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2022年1月31日 (月)

ウクライナに「枕を送る」ドイツ

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今のドイツにはどこか既視感があります。
まずは、あの本音発言をしたシェーンパッハ中将についてです。
彼はこう言っています。これがなかなかスゴイ。
いわば自衛隊の海幕長が、「中国が台湾や尖閣に進攻することなどありえない。習首席は尊敬に値する人物だ」といっているようなものです。


「ドイツ海軍のカイ=アヒム・シェーンバッハ司令官が22日夜、ウクライナ情勢に関する発言が物議を醸したことの責任をとり、辞任した。
シェーンバッハ中将は今月21日、インド・ニューデリー訪問中に現地の防衛シンクタンクで講演した際、ロシアがウクライナを侵攻しようとしているなど、ばかげた発想だと発言。ロシアのプーチン大統領は、西側から対等に扱われたいだけだとも述べていた」
(BBC 2022年1月22日)
https://www.bbc.com/japanese/60100421

もちろん市民までが民兵訓練に参加し、死守すると決めているウクライナは激怒し、直ちにこう声明を発表しました。

「ウクライナ外務省がこれに「絶対的に容認できない」と強く反発し、ドイツ大使に抗議するなどの事態を受けて、シェーンバッハ司令官は22日夜、「これ以上の悪影響を避けるため」、「ただちに」辞任すると発表した」(BBC前掲)


酒でも飲んでキレてしまったのかこの司令官、言いたい放題。
とうとう言うに事欠いて、「(プーチン大統領が)本当に求めているのは敬意で、それを与えるのは簡単なことだし、おそらくあの人は敬意を払うに値する」とまで発言しています。
今、誰が戦後最大級のヨーロッパの危機をつくった張本人なのでしょうか。
おまけに力による国境の変更を認めてしまって、「もうクリミアは戻ってこない」とまで言うに至っては、NATOの考えとはまったく異なります。
もはや暴言ではなく利敵行為の域に達していますから、直ちに解任されて当然です。

これが愚かな一高級指揮官の考えならいいのですが、どうも違うようですから憂鬱になります。
下の写真で中将と並んでいるのがドイツ国防相のクリティーネ・ランブレヒト独国防相です。
彼女は今回のドイツ左翼政権の目玉人事のひとりで、男女同数枠で社民党の運動家だったことで任命されたようです。
国の根幹を担う国防大臣を、こんな決め方をしてはいけません。(あたりまえだ)

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BBC ランブレヒト独国防相とシェーンバッハ司令官
ところで、ドイツはウクライナに対してとことん冷やかです。
もう有名になりましたが、ウクライナ支援はヘルメット5000個だけというケチさで、ヨーロッパ中の失望と嘲笑を受けました。
「[ベルリン時事]ドイツ政府は26日、ロシアとの緊張が高まるウクライナに対し、軍用ヘルメット5000個を供与すると発表した。
ただ、ドイツ製の軍艦などの提供を求めてきたウクライナ側からは、「言葉を失った」(クリチコ・キエフ市長)などと失望の声が出ている。 
ドイツのランブレヒト国防相は26日、ヘルメットの供与は、ウクライナへの連帯を示す「明確なシグナルだ」と強調した。ドイツは世界4位の武器輸出大国だが、昨年12月に発足した新政権は「抑制的」輸出政策を掲げ、ウクライナへの供与も拒否。対ロ支援で米英やバルト3国などがウクライナに武器を送ることを決める中で、ドイツも歩調を合わせるべきだとの圧力は高まっている」
(時事2022年1月27日) 
https://trafficnews.jp/post/114888
なぁにが「ウクライナとの連帯を示す明確なシグナル」だつうの。真逆です。
ドイツは進攻直前の微妙な時期に、「ウクライナは既に失われた」という「明確なシグナル」を送ってしまったのです。
ウクライナは紛争地だから武器援助はしないなどとキレイゴトを言っていますが、ウソです。
ドイツは余り知られていないようですが、メルケルはドイツ製武器を世界に売りまくっていました。
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ドイツは、堂々米露仏に続く第4位の武器輸出国です。
戦車、潜水艦、銃器なんでも売れるものならジャブジャブ節操なく売るのがドイツ流で、同じ敗戦国でも武器輸出三原則に厳しく拘束されていたわが国とはえらい違いです。
たしかに武器輸出には一定の基準があることは事実で、そのなかに紛争地域という一項があるのは事実ですが、ザルです。
たとえば戦闘を交わすトルコとクルド双方に戦車や武器を供与していますし、いつもドンパチやっているイスラエルや、休戦中の韓国にも潜水艦を売っています。

そもそもそういう言い方をしてしまえば、他のウクライナ支援をしているNATO諸国が「紛争地に武器を送る」死の商人だと言っているようなものです。
紛争国にしないために、他のヨーロッパ諸国は武器も含む援助をしているのです。 
そしてその代わりドイツがウクライナに送ったのが、弾がでないヘルメット5千個だというのですから、まるでブラックジョークです。
キエフ市長のクリチコ市長は、「5000個のヘルメットは完全に冗談だ。次は枕か?」と憤ったそうです。

しかもただケチなだけなら、「次は枕か」と笑って済むのですが、他のNATO諸国のウクライナ支援を妨害するとすると実害が出ていますから、お前どちらの味方だということになります。
「ロシアがウクライナとの国境に軍備を集結させている事態を前に、アメリカやイギリスを含む複数の北大西洋条約機構(NATO)加盟国がウクライナに武器や装備を提供、もしくは提供すると発表している。
しかし、ドイツはこれまで、武器提供を求めるウクライナの要請を断り、代わりに野戦病院の装備提供を申し出た。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ドイツ製武器をエストニア政府がウクライナに送ろうとするのも、ドイツ政府は介入して阻止したという」(BBC前掲)
このドイツのあいまい路線は、米国にも不信をもたれたようで、ブリンケンは念を押すように「ドイツがNATOとともにロシアに立ち向かうことは疑いない」と発言しています。
こうとでも言わないと、ドイツ一国の反対で、NATOの米軍の東欧派遣要請が潰されかねないからです。

では、メルケルがまだ首相だったとしたら、このウクライナ対応をどうしたでしょうか。
もちろん女帝としての貫祿がまるで違いますから、多少のニュアンスはちがったでしょうが、おそらくそう大きな違いはなかったはずです。
ドイツの立場は紛争、特にロシアとの摩擦は一切回避する、これが大原則だからです。
ロシアを、日本の戦後政治における中国に置き換えればわかるでしょう。
すなわち、「平和」を絶対真理とし、戦争は純粋悪、軍事費は無駄だから削減、これが戦後ドイツの道徳的立場です。
「ドイツがロシアとの争いを避ける理由は、経済的利益のためと説明されることが多い。しかしながら、ドイツ人には、第三国の主権よりもロシアとの争いの回避を優先することが、経済的利益以前に道徳的に正しい、つまりドイツの立場はNATO諸国の多くよりも道徳的に正しいと信じる人も多い。米英、オランダ、東欧諸国などとドイツの立場の違いは、国際政治観や歴史認識の違いも反映しているからだ」
((静岡県立大学グローバル地域センター特任准教授・西恭之 『NEWSを疑え!』第1023号(2022年1月27日号)

暴走中将がもうクリミアは返ってこないからあきらめることだ、と言ったクリミア進攻の年2014年のドイツの国防予算は戦後最低のGDP1.14%で、今も1.5%で変わりがありません。
わが国といい勝負です。
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主要国の軍事費推移

上図は軍事費の推移を見たものですが、直近2020年において軍事関連支出がもっとも大きかった国はアメリカ合衆国、次いで中国、インドが続いています。
ドイツは青線で、底辺を薄い青線の日本と競っています。

一方ロシアが突出して増加させているのが一目でわかるのが下図です。

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上図は、基準値の1992年と直近の2020年を比較し変動倍率を算出したものですが、やはりロシアが特異値を出してしまっています。
ここから判るのは、ロシアが突出して軍事費を増大させているのに対して、削減を続けたのがドイツという構図です。
この図式も、異常な軍拡をし続ける中国と、国防費がまったく変化しない日本とそっくりの構図です。
本来中露を抑制して地域を安定させねばならないはずの日独が、まったくその機能を果たしていないのがわかります。

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日本の防衛費過去最高を記録。近隣国は?(dragoner)

次に他のNATO諸国と比較してみましょう。
いっそうドイツのヘンが際立ちます。

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NATO国防費:負担増 独仏、2%目標「幻想」

2016年にNATOは米国の申し出を受けて、2%を目標にすることを合意しました。

「北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と英国のメイ首相は23日夕(日本時間24日未明)、ロンドンの英首相官邸で会談し、NATO加盟国に国防費の増額を求めることに英国が主導的な役割を果たすことで一致した」
(毎日2016年11月24日)

しかし、この合意に頑として従わなかったのがドイツです。
これは財政的理由だけではなく、むしろメルケル流「非戦の誓い」があったからと、もうひとつが仮想敵国のロシアとの間にポーランドが緩衝帯としてはさまっていたからです。

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ポーランドはドイツのわずか16%というはるかにちいさな国力しか持たないにもかかわらず、国力の限界ともいえるGDPの2%以上を国防費として計上しています。
実にドイツの2倍ですから、ドイツを守っているのはポーランドだとも言えます。

そしてもうひとつ、なぜロシアに対してここまでへり下ってしまうのでしょうか。
それはロシアへの贖罪意識です。
同じように大戦中にはウクライナにも進攻しているのですが、そちらにはまったく視線は向きません。
シュタインマイヤー独大統領は昨年10月にウクライナを訪れて、「ドイツ国民の「記憶の地図にウクライナにおける犯罪現場はほとんど記されていない」「死角を照らさなければならない」とは言っているのですが、いっかな照らされた様子はありません。
むしろウクライナを守るために、ドイツ製の武器が使われて、ロシア人を殺すならそれは非道徳と考えてしまうようです。
日中友好議連の会長だった林氏なら理解できそうなロジックです。
日本にとっての中国をロシアと置き換えるだけのことですから。

したがって、ドイツは経済的にもノルドストリームで喉頸を抑えられ、かつポーランドを間にはさむことで地政学的にも安全であり、かつ非戦の誓いを護持できるから、ドイツはウクライナに枕しか送らないのです。
ウクライナ人は、もし将来ヨーロッパに食料危機が来ても、ドイツにだけは小麦の代わり枕を5千個を送ってやるぞ、と言っているそうです。

 

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コメント

いかにもドイツらしい「合理的思考で突き詰めた理不尽さ」が発揮された人選と、
ロシアとウクライナへの旧ソ連両国への扱いの差。ただの地理的にエネルギー政策の合理性を無理矢理押し付けただけの様なきがしますけどねえ。
長く続いた東独出身のアンゲラ婆さんの政権が長すぎました。緑の党も元気なので、石炭や原子力は悪だとする政策は変わらないし変われないでしょうね。

あと、グラフの92年自国通貨でのドル建て軍事費って···当時のルーブルって本当に紙切れだったのが際立ちますね!

 ドイツの敗戦国ロジックは日本人のそれと似たもののようで、それを理由に国際社会(民主主義陣営)への貢献をスポイルする事や、自国の短期的利益を反映させる事だけに重きを置く政策に正当性を与えていると思いますね。

おどろくのはアメリカでは、FOXのタッカーカールソンのような保守派までもが、ロシア側の理論を採用して米軍の軍事不介入を唱えている事。
彼はネオコンがどうとか、グローバリズムがどうとか言いますが、問題は友邦であるウクライナ国民がその意志に反して武力で侵攻されようとしている事実を見過ごすのかどうかだ、と言いたい。
盟主ドイツはじめ欧州がするべき事をしないので、結果はどうあれ米国の利益とならない事は事実でしょう。しかし、民主主義の理念は衰退する一方です。

日本でも保守派の一部はプーチンだのラブロフの「えせ反中共的発言」に騙され、まんまとロシア側のプロパガンダに引っかかってますね。
民主主義陣営の動揺は結束してロシアの野望をくじかなくてはいけない重要時に、逆にウクライナを裸にして孤立させようとするプーチンに世論が与しちゃっているようにも見受けれます。

バイデンは、「~したら圧倒的な経済制裁する」のではなく、今すぐロシアに厳しい制裁を科して先手を取るべきです。それをこそ、ウクライナも希望しているのですから。

一番平和的にロシアに大打撃を与えるには
「シェール増産して欧州に送るよ〜」
ってバイデンが宣言する事でしょうね。

ロシアにとって下手な経済制裁よりも
原油価格が下がってまたジリ貧になるほうが痛いと思いますし。
米国内のガソリン価格も下がって支持率も持ち直すでしょうし
いい事ずくめなんですけどね。
世界情勢を不安定にしてまでも今やらないといけない事なんですかね?
脱炭素って…

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