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2021年12月28日 (火)

キューバ危機を呼び寄せた轍を踏んでしまったバイデン

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さて、キューバ危機に話を戻します。
キューバ危機を引き寄せたのは、実はケネディでした。
ケネディとフルシチョフは、キューバ危機の前の1961年6月にウィーンで会談をしています。

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ウィーン会談 - Wikipedia

その時の会話の一部が残っています。
いかにケネディの腰が引けて弱々しいかわかるでしょう。

  • ケネディ
    • 私が避けたいのは米ソ間の誤算です。両国の誤算で破滅しかねないことです。
  • フルシチョフ
    • 誤算という言葉は好きではありません。共産主義がソ連国内に留まることを保証するなどとは出来ません。我々が誤って戦争を始めることなどありません。その言葉は二度と使わないでください
  • ケネディ
    • 西欧は相手の出方を正確に見通せなかったことで悲劇が生まれました。アメリカも朝鮮で中国の出方を見誤りました。私が求めていることは、双方の判断が正確に下せるようにすることで、今後についてより明確な判断が下せるようにすることです。
  • フルシチョフ
    • この会談の目的は両国の関係を改善することだと信じています。私と大統領がその点で成功したら、この会談で使われた費用は無駄にはならないでしょう。
      ウィキ前掲

ケネディは、フルシチョフに「共産主義がソ連に留まる保証などない」とまで言わせてしまっています。
当時のソ連は今のロシアに比するのも愚かな超大国でした。
そのような世界を二分した国に、我々は留まることなく拡大し続けるという言辞をさせてしまったのは致命的敗北でした。
米国は喉元に核ミサイルの刃をつきつけられることになります。

ケネディは失意でウィーンを去ったとされています。

「ケネディはウィーン会談後は傷心のままウィーンを去った、と多くの人は見ていた。会談終了後、ケネディは周囲の人間に、頑なに姿勢を変えなかったフルシチョフを罵ったとされる。この次の日にロンドンに飛んだケネディを迎えたマクミラン英国首相は後に「ケネディは生まれて初めて自分の魅力に影響されない男に出会ったのだ」と語っていた」(ウィキ前掲)

一方、フルシチョフは上機嫌で帰国しましたが、それは取り巻きたちが、ケネディは甘い、あいつが大統領のうちにとるだけとってしまえ、と進言したからだと言われています。
つまり、ケネディが及び腰で、共産主義の膨張に対して軍事的に対抗すると伝えず、穏便に顔をたてるが如き発言が裏目に出たのです
このケネディの態度を宥和的とみたフルシチョフが内角高めの危険球として投げたのが、キューバという米国の喉頸に核を据えつけることだったのです。

そしてケネディの一世一代の大博打による逆転に続くわけですが、それは置きます。
今、ウクライナで起きているのは、ロシア外務次官がいうとおりキューバ危機と一緒の構図です。
ロシアはバイデンやNATO諸国がなにもできないことを読んで、この戦争準備をして見せているのです。

バイデンは早々と経済制裁以外うちの国はなにもしないから、ウクライナにも部隊派遣はしないから、という信号を出してしまいました。

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BBC

「武力行使の考え「現時点ではない
バイデン氏は7日の首脳会談で、「今まで見たこともないような経済的影響」に直面することになると、プーチン氏に明確に伝えたという。
プーチン氏がそのメッセージを理解してくれたと確信していると、バイデン氏は付け加えた。
しかし、今後の軍事行動の可能性について質問が及ぶと、バイデン氏はアメリカの道義的・法的義務は、30カ国で構成されるNATOに加盟していないウクライナには及ばないと述べた。
「アメリカが一方的に武力行使をして、ロシアがウクライナを侵略するのに立ち向かうという考えは、現時点ではない」
(BBC2021年12月9日)

ウィーン会談のケネディに酷似していませんか。
まことにバイデンは危険なまでに愚かで弱い大統領です。
この時期、こんなことをプーチンに面と向かって言えばどうとられるのか、プーチンの高笑い(というより失笑)が聞こえるようです。
バイデンは同じ民主党の大統領だったケネディのキューバ危機の歴史的教訓を少しも学んでいないようです。

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2021年12月23日、プーチンは年末恒例の記者会見において、「ボールはNATO側にある。即座に安全を保証せねばならない」と、米国に脅迫的態度で臨んでいます。
では球を投げ返された米とNATO側はといえば、すでにバイデンが12月7日の米露会談で早々と軍事的対抗手段を捨てて主導権を渡してしまったために外交交渉一本に追い込まれてしまいました。
賢明な米国大統領なら、最後まで軍事的対抗手段のカードは温存しておくべきだったのです。

ドル決済からの追放と天然ガスパイプラインは制裁にすらならないでしょう。
国際市場から無縁で、天然ガスというブツのやり取りで食っているロシアにとって、ならばやってみるがいいと笑い飛ばせるようなものにすぎません。
困るのは制裁を加えた西欧のほうなのですから。
天然ガスを禁輸したために開いた巨大な穴を米国が独力でシェールガスの「ベルリン空輸」をして凌いでみせれば格好がつくのでしょうが、生憎グリーンニューディールとやらで国内のシェールガス産業を締めつけている真っ最中です。

ヨーロッパ、特に英国の北海原油、原子力を持つフランスと違って全面的にロシア産天然ガスに依存しているドイツはたちまち酷寒の冬にエネルギーが干上がるという地獄を見ることになるはずです。
ですからとうていNATOの足並みは揃いません。

これは昨日もふれた「ブタペスト合意」などを結んだことの必然的結果です。
この中で、NATOは東西冷戦後に旧ソ連との敵対関係を終わらせる基本文書に署名し、東欧に恒久的な大規模戦力を追加配備しないと約束しています。
しかしこれを西側は遵守しませんでした。
その後も、NATOは中欧・東欧に加盟国を拡大し、2014年のロシアによるウクライナ・クリミアの併合後には、ポーランドなど東欧に部隊を常駐させています。
ロシアからみれば、プーチンがいうとおり、「欧米はロシアを騙した」わけです。

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プーチンからすれば、オレが言っているのはソ連の復活ではなく、そんな力はないのだから近づきすぎるな、緩衝地帯を置けといっているだけだということになります。
しかし現実にNATOとEUに加盟済みのポーランドとリトアニア、加盟申請中のウクライナの3国にとって、これは再びロシアの版図に戻れという裏切りに等しいことになります。
ですから、リトアニアのナウセダ大統領は、「一方的にレッドラインを設定するロシアのやり方は21世紀の欧州では通用しない」と主張して、最後まで独立を守る姿勢を新たにしています。

このように見てくると、ロシアは振り上げたこぶしを降ろしようがないし、降ろせば後は中国にすがって生きていく二流の覇権国になり下がることでしょう。
中国にとって、ロシアが勝とうと負けようとどちらでもいいのです。
勝てば自由主義陣営の後退が明らかになりますし、負けたら負けたで優しくロシアを抱きしめてやり、従属的同盟国として包摂させればよいだけのことです。
ちなみに私はこの可能性がもっとも高いと思います。
ロシアはヨーロッパの一部であることをあきらめて、中国圏の一部に自分の位置を見つけることでしょう。
ならず者はならず者同士、世界に牙を剥いて生き抜くしかないのです。
こんなロシアやプーチンにまだ幻想を持つ人が日本にはいますが、しっかり彼らの行状を見ることです。

一方西側も、リトアニア・ポーランド、ウクライナといった、必死の思いで独立を勝ち取った国々からの反発を考慮すると、ロシアに譲歩できる余地がまったくありません。
それにNATOがウクライナへの加盟を認めようがどうしようが、それはNATOという軍事同盟内部のことで、ロシアに命令されてやることではないからです。

つまり、西側はボールを投げ返されても外交交渉による問題解決は不可能です。
譲歩の余地はゼロです。
ですからなおのこと、これは米上院外交委員会のジム・リッシュ議員が指摘するように、「米国やNATOが到底受け入れない」という前提で設計された要求リストであって、ロシアの要求は受け入れ困難なことが分かった上でのもので、明らかに戦争の口実作り」なのです。
ならば、相応の覚悟で対抗するしかなかったのです。
それ故、交渉の初手で部隊をウクライナに派遣しないという発言を絶対にしてはなりませんでした。
それを軽々しく口にするなんて、なんということを!
ケネディは自らが呼び寄せたキューバ危機に、キューバの海上封鎖で臨み、ソ連の野望を完全に封じ込めましたが、バイデンにそのマネができるでしょうか。

ここで米国とNATOが引いたら、かつての2014年のクリミア割譲を更に大規模にした自由主義陣営の大きな後退につながることでしょう。


■年末年始の更新予定について
押し迫ってまいりましたが(あー年年々歳々実感ない)、年末は31日(金)まで更新し、1日元旦は賀詞、そして三賀日はお休みさせていただきます。
新年は4日からの出発となります。
                                             ブログ主

 

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コメント

よく政治家さんが軍事力ではなく外交で解決するべき問題だ!
なんて寝ぼけたことを言ってるのを聞くけど、特に9条大好きな人とか。
外交の延長での手段が軍事行動だという大原則すら分からないのかねえ。
防衛行動もせずに突如侵略されても「話せば分かる」で済むのか?という話。

ケネディもそうだけどバイデンってあんだけ長く政治家やってんのに、初っ端に「軍事的行動に出ることは当面無い」なんて言い出すって···どんだけ外交下手なんだよ!
ここでも強面のトランプと正反対のことをやりました!なんでしょうか。
トランプは強面ながら中東(特にアフガン)からの足抜けをしっかり進めてたし、上手く抜けるように手順を踏んでたのに···バイデンはいきなり何日までに帰らせます!とやっちゃって夏の悲劇になるし。アホですか、ボケちゃってるんですか?と。。

 ケネディとバイデン、この二人は大統領選のイカサマっぷりもウリ二つでした。プーチンから見ればゼレンスキーも能力が低く、精神力の弱い人だと見ていて、軍事的な脅によって動揺させ譲歩を引き出すのが狙いですね。そのうえバイデンは軍を動かす意思もないと公言しているのですから、ケネディ以下です。
ロシアとすればこうした政治状況下、千載一遇のチャンスだと考えての事です。振り上げたこぶしはお土産付でなければ下せず、バイデンは譲歩せざるを得ないのではないか。

ロシアの領土的野心は疑いようもないです。「自衛のため」との詭弁にくるんでいますが、ウクライナを盗りたい理由は山ほどあります。我が国にはロシア寄りの解説をする保守の人もいます。
でも、ロシアは中共と同じです。主権や主体性を持つのは一握りの大国のみで、小国はそこに従属するだけの存在とするのが彼らの常識です。ですから、ウクライナが自決して西側に寄ったというのは認められず、「取った、取られた」の話になるのですね。

 皆さん、プーチンさんへ厳しいようです。私は今のところ親プーチン、親ロシアの立場におります。ロシアはソ連時代とはもう違った国になっているのではないでしょうか。我々の民主主義国家とは少し違う感じがありますが、ソ連時代のロシアではないですよね。強制収容所もありません。
中国は強制収容所(ウイグル)で悪さをしておりますが、今のロシアにそんなことはありません(わたしの認識違いであればどうぞご指摘くださいね)。納得できるのであれば即座に改めるつもりです。

 数日前NHKの番組でウラジオストックのことが放送されました。日本とは戦前に深い関係のあった都市です。女性の学者の方で、当時の日本人の経営する商店、お寺、居住地等の跡を辿りながら色々と説明してくれます。懐かしそうに語り、愛情のこもった語り口でしたよ。この方は親日家なでしょうね。

 考えました。中国人で昔の日本人居住地などをこんな風に案内する方がいるのだろうか? 共産党の反日教育を受けた今の中国人にはウラジオスットクの案内人のように親日の態度を示すことなどできないでしょう。これからして、ロシアに親しみを感じるのは自然です。

 ロシアに将来旅行したいと思いますよ。ロシアを知るためです。中国には20年ほど前に行きました。感想は、ずいぶんと物欲の強い人たち、共産党の党員が威張っているという感じを持ちました。

 かわいそうなロシア、落ちぶれたロシア、それでも毅然として軍事力を維持するその国は、ある意味偉いと思います。

 及川幸久さんのu-tubeチャンネルと馬淵睦夫さんのチャンネルで、ウクライナへロシアが攻め入るかというテーマで語っております。両者とも侵攻はなそうだと言っておられます。

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