• 20250216-055038
  • S-127_20250215005301
  • S-129_20250215004901
  • S-141
  • S-142
  • S-143
  • 20250214-014540
  • 20250215-001818
  • 20250213-105949
  • 20250211-165850

« デニー知事不承認、二度目はみじめな笑劇として | トップページ | 日曜写真館 山茶花の 風を殺して 咲ききって »

2021年11月27日 (土)

ドイツ 新政権、核兵器禁止条約へ参加

141

ドイツの新政権が、核兵器禁止条約会議にオブザーバー参加するそうです。やれやれ。
朝日と毎日、NHKが報じましたが、まるで核兵器禁止条約への参加を拒んでいる日本が世界の孤児のような書きっぷりです。

「9月のドイツ総選挙で第1党となった中道左派・社会民主党など3党は24日、新たな連立政権樹立で合意した。12月上旬にも社民党のオラフ・ショルツ副首相兼財務相(63)が正式に新首相に選出される。連立合意文書には、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加が盛り込まれた。参加表明は主要7カ国(G7)で初。同様に米国の「核の傘」に依存し、オブザーバー参加に慎重な日本への圧力にもなりそうだ。(略)
3党はこのほか、石炭火力発電所を2038年までに全廃するとしたメルケル政権の決定について、「理想的には30年」に前倒しすると表明。気候変動対策と経済政策を担う省庁の新設も盛り込まれた」(毎日2021年11月26日)
ドイツ新政権「核軍縮に主導的役割」 核禁条約オブザーバー参加へ | 毎日新聞 (mainichi.jp)

左派政権となるやいなや、非核と脱原発と大麻のフルセットです。
あまりの「らしさ」にため息が出ます。

K10013360891_2111251615_2111251618_01_05

NHK

なかなかメルケル後継政権ができなかったために、このドイツ新政権は、赤(ドイツ社会民主同)と緑(緑の党)と黄色(自由民主党)をかき混ぜたような気色の悪い色の連合政権となりました。
3党が合意した連立協定は177頁にもおよぶ膨大なもので、「自由、正義、持続可能性の為の同盟」と称しています。
連立合意の柱は、お約束の再生可能なエネルギーの拡大、またも出ました最低賃金の引き上げが並び、そして合意の中には成人への大麻解禁、そしてこの核兵器禁止条約への参加が入っています。

それにしても大麻解禁ですか・・・。
ドイツを麻薬天国のオランダのようにする気らしい。
ヨーロッパ中から麻薬に群がるマフィアが集まってたいへんなことになりますよ。

緑の党が入った以上、環境保護はトップ課題で2045年までにカーボンニュートラルを達成するために、30年に石炭を段階的に廃止するするそうです。
このへんは米国民主党も言っていることなので、特に驚きはありません。

やや驚いたのは、安全保障の分野に左派色を強く出したことです。
欧米では、内政には左派色を出しても、外国と関わりのある外交・安全保障の分野は前政権から引き継ぐのが暗黙の掟ですが、ドイツ左派政権は違うようです。
それが核兵器禁止条約への参加です。
今はオブザーバー参加と言っていますが、時間をおかずに条約に本格参加することでしょう。

国内で大麻を合法化しようと、石炭を廃止に追い込もうと、馬鹿だなぁと思いはするもののドイツの国内問題にすぎませんが、NATOという集団安保体制の中の重要な一角を占めるドイツがこのようなことに走ることは、たいへんな迷惑を地域に与えるでしょう。
毒にもクスリにもならないどころか、真の核軍縮の道を妨害し、 世界の核バランスを崩壊させる危険性があるからです。

しかもタイミングが最悪です。
現在のヨーロッパ情勢は、ロシアがウクライナに進攻の気配を見せ、高い緊張下にあります。

1x1_20211127020601

ロシア軍がウクライナ侵攻検討か、米が欧州同盟国に警告

ロシアがウクライナに再び手をだそうとしているのは、ウクライナがNATOに加盟したことを、直接の脅威と判断しているからです。
ロシアは、「これ以上国境を接する国がNATOに加盟することを容認できない」と主張していますが、欧米はロシアの意向を無視してウクライナとジョージア(旧グルジア)との関係強化に乗り出しています。
NATOは9月末にウクライナと合同で大規模な軍事演習「RAPIDTRIDENT 2021」を実施し、米国のオースティン国防長官は10月にジョージアを訪問して2ヶ国間の安全保障協定を締結するなど着々と関係強化を進めようとしています。

このような動きに反発してロシアはベラルーシとの国境に近いエリニァの郊外に戦車、装甲車、自走砲など含む地上部隊を集結させ、NATO加盟国の軍が演習を終えて帰国するタイミングを狙い南下を開始しました。
いまもなお、首都キエフに近いウクライナ北部の国境沿いに推定9万人の兵力を展開させていると見られています。

既に米国の情報機関を統括するヘインズ国家情報長官は、NATO加盟国に対してロシアのウクライナ侵攻に関する可能性を警告したと報じられ、米国の政府関係者は米メディアの取材に対して「天候にも左右されるが、西側諸国の介入がなければ数週間の内にロシアのウクライナ侵攻が開始される可能性がある」としています。
早ければ、12月にもロシアのウクライナ進攻が現実になるかもしれません。
米情報機関は、今回は前回と違って、「ロシア軍は実際に首都キエフもしくはウクライナ東部ドンバス地方への侵攻準備である可能性が高い」と警告しています。

一方イラク、シリア、イエメンなどからの数千人単位の難民がベラルーシ経由でEU域内に入国しようとポーランド国境に殺到しています。
これはドイツに越境したいからです。
ドイツが狙われるのは、メルケルが難民に大甘なことを知っているからですが、それに輪をかけた大甘の左翼政権が誕生したのですから、減ることはないでしょう。

20211110oyt1i500841

ドイツで越境者拘束が急増、「難民危機」再来の懸念…経由する

これは自然に起きたものではなく、ロシアやベラルーシが意図的に誘導した結果で、ウクライナに進攻した場合、NATOの対応を分散させて遅らせるためだと言われています。

【モスクワ=小野田雄一】ロシアがウクライナとの国境付近に9万人とされる大規模な軍部隊を集結させ、一帯での軍事的緊張が高まっている。北大西洋条約機構(NATO)は、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切る恐れもあるとみて警戒を強めている。露専門家は軍の動きについて、NATOによるウクライナ支援に対抗する示威行動ではないかと分析している。
ウクライナ国防省は11月2日、同国国境に近い露西部スモレンスク州に9万人規模の露軍部隊が集められていると発表。ブリンケン米国務長官やNATOのストルテンベルグ事務総長も今月中旬、ロシアの「異常な兵力増強」を指摘した。
米ブルームバーグ通信は21日、米情報機関がロシアの侵攻ルートを想定した地図を同盟国と共有したと報道。米軍事メディア「ミリタリー・タイムズ」も同日、「ロシアは来年1~2月の侵攻を準備している」とするウクライナ軍情報部門トップの見解を伝えた」(産経11月27日)

ロシアは核兵器禁止条約をNATO分断に利用しようとしており、まんまと新政権はそれに乗ったということになります。
こういう情勢下で、NATOの主軸であるドイツを左翼連合政権に手渡してしまったメルケルの不手際が改めて問われることになります。
いずれにしても、ロシアがウクライナに進攻した場合、いかなる対応をとるのかが、新政権の最初の試金石となります。

さて、よもや左翼新政権のお歴々が知らなかったということはないはずですが、実はドイツはとっくに「核武装」しています。
それがニュークリアシェアリングです。
これは米国の許可の下にNATO各国軍が核兵器を保有し、有事においては当該国がそれを使用するシステムのことです。
ですから、このニュークリアシェアリングの協定に基づいて、ドイツ国内には核兵器が保管されており、ドイツ連邦空軍が核攻撃を遂行します。

もちろん、有事の際も、一国はもちろん、NATO全体が了承しても、米国が拒否権を行使できます。
下図は核兵器の拡散状況を示す図ですが、赤が核保有国、青色がNPT加盟国、そしてオレンジ色がニュークリアシェアリング国です。
ドイツがオレンジ色に塗られていることにご注目下さい。

940pxnwfz_svg

核兵器拡散状況 Wikipedia

ニュークリアシェアリング国が核兵器禁止条約に入るの入らないのと言っても、なにをおっしゃるウサギさん、もうとっくに準核保有国じゃないですか。
上図に核兵器禁止条約締結国をかぶせてみましょう。

K10013360891_2111251726_2111251727_01_06

NHK

なんのことはない、核兵器禁止条約締結国と言っても、元々核兵器とは無関係な国々ばかりにすぎないことがお分かりになるでしょう。
ありていにいえば、核の脅威を与える国が存在しない幸せな諸国ばかりです。
このような国がいくら核兵器禁止する、と言ったところで現実の効果はゼロです。
いわばよく自治体の役場の前に建っている「非核宣言都市」の看板みたいなものです。
その自治体が密かに核兵器のひとつももっているなら有意義でしょうが、わきゃないのでただの絵空事です。
ただ嫌なのは、こんな看板を立てた当人たち(共産統系「平和団体」ですが)は、自分が世界の非核化に役立っていると勘違いしていることです。
核兵器禁止条約も、この「非核宣伝都市」とイイ勝負です。

言うのも愚かですが、核兵器を本気で禁止するためには、核保有国が核軍縮をするしかありません。
特にいかなる核軍縮の枠組みにも入ろうとしない国である中国を参加させねばなりません。

E5898ae6b89be695b02019_20211106041301

世界の核兵器保有数(2019年1月時点) | 国際平和拠点ひろしま

新START(新戦略兵器削減条約)にすら入らない中国の参加なき核兵器禁止条約など、ほんとうの核兵器全廃への道を閉ざす有害無益な存在にすぎません。
上図の国際平和拠点ひろしまが作成した図では公表された50発としていますが、これは米国防総省の300発の6分の1にすぎません。
どうしてこう大きな差がでるのかといえば、米露は相互査察によって確認された正確な数字であるのに対して、中国の数は中国の公表数字でしかないからです。
つまり核軍縮するための基礎数字自体が、中国においては闇の中です。

こんな保有核の数すら不明な国が隣にいて、しかもその国はわが国を標的にしている以上、わが国が核兵器禁止条約などというお遊びに参加することは絶対にありえません。
数百発の中国の核ミサイルで狙われているわが国と、のほほんとしていられる国とは本質的に違うのです。
※関連記事『中国は新戦略兵器削減条約に参加しろ』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2021/11/post-6084ae.html

とまれドイツ新政権におかれましては、新たに自国で核兵器を開発する必要がない以上、そんなに核兵器禁止条約に入りたければ、とっととドイツ国内から核兵器を撤去させることから始めて下さい。
ちなみに新政権はご承知のことと思いますが、ドイツはロシアの核ミサイルの最優先攻撃目標ですので念のため。
ドイツがNATO主要国である以上、他の加盟国からどのような批判を受けるか知ることです。

ただし、ショルツ政権の名誉のために付け加えると、欧米左翼は人権には等しく厳しい対応をしめします。
中国や北朝鮮の人権は見て見ぬふりをするどこかの国のリベラルとは違って、中国の人権や香港の民主主義弾圧については厳しい批判を加えています。
また、台湾の国際機関参加を後押しするそうです。
この点、メルケルや岸田よりよほどましです。

« デニー知事不承認、二度目はみじめな笑劇として | トップページ | 日曜写真館 山茶花の 風を殺して 咲ききって »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« デニー知事不承認、二度目はみじめな笑劇として | トップページ | 日曜写真館 山茶花の 風を殺して 咲ききって »