地球が熱くても、頭は冷やしておこう
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どうして怖くないのか、そのほうが不思議です。
いいでしょうか、地球気候システムは発展途上の学問で、まだわからないことだらけなのです。
それなのに、いくつもある仮説の中のひとつにしか過ぎないCO2説だけに世界をがんじがらめに縛りつけてしまい、人類の大きなエネルギー源であった石炭まで悪玉視する、危ないとは思いませんか。
すべてをCO2一本だけで説明し、それを強引に世界全体の政策に結び付けようとするのは、暴走ではありませんか。
さて、メディアはまったく取り上げませんが、気象変動についてCO2以外の異説は多く存在します。
そのうち有力な説は太陽の活動で説明したものです。
IPCCは太陽の活動の影響を、二酸化炭素の温室効果の7%ていどと過小評価していますが、温暖化と言うときに太陽の影響を無視してしまうというほうが解せません。地球の「温源」は太陽でしょうに。
これにはいくつかありますので、時間の単位が短いものから並べてみます。
①数十年から100年前後の挙動を論ずる短期的なもの・・・太陽黒点の変化、大西洋数振動、北極振動、太平洋振動など
②1000年規模の動きを見る中期的なもの・・・太陽活動の増減、火山活動など
③数万年サイクルの長期的なもの ・・・地球の自転軸の傾斜角、太陽からの離心率=ミランコビッチ・サイクル
このように気象変動の原因説にはいくつかありますが、この中でいちばん有名なのは、セルビアのミルティン・ミランコビッチが唱えた、その名もミランビッチ・サイクル説です。
これは数万年単位でなぜ地球に氷河期が来て、その後に温暖期(間氷期)が来るのかを、公転軌道と地軸の傾きから説明したものです。
ほとんど世の中で知られていないのでご紹介しておきましょう。
ところで、地球の軌道が楕円だということをご存じでしょうか。
約10万年の周期で地球は正円になったり、楕円になったりします。
楕円軌道の時と正円軌道の時はなんと1800万キロも離れているのですから、地球に影響が出ないはずがありません。
実際、楕円の軌道の時は外周が太陽から離れてしまいますから地球は冷えていき、その逆に近づくと温暖化します。
実は21世紀の地球公転軌道は、太陽に近づいている軌道上を回っていますから温暖化しているというわけです。
次に、地球は下図のように公転しながら自転軸が変化しています。その傾きは21.5度から24.5度です。
この傾きが大きいと夏が暑くなり、冬は寒くなるといった季節差が激しくなります。
ちなみに現代は23.4度で傾きが大きいほうの時期になりますので、この影響が地球気象の温暖化に影響を及ぼしている可能性があります。
この周期は約4万1000年です。
さて、これでお終いかと思ったらもうひとつあって、それが地軸そのものの回転運動です。
コマが首を振るように太陽と月の引力の影響で、自転軸が回転しています。
これを歳差(さいさ)運動と呼び、その周期は約2万5800年です。
この3ツの壮大な地球の軌道や自転軸の回転による周期が、地球の気象を決定づけているとかんがえるのが、ミランコビッチの仮説です。
整理しておきましょう。
■ミランコビッチ・サイクルの長い順番から
①約10万年周期の地球公転軌道の離心率の変化
②約4万1千年周期の地軸の傾斜角の変化
③約2万6000年周期の歳差運動
この3つ周期が重なり、互いに影響しあって日射量の周期的変化が生じます。
日射量の極小期が氷河期で、極大期が間氷期(温暖期)というわけです。
上図のPrecessionというのが歳差運動のことで、その下のObliquityは自転軸の傾斜角、3番目のEccentricityは公転軌道の離心率です。
この三つの周期で地球気候が決まるわけですが、それが正しいと立証されたのは、70年代に、海底のボーリング調査によって、採取されたサンプルの有孔類の酸素同位体比からえられた気象変動周期とミランコビッチ周期がぴったりと一致したことによります。
これにより、太陽の日射量と氷河期の成立には強い相関関係があると立証されました。
国立天文台の伊藤孝士氏は、自転軸は傾きが大きければ極地方に入射する日射量は大きくなって氷床は溶けて小さくなり、傾きが小さければ極地方に入射する日射量が減って氷床は成長しやすくなる、と述べています。
この他に地球気候に大きく影響を与えているのは、地球の自転、海流や気圧の変化により約30年前後の周期で大気と海洋が連動して変化する「太平洋振動」などもあり、そのうえに太陽黒点の変動がかぶってきます。
あるいは、太陽から飛来する磁場と北半球の気候を支配する北極振動の影響も見逃せません。
ここでいう「振動」とは、私達が使う地震などの震動ではなく、周期的な海流の方向、風の流れ、温度などの繰り返しのことで、「大西洋数十年規模振動」という言い方をします。
つまり大きな枠組みとして、ミランコビッチ・サイクルのような地球の地球公転軌道の離心率の変化 、地軸の傾斜角の変化、周期の歳差運動が起きて地球の寒冷化と温暖化の周期を定め、それが地球気象の海流や気圧の変化をもたらす太平洋振動という現象を起こし、さらに随時変化する太陽黒点の増減によって地球気象は変動するのかもしれません。
いうまでもありませんが、これらの説は仮説です。
私はIPCCと違って、単独の説によってすべてが説明できるとおもうほど傲慢ではありませんから。
しかもこれらの要因はすべて変数Xです。
大きな気象変動周期はあるものの、太陽黒点のようにその都度随時変化して、気象変動を引き起すものも含まれます。
太平洋振動も北極振動も同じく変数Xですので、専門家の注意深い監視が必要です。
そしてその多くの変数XのなかのひとつにCO2排出量が含まれるのです。
もしCO2説が気象変動の決定的要因ならば、どうして世界がコロナによって経済活動を限りなく減らしていた去年がなぜ史上最大のCO2排出量を記録したたのでしょうか。
どうして人為的二酸化炭素ガスだけが、地球気象の決定要因だと断言するのか、あまりに理解に苦しみます。
環境政策は多様であるべきです。
それは現実が多様であるように、学説も多様であり対策も多用だからです。
それをただひとつの仮説の価値だけを絶対価値として適用するのは、あまりにも愚かではないでしょうか。
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CO2説を唱える人たちを見ると
「津波が来るから、土のうを詰め」
(校庭に体育すわりをした)生徒たちに命令する先生たちを思います。
高台に逃げようよ
投稿: あ | 2021年11月17日 (水) 06時45分
最近はメタンがCO2の何倍も温室効果があると騒がれているようにCO2だけが原因と単純化している人は少ないと思います。
現在の研究ではシベリアやアラスカの永久凍土が溶けることで地中のメタンが吹き出したり古生物が解凍されて微生物に分解されたりすることで温室効果ガスが排出されていることが明らかになっています。
そうして気温が上がることで更に永久凍土が溶けていく悪循環が生じているようです。
投稿: 中華三振 | 2021年11月17日 (水) 08時15分
あ。さんは意味不明。
たぶん大川小学校の悲劇を解釈しているのかと思いますけど、「高台に逃げろ!」が正解ですけど、あの地域はあんな津波は経験していないです。
それこそ後付の検証動画がサイトで公開されましたけど、あんなの想像も付かないって!
私も教組は大嫌いですけど、地域と場合とパニックを漕艇してなかった教師を責めるのはあまりにも酷です。で、誰が校庭で体育座りを強制したんでしょうかね?
マトモなエビデンスを下さい。
投稿: 山形 | 2021年11月17日 (水) 10時02分
今日の記事はすばらしい! むかしこんな記事を読んだことがあったようには思う。むろん、ありんくりん さんほどの理解は当然私にはありませんでしたが・・・・・。あらためてミラコビッチ・サイクルという大きな見方について再認識いたしました。
現今の反温暖化運動って何なんでしょうか?非科学的ではないですか。これは左翼や共産主義者の偏ったものの見方なんでしょうね、きっと。 今日の記事は多くの人々に読んでもらいたいものです。友人に薦めますね。
投稿: ueyonabaru | 2021年11月17日 (水) 10時11分
IT革命以降のイノベーションの舞台として環境問題ひいてはカーボンニュートラルが選ばれたというだけにしか見えないのですよね。
つまり金になりそうだから投資家は資金を注入しそれが活動家に流れムーブメントをさらに過熱化させていく。
本当にその方向性が正しいかどうかの議論は都合が悪いので「お前は環境問題に対して不誠実だ」というレッテルを貼って封殺。
そしてこの暴走しかかったムーブメントに先進各国が力関係を変えていこうと政治が乗っかったのが今の状態。
こんな馬鹿げた騒動を続けていけばいつか痛い目を見る事になるでしょうが、それを教訓にして超長期的な気候変動は避けられないものだとしてその上でどう対応するのかという前向きな意見が主流になる時代がいつか来るといいのですが。
投稿: しゅりんちゅ | 2021年11月17日 (水) 11時13分
いつも楽しみに拝読しております。
地軸の傾きだけで、たった1年間に夏と冬という変化が起きているわけですから、気候変動には、地球の周回軌道の変化、地軸の傾きや太陽の黒点活動も影響しているということはその通りだと思います。
二酸化炭素の含むそれぞれの変数Xの分野でそれぞれの専門家がいらっしゃるのだと思いますが、伝染病の専門家がコロナの猖獗に無力だったように、専門内だけの知識では地球温暖化の対応は難しいのではないかと思います。それぞれの変数Xの影響を金利や雇用などと同様に総合的に判断する、経済学のような社会科学的アプローチが出て来るのではないかと夢想してしまいました。
投稿: 都市和尚 | 2021年11月17日 (水) 11時29分
温室化ガス単独犯説の信憑性が薄いと思う人は、もてはやされぶりに比して案外多いだろうと私も思っています。
大要因が記事に挙げられた幾つもの天体由来だとすると、頑張って採れる場所のメタンをキャッチすれば小指の爪くらいは貢献したとしても、人類に根本的な打つ手はないということになります。
昔は飢饉や天災に見舞われた地域から大移動があり、戦争もあり、時の政権やインフラをぶち壊しながら生き延びた人達が、フィットした数と土地の上で子孫を繋ぎました。
手探りと口縦で「大丈夫な土地」に流入したプロセスに、今後はテクノロジーによる予測が加わります。
フワフワしたCOPやSDGSとは対極のこの説こそを今の国際枠組みでまともに論じるべきではあります。
ただ、知見をシェアする程に国家間でも個人の間でも陰謀が渦巻きいさかいが起こり、今の路線で凍死する人数より多くの人と物が失われるイメージが私には浮かびます。
だから今のままでいいじゃん、という意味では勿論ないです。が、そのような割り切りを含めてわざわざ実質要因として最も低そうなCO2を全面に出しているのかなと今朝の記事を拝読して感じました。
投稿: ふゆみ | 2021年11月17日 (水) 12時46分
いつも楽しみに拝読しております。
地軸の傾きだけで、たった1年間に夏と冬という変化が起きているわけですから、気候変動には、地球の周回軌道の変化、地軸の傾きや太陽の黒点活動も影響しているということはその通りだと思います。
二酸化炭素の含むそれぞれの変数Xの分野でそれぞれの専門家がいらっしゃるのだと思いますが、伝染病の専門家がコロナの猖獗に無力だったように、専門内だけの知識では地球温暖化の対応は難しいのではないかと思います。それぞれの変数Xの影響を金利や雇用などと同様に総合的に判断する、経済学のような社会科学的アプローチが出て来るのではないかと夢想してしまいました。
投稿: 都市和尚 | 2021年11月17日 (水) 13時20分
今日の記事と少しずれるかもしれませんが、環境(生態系)と活動家の関係性で、今はあまり話題にものぼりませんが、日本の捕鯨とシーシェパードの攻防を思い起こします。捕鯨絶対悪の欧米各国の活動家?からの資金援助で、すごい高速船で日本の捕鯨船を攻撃していたのが、日本がIWG?(国際捕鯨委員会)を脱退したとたん、攻撃対象をなくして、自壊していった。今のCO2騒動見ていると、何な同じような匂いがします。特にグレタさんに。結局は、環境マフィアがうごめいているだけなのでは?と思えてなりません。人間の寿命からすれば、気の遠くなるような年月が経過している地球環境にとって、これくらいの気温上昇は、もしかしたら誤差の範囲なのかもしれません。今、我々が使用している炭素って、恐竜がいたころの地上にあった植物とかが炭化したものだと思うのですが。
投稿: 一宮崎人 | 2021年11月17日 (水) 15時58分
なんせ、97%の科学者が「気候変動の原因は人間が排出するCo2だ」と言っているのだそうで、しかしその先生らの見解にも少なくも濃淡はあるだろうに「その他の要因」を聞く事は出来ません。
また、そうならそうで、まずすべきことは砂漠化を食い止め森林を増やす事が先決だろうに、山林を切り開き太陽熱パネルで乱開発を助長する「逆張り」をやっているようにしか思えません。
まずは異論に「口封じ」して洗脳し、様々な別の目的を達成させる意図が各所で見え隠れしているように感じます。
アルゴアの頃から今の国連まで、運動体と接着した極端な姿勢で物事を支配しようとする姿勢にも嫌悪感を禁じ得ません。
色々見聞きし考えもしましたが、結局のところ人間由来のCO2排出を止めても、気候変動は止められないのだろうと思います。
ただ、「何もやらないよりはやった方がマシ」との事であるならば、それはそうだと言わざるを得ません。
ただし、そのために犠牲となる部分が大きすぎるなら本末転倒です。
やるべき事を最初から洗い直すべきでもあります。
まずは「煽り」はやめてもらって、その他の要因についても詳らかにすべきです。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2021年11月17日 (水) 17時03分
例えば、
国立環境研究所地球環境研究センター
https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/17/17-1/qa_17-1-j.html
気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq19.html
など、「温暖化」や「異常気象」の原因について、もともと地球が持っている「気候のゆらぎ」と呼ばれる様々な自律的変動のシステムと、温室効果ガスや太陽エネルギー、火山噴火、宇宙線などを併記して可能性や蓋然性の度合いを見ていて、それは当然のことです。
どれかひとつに決めることはできない中で決め打ちするのは、証拠に従うというより、「どれを信じる/信じることにするかは私/あなた次第です」みたいな。
持続可能とは、誰の何が、どういう状態で持続することを指すのですかねぇ。
投稿: 宜野湾より | 2021年11月17日 (水) 21時01分