得意の絶頂から転げ落ちた韓国「K防疫」
韓国の感染状況ですが、なんともひどい状況になったものです。
韓国の中央防疫対策本部の発表で、2021年12月11日現在、韓国国内の新型コロナウイルス感染者数は前日午前0時の時点から6977人増え、累計51万538人になったそうです。
1日当たりの新規感染者数は前日(7022人)より45人少ないが、8日以降、7000人前後で推移しています。
死者は80人で、過去最多を更新。重篤・重症患者は856人となり、過去2番目の多さです。
人口比にすると日本ならば1日1万5000人を超えて新規感染者がでている状況となるわけです。
状況が深刻なのは、単に感染者が増えていることだけでなく、重体率と致死率が上がっていることです。
ここまで重体率と致死率が上がっているということは、医療崩壊しているということです。
ムン政権寄りのハンギョレまでもがこんな記事を出しているようですから、よほど状況は深刻のようです。
ハンギョレ
「119に電話してくる人たちは、すごく攻撃的で怒っているんです。理由を聞いてみると、数時間我慢して保健所の『病院を調べている』という言葉を信じていたけれど、それが1日たち、2日がたったら受け入れるわけにいかないでしょう。国民の立場からすれば、政府の指針で病院を手配する段階が崩壊しているんです。信頼を失ったということです。今はこの信頼が失われたことが最大の問題です」(京畿道西部地域の消防救急隊員Bさん)(略)
病床不足で患者の搬送システムは文字通り崩れている。病室が足りないため病院では患者を受け入れられず、患者を搬送する救急隊員は病院を探して道路で時間をむだにし、結局患者を再び家に戻すという状況だ。首都圏から光州(クァンジュ)や慶尚北道の栄州(ヨンジュ)まで患者を搬送したケースもあるが、それでも病室を見つけることができれば運がいい方だ。
Bさんは「最近の患者激増の前には、保健所が手配するのに3~4時間かかったとしても、地域が遠くても病院は手配できた。でも、今は3~4日かかることもある。患者が我慢できないのは当然の状況」と述べた。京畿道の別の救急隊員のCさんも「以前は病院に待ち時間を聞くことができた。だが今はそれさえも確認が不可能だ」と語った 」(ハンギョレ12月15日)
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/42002.html
感染者が集中しているソウルなどの首都圏では、重症者向けの病床の使用率が80%を超えていると報じられています。
わが国のピーク時を上回る凄惨さで、気の毒としかいいようがありませんが、わが国にできることはワクチン提供くらいでしょうが、それすら拒絶されるのではないでしょうか。
当然のことながら、制限解除は中止です。遅すぎたくらいです。
なぜこのような再拡大をしたのか疑問に思われて来ましたが、どうやらワクチンに原因があるのは確かなようです。
「中央防疫対策本部(防対本)のクォン・ジュヌク第2副本部長は同日、「デルタ株の場合、(感染者1人が感染する人数の)基本再生産数が5であるため、接種の完了率が85%になれば集団免疫は80%に達し、理論的にはマスクや集合禁止、営業制限なしでも克服できる」と説明した。
同日0時現在で1回目の接種を終えた人は対象者の78.3%、接種を完了した人は61.6%に上る。 現在12~17歳と妊婦、未接種者接種などが続き、11月中・後半頃には接種完了率が80%を超える可能性がある。
しかし、残りの未接種者らの接種意思が高くなく、85%まで達するかどうかは不透明だ」
(ハンギョレ10月15日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a78c314e447e83d5802ab5f00d5ee4295a22eebe
おいおい、この期におよんでも韓国の中央防疫対策本部は「集団免疫が8割になれば集団免疫が獲得され、マスクなしや集合禁止、営業制限などしないで済む」などと信じがたいことを平気言っています。
ならば今78.3%まで接種率が上がっていると豪語しているのですからあと2%で集団免疫にゴールです。
わきゃありません。この防疫対策の責任者は、もうそろそろマスクも行動制限もしないで済むと言ってしまったわけで、常識を疑います。
韓国は英国政府が当初堂々と集団免疫説を唱えて、あえなく破綻したことを忘れています。
間違いを悟った英国政府はただちに方針転換を図り、ワクチン接種を急ピッチに進めるわけですが、それは集団免疫説が実際にはザルだったことを世界に教えました。
この教訓を韓国は知らないのでしょうか。
韓国のワクチン接種のリアルな状況はこうです。
「9日の韓国・中央日報は「国民の80%が新型コロナウイルスワクチン接種を終えたのに状況はなぜ悪化するばかりなのだろうか」と、問いかけている。 同紙はまず、「未接種者」に焦点を当てる。実際の感染者のうち未接種者が占める割合が大きいからだ。先月28日を基準とした過去8週間の、満12歳以上の感染者10万7296人のうち未接種者・不完全(1回)接種者は45.5%。人口の20%ほどである未接種者群で新規感染者の半分が出ていると指摘する。
さらに60歳以上の高齢層で感染者が多くなっていることにも注目する。1か月前に比べて感染発生率は2倍以上に上昇しているという」
(Jcastニュース2021年12月09日)
https://www.j-cast.com/trend/2021/12/09426695.html?p=all
やっぱりそうだったのか、という接種率です。
実際の感染者のうち未接種者が占める割合を見ると、2021年11月28日を基準とした過去8週間の、満12歳以上の感染者10万7296人のうち未接種者・不完全(1回)接種者が実に45.5%。
感染社の半分弱が未接種、ないしは不完全接種社で占められていたのです。
全人口の2割が未接種者群あり、そこから新規感染者の半分が発生しているわけです。
では、なぜ高齢者の感染が拡大しているのでしょうか。
「さらに60歳以上の高齢層で感染者が多くなっていることにも注目する。1か月前に比べて感染発生率は2倍以上に上昇しているという。 60歳以上の高齢層の接種効果が予想より早く弱まり、ブレークスルー感染が急増したという専門家の見方を伝えている」
(Jcastニュース前掲)
高齢者でブレークスルー感染が大規模に起きていたわけです。
ここで韓国政府がワクチンの効果期間を無視した疑惑が生まれます。
「ワクチンの有効性が失われる時期を韓国政府が見誤ったという点だ。
韓国ではファイザーやモデルナのワクチンの確保が大幅に遅れた。それにもかかわらず、日本よりもわずか10日遅れで医療従事者や入院患者の接種を開始した。その時使われたのが英アストラゼネカ社製である。
このワクチンがファイザーやモデルナのものに比べてどれだけの有効性があるのかは、様々な議論がある。だが、はっきり言えるのは、今年(2021年)8月、「アストラゼネカの有効性は2回目の接種から5カ月」という英保険当局の発表をBBCが報じたにもかかわらず、韓国国内でその議論が巻き起こらなかったという点だ」
(藤原修平2021年12月8日『 韓国の「K防疫」バブルはなぜ崩壊したのか?』)
韓国は英国アストラゼネカ(AZ)製ワクチンを主に使っていたのですが、AZ製は有効製や安全性には問題なく、むしろ通常の冷凍温度で移送できるメリットがあったのですが、ひとつだけ問題がありました。
それはワクチンの有効期間が短いことです。
AZの効果の有効期限は、2回目接種から5か月が限界で、そのことを英国保健当局は公表していました。
韓国で60~74歳の年齢層の1000万人ほどが打ったAZ製は中和抗体持続期間が3~4か月です。
ファイザーやモデルナの6か月に比べて半分ていどの中和抗体持続期間がありません。
そのために、他社のワクチンより慎重に見積もって第2回終了から3か月ていどの期間でブースター接種をするべきでした。
韓国がAZを打ち始めたのは、2021年2月26日からです。
3月時点では、日韓の接種率に圧倒的な差がついていました。
「韓国の新型コロナワクチンの接種速度が速い。2月26日から新型コロナワクチンの接種を始めた韓国では、3月11日0時現在まで累計500,635人(アストラゼネカ487,704人、ファイザー12,931人)に対してワクチンの1次接種が行われた。2月17日から接種を始めた日本の累計接種者148,950人(3月10日現在)を大きく上回っている」
(ニッセイ基礎研究所2021年03月12日)
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=67205?site=nli
韓国が日本を上回るスピードでワクチン接種が可能だったのは、AZを使ったからです。
「その理由としては、日本は3月10日現在ファイザーのワクチンだけが承認・供給されていることに比べて、韓国はファイザー(2月3日特例収入承認、3月5日承認)やアストラゼネカ(2月10日許可)のワクチンが供給されており、現時点でのワクチンの供給量が日本より多い点が挙げられる。
日本ではアストラゼネカのワクチンが2月5日に、モデルナのワクチンが3月5日に承認を申請しており、5月ごろに承認されることが予想されている」
(ニッセイ基礎研究所前掲)
当時3月の時点で日本はAZの国内生産工場も有していましたし、AZワクチンの確保量も韓国を上回っていたので 、その気になれば韓国と同じ時期に接種開始ができたはずです。
しかし日本はファイザーを主力にすることを構想しており、AZの使用は手控えました。
おそらくその理由は、有効期限の短さを考慮していたと思われます。
そして当初の予定どおりファイザーが充分な量確保できるやいなや、日本は驚異的勢いで接種を進めていき、たちまち韓国に追いつきます。
つまり、韓国が2月始めという早い時期に接種開始が可能だったのはAZ製ワクチンを使用したためであり、その有効期限はそれからせいぜいが3~4か月だったのです。
したがって、韓国では5月頃から順次ワクチンの有効性が切れていたわけで、下図のブレークスルー数推移グラフを見ると、有効性が薄れ始めた6月から徐々に増え、10月には1万6千人にも達しています。
にもかかわらず、政治的思惑でムンは11月に制限解除を強行してしまいます。
「キム・ブギョム首相は、過去2週間で感染が確認された60代以上のうち、80%がワクチンの接種を済ませた人たちだと明らかにし「接種の効果が急激に低下している」と述べ、いわゆる「ブレイクスルー感染」への危機感をあらわにしました」
(NHK11月24日)
韓国 新型コロナ 23日の感染確認は初の4000人超 過去最多
ワクチン効果が薄れ、デルタ株の世界的感染爆発期に韓国は丸腰になっていたうえに、秋からの制限全面解除ですから、どんな結果になるのかは、火を見るより明らかでした。
こんな馬鹿なことをしたのは、ひとえにムン(※)の見栄です。
※「閣下」とつけると揶揄しているという声ありましたので呼び捨てにします。そのほうが無礼だとおもうがな。
接種開始当時、ワクチンの効果は速やかに現れ、韓国は一時世界有数の感染抑制国ともてはやされました。
晴れがましくも、6月のG7サミットで各国首脳から「世界一だ」と褒められたことで、ムンが待ち望んでやまなかった世界からの称賛を得、一方憎き日本はどん底にあえいでいる、これほど彼の自尊心を高揚させるものはなかったでしょう。
「このことでもう1つ忘れてはいけないのが、6月に英コーンウォールで行われたG7サミットである。保健セッションの席で、米バイデン大統領と英ジョンソン首相が「防疫ナンバーワンはこの人の国」と文大統領を指した。文大統領が昨年から宣伝してきたK防疫が国際社会から評価された瞬間であり、韓国メディアは誇らしげに報じていた。K防疫への称賛はバブルの絶頂だった」
(藤原前掲)
そして帰国したムンは鼻高々に「K防疫の勝利」を宣言しました。
思えば、これがムンの得意の絶頂期でした。
韓国御用メディアも猛批判「新規感染者は自宅療養」のコロナ対策 失策
「韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は10日、就任3年を迎えて大統領府で演説した。韓国が成功している新型コロナウイルス感染症の流行抑制について、「防疫で世界をリードする国となった。危機を新しいチャンスと発展の動力にしたい」と訴えた。
演説の大半を新型コロナをめぐる防疫や医療、経済対策に割き、南北や対日関係には、ほとんど触れなかった。
政権与党は、感染症対策が評価されて4月の総選挙で大勝。韓国の世論調査機関ギャラップの8日の調査(5月第1週分)によると、文氏の支持率は71%で1年10カ月ぶりに70%を上回った。歴代大統領と比べ、任期の同時期では最高水準となり、演説からは文氏が政権運営に自信を深めていることがみてとれる」(朝日2020年5月10日)
なんかエライ昔のような気がしますが、感染を抑え込んだというので82.3%(!)の支持率だったようです。(遠い目)
それが急落を開始するのは5月以降です。
下落する文在寅大統領の支持率 最低の48%に 経済政策で国民の不満
AZワクチンの効果は5月移行順次切れていたにもかかわらず、「K防疫」なる珍妙な言葉が一人歩きし、あまりにも早くシャンパンを開けすぎたのです。
「 ソウル大学のキム・ユン教授(医療管理学)は同紙のインタビューで、「韓国だけが上昇しているのは、結局、準備ができていない状況で日常回復を推し進めた結果だ」と語っている」(Jcastニュース前掲)
「幼いナショナリズム」(鈴置)に酔いしれて、日本に勝った勝った、わが国は世界一だとはしゃぐ、そして足元に口を開けている大きな穴に気がつかない。まぁ、いつものことではあります。
いまとなっては、「K防疫勝利宣言」を鼻高々にしていたムンの顔が懐かしくさえ感じられます。
« プーチンは何を要求しているのだろうか | トップページ | ユン候補のあまりにまともな政策骨子 »
ムン自体も情けないですが、この支持率の半狂乱な変化もいかにも韓国人気質という感じですね。
あと韓国の様子を見て、日本やら各国からアストラゼネカ製を供与した台湾は大丈夫かな?と少し心配になりました。
投稿: | 2021年12月16日 (木) 08時03分
↑度々申し訳ありません…きちんと名前欄を確認してから投稿します。
投稿: ねこねこ | 2021年12月16日 (木) 08時03分
韓国のことはムン様がこれからどーにかする???として、新コロナについて
は実際のところ、もう何がナンだか専門家でもわからないみたいですわ。
日本は現況、総人口比で見ればもうゼロコロナ状態なんですが、いったい
何故そうなったのか仮説はイロイロあるにせよ、真相は誰にもワカリマセン。
インドネシアなんかもゼロに近いらしいし、デルタ株の総本家インドなども
落ち着いているみたいだし、ニュージーランドも抑えています。一方ロシア
や英国や韓国などでは増える一方だし。そら、何か根本的な新コロナウイ
ルス理論でもあれば、各国の当局がすぐにそれを元に対策をするハズな
んで、出来ないところをみると、ワクチンの効能を含めて謎だらけで、右往
左往してるのが実状なんですわ。
で、ワクチンを2回3回とキチンと射って、マスクして、三密を避けて、人流を
減らして、栄養あるもの食って、十分睡眠取りましょう、なんて、小学生じゃ
あるまいし、☓クラ撃ちのような事を二年近くするハメになってしまっている。
近頃じゃ、ワクチン含めた数々の複合効果で効いているんだ説が言われて
いて、そこへオミクロン株が登場して、「こんな事全部、いつまで続けるんだ
ぁぁぁ!」と、厭世気分になって来ましたわ。祈祷師のおまじないじゃあるま
いし。病床数を、ワープスピードオペレーションで数倍に増やしておいた方が
いいです。重症化した者だけがモンダイなのだから。
スペイン風邪の時、初めて患者が出てから二年近く経つと、何事もなかった
ように消滅(というか只の風邪になった)していったらしいです(当時、世界は
まだ広かったので、日本などへは遅れて到達し、全世界的には四年で消滅)。
当時、ウイルス自体よく解っていなかったので、感染防止策はオソマツだった
し、スペイン風邪ワクチンなんて無かった。それを考えると、結局、新コロナも
行き着くところまで行く(ワクチン接種したとしても、死ぬ者は死に、生き残る
者は生き残る)まで、終息はしない。特にゼロコロナを目指すロックダウンなん
てのは感染の先送りに過ぎないので、時間の無駄なだけかも知れない。
そこで韓国に注目していますわ。これだけ新コロナが猛威を振るえば、程なく
韓国では勝手にスゴイ勢いで終息するのでは?と。ムン様は、又々得意の
絶頂で、「オレ様のK防疫Ⅱだ、K防疫の復活だぜい!」と、その頃オミクロン
第6波で意気消沈してる日本を見下していそうですわ。わかりやすい人です。
投稿: アホンダラ1号 | 2021年12月17日 (金) 00時21分