山路敬介氏寄稿 沖縄三題 宮古島市ミサイル配備報道を中心にその1
沖縄三題
~ 宮古島市ミサイル配備報道を中心に~
山路敬介
去る11/14、宮古島市保良弾薬庫などに予定のミサイル類が無事に搬入されました。
多くの報道によって、ごく少数の反対派の行動や主張ばかりが大きく取り上げられましたが、実際の現場では混乱もなく、整然かつ粛々と特段の問題もなく完了した、と言う方が事実に近いです。
私がこのブログを知った東北大震災後の放射能騒動のころ、世間の関心事は震災復興と原発問題一色でした。くわえて防衛観念にきわめて淡泊な民主党政権だったせいもあり、離島防衛そのものにも、その戦略的価値にも政府はまるで無関心でした。
当時の台湾ではひまわり革命がまだ起きていず、国民党政権の台湾は早晩中国に飲み込まれるだろうと考えられる状況でした。現在と政治状況こそ逆ですが、そうなれば先島諸島が対中国の最前線に立たされるのは同じ事です。
本土の関与の少なさを嘆きつつ、心細く、辺境で疎外された者の僻みらしい感傷もありました。それよりも大分さかのぼりますと、これは大した運動にはなりませんでしたが、伊良部島の下地島空港に普天間代替基地を誘致しようとした試みもあり、同じ心境からのものもだったと思います。
その下地島空港がまた、中国人富裕層専門の施設となるのでは?との噂がたち、実際に見分に来た中国人の一団を警戒したレポート記事が地元の宮古毎日新聞に載ったりしていました。
その後、第二次安倍政権が発足してすぐの頃、当時の石破幹事長が来島して安倍政権のめざす「国益と外交」をテーマに講演をしてくれました。当時の私はすでに石破氏の防衛相時代からの媚中姿勢に疑念を抱いていたものの、その石破氏の具体性のない総花的な話の中にも、安倍新政府の関与の方向性には非常な明るさを感じた覚えがあります。
今は自衛隊基地が出来、島の安全と平和を守る確固たる決意と信念が国家によって示されたと感じています。打ち続く中国の軍事膨張は私たちにとって真の脅威であり、今回のミサイル配備は適時の強固な盾となるにちがいありません。
にもかかわらず、沖縄県の政治情勢はいまだ混沌として自分たちの足元も見えないままです。未だに「辺野古新基地反対」を旗印にした選挙を戦おうとするオール沖縄側の蒙昧で空疎な姿を見れば、また、中共の多種多様な手練手管の他国政治中枢への関与の実例から見ても、様々に困難な政治状況のもといが中共のスパイ的関与にでもあるのだろう、と憶測する者がいても不思議ではないレベルだと思います。
今回はミサイル搬入の顛末と意義を中心にして、その前に沖縄県の政治状況の不思議な暗部である2、3の事柄を最初に述べたいと思います。
■ 衆議院沖縄3区、屋良朝博はなぜ敗れたか?
沖縄3区、島尻さんが奪還 「子どもたちの未来のために」信念貫く
注目の辺野古基地を擁する沖縄3区では島尻安伊子氏が屋良朝博氏をやぶり、衆議院初当選を果たしました。票差は七千票あまりでしたが、屋良氏は比例復活もならず落選しています。2019年の補選では実績のある島尻が、沖縄タイムス紙の論説委員だった新人の屋良に軽く二万票の差をつけられて敗退していたので、屋良の敗因について、衝撃を受けたオール沖縄内では様々に意見が出ていました。
けれど、その分析の解は、選挙数日後の11/2に出た沖縄タイムス紙の論評に象徴的に決定づけられたように思います。
記事の結論を要約すれば、「辺野古新基地建設の是非が争点化されなかった事が決定的な敗因」という総括になってしまっています。たしかに屋良氏は選挙戦当初は「辺野古反対」を声高にさけぶ事はせず、終盤になって陣営が苦戦を認識してのち「辺野古新基地阻止」を強く打ち出す方向に主張が先鋭化しています。
しかし、これは明らかにヘンです。
オール沖縄内には以前から「辺野古反対一辺倒の主張に拘泥しない事。争点や主張を辺野古に集中させれば支持層がうすまり、結果的に党の永続性が危うくなる」といった意見を持っている議員が結構あって、それは元保守派だけでなく古参の革新系の中にも存在しています。
同様の認識に立ったから屋良氏は選挙戦終盤に至るまで戦略として「辺野古阻止」を言わなかったのであり、かつ「辺野古反対」を全面に出す事で「若者の支持者離れを起こす可能性」(屋良選対幹部)を危惧したからでした。
また、金秀グループの呉屋氏が何と言ってオール沖縄から自民党支持へくら替えしたか?「「基地反対」のテーマだけでは沖縄の未来は開けない」としてオール沖縄を見限っていったのです。
玉城デニー知事再選へ暗雲…オール沖縄から有力企業「金秀」離脱の背
いまさら言うまでもありませんが、オール沖縄側の政治家だって全くの馬鹿ではありませんから、「辺野古阻止」など自分たちの力では金輪際出来ない事は承知しています。
出来るとすれば、本土国民の総意が税金の使い道に目覚めるとか、そういう以外にありません。それにしたって、普天間の危険性の除去を心からのぞむ日本人の良心的賛意を容易に覆せるものではありません。
にもかかわらず、そのような無意味な主張をオール沖縄側が安易に繰り返すのは、かつて単一論点選挙に持ち込んだ成功体験を懐古するからで、そのために無理にでもアジェンダセッティングをし直したいからです。
(アジェンダセッテイングとは、もともとの概念がマスコミ理論から発したもの。私たちは本来的に他人に何が良いとか、何が悪いとか思わせる事は出来ません。しかし、議題を設定する事で、どう見るか?どう思うか?をある程度コントロールする事が出来ます。テレビや新聞など一方向性の媒体では常識の光景ですが、政治的な実例として最たるものが、誘導性を増し、さらに選択肢を意図的に狭めて行なわれた「辺野古賛成」、あるいは「反対」の県民投票でした。)
そして、来年1月の名護市長選オール沖縄側の候補者岸本洋平氏の主張の変化には、沖縄二紙など最左派的主張の動向、屋良敗因の状況分析の成果が顕著にあらわれています。
岸本の主張は「埋め立て、新基地建設は絶対阻止」だとか、「建設は技術的に困難」など、一首長として出来もしない、あるいは事実誤認にみちた主張や公約に彩られる事となりました。
12/4に辺野古を訪れた菅前総理は「辺野古移設は名護市長選の争点ではない」と喝破しています。渡具知市長は稲嶺前市長を破った前回選挙もそうでしたが、辺野古問題には距離を取っています。
意味のない運動体的主張に与する事をよしとせず、辺野古問題に注力したことで乱れた前市政を正して子育て環境や市民福祉の充実などに一定の実績を上げてきました。
名護市民が最終的にどういう判断を下すのか分かりませんが、今のところ渡具知氏支持は安定的に推移していると聞きます。
(続く)
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コメント
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>多くの報道によって、ごく少数の反対派の行動や主張ばかりが大きく取り上げられましたが、実際の現場では混乱もなく、整然かつ粛々と特段の問題もなく完了した、と言う方が事実に近いです。
写真をみるかぎり、反対派の勢いは弱く感じられますね。ミサイル基地は国防に役立つものですから、県民の多くの積極的な支持が欲しいですね。
>注目の辺野古基地を擁する沖縄3区では島尻安伊子氏が屋良朝博氏をやぶり、衆議院初当選を果たしました。
島尻さん、ホントにおめでとう。 まじめな方ですので沖縄には是非とも必要な方です。一方、屋良さんはどの政党の所属でしたかね、この頃新聞をたまにしか読まないし、変わり映えのしない県政のことや沖縄選出の国会議員などへの関心もなくなっておりました。これは良くないことでしょうがね。今は国政と国際情勢が一番の関心事です。国政と国際情勢が沖縄の県政を左右すると思うのですよ。中国軍の動向と日本の防衛態勢の在り方が県に直接に影響しますよね。
屋良さんはフィリッピン大学を卒業しており、国際情勢にも(特に在日米軍の様相に)詳しい方です。ただ、ご自身の望んでいる方向へ在日米軍が動いて欲しい思いが強く、沖縄に米海兵隊は必要ないなどの論を展開しておりましたね。やはり、偏りがあるように思っております。
>また、金秀グループの呉屋氏が何と言ってオール沖縄から自民党支持へくら替えしたか?
自民党に変わってしまったのか、自分の経営する企業体がまずいことになりそうでやむを得ず立場替えをしたのかな。 この方は若いころに学生運動をしていたそうで、それでオール沖縄に一時的にも傾倒してしまったのでしょうね。沖縄の経営者は国政、世界情勢に疎いとしか言えませんよ。金秀という県内有力企業が反米反戦をやるようでは、沖縄の未来は暗く、視野狭窄のカエルの王様でしかありません。そのような経営者は他にもおりますよ。反戦運動などやっている場合ではありません。 金秀の企業としての今後の発展を望んでありますが、日本の国防にも役立てる優良企業であって欲しいな。
投稿: ueyonabaru | 2021年12月20日 (月) 23時01分
うらをみせ おもてを見せて ちるもみじ。
山路さん、こんばんわ?。 おはようございます。
宮古島関連の投稿三題とのことで (宮古の落穂) 情報の
楽しみのこころも 持ちながら読ませて頂いています。
メディアでは、いつもそうなんですけど、マスコミの意向や
反対派の主張ばかり、大きく取り上げて、
サイレントマジョリティーは居ないとばかりの印象操作を
受けて、現実の正確な姿が伝わらない場合が多いです。
今回の整然とした様子なども、おかげさまで・・。
以前の、宮古島コロナ騒動の時の自衛隊医療チームの
派遣の場合でも、その始末(始まり方と終わり方)の整然と
した様子なども沖縄本島のマスコミで知ることの出来ない
事実を伝えて下さって、安心と、ありがたさでした。
毎回のコメントでも、いつも、深く勉強です。
尖閣のことは、もう、20年程前に私が沖縄に戻ったころ、
本土の方の関与の少なさは当時は(現在も?)当たり前だ
としても、それよりも、沖縄のひとびと、そして私の同期の
友人たち、100人いれば、98人は・・と、友人酒の席でも、
私は、まるで別惑星の人間みたいで、違和感と、びっくり。
今でも、台湾と、尖閣・沖縄は、全く切り離された 論調で、
沖縄戦を語り継ぐ[ 正義と平和の印籠 ]の絶対空間です。
下地島空港が、中国人富裕層専門施設となるのでは?
このことは、私の当時の頭では、全く思いよらない発想の
ことでした、当時生きておられた宮古テレビの藤村社長の
インタービューでも、頑強そうな中国人が時々、伊良部島
空港近辺に来ている云々 ・・が、報道されたりしていたと、
記憶しています。わたしは、てっきり、軍事空港目的にと、
中国の便衣兵(私服スパイ)が もう来ているのだとばかり
しか、思いもよらなかったです。いつも、うがちすぎている
かもしれません・・。
話が固くなったかもしれませんが、つぎは、柔らか~く、
宮古島関連の連載への、( なますのぐう・酒の肴 ) として、
[ わが故郷、宮古島!]。
どこまでも続く 真っ白な白浜。
青幻が 海に浮かび 光まばゆい エメラルドの粒。
夕暮れ時には 荘厳な彩りの 夕陽のオーケストラ。
時に 台風も応援に参加する。
ふるさとは、遠くにありて、想うもの・・。
近くにありても、・・ いつも 懐かしき。
宮古島の おまじない・・。
んきゃ~ぬ 麻古山(宮古島)時代の方言のようです。
*[~たしでいかうょし のまじこやみとさるふがわ~]*
昔から これを唱えると、楽しく、幸せな人生になると
伝えられている?・・。 んきゃ~ぬ (=むかしの)。
コメントが長くなってすみませんでした。
投稿: | 2021年12月21日 (火) 06時25分