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2022年1月 6日 (木)

EU、原発「グリーンな投資先」と認定

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EU欧州委員会が原子力を「グリーンな投資先」に認定しました。
これはEUが自らの「タクソノミー」(グリーンな投資を促す分類法規制)の改定で、原子力をそれに分類したのです。
これは事実上EUの原子力「容認」にとどまらず、グリーン投資に入れたことによってもう一歩進んで「推奨」への転換と理解されています。
これによって、いままでドイツに引っ張られて脱原発の色彩が強かったEUが、ようやく現実にそぐわない理念を修正したことになります。

もちろん今後は欧州議会にかけねばならないので、紛糾は避けられないでしょう。
EUの盟主であるドイツをはじめ、オーストリア、ルクセンブルク、デンマーク、ポルトガル、イタリアなどの加盟国は反対の意志を表明しています。
緑の党のオーストリア欧州議会議員が、欧州司法裁判所(EUJ)に提訴すると息巻いていますが、これは裏返せば欧州議会では勝てないからです。
欧州議会が欧州委員会の提案を拒否するには加盟国27カ国のうち20カ国またはEU議会の過半数の拒否が必要ですが、反対派が10カ国にも満たない現在、非現実的なシナリオだとみられています。
ちなみに今年上半期の議長国はドイツに並ぶもうひとりの盟主にして、世界一の原子力大国のフランスです。
「[1日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は、一部天然ガスと原子力エネルギーを「グリーン投資」に区分する提案をまとめた。1月にEUの「サステナブル・ファイナンス・タクソノミー」に関するルールを提案する見通しだ。
欧州委は、グリーン投資に区分される経済活動や環境面の要件をまとめた。
科学的助言と現在の技術の進展、加盟国間で異なる移行面の試練を考慮し、天然ガスと原子力には、再生可能を主体とする将来に移行するための手段としての役割がある」と声明で述べた。
ロイターが閲覧した欧州委の提案の素案では、原子力発電所への投資は、放射能廃棄物を安全に処分する場所や資金を確保する計画がある場合にグリーンと判定される。
新規の原発がグリーンに区分されるためには、2045年までに建設許可を得る必要がある。
天然ガス火力発電所については、1キロワット時(kWh)あたりのCO2排出量が270グラム未満、30年12月31日までの建設許可取得、35年末までに低炭素ガスに切り替える計画があることなどが条件。
欧州委関係者はロイターに、エネルギー事情が異なる加盟国の移行を支援する上で、「一見グリーンに見えない解決策も一定の条件下では理にかなう」と述べ、天然ガスや原子力への投資には「厳しい条件」が付くと指摘した。
提案の素案は、EU加盟国と専門家委員会で審査され、1月中に公表される予定。公表後、欧州議会で審議される」
(共同2022年1月3日)
https://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/reuters-20220103005.html
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アゴラ
「一見グリーンに見えない解決策も一定の条件下では理にかなう」 ですか、なるほど大人の判断というやつですね。
要は、原子力と脱炭素を秤にかけたら脱炭素のほうが重かったということですが、「天然ガスと原子力には、再生可能を主体とする将来に移行するための手段としての役割がある」という苦しい表現をしていますが、LNGと原子力がなければ脱炭素は不可能だという至って常識的なことを追認したわけです。
身も蓋もない言い方をすれば、この厳しい今年の冬を前にしてやっと現実に目が醒めたということです。

もちろん緑の党と社民党が政権を握るドイツは猛反発して、即座に拒否声明を出しています。
緑の党の脱原発は筋金入りですからね。認めるくらいなら政権から離脱して、連立は崩壊するでしょう。
「ベルリン 3日 ロイター] - ドイツの社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党による新連立政権は、原発と天然ガスを持続可能エネルギー源として分類するとした欧州連合(EU)欧州委員会の提案の受け止め方で一致している。
政府報道官が3日、記者会見で語った。
報道官は、連立政権は原発を脱炭素化に貢献する「グリーン」な投資対象であると一定条件下で認定することは拒否すると言明。
天然ガスについては、橋渡し技術として当面活用できるとの点で合意しており、今後どのように扱っていくかを協議することになるだろうと述べた」(ロイター
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産経
かくして原子力を巡って、EUは事実上分解しました。
よく脱原発派の人たちは原子力廃絶は人類共通の歩み、くらい言うのですが、脱原発の本場ヨーロッパでは脱炭素をするには原子力が必要という立場に変わってしまいました。

ドイツが脱原発を叫べるのは理由が二つあります。
ひとつにはロシアからノードストリームでLNGを大量に買っているからです。
つまりドイツはロシアにエネルギーの強依存をしているわけで、ウクライナを巡る経済制裁をロシアに課した場合、もっとも困るのはドイツだと言われてきました。
口では勇ましいことを言っても、エネルギーの首根っこを握られたロシアにはなにもできない、それがドイツだったのです。
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またドイツは良く言えばしたたか、悪く言えば狡猾なところがあって、メルケルは原子力は人類の共通の脅威くらい叫んでゼロを宣言して大向こう受けしましたが、実は止めたのは半数にすぎず、6基は稼働を継続し続け、むしろ日本より多いくらいです。
しかしこれも脱原発派で占められる新政権は、ロシアからの天然ガス供給がひっ迫し冬場の需要期を迎える中で、予定通り稼働中の原発3基の停止に踏み切ってしまいました。
これにより電力不足はさらに深刻化することになるはずですが、たぶんフランスから原子力の香がする電力を大量に買い取るつもりだと見られています。
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では、今回の「政変」の主役だった現実派盟主のフランスはどのように見ているでしょうか。
フランスはこのロシアのレニングラード州のヴィボルグを起点とし、終点はドイツのグライフスヴァルトを結び、全長約1200キロ、最大流動550億立法メートルという巨大なLNGパイプラインを3つの観点から見ていたと思われます。

ひとつには、脱「脱原発」をする時期が到来したという判断です。
フランスはかねがね非現実的な脱原発政策には反対していましたが、盟主ドイツが自らの強硬な脱原発路線によって、事実上フランスが電力輸出してやらないと自立できない国になっていました。
これがドイツの全電力の3割をカバーするノルドストリーム2の完成で解決しました。
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そしてもうひとつは、ヨーロッパの女帝であるメルケルの退陣です。
メルケルにかかればマクロンなど小僧っこ扱いです。
圧倒的な存在感を持つメルケルがいるかぎり、彼女が推進した脱原発・難民受け入れという理想主義からの離脱は不可能です。
このドイツが不安定な左翼連合政権に替わって、しかもまだよちよち歩きの今こそ、一気にメルケル路線の修正を計る好機と見たのでしょう。
その時こそ、持論だったロシアへのエネルギー依存体制は危険だ、EUは独自のエネルギー源を持つべきだというフランスの主張が加盟国に納得できるようになります。
まるでそれを待ち受けていたかのように動いたのが、プーチンのウクライナ進攻の構えだったわけです。
そしてたまたまフランスがEU議会の議長国でした。
マクロンはメルケルが敷いた路線からの離脱するのは今の時をおいてはない、そう判断したのでしょう。
私がこれが脱メルケルの「政変」だと思うのはそういうわけです。
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ところでドイツとフランスの間には、たとえばスウエーデンのような玉虫色の国々も存在します。

「電力のうち水力と原発がそれぞれ4割を占める同国は、2040年までに再生エネ電力100%を目指す一方、脱原発の期限は設けない玉虫色の方針を取っている。
 背景には、再生エネへの期待が大きい一方、原発支持も根強いことがある。昨年11月の世論調査では、39%が新設も含め原発支持、31%が新設なしでの原発維持を求め、政治主導の脱原発支持は16%にとどまった。スウェーデンの消費者向け電気代は、再生エネへの補助金で高騰したドイツの3分の2程度で、CO2排出量は欧州連合(EU)加盟国で屈指の低さ。ヤルメレット氏は、安定電源の原発と水力など自然エネルギーの「良好な組み合わせ」の成果だと強調する」
(時事2021年3月7日)

スウエーデンはいちおう脱原発を口にしつつもその廃止期限は定めない、「再エネが現実化するまで」既存の原子力を使い続けるという玉虫色の状態を意図的に継続しています。
その理由は何といっても、ドイツが再エネの賦課金で全欧一の電気料金高騰を招いたことを横目で見ているからです。
また水力が地形的に向いていることもあって、堂々とグリーンエネルギーに位置づけて大いに利用しています。

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欧州】 東欧における原子力拡大:欧州大でのエネルギーミックス多様化

また、中東欧諸国はほぼすべてが原子力肯定派ですが、それには理由があります。
たとえばポーランドは石炭火力が8割を占めているために、簡単にEUが要求するCO2ゼロを達成できません。
また地形的には水力や風力に不向きなため、エネルギーを安定的に確保しつつ脱炭素をめざすとすれば原子力しか残らないのです。

「原子力発電の新規導入を検討しているポーランドでは、2040年までに電力に占める石炭比率を現在の8割から5割まで下げることを目指し、実現の手段として、再エネの拡大と2030年代からの原子力導入の合わせ技をとる方針である。上述のとおり、対ロシアの警戒感が特に強いポーランドでは、原子力発電についても基本的にVVER以外の炉型を想定している模様で、2019年以降、米国エネルギー省(DOE)と3回にわたり原子力導入に向けたエネルギー戦略対話の会合を持つなど、関係を強めている」
(電気事業連 2020年3月13日)
https://www.fepc.or.jp/library/kaigai/kaigai_topics/1259909_4115.html

もうひとつの理由が中東欧が置かれた地政学的位置です。
この地域は東のロシアと西の独仏に挟まれた地域です。
こんな板挟みの地域で、ロシアのLNGに安易に依存してしまえばウクライナのように首根っこを押えられて無理無体を要求されます。
事実、ロシアはウクライナがEU加盟を申請した瞬間LNGを止めました。
逆に、独仏のヨーロッパ送電網に依存しすぎれば、ロシアを刺激しすぎるうえに、中東欧ブロックの政治的独自性が失われてしまいます。
このような複雑な判断の結果、中東欧ブロックは、より独立したエネルギー源である原子力を手放したがらないのです。

このように脱炭素とはきわめてリアルな政治的な安全保障に関わることであって、「脱炭素で原発反対」などという都合のいい立場など存在しないのです。
理想を実現したかったら、現実と絶え間ないすり合わせをしていくものです。
原発反対・CO2反対とだけ言っていてはなにも解決しない、やっとそのことにヨーロッパは気がつきつつあるようです。

ところで、日本への影響ですが、日本の脱原発運動家は馬耳東風でしょうが、自民党には多少あるかもしれません。
これで脱炭素という大義名分を得ることが可能になりましたからね。
今まで根強い原発アレルギーに配慮して腰が引けていた再稼働に本腰を入れてくれればエネルギー不足など瞬時に解決するのですが、岸田さんには無理かな。
レンホーさんから噛みつかれたら「原子力は再生可能エネルギーを主体とする将来に移行するためのグリーンな発電手段である」って答えればいいんですがね。

 

 

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コメント

ようやくまともな意見が公になったようです。日本の場合も、外から電気は買えないですし、ベースロードは原子力ということで国の形を作ってきました。再生可能エネルギーなどという不安定な発電源を系統に接続することは、本当に変電・送電が大変になるんですよ。これ、どうするつもりなのかと、心配になります。電力会社も世間の声に押されてしまい、安定送電の維持のため、現場はとんでもなく頑張っていますが限界もあります。スイッチさえ入れれば電気が来るはずという幻想はいい加減捨てたほうがいいです、再生可能エネルギーを云々言うなら。それと原発反対で学生さんがこの分野を選ばなくなることの意味を反対派は分かっているのですかね。自然に任せても廃炉や使用済核燃料の問題は残りますし、シナ・朝鮮という、西欧近代の規範であるプロセスをしっかり守るという感覚のない国が原発を作ろうとしている中、日本国内に原子力発電のノウハウが継承されないことは、外からの原発事故被害への対応もできなくなるということ。大事故が対岸で発生しても、何もできなくなります。安全保障上、本当にまずいです。

もうフランスは川を挟んで国境沿いにある原発のドイツ向け送電線を切断して良いかと。てか、メルケル政権時代にやっとけば良かったのに。そしたらドイツはますますロシアのガスパイプラインにしがみついていたでしょうから、そこはさじ加減なのでしょうね。
ドイツでさえバルト海の大量の洋上風力発電という物を建設しながらバイエルン地方への送電線は地元の反対があって遅れまくり。そりゃあ無理な話です。
我が国でも「発送電分離」なんて話がこの10年ででましたけど···その新規投資に莫大なカネがかかるのに儲けの無い「送電」を誰がやるのか?費用はどうせ電力料金に跳ね返ってくるのが必然なわけで。

数日前に北海道新聞が盛大に伝えてた北海道東部洋上風力発電のポテンシャルは400万キロワット時とか···常にそんだけの出力が出せるのなら文句は言いませんよ。それは最大出力で年に数日だけのたまーにある時の話でしかないというのを、読者も分かっていて冷静なコメントが多かったですけど。
風力や太陽光といったものは気紛れ電力で、人的制御は不可能なので常時安定できる電力(ベース電源)によるバックアップありきの話です。こんなこと誰でも分かろうに。
で、最新の超臨界水型石炭火力は資源も豊富でエネルギーミックスには最適なはずなのに···EUはじめ「CO2輩出無しの環境先進国」を名乗る国がファイナンス的に石炭火力への投資が出来なくなって、日本のメガバンクも同調しているのが本当に残念。
途上国どころか旧式な石炭火力に依存する巨大国家の中国なんか···世界一EV化がすすんでますけど、その電気は······あれを全部最新鋭の石炭火力で置き換えるだけでどれだけ環境に優しくなるのやら。。
原子力は常に最新技術と安全性を考慮しながら発展開発すべきものだと思います。
チェルノブイリのような黒鉛炉は論外だし福島のような旧式BWRでも「あとちょっとだけ対策されてたら何事も無かった」という事例も参考にしなければ。
原子力の場合は廃棄物の問題だけは必ず付き纏いますが、再処理するかそのまま地下深くに埋めるかの判断だけでしょ。

恒産なくして恒心なし     孟子
(財産や職業仕事の安定がなければ道徳心の安定もない)

倉廩実ちて即ち礼節を知り
衣食足りて即ち栄辱を知る   管子
(米穀倉が満ちていれば礼儀節度を知り 衣食が満足であれば栄誉も恥も知ることができる)

安定した職業財産がなくても高徳でいられる人はよく学んだ立派な人だけ
普通の人はそうではない
道徳がなければ人は邪なことをしてしまう、と孟子は言いました。
メルケルさん、中華が好きなら古典に学んだらよろしかったのに。

現代の我々にとって、衣食の「衣」は差し置いたとしても、「住」の安定を外せませんね。
電力はただ「ある」だけではだめで、「安定して潤沢にある」状態でなければ立ち行かなくなります。
そうして、よりマシな、より良い方法を見つける科学の知見と、行き過ぎた欲望や無駄遣いを思い止まったり改めたりする恒心を発揮するのだと考えます。
また、恒心と言えるのかどうかはわからないものの、方針転換に対する欧州各国の清々しいまでのツラの皮の厚さは、我が国もちょっと見習っていいかも、という方角から出羽守になってみました。

★東京電力 この冬初めて他社に電力融通を要請 厳しい寒さで需要★

厳しい寒さで電力の需要が高まっているため東京電力は、安定供給の確保に向けて、この冬初めてほかの電力会社に電力の融通を要請しました。

厳しい寒さの影響で家庭や企業で暖房の使用が増えるなど、各地で電力の需要が高まっています。このうち東京電力の管内では電力の供給力に対する需要の割合を示す「使用率」が、午前11時台の実績で95%!に、なっています。(略


寒いですね。うちの灯油ヒーターもガンガン燃えています。
しかし、東京は原発も使えない、火力も古くてポンコツみたいだし、
再生エネで頑張るしかないですね。
それで無理なら、霞が関停電させるとか。

 欧州委員会と欧州議会があるって、ややこしいですね。
報道見て、てっきり原発のクリーンエネ認定が決まったものと読んじゃってました。

欧州や国連方面はリーダーシップ取りたいなら、いい加減ちゃんとしてもらわないと。バイオ燃料からはじまって、クリーンディーゼル、太陽光発電やら風力だのとですね、日本も追従して運用に補助金出し放題でなきゃ成立しない産業に継続性はないですよ。

ここは取り合えずちゃんと原発やって、来るべき核融合発電開発に注力するべきです。
また、やりたい人はやればいいんですが、屋根の上の太陽光パネルなんてのも未だに補助金なしでペイしません。

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