もう潮時だろう、自公連立
もう限界じゃないでしょうか。自公連立のことです。
あらかじめ申し上げておきますが、私は公明党やその母体である創価学会に特別な感情をもったことがありません。
好きでもなければ、嫌いでもありません。
一緒にやることはお互いにとって得ではない時期が来たのです。
今回の北京五輪について、山口代表はこのように述べています。
「公明党の山口代表は、記者会見で「選手が存分に力を発揮できる環境づくりが重要で、人権侵害について、アメリカとその他の国とでは捉え方が違うところもある。さまざまな状況や影響を考慮したうえで、日本政府として判断するものと承知しており、われわれ側から予断を与えることは控えたい」と述べました。」
(NHK2021年12月7日 )
NHK
根本的にこの人は勘違いしているようですが、選手が「存分に力を発揮できる環境」にないから問題なのです。
なぜなら開催国に人権が欠落しているからです。
山口氏は、開催国で最も有名なアスリートが政府高官からレイプされ、それを告発した瞬間に行方不明になる国のどこに「選手が存分に力を発揮できる」条件があるとお思いなのでしょうか。
そして山口氏はこうも言います。
「人権侵害について米国ととらえかたに違いがある」
ほー、人権にも国境があるとでも言いたいようです。
外国人ならどんなにレイプされようと、失踪しようと、はたまた強制収容所に送られて抹殺されても、それは「とらえ方の違い」なのですか。
こういう言い方ならば、まだしも日中友好議連元会長の林外相のほうがまだましです。
林外相はこの時期にこの人以上の最悪の人選はない人でしたが、それでもこう言っています。
「林大臣は「諸般の事情」に人権問題が含まれるのか記者団から問われ「自由、基本的人権の尊重、法の支配が、中国でも保障されることが重要だと考えていて、こうした日本の立場は、さまざまなレベルで中国側に直接、働きかけてきている。そういった指摘も含め判断する」と述べました」(NHK前掲)
林外相は北京五輪について、「自由・人権・法の支配の保障」という民主主義の基礎的概念を言うだけはるかにましです。
なぜなら、この三つの概念こそが民主国家の根幹の理念であって、米国であるか日本であるか、あるいは中国であるかを問わないからです。
それを山口氏は「米国とその他の国ではとらえ方が違う」という言い方で切り捨ててしまいました。
私は唖然としました。ここを切って捨てることできる党とは袂を別つべきです。
このような言い方は、公明党が「自由・人権・法の支配」などに価値を置かないと言ったも同然なのですが、それすら山口氏は気がつかないのです。
山口氏に思い出していただきましょう。
公明党綱領の冒頭にこう高らかに謳い上げています。
https://www.komei.or.jp/komei/platform/
●公明党綱領
「一〈生命・生活・生存〉の人間主義
いかなる主義・主張であれ、機構や制度、科学や経済であれ、それらはすべて人間に奉仕すベきです。これが〈生命・生活・生存〉を柱とする公明党の人間主義=中道主義の本質です。
従って、政治の使命は、生きとし生ける人間が、人間らしく生きる権利、つまり人権の保障と拡大のためにこそあります。(略)
そして今日においては、平和にしても開発にしても、すべては究極目的である人権の実現――人間が人間らしく平和に幸せに生きることの保障である、との位置付けがなされるに至っています。
まさに人権の実現を至上の目的価値とすることこそ、二十一世紀の日本と世界にとって不可欠の理念であると考えます。われわれは、この人権尊重の淵源に「生命の尊厳性」を置くものです 」
山口さん、あなた自分の党綱領を真面目に読んだことがあるのですか。
ここで公明党綱領が言っているのは、「政治の使命は、生きとし生ける人間が、人間らしく生きる権利、つまり人権の保障と拡大のためにこそある」、人権こそ普遍的理念だという意味です。
そして公明党の立党精神は、この「人権の実現を至上の目的価値とする」ためだ、とまで言い切っているわけです。
党を人格的に代表する山口氏が、「アメリカとその他の国とでは捉え方が違うところもある。さまざまな状況や影響を考慮したうえで判断する」と、人権には国境もあれば人種もある、その都度の政治状況次第でいくらでも変わるものだ、と言ってしまっています。
だからグローバル・マグニツキー法にも反対したのですね。
ご都合主義のことよ。
山口さん、これはあなたが綱領をすっかり忘れてしゃべっているのか、それとも綱領なんかただのお飾りだと思っているかのいずれかです。
前者ならば12年(!)勤めてきた代表を即刻辞任なさるか、綱領を書き換えます、ということです。
修正後の公明党綱領には「人権こそ普遍的目的価値である」の後ろに、「ただし米国や中国は別のとらえ方をしているからその限りではない」とつけ加えなさい。
公明党に欠落しているのは、ただいま現在中国当局によって弾圧されているウィグルや香港の人々の目線です。
弱者の味方だといいながら、実は弱者を虐げる抑圧者の側に立ち味方する。
人権こそ至上の価値だと言いながら、人権を踏みにじる側に立つ。
私は親中か反中かなどを問うているのではありません。
中国に親しみを覚えているならけっこう。ならば友人として、忠告してお上げなさい。
その道は滅亡の道ですと。
そして自分に問いかけてみて欲しいものです。
我が党は自由を守るのか否か、人権と法の支配を防衛するのか否か、と。
それともウィグルや香港は遠すぎて小さすぎますか。
ならば、公明党はいつから「小さい声を聴く力」を失ったのでしょうか。
聞こえるのは支持者の声だけなようです。
私は公明党が「敵基地攻撃能力の獲得」という岸田政権の政治政治目標に対して「ふるめかしい議論だ」と言おうが、改憲に及び腰なのも、いつもの中道リベラルから来る不勉強だと思ってきましたが、この「自由・人権・法の支配」に反対する今回の山口氏の言説は許容の範囲を超えました。
民主主義の根幹理念を否定する党が、政権に加わることはありえません。
この問題は、立憲が共産党と手を組むこととまったく同次元のことなのです。
こういうことを書くと、いや、今の自民は公明党の支持で当選させてもらっている議員が大勢いるから無駄さ、という諦観の声が聞こえてきますが、そうなのでしょうか。
産経新聞政治部次長の酒井充氏はこのような試算をしています。
「こうした話になると、よく出る通説として「衆院選で公明の支援がなければ自民はぼろ負けする」との見方がある。だから自民は公明に遠慮しているのではないかということだが、先の衆院選結果を基に試算するとどうなるか。
公明は比例代表で計約711万票を獲得した。選挙区数の289で割ると、各選挙区あたり平均で約2万5千票となる。自民公認候補で次点に2万5千票差以内で勝利したのは66人で、うち1人をのぞく65人が公明の推薦を得ていた。
単純計算では公明の推薦がなければ自民は選挙区当選187人(追加公認をのぞく)のうち65人が敗れて122人となり、比例の72人を足しても計194議席で、過半数(233)を大きく割っていたことになる」(産経 2021年12月3日)
たしかに現況では公明の支援をもらえないと65人の自民議員が当落の境から転げ落ち、自民は過半数割れを起こす危険があります。
ただし、同じことが公明党にもいえるのです。
「あたかも公明がカードを握り優位にあるように見えるが、逆もまたしかりだ。公明は候補を擁立した9選挙区で全員当選した。しかし、自民が公明候補を推薦しなければ、最低でも当選に5万票以上が必要な選挙区で全敗だった可能性が極めて高い」(産経前掲)
自民の支持を失った公明党は、小選挙区で全敗の可能性も出ます。
その可能性があるにもかかわらず自民党と敵対して再び野党に戻ることは考えにくい、と酒井氏は断言しています。
公明党は自公明連立で最も甘い汁をすってきた党です。
公明党がついて来るならよし、さもなくば連立の対象を入れ換えるくらいの気概を持って岸田氏は臨むことです。
さもないと、岸田氏まで公明党と同類と見なされますよ。
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お早うございます。
今朝の内容を読み進むにつれ我が意を得たりの感を強くしました。
が、1カ所だけ管理人さんのお考えに反するところがありました。
それは、
>好きでもなければ、嫌いでもありません。
という所でして、公明党はさておき、創価学会はどうにも好きになれません。結構昔の話で恐縮ですが、かつて母の知人から懇願されて聖教新聞を短期間ですが購読することがありました。花形とも言える一面のコラム(タイトル失念)に書かれていたことがまあ特定の人物に対する罵詈雑言のオンパレードでして、宗教に携わる人間の言葉とはとても思えず、よくもまあここまで悪し様に書けるものかと驚いたことがあります。偶々自分が読んでいた時期だけの事かもしれませんが、それ以来創価学会に対する印象は地に堕ち、そこと深い関わりを持つ公明党に対しても同様の思いを持つに至ったというわけです。
前置きが長くなりましたが、自民党は目先の利益にとらわれずに大局的な見地から公明党との関係を見直すべきだと私も思います。そうでないと立憲共産党ならぬ自由公明党となりかねませんから。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2021年12月11日 (土) 07時43分
公明党にとっては日中友好が党綱領より優先されるべきものと言うことですね。
投稿: HY | 2021年12月11日 (土) 07時58分
創価学会中央の婦人部ってのは、一体何をしているのでしょう。
中国の人権侵害に声を上げない、ウイグルやチベット、香港の人たちに起こった不幸に声を上げない宗教というのは、人類愛など語る資格がありません。自己都合によって主張される人権は単なる「空文」にすぎません。
もともと婦人部は「池田大作」の四文字に弱い事が言われてましたが、人権問題に目をつむる婦人部は学会の将来をいっそう暗くしています。宗教が自らよって立つ原理原則を曲げるなら、その教義もまた曲がります。
しかし、知り合いの創価学会のおばあぁは、「北京五輪など、とんでもない事!」と言ってるし、私が話せる若い学会員もみな同じです。
実際、何の媒体だったか、そうした中央との意識差を示す短いレポート記事も見た事があります。
末端と中央とはちがい、山口公明党や信濃町の創価学会は地方や末端のが会員など、団体権力の維持や集票のための道具としてしか見ていない事が明瞭だと思います。
おそらく空気の読めない岸田政府は折衷案的外交ボイコットをやると思われますが、遅きに失した事でその意義など無きに等しいほど希釈されてしまいました。
また、実際にやるやらないは別になんですが、「マグ二ツキー法はやらない」と言ってしまった事が、もはや武器を自ら手放したも同義だったのです。それでいて人権担当補佐官だの、外務省内に人権担当部署を設けるなど、国民への目くらまし目的にしか見えません。
創価学会の会員は公称827万家族と言われていますが、実際には専門家の試算で177万人です。しかも、年々その数は下落の一途をたどっています。選挙運動に積極的に関わりたい若い人たちは少なく、以前のような動員力を失っています。
自民党は憲法問題などで共闘出来る見込みのある維新や国民をテーマ毎にすくい上げ、公明党と同格に処すべきです。
泣きついてくるのは公明党で、自民党ではありません。
公明党こそ政権にいなければ都合が悪いのです。ここを間違える古いリベラル系が自民党には多いので、いつまでたっても日本再興に役に立たない公明党をくわえ込んだままなのだと思います。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2021年12月11日 (土) 08時33分
しかし当の岸田総理も人権と国益を秤にかけるような失言を繰り返しており「人権問題」というものがなんであるかを理解していないのを露見されています。
最終的なところを言えば国益に繋がる話ではありますが建前として自国の損得でもって人権問題を判断しているのかと取られかねない発言はNGです。
この時点で少なくとも現政権下においてマグニツキー法は絶対に可決される事はないでしょうね。
憲法改正に関しても岸田総理は積極的な発言をしていますが、いまだにどのような改正をどの時期までを目処に行いたいという具体的な構想を提示できずに「やるやる詐欺」の臭いを早くも醸し出してきているのは不安しか感じられません。
投稿: しゅりんちゅ | 2021年12月11日 (土) 09時15分
山口さん、結構優秀ということで期待していましたが、
尊敬する人物が罵詈暴言大好き教団の池田さんということで、ガックリな私です。
投稿: やもり | 2021年12月11日 (土) 09時16分
今日の記事は最高です! ホント、痒いところに手の届くような見事な書きぶりです。 自民党は早急に公明離れをしてもらいたいものです。
私の小学校時代の友人は選挙の時期には電話をくれます。私の身内に給付金(10万円のこと)の対象者がいるかどうかを尋ね、公明党の努力により給付金が支払われるようになりそうだと、選挙の投票依頼をしてくるのです。感じ悪いですよ。その友人はとても性格の優しい人であり嫌いではありませんが、公明党そのものへの嫌悪感が起きてきますね。
ありんくりん さんの山口評、特に気に入りましたね。
投稿: | 2021年12月11日 (土) 14時36分
公明党、一般の支持者の意見と本部の動きが確かに乖離してますね。
都政においてもかな。隣人がずっとポスターを貼っていましたが、豊洲&都民ファごたごた後に剥がされてそれっきりです。
マグニツキー法をやらないと政府は言っていませんし
杉田議員がブログで書いているような慎重論もあるようです。
自民維新国民で共闘して非難決議を議題にあげ、国会で出来ることを動かすことを望みます。
公明は文句を言っても従うしかなくなるようにする。
泥を被って悪人と呼ばれようが公明を庇う二階氏のような立ち位置の大物が居ない訳ですから。
投稿: ふゆみ | 2021年12月12日 (日) 10時43分