょう。
問題は日本ではありません。
あくまでも米国がどう思うか、が重要です。
韓国は常にそうですが、視野が日本だけで一杯に塞がっているようですから、こういうことを言うと米国がどのように受け取るかなどまったく気にしないのです。

イは日本に対してはひどく饒舌です。まるで対日政策こそが大統領選のメーンテーマみたいです。
「読売新聞は「イ・ジェミョン氏は日本に対する強硬発言が目立つ政治家」だとし、「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟や慰安婦問題など日韓関係の懸案で、 文在寅(ムン・ジェイン)政権の厳しい路線を継承する可能性がある」と報道した。さらに「日本を追い越す」、「侵略国家である日本が分断されるべきだった」、「(日本軍「慰安婦」問題に関して)戦争に強制動員して、体系的、長期的に朝鮮の女性に集団性暴力を加えた」などの発言を紹介した」
(ハンギョレ10月13日)
http://japan.hani.co.kr/arti/international/41369.html
「日本を追い落とす」「「日本が分断されるべきだ」ですか。
いやーすんばらしい、天然自然のびのびと生きられていいなぁ(笑)。

ただこんな台詞は、韓国人の「おはよう、ご機嫌いかが」というくらいの慣習的表現で、気にすることはありません。
ただイ・ジェンミンは、ムン閣下の後継と目される大統領候補者で、しかも京畿道知事という公人ですから、言っていいことと悪いことがあります。
他国との軍事同盟についてそれを否定するようなことを、野党ならまだしも与党候補が言っていいわけがありません。
現政権も同じ認識だと思われるからです。実際、まったく同じなんですけど。
この場合、米国に対して日本の竹島対応自体で米韓同盟を廃棄するぞ、困るなら我々の味方になれと条件を言っているようなものです。
おいおい、米国に守ってもらっていてどうしてそう上目線で条件なんぞ言えるのだと思いますが、「共に民主党」から見れば、在韓米軍は南北統一の障害なのに、米国の利害のために泣く泣くいさせてやっているのだという認識のようです。
 
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トランプの時は同盟解消までカウントダウンでしたが、バイデンの態度が占えたのは、アフガン撤収騒ぎの時でした。
バイデンは自分の失態を隠すつもりもあってか、語調も険しくこう言ってのけて、同盟国に衝撃を与えました。
「米軍がアフガニスタンを占領して親米政権を樹立してから20年を経て撤退し、タリバンがアフガンを掌握したことで起こった混乱とその影響が世界を揺るがしている。
批判にさらされている米国のジョー・バイデン大統領は撤退を後悔していないと述べ「米国の国益がかかっていない戦争で無制限に戦うつもりはない」とする「バイデン・ドクトリン」を宣言した。
米国のアフガン撤退はかなり以前から予告されていたもので、米国の外交戦略の根本的な方向転換のシグナルという意味がある。
冷戦終結後、唯一の超大国として米国式の秩序を全世界に無理に移植しようとして多くの力を使い果たした米国は、中東や欧州などで役割を縮小し、中国牽制に力を集中しようという現実主義の要素を強化している。米国の新戦略においては、韓国をはじめとするインド太平洋地域の同盟国の地位は非常に高まった」(ハンギョレ社説8月21日)
https://japan.hani.co.kr/arti/PRINT/40878.html
「米国の国益がかかっていない戦争では米国は無制限に戦わない」ですか、特にびっくりするようなことではありませんね。
同盟を重要視しない国はもう同盟国に値しないからもう守らないと言っているにすぎないわけです。
このバイデンのタンカが、わが国ではさしたる動揺も生まなかったのは、日本ほど米国との同盟を篤実に守ってきた国は世界を探してもそうないという自負です。
しかしこの発言にもっともみっともなく動揺したのは、言うまでもなくお隣の国でした。
あまりギャギャー言うので、後にバイデンが韓国は違うからとわざわざ言ってやらねばならなかったほどです。

たぶんこのバイデンの警告が、まさに図星で自分らの下心を見透かしたように思えたからです。
このブログでもなんども扱ってきていますが、韓国は同盟破りの常習犯でした。
ムン・ジェインとなってからやらかしたのが、いわゆる「三不」政策の継承です。
これはTHAADミサイルの配備問題から始まったのですが、韓国は中国から輸入を制限するような圧力をかけられました。
韓国は中国からなにか言われるとすぐに卑屈になるのですが、そこで中国に飲まされたのが、有名な「三不の誓い」です。
それはこのような屈辱的なものでした。

①日米韓の3ヶ国による同盟を結ばない
②THAADミサイルの追加配備を検討しない
③アメリカのMD配備網に加わらない

そのうえに、本来の このTHAADミサイルの目的が北朝鮮と中国東北部の弾道ミサイル防衛の一環だったにもかかわらず、王毅からは中国に対して使ってはならないとまで厳命されてしまって、「三不」プラス「一限」となってしまいました。
これだけ屈しておいて民族独立も統一もあったもんじゃないと思いますが、それはそれで韓国人の脳内では整合しているようです。

前出のハンギョレ新聞は日本でいえば朝日と毎日と東京を足したような左翼新聞ですが、「共に民主党」の言い分を代弁しています。
鈴置氏はこのように要約しています。
①(朝鮮日報と中央日報の社説は)韓国がアフガンのようにならないようにするためには、韓米同盟を強化して米国の中国牽制に密着すべきだという根拠のない主張だ。
②何より、バイデン大統領をはじめとする米政府の関係者たちが、韓国の重要性を強調し、懸念を静めようと努めている。バイデン大統領は18日の番組で韓国や日本、NATOなどの同盟国と台湾は、アフガンとは根本的な違いがあるとし、同盟が侵略されれば、相互防衛条約に沿って対応することを確認した。
③韓国をはじめとする同盟国に対しては、中国を牽制する役割を拡大し、費用分担も増やすべきだとの米国の要求が強まるだろう。韓国は、原則と地位にふさわしい国際的役割は拡大するにしても、米国の要求をやみくもに受け入れて中国との軍事的緊張と対決へと向かう状況は避けなければならない
(鈴置高史 8月27日 デイリー新潮『韓国のアフガン化を恐れる保守・左派は「自主国防の強化」を訴えて米軍撤収を画策』)
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/08271701/
別に目新しい点はなにもなく、今のムン政権のスタンスそのものです。
精神の格調が低い。覆いがたく彼らから匂って来るのは弱者の浅知恵です。
どちらに嘘をついても口先三寸で言い逃れできる、ハイハイと従うふりをすれば騙せる、ああ、やだやだ。
そしてハンギョレはこう結論しています。これがすごいといえばスゴイ。
「当面、韓米同盟は重要な役割を果たすであろうが、韓国の安保を米国のみに依存するわけにはいかないというのは当然の原則であり、アフガン事態がもたらす真の「教訓」だろう。韓米同盟をうまく管理しつつも自主国防は強化しなければならず、戦時作戦権返還もこれ以上先送りしてはならない」(ハンギョレ前掲)
つまり米国をうまく口先であやしつつ、軍備を拡大させ、戦時統制権をもぎとってやるぞ。
そしてその先は言わずと知れた本丸の米韓同盟の廃棄です。

実はこのハンギョレ社説は朝鮮日報の社説に対しての反論で、こちらは韓国保守を代表してこのように述べています。
①中国を狙った地域安保協力体であるQUADや、対中半導体輸出規制に韓国も参加すべきだとの米国からの圧迫はさらに強まるであろう。こうした米国の戦略に協力せずに、北朝鮮の脅威だけは防いで欲しいという韓国の曖昧な姿勢は持続可能ではない。
②ひたすら力の論理だけが働く国際社会のジャングルで、国家と国民を守ろうとするのなら、信じられる強大国との友好関係が必須である。南北イベント政治よりも先に、急変する国際情勢に対応する立体的な国家戦略が切実な時だ」(鈴置前掲)
韓国にも常識家がいるようでまことに喜ばしいことですが、残念ですがこの6年間は日陰のペンペン草扱いでした。
保守空位の間に、東アジア情勢は激変してしまいました。
いまや台湾海峡に新たな前線を作ろうとしている米国とその同盟国にとって、不安定要因にしかならない韓国などクアッドに入っていただかなくてもまったく困らないのです。

というわけで、韓国ときたら、まるで行こか戻ろか思案橋といった風情ですが、来春にはその思案が定まることでしょう。
イ・ジェインになれば、思案橋を渡って中国への彼岸の旅へと晴々と出ていくのでしょう。
といっても、韓国に中国は押しかけられても拒否するかもしれませんね。
シンシアリーさんがどこかで、「中国は韓国とは同盟しない。それは韓国は弱い環として敵陣営にいるから価値があるからだ」と言っていましたしね。
え、北朝鮮ですか、論外です。与正が韓国と同盟することなどありえません。
ですから、思案橋の先には誰も迎えてくれないのです。

2021年11月11日 (木)

グレタさん、グリーンウォシュに猛然と噛みつく

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グレタさんが、とうとうグリーンウオッシュに噛みつきました。
北部スコットランド・グラスゴー]一刻の猶予も許されない世界の地球温暖化対策の強化と実行を求めるスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(18)が英グラスゴーで開催中の国連気候変枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を「失敗」「PRイベント」「グリーンウォッシュ(ごまかし)の祭典」と徹底的にこき下ろした」(ニューズウィーク11月8日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9c14836f531dc6d6fc964c7a393812378e45265a
グレタさんのあいかわらず「子ども」が大人の社会の不正を告発するというスタイルはいただけませんが、(だって彼女、もう18歳の大人ですからね)、いいところに目をつけました。


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グレタへの強烈な賛否が映す世代闘争に潜む罠 | 政策 | 東洋経済  怖いよ、グレタさん。

「これはもはや気候会議ではない。北半球の先進国によるグリーンウォッシュの祭典だ。指導者は何もしていない。彼らは自分の利益のために抜け穴を作っている。拘束力のない約束はこれ以上必要ない。COP26が失敗であることは秘密ではない」

いやまったく、よくぞ言った。皮肉ではなく、まったくその通りです。
グレタさんのような過激な環境原理主義者たちが、やっと環境をカネ儲けの手段としか考えていない世界の仕組みに気がついたのはアッパレです。

「グレタさんが攻撃の矛先を向けるのはCOP26最大の争点であるパリ協定6条(排出削減量の国際取引を行う市場メカニズム)のカーボン・オフセット。どうしても避けられない温室効果ガスの排出について、森林保護、クリーンエネルギー事業などの削減活動によって相殺する仕組みである。グレタさんはしかし「公害をまき散らす利益主義者はオフセットを気候変動ゲームにおける『無料で刑務所から出られるカード』と考えている」と糾弾している」(NW前掲)

環境原理主義者の皆さんが、遅まきながらカーボンオフセットというダーティトリックに気がついたのは大進歩でした。
80年代以降、IPCCの科学者とそのロビイストたちは、地球温暖化によるハルマゲドンのシナリオを持って米国議会を飛び回りました。
いわく
「14mの水面上昇が来て南太平洋の島々は沈んでしまう」「北極の氷が溶けてシロクマは絶滅寸前」「巨大ハリケーンが毎年来て海岸沿いには住めなくなるだろう」「毎年気候変動による飢饉が来る」、エトセトラ、エトセトラ・・・。 
嘘は言っていないが、ほんとうのことはナニも言っていないという類です。

地球は温暖化ステージにあるのは確かですが、それとCO2との因果関係は立証されていません。
あくまでも複数存在する原因のひとつであって、CO2削減だけでは地球温暖化は止まらないのです。
ところがCO2削減は、化石燃料撲滅の方向だけに突っ走っていってしまいました。
しかも万人疑う余地のない絶対真実と化して人類を拘束してしまいまったのですから、もう引き返せません。

特にオバマ政権は、第1期の目玉政策をグリーンニューディールに置き、包括的エネルギー・温暖化法(2008年11月)まで作りました。
おっ、出てきましたね、グリーンニューディールという名の政策が、
そうなんです、今、バイデン(当時オバマの副大統領)がやろうとして、なにもしないうちから挫折しかかっているグリーンニューディールはオバマの二番煎じなのです。
元祖グリーンニューディールは、09年1月に始まりました。
政府施設から先行して省エネを実施し、風力や太陽光、バイエタなどの再生可能エネルギー(再エネ)を倍増させて、約50万人の雇用を増大すると表明しました。 
また7870億ドル(約72兆円)にのぼる米国史上最大の景気対策のうちから、年間150億ドル(約1兆4000億)円を投資すると宣言しました。
オバマの目論見では、経済と環境の同時解決という画期的な政策になったはずでした。

ただしこのオバマのグリーンニューディールが始まった2009年は福島事故の2年前で、原発はCO2削減の切り札と、オバマは考えていたようです。
ここが第1次グリーンニューディールと今のものとの大きな違いです。
バイデンのグリーンニューディールは原子力まで否定してしまいましたから、迷うことなく再エネ一100%という袋小路に突っ込んでしまいました。

では、CO2は削減されたのでしょうか?
いえ、世界のCO2は増加に歯止めがかかりません。

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www.longlife-lab.jp

唯一落ち込んでみえるのは、リーマンショックで経済活動が低迷した時期だけです。
去年のコロナの時期も減りました。
理由は簡単。経済が半身不随だったからで、人類の大きな不幸が来ると、CO2は削減されるのです。
中国の空がキレイだったのはコロナの時だけだったでしょう。
中国が削減されなければ、世界のCO2排出量は変わりません。

では国別のCO2排出の増減を見てみましょう。

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見にくくて恐縮ですが、米国は下から3番目位にある赤い線で、たしかにマイナス5%ほど減ってはいます。
日本も健気にマイナス8%削減しています。
ただし新興国はあいかわらず出しまくっていて、中国と並んで世界のCO2排出量を押し上げる大きな原因となっています。

「世界全体の二酸化炭素放出量は、2000年〜2005年の期間の年平均で72億トンと推計されており、1980年代の54億トン、1990年代の64億トンに比べて、明確に増加してきている。国別には米国の排出量が最も多く、中国、ロシア、日本がこれに続いているが、近年の動向をみると欧州地域の排出増加が抑制されているのに対して、アジアを中心とした発展途上諸国の排出量の増加が著しい。ただし、発展途上諸国の一人当たり排出量は先進諸国に比べてまだかなり小さく、所得格差と同様に大きな南北ギャップがある」
(資源エネルギー庁2020年8月14日)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/co2_sokutei.html

この国別のCO2排出量は、「生産ベースCO2排出」と呼ばれる推計を用いて測られています。
私たち一般ピープルは上のようなグラフを見せられると、直接に計測装置を使って大気中のCO2を測定していると思いがちですが、そうではありません。
経済統計上のガソリン・電気・ガスなどの使用量といった活動量に、排出係数をかけ算して求められています。

これにはトリックが隠されています。
この消費国ベースでCO2排出を推計すると、実情よりも過剰に先進国は減少傾向・新興国は増加傾向と出てしまうのです。
なぜなら、先進国は経済活動が盛んですからエネルギー消費も盛んなのに対して、実際に先進国に多くの輸出品を出しているのは新興国だからです。
これら発展途上国は、多くの老朽化した石炭火力発電を使い、運搬手段も排気ガス規制などない国がほとんどのために、CO2排出は著しい増加傾向にあります。

ですから地球温暖化を少なく見せるには、CO2排出量の「付け替え」をすればよいのです。
CO2が多く出そうなモノは発展途上国で作り、先進国は輸入するだけにすれば、先進国は排出量が減ったようにカウントされます。
これがガラガラポンでCO2が減るというカーボン・オフセットとか炭素会計などの手品です。
あるいは、実際に減らさなくても他国からCO2を買うという排出権枠売買すら認められています。
その規模たるや毎年4兆ドル。
こんなにおいしい物件にソロスなどの投資家が食いつかないはずはありません。
いまやCOPとは、なんのことはない温室効果ガスをみんなでごまかす技術の品評会と化してしまいました。

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米国オバマ大統領の「グリーン・ニューディール」とは何か

話をオバマのグリーンニューディールに戻しましょう。
結局、このオバマのグリーンニューディールで判ったことは、いくら政府が再エネの太鼓を叩いても景気の回復にも雇用の増大にもつながらなかったという事実です。
それはそうです、太陽光ハネルはほぼ100%メイドインチャイナですからね。
そして外資がメガソーラーや風力発電施設を買収して、遠慮なくカネ儲けに走りました。
単に国富が外国に流出しただけだったのです。

もちろん雇用は生まれず、むしろ失業率が上昇しました。
下図は米国の失業率推移を見たものですが、オバマがグリーンニューディールを始めた2008年(グラフ右端から5番目)から失業率はむしろ急増しています。

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失業率が戦後最悪の水準に(アメリカ:2020年5月)|労働政策研究

そもそも、太陽光発電や風力発電施設など、一度作ってしまったらなんの雇用も生まず、むしろ環境公害を生む地域のやっかい者と化しています。
儲かるのは投資家だけです。
それが分かってオバマは2期目は
シェーガス革命の成功を大宣伝した影で、ひっそりとグリーンニューディーを止めてしまいます。

しかし、いったん行政化されたものは簡単にはなくなりません。
フェードしないものがありました。そのひとつがバイエタ(バイオエタノール)です。
このバイエタを制度化したのはオバマではなくブュシュ(息子)でした。
2007年に始まったバイエタ政策により、バイエタ生産を当時の50億ガロンから一挙に7倍の350億ガロンに生産拡大しました。
下図のバイエタ生産量推移グラフで、米国(紫色)は2007年から一気に急上昇しているのがわかります。

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newswitch.jp

この目標に掲げた350億ガロンのバイエタを製造するためには実に122億ブッシェルものトウモロコシが必要となり、今の米国で生産されるトウモロコシ全量をバイエタに回してもまだ足りない馬鹿げた数字でした。
にもかかわらず、このバイエタ政策が単なる努力目標値や期待値ではなく、法的に再生可能燃料基準(RFS)として義務づけられたためにバイエタには多額の投資資金が流入し、今やトウモロコシを作ることは食糧生産ではなくバイエタ生産であるかのような倒錯した構図が生れてしまいました。
バイエタは、作れば作っただけ再生可能燃料基準法で使用されるのが確実なために消滅するどころか、かえって増大していきました。

ゴアが種を蒔き、ブシュが地ならしし、オバマが育てたバイエタだったのです。バイエタは狂ったように穀物を食い散らしたのです。
全米で生産されるトウモロコシの相当部分は、資料や人の食用に回るのではなく、皆燃やされて車のガスに消えていったのですから、罰が当たります。
しかも、これで二酸化炭素が現実になくなるわけではなく、単に穀物の生育期の二酸化炭素消費とゼロサムになるだけ、つまりは単なる数字操作だというのですらから呆れたものです。 

バイエタが盛んなブラジルでは熱帯雨林を伐採して、「地球に優しい」バイエタ農産物を作っています。 
ヨーロッパでは菜種が燃やされています。
かくして、本来は人間や家畜の口に入るべき穀物は燃料として燃やされてしまった結果、多くの人々が飢え、数千万人が貧困に逆戻りしました。 

これがグリーンウォシュ、というかグリーンロンダリングです。
グレタさんがこの炭素会計の嘘に気がついたのはよかったのですが、ここで悪どい儲けをしている連中こそがあなたのスポンサーだということをお忘れなく。

 

2021年11月10日 (水)

バイデン、グリーンニューデールを切り捨てて予算案成立

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バイデンがやっと予算案を通しました。
ブルームバークは「バイデン勝利」という記事を打っています。
ほとんど誤報です。

「米下院、歴史的な超党派インフラ法案可決-バイデン大統領の勝利
米下院は5日夜の本会議で、過去数十年ぶりとなる大規模なインフラ包括法案を賛成228、反対206の賛成多数で可決した。上院では民主党会派の議員に加え一部の共和党議員の賛成で8月に可決済みで、署名のためバイデン大統領に送付されて成立する運び。

道路や橋、公共交通などの整備に5500億ドル(約62兆4000億円)を投じる内容で、下院採決では共和党議員13人が賛成する一方、民主党からは6人の造反があった。民主党進歩派と穏健派の対立で数カ月にわたり滞っていた法案の議会通過は、支持率低下にも見舞われていた大統領にとって勝利を意味する」(ブルームバーク11月9日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-11-06/R24SDMDWLU6A01?srnd=cojp-v2

確かに「歴史的勝利」には違いありませんが、それは超党派で与党の一部を切って成立したことが「歴史的」だっただけのこと。ブルームバークさん吹かしましたね。
米国の新年度は10月からですから、既に1か月前には成立していなければならなかったはずです。
日本でいえば、5月になっても予算が決まっていないということになってしまいます。
いつも揉めるのは連邦政府の債務上限ですが、これに関しても、とりあえず連邦政府機関が動かなくなるから12月まで暫定的な延長でお茶をにごしておこうね、という妥結でした。

ではなぜ、予算が決まらなかったのでしょうか?

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ブルームバーク

上の写真は、左から民主党下院多数派指導者スティーニー・ホイヤーと、同じく民主党ジェームズ・クライバーン下院議員が、あのワニばばぁことナンシー・ペロシ下院議長が予算案で合意に至ったことを発表している様子ですが、あれ、なんかヘンに思いませんか。
普通、こういう時に握手をするのは、野党と政権側と決まっていますからね。
与党同士で握手してどうするんだと思いますが、そうなのです。
今回の予算案の難航は、ひとえに民主党内の激しい対立が原因だったのです。

バイデンがこの5月に提出した予算案は出してきた予算案は、戦後最大の6兆ドル(660兆円)という大型予算でした。

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時事 

「バイデン米大統領は28日、就任後初となる2022会計年度(21年10月~22年9月)の予算教書を議会に提出した。成長戦略のインフラ投資や教育・福祉向けを重視し、歳出額は6兆110億ドル(約660兆円)と戦後最大規模に達した。政府債務が記録的水準に悪化することを受け、企業や富裕層への増税を提案した。
 「大きな政府」が主導する財政拡大で、国際競争力の強化と中低所得層への支援拡充を訴えるバイデン氏の意向を強く反映した。同氏は「米経済を強化し、長期の財政健全性を高める」と強調した。
 歳出は、新型コロナウイルス危機前の19年度比約3割の大幅増。国内総生産(GDP)比でみると、コロナ経済対策の特殊要因を除けば戦後最大の規模となる。その後も拡大を続け、31年度は8兆2110億ドルと、10年で4割近く増える見込みだ。
バイデン政権はインフラ投資や気候変動対策、子育て・教育支援を柱とした成長戦略に、幅広く予算を振り向けた。国防費は中国などの脅威をにらみ、積み増した」
(時事2021年05月29日)

 コロナ禍で冷え込んだ経済に対して財政拡大は正解ですし、成長戦略も結構、財政赤字が増えることもなんとかなるでしょう。
ちゃんと経済が成長して企業と国民が富めば、税収の増加でそんな財政赤字など補えるからです。
問題は、バイデンの言う「成長戦略」が、再エネ拡大しかないことです。
カマラはこう言っています。

「ジョーが言っているのはつまり、われわれはその資金を再生可能エネルギーに投資するということです」と2020年10月の副大統領候補の討論会で、バイデンの後任候補である上院議員カマラ・ハリスは語った。「これにより数百万人の雇用が創出できます。2050年までにCO2総排出量ゼロ、2035年までにカーボンニュートラルの達成を目指します。ジョーにはその計画があるのです」(WIRED2021年 1月4日)
https://wired.jp/membership/2021/01/04/could-biden-rebuild-the-economy-by-funding-green-energy/

このバンデン案は、事もあろうに与党内部に大きな亀裂を生んでしまいました。
というのはそもそもこのバイデン案は、民主党左派グループの主張をそのまま取り入れた内容だったからです。
下の写真は、グリーンニューディール政策を発表する民主党左派のオカシオ・コルテス下院議員らですが、バイデンの予算案はこれをそのまま下敷きにしていました。

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日経

「米議会の民主党左派グループは20日、脱炭素社会と雇用創出を目指す「グリーン・ニューディール」の決議案を発表した。トランプ前政権時にいったん否決されたが復活させた。気候変動に関する首脳会議(サミット)が22日から開かれるのを前に、バイデン政権に環境対策で世界を主導するよう訴えた形だ。
決議案は、党若手ホープのオカシオコルテス下院議員らがまとめた。「すべての電力需要をクリーンで再生可能な(温暖化ガス)排出ゼロのエネルギー源で満たす」とともに、インフラ投資で高賃金雇用を創出するとした。
同議員は記者会見で「持続可能な将来に向けた活動は長い間、地球と経済のどちらかを選ぶという誤った考え方で割れてきた」と指摘した上で、環境保護と経済成長の両立は可能だと主張した」
(日経2021年4月22日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21F080R20C21A4000000/

バイデンは本来は中間派であったにもかかわらず、大統領になるためにサンダースやコルテスなどの左派の力を借りたのですね。

「現在起きていることはバイデン前副大統領の更なる左傾化である。サンダース上院議員の支持者は民主党最左派の人びとであり、自分たちの贔屓のサンダース上院議員が候補指名を受けないのであれば投票に行かないと広言していた。しかしトランプ大統領の勝利するためには影響力を伸ばしている彼らの支持が不可欠となる。そこでバイデン前副大統領は5月半ばに大統領選に向けた気候変動政策プラットフォーム作成のためのパネルにサンダース上院議員、オカシオ-コルテス下院議員、グリーンニューディールのバックボーンとなった「サンライズ運動」の指導者ヴラシニ・プラカシュ氏等を参加させたのである。穏健派からはパリ協定策定に尽力したジョン・ケリー元国務長官も入っている 」
(有馬純『左傾化するバイデン候補のエネルギー温暖化政策』 2020年5月21日)
https://ieei.or.jp/2020/05/opinion200521/

だから大統領になったら、左派に借りを返さねばならなくなったわけです。
バイデンのグリーンニューディール予算案は、大統領選の論功行賞です。
これに強く反対したのは、共和党よりむしろ財政健全派の民主党中間派でした。
共和党はこの民主党中間派に相乗りした格好ですが、彼らからすれば勝手に民主党政権が自壊していくのをにやにや見ているだけでよかったのです。

これをエイヤっとまとめるだけのリーダーシップなど、バイデンのどこを探してもなかかったためになんと丸々1カ月間も新年度予算空白のまま、時間だけが押していったのです。
結局、この膠着状況を打開するため、民主党の中間派と共和党議員が妥協案を作って、インフラなど必要とされる部分の予算だけを切り離した超党派予算案を策定し、かろうじて予算案を通したというお粗末です。

こういうことができるのも、米国議会には党議拘束がなく、議員の良識を信じて各自自由に投票してよいという伝統があったからです。
ところが今度は、このグリーンニューディールを切り放して予算を通すことに左派が反対し、予算を一括で通すことを求めたために議会が空転、また空転。
与野党でネジレを作るならともかく、与党内部でネジレていてはシャレになりません。

結局、これ以上引っ張ると非常事態になることから、「道路や橋、公共交通などの整備に5500億ドル(約62兆4000億円)を投じる内容で、下院採決では共和党議員13人が賛成する一方、民主党からは6人の造反があった」(ブルームバーク)という具合に、左派を切り捨てる形で、共和党と中間派が手打ちをしたということになりました。
しかもこの超党派案で通したのは、公共インフラの整備の部分だけ。
なんのことはないバイデンは自分の党の分裂を、共和党の力を借りて鎮めたということになってしまったのですから、みっともない。

残りのグリーンニューディール予算に関しては、別途に審議延長という道は残してありますが、共和党の手を借りての超党派案ですから、もう成立の見込みはないと見られているようです。

さて、今回のバイデン予算案は、わが国の立憲のものとよく似ています。
バイデンはグリーンニューディールの大風呂敷を拡げてみせたのですが、その財源には富裕層や企業などに対する大規模な増税を考えていました。
立憲が1000万以下の国民への減税の代わりに、企業への法人税の引き上げを言い出したのと似ています。

そもそも、民主党左派が求める各種施策は、グリーンニューディールなどに見られるようにCO2削減のために化石燃料の投資を禁止し、再エネに一元化するような非効率なものがほとんどで、これをまともにやれば米国の製造業の競争力は大打撃を受けるでしょう。
もうすでにその最初の打撃は運輸業などに現れ始めています。

世界のリベラル左派には共通した誤った考え方があります。
所得の再分配とグリーン政策に傾くあまり、成長を度外視してしまうのです。
CO2ゼロ政策をして化石燃料への投資を禁止れば、とうぜんガソリン高となって、製造業が危機的状況になってしまうことは常識的に考えればすぐにわかりそうなものですが、彼らは再エネ100%にシフトすればいいのだと夢想します。
ところが再エネは風任せ、お日様任せで不安定なうえに、再エネ自体が火力発電がサポートしてあげねば安定しないというとんでもない困ったクンで、とてもではないが米国のような巨大な経済を持つ国を支えきれません。
だからグリーンニューディールは一見美しい理想論に聞こえますが、これでは経済は成長しないどころか衰退していってしまいます。
ぜんぜん経済が成長しないのに、富者や企業への税負担だけ上げれば、彼らは国外へ逃げ出すでしょう。
喜ぶのはグレタさんだけです。

今回の妥協案は、政府投資をインフラなどの必要かつ限られた部分だけでのものに限定し、バイデンの公約の一丁目一番地のグリーンニューディールについての予算は切り捨てました。賢明な選択です。
これによってバイデンがCOP26で公約した脱化石燃料政策に関しても、予算がつかない幽霊公約となりました

この共和党と手を組んだ民主党中間派の尻を炙っていたのは、先週末から始まった統一選挙において、各地で民主党が連敗を喫するという民主党総崩れの様相でした。
特に先日も触れたオハイオとジョージアの連敗は、民主党の牙城であっただけにショックが大きかったようです。
ここで国民に不人気な脱炭素政策など強行したら、もう中間選挙の結果はボロボロという姿が目に見えていたからです。

確かにバイデンは「勝った」のですが、それは彼が左派の主張を切り捨てたからです。
おそらく来年の中間選挙を民主党は各派バラバラに戦うことになるでしょう。 

2021年11月 9日 (火)

ヨーロッパでは再び感染が爆発

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日本では終息に向かいつつあるコロナですが、ヨーロッパでは再び感染が爆発してしまいました。

「欧州で再び新型コロナウイルスの感染者数が急増している。世界保健機関(WHO)は、ロシアや中央アジアなど旧ソ連諸国を含む欧州管内53カ国で10月最終週の新規感染者数、死者数がともに世界の約5割を占め、再び感染の「震源地」になったと警戒を強める。ワクチン接種が進んでも悪化に転じた国もあり、ドイツは希望者全員に3回目の「ブースター接種」をする方針を決めた。
WHO欧州地域事務局によると、10月最終週は管内の新規感染者数が約180万人、死者数が約2万4千人だった。クルーゲ事務局長は「我々は再び(感染の)震源地にいる」と述べ、来年2月までにさらに50万人が死亡する可能性があると警告した。」
(朝日11月6日)

WHO欧州地域事務局のクルーゲ事務局長は4日の声明で、欧州と中央アジアの一部で新規感染者が前週比6%増、死者が同12%増、過去4週間の新規症例が55%以上増加しているとし、強い警鐘を鳴らしました。
英統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」などによると、このような状況です。

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■ヨーロッパの1日当たり新規感染者状況(100万人当たり)
・11月6日時点の日本の新規感染者数                                                  ・・・241人
・欧州平均                                                                              ・・・約300人
・感染がひどい地帯・・・エストニア、ラトビア、スロベニア、リトアニアのバルト三国・・・1000人超
・ジョージア、セルビア                                                                   ・・・900人以上
・クロアチア、モンテネグロ、スロバキア、ブルガリア、ルーマニア、アルメニア
・英国                                                                                     ・・・ 約9万3千人
・ロシア                                                                                   ・・・約4万1千人

特にすさまじい感染爆発をしているのがロシアです。
ロシアは最悪のパンデミック状況で、毎日4万人超の感染者と1000人超の死亡者数を出し、死者数が最も劇的に増えた週は8100人以上が死亡しています。

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NHK

「ロシアでは新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、政府が11月7日までの9日間、全土で経済活動を制限してきましたが、1日の感染者数が過去最多になるなど収まる兆しが見られず、一部の自治体では制限措置が延長されることになりました。
新型コロナウイルスの感染の再拡大が続いているロシアでは11月7日までの9日間、全土で企業などの休業日とする大統領令が出されました。
政府は経済活動を制限して国民に不要不急の外出を控えるよう呼びかけてきましたが、11月6日も政府の発表で1日の感染者数が4万1000人を超え、これまでで最も多くなるなど感染拡大が収まる兆しが見られません。
一部の州では病床の使用率が90%以上になるなど医療体制のひっ迫が伝えられ、こうした州では飲食店の店内での営業などを停止する大幅な制限措置がさらに1週間程度、延長されることになりました。
また多くの自治体でも劇場などに入る際の接種証明の提示が義務づけられるなど制限措置が続けられるということです」
(NHK11月7日)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-situation/detail/russia_05.html

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ロシアの感染、過去最悪 政治不信招き「国産ワクチン打ちたくない

ロシアで新型コロナウイルスの感染拡大が過去最悪の状況になっている。1日あたりの感染者数は3万人、死者数も1千人を超えた。ロシアは昨年、世界初の新型コロナワクチンの開発に成功したと発表したが、政治不信から接種率は低迷。マスク着用も広がらず、感染拡大に歯止めがかかる気配はない。(朝日 2021年10月17日)

 ロシアは9月にいったん感染拡大は下降しましたが、寒気を迎える10月から再び増加に転じて、11月にはパンデミックになっています。

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NHK

ロシアの死者数を見ます。こちらは9月の下降も見られず、そのまま増加の一途を辿っています。

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NHK

参考までに、わが国の感染状況の推移を見てみましょう。

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NHK

わが国は8月から確実に感染は減少し、いまや終息宣言もそう遠い状況ではなくなりました。

■日本の感染状況
全国では、2021年8月末から新規感染者数が減少に転じ
▽10月7日までの1週間は前の週に比べて0.55倍、
▽10月14日は0.61倍
▽10月21日は0.62倍
▽10月28日は0.67倍
▽11月4日まででは0.80倍と10週連続で減少

この極端な差はなんなのでしょうか。
WHOはワクチン接種率の低さを原因に上げています。

「WHOが懸念するのが接種率の伸び悩み。管内で接種が完了した人は47%で、バルト諸国や中東欧で接種率が低いという。10月に感染が急速に拡大したロシアも1回でも接種した人は5日現在で人口の39・4%にとどまっている。  100万人あたりの1日の新規感染者数はエストニアやスロベニアでは1千人を上回る。日本の人口に換算すれば12万人を超える事態だ。約700人のオーストリアでは、ウィーン市が来週末からワクチン未接種の人に飲食店への入店などを禁止すると決めた。  また、WHOは感染防止策を緩めた国も少なくないとして、マスク着用や屋内空間での換気といった対策の徹底も呼びかけている」(朝日11月6日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/27f858f39ddeb1b2f451306995479255976abab5

■ワクチン接種率の低い国
・ブルガリア・・・22%
・ジョージア・・・23%
・ルーマニア・・・33%
・ジョージア、セルビアは中国製ワクチンを導入
・ロシア・・・2回の接種終了者・31・3%・自国製ワクチンを忌避するもの多数

欧州での感染拡大の理由について、ドイツ在住の医師村中璃子氏は、「寒さが到来したこともあるが、東欧やバルト三国など旧共産圏の感染が多いのは、国民の政府に対する信頼感の低さから、ワクチン接種が進んでいないことが一因だ」(ZAKZAK11月6日)と考えています。

「WHOが懸念するのが接種率の伸び悩み。管内で接種が完了した人は47%で、バルト諸国や中東欧で接種率が低いという。10月に感染が急速に拡大したロシアも1回でも接種した人は5日現在で人口の39・4%にとどまっている。
100万人あたりの1日の新規感染者数はエストニアやスロベニアでは1千人を上回る。
日本の人口に換算すれば12万人を超える事態だ。約700人のオーストリアでは、ウィーン市が来週末からワクチン未接種の人に飲食店への入店などを禁止すると決めた。  また、WHOは感染防止策を緩めた国も少なくないとして、マスク着用や屋内空間での換気といった対策の徹底も呼びかけている」(朝日11月6日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/27f858f39ddeb1b2f451306995479255976abab5

わが国では完全に習慣化したマスクの着用や、ソーシャルディスタンスの確保も、ヨーロンパでは守られていないようです。
たとえば感染が増加の一途を辿るドイツでもこの調子です。
上のロシアの写真でもわかるように、衛生当局が消毒作業をしている横で、市民はノーマスクでしたが、ドイツの街頭風景を見ると、マスクをする人のほうが稀のようです。
マスクをしないと社会面に出る日本ではかんがえられない風景です。

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NHK

「ドイツで感染症対策にあたる政府の研究機関は11月5日、ドイツ国内の新型コロナウイルスの新規感染者が3万7120人に上ったと発表しました。
2020年春に感染が拡大して以降、1日の感染者数としては最も多く、2日連続で過去最多を更新しました。
亡くなった人の数は154人となっています。
ドイツでワクチンの接種を終えた人の割合は人口の66.9%で、ワクチンの接種に消極的な人もいて、このところ接種率が伸び悩んでいます。
感染が再び拡大するなか、集中治療室で手当てを受ける患者も多くなっていてシュパーン保健相が「第4波が本格的に到来した」と述べるなど、ドイツ政府は危機感を強めています」(NHK11月5日『コロナ 海外で感染再拡大 日本での可能性は?』)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/sixthwave/detail/detail_20.html

ヨーロッパは、今後ウィルスにとって最適な乾燥した厳しい冬が待っています。
ロイター通信によると、中国でも2日に新たに93人の市中感染が確認され、8月以来の高水準となっています。

[「北京 3日 ロイター] - 中国当局によると、2日に新たに93人の新型コロナウイルスの市中感染が確認された。前日の54人から急増し、8月9日以来の高水準となった。中国共産党の重要会議の開催を来週に控え、北京では規制の強化が見込まれている」
(ロイター11月3日)

中国の公式発表は信頼度が低いですが、感染拡大の徴候が見えていることに留意してください。

また韓国でも感染が拡大しています。

「韓国中央防疫対策本部によると、ここ1週間(10月30日~11月5日)の国内感染者数の平均は前週(10月23日~29日)比で29%増の2,133人となった。10月は一時1,000人台で推移していたが、「ウィズコロナ」対策が1日から実施されて以降、2,000人台で高止まりしている。  とりわけ3日は午前0時時点で前日から2,667人増え、過去4番目の多さとなった。死者数も4日に24人を記録し、1月12日以来約10カ月ぶりの高水準だった」
(NNN11月 8日)

韓国はワクチン接種率が72%に達し、ウィズコロナに切り換えたとたんこの感染拡大が始まっています。
村中氏は「日本も再拡大の可能性を自覚すべきだ」と強調し、 「わずかな接種率の差が『ウイルスの広がりにくさ』に大きく影響する。ワクチンを1本でも多く打ち、3回目の追加接種や別の種類との交差接種の議論を進めることも必要だ。入国制限や水際対策の緩和も米国に追随するのではなく、日本独自の基準で判断することが重要だ」(ZAKZAK前掲)と述べています。

他山の石としましょう

 

2021年11月 8日 (月)

日本ではコロナが終息したが

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不思議な現象が起きています。
日本ではデルタ株が急速に感染は終息に向かう一方、ヨーロッパでは再拡大の様相を見せています。

まずは日本ですが、コロナの感染は終息しつつあります。
昨日時点で全国の死亡者数はゼロとなりました。
8月20日には1日あたり2万5800人を記録した日本の感染状況は、10月に入って一気に100分の1に激減し、10月25日には全国でわずか151人となりました。
1日一桁の感染者数の日もあるほどで、1日の新規感染者数も全国で229人、東京都内では22人、翌11月1日は18人でした。
11月6日時点では、国内新規感染者数が241人、死者2人、重症者100人、入院中・療養中が2160人となっています。

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https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/

最も感染者数が多かった東京都でも、同様に感染は確実に終息に向かっています。

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同上

理由は現時点では明確になっていませんが、ワクチン接種が政府の方針どおりに確実に伸びたことが基調にあることは間違いありません。
11月5日現在、2回目接種が73.1%です。

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https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/

特に顕著なのが、65歳以上の高齢者の接種率の高さです。
実に90%を超えていますから、高齢者全員が接種を受けたといってもいいでしょう。

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https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/

これを世界規模で見てみましょう。
下図は世界のワクチン接種回数です。
日本は回数で世界6位ですが、中国やインドのような人口14億人の国や、3億2千万人の米国、2億7千万のインドネシアと比較するほうに無理がありますが、それでも6位をキープしています。

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NHK

そこで、全人口に対してのワクチン接種済みの人の割合である接種率で見てみましょう。

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NHK

接種率にすると4位となります。早晩わが国は国民全体で80%を超え、3位以内に入るでしょう。
下図は2回目接種が終了した人の割合を比較したものです。
わが国は赤線ですが、6月までは少なく、そこから一気に駆け上がるような上昇曲線を描いて、みるみるうちに世界トップクラスに入りました。

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NHK

この当初の遅れは、製薬会社が製造国を優先したからですが、わが国はそれをたちまち挽回してしまいました。
ここで思い出すのは、当時の菅政権に対するメディアと野党のすさまじいばかりのバッシングでした。
当時、メディアは「ワクチン接種が遅い」から始まり、「東京五輪を強行する菅政権」、果ては「生命か五輪か」というワケのわからない主張をこれでもかとばかり浴びせかけていたことを思い出します。

脱線しますが、メディアがワクチンを遅いとばかり言いすぎて、欧米のような反ワクチン運動に点火し損なったために、日本はヨーロッパのような「6割の壁」を楽々と超えてしまったのですがね。
欧米でワクチン接種率が6割から7割で壁に必ず突き当たったのは、ワクチン反対運動が根強いからです。
ヨーロッパは今でもワクチンパスで大騒ぎしています。
お気の毒にも日本ではメディアとリベラル左翼陣営が狙っていた本丸はワクチン反対運動だったはずですが、遅い遅いとばかりを言いすぎたために出しそびれてしまいました(笑)。

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東京五輪「中止を」 都庁周辺で市民デモ:時事ドットコム

「この夏にその東京で五輪・パラリンピックを開くことが理にかなうとはとても思えない。人々の当然の疑問や懸念に向き合おうとせず、突き進む政府、都、五輪関係者らに対する不信と反発は広がるばかりだ。
冷静に、客観的に周囲の状況を見極め、今夏の開催の中止を決断するよう菅首相に求める。
■生命・健康が最優先
驚くべき発言があった。
国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ副会長が先週、宣言下でも五輪は開けるとの認識を記者会見で述べた。
だが、ただ競技が無事成立すればよいという話ではない。国民の感覚とのずれは明らかで、明確な根拠を示さないまま「イエス」と言い切るその様子は、IOCの独善的な体質を改めて印象づける形となった
(朝日社説2021年5月26日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S14916744.html

オリンピック開催が独善的だそうですが、その言葉はそのまま朝日にお返ししたい。
ならば公式五輪公式スポンサーを降りて、いかなる国内の大会も中止というならば筋が通っています。
しかし五輪スポンサーからは降りず、全国各地の地方大会から多くの人を動員する高校野球については平然と開催するのですから、まさにダブルスタンダードそのものです。

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東京に“宣言”へ 野党側、五輪中止求める|日テレNEWS24

一方、立憲もオリンピック反対運動にいたく熱心でした。

「立憲民主党の安住淳国会対策委員長は11日の党代議士会で「国民に歓迎される五輪になればいいが、そうならない時にどうするのか。明確な答えはなかった」と述べた。
立民の枝野幸男代表は10日の衆院予算委で、国内の感染状況に応じて中止も視野に入れるべきだと首相に迫った。「判断の先送りはできないタイミングだ。国民の命と暮らしを守る観点から、できなくなるのもやむを得ない」と説いた。
医療体制の逼迫やワクチンの接種状況に触れて「国内の医療を犠牲にすることは許されない」と強調した。国内の感染対策と開催の両立は不可能との考えも示した。
立民の山井和則氏は「首相の頭の中は『五輪ファースト』でワクチン接種、コロナで苦しむ事業者や国民の対策が二の次だと思えて仕方がない」と指摘した。首相は「大変失礼だ。私は五輪ファーストでやってきたことはない」と反論した」
(日経2021年5月11日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA115O90R10C21A5000000/

さらには枝野氏がワクチンだけに頼るなとまで言って物議をかもしたのはこの時期です。

「立民・枝野氏「首相はワクチン頼み」 コロナ対策批判
立憲民主党の枝野幸男代表は26日のラジオ日本番組で、政府の新型コロナウイルス対策を批判した。「菅義偉首相はワクチン頼みだ。ワクチン頼みでない抑え込みにかじを切らないとだめだ」と述べた。立民はワクチン接種に加え、検査の拡大や事業者への給付などによる封じ込め戦略を掲げている。
ワクチン接種の完了時期に関し、枝野氏は「高齢者の7月末はたぶん無理だ。現役世代へとても年内に打ちきる状況ではない」と話した 」
(日経2021年5月26日)

どうですか枝野さん、今読んでみて。
オリンピックは素晴らしい成功に終り、国民に勇気を与えました。
そして「生命か五輪か」とまで言っていたワクチンは、現役世代の接種も年内には終わるはずです。

そもそもこの感染拡大の1年半の間、メディアと野党はなにをやってきたのでしょうか。
国会質問は恥ずかしいくらいのモリカケ桜一色。
下図は去年2月のものですが 維新がコロナ対策100%なのに対して、立憲はさくら満開のありさまです。

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このようなスキャンダル政局だけにうつつを抜かした立憲の姿勢が、今回の選挙にどういう結果をもたらしたのか、自分で無関係といえるのかどうか考えてみることです。
真摯な反省もないところで、若手に看板をかけ替えれば国民の立憲を見る目が変わると思っているのが、なんともかともでてす。

コロナ感染拡大を止め、ワクチン接種を大きく進めたのは、岸田氏の手柄ではなく、ひとえに菅前政権がした仕事です。
にもかかわらず不当な罵詈雑言にまみれて首相の座から去りました。
菅氏が残したのが、感染者数一桁、死亡者ゼロという世界に誇るべき成果です。
今回の衆院選の自民の勝利は、日本におけるコロナ制圧作戦が幾多の失敗をはらみつつも、おおむね成功したことを国民が正しく評価したと見るべきです。

もちろんまだ止まったわけではなく、いつリバウンドするかわからない状況ですが、1年半前と違ってワクチンも薬も整っています。
続々とコロナの治療薬が臨床試験を終了し、年内にも投与可能となりそうな様子です。

「米製薬大手ファイザーは5日、開発中の新型コロナウイルス向け飲み薬の投与により入院や死亡するリスクを約9割減らせたとの臨床試験(治験)データを公表した。緊急使用許可を得るため米食品医薬品局(FDA)に詳細なデータを提出するという。早ければ年内に米国で投与が始まる可能性がある。
開発中の治療薬「パクスロビド(PAXLOVID)」を、発症後3日以内の患者に投与したところ、投与していないグループに比べて入院・死亡リスクが89%減った。デルタ型など各種の変異ウイルスに対しても効果がある可能性があるという」(日経11月5日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB05BNW0V01C21A1000000/

投与した結果が約9割減らせたということは、特効薬が誕生したということです。すごい。
ただしひとつ心配なのは、海外渡航者からの感染の流入です。
というのは、落ち着きを取り戻しつつあるわが国と違って、ヨーロッパでは感染が再拡大の様相を見せているからです。
これについては、長くなりましたので次回に回します。

2021年11月 7日 (日)

日曜写真館 ちちははの靄なつかしき初筑波

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神々に祈りしをれば夏の靄 原石鼎

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靄中にうく日輪や花菜雨 西山泊雲

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靄こめて遠森かくす靭草 富安風生

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靄深き朝や蓮田の中を行く 子規

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根白草摘みに靄立つ泉まで 古川芋蔓

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寒釣も夕づく鷺も靄の中 依田由基人

 

2021年11月 6日 (土)

中国は新戦略兵器削減条約に参加しろ

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11月3日、米国国防総省は、中国の核戦力は今後急速に強化され、核弾頭数が2027年までに700発、30年までに1000発に達する恐れがあると発表しました。

「【ワシントン=中村亮】米国防総省は3日、中国の軍事力に関する年次報告書(2021年版)をまとめた。中国の核弾頭保有数は30年までに少なくとも1000発と、20年時点の保有数の推計である200発から5倍に増えると見積もった。ロシアを交えた軍拡競争が一段と激しくなる恐れがある。
20年版の報告書では「(200発から)10年間で少なくとも2倍」になるとしており、わずか1年間で中国の核開発が想定を大幅に上回るペースで進むと判断したことになる。国防総省高官は核弾頭を攻撃目標まで運ぶミサイルの発射設備や爆撃機の開発計画などを踏まえ、見通しを引き上げたと説明した」
(日経11月4日)

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日経

●世界の現在時点での核弾頭数
・総数3750発(うち1389発が実戦配備)
・米国・・・5800発/20年→5550発/21年
・ロシア・・・6375発/20年→6255発/21年
・中国・・・320発/20年→350発/21年→1000発/30年(推定)

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出典不明

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出典不明

数量的には米露のほうが圧倒的に多いので、中国自身こう言っています。
駐日中国大使館『中国の核兵器と核軍縮政策』
https://www.mfa.gov.cn/ce/cejp//jpn/jbwzlm/zgbk/gfzc/t62868.htm

「中国の核兵器保有数はずっと比較的低いレベルに保持され、その規模、構成および発展は中国の積極的防御の軍事戦略·方針と一致している」

中国が言うように、たしかに長距離核兵器については、中国の言うとおり米露に比較して低い水準に抑えられていたのは事実です。
しかし、習近平政権になって核弾頭は増加傾向にあります。
実は米露はこんな核弾頭の増産自体をやりたくてもできません。

下図をみればお分かりのように、中国(最上部の薄緑線)は2010年からの10年間一個の核弾頭の削減も行っていないに対して、米露(米国青線、ロシア赤線)は削減し続けてきました。
なぜでしょうか。

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世界の核兵器保有数(2019年1月時点) | 国際平和拠点ひろしま

これは米露が新戦略兵器削減条約(新START)によって削減することが義務づけられているのに対して、中国が核軍縮条約の枠外にいるからです。
そもそも、ほんとうに中国の保有する核弾頭数が320発なのかすら判らないのです。
上図の国際平和拠点ひろしまが作成した図では公表された50発としていますが、これは米国防総省の300発の6分の1にすぎません。
どうしてこう大きな差がでるのかといえば、米露は相互査察によって確認された正確な数字であるのに対して、中国の数は中国の公表数字でしかないからです。
つまり核軍縮するための基礎数字自体が、中国においては闇の中です。

「中国、イスラエルは、冷戦終了とは関係なく保有し続けている。特に中国の核保有数の推定は確度が低いと思われ、かなりな量を保有し、しかも増加させていると思われる。中国が公表する軍事予算にしても、実際の1/3以下というのが専門家の指摘」
※『核軍縮・核廃絶のために・核兵器保有国・核兵器保有疑惑国・核兵器を開発しようとした国』 一般社団法人 原子燃料政策研究会
http://www.cnfc.or.jp/j/state/

また、米露は多弾頭(MIRV) に条約で5発までと制約がかけられているのに対して、中国はその倍搭載していると見られています。

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多弾頭(MIRV) 中国、北米全域射程の新型ICBMを近く配備か 読売新聞 中国の軍事

多弾頭は、弾道ミサイル1基で中国ならば10発の核弾頭を放出しますので、一発の核ミサイルでで日本の都市10箇所を同時に核攻撃することが可能です。
ですから公表された核弾頭数や弾道ミサイル数だけを見ても実態はつかめません。
このようなことは、すべて中国が核軍縮の枠組みへの参加を拒んでいるために起きたことです。

しかもその核ミサイルを発射する権限を一元的に握っているのは、中国共産党です。

「中国の核武装力は直接、中央軍事委員会の指揮に置かれている。中国は核兵器の管理に対し極めて慎重かつ責任ある態度をとり、厳格な規則、制度と予防措置を確立して、核兵器の安全と信頼性を確保している」
(駐日中国大使館前掲)

この中国自身の説明でわかるように、発射権限は中国政府にはなく共産党中央軍事委員会です。
そのトップの中央軍事委員会委員長こそが習近平なのです。
中国の政治体制が集団的指導体制からひとり独裁に変化する中で、最終的にはひとりの手の中に発射ボタンがある、というのが中国の核兵器システムです。
これは恐ろしいことではありませんか。習がその気になれば、ひとりで核戦争を起こせるのですから。

ところで11月5日に、新戦略兵器削減条約(新START)が期限切れを控えており、米露両国は5年延長することで合意しました。
米国は中国に対して、今までなんどとなくこの核軍縮の枠組みに参加するように求めてきましたが、ナシのつぶてです。
戦略核を保有する国がこの3カ国しかない以上、有効性を持った核軍縮の包括的枠組みを作るためには、中国を国際社会の圧力でなんとしてでも参加させねばなりません。

ところで、新戦略兵器削減条約(新START)はこのようなステップで進められています。
※外務省 「核軍縮検証」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/ac_d/page22_002633.html

この条約の有効性は単に削減数を決めただけではなく、いくつもの段階を踏んで互いの核弾頭の数量、配置場所、運搬手段を明らかにし合うという信頼醸成措置が大きく高まったことにあります。
そのために、核弾頭を密かに隠し持っていないかを検証する相互査察を実施し、正しく約束に沿って削減されて核弾頭が解体されたかを検証し合います。
米ソ(露)は、1991年7月の条約締結以来、実に30年に渡ってこの信頼醸成措置をし続けてきました。
だから米露間で核戦争が起きないとは言いませんが、その確率はきわめて低くなったとはいえるでしょう。
その信頼醸成プログラムとはこのようなものです。

「近年では,核軍縮のための国際約束に規定される義務を締約国が遵守していることを確保する「検証可能性」は,「不可逆性」の担保(いったんとられた核軍縮措置が後戻りしないように確保すること)及び核戦力の「透明性」の向上とともに,核軍縮プロセスを進める上での3原則として位置づけられている」
(外務省前掲)

「検証可能・不可逆性・透明性」という核軍縮のキイワードはどこかで聞いたことがあるでしょう。
トランプが北朝鮮に突きつけた非核化がこの3原則に則っていましたね。
核軍縮は「核からの解放」を祈願する宗教儀式ではないので、具体的にこの3ツが重要な条件となります。

●検証可能性、不可逆性、透明性向上の原則
(Principles of Verifiability, Irreversibility and Transparency)
 国際合意に基づき軍縮を着実に進めるに当たり、重視される基本原則。
検証可能性は、締約国が条約義務を誠実に履行しているかどうか、また合意に基づいて申告された内容が正確であるかどうか、客観的に確認する措置が担保されていることを意味する。
不可逆性は、条約に基づき一度廃棄された兵器が再び廃棄前の状態に逆戻りしないよう不可欠な措置を講じること。例えば、核兵器を廃棄・解体した後に生じる核物質や核爆発装置が軍事目的に再利用されないよう物質を転換する、装置を破壊するプロセスを指す。
透明性の向上は当時国間の信頼醸成措置(CBM)に極めて重要で、国際機関に兵器の数や内容を申告したり、検証措置の充実を図ったりすることで実践される。
※安全保障用語
http://dictionary.channelj.co.jp/2018/18092504/

具体的には米露は査察官に対していかなる拒否権も持てず、要請に従って自由にいかなる場所でも査察を許可せねばなりません。
このような核弾頭に対しの情報を完全にオープンにすることが、核戦争回避への大きな一歩だったことを米露は知っていたのです。

一方、中国は核を威嚇には使わないと言っています。

「中国が少量の核兵器を保有するのは全く自衛からの必要である。中国は先に核兵器を使用せず、非核兵器保有国に対し核兵器を使用しないか、または核兵器を使用すると威嚇しないことを約束している」(駐日中国大使館前掲)

残念ですが、ただの主観にすぎません。
中国が口で言っているだけのことで、「威嚇しないと約束している」といってもそれを信頼できる担保がありません。
担保とは、先ほどの国際社会が認めた軍縮のプロセスに参加し、その信頼醸成の仕組みに従うことです。
それをしないで信頼しろと口で言われただけでは無理というものです。

現に、今の中国ほど軍事的威嚇を周辺国にしている国はないではありませんか。
その威嚇が周辺国に恐怖をまき散らしているのは、そのバックに核兵器という絶滅兵器の存在があるからです。

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中国が北西部でICBMサイロ約120基を新たに建設中 戦略核増強で ...

長距離核兵器については言うとおり米露に比較して低い水準でしたが、この国防総省の報告書が指摘しているのは、現在きわめて危険な核兵器の増強が行われており、30年代には米露に並ぶ核太国になるという危惧です。
違うと中国が主張するなら、新戦略兵器削減条約(新START)の枠組みに入り、相互査察を認めることです。

具体的には、今のように「検証可能・不可逆性・透明性」を確保するために、このようなプロセスが必要です。
今はただ、うちの核兵器は防衛用だと言っているだけですが、それを検証可能にするために、透明性を持って開示し、条約に沿って核弾頭が不可逆的に解体されたことを明らかにせねばなりません。

そのためにまず必要なことは、まず中国軍の核兵器保管施設へIAEAの専門家の立ち入りを認め、その数量、種類を明らかにすることです。
現況、いくら少ない数しかないと言い張っても、それは客観的に確認されたものではありません。
いかなる種類の核弾頭が、いかなる弾道ミサイルに搭載され、いかなる場所に、どれだけの数保管されているのかを開示してもらわねばなりません。

まずは、中国にこのスタート台に乗って情報を開示してもらわないことには、話が始まりません。
核軍縮において決定的に重要なプロセスはこの査察にあって、いったん相互検証が不可能になってしまえば、互いに見えにくい形での影の核軍拡が始まるかもしれないからです。

新STARTは大陸間弾道ミサイル(ICBM)などに搭載する戦略核弾頭の配備数を双方が1550発以下に制限することを柱とし、ICBMや戦略爆撃機などの運搬手段の数にも上限を設けています。
もうひとつあった米ソの中距離核戦力(INF)廃棄条約は、2019年に廃棄され、今や世界の核をコントロールできる枠組みは唯一新STARTのみとなりました。
これが失効すると、世界には核軍拡の歯止めが一切なくなります。

非核国際NGOは、いつまでも核兵器禁止条約などという遊戯に興じていないで、新戦略兵器削減条約(新START)の枠組みに参加することを中国に強く要求するべきです。
そういうくだらない遊びは、日本ではなく北京でやって下さい。

2021年11月 5日 (金)

バイデン、もうレームダック

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最近、あまり話題になっていませんが、海の向こうのバイデン閣下も苦戦しておられるようです。
今、来年に控えた中間選挙の前哨戦が各地で繰り広げられています。
この中間選挙次第で、バイデンの残り2年間が決まってしまいますが、それを占うのが今月の知事選挙でした。

2日に民主党の牙城と言われたバージニア州知事選がありました。
覚えていますか、あの日本人までドキドキハラハラさせたバージニア州です。
かつての南軍の本拠地でありながら、ルーサー・キングが率いた公民権運動の発祥の地。
そしてこの1月にあった連邦上院の2議席の決戦投票で、民主党に勝たせてしまった州です。
このバージニアの薄氷の勝利により、バイデンはかろうじて過半数を連邦上院でとれたのでした。

その因縁のバージニア州知事選で、共和党新人が勝利を確定的にしました。

「アメリカのバイデン政権の今後を占うとして注目された南部バージニア州の知事選挙で野党・共和党の候補が接戦の末、当選を確実にし、来年の中間選挙に向けて民主党のバイデン政権にとっては厳しい結果となりました。
2日に投票が行われたバージニア州の知事選挙はバイデン政権の今後を占う選挙と位置づけられ、前の知事で民主党のマコーリフ氏と実業家で共和党のヤンキン氏が接戦を繰り広げました。
開票率99%の段階で共和党のヤンキン氏が得票率で2ポイントのリードとなっていて、アメリカの主要メディアは3日未明、ヤンキン氏の当選が確実になったと一斉に伝えました」(NHK2021年11月3日)

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バージニア州知事選、共和候補のヤンキン氏勝利 - WSJ

このバージニア州は、去年の大統領選でバイデンが10ポイント差で勝利した州ですが、そこで政権与党が新人に破れたことは全米に衝撃を与えました。
バイデンを取り巻く状況は悲惨です。
アフガン撤退の無残な失敗は米国民の心を大きく傷つけましたし、なにより生活が圧迫されています。
特に止まらない
ガソリン高は、元々ガソリンが湯水のように使えると思っていた米国民に強い不満をもたらしました。
※関連記事 『行き過ぎた温暖化対策によって引き起こされた石油危機』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2021/10/post-6d6587.html

下図は原油価格のベンチマーク(指標)価格であるWTI先物相場ですが、10月20日の時点で1バレルあたり82ドルを超え、こちらも同じく14年10月以来となりの高騰です。
このまま推移すれば、バレル100ドルという庶民には手の届かない価格に達する勢いです。

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しかもその原因はバイデンが進めたグリーンニューディールと称するCO2削減政策によって、化石エネルギー源への投資が禁止されてしまったからです。
炭鉱はおろか、テキサスの油田、そして米国が世界に誇ったはずのシェールガスまでもが投資が止まり、今や世界有数の産油国でありながら米国はガソリン高に苦しむはめになっています。

下図はシェールガス掘削井戸の数ですが、バイデンが政権をとる直後から下り坂を転げ落ちるように激減しているのがわかります。


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このガソリン高が、コロナ後の人手不足による労働力市場の高騰と相まって、米国経済に思わぬ打撃を与えています。
特に物流を握る運輸関連の被害は深刻で、ニュージャージー州では、伝統的に民主党支持層だったトラックドライバーたちが民主党の州上院議長を追い詰める騒ぎに発展するなどの騒動にまで発展しています。
このガソリン高は自動車産業をも窮地にたたせており、自動車産業関連の労働者の動きにも連鎖していく可能性があります。

グリーンニューディール政策は蓋を開けてみれば、エネルギーコストの上昇による経済への打撃、生活費の負担の増加、そしてそれを救済するための各種失業手当などの増大だったわけです。
現在は、コロナ危機に対しての社会手当てでなんとかなってきていますが、それらは感染終息と共に暫時終了することになり、そうなった場合すべての不満はバイデン政権に向かうことになるはずです。

そして今やこのグリーンニューディールを含む予算は、成立すらままならない状態で、このまま推移すれば連邦政府の運営ができなくなる事態も予想されています。
しかも笑えることには、今回の予算案が通らない最大の原因は共和党の反対ではなく、与党民主党内での意見対立ですからお粗末も極まります。

今回のバージニア州知事選挙にも、この政府予算不成立が響いています。

バイデン政権の支持率が42%と(NBC)歴代の政権でも(同時期比)最低レベルに落ち込む中、特にバイデン政権が看板政策として掲げるインフラ投資法案が、民主党内の対立によって、当初の目標の10月中に議会で可決・成立しなかったことは、マコーリフ陣営に大きなショックを与えたという。
ニューヨーク・タイムズによると、「マコーリフ氏と側近たちは、唖然とし、激怒した。大統領がもっと積極的に議会に働きかけなかったことに困惑し、ワシントンからのネガティブな情報がまた一つ増えたことに絶望した」。選挙当日も、バイデン大統領は外遊先のイギリスで「勝利するだろう」と強気だったが、アフガン撤退の失敗から続く政権のマイナス基調は、知事選にも一定の影響を与えたとみられる」
(
渡邊翔 11月4日『米中間選挙「前哨戦」の知事選で与党候補敗北ーー 選挙戦で見えたなお色濃いトランプ前大統領の影』https://news.yahoo.co.jp/articles/e40dbc0bedd72ec7d01a038a42c2d15e3d147723

このように、誰もがバイデンの指導力のなさに気がついてしまったのです。

では、どうしたらよいのでしょうか。
答えは簡単。まずはこの国民を苦しめる異常なガソリン高を食い止めねばなりません。
ガソリン高は世界的な過少投資によるものですが、米国はなにせ自分の足元を掘れば石油が湧いてくる土地なのですから、解決は簡単です。
グリーンニューディール政策を完全放棄しろとまではいいませんが、一時的に凍結し、炭鉱や石油産業、あるいはシェールガスに集中的投資を呼び込む政策を取ることです。

でも無理でしょうな。これらはすべてバイデンが選挙戦であれほど非難してきたトランプの政策そのものだからです。
トランプが2期目をやっていたら、ガソリン高なんてことは絶対に起きませんでしたからね。
その上に時期が悪すぎます。今開催されているCOP26でのバイデンのカーボンニュートラルへの積極取り組みをええかっこしいで言ったそばから自分で否定していくことになります。
バイデンがほんとうに国民を思うなら、やるべきことは自ずと決まってくるのですが、やらないでしょう。
彼には党内リベラルを切る勇気はないはずです。

かといって、このまま手着かずで推移すれば、このバージニアで起きたレッドウェーブの衝撃が、他の州にも飛び火し、中間選挙では両院ともに共和党に奪われることになります。
連邦司法は既にトランプの置き土産で共和党優位ですから、そうなった場合、バイデンと民主党は揃って完全なレームダックとなることでしょう。
グリーンニューディールの旗を守れば国民から見離され、降ろせば民主党内でボロクソに言われる、進むに進めず退くに退けない日々です。

一方共和党は、今回のバージニア州知事選で面白い戦術をとりました。
名付けて「忍法トランプ隠しの術」です。

トランプ氏を応援に呼ばないのはもちろん、演説でもトランプ氏に言及しない。さらにコロナ対策やワクチン接種義務化、マスク着用の是非など、バイデン政権とトランプ氏に近い共和党の保守派が激しく対立する問題にもできる限り触れず、実業家出身の候補者として、経済対策に焦点を合わせた。
また有力紙ワシントンポストも、イメージ戦略として「テレビでは優しい、郊外に住む父親として自身を演出した」と分析するなど、無党派層の取り込みを重視した戦略だ。
一方で、トランプ支持者の支持もつなぎとめるために取り上げたのは、教育の問題。全米で大きな議論になっている「批判的人種理論」について、「当選すれば、就任初日に学校で教えることを禁止する」との公約を掲げた」(渡邉前掲)

一方、民主党マコーリフ陣営は徹底的に、共和党候補をトランプと同じだとあざ笑うことに腐心したようです。
下の写真は、「トランプはまだここにいる 」と共和党候補をからかっているマコーリフの姿です。
当時現職知事だったはずですが、太田光並に下品ですね。

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BBC

「民主党のマコーリフ陣営は、ヤンキン氏をドナルド・トランプ前大統領になぞらえて批判し続けた。ヴァージニア州では今もトランプ氏の人気は高くない」
(BBC11月3日)

「一方、与党・民主党の前知事、マコーリフ氏は選挙戦で、ヤンキン氏をトランプ氏と結びつけて批判することを徹底した。「ヤンキンはトランプのための候補者だ」「トランプはまだここにいる」などと呼びかけ、トランプ批判のテレビCMも展開。大統領選の翌年で、民主党員の「選挙疲れ」も指摘される中、「反トランプ」票の取り込みを狙った。(略)
 選挙戦終盤の10月26日、マコーリフ氏の応援に訪れたバイデン大統領も、「私はドナルド・トランプと対決した。そして、マコーリフはトランプ支持者を相手にしている」と呼びかけ、演説の多くをトランプ批判に割いた。
しかし、アメリカメディアは結果的にこうしたトランプ氏の「争点化」は、不発に終わったと分析している」(渡邉前掲)

ヤンキン候補はトランプの「ト」の字もいわなかったのですが、政策的にはトランプが力を入れてきた「批判的人種理論」を学校で教えないようにすることを公約に掲げていました。

「一方で、トランプ支持者の支持もつなぎとめるために取り上げたのは、教育の問題。全米で大きな議論になっている「批判的人種理論」について、「当選すれば、就任初日に学校で教えることを禁止する」との公約を掲げた。
「批判的人種理論」とは、「人種差別は個人の心情の問題というよりも、社会構造の問題だ」とする考え方で、共和党が地盤とする多くの州では、この理論が「アメリカ社会を作り出した白人を非難している」などとして、保護者らが反発。人種差別の歴史について教育するのをやめるよう、学校に迫る事例が多発している。しかもトランプ氏も去年の大統領選で「批判的人種理論」に反発していた」(渡邉前掲)

 この「批判的人種理論」はBLMの思想と重なっている思想でした。

「BLM運動では「制度的人種差別」、すなわち奴隷制に始まり米国で歴史的に続いてきた、さまざまな形での制度としての人種差別が問題とされた」
(会田 弘継2021年 10月23日東経)

この批判的人種理論に従えば、米国は建国から一貫して悪しき人種差別国家であり、ワシントンも含めた歴代の大統領すべては差別主義者だったということになります。
この歴史歪曲を一切認めずに米国の誇りを守ろうとしたのが、トランプでした。

思えばトランプと安倍は少し似ている部分があって、このふたりの指導者は余人にまねできないカリスマ性を帯びているのです。
ですから支持者も批判者も、共にトランプと安倍さえ立てておけばなんとかなるという安直なところがあります。
バージニア州知事選では、あえてこのカリスマ・トランプを隠して見せたようです。
といっても、トランプのほうは勝手連よろしく、共和党候補の応援をしていて、隠せば隠すほどトランプという存在の磁力の強さが改めて再認識される結果となってしまったようです。

ヤンキン氏が「トランプ隠し」を試みても、トランプ氏本人がしばしば話題を提供したこと、さらに隠すことで逆にトランプ氏の存在感が強調される結果となり、有力ネットメディアのポリティコは、「トランプ氏は、選挙結果にかかわらず、自分好みのイメージを作り上げている」と分析した。
10月中旬、共和党のヤンキン支持者の集会(ヤンキン氏本人は出席していない)に電話で登場し、「ヤンキン氏は素晴らしい男だ」と称賛。(略)
トランプ氏本人も、投開票日の声明で、「『トランプ』という人物へのマコーリフのキャンペーンが、ヤンキンを大いに助けたように見える。おかげで私は、ヤンキンの集会に行く必要さえなかった」と皮肉る始末だった。 」(渡邉前掲)

ブルームバーグは、今回の選挙で見えたポスト・トランプ時代の最適な戦略は、「共和党の予備選挙ではトランプ氏を支持し、本選挙では無党派層向けにトランプ氏と距離を置くことだ」と指摘しました。
なるほど。訴える層ごとにトランプの姿を出し入れするわけですか。
いずれにせよ、露出させるかしないかはケースバイケースでしょうが、来年の中間選挙に向け、トランプを切り捨てては勝てないことだけは確かなようです。

 

 

2021年11月 4日 (木)

今回の選挙を中国から見ると

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今回の衆院選の結果を中国はどう見ているでしょうか。
中国が興味津々で見ていたことは確かですが、結論から言えば短期的にはナイス、中長期的にはバッドといったところでしょうか。

まず中長期的のお話しですが、中国にとって野党第1党の立憲と日本共産党の野党共闘にはお手並み拝見といった気分だったことでしょう。
あれは同じ共産党ならすぐにピンっと来るはずの、典型的な「統一戦線戦略」だったからです。

共産党がまだ弱い勢力の場合、政権を獲得するためにはふたとおりの方法があります。
ひとつめは、じっくりと長い時間をかけて浸透してしまうウィルス感染型戦略です。
COVID-19は体内に浸透するとどんどんと増殖を繰り返し、遺伝子情報を書き換えて乗っ取ってしまい宿主を死に至らしめますが、似たようなことを共産党はします。

この「静かな侵略」にやられたのが、中国国民党でした。
気がつけば党の要職は皆共産党員で占められていたんですから、しょーもない。
たとえば毛沢東は国民党中央宣伝部長代行(ナニ宣伝すんだろ)で、周恩来は党の士官学校の政治部副主任でした。
日本の場合、共産党に特に狙われたのは教育界、メディア、官界、法曹界などです。

もうひとつの方法は、最大野党と統一戦線を組むという方法です。
中国では2回に渡って国共合作をやっていますが、それによって共産党は自らの党派色を消し去って「オール中国」に偽装することができました。
特に第2次国共合作は、今回の野党共闘によく似ていて、共産党は日本を巨悪の敵に見立てて、それに向けて団結しようと訴えました。
それにまんまと国民党は乗ってしまい、共産党軍は国民党軍の包囲せん滅から逃れられました。
もし、国民党が日本軍と共同作戦を組んで共産党軍討伐に向かっていたら、戦後の歴史はまったく別のものになったはずでした。

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国共合作 - Wikipedia

それはともかくとして、今回日本共産党が野党共闘を言い出した時に、中国共産党はおおっと思ったはずです。
なぜなら野党共闘とは、かつて自分らが中国をブン盗った方法そのものですからね。
日本軍を自民党に、国民党を立憲民主に見立てればわかるでしょう、まんまですよね。
中国は、とうとう日本革命の第1段階に日本共産党が乗り出したのか、するとこの衆院選の次あたりで「民主革命政権」が見られるかもしれない、と多少は楽しみにしていたかもしれません。

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4野党が共通政策/命守る新政権を 市民連合と合意

しかし、ご承知のように共産党が絵図面を描いた「民主革命」の夢は頓挫しました。
理由はいろいろありますが、何といっても野党共闘の笛に国民が躍らなかったことは大誤算でした。
共同の調査では、実に61%が野党共闘に反対しています。

「共同通信社が第49回衆院選の投開票を受けて1、2両日実施した全国緊急電話世論調査によると、衆院選で統一候補を擁立した立憲民主党など5野党の共闘関係に関し「見直した方がいい」が61.5%に上った。「続けた方がいい」は32.2%だった。岸田内閣の支持率は、10月上旬の発足時の55.7%から58.1%に増えた」(共同11月2日)

このように国民の過半数に反対される野党共闘を強行した結果、比例でも立憲と共産党は伸びませんでした。
なぜなら、今まで立憲を支持していた人からすれば小選挙区で立憲に入れたら、比例も立憲に入れるからです。
逆に、共産党が野党一本化候補となっていても、小選挙区では立憲に入れます。
つまりそもそもこの野党共闘は不平等条約みたいなもので、共産党に不利にできているのです。

宮崎謙介元衆院議員はその辺をこのように述べています。

「立憲に候補を統一した選挙区では、共産支持者は悩みながらも立憲に投票していました。その結果、その選挙区では自民党候補を落とすか、または過去にないほどまでの接戦となりました。
一方、共産に候補を統一した選挙区では、立憲支持者の票が共産党候補に乗っかっていないという結果になったのです。
 事実、自民党候補VS共産党候補になった地域では、立憲支持層の票が自民へと流れています。つまり、立憲支持者は共産に票を入れるより、自民に票を入れることを選んだということになります。
立憲支持層の中には、野党共闘といいながらも心の底では「共産党にくみすることはできないので、共産党の票をうまく取り込んでやろう」と思っていた人が少なからずいたということでしょう。今回の野党共闘はいわば「立憲・共産不平等条約」といえるでしょう」
(宮崎謙介『「枝野代表の辞任」は不可避だった、立憲民主党の弱さの理由』 ダイヤモンドオンライン11月3日)
https://diamond.jp/articles/-/286509?page=2

たしかに自民党vs共産党統一候補の選挙区では、丸々小選挙区も比例も全部自民に流れて行ってしまっていたようです。
そのために各選挙区で立憲は自民に競り負けました。

野党共闘が最も強力に発揮されるはずの首都圏でさえ、千葉県ではこのような状況でした。

「10月31日に投開票された衆院選で千葉県内は、選挙区と比例を合わせると自民党は12議席、立憲民主党は5議席だった。13選挙区で4敗した自民だが、うち3氏は比例復活するなど立民候補との票差が小さく、「(次回選挙で勝利する)可能性を残した負け方」(浜田靖一県連会長)だと言える。立民と共産党の連携がマイナスに働いた可能性があるほか、地方議員らとの協力関係などで自民が〝地力〟を発揮した格好だ。
「厳しい結果だと受け止めている。必ずしも有権者の受け皿になれなかったと反省している」。投開票から一夜明けた1日、立民県連代表の長浜博行参院議員は険しい表情で今回の衆院選を総括した。立民は選挙区での議席を改選前から3つ増やすにとどまり、比例でも低迷したことが念頭にある」
(産経11月3日)

 

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なぜ野党共闘は敗北したのか? 31選挙区は1万票差以内で競り負け:東京

「今回の衆院選で、立憲民主党を中心とする5野党が候補者を一本化した213小選挙区のうち、1万票差以内で敗れた選挙区は31に上った。うち1000票差以内で敗れた選挙区も4つあった。接戦を勝ち抜ける共闘に向け、敗因分析が課題となる。
 立民は公示前の110議席を96議席に減らした。一本化した小選挙区で、野党候補が勝利したのは59にとどまった。仮に1万票差以内の「接戦区」を全て勝ち抜いていれば、一本化した小選挙区の4割を超える90議席を獲得できたことになり、公示前議席からの上積みも狙えた」
(東京11月1日)

東京新聞が悔しそうに書いているとおり共産党と組んだことで、いくつかの選挙区では接戦を演じることができましたが、それすら自民の根強い地盤を壊すに至らずに、統一候補で戦った6割の選挙区で負けています。
共産党が統一候補になった選挙区では、票を入れるところがなく自民に入れた立憲支持者も多かったようです。

連合は完全にこの選挙ではそっぽをむきました。
さきほどの千葉でもこのような状況です。

「共産との連携が与えた影響は無視できない。長浜氏も「あると思う」と、有権者が離れた可能性を否定しなかった。 象徴的なのが立民の有力な支持母体である連合の露骨な反発だ。連合千葉の幹部は選挙戦のさなか、「歴史や職場の事情を見ても共産党とは相いれない。活動の方向が違う」と共産との連携を掲げる立民の方針に明確な拒否反応を示した。 連合千葉の永富博之会長が公示日にマイクを握って応援したのは、1区の田嶋要氏、4区の野田佳彦元首相、9区の奥野総一郎氏の3氏。いずれも選挙区で当選したが田嶋、奥野両氏は連合の組織内候補で、野田氏も「私は別に共産党と連携していたわけではない。立憲民主党が掲げた政策をしっかりやる」との立場だった。」
(産経前掲)

このような選挙区での競り負けと比例の敗北によって、開票中盤から自民はみるみる盛り返していくことになります。
太田光という薄らバカ芸人が、猿のように甘利氏を「あんた戦犯じゃん。うひゃうひゃ」とあざ笑えたのも開票初めだけだったのです。

ちなみに、この共産党主導の野党共闘のオリジナルモデルこそ「オール沖縄」だったことはなんどとなく書いてきています。
しかし今回は、この沖縄ですら2選挙区で破れました。

これは選挙前段で行われた総裁レースで、いかに自民党が多種多様の考えを持つ政治家がいて、外交・安全保障政策以外全部違うという実態があけすけに伝わった戦略の成功だったことは疑う余地がありません。
ただ多くの時間を報道されただけではなく、自民党とはこんなに幅の広い議論をしている政党なのだと判ったことが最大の収穫でした。
河野氏と高市氏など、別の党でも不思議がないくらい主張が違いましたもんね。
もうほとんど立憲とそっくりの人から、真正保守までズラリと揃っているのが、自民党の強みでもあるのです。
ですから、どんな考えを持つ人でも迷ったら「自民党」に入れておけば、どこかに当たるので間違いありません(笑)。
熱狂的な自民党ファンが少ないために消極的選択となると自民を選ぶしかない、というところがいかにも自民党です。
まことに日本の現実そのものです。

かくして野党共闘から民主革命へと駆け上るという共産党の戦略は失敗に終わりました。
中国は、まぁそうなるだろうな、あのヘナチョコならそうなるわ、と思って舌打ちしたことでしょう。

さて次に、中国にとって短期的にはどうでしょうか。
これは選挙の余波として思わぬ「収穫」が二つ出ました。
なんと岸田氏が甘利氏の辞任を受けて、幹事長にあの茂木外相を据えたことです。
これは中国の意図せざることだったでしょうが、思わず膝を叩いたことでしょう。

え、立憲や共産党はどうなんだとおもわれるでしょうが、中国は野党のようなヘナチョコになにかできるとはまったく期待していません。
今回の野党共闘もうまくいったらご喝采ていどで、ほんとうの彼らの工作対象は戦後一貫して自民党でした。
それがばかばかしいほどうまく行ったのが20世紀最後の時期で、執行部が全員親中派リベラルで占められていた時期すらあります。
橋本、野中、古賀、加藤、山崎・・・、まだまだうじゃうじゃいますが、その最後の大物が二階氏でした。

中国は二階氏が幹事長から去った後の自民党対策をどうしようかと首をひねっていたことでしょうが、あの誰が見ても中国に弱腰の茂木氏なら与しやすいと思われても致し方ありません。
甘利氏の対中経済安保政策は、確実に米国の包囲網とかぶって中国を苦しめることが間違いなかっただけに、ここで甘利氏が退くことは、祝砲の一発くらいは鳴らしたい気分だったことでしょう。

そのうえに、中国にとっての朗報はまだまだ続きます。
茂木外相の後釜に指名されたのが、願ってもない日中友好議連会長の林芳正氏だったことです。

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日中関係は完全に正常な軌道に戻った 関係強化に努めたい」林前文科相

おそらく、林氏は日中関係を「正常化」させることに力を入れると考えられます。
その言い訳に使われるのが、北朝鮮の弾道ミサイル発射です。

「北朝鮮による飛しょう体の発射をめぐって、中国を訪問している超党派の日中友好議員連盟は中国共産党の最高指導部の1人と会談し、対話を通じて北朝鮮問題の解決を目指す方針を確認しました。
日中友好議員連盟の会長を務める自民党の林前文部科学大臣らは、北京で共産党の序列4位で国政の助言機関である政治協商会議の汪洋主席と会談しました。(略)
このあと、林氏は記者会見で、「日中関係は完全に正常な軌道に戻った。関係強化に努めたい」と述べました」
(NHK政治マガジン2019年5月5日)

林氏は来年に向けて再度の習近平の訪日を狙ってくる可能性があります。

そのうえまだまだ中国にとっての朗報はあります。
中国のチベット、ウイグル問題に厳しい長尾敬氏が落選してしまいました。
長尾氏は、国会でのウィグル非難決議の原動力のひとりで、二階氏に掛け合いに行ったひとりです。
ああ、残念!

こういう人事をするようだと、岸田氏が対中原則外交と言っていたのも、にわかに怪しくなります。
すると、元来自民党に根強くあった親中体質が、そのまま温存されることになります。
そう思うと、いかに高市氏が自民中枢にデンっと座っていることが、日本の保険になっているかわかります。

 

2021年11月 3日 (水)

維新松井氏、 来年参院選と憲法改正選挙同日で

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枝野氏が辞めるそうです。ばかだね、遅いよ。

「衆院選の敗北を受け、立憲民主党の枝野幸男代表の引責辞任が決まった。4年前の結党以来「枝野私党」「1強」と形容された体制が幕を閉じる。4年前の前回衆院選では枝野氏の明快な言葉と覚悟が躍進の原動力になった。ただ、その後は数の寄せ集めを重視する「永田町の論理」や、独特の理屈に基づく共産党などとの野党共闘に走って勢いが失われ、有権者には首相候補と映らなかった。
枝野氏は2日の執行役員会で辞意表明した際、「政権選択選挙の構えを作ることができた」とも語り、創業者の自負をのぞかせた」(産経11月2日)

ナニが「政権選択選挙の構えができた」ですか(失笑)。
その「構え」とやらが大失敗したから大敗したんじゃありませんか。
それを枝野氏ときたら、党内外からヤメロコールが来てからの身の処し方です。
これでは自分は間違っていなかったが負けた、というヘンな事になってしまいます。

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立憲・枝野氏、強すぎた「創業者」意識 再建の功労と伸び悩んだ支持 ...

こんな言い訳をしたら、負けた最大の原因が共産党と手を組んだことにあるということがうやむやになってしまいます。
すくなくとも連合からはネチネチやられるでしょう。
次の代表が誰になるにせよ、この連合の要求を無視出来ないはずです。

「立民の共産との共闘路線に反対す連合の芳野友子会長も東京都内で記者団に「(新代表は)連合の政治方針に理解いただける方にやってほしい」と述べ、路線転換を求めた」(時事11月2日)

立憲がまともな野党になる良い機会だ、とおもうほど私は親切ではありませんが、多少なりともましな政党になるためにはこの惨敗を深く総括することです。

一方、野党共闘の相方である志位氏のほうは、辞めるどころか意気軒昂です。

「志位和夫@shiikazuo· 一部メディアは野党共闘攻撃に血道をあげている。しかし共闘が止まることはない。なぜなら共闘は、国民の声から始まったからだ。15年9月、安保法制反対で国会を取り巻く市民のなかから「野党は共闘」のコールが広がった。それから6年。共闘は、全国いたるところに根を下ろしている。後戻りはない」
アノ~、その「国民の声」って、もしかしたら野党共闘に出てきた「市民連合」とそのお仲間のことでしょうか。
市民連合が少しも「国民の声」ではないのがバレてしまったのが、今回の選挙結果だと愚考しますが、ま、いいか。
大方針が間違っていたから惨敗したのですが、こういう言い方ができるのも異論が存在しない共産党だけのことです。
いいでしょう、いいでしょう、どうぞ終身委員長をしていて下さい。
どうせ何度負けても、人民の前進は止められないのでしょうから。

さて、維新の松井氏が傾聴に値する提案をしています。

「法改正の国民投票「来夏の参院選と同日実施を」 維新・松井代表
日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は2日の定例記者会見で、国会で来夏の参院選までに憲法改正原案をまとめて改正を発議し、国民投票を参院選の投票と同じ日に実施するべきだとの考えを示した。
「投票率も上がるし、大きな選挙のテーマにもなる」とした。 維新は、教育無償化や統治機構改革、憲法裁判所の設置に向け、憲法を改正するべきだと主張している。松井氏は、憲法改正原案を審査する国会の憲法審査会が「立憲民主党や共産党のボイコットで前に進まない。ボイコットする側をいくら待っても仕方ない」と発言。「憲法審査会を正常化させ、スケジュールを決め、まともな議論をして、最終的には(国民投票で)国民に(憲法を改正するかどうか)決定していただくべきだ」とした」
(朝日11月1日)

いい提案です。こういうことを言ってくれると、この党を末永くヒイキにしたくなります。
公明党からは百年たっても得られない提案です。
今、この時なら、維新の言うことには千金の重みがあります。
なにせ全政党を通して唯一大躍進した政党なんですから。
自民は僅勝、立憲は惨敗、公明は微増、その中でただひとつ30議席増やしたのはここ維新だけですからね。

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この勢いを借りないてはありません。
このフットワークの良さと、ビッグマウスなところが素晴らしい。

いままでは16議席でしたから、単独の法案提出権はありませんでした。
法案提出権とはこういうものです。

法案国会に提出する権限国会議員内閣が持つ。国会議員の場合、衆議院では20名以上、参議院では10名以上の賛成が、予算を伴う法律については衆議院では50名以上、参議院では20名以上の賛成が必要」(コトバンク)

堂々と41議席を衆院に持つ第3政党になったのですから、単独でさまざまな法案を出せますし、憲法改正発議を出す権利も備わりました。
改正発議に必要な3分の2既定も自公維で465議席中310議席となり、改憲議席の数が揃いました。

「衆院選で憲法改正に賛同する「改憲勢力」の議席数が衆院3分の2に達した。憲法改正の発議には衆参それぞれの3分の2の議席が必要で、衆院は465議席のうち310議席にあたる。岸田文雄首相は衆院選で総裁任期中の憲法改正を訴えた」(日経11月1日)

いままでまったく改憲が進まなかったのかは、ご承知のとおりです。
理由は実に馬鹿げていました。
立憲と共産党が、憲法審査会すら開かせなかったためです。
開いて議論すらさせないのですから、どうしようもありません。

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国民投票法改正案とは

たとえば去年6月17日に国会は閉幕しましたが、自民、公明、維新は本年度予算成立後、速やかに審査会を開くよう求めましたが、立憲と共産党などはコロナ対策を理由に審査会の開催を拒みました。
モリカケ桜三昧で、憲法議論はおろかコロナ対策すらまともにさせなかったのにヨー言うよ、です。

憲法審査会は、憲法の調査研究を目的としたかつての憲法調査会と異なり、憲法改正原案の作成や国民投票法の審査が主要任務です。
つまり単なるリサーチ機関ではなく、決定機関であるために、多数決制が採用されてきました。
ですから、この自公維3党が多数決で押し切れば、改正原案の審議や国民投票法にまで踏み込んだ決議が出せたわけです。

しかしいつものことながらわが国特有の「与野党の合意」が必要とされ、特に野党第1党の立憲が反対すれば開催すら出来ない異常事態が常態化していました。ああ、不毛。とてつもなく不毛。
国会は衆議の場として、憲法に今何が問われているのか、どこをどう変えたらいいのかについて国民に明らかにする義務があるはです。
自民改憲案に反対ならそのように審査会で言えばいいだけのことですが、その議論の場を作ることすら反対なのですから話になりません。

維新は審査会を正常化させよ、と言っています。
当然すぎるほど当然なことで、今まで立憲に腰が引けきっていた自公のほうこそ問題なのです。
まずは自公維の3党で審査会を開催させることが第一歩です。

「衆参両院の審査会規程によれば、会長は国会の閉会中であれ、日時を定めて審査会を開催することができ(8条、9条1項)、委員の3分の1以上から要求があれば審査会を開かなければならない(9条2項)」(百地章国基研理事・国士舘大学特任教授)

そして審議会で各党の改正原案を持ち寄り、まともな審査をすべきです。
維新は維新なりの憲法改正案があるはずですから、それと自民の4項目を戦わせたらよいのです。
その中からより現実的な憲法改正案が生まれることでしょう。

この問題は政権に加わる、加わらないということとは切り放して進めるべきです。
かねてから松井氏は加わらないと言ってきました。


「日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は1日、日本経済新聞などのインタビューで、憲法改正に向けて自民党と連立を組む可能性について「入らない」と否定した。「自民党は既得権益を守る側だ。議会の改革に全くやる気がなく、消費増税をしようとするのは了解できない」と述べた」
(日経2019年7月2日 )

それならそれでいいでしょう。
ぶつぶつ言いながら、ゲタの雪のように政権にしがみついて来るどこぞの党よりよほどましです。
要は、現実に共に改憲の大きな歯車を前に引っ引っ張り出すことに力を合わせることです。

 

 

2021年11月 2日 (火)

衆院選のほんとうのテーマは体制選択だった

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昨夜の9時くらいから延々と朝の5時くらいまでマラソンアップしてしまいました。
気がついたかな、昨日の記事は時間と共に増殖していっているんですよ。
確定議席数が出た時には、もう自分のコメント入れる気力もなしでした。

立憲のズタボロ負けです。
枝野氏は来年の参院選までムニャムニャと言っていましたが、ま、無理でしょう。
あそこまで負けてしまっては、自民なら岸田氏は即刻辞表を書いて、政権最短記録を作ってしまったことでしょう。
そのくらいにひどい負け方です。辞任するのが筋です。
下が確定議席数ですが、自民が15議席減らしているんだから、立憲のマイナス14議席なんてそれより少ないくらいだ、なんて思ったらダメ。

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出典不明

感染状況の国際比較する方法を思い出して下さい。
感染者数が同じ数でも、人口が約3億の米国と人口が数千万しかいない国では意味が違いました。
仮に同じ1万でも、母集団のケタが違えばまったく意味が違いますから、較べる場合は100万人単位に砕いて比較しましたね。
これと同じ理屈で、自民は前回選挙で276議席あるのに対して、立憲は110議席しかありません。
自民と立憲の議席の比率は1対2.5ですから、立憲にとっての意味を知るためには、失った議席数14議席を2.5倍してやらねばなりません。
そこで2.5倍してみると35議席で、これが立憲が受けたダメージの真の意味なのです。

もし自民が35議席落としたら241議席となってしまい、安定多数の244を割り込んでいます。
まさにレッドラインです。
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レッドラインとなると、政権の政策選択の幅が失われ政権維持のために数合わせばかりに頭がいくようになります。
たとえば対中方針についても、連合与党の公明に大きな配慮をせねばならなくなります。
かといって維新を入れたりしようとすれば、公明が嫉妬して離脱するといいだすかもしれません。

政権内部だけではなく、肝心の国会運営はさらに悲惨なことになります。
今回枝野氏が考えていた戦略はこうでした。

「枝野代表は政権交代を掲げた。しかし党勢を考えれば、今回は議席を上積みしたうえで、来夏の参院選で勝利して衆参勢力が異なる「ねじれ」を実現し、国会で存在感を高めて次の衆院選で政権交代を果たす、という3段階のシナリオが現実的だ」
(産経11月1日)

自民党が衆院選で敗北し安定多数を失ってしまえば、この立憲のシナリオに足を踏み込むことになったのです。
ここで踏みとどまったことが、自民にとっていかに大きな意味をもつかわかると思います。

そしてもうひとつの意味が、このトラップを仕掛けたほんとうの司令部が共産党だということでした。
言い換えれば、今回自民が敗退するということのほんとうの意味は、次の衆院選で共産党をなんらかの形で加えた容共政権が誕生することを意味したのです。
共産党風にいえば、これが「民主連合政府」の誕生で、これはさらにそれは社会主義・共産主義に必然的に移行していくのだと、志位氏は臆面もなく今回も口にしていました。
※関連記事『いまも本気で「共産主義革命」を目指す共産党と手を組んだ立憲』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2021/10/post-b88382.html

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共産党を率いて20年以上 志位氏が「続投」

共産党は選挙前の10月18日に開かれた日本記者クラブ主催9党首討論会においてこのように言っています。

「人類の社会は資本主義でおしまいか。いまコロナのもとで格差、環境などいろんな問題が噴出しています。
私たちたちは、その先に進むことができる。それが社会主義・共産主義です」

共産党は隠すふうもなく、「この選挙の真のテーマは政権選択ではなく、体制選択だ」と言いきっており、立憲はそれに乗ったのです。
共産党がその看板を降ろさないのは伊達じゃないのですよ。
自分たちは共産主義革命をするためにこの選挙を戦うのだ、そう公言している共産主義者と立憲は手を組んだのです。
ちなみに共産党は「暴力革命は否定した」と言っていますが、共産主義革命自体は少しも否定していませんので、念のため。
自由主義経済と民主主義政体の否定、これが共産主義ですから、これは重い。

その体制選択のための手段こそが野党共闘でした。
いままでいくつかに分散していた政権批判票を一本化すれば自民に小選挙区で勝利できるという、立憲にとってこれ以上ないほど甘い誘惑でした。
それに沿って共産党は、公示の6日前になって20以上の選挙区に立候補させていた独自候補を降ろして本格的一本化に入りました。

この野党共闘がきわめて鋭利な武器であったことは事実です。
この選挙を自民の快勝だったと言う人がいますが、楽観にすぎます。
結果的には野党共闘はその6割で敗北を喫したものの、自民の勝利はいずれも薄氷の勝利にすぎませんでした。

「(野党共闘の)効果は明らかで、選挙戦中盤には接戦だった60選挙区で、一本化された立民候補が最後に抜け出すケースが目立った」(産経前掲)

そして選挙戦の現場では、立憲の候補者に共産党地域組織が丸ごと支援に入り、今まで立憲の選挙マシーンだった連合系労組を押し退けて共産党員が走り回り、逆に共産党街宣車に立憲の幹部が乗り込んで声を枯らす、という風景が随所に見られました。
逆に共産党が全国各地で開いた比例代表候補の街頭演説会に、その選挙区の立憲候補が参加する事態がそこここで起きました。

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これが志位氏がいう「本気の共闘」です。
しかもこの野党共闘で恩恵を受けたのが圧倒的に立憲だったのですから始末が悪い。

「借りを作った立民候補が共産党と手を切るのは至難の業だ。共闘のイメージを嫌い、選挙ポスターに党名を記さない立民候補者もいた。
立民の支持団体である連合の幹部は、居住地の立民候補が共産党と共闘したために「投票できない」と不満を漏らしたほどだ」(産経前掲)

かくして立憲と共産は堅い「戦友」関係となり、とうぜんのこととして選挙後には共産党はこの「貸し」の取り立てに入ることでしょう。
仮に枝野氏が降ろされて野党共闘路線が否定されれば、共産党は信義違反として大声で糾弾できる資格を持つのです。

ところで、今回の自民は強く押せば倒れそうな雰囲気がありました。
選挙前に盛んに出ていた予測では議席を大幅に割り込むという予想どおり、今回も小選挙区で野党統一候補に各所で負けています。
特に都市部が惨憺たるもので、石原氏や甘利氏が落選し、大阪など維新に総負けです。
あの辻本オバさんの落選でわかりにくくなっていますが、自民もしっかり負けているのです。

それなりに格好がついたのは、比例が思った以上に自民を押し上げたからです。
おそらく比例がなければ、自民はたいへんな苦戦を強いられたはずです。
敗将となった枝野氏が、どこかのテレビで「自民は選挙区で地道に票を集めたが、我々は空中戦だった」という意味のことを漏らしていましたが、そのとおりです。

ただし、それは野党だけではなく与党も同じで、この1年半、コロナ禍のために地元の選挙区での活動がまったくといっていいほどできませんでした。
まめに地域の会合や祭りに顔を出したり、地元の請願を聞くことが議員の仕事なのですから、手足をもがれたようなものです。
それが特に顕著に現れたのが、甘利氏や石原氏のような党執行部にいる有力議員でした。
そこをテレビなどで知名度が高い野党統一候補に攻められると、よもやの落選をすることになります。

しかし岸田氏は健闘したとおもいます。あの地味キャラでよくやりました。
ただし高市氏に感じるカリスマ性というのか、要は岸田氏の指導者としての顔が見えないところは菅氏と一緒なのですよ。
安倍氏が岸田氏を後継に考えていたのは、彼の好人物でリベラルな人柄で野党を説得して改憲させるためでしたからね。
しかし勝負師ではありませんから、選挙戦で野党も言っている「分配」を言い出し、危うくアチラ側の土俵で戦ってしまうところでした。
途中で岸田氏もそれに気がついて「成長なくして分配なし」という言い方に変えたり、中国を念頭に置いた安全保障を訴えていますが、おそらく最後まで国民には自民と立憲の政策の違いが分かりにくかったと思います。

このように見てくると、産経が「薄氷の勝利」という表現を使っていますがまさにそのとおりで、よく議席の最小限の損失で済ませられたと思います。
その理由は、先ほどから述べているように、ひとえに共産党と手を組んだことによって国民が強く警戒心を抱いたからです。
いわば敵失です。

結局、立憲はやりようによっては「勝てる勝負」を共産党と手を組むことで逃がしたのです。
立憲と共産党が考えていたマスタープランは、菅氏が総裁選に出馬し、そのまま解散に踏み切るという絵図でした。
それがもろくも崩れたのは、いうまでもなく菅氏が任期で退陣するという英断であり、長期の総裁選フェスをしてメディアジャックしてしまうという奇策でした。
この菅氏の思惑どおり、9月いっぱい総裁選に乗っ取られ、気がついてみれば高市氏という新しい保守のスターまで誕生してしまったわけです。
そもそも野党は高市WHO?だったはずで、菅氏の決断と高市氏の登場がすべての流れを変えたのです。
自民のほうが一枚役者が上手がだったのですね。

こうして立憲と共産党の包囲網は完全に狂いました。
そこに仕掛けられたのが、岸田氏の解散前倒しですから、態勢の建て直しも効かないまま選挙戦に投げ込まれ、共産党との共闘だけがむき出しになってしまいました。
本来ならば、甘い糖衣に包んで国民に飲みやすくするべき「体制選択」が露呈してしまっては、吐き出してしまいます。
野村さんじゃありませんが、「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」です。

※今日から衣替えしました。

 

 

2021年11月 1日 (月)

速報 自公、絶対安定多数を確保、立憲大敗

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本日は速報のみといたします。
徹夜してしまいました。眠い(笑)。

■衆議院選挙速報

■「第49回衆院選は31日に投開票が行われ、自民党は公示前の276議席から大幅に減らすものの、公明党と合わせて定数465の過半数(233)を確保することが確実になった」
(産経10月31日9時44分)

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■「自民、単独過半数を確保の勢い 立憲は公示前と同程度か 出口調査
31日投開票の衆院選について、朝日新聞社などが実施した出口調査による推計では、自民党(公示前勢力276)は、選挙区で議席を減らすものの、単独過半数を確保しそうだ。公明党は公示前の29議席に届きそうで、上積みをうかがう。  立憲民主党(同109)は、公示前と同程度の議席数になるとみられる。日本維新の会(同11)は議席を大幅に伸ばす見込み。共産党(同12)は公示前と同程度、国民民主党(同8)はやや増やして2桁に乗せる可能性がある。れいわ新選組(同1)は議席の上積みが視野に入っている。社民党(同1)は、議席を維持できるかどうか。NHK党(同1)は厳しい。無所属(同12)は、12人前後となる見込み。  調査は全国289選挙区の8670カ所の投票所を選び、投票を終えた有権者を対象に実施した」
(朝日10月31日9時)

首相(自民党総裁選)は31日夜、フジテレビ番組に出演し、自民、公明両党で過半数の233議席を確保する見通したことに関し、「その通りであるとしたならば、政権選択選挙において大変、貴重な信任をいただいたということになる。いずれにせよ、引き続き開票結果、緊張感をもって見つめていきたい」と述べた。
自民党が公示前よりも議席数を減らしたことについては「衆院選は政権選択選挙であり、与党で過半数というのは絶えず変わらないと思うし、今回も変わらない。自民党の議席が減ったことについては内容を分析した上で、しっかり受け止め、今後の取り組みにおいていろいろと参考にしなければならない」と語った。
一方、衆院選の結果を受け、閣僚や党人事を実施するかを問われ、「基本的には今の体制、閣僚も党役員もスタートしたばかりなので、基本的には触ることは考えていない。個別の人事については、丁寧に本人とも話し合いながら考えていくのがスタンスだ」と強調した」
(産経10月31日10時31分)

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NHK

■「31日、投開票された「第49回衆議院議員総選挙」で日本維新の会が公示前の11議席から約3倍の30議席を確実にした。特に小選挙区19区のうち15区で候補を擁立した本拠地・大阪では“全勝”が有力となる勢いを見せた。
 コロナ対策で知名度を上げた副代表の吉村洋文大阪府知事(46)を「選挙の顔」に据えた。遊説先では人だかりができ、維新幹部は創設者の橋下徹氏を引き合いに「『吉村旋風』は橋下超え」と評した。改革色を出し、自民党・岸田政権との対立軸を明確化して批判票の受け皿となる戦略も奏功した。
 この日、情勢を見守った代表の松井一郎大阪市長、吉村副代表らは、午後10時から大阪市内のホテルで会見。松井代表は「期待を裏切ることなく、国会においても実績を積み上げないと。きょうからスタートだと思う」と意気込みを明かした。吉村副代表は“勝因”を「大阪で実績を積み上げてきた。約束したことを実行する姿勢が評価されたと思う」とした」
(神戸新聞10月31日 10時31分)

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NHK

■「「眼中になかった」維新の猛攻 辻元清美氏敗北、大阪10区でなにが
衆院大阪10区で、立憲前職で党副代表の辻元清美氏(61)が、維新新顔で前大阪府議の池下卓氏(46)に敗れた。辻元氏が小選挙区で負けるのは、民主党が下野した2012年の衆院選以来。抜群の知名度を誇り、「党派を超えた政治家個人の力」での当選を自負してきた辻元氏でさえ、維新の猛攻をはね返すことができなかった」(朝日10月31日10時20分)

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衆院選】辻元清美氏が小選挙区で敗北確実 竹田恒泰氏「山拓さんが応援

 立憲民主党辻元清美副代表は比例近畿ブロックで復活できず、落選が確実になった」
(共同11月1日2時46分)

■「小沢一郎氏が岩手3区で敗北 自民前職が追い上げ、選挙区で初の落選
民主党、自由党で党代表を務めた立憲前職の小沢一郎氏は岩手3区で対立候補に敗れる。比例東北ブロックにも重複立候補しており、比例区で復活当選するかは未定。
小沢氏は1969年12月の衆院選で自民から立候補し、初当選。今回、18回目の選挙区当選をめざしていたが、自民前職に追い上げられ、選挙区で初めて敗れることになった。今回は久々に公示日に地元入りし、第一声を上げた」(朝日10月31日10時54分)
※比例復活しました。

 NHK
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NHK
■ 11月1日午前5時05分獲得議席数確定
https://news.yahoo.co.jp/senkyo
・自民・・・獲得261 自民が単独過半数を確保し、与党絶対安定多数に。
・公明・・・獲得32 公明が候補者を擁立した9つの小選挙区で全勝。
・立民・・・獲得96立民は公示前から勢力を大きく減らす。野党共闘は失敗。
・共産・・・獲得10 共産は公示前から勢力を伸ばせず。野党共闘の成果なし。
・維新・・・獲得40(+29)維新が躍進、衆院で第3党に大躍進。 自民への批判票の受け皿に。
・国民・・・獲得11(+3)微増
・その他16
参考資料
Fdeqdagakaarnts

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