ユン候補のあまりにまともな政策骨子
ややオーバーな言い方をお許し願えれば、砂漠で水を持つ人に出会ったとでもいうのでしょうか。
実に12年間も渇ききった韓国砂漠を見させられてきた私にとって、やっとまともに対話可能な相手を見つけたような感慨があります。
ああいかん、突き放して見なけりゃ。
彼の人となりより先に、さっそくユン候補の政策を見ていきましょう。
① 米韓同盟を強化すると同時に、米国が構築する「クワッド」、「ファイブ・アイズ」情報共同体と協調する。
② 「主従関係」に陥った南北関係を正常化し、ミサイル防衛システムを構築して北朝鮮の核無力化を目指す国際協調体制を強化する。
③ 韓日関係は1998年に金大中・小渕恵三両首脳が発表した21世紀の新しい韓日パートナーシップ共同宣言を生かして自由民主の価値を共有する。
④ 韓中関係は相互尊重の対等な関係とし、3不路線(THAADミサイル追加配備不可、韓日米軍事同盟不可、米国MD体制参加不可)を撤廃する。
韓国大統領選、前検事総長はなぜ立候補したか | 韓国・北朝鮮 | 東洋
おどろくほど常識的、かつ合理的です。
まず③に、すべての政策の基本に「自由と民主主義の価値を共有する」という立場が注目されます。
韓国はパククネ、ムンジェインの2代12年の長きに渡って、「自由・人権・法の支配」という民主主義国家の根幹的価値観を破壊し続けてきました。
その結果、ユン候補がいうように、北への過剰な親和と、中国への露骨なすり寄り、日韓関係を破壊する行為が常態化しました。
特に②の北との関係を「主従関係」と切って捨てたのは、今までの北の顔色をうかがい続けたムン政権からの大きな転換です。
具体的には、南北統一を北の非核化と一体化してしまったムン政権に対して、北の核武装を止めることは国際問題として対応していかねばならないのだ、という基本姿勢を明確にしています。
実は今、韓国は中国支配圏に転落する崖っぷちにいると見られています。
ムン政権が、今盛んに言っている「朝鮮戦争終戦宣言」のほんとうの意味は、終戦宣言をすれば国連軍は無用のものとして解体せねばならず、その下に位置づけられている在韓米軍もいらなくなるという流れを意味していました。
これは北の「朝鮮半島からのすべての外国軍の撤退」の要求と平仄があっていました。
これが実行された場合、韓国は完全に自由主義圏から脱落し、北と高麗連邦を作るか、中国の勢力圏に組み込まれることになります。
中国は国境を接する高麗連邦など容認しませんから、自動的にそれは中国の属国になることを宿命づけられます。
具体的な外交方針として、中国への隷従を誓った「三不一限」を廃棄すると言ったことは注目に値します。
GSOMIAを対日カードで使うようなムン政権から、元々あった韓国の立ち位置である日米韓三カ国連携に復帰するとしています。
やれやれやっと自由民主国家連合の一員としての自覚を持つ大統領候補が生まれたのかとしみじみします。
いままでは日本憎悪のためにすべてが歪み、反日をバネにして自由主義国家であることすら捨て去ろうとしていましたからね。
三カ国連携の先にあるのはクアッドですが、国際社会からここまで信頼をなくした韓国がそのまま加盟できるとは思えませんが、まずは三カ国連携をしっかり行いながらクアッド諸国からの信頼を回復することです。
いままでのような米中のバランサーを気取って、肝心の北からは相手にもされない愚かしい真似を止め、どちらの陣営に属して戦うのか、韓国は民主国家なのか、中国従属志願国なのかを明確にする時期でした。
このユン候補を大多数の国民は好意的に受け止めているようです。
現在のユン候補の支持率は直近の韓国社会世論研究所(KSOI)の行った調査で45.6%であり、政権与党「共に民主党」の李在明候補の支持率は32.4%でした。
別な数字ではユン候補が50.2%、イ候補が36.0%という調査結果もあります。
まだ3か月もありますから、なんとも言えませんが、韓国国民の良識を信頼したいところです。
私としては、別に親日的になどならなくてけっこうですから、普通の国家間関係に戻りたいものです。
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ま、イ·ミョンバクさんの時も「やっと常識的に話ができる人が大統領になった」と思ったのに、韓国内の支持が低下した途端に人気取りに尖閣に上陸してファビョった事例がありますからな。。
彼の国の大統領は5年間だけの天下を謳歌できますけど、辞めたら必ず地獄に落ちるというシステム。いくら理想が高くて論理的な人でも、どうせ命がけの損な役回り。
韓流ドラマ大好きな人ならよく分かるでしょうけど、李氏朝鮮時代から変わらない前政権の一族郎党が汚職塗れで叩かれて消されます。
古代中国王朝時代からの伝統を今によく残している貴重な存在ですね。
投稿: 山形 | 2021年12月17日 (金) 07時02分
あまりに普通すぎてホントにびっくりですが、もちろんブログ主さんも同感されるでしょうが、かの国のことです。
初めにはいかにまともなことを言ったとしても、政権運営がきつくなればすぐに反日に戻ることはもう何度も見てきた光景です。
国民世論がほとんど二分されていて壮絶に争うのがこの国の常態ですから、彼がこの宿痾を克服できるなどという幻想は残念ながらわたしにはもてません。
ま、それでも彼が政権をとれば、韓国の命運は多少は伸びるとは思いますが。
投稿: ゆん | 2021年12月17日 (金) 07時24分
韓国の国民は我々が思うほど外交政策に興味は無く、国内の経済状況と、「大統領に飽きたかどうか」でしか政権を選んでいない印象を持っています。反日についての論点すら、大統領選の行方にさほど影響を及ぼしていないように感じられます。
外交が内政に大きく影響する地政学的な場所に自らが位置していることを、韓国の有権者はあまり実感として理解していないのではないでしょうか。
…とは言っても、米国も、わが日本国民も似たようなものかも知れませんが。
投稿: あいうえお | 2021年12月17日 (金) 12時41分