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2022年1月29日 (土)

ウクライナ、開戦前夜の様相です

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ウクライナ進攻が始まる可能性が非常に高くなりました。
あと数週間以内が最初の山です。
小泉悠氏は、2月10日から20日が一番危険だと具体的に述べています。

「私としても何らかの落としどころが見つかればいいとは思っているが、あまりにもロシアの要求が強行過ぎて、落としどころらしきものが全く見えてこないし、軍事力の行使を回避できそうな雰囲気も見当たらない。それが非常に不気味で怖い。
そして、来月の10日から20日にかけて、ロシア軍がベラルーシにおいてベラルーシ軍との大演習をやることになっている。大体、過去に大戦争が起こる時は“演習”という名目で始まることが多いので、この期間が非常に危ないと思う。ロシア軍が通常戦力の演習を行う場合は核部隊の演習をするが、去年はやっておらず、今年は“延期する”と言っている。もしかすると、ここで核部隊の大演習を行い、NATOに対して“手を出すな”と言いながら、ウクライナに対しては通常部隊での侵攻、もしくはハイブリッド戦を仕掛けるというシナリオがありえそうだ」(小泉悠 ABEMAタイムス1月26日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/33145ddd9a4fa6c84fcb4568b3f7d17dde0642e5

この観測は小泉氏だけのものではなく、安全保障関係の専門家の共通した意見で、今や進攻を前提とした次の段階を想定するに至っています。
ロシア軍の部隊編成は終了していると伝えられています。
ウクライナ東部国境、首都キエフを狙うベラルーシとの北部国境、そして南部からは黒海艦隊が強襲揚陸艦で包囲しています。
12万と言われるウクライナ軍は、東部国境だけではなく3方面から包囲される危険が出てきました。

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日経

ここで小泉氏が指摘するベラルーシですが、ベラルーシはロシアに似た権威主義(独裁型)国家で、ロシアの衛星国家です。
ウクライナの首都キエフは、ベラルーシ国境から指呼の距離にあり、ロシアのベラルーシでの動向が注目されていました。
先ほど、小泉氏が2月10日から20日と指摘したのはロシアとベラルーシが共同演習、その名も「同盟の決意2022」を行うからです。
既にロシア軍の大部隊が、18日頃からベラルーシに入っています。

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「インタファクス通信などによると、演習は2段階に分かれ、2月10日~20日にはベラルーシ各地で実施。外部からの攻撃やテロ活動など、緊急事態への対応力を確認するとされる。ロシアのフォミン国防次官は昨年末の両国大統領の首脳会談での合意に基づく演習だと述べた。
 ロシア・ウクライナ国境のロシア側には、現在も約10万人規模とされるロシア軍が結集。ベラルーシ・ウクライナ間の国境はそこから約1100キロ西にのびており、ウクライナへの軍事的圧力がさらに高まる恐れがある。米国務省高官は18日、「ロシアが合同軍事演習の名目でベラルーシに部隊を駐留させ、ウクライナを北から攻撃する懸念がある」との見方を示した」
(朝日1月19日)
https://www.asahi.com/articles/ASQ1M65Y3Q1MUHBI01W.html

畔蒜泰助(笹川平和財団主任研究員・ロシア外交・安全保障)氏の情報を基に、状況を整理するとこのような3方面作戦が考えられます。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2319Y0T20C22A1000000/

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ウクライナ地図

①ウクライナ東部の国境付近に展開するロシア軍部隊は、東部2州を実効支配するルガンスク州やドネツク州)の親露武装勢力と協力して東部の制圧を目指す。ただしドニエプル河を渡河せねばならず、キエフに到達は困難。

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ウクライナ連邦」化はロシアと欧米の落とし所になるか(THE PAGE

②ベラルーシとの共同演習を目的にして駐留した極東から移動したロシア軍部隊は、ベラルーシ国境から距離わずか100キロメートルの首都キエフを狙う。
このベラルーシルートを使うと、ウクライナを縦断するドニエプル川を渡る必要がない。
しかしウクライナ軍は、何本かしかない橋を破壊し進軍を遅らせようとするだろう。
また「イスカンダル」などの弾道ミサイルや航空機などで、キエフ中枢部を爆撃する可能性が高い。

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ウクライナ】オデッサ

③黒海に展開するロシア海軍強襲揚陸艦とロシア海軍歩兵(海兵隊)は、ウクライナ南部にある海上物流の要衝オデッサを狙う。
オデッサを奪取されると、ウクライナは海上物流を遮断されることになり、海上からの支援を得られなくなる。

さて、ラブロフはNATOからの核の撤去しろ、などという実現不可能な要求を口にし始めました。
これは危険な徴候です。

「27日付の国営タス通信によりますと、ロシア外務省の担当者がNATO諸国に配備されている約200発の核弾頭をすべて撤去するようアメリカに求めていることを明らかにしました」(テレ朝1月27日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000242991.html

いいでしょうか、ロシアは今ウクライナの東北南を14万ともいわれる大軍勢で包囲している状況です。
いわば銃を頭に突きつけて、オレのいうことを聞けといっている状態です。
弾けんばかりに緊張が高まっているさなかの27日になって、NATO全域から核弾頭を撤去しろと言われて、米国とNATOがはい、わかりました、というはずがないでしょうに。

そもそもその前にラブロフは、交渉の答えを文書化しろという馬鹿げた要求を出しています。
これも外交交渉ではありえない要求で、このような戦争を左右するような交渉では裏交渉がメーンになります。
ブリンケンが、非常識なことう言うな、それでは重要な秘密交渉ができなくなるぞ、と言っていましたが、そのとおりです。

戦争回避のための秘密交渉は、今回よく引き合いに出されるキューバ危機においても、当時は公開ができない微妙極まるものばかりでした。
キューバ危機なら、ヨーロッパ配備の弾道ミサイルの撤去を別の口実で撤去してみせました。
オレはこの部分を譲るから、お前はそれを譲れという理念もへったくれもない内容が、この時期の裏交渉なのです。
したがって双方ともに、外交的含みをたっぷり持たせた物言いに終始します。
それを回答を文書にして持ってこいとは、もう裏交渉はしないという意味以外にとりようがありません。
ソ連時代から生粋の外交官畑を歩んできたセルゲイ・ラブロフには、当然そんなことはわかっているはずなので、これはまとめるための交渉ではなく「壊すための交渉」なのです。
別の言い方をすれば、ロシアが開戦の口実を作るための交渉なのです。

もう少し経過を見ておきましょう。
ロシアは米国に新しい安全保障協定に関する回答を文書にして提出するよう要求し、ラブロフは「回答の内容がモスクワを満足させられなければ大規模な措置をとる」と発言しました。

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西日本新聞

これはロシアの要求が受け入れられなければ、ウクライナ侵攻をすると示唆したと受け取られています。
そして米国は、ゼロ回答の内容を記した文書をモスクワで手渡したそうです。
ロシア外務省は、「駐モスクワ米国大使から回答文書を受け取った」と発表しましたが、この回答文書の内容について聞かれたブリンケンが水曜日の記者会見で「NATO加入のドアは開かれているという原則を維持する」と述べた内容だったようです。
同時期、NATOもブリュッセルのロシア大使に回答文書を手渡しており、こちらもストルテンベルグ事務総長が 「NATOへ加入するかどうかを決定するのは各国の権利だとする原則を維持する」と言うようにゼロ回答でした。
真正面から聞かれればこう答えるしかないでしょうに、馬鹿ですか、それとも口実が欲しいだけなのですか、ラブロフ。

整理しておくとロシアの要求は以下です。

①NATOの東方拡大政策の放棄
②東欧諸国からの戦力引き上げ
③ウクライナへのミサイル配備禁止

これら3つにすべてに米国とNATOはノーです。
これらの要求を呑むことは、中東欧の旧ソ連圏諸国を、ひいてはヨーロッパ全域をロシアの脅迫に屈して見捨てることと同義語だからです。
ですから西側からすれば、ロシアが自らの要求を引き下げる以外に妥協する道はありません。
事実ブリンケンは「引き続きロシアの安全保障に対する懸念を解消するため協議したい」と提案しているようです。
それはずっとこのまま春になり、初夏になるまで引き延ばせば引き延ばすほど西側が有利ということになるからです。
10万もの大軍の兵站は行き詰まり、長い待機に兵は弛緩していきます。

一方ロシアからすれば、進攻に適した2月をみすみす逃すことになります。
だから短期で決着をつけたいの一心です。
ロシアのペスコフ大統領報道官が、「提案した新しい安全保障協定の内容はワンパッケージで意見の相違を1ヶ月も1年も議論したくない」と語っているのはその意味です。
あとは、プーチンの胸先三寸です。

なお2月4日から20日は北京五輪期間中ですが、そこをはずすかどうかも見物です。
もし期間中にウクライナ進攻を開始すれば、秋の党大会を前にあれほど力を入れていた習のメンツを真正面から潰すことになりますからね。
プーチンが中国に配慮すれば、その直後ということもありえますが、どうなりますことやら。

いずれにせよ、ウクライナに平和が訪れることを心から祈ります。

                                                                  

 

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コメント

なんかマジで緊迫してきましたね。
ヤフーニュースに載るような某経済誌で「ロシアが絶対に侵攻しないこれだけの理由」とか書いてるライターさんは、理屈を捏ね回すだけであまりにも独断的に否定してますけど、現場で何が起こるか分かりませんって。
米国大使館は退避。日本大使館も最低限を残して退避ですからね。状況は刻々と悪化していると考えるのが妥当でしょう。

それにしても当事者のウクライナ政府がズタボロでダメ過ぎです!コメディアン政権。
一応安全運転してるつもりなのかもしれないですけど、いっそのこと「テメーら!何かやらかしたらチェルノブイリ原発を爆破すっぞ!」とでも世界を脅せばいいのに。。まあ完全に悪者になりますけど。

 小泉悠氏の見解は専門家の見立てであり、筋は通っているとは思いますが、現実的には、また別の政治からの動きも考えられると思うのです。

 今日のネット報道によりますと、アメリカの議会筋は大半がロシアへの対抗心が旺盛であるとのことですが、ランドポール上院議員やフォックスのタッカーカールソン記者などはクリミアにアメリカは介入すべきではないという独自の意見を公表しているようです。トランプさんもどうもロシア強硬派とは思えませんし、共和党がロシア反対でまとまるのかどうかは分かりませんね。

 私は、アメリカのこの少数派のことなる意見を持つ方々を支持しております。米ロが反目しているようでは中国の危険は除去できません。

よくよく考えれば経済的な依存もそれほどでもない、むしろエネルギー資源に関しては中国側が依存しているし、元々そんなに仲がいい国じゃない。
そう考えたらロシアが中国のメンツなんて気にする理由はほとんどないんですよね。
プーチンはこれを切掛けにキンペーが潰れてもその次の指導者とよろしくやればいいくらいは平気で考えていそうですし。
それどころか新指導者に「お前がこの地位に就けたのは俺のおかげ」くらいに恩を着せてきそう。

日本国内もCLPを発端にドラマ「新聞記者」に飛び火した左翼内ゲバや令和コザ騒動などなど、どこからどう情報が流れてどうしてこんな結果になったのか不可解な案件が多く発生していてちょっと怖いですね。

「そんなことしたら国際社会で孤立するからロシアは侵攻しない」という主張は正常性バイアスの虜とかロシアの手羽先とかに見えますが、ともかくもそう考えるからといって、現状のロシアに対して何も言わなくていい、様子見でいいという理由にはならないし、ウクライナは内政や国家としての体に問題があると考えるからといって、ロシアが侵攻していい理由にもなりませんね。
他国の主権を脅かす試みに何もいわないならば、いずれ己に返って来ます。
世界は「やったもの勝ち」がスタンダードとして認められる超荒野になるのでしょうか。
ロシアによるヤフーニュース読者コメント改竄・転載工作とか、北京冬季オリンピック参加選手に「北京滞在中に人権問題について語るな」と警告するのがヒューマン・ライツ・ウォッチ
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e2f6068cd53c7fdd9df8f5de186f888293ec29e

とか、もう既になかなかの荒野なのですが。

選手団は沈黙。中共礼賛を踏み絵にされないだけマシだと思っています。
ハニトラに掛かりさえしなければ、帰国すれば言い放題なので、それまでの我慢です。

ウクライナは3正面作戦と思うとキツイですが、首都だけは死守して貰い、
西側諸国が協調して天然ガス・ルーブル・株売りを仕掛ければ、
たちまちロシアは侵攻を後悔するでしょう。
ロシアと直接敵対せずに天然ガスが安くなるのはドイツにとって国益なので、協力を得られやすいと思います。

副次的には、
アメリカは極東有事に集中できるし、
日本もワンチャン北方領土を取り返せるかも?

ロシアはウクライナのNATO加盟を認めない。
アメリカ、NATOはロシアの横暴は許さない。どちらも一歩も引く気配がない。
よく、外交は軍事力をバックにした交渉と言います。今のところ交渉決裂大ですね。ならばロシアは軍を進めると思います。
ただ、ロシア兵が大勢死ぬ全面戦争はプーチンとて嫌だと思います。そうなればプーチンの政治生命にも関わる。一旦ウクライナに侵攻した後外交交渉に西側諸国が乗ってくるのか。
ポーランド、ルーマニアに展開しているNATOも介入してくる。
正直よくわからないです。

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