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2021年12月 8日 (水)

「価値観の踏み絵」としての北京五輪

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米国が北京冬季五輪に外交的ボイコットをすることを公式に表明しました。
「外交的ボイコット」とは、北京五輪に米国外交団を出席させないという意味で、選手は出場します。
トランプならスッキリと完全ボイコットでしょうから、そのハードルは低いとは言えます。
実際に中国は、痛くもかゆくもないといっているようです。

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アメリカが北京五輪の外交的ボイコットを発表|TBS NEWS

「アメリカのバイデン政権は、来年2月と3月に開かれる北京オリンピックとパラリンピックについて、政府関係者を開会式などに派遣しない「外交的ボイコット」をすることを明らかにしました。
中国の新疆ウイグル自治区などでの人権状況が理由だとしていて、中国政府は強く反発するものと見られます。
アメリカ・ホワイトハウスのサキ報道官は6日の記者会見で「バイデン政権は北京オリンピックとパラリンピックに外交や公式の代表を派遣しない」と述べ、「外交的ボイコット」をすることを明らかにしました。
その理由としては、中国の新疆ウイグル自治区で、民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加える「ジェノサイド」が続いていることなど、中国政府による人権侵害を挙げました。
サキ報道官は「人権侵害が行われている状況下では通常どおりに対応するわけにいかないというメッセージになる」としています。
一方で、選手団は派遣する方針だということです」(NHK 2021年12月7日)

これに対して太田光並に下品で有名な「戦狼」外交官は、米国に代償を払わせてやると息巻いているようです。

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米“外交的ボイコット”発表 中国「代償支払うことに」 北京五輪まで59

「中国はボイコットに反対し、「確固たる対抗措置」を取るだろう、と外務省報道官趙麗建は言った。
「オリンピックを妨害しようとする米国の計画は失敗に終わり、道徳的権威と信用の喪失につながる」と、趙氏は12月7日ロイターを引用して中国の首都で行われた定例記者会見で述べた。
彼はまた、ボイコットはオリンピックの原則に反していると付け加え、スポーツに政治を持ち込むのをやめるよう米国に促した」
(VOI2021年12月7日)

なにがスポーツに政治を持ち込むな、だ、中国に言われたくはありません。
ありとあらゆる場を国家のプロパガンダととらえてきたのは中国だったはずだ、なんてヤボを言っても仕方がない。
もう政治のステージに五輪は乗ってしまったのです。

外交的ボイコットは戦術としては完全ボイコットよりはるかに落ちる「穏便な」ものには違いありませんし、外交団がいるかいないかは観客の眼からはまったく遮蔽されて見えないものです。
中国とIOCは完全になにもなかったが如く振る舞うでしょうから、外交部が言うように「アメリカの政治家が招待されてもいないのに外交的ボイコットをあおるのは、自意識過剰であり、大衆迎合で人気取りの行動だ」(CNN) というのは、その限りではそのとおりです。

中国の面白さは、痛ければ痛いと大声で叫ぶことです。
ですから今回のように「痛くないぞ」と言うのは、大いに痛いことの逆説的表現なのです。
特に、習は自分の足元に慕い集まる世界の国々の眼前で、頬を張られた気分のはずです。
どのような報復をするか、「眼をこすって」楽しみにしてきいましょう。

さてバイデンが個人的に「中国の古い友人」(習の表現)であろうとなかろうと、米国がこのまま北京五輪になんの対応もしないという選択肢は存在しませんでした。
まず国際社会では、バイデンみずからが招聘した民主主義サミットが、12月8、9日にオンラインで開かれます。
これは民主主義という価値観を共有する国々のサミットですから、人権と自由がテーマでなくてはなりません。
民主主義サミットで、バイデンが持ち出さなくとも中国の人権問題がその中心議題になるのは必至で、おそらく共同声明には厳しい中国非難が盛り込まれるはずです。
ですから呼びかけ国のバイデンが、自分が仕掛けた民主主義サミットを目前にして、自由主義陣営の盟主として指をくわえている選択肢は初めからなかったのです。

また国内的には、米国議会では今、上院で全会一致で通過している北京五輪外交ボイコットを含む「対中包括法案」が下院で審議中です。
本来はとっくに通過せねばならないのに審議が遅れ遅れなのはどうしたことだ、これはビジネスが人権より大事なバイデンとペロシが仕組んだことだと共和党が追及し始めています。
実際に、元国務長官のケリーは環境特使として、中国と環境ビジネスで談合を繰り広げているわけで、ここで中国ともめたくはないというのは事実です。
ただし、これはすべての自由主義陣営に属する国に言えることですが、北京五輪はいまや人権を擁護する民主主義国であるか否かを問う「踏み絵」なのです。

また、すでにEUはすでに外交的ボイコットを決定しており、ドイツやフランスなども外交的ボイコットの姿勢を見せています。(ちなみにドイツ新政権は、中国にきわめて強い姿勢で望んでいます)
アジア・オセアニアでも、オージーは前向き検討中で、クアッドでインドを除けば対応が不透明なのは、わが国だけということになりました。

そしてもうひとつバイデンの尻を叩いたのが、WTA(国際女子テニス協会)の中国に対する毅然とした対応でした。

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WTAが中国での大会当面中止…彭帥さん問題への懸念で | Sportingnews

「WTA=女子テニス協会は1日、中国の前の副首相に性的関係を迫られたことなどを告白したあと、行方が分からなくなったと伝えられている女子テニス選手を巡り「中国はこの問題に信頼できる対処をしていない」などとして香港を含む中国でのすべての大会を中止すると発表しました。
中国の女子プロテニスの彭帥選手をめぐっては、共産党最高指導部のメンバーだった張高麗前副首相から性的関係を迫られたことなどを告白したとされる文書がSNS上に投稿され、その後、行方が分からなくなったと伝えられています。
WTAではこれまで中国政府に対して透明性を確保したうえでの調査を求めてきましたが、WTAのスティーブ・サイモンCEOは1日、公式ホームページで声明を発表し「中国の指導者たちはこの非常に深刻な問題に信頼できる方法で対処していない」などとして「香港含む中国で開催されるすべての大会を直ちに中止する」ことを明らかにしました。
このほか声明では「彭選手の居場所は明らかになったが、彼女が安全で自由かということや、検閲されたり強制や脅迫されていることに深刻な疑問を抱いている」としたうえで、現在の状況を踏まえて「来年、中国で大会を開催した場合、すべての選手やスタッフがリスクに直面する」などとして大会を開催した場合の安全性に懸念を示しました。
そして、テニス界における中国の経済的な影響の大きさを考慮しても「彭選手とすべての女性に正義がもたらされることを願っている」としています」
(NHK 2021年12月2日)  

まことに見事な対応です。
これはバッハ会長自ら中国と結託して彭帥選手問題を闇に葬ろうとすることの対極にあります。
このような大きな国際競技団体が中国の人権問題で立ち上がるのは、本当に心強いことです。
ウォールストリートジャーナルは、このような社説を掲載していました。

「WTAのスティーブ・サイモン会長兼最高経営責任者(CEO)は1日に新たな声明を発表し、この件について必要なのは「彭帥選手の性的暴行の告発に関して、検閲を行うことなく、全面的な透明性のある調査を行うことだ」と繰り返した。中国のメディアは彭帥さんの動画を公開し、彭帥さんは国際オリンピック委員会(IOC)にビデオ通話で自らの無事を伝えたが、WTAは彭帥さんが自由に発言しているのか確信が持てないと述べている。これは正当な言い分だ。
サイモン氏は言わなかったが、われわれは言う。IOCは信用できない。2月に北京で冬季五輪の開催を控え、IOCの関心は彭帥さんに関する全てのことを問題なく見せることにあるからだ。
 サイモン氏はこう続けた。「その結果、WTA理事会の全面的な支持を得て、香港を含む中国で開催される全てのWTAトーナメントを直ちに一時中止することを発表する。道義上、彭帥選手が自由な意思疎通を許されず、性的暴行の主張を否定するよう圧力をかけられているように見える状況で、WTAの選手に中国で競技をするよう要請することはできない」」
(ウォールストリートジャーナル 2021 年12 月2 日)

中国ビジネスと関わるスポーツ関係者は、米国に止まらず常にダブルスタンダードで臨むことが常識となりかかっていました。
米国の場合、自国ではBLMやMeTooに共感して人権非難の対象にする行動も、こと中国政府が関わるとなると腰が引けて沈黙する者が大多数でした。
ウォールストリートジャーナルはこの社説で、米国のスポーツビジネスが香港問題で沈黙し、ウィグル人権問題でもなにも言わない態度を強く批判しています。
WSJは社説をこう締めくくっています。

「中国が誠実であれば、彭帥さんを出国させ、告発について自由に語らせるだろう。WTAの要求に対する同国の対応を見ると、外国企業が国際的に認められたルールを中国に守らせることができなければ、中国に独自のルールを押し付けられることになることを改めて思い知らされる」(WSJ前掲)

まことにそのとおりです。
中国に人権のルールを守らせることができなければ、我々が中国のルールに従うことになるのです。

繰り返しますが、北京五輪は民主主義国家としての避けて通れない「価値観の踏み絵」です。
この国が民主主義を価値とし、自由と法の支配を守る国なのかどうか、それをを問うものです。
岸田氏が踏まないなら踏まないでもけっこう。
以後、そのような国としてわが国は扱われ、岸田政権も短命に終わるというだけのことです。
それがいかに大きな国益の損失か、岸田・林・茂木の3氏は考えてみることです。


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コメント

なんかもう意図的に西洋式民主主義と「中共の人民主権」という2大主義のイデオロギー衝突に演出されてますね。特に中国の挑発が凄い。
アメリカ流の民主主義の押し着せには言いたいことはいくらでもありますけど、私は中共のような人民民主主義を名乗る恐怖独裁国家よりはよほどマシだと思いますね。

途中送信で連投失礼!

「外交的ボイコット」を批判するというのは、元々「オリンピックを政治的に利用してまーす!」と言ってるわけだが。
別に政治家がわざわざスポーツの祭典に同行して会談する意味が分からない。選手団を派遣して純粋公平に競技を楽しめば良いだけのこと。
中国はよほど嫌だったんでしょうね。米国政治家だってまだ招待状を貰ってもいないんだから、この早い時点で方針を出したこと自体が中国への配慮だと思います。

さて、日本はどうしますかね。。

管理人はトランプなら完全ボイコットしただろうと完全ボイコットをするべきかのように言っているがそれによるメリットって何だろう?ただの自己満足に過ぎないと思う。

IOCのバッハ会長にはがっかりです。IOCが金まみれと言われて久しいですが、バッハさんに代替わりしてから幾らかは改善されたと思っていましたので、ここまで中国におもねる姿を見ることになるとは思いませんでした。いや「おもねる」なんてレベルではないですね。もはや立派な片棒担ぎです。

それに比べてWTAの態度は立派の一言。莫大なチャイナマネーを前にして信念を貫くことは一通りの覚悟では出来ないはずです。お見事。

翻って我国ですが・・・
未だに各国の顔色をうかがって外交ボイコットすら表明できないというに至っては情けないとしか言い様がありません。それも連日のように示威行為を受けている身でありながらです。

また同様に歯がゆいのは彭帥さん問題が連日報道されていながら、国民的レベルで北京冬季五輪に対する機運がまったく醸成されていないところ。テレビをつけると「北京冬期五輪まで三ヶ月を切りました、楽しみですね」なんてことを平気で言っている。これを平和ぼけと言うんでしょうか。

 「外交ボイコットなどすべきない」とする意見の理由として、三浦瑠璃氏はなどは「実効性がないから」というのですが、まるで違いますね。

中共は世界の耳目が集まるスポーツの祭典を、日本などより強烈に自国の国家威信を高める機会と捉えています。だけではなく、物事をリセットして悪事を隠しおおせる機会となるからです。
戦狼がどんなに強がりを言っても、たとえ外交不参加だけであったとしても、彼らの内心のうろたえを低く評価すべきではありません。

2008年北京五輪の時には「五輪を通じて、中国に民主主義の風を送り込む事が出来る」と言われてました。
果たして、中国の人権状況は悪化の一途をたどっています。
日本は「対話を通じて云々」とか、「いうべき事は言う」などと林外相は言いますが、やるべき事をやらないと意味がありません。

選手のためには大会の開催自体はやむを得ないと思います。
しかし、「誰もが中国の人権問題対する懸念はそっちのけで試合を観戦している状況を想像して欲しい。人道に対する罪を問われている国で、今はお祭り騒ぎをしている場合ではない」とするスイス外交委員会の意見に完全に同意します。
選手たちには大変申し訳ないですが、ウイグルの人たちの惨状を思うとき、私はそんなもの気持ち悪くて見る気もしません。北京五輪など、スポーツを利用した偽善の象徴にすぎません。

今日は豪州が新たに外交ボイコットを決めました。
やがて英もEUも続くでしょう。
岸田が「独自に判断をする」というのはいかにも綺麗事の詭弁チックで、むしろこの場面では主要民主主義国との価値観を行動でそろえる事が最も国益にかなうやり方でしょう。


 中国のウイグルへの仕打ちは決して許されるものではありません。
ウイグル人への同情心があるのなら、日本はオリンピックをボイコットすべきなんでしょう。ホントはそうあるべきです。

 選手たちの活躍する姿が見られないのはとても残念な状況になりますが、国際的な同情心、正義が通らないのであれば仕方がないと思うのです。ですが、日本選手たちの中に正義感が強いものがいて、オリンピック開催中に抗議のアピールを大々的に行う者が出てくれば面白くなりますね。 いまはこれに期待するのみです。

WTAの、中国での興行停止措置はスバラシイですわ。女性アスリート
の人権という、スポーツ以前の女性(全人類の半数)の権利を理由に
してるんで、中共はグの音も出せません。しかしWTAとしても、14億人
という潜在観客数の莫大な興行収益というカネを失うのはイタイイタイ。

中共としても、巨大中国市場に対する西側諸国のカネに対する執着
を人質のようにして外交を有利に進める戦略なんで、「あやー、カネの
威力が通じないとは、少し以外だった」と、『人権カード』の認識につい
て再考する機会になったと思いますわ。もちろん、これからはもっと極
秘でエゲツない行動に出て来ます、共産独裁全体主義国家なもんで。

カネといえば、ユニクロの中国の総売上高が日本のそれを数年中に
上回りそうだとか、コストコが中国第二号店をOPENしたとか、テスラ
の日本向けEVはすでに中国製だとか、ベンツとかBMWの欧州クルマ
メーカーはそれより前に中国製になってるとか、旧ソ連と違って、まあ
とにかく西側の資本をガブ飲みして(中共の開放政策というワナ)いて、
その資本=カネが人質となって日本などもう身動き取れませんわ。

頼りない岸田首相には、「国民よ、軒を貸して母屋を取られていいの
か?人権は民主自由主義の一丁目一番地である、コレ無くして日本
は成り立たない、人権は死守する!ゆえに北京オリンピックはボイコ
ットだ。中共よ、つつがなきや」なんて、聖徳太子ばりの事が言えるわ
けないですわ。

不思議なのは、国内の人権屋達です。普段、人権ダ人権ダ、女性の
ケンリ女性のケンリ、と国内で騒いでいる連中は、今こそ中共に人権
攻撃や女性の権利攻撃をする絶好の活動機会なのに、何やってんの
かな?

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